説明

吸収性物品の製造方法

【課題】スキンケア剤が塗布された吸収性物品を、搬送設備にスキンケア剤を付着させ難くし、搬送設備を汚し難くして、効率よく連続的に製造する吸収性物品の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の製造方法は、構成シートの一例である表面シート10の一部にスキンケア剤が塗布された吸収性物品を連続的に製造する方法である。スキンケア剤は、20℃で半固体又は固体のものである。本発明の製造方法は、スキンケア剤を溶融させた状態で帯状の構成シートの表面シート100の一面に塗布する塗布工程Dと、帯状の構成シートの表面シート100の一面に塗布されたスキンケア剤が、帯状の構成シートの表面シート100を搬送する搬送設備に接触する前に、塗布されたスキンケア剤を帯状の構成シートの表面シート100の一面側から流体で冷却する冷却工程とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成材料にスキンケア剤が塗布された吸収性物品を連続的に製造する吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面シート等に、スキンケア効果を有するスキンケア剤を塗布した使い捨ておむつが知られている。例えば、特許文献1には、前述のような使い捨ておむつとして、吸収性物品の表面シートに、スキンケア効果を有する植物エキス(スキンケア剤)が施された使い捨ておむつが記載されている。特許文献1に記載の使い捨ておむつは、高吸収性ポリマーの吸収性能を阻害せずに、着用者の皮膚のかぶれ等を効率的に抑制することができる。このようなスキンケア剤が施された使い捨ておむつを連続的に生産する場合、通常のおむつ生産工程において、単にスキンケア剤を塗布すると、スキンケア剤を塗布した後の表面シートが、シートを搬送する搬送設備に接触することにより、搬送設備にスキンケア剤が付着し、搬送設備を汚してしまう。特許文献1には、植物エキスを吸収性物品の所定部位に施す方法について何ら記載されていない。
【0003】
例えば、特許文献2には、スキンケア剤をスプレーで表面シートに塗布した後、スキンケア剤を冷却し固化させる吸収性物品の製造方法について記載されている。また、特許文献3には、ブロワー、ファンなどを用いて、処理されたおむつの脚部カフスの外側を冷却し、固定化剤の結晶化を加速させ得ることが記載されている。
【0004】
しかしながら、特許文献2には、スキンケア剤をスプレーで表面シートに塗布する具体的条件については何ら開示されておらず、冷却方法についても具体的に何ら開示されていない。また、特許文献3には、冷却することとその手段は記載されているが、ローションのコーティングと冷却手段の位置関係については具体的な開示がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−45391号公報
【特許文献2】特表平10−509896号公報
【特許文献3】特開2001−314440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、スキンケア剤が塗布された吸収性物品を、搬送設備にスキンケア剤を付着させ難くするとともに吸収性物品の不必要な部位にスキンケア剤が付着することを防ぎ、搬送設備を汚し難くして、効率よく連続的に製造する吸収性物品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、構成シートにスキンケア剤が塗布された吸収性物品を連続的に製造する吸収性物品の製造方法であって、前記スキンケア剤は、20℃で半固体又は固体のものであり、該スキンケア剤を溶融させた状態で帯状の構成シートの一面に塗布する塗布工程と、前記帯状の構成シートの一面に塗布された前記スキンケア剤が、該帯状の構成シートを搬送する搬送設備に接触する前に、塗布された前記スキンケア剤を前記帯状の構成シートの一面側から流体で冷却する冷却工程とを具備する吸収性物品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸収性物品の製造方法によれば、構成シートの一部にスキンケア剤が塗布された吸収性物品を、搬送設備にスキンケア剤を付着させ難くし、搬送設備を汚し難くして、効率よく連続的に製造することができる。さらには、スキンケア剤を吸収性物品の必要としない部位に移行させ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施態様により得られる使い捨ておむつを一部破断して示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示す使い捨ておむつに用いられる好ましい表面シートの斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施態様により図1に示す使い捨ておむつの表面シートにスキンケア剤を付着する概略工程図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施態様により図1に示す使い捨ておむつの表面シートにスキンケア剤を付着する概略工程図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施態様により図1に示す使い捨ておむつの表面シートにスキンケア剤を付着する概略工程図である。
【図6】図6は、本発明の第4実施態様により図1に示す使い捨ておむつの表面シートにスキンケア剤を付着する概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の吸収性物品の製造方法を、その好ましい第1実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
第1実施態様で製造する一例としての使い捨ておむつ1は、図1に示すように、液透過性の表面シート10、液不透過性又は撥水性の裏面シート11及びこれら両シート間に配置された液保持性の吸収体12を備えている。
また、使い捨ておむつ1は、図1に示すように、その長手方向(図中のY方向)に、着用時に着用者の背中側に配される背側部A、股間部に配される股下部C及び腹側に配される腹側部Bを有している。
図1に示すように、使い捨ておむつ1の長手方向(Y方向)の両側それぞれには、撥水性不織布からなるサイドシート13が、表面シート10の両側部を覆うように配されている。表面シート10及び各サイドシート13は、吸収体12の周縁より外方において、裏面シート11に接合されている。吸収体12の幅方向(図中のX方向)外方のレッグフラップ部には、レッグギャザー形成用の弾性部材14が配されており、上述したサイドシート13のおむつ幅方向(X方向)中央側の側縁には、立体ギャザー形成用の弾性部材15が配されている。
【0011】
図1に示すように、使い捨ておむつ1は、いわゆる展開型のおむつであり、背側部Aの長手方向(Y方向)の両側縁部それぞれに設けられたファスニングテープ16,16を、腹側部Bの外面に設けられたランディングテープ17に止着することにより、身体に装着して使用する。なお、裏面シート11、吸収体12、サイドシート13、ファスニングテープ16、ランディングテープ17、弾性部材14,15としては、それぞれ、この種の物品に使用されているものを特に制限なく使用することができる。吸収体12としては、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体又はこれに吸水性ポリマーの粒子等を保持したものを、ティッシュペーパや透水性の不織布で被覆してなるもの等を用いることができる。
【0012】
使い捨ておむつ1の表面シート10としては、不織布やそれに多数の開孔を形成したもの、多数の開孔を形成したフィルム等を用いることができ、後述するスキンケア剤を保持する観点から、多層構造の不織布や凹凸構造の不織布を用いることが好ましい。
【0013】
凹凸構造の表面シート10としては、具体的には、図2に示すように、使い捨ておむつ1の肌当接面(着用者の肌側に向けられる面)を形成する上層不織布101と、吸収体12側に向けられる面を形成する下層不織布102とからなる2層構造の積層不織布が挙げられ、凹凸構造の表面シート10は、上層不織布101と下層不織布102とを多数の接合部103にて部分的に接合して形成される。上層の不織布101は、接合部103以外の部分において着用者の肌側に向けて突出しており、内部が空洞となっている多数の凸部104を形成している。図2に示すように、凸部104及び接合部103は、交互に、且つX方向及びY方向に多列をなすように配置されている。上層不織布101及び下層不織布102は、実質的に伸縮しない不織布からなる。図2に示すように、凸部104は、全体として稜線が丸みを帯びた扁平な直方体又は截頭四角錐体となっており、一方、接合部103は矩形となっている。図中のY方向は、後述する帯状の表面シート100の搬送方向と一致し、また表面シート10が使い捨ておむつ1(吸収性物品)に組み込まれたときの該吸収性物品の長手方向とも一致している。凹凸構造の表面シート10としては、図2に示すシート以外に、特開2002−187228号公報、特開2004−345357号公報、特開2004−275296号公報に記載のシート等を用いることもできる。
【0014】
使い捨ておむつ1の表面シート10には、着用者の肌側に向けられる面に、着用者の肌に対して所定の効能を有するスキンケア剤が施されている。具体的には、使い捨ておむつ1における表面シート10の上層不織布101に、スキンケア剤が施されている。スキンケア剤は、これを含む塗布液を、上層不織布101に塗工することで施されている。使い捨ておむつ1は、表面シート10にスキンケア剤が施されていることで、着用者の肌のかぶれ、炎症等が効果的に抑制・治癒される。
【0015】
スキンケア剤としては、20℃で半固体又は固体のものが用いられ、着用者の肌に対して、かぶれ、炎症等を抑制・治癒する効能を有するものを特に制限なく用いることができ、例えば、化粧品の分野においてエモリエント剤として用いられているもの等を用いることができる。ここで、半固体とは、外力や熱が加わることによって可塑性(流動性)が出現するものや、外力が加わらなくても可塑性(流動性)を有し、該流動性の低いものから高いものまでが含まれる。20℃で半固体又は固体のスキンケア剤の具体例としては、石油系炭化水素、動植物性油脂、動植物性ロウ、脂肪酸エステル系化合物、アルキルエトキシレート、脂肪酸エステルエトキシレート、脂肪アルコール、ポリシロキサンが挙げられる。
【0016】
また、各種エモリエント剤として、例えば、ジアミド誘導体(BRS)、流動パラフィン、シリコーンオイル、動植物油(オリーブ油、ホオバ油、ベニバナ油、スクワランおよびスクワレン等)、モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド、脂肪族エーテル(ミリスチル−1,3−ジメチルブチルエーテル、パルミチル−1,3−ジメチルブチルエーテル、ステアリル−1,3−ジメチルブチルエーテル、パルミチル−1,3−メチルプロピルエーテル、ステアリル−1,3−メチルプロピルエーテル等)、および、イソステアリル−コレステロールエステル等を単独で、或いは2種以上を混合したものに、固定化剤を加えることにより、20℃で半固体又は固体のスキンケア剤とすることができる。
【0017】
固定化剤としては、C14−C22脂肪アルコール、C12−C22脂肪酸、ならびに、平均のエトキシル化度が2から約30であるC12−C22脂肪アルコールエトキシレート、およびこれらの混合物からなる群から選ばれた一つの要素が含まれる。好ましい固定化剤には、C16−C18脂肪アルコールが含まれ、最も好ましくは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびこれらの混合物からなる群から選ばれた要素が含まれる。これらのうち、セチルアルコールおよびステアリルアルコールの混合物が特に好ましい。好ましいその他の固定化剤には、C16−C18脂肪酸が含まれ、最も好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸、およびこれらの混合物からなる群から選ばれた要素が含まれる。これらのうち、パルミチン酸およびステアリン酸の混合物が特に好ましい。さらに、好ましいその他の固定化剤には、平均のエトキシル化度が約5〜約20であるC16−C18脂肪アルコールエトキシレートが含まれる。脂肪アルコール、脂肪酸および脂肪アルコールは、直鎖であることが好ましい。
【0018】
また、スキンケア剤を含む塗布液には、固定化剤の他に、帯電防止剤、酸化防止剤、pH調整剤、平滑剤、乳化剤、抗菌剤、防黴剤、香料等を配合することもできる。
【0019】
次に、本発明の第1実施態様として、使い捨ておむつ1の好ましい製造方法について図3を参照して説明する。本実施態様の製造方法は、構成シートの一例である表面シート10の一部にスキンケア剤が塗布された使い捨ておむつ1を連続的に製造する使い捨ておむつ1の製造方法であり、使い捨ておむつ1の作成前に、使い捨ておむつ1を構成する表面シート10となる帯状の表面シート100に、スキンケア剤を含む塗布液を塗布する方法である。尚、使い捨ておむつ1の長手方向(Y方向)と搬送方向は同じ方向であり、幅方向(X方向)とは搬送方向(Y方向)と直交する方向である。
【0020】
第1実施態様の製造方法の実施に用いられるスキンケア剤付着装置2は、図3に示すように、搬送されてきた表面シート10となる帯状の表面シート100の一面に、スキンケア剤を溶融させた状態で塗布する塗布装置5と、塗布されたスキンケア剤を流体で冷却する冷却装置6とを具備している。図3中、搬送ロール4はスキンケア剤付着装置2において帯状の表面シート100を搬送するロールである。
【0021】
搬送ロール4は、図3に示すように、帯状の表面シート100を搬送方向(Y方向)に搬送する搬送ロール41と、搬送ロール41の下流側であって、帯状の表面シート100を鉛直方向に搬送する搬送ロール42及び搬送ロール43と、搬送ロール43の下流側であって、帯状の表面シート100の方向を転換するロール44と、ロール44の下流側であって、帯状の表面シート100を搬送方向に搬送する搬送ロール45とを有している。
【0022】
第1実施態様の製造方法の実施に用いられる搬送ロール4においては、搬送ロール41及び搬送ロール45が、帯状の表面シート100を搬送方向に搬送する駆動ロールであり、それ以外の搬送ロール42、搬送ロール43及びロール44が、駆動がない所謂フリーロールである。駆動ロールとしては、一般的な、ニップタイプのフィードロール、オメガ状に各ロールを配置したオメガタイプのフィードロールやロールの表面摩擦を高めたフィードロール等を利用することができる。
【0023】
塗布装置5は、図3に示すように、帯状の表面シート100を鉛直方向(図中のZ方向)に搬送する搬送ロール42と搬送ロール43との間に配されている。塗布装置5は、図3に示すように、塗布装置5の先端にスキンケア剤を吐出するノズル51と、塗布装置5の内部に、溶融させた状態のスキンケア剤を圧縮空気により供給する供給路(不図示)と、供給路(不図示)と接続されており、20℃で半固体又は固体のスキンケア剤を溶融する溶融タンク(不図示)とを具備している。塗布装置5は、図3に示すように、スキンケア剤を水平方向から塗布するように、塗布装置5のノズル51が、搬送ロール42及び搬送ロール43によりZ方向に搬送される帯状の表面シート100に対して垂直方向に配されていることが好ましい。このように配されていることにより、スキンケア剤塗布時の表面シート100からの跳ね返りによる塗布装置5の汚染、具体的には、スキンケア剤が低粘度の剤である場合の塗布装置5からの液だれや、スキンケア剤の蓄積による表面シート100への落下等による汚染を防止することができる。
【0024】
塗布装置5により帯状の表面シート100の一面にスキンケア剤の塗布液が塗布される。尚、表面シート10として、上述した凹凸構造の不織布を用いる場合には、上層不織布102側にスキンケア剤の塗布液が塗布される。塗布装置5により帯状の表面シート100に塗布されるスキンケア剤の塗布液は、その塗布坪量に特に制限はないが、吸収体12の吸収性能への影響、スキンケア効果、風合い等の観点から、0.1〜2.0g/m2
範囲内とすることが好ましく、0.2〜1.0g/m2の範囲内とすることが更に好まし
い。この塗布量は、塗布液を塗布する前と塗布した後の塗布対象物の重量差から求めることができる。また、帯状の表面シート100にスキンケア剤の塗布液を均一に塗布する観点から、塗布装置5のノズル51と、搬送される帯状の表面シート100との間隔は、1mm〜200mmであることが好ましく、10mm〜100mmであることが更に好ましい。
【0025】
冷却装置6は、図3に示すように、ロール44の上流側であって、搬送ロール43とロール44との間に配されている。冷却装置6は、スキンケア剤が塗布された表面シート100の一面側に流体を噴射する流体噴射ガンが配置されている。スキンケア剤付着装置2においては、帯状の表面シート100の一面(上層不織布102)に塗布されたスキンケア剤は、帯状の表面シート100の搬送方向を転換するロール44と初めて接触する。その為、ロール44の直前に、冷却装置6が配されることが好ましい。尚、スキンケア剤付着装置2においては、スキンケア剤の塗布された帯状の表面シート100の一面(上層不織布102)と最初に接触する搬送設備が、ロール44であるが、ロール44よりも上流側で、スキンケア剤の塗布された帯状の表面シート100の一面(上層不織布102)と最初に接触する搬送設備があれば、その部位の直前に、冷却装置6は配される。例えば、最初に接触する搬送設備としては、ロール44以外に、帯状の表面シート100の搬送方向を転換する方向転換バーや、帯状の表面シート100を折り返すセーラー板等が挙げられる。
【0026】
冷却装置6としては、図3に示すように、流体を噴射する流体噴射ガンを用いることができ、流体噴射ガンの先端に流体を吐出するノズル61と、流体噴射ガンの内部に、流体を供給する供給路(不図示)とを具備している。流体としては、空気、ガス、水等が挙げられ、コスト、供給装置の定期メンテや装置汚染等メンテ性の観点から、空気を好適に用いることができる。噴射する流体の温度としては、スキンケア剤の融点より低いことが好ましく、融点から10℃以上低いことが更に好ましく、融点から20℃以上低いことが特に好ましい。
【0027】
流体として空気を用いる冷却装置6としては、例えば、ノズル61と、帯状の表面シート100を挟んで対向する位置に吸引装置(不図示)とを設け、ノズル61から空気を吐出(送風)し、吸引装置で該空気を吸引することにより、スキンケア剤の塗布された帯状の表面シート100に該空気を通過させることで冷却する装置を用いることができる。また、例えば、ノズル61の先端を、帯状の表面シート100の搬送方向と逆向きの方向に配し、スキンケア剤の塗布された帯状の表面シート100の搬送方向と逆向きに、ノズル61から空気を吐出(送風)して冷却する装置を用いることができる。
【0028】
冷却装置6は、図3に示すように、帯状の表面シート100の一面側に配されており、帯状の表面シート100の一面に塗布されたスキンケア剤を、吹き飛ばさず、均一に冷却する観点から、ノズル61と、搬送される帯状の表面シート100との間隔は、1mm〜200mmであることが好ましく、10mm〜100mmであることが更に好ましい。また、同様の観点から、ノズル61から吐出される流体の圧力は0.01〜1.0MPaとすることが好ましく、0.1〜0.5MPaとすることが更に好ましい。また、効率的に冷却する観点から、ノズル61から吐出される流体の流量は、10〜1000l/minとするのが好ましく、更に50〜500l/minとするのが好ましい。
【0029】
次に、本発明の吸収性物品の製造方法を、第1実施態様に基づき図3を参照しながら説明する。
【0030】
まず、表面シート10となる帯状の表面シート100を搬送ロール4により搬送する。表面シート10が、凹凸構造の不織布である場合には、例えば、周面に接合部103に対応する凸部を備えたエンボスロールと、該凸部と噛み込み状態となる凸部を有するロールとで上層不織布101連続体を噛み込みで凸部に沿った賦型を行い、エンボスロールに上層不織布101連続体を維持した状態で、エンボスロールに対向する表面が平滑なフラットロールとの間に、上層不織布101連続体と下層不織布102連続体とを重ねて供給し、接合することにより、凹凸構造の帯状の表面シート100を形成することができる。
【0031】
次いで、図3に示すように、搬送ロール42と搬送ロール43との間に位置する塗布装置5により、スキンケア剤を溶融させた状態で帯状の表面シート100の一面に塗布する(塗布工程D)。尚、表面シート10として、上述した凹凸構造の不織布を用いる場合には、塗布装置5により、上層不織布102の外表面にスキンケア剤を塗布する。スキンケア剤の塗布は、帯状の表面シート100の一面に連続して塗布してもよく、形成された使い捨ておむつ1の表面シート10の一部に塗布されるように、帯状の表面シート100の一面に間欠的に塗布してもよい。
【0032】
次いで、図3に示すように、ロール44の上流側であって、搬送ロール43とロール44との間に配されている冷却装置6により、帯状の表面シート100の一面に塗布されたスキンケア剤が、帯状の表面シート100を搬送する搬送設備(ロール44)に接触する前に、塗布されたスキンケア剤を帯状の表面シート100の一面側から流体で冷却する(冷却工程E)。
【0033】
次いで、図3に示すように、帯状の表面シート100の一面側とロール44とが接触しながら、ロール44により、帯状の表面シート100の方向を転換し、搬送ロール45により、Y方向に搬送される。次いで、スキンケア剤を付着させた帯状の表面シート100は、次工程に搬送される。
【0034】
次工程においては、スキンケア剤を付着させた帯状の表面シート100の他面側(スキンケア剤が塗布されていない面側)と、裏面シート32の連続体とを、搬送方向(Y方向)に断続的に供給される複数個の吸収体33,33・・・を挟時するように、常法に従って固定するとともに、帯状の表面シート100の搬送方向(Y方向)の両側部それぞれに沿って、レッグギャザー形成用の弾性部材14を搬送方向(Y方向)に伸長させた状態で、常法に従って固定する。また、帯状の表面シート100の一面側(スキンケア剤が塗布された面側)に、帯状の表面シート100の搬送方向(Y方向)の両側部それぞれに沿って、サイドシート100の連続体を常法に従って固定し、各サイドシート100の連続体の幅方向(X方向)内方側に、立体ギャザー多形成用の弾性部材15を搬送方向(Y方向)に伸長させた状態で、常法に従って固定する。このようにして形成された使い捨ておむつ1の連続体を、公知の切断手段により切断することにより、使い捨ておむつ1が連続的に得られる。
【0035】
第1実施態様の製造方法に関し、特に説明しない点は、従来の、いわゆる縦流れ方式の展開型使い捨ておむつの製造方法と同様にして製造することができる。
【0036】
第1実施態様の製造方法によれば、表面シート10の一部にスキンケア剤が塗布された使い捨ておむつ1を、効率よく連続的に製造することができる。特に、第1実施態様の製造方法によれば、搬送設備(ロール44)に接触する前に、冷却装置6により、塗布されたスキンケア剤を帯状の表面シート100の一面側から流体で冷却するので、搬送設備(ロール44)と接触する表面シート100の一面側(凹凸構造の不織布の場合には凸部の頂部)を積極的に冷却でき、また塗布されたスキンケア剤18は表面シート10の構成繊維内に入り込んで固定化され、搬送設備(ロール44)にスキンケア剤を付着させ難い。その為、搬送設備を汚し難く、清掃の手間等が省け、表面シート10の一部にスキンケア剤が塗布された使い捨ておむつ1を、効率よく連続的に製造することができる。また、スキンケア剤が吸収性物品の塗布位置で表面シート100に固定化されるため、製造中に必要としない部位に移行させ難く、所望の位置でスキンケア剤が設けられた吸収性物品を精度よく製造することができる。例えば、スキンケア剤を、表面シート10に塗布し立体ギャザーには塗布しない場合、スキンケア剤を表面シート10に塗布後冷却固化した後に、吸収性物品を折り畳むことにより、立体ギャザーにスキンケア剤を移行させず、表面シート10にスキンケア剤を設けた吸収性物品を精度良く製造することができる。
【0037】
以下、本発明の使い捨ておむつの製造方法を、その好ましい第2〜第4実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
先ず、第2〜第4実施態様により製造される使い捨ておむつについて説明すると、第1実施態様により製造される使い捨ておむつ1と同様である。
【0038】
次に、本発明の第2実施態様として、使い捨ておむつ1の好ましい製造方法について図4を参照して説明する。第2実施態様において、特に説明しない点については、第1実施態様に関して詳述した説明が適宜適用される。
【0039】
第2実施態様の製造方法の実施に用いられるスキンケア剤付着装置2Bは、図4に示すように、第1実施態様の製造方法の実施に用いられるスキンケア剤付着装置2と同様に、表面シート10となる帯状の表面シート100を搬送する搬送ロール4と、スキンケア剤を溶融させた状態で帯状の表面シート100の一面に塗布する塗布装置5と、塗布されたスキンケア剤を流体で冷却する冷却装置6とを具備しており、更に、帯状の表面シート100を予め流体で冷却する予備冷却装置7を具備している。
【0040】
予備冷却装置7は、図4に示すように、塗布装置5の上流側であって、搬送ロール41と搬送ロール42との間に配されている。予備冷却装置7は、図4に示すように、塗布装置5によりスキンケア剤が塗布される帯状の表面シート100一面側を予備冷却できるように、帯状の表面シート100の一面側に配されていることが好ましい。予備冷却装置7としては、図4に示すように、流体を噴射する流体噴射ガンを用いることができ、流体噴射ガンの先端に流体を吐出するノズル71と、流体噴射ガンの内部に、流体を供給する供給路(不図示)とを具備している。流体としては、空気、ガス、水等が挙げられ、コストの観点から、空気を好適に用いることができる。
【0041】
スキンケア剤付着装置2Bにおいては、予備冷却装置7は、図4に示すように、帯状の表面シート100の一面側に配されており、帯状の表面シート100にダメージを与えず、均一に冷却する観点から、ノズル71と、搬送される帯状の表面シート100との間隔は、1mm〜200mmであることが好ましく、10mm〜100mmであることが更に好ましい。噴射する流体の温度としては、スキンケア剤の融点と同等又はスキンケア剤の融点より低い温度で行うことが好ましい。
【0042】
次に、本発明の使い捨ておむつの製造方法を、第2実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
【0043】
まず、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同様に、表面シート10となる帯状の表面シート100を搬送ロール4によりY方向に搬送する。次いで、塗布工程Dの前に、帯状の表面シート100を予め流体で冷却する。具体的には、図4に示すように、塗布装置5の上流側であって、帯状の表面シート100の一面にスキンケア剤を塗布する(塗布工程D)前に、予備冷却装置7により、スキンケア剤が塗布される帯状の表面シート100を、帯状の表面シート100の一面側から流体で冷却する(予備冷却工程F)。
【0044】
その後は、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同じ工程D,E(図4参照)を経ることにより、使い捨ておむつ1を製造することができる。
【0045】
第2実施態様の製造方法によれば、特に、帯状の表面シート100の一面にスキンケア剤を塗布する(塗布工程D)前に、予備冷却装置7により、スキンケア剤が塗布される帯状の表面シート100を流体で冷却するので、スキンケア剤の固化を早める効果がある。その為、搬送設備を汚し難く、清掃の手間等が省け、表面シート10の一部にスキンケア剤が塗布された使い捨ておむつ1を、更に効率よく連続的に製造することができる。特に、凹凸構造の不織布の場合には予備冷却装置7により凸部内に冷気を保持しているため冷却効率が向上し、冷却工程Eだけでは冷却しにくい嵩高なシートには有効である。
【0046】
次に、本発明の第3実施態様として、使い捨ておむつ1の好ましい製造方法について図5を参照して説明する。第3実施態様において、特に説明しない点については、第1実施態様に関して詳述した説明が適宜適用される。
【0047】
第3実施態様の製造方法の実施に用いられるスキンケア剤付着装置2Cは、図5に示すように、第1実施態様の製造方法の実施に用いられるスキンケア剤付着装置2と同様に、表面シート10となる帯状の表面シート100を搬送する搬送ロール4と、スキンケア剤を溶融させた状態で帯状の表面シート100の一面に塗布する塗布装置5と、塗布されたスキンケア剤を流体で冷却する冷却装置とを具備しているが、第3実施態様の製造方法の実施に用いられる冷却装置6Bは、第1実施態様の製造方法の実施に用いられる冷却装置6と異なる。
【0048】
冷却装置6Bは、図5に示すように、ロール44の上流側であって、搬送ロール43とロール44との間に配されている。スキンケア剤付着装置2Cにおいては、スキンケア剤付着装置2と同様に、帯状の表面シート100の一面(上層不織布102)に塗布されたスキンケア剤は、帯状の表面シート100を搬送する搬送設備であるロール44と初めて接触する。その為、ロール44の直前に、冷却装置6Bが配されることが好ましい。
【0049】
冷却装置6Bとしては、図5に示すように、流体を噴射する流体噴射ガンを用いることができ、流体噴射ガンの先端に流体を吐出するノズル61と、流体噴射ガンの内部に、流体を供給する供給路(不図示)とを具備している。流体としては、空気、ガス、水等が挙げられ、コストの観点から、空気を好適に用いることができる。
【0050】
冷却装置6Bは、塗布されたスキンケア剤を帯状の表面シート100の両面側から流体で冷却する。具体的には、冷却装置6Bは、図5に示すように、帯状の表面シート100の一面側に配された流体噴射ガン6aと、及び帯状の表面シート100の他面側に配された流体噴射ガン6bとを備えており、帯状の表面シート100の一面に塗布されたスキンケア剤を、帯状の表面シート100の内部、即ち、表面シート100の構成繊維間に閉じ込めるように、帯状の表面シート100の両面側から流体を噴射する。流体噴射ガン6aは、帯状の表面シート100の一面に塗布されたスキンケア剤を、吹き飛ばさず、均一に冷却する観点から、ノズル61aと、搬送される帯状の表面シート100との間隔は、1mm〜200mmであることが好ましく、10mm〜100mmであることが更に好ましい。流体噴射ガン6bは、帯状の表面シート100の一面に塗布されたスキンケア剤を、帯状の表面シート100の内部に閉じ込める観点から、ノズル61bと、搬送される帯状の表面シート100との間隔は、1mm〜200mmであることが好ましく、10mm〜100mmであることが更に好ましい。
【0051】
次に、本発明の使い捨ておむつの製造方法を、第3実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
【0052】
まず、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同様に、表面シート10となる帯状の表面シート100を搬送ロール4によりY方向に搬送する。次いで、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同様に、図5に示すように、塗布装置5により、帯状の表面シート100の一面にスキンケア剤を塗布する(塗布工程D)。
【0053】
次いで、図5に示すように、ロール44の上流側であって、搬送ロール43とロール44との間に配されている冷却装置6B(流体噴射ガン6a,6b)により、塗布されたスキンケア剤を帯状の表面シート100の両面側(一面側及び他面側)から流体で冷却する。具体的には、冷却装置6B(流体噴射ガン6a,6b)により、帯状の表面シート100の一面に塗布されたスキンケア剤を帯状の表面シート100の構成繊維間に閉じ込めるように、帯状の表面シート100の両面側から流体を噴射して、帯状の表面シート100を搬送する搬送設備(ロール44)に接触する前に、帯状の表面シート100に塗布されたスキンケア剤を流体で冷却する(冷却工程E’)。
【0054】
その後は、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同じ工程(図5参照)を経ることにより、使い捨ておむつ1を製造することができる。
【0055】
第3実施態様の製造方法によれば、冷却装置6Bが、図5に示すように、帯状の表面シート100の両面側に配された流体噴射ガン6a,6bを備えており、帯状の表面シート100に塗布されたスキンケア剤を、帯状の表面シート100の内部に閉じ込めるように、帯状の表面シート100の両面側から流体を噴射して、スキンケア剤を冷却するので、搬送設備(ロール44)にスキンケア剤を更に付着させ難い。その為、搬送設備を更に汚し難く、清掃の手間等が省け、表面シート10の一部にスキンケア剤が塗布された使い捨ておむつ1を、更に効率よく連続的に製造することができる。第3実施態様の製造方法によれば、使い捨ておむつ1の表面シート10として、多層構造の不織布や凹凸構造の不織布を用いた場合に、帯状の表面シート100の内部(構成繊維間)に閉じ込め易いので、特に上記効果が奏される。
【0056】
次に、本発明の第4実施態様として、使い捨ておむつ1の好ましい製造方法について図6を参照して説明する。第4実施態様において、特に説明しない点については、第1実施態様に関して詳述した説明が適宜適用される。
【0057】
第4実施態様の製造方法の実施に用いられるスキンケア剤付着装置2Dは、図6に示すように、第1実施態様の製造方法の実施に用いられるスキンケア剤付着装置2と同様に、表面シート10となる帯状の表面シート100を搬送する搬送ロール4と、スキンケア剤を溶融させた状態で帯状の表面シート100の一面に塗布する塗布装置5と、塗布されたスキンケア剤を流体で冷却する冷却装置6とを具備しているが、第4実施態様の製造方法の実施に用いられる搬送ロールは、第1実施態様の製造方法の実施に用いられる搬送ロール4と異なる。
【0058】
第4実施態様の搬送ロール4のロール44bは、その温度を下げる冷却手段を備えている。具体的には、ロール44bは、図6に示すように、幅方向(X方向)の両端間に亘って延びる空気口400が形成されている。冷却手段は、任意のタイミングで、貫通する空気口400に空気を噴き通すことによりロール44bの温度を下げることができる。ロール44bに用いるその他の冷却手段としては、内部に冷却水を備える冷却ロールやヒートパイプ方式(内部で蒸発・凝縮を繰り返す)等が挙げられる。
【0059】
次に、本発明の使い捨ておむつの製造方法を、第4実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
【0060】
まず、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同様に、表面シート10となる帯状の表面シート100を搬送ロール4により搬送する。次いで、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同様に、図6に示すように、塗布装置5により、帯状の表面シート100の一面にスキンケア剤を塗布する(塗布工程D)。次いで、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同様に、図6に示すように、冷却装置6により、塗布されたスキンケア剤を流体で冷却する(冷却工程E)。
【0061】
次いで、図6に示すように、帯状の表面シート100の一面側とロール44bとが接触しながら、他の搬送ロール41,42,43,45よりも温度を低くしたロール44bにより、帯状の表面シート100の方向を転換し、搬送ロール45により、スキンケア剤を付着させた帯状の表面シート100は、次工程に搬送される。
【0062】
その後は、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同じ工程を経ることにより、使い捨ておむつ1を製造することができる。
【0063】
第4実施態様の製造方法によれば、ロール44bの温度を下げることができるので、帯状の表面シート100に塗布されたスキンケア剤が、搬送設備(ロール44)に更に付着し難い。その為、搬送設備を更に汚し難く、清掃の手間等が省け、表面シート10の一部にスキンケア剤が塗布された使い捨ておむつ1を、更に効率よく連続的に製造することができる。
【0064】
本発明の吸収性物品の製造方法は、上述の第1,第2,第3,第4実施態様の製造方法に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0065】
例えば、上述の第1,第2,第3,第4実施態様の製造方法により製造される使い捨ておむつ1は、展開型の使い捨ておむつであるが、パンツ型使い捨ておむつであってもよく、生理用ナプキン、吸収パッド等の吸収性物品であってもよい。また、上述の第1,第2,第3,第4実施態様の製造方法のように、塗布対象が吸収性物品の表面シートである場合、上述の塗布工程で塗布される構成シートは、個々に切断されて吸収性物品となる前の帯状に連続する吸収性物品の連続体であってもよい。
【0066】
また、上述の第1,第2,第3,第4実施態様に用いられるスキンケア剤付着装置は、塗布装置5によりスキンケア剤を塗布しているが、スキンケア剤の塗布方法としては、塗布装置5以外の多様な方法を用いることができる。例えば、塗布方式としては、ダイスコーター方式、スロットスプレー方式、カーテンスプレー方式、メルトブローン方式、スパイラルスプレー方式、グラビア方式、ビード方式等を用いることができる。
【0067】
また、上述の第1,第2,第3,第4実施態様に用いられるスキンケア剤付着装置の搬送ロール42及び搬送ロール43は、帯状の表面シート100を鉛直方向(図中のZ方向)に搬送するように配されているが、帯状の表面シート100を鉛直方向(図中のZ方向)以外に搬送するように配されていてもよい。
【0068】
また、上述の第4実施態様の搬送ロール4においては、ロール44bだけ冷却しているが、ロール44bだけでなく、搬送ロール41、42、43を冷却することで、シートおよび塗布されたスキンケア剤を効率的に冷却してもよい。
また、表面シートだけでなく、セカンドレイヤー、ギャザー材等の吸収性物品の他の構成シートにスキンケア剤を塗布する場合にも用いてもよい。
【0069】
また、搬送ロール4(特にロール44)には、スキンケア剤の付着防止の観点から、離型性、すべり性に優れるフッ素樹脂、シロキサン系樹脂、エンプラ、スーパーエンプラ等またはその組み合わせによる有機系のコーティングを施してもよい。
【実施例】
【0070】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲は斯かる実施例に制限されるものではない。
【0071】
〔実施例1〕
前述したスキンケア剤付着装置2(図3参照)を用い、凹凸構造の帯状の表面シート(図1参照)にスキンケア剤1.0g/m2の塗布および冷却を行った。スキンケア剤は表面シートの凹凸側に塗布した。スキンケア剤は、ジアミド誘導体(BRS)とステアリルアルコール(St−OH)との質量比5:5の等量混合物を用いた。このスキンケア剤の融点は53℃である。表面シートの搬送速度は50m/minであり、冷却装置6からは温度−10℃(装置の設定値)の空気を圧力0.5MPa、流量200l/minで表面シートに通過させた。また、冷却装置6はエアクーラーを用い、ノズル先端と表面シート(表面シートの凸部の頂部)との間隔は30mmに調整した。所定時間処理後(3分後、30分後)に、ロール44の表面に付着しているスキンケア剤を、金属製の平板を用いて掻き落として重量を測定し、その結果をロールへの付着量として表1に示す。なお、ロール44としてはアルミニウム製のロールを用いた。
【0072】
〔実施例2〕
前述したスキンケア剤付着装置2(図4参照)を用い、凹凸構造の帯状の表面シート(図1参照)にスキンケア剤(BRS:St−OH=5:5)1.0g/m2の塗布および冷却を行った。実施例1と同様の冷却工程に加えて、スキンケア剤の塗布前に予備冷却を行った。予備冷却の条件は、実施例1の冷却装置6と同様である。所定時間処理後(3分後)のロールへの付着量を同様に測定し、その結果を表1に示す。
【0073】
〔比較例1〕
比較例1は、実施例1において冷却を行わない以外、実施例1と同様に処理を行った。所定時間処理後(3分後、30分後)のロールへの付着量を同様に測定し、その結果を表1に示す。
【0074】
〔比較例2〕
比較例2は、実施例2において塗布後の冷却を行わない以外、実施例2と同様に処理を行った。つまり、比較例2においては、冷却工程としては予備冷却のみを行っている。所定時間処理後(3分後)のロールへの付着量を同様に測定し、その結果を表1に示す。
【0075】
〔比較例3〕
比較例3は、ロール44として表面にフッ素樹脂をコーティングした離型性の良いロールを使用した。それ以外は比較例1と同様に処理を行い、所定時間処理後(3分後)のロールへの付着量を、比較例1と同様に測定し、その結果を表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
表1に示す実施例1及び比較例1の結果から明らかなように、スキンケア剤を塗布した表面シートを冷却した場合(実施例1)のロールへの付着量は、30分経過後では、冷却しない場合(比較例1)のロールへの付着量に比べて顕著に少ないことが分かり、表面シートを冷却した実施例1の方が、搬送設備を汚し難い効果を奏することが分かった。表1に示す実施例1及び比較例1の結果から明らかなように、前述した搬送設備を汚し難い効果が、3分経過後でも、現れることが分かった。
表1に示す結果から明らかなように、スキンケア剤を塗布した表面シートを冷却した実施例1、2は、搬送ロール(ロール44)へのスキンケア剤の付着量が、冷却しない場合(比較例1〜3)に比べて少なく、搬送設備を汚し難い効果を奏することが分かった。一方、塗布後に冷却工程を有していない比較例1〜3はスキンケア剤のロール44への付着が認められた。
【符号の説明】
【0078】
1 使い捨ておむつ
2,2B,2C,2D スキンケア剤付着装置
4 搬送ロール
41,42,43,45 搬送ロール
44,41b ロール
400 空気口
5 塗布用ガン
51 ノズル
6 冷却装置
6a,6b 流体噴射ガン
61,61a,61b ノズル
7 予備冷却装置
71 ノズル
10 表面シート
100 帯状の表面シート
101 上層不織布
102 下層不織布
103 接合部
104 凸部
11 裏面シート
12 吸収体
13 サイドシート
14 レッグギャザー形成用の弾性部材
15 立体ギャザー形成用の弾性部材
16 ファスニングテープ
17 ランディングテープ
A 背側部,B 腹側部,C 股下部
D 塗布工程,E,E’ 冷却工程,F 予備冷却工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成シートにスキンケア剤が塗布された吸収性物品を連続的に製造する吸収性物品の製造方法であって、
前記スキンケア剤は、20℃で半固体又は固体のものであり、該スキンケア剤を溶融させた状態で帯状の構成シートの一面に塗布する塗布工程と、
前記帯状の構成シートの一面に塗布された前記スキンケア剤が、該帯状の構成シートを搬送する搬送設備に接触する前に、塗布された前記スキンケア剤を前記帯状の構成シートの一面側から流体で冷却する冷却工程とを具備する吸収性物品の製造方法。
【請求項2】
前記塗布工程においては、前記帯状の構成シートを鉛直方向に搬送し、該帯状の構成シートに前記スキンケア剤を水平方向から塗布する請求項1に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項3】
前記塗布工程の前に、前記帯状の構成シートを予め流体で冷却する予備冷却工程を具備する請求項1又は2に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項4】
前記冷却工程は、塗布された前記スキンケア剤を前記帯状の構成シートの両面側から前記流体で冷却する請求項1〜3の何れかに記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項5】
前記搬送設備は、前記帯状の構成シートを搬送する搬送ロールを有し、該搬送ロールは、その温度を下げる冷却手段を備えている請求項1〜4の何れかに記載の吸収性物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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