説明

吸収性物品の製造方法

【課題】吸収性物品の不必要な部位にスキンケア剤が付着することを防ぎながら、表面シートにスキンケア剤が塗布された吸収性物品を、効率よく連続的に製造する吸収性物品の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の製造方法は、表面シート10にスキンケア剤18が塗布された吸収性物品の一例である使い捨ておむつ1を連続的に製造する方法である。スキンケア剤18は、20℃で半固体又は固体のものである。本発明の製造方法は、表面シート10を有する使い捨ておむつ1が長手方向に連続した使い捨ておむつ連続体100の表面シート10に、その外面側からスキンケア剤18を溶融させた状態で塗布する塗布工程Dと、スキンケア剤18の塗布された表面シート10側に使い捨ておむつ連続体100を折り畳む前に、塗布されたスキンケア剤18を使い捨ておむつ連続体100の表面シート10側を流体で冷却する冷却工程Eとを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面シートにスキンケア剤が塗布された吸収性物品を連続的に製造する吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面シート等に、スキンケア効果を有するスキンケア剤を塗布した使い捨ておむつが知られている。例えば、特許文献1には、前述のような使い捨ておむつとして、吸収性物品の表面シートに、スキンケア効果を有する植物エキス(スキンケア剤)が施された使い捨ておむつが記載されている。特許文献1に記載の使い捨ておむつは、高吸収性ポリマーの吸収性能を阻害せずに、着用者の皮膚のかぶれ等を効率的に抑制することができる。このようなスキンケア剤が施された使い捨ておむつを連続的に生産する場合、通常のおむつ生産工程において、単にスキンケア剤を塗布すると、スキンケア剤を塗布した後の表面シートに、使い捨ておむつの他の構成部材、例えば、立体ギャザー構成部材が接触すると、立体ギャザー構成部材にスキンケア剤が転写されてしまう。転写されたスキンケア剤の種類によっては、立体ギャザーの防漏性を低下させ、使い捨ておむつの使用感が低下する場合がある。特許文献1には、植物エキスを吸収性物品の所定部位に施す方法について何ら記載されていない。
【0003】
例えば、特許文献2には、スキンケア剤をスプレーで表面シートに塗布した後、スキンケア剤を冷却し固化させる吸収性物品の製造方法について記載されている。また、特許文献3には、ブロワー、ファンなどを用いて、処理されたおむつの脚部カフスの外側を冷却し、固定化剤の結晶化を加速させ得ることが記載されている。
【0004】
しかしながら、特許文献2には、スキンケア剤をスプレーで表面シートに塗布する具体的条件については何ら開示されておらず、冷却方法についても具体的に何ら開示されていない。また、特許文献3には、冷却することとその手段は記載されているが、ローションのコーティングと冷却手段の位置関係については具体的な開示がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−45391号公報
【特許文献2】特表平10−509896号公報
【特許文献3】特開2001−314440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、吸収性物品の不必要な部位にスキンケア剤が付着することを防ぎながら、表面シートにスキンケア剤が塗布された吸収性物品を、効率よく連続的に製造する吸収性物品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表面シートにスキンケア剤が塗布された吸収性物品を連続的に製造する吸収性物品の製造方法であって、前記スキンケア剤は、20℃で半固体又は固体のものであり、前記表面シートを有する前記吸収性物品が長手方向に連続した吸収性物品連続体の前記表面シートに、その外面側から前記スキンケア剤を溶融させた状態で塗布する塗布工程と、前記スキンケア剤の塗布された前記表面シート側に前記吸収性物品連続体を折り畳む前に、塗布された前記スキンケア剤を前記吸収性物品連続体の前記表面シート側を流体で冷却する冷却工程とを具備する吸収性物品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸収性物品の製造方法によれば、スキンケア剤を吸収性物品の必要としない部位に移行させ難くしながら、表面シートにスキンケア剤が塗布された吸収性物品を、効率よく連続的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施態様により得られる使い捨ておむつを一部破断して示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示す使い捨ておむつに用いられる好ましい表面シートの斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施態様の製造方法の実施に用いられる使い捨ておむつ製造装置の概略図である。
【図4】図4は、図3に示す使い捨ておむつ製造装置の一部を側面から見た概略図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施態様の製造方法の実施に用いられる使い捨ておむつ製造装置の一部を側面から見た概略図である。
【図6】図6は、本発明の第3実施態様の製造方法の実施に用いられる使い捨ておむつ製造装置の一部を側面から見た概略図である。
【図7】図7、本発明の他の実施態様の製造方法の実施に用いられる使い捨ておむつ製造装置の一部を側面から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の吸収性物品の製造方法を、その好ましい第1実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
第1実施態様で製造する一例としての使い捨ておむつ1は、図1に示すように、液透過性の表面シート10、液不透過性又は撥水性の裏面シート11及びこれら両シート間に配置された液保持性の吸収体12を備えている。
また、使い捨ておむつ1は、図1に示すように、その長手方向(図中のY方向)に、着用時に着用者の背中側に配される背側部A、股間部に配される股下部C及び腹側に配される腹側部Bを有している。
図1に示すように、使い捨ておむつ1の長手方向(Y方向)の両側それぞれには、撥水性不織布からなるサイドシート13が、表面シート10の両側部を覆うように配されている。表面シート10及び各サイドシート13は、吸収体12の周縁より外方において、裏面シート11に接合されている。吸収体12の幅方向(図中のX方向)外方のレッグフラップ部には、レッグギャザー形成用の弾性部材14が配されており、上述したサイドシート13のおむつ幅方向(X方向)中央側の側縁には、立体ギャザー形成用の弾性部材15が配されている。
【0011】
図1に示すように、使い捨ておむつ1は、いわゆる展開型のおむつであり、背側部Aの長手方向(Y方向)の両側縁部それぞれに設けられたファスニングテープ16,16を、腹側部Bの外面に設けられたランディングテープ17に止着することにより、身体に装着して使用する。なお、液不透過性又は撥水性の裏面シート11、吸収体12、撥水性のサイドシート13、ファスニングテープ16、ランディングテープ17、弾性部材14,15としては、それぞれ、この種の物品に使用されているものを特に制限なく使用することができる。吸収体12としては、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体又はこれに吸水性ポリマーの粒子等を保持したものを、ティッシュペーパや透水性の不織布で被覆してなるもの等を用いることができる。
【0012】
使い捨ておむつ1の表面シート10としては、不織布やそれに多数の開孔を形成したもの、多数の開孔を形成したフィルム等を用いることができ、後述するスキンケア剤18を保持する観点から、多層構造の不織布や凹凸構造の不織布を用いることが好ましい。
【0013】
凹凸構造の表面シート10としては、具体的には、図2に示すように、使い捨ておむつ1の肌当接面(着用者の肌側に向けられる面)を形成する上層不織布101と、吸収体12側に向けられる面を形成する下層不織布102とからなる2層構造の積層不織布が挙げられ、凹凸構造の表面シート10は、上層不織布101と下層不織布102とを多数の接合部103にて部分的に接合して形成される。上層の不織布101は、接合部103以外の部分において着用者の肌側に向けて突出しており、内部が空洞となっている多数の凸部104を形成している。図2に示すように、凸部104及び接合部103は、交互に、且つX方向及びY方向に多列をなすように配置されている。上層不織布101及び下層不織布102は、実質的に伸縮しない不織布からなる。図2に示すように、凸部104は、全体として稜線が丸みを帯びた扁平な直方体又は截頭四角錐体となっており、一方、接合部103は矩形となっている。図中のY方向は、後述する帯状の表面シート100の搬送方向と一致し、また表面シート10が使い捨ておむつ1(吸収性物品)に組み込まれたときの該吸収性物品の長手方向とも一致している。凹凸構造の表面シート10としては、図2に示すシート以外に、特開2002−187228号公報、特開2004−345357号公報、特開2004−275296号公報に記載のシート等を用いることもできる。
【0014】
使い捨ておむつ1の表面シート10には、着用者の肌側に向けられる面に、着用者の肌に対して所定の効能を有するスキンケア剤18が施されている。具体的には、使い捨ておむつ1における表面シート10の主に上層不織布101に、スキンケア剤18が塗布されている。使い捨ておむつ1は、表面シート10にスキンケア剤18が施されていることで、着用者の肌のかぶれ、炎症等が効果的に抑制・治癒される。
【0015】
本発明に用いるスキンケア剤18とは、着用者の肌に対して、かぶれ、炎症等を抑制・治癒する効能を有するスキンケア成分を含有し、20℃で半固体又は固体のものを意味する。ここで、20℃で半固体又は固体のスキンケア剤には、20℃においてスキンケア成分自体で半固体又は固体となるもののみならず、20℃においてスキンケア成分自体では固体とならないが、そのスキンケア成分に固定化剤を混合することにより20℃で半固体又は固体となるものが含まれる。スキンケア剤18としては、例えば、化粧品の分野においてエモリエント剤として用いられているもの等を用いることができる。ここで、半固体とは、外力や熱が加わることによって可塑性(流動性)が出現するものや、外力が加わらなくても可塑性(流動性)を有し、該流動性の低いものから高いものまでが含まれる。20℃で半固体又は固体のスキンケア剤18の具体例としては、石油系炭化水素、動植物性油脂、動植物性ロウ、脂肪酸エステル系化合物、アルキルエトキシレート、脂肪酸エステルエトキシレート、脂肪アルコール、ポリシロキサン等が挙げられる。
【0016】
また、各種エモリエント剤として、例えば、ジアミド誘導体(BRS)、流動パラフィン、シリコーンオイル、動植物油(オリーブ油、ホオバ油、ベニバナ油、スクワランおよびスクワレン等)、モノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライド、脂肪族エーテル(ミリスチル−1,3−ジメチルブチルエーテル、パルミチル−1,3−ジメチルブチルエーテル、ステアリル−1,3−ジメチルブチルエーテル、パルミチル−1,3−メチルプロピルエーテル、ステアリル−1,3−メチルプロピルエーテル等)、および、イソステアリル−コレステロールエステル等を単独で、或いは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0017】
スキンケア成分の粘度(融点)が低い場合には、上述したように、固定化剤を加えることにより、全体(混合物)として、20℃で半固体又は固体となるスキンケア剤18に調整できる。固定化剤としては、C14−C22脂肪アルコール、C12−C22脂肪酸、平均のエトキシル化度が2から約30であるC12−C22脂肪アルコールエトキシレート、及びこれらの混合物からなる群から選ばれた一つの要素が含まれる。好ましい固定化剤には、C16−C18脂肪アルコールが含まれ、更に好ましくは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選ばれた一つの要素が含まれる。これらのうち、セチルアルコールおよびステアリルアルコールの混合物が特に好ましい。好ましいその他の固定化剤には、C16−C18脂肪酸が含まれ、パルミチン酸、ステアリン酸、及びこれらの混合物からなる群から選ばれた一つの要素が含まれる。これらのうち、パルミチン酸およびステアリン酸の混合物が特に好ましい。さらに、好ましいその他の固定化剤には、平均のエトキシル化度が約5〜約20であるC16−C18脂肪アルコールエトキシレートが含まれる。脂肪アルコール、脂肪酸および脂肪アルコールは、直鎖であることが好ましい。
【0018】
また、スキンケア剤18には、固定化剤の他に、20℃で半固体又は固体となる性質を阻害しない限り、帯電防止剤、酸化防止剤、pH調整剤、平滑剤、乳化剤、抗菌剤、防黴剤、香料等を配合することもできる。
【0019】
次に、本発明の第1実施態様として、使い捨ておむつ1の好ましい製造方法について図3を参照して説明する。本実施態様の製造方法は、表面シート10にスキンケア剤18が塗布された吸収性物品の一例である使い捨ておむつ1を、連続的に製造する使い捨ておむつの製造方法である。尚、使い捨ておむつ1の長手方向(Y方向)と搬送方向(y方向)は同じ方向であり、幅方向(X方向)は搬送方向(y方向)と直交する方向であり、図中のZ方向は、搬送する使い捨ておむつ連続体100の厚み方向である。
【0020】
第1実施態様の製造方法の実施に用いられる使い捨ておむつ製造装置2Aは、図3に示すように、表面シート10を有する使い捨ておむつ1が長手方向に連続した使い捨ておむつ連続体100に、スキンケア剤18を溶融させた状態で塗布する塗布装置4と、塗布されたスキンケア剤18を流体で冷却する冷却手段5と、スキンケア剤18の塗布された使い捨ておむつ連続体100を折り畳む折り畳み手段6と、折り畳まれた使い捨ておむつ連続体100に折り癖を付与する加圧手段7と、使い捨ておむつ連続体100を使い捨ておむつ1毎に切断する切断手段8とを具備している。図3,図4に記載のロール3は、使い捨ておむつ製造装置2Aにおいて、使い捨ておむつ連続体100を搬送する搬送ロールの一部である。図4に記載のロール3aは、使い捨ておむつ製造装置2Aにおいて、表面シート10、裏面シート11、吸収体12、サイドシート13を一体化するロールである。
【0021】
ロール3aは、図4に示すように、一対のロールからなるニップロールである。また、搬送ロールの一部であるロール3は、図4に示すように、一対のロールからなるニップタイプのフィードロールであり、ロール3aの下流側に配されている。フィードロールとしては、ニップタイプのフィードロール以外に、一般的な、オメガ状に各ロールを配置したオメガタイプのフィードロールやロールの表面摩擦を高めたフィードロール等を利用することができる。
【0022】
塗布装置4は、図3,図4に示すように、ロール3の下流側であって、使い捨ておむつ連続体100の表面シート10側の上部(Z方向の上方の位置)に配されている。塗布装置4は、図4に示すように、塗布装置4の先端にスキンケア剤18を吐出するノズル41と、塗布装置4の内部に、溶融させた状態のスキンケア剤18を圧縮空気により供給する供給路(不図示)と、供給路(不図示)と接続されており、20℃で半固体又は固体のスキンケア剤18を溶融する溶融タンク(不図示)とを具備している。
【0023】
塗布装置4により使い捨ておむつ連続体100の表面シート10に、その外面側からスキンケア剤18が塗布される。塗布装置4は、溶融させた状態のスキンケア剤18を、微粒子の形状で表面シート10における目的とする部位、例えば、一対の立体ギャザーが内側に倒されている場合における立体ギャザーの自由端同士の間に位置する表面シートの部位等に、均一に塗布するという観点から、50℃以上の温風でスプレー塗工することが好ましく、60℃以上の温風でスプレー塗工することが更に好ましい。ここで、温風の温度とは、塗布装置4のノズル41から溶融させた状態のスキンケア剤18を吐出する際の空気の温度を意味する。塗布装置4により塗布されるスキンケア剤18は、その塗布坪量に特に制限はないが、吸収体12の吸収性能への影響、スキンケア効果、風合い等の観点から、0.1〜2.0g/m2の範囲内とすることが好ましく、0.2〜1.0g/m2の範囲内とすることが更に好ましい。この塗布量は、スキンケア剤18を塗布する前と塗布した後の塗布対象物の重量差から求めることができる。また、表面シート10にスキンケア剤18を均一に塗布する観点から、塗布装置4のノズル41と、搬送される使い捨ておむつ連続体100の表面シート10との間隔は、1mm〜200mmであることが好ましく、10mm〜100mmであることが更に好ましい。尚、表面シート10として、上述した凹凸構造の不織布を用いる場合には、上層不織布102側からスキンケア剤18が塗布される。
【0024】
使い捨ておむつ製造装置2Aにおいては、冷却手段5は、使い捨ておむつ連続体100を搬送する際の空気流により冷却する搬送手段51と、塗布装置4の下流側に配され、空気を送風する送風手段52とを具備している。使い捨ておむつ製造装置2Aにおいては、送風手段52は、図3に示すように、スキンケア剤18の塗布された表面シート10側に、使い捨ておむつ連続体100を折り畳む後述する折り畳みプレート61の前に配されている。尚、使い捨ておむつ製造装置2Aにおいては、スキンケア剤18の塗布された表面シート10側に使い捨ておむつ連続体100を最初に折り畳む折り畳み手段が、折り畳みプレート61であるが、折り畳みプレート61よりも上流側で、スキンケア剤18の塗布された表面シート10側に折り畳む設備があれば、その設備の前に、送風手段52は配される。
【0025】
塗布されたスキンケア剤18を空気冷却する搬送手段51とは、使い捨ておむつ連続体100を搬送する上述したロール3を一部に含む搬送ロールのことであり、搬送時に、使い捨ておむつに対して相対的に発生する風を直接利用してスキンケア剤を冷却固化させるという観点から、使い捨ておむつ連続体100を、搬送ロールによって、80m/min以上の速度で搬送することが好ましく、100m/min以上の速度で搬送することが更に好ましい。
【0026】
送風手段52は、使い捨ておむつ連続体100の表面シート10側に空気を送風して塗布されたスキンケア剤18を固体化する装置である。尚、裏面シート11に撥水性の不織布等を用い使い捨ておむつ連続体100が通気性を有する場合には、使い捨ておむつ連続体100を挟んで、送風手段52と対向する位置にサクションボックス(不図示)を設け、送風手段52により送風した空気を、サクションボックス(不図示)で吸引することにより、使い捨ておむつ連続体100の厚み方向(Z方向の下方)に空気を流して冷却してもよい。上記吸引工程を設けることで、空気流がサクションボックスからの吸引によって、表面シート10の厚み方向に空気が貫通するため、冷却効率が高くなる。特に表面シート10として厚みのある凹凸構造の不織布を用いる場合に対して、吸収体12から離間しているために冷却風が通り抜けやすく効率よく冷却できる。さらに吸引により塗布されたスキンケア剤18は表面シート10の構成繊維内に入り込み易くなり吸収性物品(使い捨ておむつ1)の不必要な部位に一層付着しにくくなり、使用する時には体温で融けて表面シート10上に滲み出し身体に充分なスキンケア効果を与えることができる。特に表面シート10として凹凸構造の不織布を用いる場合には、サクションボックスでの吸引を強くすることで凸部内にスキンケア剤18運ばれて冷却固化されるために吸収体12に吸収されることなしに比較的多くのスキンケア剤18を表面シート10に担持させることが可能であり、しかも吸収性物品(使い捨ておむつ1)の不必要な部位に一層付着しにくくなる。このようにすることで、体温により徐々に融かされたスキンケア剤が着用者に供給されるためスキンケア剤の効果を長時間与えることができる。尚、使い捨ておむつ製造装置2Aにおいては、コスト、供給装置の定期メンテナンスや装置汚染等メンテナンス性の観点から、送風手段52においては空気を送風しているが、空気以外にも、ガス、水等の流体を噴射してもよい。
【0027】
また、使い捨ておむつ1の有する裏面シート11に透湿性のフィルムを用いる場合には、フィードロール3aでは裏面シート11を供給せずに、スキンケア剤18を表面シート10側上部に塗布した後に、送風手段52により送風した空気を、サクションボックスで吸引することにより、使い捨ておむつ連続体100の前駆体の厚み方向(Z方向の下方)に空気を流して冷却してもよい。その後、裏面シート11を、スキンケア剤18を塗布した使い捨ておむつ連続体100の前駆体とフィードロールで一体化させて使い捨ておむつ連続体100構成させてもよい。
【0028】
送風手段52は、図4に示すように、スキンケア剤18の塗布された表面シート10の上部(Z方向の上方の位置)にノズル(不図示)を配しており、使い捨ておむつ連続体100の表面シート10上に塗布されたスキンケア剤18を、吹き飛ばさず、均一に冷却する観点から、ノズル(不図示)と、搬送される使い捨ておむつ連続体100の表面シート10との間隔は、1mm〜200mmであることが好ましく、10mm〜100mmであることが更に好ましい。また、同様の観点から、ノズル(不図示)から噴射する空気の送風量は、0.1〜10m3/minであることが好ましく、1〜5m3/minであることが更に好ましい。また、同様の観点から、ノズル(不図示)から送風する空気の圧力は、0.01〜1.0MPaであることが好ましく、0.1〜0.5MPaであることが更に好ましい。また、同様の観点から、ノズル(不図示)から送風される空気の出口速度は、1〜100mm/sであることが好ましく、10〜50mm/sであることが更に好ましい。送風する空気の温度としては、スキンケア剤18の融点より低いことが好ましく、融点から10℃以上低いことが更に好ましく、融点から20℃以上低いことが特に好ましい。サクションボックス(不図示)で空気を吸引する際の負圧は、ミスト化したスキンケア剤18を吸収性物品に集めて均一に塗布する観点から、0.01〜1.0MPaであることが好ましく、0.1〜0.5MPaであることが更に好ましい。
【0029】
使い捨ておむつ製造装置2Aにおいては、折り畳み手段6は、図3に示すように、スキンケア剤18の塗布された使い捨ておむつ連続体100を表面シート10側に、最初に折り畳むものであり、送風手段52の下流側に配されている。折り畳み手段6は、図3に示すように、使い捨ておむつ連続体100の搬送方向(y方向)の両側部100a,100aに設けられた一対の折り畳みプレート61,61を具備している。一対の折り畳みプレート61,61は、アルミニウム合金又は鉄鋼等の金属性の板状のものであり、図3に示すように、搬送方向(y方向)の上流側から下流側に向かってその間隔が漸次狭くなるように配されている。
【0030】
加圧手段7は、図3に示すように、折り畳み手段6の下流側に配されており、一対のロール71からなるニップタイプの加圧ロールを備えている。一対の加圧ロール71は、使い捨ておむつ連続体100の幅方向(X方向)に亘って配されている。
【0031】
切断手段8は、図3に示すように、加圧手段7の下流側に配されており、使い捨ておむつ連続体100の幅方向(X方向)に亘って配された刃82を有するカットロール81と、カットロール81の刃に対向する位置にフラットロール(不図示)とを備えている。
【0032】
次に、上述した使い捨ておむつ製造装置2Aを用いて、本発明の吸収性物品の製造方法を、図3,図4を参照しながら説明する。
【0033】
まず、表面シート10の連続体と、裏面シート11の連続体とを、搬送方向(y方向)に断続的に供給される複数個の吸収体12,12・・・を挟持するように、固定して連続体を形成する。その連続体には、搬送方向(y方向)の両側部それぞれに沿って、レッグギャザー形成用の弾性部材14(図4では図示省略)を搬送方向(y方向)に伸長させた状態で、表面シート10と裏面シート11との間に常法に従って固定する。また、前記連続体の搬送方向(y方向)の両側部それぞれに沿って、サイドシート13の連続体を常法に従って固定する。前記固定には一対のニップロール3aが用いられる。また、前記連続体に積層する前の各サイドシート13の連続体の幅方向(X方向)内方側には、立体ギャザー多形成用の弾性部材15を搬送方向(y方向)に伸長させた状態で、常法に従って固定されている。その後、後述する塗布装置4より前に、ファスニングテープ16、ランディングテープ17を所定の位置に配し、所定の位置でレッグカットを施すことによって、使い捨ておむつ1が搬送方向(y方向)に連続した使い捨ておむつ連続体100を製造する(図4参照)。この使い捨ておむつ連続体100を、図3に示すように、ロール3を一部に含む搬送ロールにより、y方向に搬送する。
【0034】
表面シート10が、図2に示すような凹凸構造の不織布である場合には、例えば、周面に接合部103に対応する凸部を備えたエンボスロールと、該凸部と噛み込み状態となる凸部を有するロールとで上層不織布101連続体を噛み込で凸部に沿った賦型を行い、エンボスロールに上層不織布101連続体を維持した状態で、エンボスロールに対向する表面が平滑なフラットロールとの間に、上層不織布101連続体と下層不織布102連続体とを重ねて供給し、接合することにより、凹凸構造の表面シート10の連続体を形成することができる。
【0035】
次いで、図3に示すように、ロール3の下流側に位置する塗布装置4により、使い捨ておむつ連続体100の表面シート10に、その外面側からスキンケア剤18を溶融させた状態で塗布する(塗布工程D)。第1実施態様の塗布工程Dにおいては、溶融させた状態のスキンケア剤18を、塗布装置4により、所定温度以上の温風でスプレー塗工する。スキンケア剤18は、図3に示すように、一対のサイドシート13,13それぞれの連続体の幅方向(X方向)内方側の縁部より内側の領域に塗布されており、使い捨ておむつ連続体100の有する表面シート10の一面に搬送方向(y方向)に連続して塗布されている。このように、スキンケア剤18は、使い捨ておむつ1の立体ギャザーを形成する撥水性のサイドシート13に塗布されないように、表面シート10上に塗布されている。尚、スキンケア剤18は、形成された使い捨ておむつ1の表面シート10の一部に塗布されるように、搬送方向(y方向)に間欠的に塗布されていてもよい。また、表面シート10として、上述した凹凸構造の不織布を用いる場合には、塗布装置4により、上層不織布102の外表面側からスキンケア剤18を塗布する。
【0036】
次いで、スキンケア剤18の塗布された表面シート10側に使い捨ておむつ連続体100を折り畳む前に、塗布されたスキンケア剤18を、使い捨ておむつ連続体100の表面シート10側を流体で冷却する(冷却工程E)。第1実施態様の冷却工程Eにおいては、図3に示すように、塗布装置4と折り畳み手段6との間に配されている送風手段52を用いて、スキンケア剤18の塗布された表面シート10側に使い捨ておむつ連続体100を折り畳む前に、表面シート10に、その外面側から空気を送風して、塗布されたスキンケア剤18を固体化する。尚、第1実施態様に用いる送風手段52は、使い捨ておむつ連続体100の厚み方向(Z方向の下方)に空気を送風している。
【0037】
また、第1実施態様の冷却工程Eにおいては、図3に示すように、搬送手段51(ロール3を含む搬送ロール)により、使い捨ておむつ連続体100を搬送方向(Y方向)に所定速度以上で搬送して、塗布されたスキンケア剤18を空気流により冷却(空冷)している。所定速度以上で搬送することにより、特に凹凸構造の表面シート10の場合、例えば図2の表面シート10では、凸部104周囲の空気が流体となって凸部104の頭上とその周辺の連続する凹部を通過する。そして、一部の気流が凸部104の壁面から内部へと流れ、凸部104の頭頂部表面を流れた空気で挟み込むことにより、凸部104の頂部の冷却効率が向上し、頭頂部に多く存在するスキンケア剤18を固体化できることで吸収性物品(使い捨ておむつ1)の不必要な部位に一層付着しにくくなる。このように、第1実施態様の冷却工程Eにおいては、送風手段52のみならず搬送手段51も用いて、塗布されたスキンケア剤18を冷却しているが、送風手段52及び搬送手段51の何れか一方のみの手段を用いて冷却してもよい。
【0038】
次いで、図3に示すように、送風手段52の下流側に位置する一対の折り畳みプレート61,61により、使い捨ておむつ連続体100の搬送方向(y方向)の両側部100a,100aを、使い捨ておむつ連続体100の有する吸収体12の搬送方向(y方向)の両側縁12a,12a近傍を起点に、幅方向(X方向)中央に向かって表面シート10側に折り畳む。
【0039】
次いで、図3に示すように、一対の折り畳みプレート61,61の下流側に位置する一対の加圧ロール71,71の間に、両側部100a,100aの折り畳まれた使い捨ておむつ連続体100を供給することにより、挟圧して、両側部100a,100aの折り畳まれた状態に折り癖を付与する。
【0040】
次いで、図3に示すように、一対の加圧ロール71,71の下流側に位置するカットロール81とフラットロールとの間に、両側部100a,100aの折り畳まれた使い捨ておむつ連続体100を供給して、搬送方向(y方向)に隣り合う吸収体12同士の間毎に使い捨ておむつ連続体100を切断し、両側部の折り畳まれた状態の個々の使い捨ておむつ1を得る。
【0041】
第1実施態様の製造方法においては、更に、両側部の折り畳まれた状態の使い捨ておむつ1を、長手方向(Y方向)の略中央部において約半分に折り畳む工程と、長手方向(Y方向)に約半分に折り畳まれた使い捨ておむつ1を、一対の加圧ロール72,72を用いて挟圧する加圧工程とを備えている。第1実施態様の製造方法においては、これらの工程を備えていることにより、一対の加圧ロール72,72を備えている。第1実施態様の製造方法においては、これらの工程を経ることにより、更にコンパクトに折られた状態を維持した使い捨ておむつ1を連続的に製造することができる。
【0042】
第1実施態様の製造方法に関し、特に説明しない点は、従来の、いわゆる縦流れ方式の展開型使い捨ておむつの製造方法と同様にして製造することができる。
【0043】
第1実施態様の製造方法によれば、スキンケア剤18の塗布された表面シート10側に使い捨ておむつ連続体100を最初に折り畳む前に、塗布されたスキンケア剤18を使い捨ておむつ連続体100の表面シート10側を流体で冷却する冷却工程Eを具備しているため、最初に使い捨ておむつ連続体100を折り畳む折り畳みプレート61の前に、塗布されたスキンケア剤18が表面シート10に固体化されている。従って、折り畳みプレート61により折り畳まれた使い捨ておむつ連続体100の両側部100a,100aに、表面シート10に固体化しているスキンケア剤18が移行し難い。また、両側部100a,100aの折り畳まれた使い捨ておむつ連続体100を加圧ロール71,71により挟圧しても、使い捨ておむつ連続体100の両側部100a,100aに、表面シート10に固体化しているスキンケア剤18が移行し難い。ここで、例えば、使い捨ておむつ1の両側部の立体ギャザーを形成するサイドシート13は、一般的に撥水性の材料が用いられており、スキンケア剤18が親水性である場合に、親水性のスキンケア剤18が立体ギャザーに付着すると、体液の横漏れを防止することができなくなってしまう。このように、スキンケア剤18を使い捨ておむつ1の必要としない部位(例えば、使い捨ておむつ1の両側部の立体ギャザー)に移行させ難くしながら、肌に触れる表面シート10にのみスキンケア剤18が塗布された使い捨ておむつ1を、効率よく連続的に製造することができる。
【0044】
第1実施態様の製造方法によれば、搬送手段51(ロール3を含む搬送ロール)と、送風手段52とを用いて、塗布されたスキンケア剤18を冷却するので、塗布されたスキンケア剤18が表面シート10に固体化し易い。その為、スキンケア剤18が使い捨ておむつ1の必要としない部位(例えば、使い捨ておむつ1の両側部の立体ギャザー)に更に移行し難く、表面シート10にのみスキンケア剤18が塗布された使い捨ておむつ1を、更に効率よく連続的に製造することができる。
【0045】
以下、本発明の使い捨ておむつの製造方法を、その好ましい第2実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
先ず、第2実施態様により製造される使い捨ておむつについて説明すると、第1実施態様により製造される使い捨ておむつ1と同様である。
【0046】
次に、本発明の第2実施態様として、使い捨ておむつ1の好ましい製造方法について図5を参照して説明する。第2実施態様において、特に説明しない点については、第1実施態様に関して詳述した説明が適宜適用される。
【0047】
第2実施態様の製造方法の実施に用いられる使い捨ておむつ製造装置2Bは、図5に示すように、第1実施態様の製造方法の実施に用いられる使い捨ておむつ製造装置2Aと同様に、表面シート10を有する使い捨ておむつ1が長手方向に連続した使い捨ておむつ連続体100に、スキンケア剤18を溶融させた状態で塗布する塗布装置4と、塗布されたスキンケア剤18を流体で冷却する冷却手段5(搬送手段51及び送風手段52)とを具備している。使い捨ておむつ製造装置2Bの塗布装置4は、更に、使い捨ておむつ連続体100が通るトンネル42を備えている。
【0048】
使い捨ておむつ製造装置2Bの塗布装置4は、図5に示すように、使い捨ておむつ連続体100が通るトンネル42を備えており、トンネル42内にて、使い捨ておむつ連続体100に、スキンケア剤18が塗布される。トンネル42内の設定温度は、例えば、スキンケア剤の分解などを防止するためにスプレー温度を低めに設定しても、表面シート10に塗布されたスキンケア剤18の流動性および吸収性物品(表面シート10)への付着を確保し、更にある程度低温でスキンケア剤18をスプレーした吸収性物品がトンネルの外に搬送されて出た際に、なるべく早くスキンケア剤18が固化して固定できるようにする観点から、(塗布されるスキンケア剤18の固化温度−20℃)〜(塗布されるスキンケア剤18の固化温度+20℃)の範囲であることが好ましく、(塗布されるスキンケア剤18の固化温度−10℃)〜(塗布されるスキンケア剤18の固化温度+10℃)の範囲であることが更に好ましい。
【0049】
次に、上述した使い捨ておむつ製造装置2Bを用いて、本発明の使い捨ておむつの製造方法を、図5を参照しながら説明する。
【0050】
まず、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同様に、常法に従って、使い捨ておむつ1が搬送方向(y方向)に連続した使い捨ておむつ連続体100を製造し、この使い捨ておむつ連続体100を、ロール3を一部に含む搬送ロールにより、y方向に搬送する。次いで、ロール3の下流側に位置する塗布装置4により、使い捨ておむつ連続体100の表面シート10に、その外面側からスキンケア剤18を溶融させた状態で塗布する(塗布工程D)。第2実施態様の塗布工程Dにおいては、トンネル42内に配された塗布装置4から、溶融させた状態のスキンケア剤18を、表面シート10に、その外面側からスプレー塗工する。
【0051】
次いで、スキンケア剤18の塗布された表面シート10側に使い捨ておむつ連続体100を折り畳む前に、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同様に、塗布されたスキンケア剤18を、使い捨ておむつ連続体100の表面シート10側を流体で冷却する(冷却工程E)。
また、使い捨ておむつ製造装置2Bの送風手段52は、図5に示すように、使い捨ておむつ製造装置2Aの送風手段52の位置と異なり、塗布装置4よりも上部(Z方向の上方の位置)に配されている。これに合わせて、使い捨ておむつ連続体100の搬送位置も上部(Z方向の上方の位置)に変位している。
【0052】
その後は、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同じ工程を経ることにより、使い捨ておむつ1を製造することができる。
【0053】
第2実施態様の製造方法によれば、第1実施態様の製造方法と同様に、スキンケア剤18の塗布された表面シート10側に使い捨ておむつ連続体100を最初に折り畳む前に、塗布されたスキンケア剤18を流体で冷却する冷却工程を具備しているため、スキンケア剤18を使い捨ておむつ1の必要としない部位(例えば、使い捨ておむつ1の両側部の立体ギャザー)に移行させ難くしながら、肌に触れる表面シート10にのみスキンケア剤18が塗布された使い捨ておむつ1を、効率よく連続的に製造することができる。また、第2実施態様の製造方法によれば、トンネル42内に配された塗布装置4により、スキンケア剤18を、表面シート10に、その外面側からスプレー塗工する為、スプレー塗工されるスキンケア剤18がトンネル42の外に撒き散らかされることを防止でき、スキンケア剤18による使い捨ておむつ製造装置2Bの装置汚れを最小限に抑えることができる。
【0054】
また、第2実施態様の製造方法によれば、トンネル42内に塗布装置4が配されているため、トンネル42の内部の温度は、塗布装置4によりスキンケア剤18を塗布する際の温風の影響で、トンネル42の外部の温度より高く保たれている。従って、表面シート10に塗布されたスキンケア剤18の流動性が確保できる温度にまで設定温度を下げて、塗布装置4によりスキンケア剤18を塗布することができるので、スキンケア剤18の固化温度まで、塗布されたスキンケア剤18の温度を冷却手段5により下げ易く、塗布されたスキンケア剤18を表面シート10に固体化し易い。また、第2実施態様の製造方法によれば、トンネル42を備えているので、トンネル42の内外の温度差が大きいのでスキンケア剤18が固化し易い。
【0055】
以下、本発明の使い捨ておむつの製造方法を、その好ましい第3実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
先ず、第3実施態様により製造される使い捨ておむつについて説明すると、第1実施態様により製造される使い捨ておむつ1と同様である。
【0056】
次に、本発明の第3実施態様として、使い捨ておむつ1の好ましい製造方法について図6を参照して説明する。第3実施態様において、特に説明しない点については、第1実施態様に関して詳述した説明が適宜適用される。
【0057】
第3実施態様の製造方法の実施に用いられる使い捨ておむつ製造装置2Cは、図6に示すように、第1実施態様の製造方法の実施に用いられる使い捨ておむつ製造装置2Aと同様に、表面シート10を有する使い捨ておむつ1が長手方向に連続した使い捨ておむつ連続体100に、スキンケア剤18を溶融させた状態で塗布する塗布装置4と、塗布されたスキンケア剤18を流体で冷却する冷却手段5(搬送手段51及び送風手段52)とを具備している。使い捨ておむつ製造装置2Cの冷却手段5は、使い捨ておむつ製造装置2Aと同様に、搬送手段51と送風手段52とを具備しているが、使い捨ておむつ製造装置2Cの送風手段52は、使い捨ておむつ製造装置2Aの送風手段52に比べ、送風方向が異なっている。
【0058】
使い捨ておむつ製造装置2Cの送風手段52は、図6に示すように、使い捨ておむつ連続体100の表面シート10に、その外面側から使い捨ておむつ連続体100の搬送方向(y方向)に対向する方向から空気を送風するように、空気を送風するノズル(不図示)の先端が、搬送方向(y方向)に対向する方向に向いている。また、使い捨ておむつ製造装置2Cの送風手段52は、図6に示すように、ノズル(不図示)から搬送方向(y方向)に対向する方向に送風される空気が、スキンケア剤18を吐出する塗布装置4のノズル41に当たって、ノズル41からのスキンケア剤18の塗布を乱さないよう、またノズル41でスキンケア剤18が固体化しないように、使い捨ておむつ製造装置2Aの送風手段52の位置と異なり、塗布装置4よりも上部(Z方向の上方の位置)に配されている。これに合わせて、使い捨ておむつ連続体100の搬送位置も上部(Z方向の上方の位置)に変位している。
【0059】
尚、図6に示す使い捨ておむつ製造装置2Cの送風手段52は、使い捨ておむつ連続体100が通気性を有する場合には、上述した使い捨ておむつ製造装置2Aの送風手段52と同様に、サクションボックス(不図示)を配してもよい。サクションボックス(不図示)で送風手段52のノズル(不図示)から送風した空気を吸引することにより、図7に示すように、使い捨ておむつ連続体100の表面シート10側に、使い捨ておむつ連続体100の搬送方向(y方向)に対向する方向から空気を送風すると共に、使い捨ておむつ連続体100の厚み方向(Z方向の下方)に空気を流して塗布されたスキンケア剤18を冷却することができる。
【0060】
次に、上述した使い捨ておむつ製造装置2Cを用いて、本発明の使い捨ておむつの製造方法を、図6を参照しながら説明する。
【0061】
まず、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同様に、常法に従って、使い捨ておむつ1が搬送方向(y方向)に連続した使い捨ておむつ連続体100を製造し、この使い捨ておむつ連続体100を、ロール3を一部に含む搬送ロールにより、y方向に搬送する。次いで、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同様に、ロール3の下流側に位置する塗布装置4により、使い捨ておむつ連続体100の表面シート10に、その外面側からスキンケア剤18を溶融させた状態で塗布する(塗布工程D)。
【0062】
次いで、スキンケア剤18の塗布された表面シート10側に使い捨ておむつ連続体100を折り畳む前に、塗布されたスキンケア剤18を、使い捨ておむつ連続体100の表面シート10側を流体で冷却する(冷却工程E)。第3実施態様の冷却工程Eにおいては、図6に示すように、搬送手段51(ロール3を含む搬送ロール)により、所定速度以上で搬送して、塗布されたスキンケア剤18を空気流により冷却(空冷)して固体化するとともに、塗布装置4よりZ方向の上方の位置に配され、搬送方向(y方向)に対向する方向にノズル(不図示)の向いた送風手段52を用いて、スキンケア剤18の塗布された表面シート10側に使い捨ておむつ連続体100を折り畳む前に、搬送方向(Y方向)に対向する方向から空気を送風して塗布されたスキンケア剤18を固体化する。特に凹凸構造の表面シート10の場合、凸部104周囲の空気が流体となって凸部104の頭上とその周辺の連続する凹部を通過する。そして、一部の気流が凸部104の壁面から内部へと流れ、凸部104の頭頂部表面を流れた空気で挟み込むことにより、凸部104の頂部の冷却効率が向上し、頭頂部に多く存在するスキンケア剤18を固体化できることで吸収性物品(使い捨ておむつ1)の不必要な部位に一層付着しにくくなる。
【0063】
さらに図7に示すように、使い捨ておむつ連続体100の表面シート10側に、使い捨ておむつ連続体100あるいはその前駆体の搬送方向(y方向)に対向する方向から空気を送風すると共に、使い捨ておむつ連続体100あるいはその前駆体の厚み方向(Z方向の下方)に空気を流して塗布されたスキンケア剤18を冷却することで、凸部104周囲の空気が流体となって凸部104の頭上とその周辺の連続する凹部を通過して凸部104を周囲から冷却するとともに、空気流をサクションボックスから吸引することによって、スキンケア剤18が表面シート10を構成する不織布の構成繊維内に入り込み易くなる。凸部104の壁面前部から内部へ流れる気流と凸部104の頭頂部表面を流る気流とで挟み込むことにより、凸部104の頂部の冷却効率が向上し、頭頂部に多く存在するスキンケア剤18を固体化できることで吸収性物品(使い捨ておむつ1)の不必要な部位に一層付着しにくくなる。またサクションボックスからの吸引を強くすることによって凹凸構造の表面シート10の凸部104内にスキンケア剤18が運ばれた後に冷却固化されるために吸収性物品(使い捨ておむつ1)の不必要な部位に一層付着しにくくなる。尚、使い捨ておむつ連続体100の前駆体とは、上述した、裏面シート11に透湿性のフィルムを用いた場合の冷却法で述べた、裏面シート11を除いた使い捨ておむつ連続体100の部分を意味する。
【0064】
その後は、第1実施態様の使い捨ておむつ1の製造方法と同じ工程を経ることにより、使い捨ておむつ1を製造することができる。
【0065】
第3実施態様の製造方法によれば、第1実施態様の製造方法と同様に、スキンケア剤18の塗布された表面シート10側に使い捨ておむつ連続体100を最初に折り畳む前に、塗布されたスキンケア剤18を流体で冷却する冷却工程を具備しているため、スキンケア剤18を使い捨ておむつ1の必要としない部位(例えば、使い捨ておむつ1の両側部の立体ギャザー)に移行させ難くしながら、肌に触れる表面シート10にのみスキンケア剤18が塗布された使い捨ておむつ1を、効率よく連続的に製造することができる。また、第3実施態様の製造方法によれば、搬送方向(y方向)に対向する方向にノズル(不図示)の向いた送風手段52を用いて、搬送方向(y方向)に対向する方向から空気を送風するので、搬送手段51によりy方向に使い捨ておむつ連続体100を搬送する搬送速度と相俟って、塗布されたスキンケア剤18を表面シート10に固体化する冷却効果が向上する。
【0066】
本発明の吸収性物品の製造方法は、上述の第1,第2,第3実施態様の製造方法に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0067】
例えば、上述の第1,第2,第3実施態様の製造方法により製造される使い捨ておむつ1は、展開型の使い捨ておむつであるが、パンツ型使い捨ておむつであってもよく、生理用ナプキン、吸収パッド等の吸収性物品であってもよい。
【0068】
また、上述の第1,第2,第3実施態様の吸収性物品の製造方法は、塗布装置4によりスキンケア剤18を塗布しているが、スキンケア剤18の塗布方法としては、多様な方法を用いることができる。例えば、塗布方式としては、ダイスコーター方式、スロットスプレー方式、カーテンスプレー方式、メルトブローン方式、スパイラルスプレー方式、グラビア方式、ビード方式等を用いることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 使い捨ておむつ
100 使い捨ておむつ連続体
100a 使い捨ておむつ連続体の搬送方向(y方向)の側部
10 表面シート
11 裏面シート
12 吸収体
12a 吸収体の搬送方向(y方向)の側縁
13 サイドシート
14 レッグギャザー形成用の弾性部材
15 立体ギャザー形成用の弾性部材
16 ファスニングテープ
17 ランディングテープ
18 スキンケア剤
2A,2B,2C 使い捨ておむつ製造装置
3,3a ロール
4 塗布装置
41 ノズル
42 トンネル
5 冷却手段
51 搬送手段
52 送風手段
6 折り畳み手段
61 折り畳みプレート
61a 折り畳みプレートの先端部
7 加圧手段
71,72 加圧ロール
8 切断手段
81 カットロール
82 刃
A 背側部,B 腹側部,C 股下部
D 塗布工程,E 冷却工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シートにスキンケア剤が塗布された吸収性物品を連続的に製造する吸収性物品の製造方法であって、
前記スキンケア剤は、20℃で半固体又は固体のものであり、
前記表面シートを有する前記吸収性物品が長手方向に連続した吸収性物品連続体の前記表面シートに、その外面側から前記スキンケア剤を溶融させた状態で塗布する塗布工程と、
前記スキンケア剤の塗布された前記表面シート側に前記吸収性物品連続体を折り畳む前に、塗布された前記スキンケア剤を前記吸収性物品連続体の前記表面シート側を流体で冷却する冷却工程とを具備する吸収性物品の製造方法。
【請求項2】
前記塗布工程においては、溶融させた状態の前記スキンケア剤を、50℃以上の温風でスプレー塗工する請求項1に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項3】
前記冷却工程においては、前記吸収性物品連続体を80m/min以上の速度で搬送して、塗布された前記スキンケア剤を空気流により冷却する請求項1又は2に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項4】
前記塗布工程においては、前記吸収性物品連続体が通るトンネルを用い、該トンネル内で、前記スキンケア剤を塗布する請求項1〜3の何れかに記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項5】
前記冷却工程においては、空気を送風する送風手段を用い、前記吸収性物品連続体の前記表面シート側に空気を送風して塗布された前記スキンケア剤を固体化する請求項1〜4の何れかに記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項6】
前記送風手段は、前記吸収性物品連続体を搬送する方向に対向する方向から空気を送風するように配されている請求項5に記載の吸収性物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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