説明

吸収性物品及び吸収性物品の包装体

【課題】着用者が吸収性物品の吸収性能を直感的に把握して、吸収性物品を選択することができる吸収性製品を提供する。
【解決手段】本発明に係る吸収性物品1は、吸収性物品の吸収性能に対応付けられた表示要素60を有する性能表示部51、52を備えており、表示要素60は、絵柄及び/又は記号であって、表示要素の内容及び数によって吸収性物品の吸収性能を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品及び吸収性物品の包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸収性構造が異なる2種類の吸収性物品を収容したケースが記載されている。2種類の吸収性物品のうち一方の吸収性物品の外面には、星形の目印が付されており、他方の吸収性物品の外面には、目印が付されていない。着用者は、目印の有無によって2種類の吸収性物品を区別する。また、別の吸収性物品の外面には、吸収性物品の特徴を示す文字が付されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−514349号公報(図2A、段落0027、及び段落0028等)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、着用者によっては、複数種類の吸収性物品を常備しておき、使用時に吸収性物品を選択して使用することがある。上述の吸収性物品によれば、着用者は、目印の違いによって2種類の吸収性物品を区別することができ、また文字によって吸収性物品の特徴を把握して、吸収性物品を選択することができる。しかし、着用者は、吸収性物品の特徴を文字によって認識するため、その特徴を直感的に把握して選択し難い。また、文字が読めない着用者は、吸収性物品の特徴を把握することが困難であり、例えば吸収性能の違いを認識して吸収性物品を選択することができないおそれがある。また、着用者は、吸収性物品の特徴を認識できないと、選択した吸収性物品が所望の吸収性能を有しているかを把握できず、使用時の安心感を得ることができないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、着用者が吸収性物品の吸収性能を直感的に把握することができ、着用者が使用時の安心感を得ることができる吸収性物品、及びこの吸収性物品を収容する吸収性物品の包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明の例示的側面としての吸収性物品は、次のような特徴を有する。吸収性物品(吸収性物品1)は、液透過性の表面シート(表面シート10)と、液不透過性の裏面シート(裏面シート20)と、表面シートと裏面シートとの間に配置される吸収体(吸収体30)とを有し、吸収性物品の吸収性能に対応付けられた表示要素(花柄部60、星柄部61、月柄部62、ハート柄部63、太陽柄部64)を有する性能表示部(性能表示部51,52等)を備えており、表示要素は、絵柄及び/又は記号であって、表示要素の内容及び数によって吸収性物品の吸収性能を示すように構成されている。
【0007】
また、本発明の他の例示的側面としての吸収性物品の包装体は、次のような特徴を有する。吸収性物品の包装体(包装体100)は、上記に記載の吸収性物品を収容する吸収性物品の包装体であって、吸収性物品の性能表示部に対応付けられた包装性能表示部(包装性能表示部110)を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、着用者は、性能表示部を視認することによって吸収性能を把握することができる。また、表示要素は、絵柄及び/又は記号によって構成され、かつその内容及び数によって吸収性能を表示する。したがって、着用者は、文字等で吸収性能を表示する場合と比べて直感的に吸収性能を把握して、吸収性物品を選択したり、使用時の安心感を得たりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る第1吸収性物品及び第2吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る第1吸収性物品の背面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る第3吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る第4吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図5】図3に示すA−A断面図である。
【図6】第3の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図7】第4の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図8】第5の実施形態に係る吸収性物品の包装体の模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品について説明する。本実施形態に係る吸収性物品1は、例えば、生理用ナプキンである。図1は、第1吸収性物品の肌当接面側から見た平面図であり、(a)は、第1吸収性物品1Aを示しており、(b)は第2吸収性物品1Bを示している。図2は、第1吸収性物品1Aの背面図である。
【0011】
吸収性物品1は、吸収性能が異なる第1吸収性物品1A及び第2吸収性物品1Bを有する。具体的には、第1吸収性物品1Aは、軽い日の昼用の生理用ナプキンであり、第2吸収性物品1Bは、重い日の昼用の生理用ナプキンである。したがって、第2吸収性物品1Bは、第1吸収性物品1Aよりも長手方向及び幅方向に長く、かつ吸収性能が高くなるように(多くの経血を吸収可能に)構成されている。なお、以下の説明において、第1吸収性物品と第2吸収性物品とで共通の構成は、同符号を用いて説明を省略する。
吸収性物品1は、着用者の肌に当接する表面シート10と、液体を透過しない液不透過性の裏面シート20と、吸収体30とを有する。吸収体30は、表面シート10と裏面シート20との間に配設される。従って、吸収体30は、図1において破線で示される。吸収体30は、吸収性物品1の長手方向L及び幅方向Wにおける中央部分に配設される。また、吸収性物品1は、吸収性物品1の長手方向Lに直交する吸収体30の幅方向W外側に設けられるサイドシート41,42と、ウイング部43,44を備える。
【0012】
表面シート10は、体液等の液体を透過する液透過性のシートである。表面シート10は、少なくとも吸収体30の表面を覆う。表面シート10は、着用者の膣口(体液排出口)に対応する当接領域S1を有する。表面シート10は、吸収性物品の長手方向において当接領域S1の後方に位置する後方領域S3と、当接領域S1の前方に位置する前方領域S2と、を有する。図1に示す第1吸収性物品1Aは、前方領域S2と後方領域S3とが同一形状であり、その長さ及び面積が略同一である。一方、図2に示す第2吸収性物品1Bは、前方領域S2と後方領域S3の方が長手方向における長さが長い。
【0013】
表面シート10は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
【0014】
裏面シート20は、裏面シート20の長さと略同一の長さを有する。裏面シート20は、ポリエチレン、ポリプロピレン等を主体としたフィルム、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。裏面シート20は、着用時の違和感を生じさせない程度の柔軟性を有する材料とすることが好ましい。
【0015】
吸収体30は、親水性繊維、パルプを含む。サイドシート41,42は、表面シート10と同様の材料から選ぶことができる。但し、サイドシート41,42を乗り越えて吸収性物品1外方へ経血が流れることを防止するためには、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。
【0016】
サイドシート41,42は、表面シート10の両側に配設される。サイドシート41,42は、吸収体30の側縁の一部及びウイング部43,44を覆う。吸収性物品1では、表面シート10、サイドシート41,42、及び裏面シート20の周縁が接合されて、吸収体30が内封される。表面シート10と裏面シート20との接合方法としては、ヒートエンボス加工、超音波、又はホットメルト型接着剤のいずれか一つ、又は複数を組み合わせることが可能である。
【0017】
裏面シート20において、ショーツと接触する表面(非当接面20a)には、裏面シート20の長手方向に沿って、接着材50がライン状に塗布される(図2参照)。接着材50は、裏面シート20の長手方向Lに沿って複数ライン状に塗布される。ウイング部43及びウイング部44において、ショーツと接触する表面にもまた、接着材50が塗布される。使用前の状態では、接着材50には粘着性を保持するための保護シート79が接着されている。保護シート79は、使用時に着用者によって剥離される。 表面シート10には、複数の圧搾溝(圧搾部)21、22、23が設けられている。圧搾溝21、22、23は、表面シート10から吸収体30までを厚さ方向Tに圧搾して構成されている(図5参照)。圧搾溝21、22、23は、図1に示す吸収性物品1の平面視において、吸収体30の長手方向L及び幅方向W内側において曲線状に設けられた圧搾溝21と、前方領域S2と当接領域S1との間に配置された圧搾溝22と、後方領域S3と当接領域S1との間に配置された圧搾溝23と、を有する。
【0018】
また、第1吸収性物品1A及び第2吸収性物品1Bの後方領域S3には、それぞれ性能表示部48,49が設けられている。第1吸収性物品の性能表示部48は、表示要素としての太陽柄部64を1つ有しており、第2吸収性物品1Bの性能表示部49は、表示要素としての太陽柄部64を2つ有して構成されている。太陽柄部64は、圧搾溝21、22、23と同様に、表面シート10から吸収体30までを厚さ方向Tに圧搾して構成されている。なお、本実施形態では、圧搾溝21,22,23と、表示要素としての太陽柄部64とは、エンボス加工によって圧搾加工される。表示要素は、エンボス加工によって形成されているが、この構成に限られず、例えば印刷によって形成されていてもよいし、ホットメルト加工によって形成されていてもよい。
【0019】
このように、吸収性能に対応付けられた表示要素を有する性能表示部48,49を吸収性物品1A,1Bに設けることにより、着用者は、性能表示部48,49を視認することによって吸収性能を把握することができる。また、表示要素60は、絵柄及び/又は記号によって構成され、かつその内容及び数によって吸収性能を表示する。したがって、着用者は、文字等で吸収性能を表示する場合と比べて直感的に吸収性能を把握することができる。
【0020】
具体的には、表示要素の内容(太陽)から想起されるイメージ(例えば、明るいイメージ又は軽やかなイメージ)を用いて、吸収性物品の吸収性能を着用者に伝えることができる。
【0021】
更に例えば、昼や明るいイメージを想起する絵柄としては、花柄のみならず、太陽柄、ハート柄を用いることができる。このような絵柄の表示要素を用いることにより、昼用の生理用ナプキンであることや、軽い日用(少ない日用)の生理用ナプキンであることを着用者に伝えることができる。一方、夜のイメージを想起する絵柄しては、星柄や月柄を用いることができる。このような表示要素を用いることにより、夜用の生理用ナプキンであることや、重い日用(多い日用)の生理用ナプキンであることを着用者に伝えることができる。
【0022】
また、第2吸収性物品1Bは、第1吸収性物品1Aよりも後方領域S3が長く構成されており、その後方領域S3に多くの表示要素が付されている。後方領域S3に配置する太陽柄部64の数を多くすることにより、着用者に対して後方領域S3の長さを強調して直感的に伝えることができ、第2吸収性物品1Bが重い日用の生理用ナプキンであることを伝えることができる。 着用者は、太陽柄部64のイメージやその数によって後方領域S3の長さを直感的に把握することができ、後方領域S3の長さによる使用時の安心感を得ることができる。すなわち、着用者は、睡眠時等、夜長時間使用する生理用ナプキンは、睡眠中の液漏れや長時間にわたる吸収力等を考慮するため、後方領域の長さが十分に長いことを把握すると安心感を得ることができる。太陽柄部64の数によって、この第2吸収性物品1Bの吸収性能(夜用の生理用ナプキンであることや後方領域S3における吸収量が多いこと)を伝えることができる。
【0023】
このように、絵柄によって吸収性能を示すことにより、文字等によって吸収性能を着用者に伝達する構成と比較して、絵柄等による装飾効果を発揮でき、吸収性物品1をかわいらしく装飾することができる。更に、着用者は、吸収性物品の選択時における指標が絵柄であるため、選択時に生理の憂鬱な気分を意識せずに、見た目で楽しんで選択することができる。
【0024】
実施形態1に係る吸収性物品は、肌当接面側から性能表示部を視認できるように構成しており、着用者が吸収性物品を下着に装着する際に、吸収性能を着用者に伝えることができる。また、本発明に係る吸収性物品1は、この構成に限られず、裏面シート20に性能表示部を付して、非当接面側から性能表示部を視認できるように構成してよい。更に、実施形態1に係る吸収性物品は、後方領域S3のみに性能表示部を配置しているが、前方領域S2のみに性能表示部を配置してもよいし、前方領域S2と後方領域S3の両方に性能表示部を配置してもよい。
【0025】
(第2の実施形態)
図4及び図5を参照して、本発明の第2の実施形態に係る吸収性物品1について説明する。なお、第2の実施形態の説明においては、第1の実施形態と異なる構成について説明し、同様の構成については同符号を用いて説明を省略する。図3は、第3吸収性物品1Cの肌当接面側から見た平面図であり、図4は、第4吸収性物品1Dの肌当接面側から見た平面図である。図5は、図3に示すA−A断面図である。
【0026】
第2の実施形態に係る吸収性物品1は、吸収性能が異なる第3吸収性物品1C及び第4吸収性物品1Dを有する。具体的には、第3吸収性物品1Cは、昼用の生理用ナプキンであり、第4吸収性物品1Dは、夜用の生理用ナプキンである。したがって、第4吸収性物品1Dは、第3吸収性物品1Cよりも長手方向に長く、吸収性能が高くなるように(多くの経血を吸収可能に)構成されている。図3に示す第3吸収性物品1Cは、前方領域S2と後方領域S3とが同一形状であり、その長さ及び面積が略同一である。一方、図4に示す第4吸収性物品1Dは、前方領域S2と後方領域S3の方が長手方向における長さが長い。
【0027】
第3吸収性物品1Cの前方領域S2及び後方領域S3には、表示要素としての花柄部60を複数有する性能表示部51,52がそれぞれ設けられている。一方、第4吸収性物品1Dの前方領域S2及び後方領域S3には、表示要素としての星柄部61を複数有する性能表示部53,54がそれぞれ設けられている。花柄部60及び星柄部61は、圧搾溝21、22、23と同様に、表面シート10から吸収体30までを厚さ方向Tに圧搾して構成されている。なお、本実施形態では、圧搾溝21,22,23と、表示要素としての花柄部60及び星柄部61とは、エンボス加工によって圧搾加工される。表示要素は、エンボス加工によって形成されているが、この構成に限られず、例えば印刷によって形成されていてもよいし、ホットメルト加工によって形成されていてもよい。
【0028】
このように、吸収性能に対応付けられた表示要素を有する性能表示部51〜54を吸収性物品1C,1Dに設けることにより、着用者は、性能表示部51〜54を視認することによって吸収性能を把握することができる。また、表示要素は、絵柄及び/又は記号によって構成され、かつその内容及び数によって吸収性能を表示する。したがって、着用者は、文字等で吸収性能を表示する場合と比べて直感的に吸収性能を把握することができる。
【0029】
具体的には、昼用の生理用ナプキンである第3吸収性物品1Cに花柄部60を有する性能表示部を設け、夜用の生理用ナプキンである第4吸収性物品1Dに星柄部61を有する性能表示部を設けることにより、表示要素の内容(花及び星)から想起されるイメージを用いて、各吸収性物品1の吸収性能を着用者に伝えることができる。
【0030】
第3吸収性物品1Cの前方領域S2と後方領域S3とは、上述のように同じ領域であり、各領域に配置された性能表示部51,52は、同じ柄及び数の花柄部60を有している。各性能表示部51,52は、それぞれ2つの花柄部60を有している。2つの花柄部60は、同じ形状であり、小さな花柄部60Aと大きな花柄部60Bである。
【0031】
第4吸収性物品1Dの後方領域S3は、上述のように前方領域S2よりも大きく、後方領域S3に配置された性能表示部54は、前方領域S2に配置された性能表示部53よりも大きい。前方領域S2に配置された性能表示部53は、2つの星柄部61を有している。2つの星柄部61は、小さな星柄部61Aと、大きな星柄部61Bである。前方領域S2に配置された性能表示部54は、3つの星柄部61を有している。3つの星柄部は、前方領域S2の性能表示部53と同様の小さな星柄部61A及び大きな星柄部61Bと、この大きな星柄部61Bよりも更に大きな星柄部61Cと、である。
【0032】
後方領域S3の長手方向の長さが前方領域よりも長い第4吸収性物品1Dにおいて、後方領域S3に配置する星柄部61の数を多くすることにより、着用者に対して後方領域S3の長さを強調して直感的に伝えることができ、第2吸収性物品1Dが夜用の生理用ナプキンであることを伝えることができる。更に、第2吸収性物品1Dに表示要素として星柄部を付しているため、この星柄部から想起されるイメージからも夜用の生理用ナプキンであることを着用者に直感的に伝えることができる。
【0033】
着用者は、星柄部のイメージやその数によって後方領域S3の長さを直感的に把握することができ、後方領域の長さによる使用時の安心感を得ることができる。すなわち、着用者は、睡眠時等、夜長時間使用する生理用ナプキンは、睡眠中の液漏れや長時間にわたる吸収力等を考慮するため、後方領域の長さが十分に長いことを把握すると安心感を得ることができる。星柄部61の数によって、この第4吸収性物品の吸収性能(夜用の生理用ナプキンであることや後方領域における吸収量が多いこと)を伝えることができる。
【0034】
更に、第4吸収性物品1Dの星柄部61は、長手方向内側に配置された星柄部よりも長手方向外側に配置された星柄部の方が大きく、長手方向外側に向かって徐々に大きなっている。よって、後方領域S3の長さを星柄部61の大きさによっても強調することができる。なお、本実施形態では、星柄部61A〜61C等複数の表示要素は、幅方向にずれて配置されているが、この構成に限られず。その中心が長手方向に沿うように一列に並んで配置されていてもよい。
【0035】
なお、第2の実施形態では、第3吸収性物品よりも多く配置された第4吸収性物品1Dの3つ目の星柄部61Cを、他の星柄部61A及び60Bよりも大きな形状としているが、この構成に限られず、他の星柄部と同じ大きさであってもよい。また、複数の表示要素を備える吸収性物品において、表示要素の大きさを異ならせずに、同じ大きさとしてもよい。
【0036】
図5に示すように、第3吸収性物品1Cは、圧搾溝21,22,23と花柄部60が厚さ方向において圧搾加工されている。圧搾加工は、表面シート10と吸収体30とが厚み方向Tに圧搾されている。したがって、圧搾溝21,22,23及び花柄部60は、吸収体30の密度が高められた高圧搾領域である。一方、圧搾溝21,22,23及び花柄部60以外の部分は、高圧搾領域よりも密度が低い低圧搾領域である。したがって、高圧搾領域である圧搾溝及び花柄部は、低圧搾領域である周囲よりも吸収力が高い。
【0037】
すなわち、表示要素である花柄部60及び星柄部61は、高圧搾領域であり、低圧搾領域である周囲よりも吸収力が高い。したがって、着用者は、装着前に花柄部の数によって、その吸収性物品の吸収力を直感的に認識でき、また、後方領域に多くの表示媒体が配置されていることによって、後方領域における吸収力に基づく安心感を得ることができる。更に、装着後は、高圧搾領域である表示要素や圧搾溝に液体が多く吸収されるため、その使用後の吸収された状態を視認して、更に安心感を得ることができる。
【0038】
また、本実施形態に係る花柄部60及び星柄部61は、中心から放射状に延びる形状である。よって、表示要素の中央付近で吸収した経血を、放射状に周囲に流すことができ、表示要素全体としての吸収力を高めることができる。このような放射状の表示要素としては、太陽の絵柄の表示要素を例示することができる。更に、表示要素である花柄部60及び星柄部61は、一定領域を囲む形状であるため、囲んだ一定領域において液体を経血して吸収することができる。
【0039】
(第3の実施形態)
次いで、第2の実施形態に係る吸収性物品について、図6を参照して詳細に説明する。
【0040】
図6は、第3の実施形態に係る第5吸収性物品1E、第6吸収性物品1F、及び第7吸収性物品1Gの肌当接面側の平面図である。第5吸収性物品1E、第6吸収性物品1F、及び第7吸収性物品1Gは、いずれも夜用の生理用ナプキンであり、その形状及び長手方向の長さが異なる。第5吸収性物品1E、第6吸収性物品1F、及び第7吸収性物品1Gの性能表示部は、それぞれ表示要素として月柄部62が設けられており、表示図柄の数はそれぞれ異なる。
【0041】
表示要素である月柄部62の数は、吸収性物品1の長手方向Lの長さ、より詳細には後方領域S3の長さに応じている。具体的には、後方領域S3の長さが長い吸収性物品1ほど、月柄部62の数が多く設けられている。
【0042】
図6に示すように、第5吸収性物品1Eには、1つの月柄部62が設けられている。第6吸収性物品1Fには、2つの月柄部62が設けられている。第7吸収性物品1Gの後方領域S3は、第5吸収性物品1Eの後方領域S3と長手方向の長さが同じ後方基部46と、この後方基部46に連なり、かつ後方基部46よりも長手方向L外側に配置された延設部47と、を有する。第6吸収性物品1Fの2つの月柄部62のうち、1つ目の月柄部62Aは、後方基部46に配置され、2つ目の月柄部62Bは、延設部47に配置されている。
【0043】
第7吸収性物品1Gには、3つの月柄部62が設けられている。第7吸収性物品1Gの後方領域S3は、第6吸収性物品1Fの後方領域S3と長手方向Lの長さが略同じ後方基部46と、この後方基部46に連なり、かつ後方基部46よりも長手方向L外側に配置された延設部47と、を有する。第7吸収性物品1Gの3つの月柄部62のうち、1つ目の月柄部62A及び2つ目の月柄部62Bは、後方基部46に配置されている。具体的には、第7吸収性物品1Gの1つ目の月柄部62Aは、第6吸収性物品1Fの後方基部46(第5吸収性物品1Eの後方領域)と同じ領域に配置され、2つ目の月柄部62Bは、第6吸収性物品1Fの延設部47に配置されている。更に、第7吸収性物品1Gの3つ目の月柄部62Cは、第6吸収性物品1Fの後方領域S3よりも長い部分である延設部47に配置されている。
【0044】
このように、後方領域S3の長さが長いほど表示要素の数を多く配置することにより、各吸収性物品の長さを強調することができる。また、一方の吸収性物品よりも長手方向に長い他方の吸収性物品において、延設部47に表示要素を配置することにより、第5吸収性物品1Eに対して第6吸収性物品1Fが長い部分や、第6吸収性物品1Fに対して第7吸収性物品1Gが長い部分を強調することができ、吸収性物品1の長手方向Lの長さを強調することができる。
【0045】
また、月柄部62の幅方向における長さは、長手方向の位置に応じて変化する。月柄部62の幅方向における長さが最大となる位置P1は、長手方向における月柄部62の内側端部P2よりも外側であり、かつ月柄部62の外側端部P3よりも内側である。
【0046】
当接領域S1に落ちた液体が後方領域S3に配置された表示要素に浸入する際は表示要素の長手方向内側から浸入するため、表示要素の幅方向長さが変化することにより、長手方向内側から進入した液体を長手方向外側に流しつつ一旦幅方向に拡散させ、その後、長手方向外側に流しつつ幅方向に集めることができる。よって、吸収性物品の内部で経血を納めることができ、経血等液体のもれを防止することができる。なお、このような幅方向における長さが変化する表示要素としては、月柄部の他にハート柄のハート柄部を例示できる。
【0047】
(第4の実施形態)
次いで、第4の実施形態に係る吸収性物品について、図7を参照して詳細に説明する。図7は、第4の実施形態に係る第8吸収性物品1H、第9吸収性物品1J、及び第10吸収性物品1Kの肌当接面側の平面図である。第8吸収性物品1H、第9吸収性物品1J、及び第10吸収性物品1Kは、いずれも昼用の生理用ナプキンであり、その形状及び長手方向の長さは同じである。
【0048】
第1の実施形態に係る吸収性物品1は、昼用の吸収性物品として1パターンの性能表示部を有しているが、実施形態3に係る吸収性物品は、同じ昼用の吸収性物品として複数パターンの性能表示部を有する。具体的には、第8吸収性物品1Hは、表示要素として1つのハート柄部63と1つの太陽柄部64を有し、第9吸収性物品1Jは、表示要素として2つのハート柄部63を有し、第10吸収性物品1Kは、表示要素として2つの太陽柄部64を有する。
【0049】
すなわち、昼のイメージを想起する複数の表示要素によって性能表示部を構成している。同じ吸収性能を有する吸収性物品に複数種類の性能表示部を設けることにより、同じ昼用の吸収性物品のバリエーションが増え、着用者は、選択時、使用時(着用時、交換時)において楽しむことができ、例えば、生理の気分を意識せずに楽しむことができる。
【0050】
(第5の実施形態)
次いで、第5の実施形態について、図8に基づいて詳細に説明する。第5の実施形態は、吸収性物品1が包装シート70によって個別に収容されており、この吸収性物品1を複数収容する包装体100を備える。包装体100は、複数の吸収性物品1を収容する袋形状である。包装体100の内部には、上下方向に重ねされて複数の吸収性物品1が収容される。包装体100の上部には、開口部101が設けられており、着用者は、開口部101を介して吸収性物品1を出し入れすることができる。なお、包装体100の開口部101は、吸収性物品1を出し入れ可能に構成されていればよく、開口部101の位置や形状は、図8に示す例に限定されない。
【0051】
包装体100の外面105には、包装性能表示部110が設けられている。包装性能表示部110は、吸収性物品1の性能表示部に対応付けられており、表示要素としての星柄部61を有する。着用者は、包装体100の外部から星柄部61を視認して、内部に収容されている吸収性物品1の吸収性能を把握することができる。したがって、着用者は、選択時に絵柄によって吸収性物品の性能を把握して選択することができる。
【0052】
また、図8に示す第11吸収性物品1L及び第12吸収性物品1Mは、包装シート70によって個別に包装されている。包装シート70は、吸収性物品1の裏面シート20側において吸収性物品1と対向する対向面と、吸収性物品1を収容した状態で外側に位置する非対向面72と、を有する。
【0053】
吸収性物品1は、幅方向に沿った所定の折り位置(図示せず)において、表面シート10を内側にして折り畳まれる。吸収性物品1が折り畳まれた状態で、包装シート70の長手方向における一方の端部が包装シート70に貼着される。包装シート70の端部は、粘着テープ75によって包装シート70の一部と貼着される。
【0054】
第11吸収性物品1Lは、表示要素である星柄部61が裏面シート20に付されており、包装シート70を介して外側から表示要素を視認可能に構成されている。包装シート70を、透明又は半透明な材質等、可視光を透過可能な材質によって構成される。表示要素は、包装性能表示部110の表示要素と同じ形状及び数の表示要素である。第12吸収性物品1Mは、包装シート70の粘着テープ75に表示要素である星柄部61が付されている。このように表示要素を設けることにより、吸収性物品1を包装シート70で包んだ状態で、吸収性物品1の吸収性能を着用者に伝えることができる。
【0055】
例えば、包装体100から取り出した状態で吸収性物品1を保管したり、包装体100から取り出した状態で吸収性物品1を持ち運んだりする場合であっても、着用者は、吸収性物品1が包装シート70に包まれた状態で吸収性物品1の吸収性能を把握することができる。また、文字等で表す場合と比較して、一見して生理用ナプキンであるとわかなないため、中身を認識されたくない場合において好適である。
【0056】
なお、性能表示部と包装性能表示部は、対応付けられていればよく、同一の形状であってもよいし、一部異なる形状であってもよい。具体的には、着用者が、同じ絵柄であると認識できればよく、例えば大きさが異なっていてもよい。
【0057】
また、表示要素は、記号であってもよい。例えば、数字であってもよいし、矢印や音符記号によって構成してもよい。
【0058】
なお、本実施形態では、吸収性物品1の表面シート10と包装シート70の両方に性能表示部を設けているが、この構成に限定されない。
【0059】
また、本発明の実施形態では、包装シートに1個の吸収性物品を収容しているが、包装シートに2個以上の吸収性物品を収容するように構成してもよい。
【0060】
また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキン以外に、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等であってもよい。
【0061】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0062】
1…吸収性物品、 10…表面シート、 20…裏面シート、 30・・・吸収体、 21,22,23…圧搾部、 30…吸収体、 41,42…サイドシード、 43,44…ウイング部、 46…後方基部、 47…延設部、 48,49,50,51,52,53…性能表示部、 60…花柄部(表示要素)、 61…星柄部(表示要素)、 62…月柄部(表示要素)、 63…ハート柄部(表示要素)、 64…太陽柄部(表示要素)、 79…保護シート、 100…包装体、 101…開口部、 102…包装性能表示部、 104…粘着シール、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品であって、
前記吸収性物品の吸収性能に対応付けられた表示要素を有する性能表示部を備えており、
前記表示要素は、絵柄及び/又は記号であって、該表示要素の内容及び数によって該吸収性物品の吸収性能を示す、吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収性物品は、第1吸収性能を有する第1吸収性物品と、該第1吸収性能と異なる第2吸収性能を有する第2吸収性物品と、を備え、
前記第1吸収性物品は、前記第1吸収性能を示す第1性能表示部を有しており、
前記第2吸収性物品は、前記第2吸収性能を示す第2性能表示部を有する、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第1吸収性物品は、該第2吸収性物品よりも長手方向の長さが長く構成されており、
前記表示要素の数は、前記長手方向の長さに応じており、前記第1吸収性物品よりも前記第2吸収性物品の方が多い、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記表面シートは、着用者の体液排出部と当接するように構成され、
前記体液排出部と当接する領域に対する長手方向後方の長さは、前記第1吸収性物品よりも前記第2吸収性物品の方が長く構成されており、
前記表示要素の数は、前記体液排出部と当接する領域に対する長手方向後方の長さに応じている、請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記性能表示部は、前記体液排出部と当接する領域に対する前記長手方向後方に配置されている、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記体液排出部と当接する領域に対する長手方向後方は、該体液排出部と当接する領域に対する長手方向前方よりも長手方向の長さが長く構成され、かつ該長手方向前方と同じ長さの後方基部と、該後方基部に連なり該後方基部よりも長手方向外側に配置された延設部と、を有しており、
前記性能表示部は、少なくとも前記延設部に配置されている、請求項4又は請求項5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品は、第1吸収性物品と、該第1吸収性物品と同じ吸収性能を有する第2吸収性物品と、を備えており、
前記性能表示部は、少なくとも二種類以上の前記表示要素の組み合わせによって前記吸収性物品の吸収性能を示すように構成されており、
前記第1吸収性物品の前記性能表示部及び前記第2吸収性物品の前記性能表示部は、互いに異なる前記表示要素を少なくとも1以上有し、かつ該表示要素の数が同じである、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記性能表示部は、前記表面シートに設けられている、請求項1から請求項7のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記性能表示部は、複数の前記表示要素を備えており、
前記表示要素は、前記吸収性物品の長手方向外側に向かって除々に大きくなるように構成されている、請求項1から請求項8のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記表面シート側の面には、前記表面シートから前記裏面シートへ向かう厚さ方向に圧搾された圧搾部が形成されており、
前記表示要素は、前記圧搾部によって構成されている、請求項1から請求項9のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記圧搾部は、前記表面シート及び前記吸収体が前記厚み方向において圧搾されて形成されている、請求項10に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記表示要素の前記吸収性物品の幅方向における長さは、該吸収性物品の長手方向の位置に応じて変化するように構成されており
前記表示要素の幅方向における長さが最大となる位置は、前記長手方向における該表示要素の両端部よりも内側である、請求項10又は請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記表示要素は、その中心から周囲に向かって放射状に延びる星形、花形、太陽の絵柄のうち少なくともいずれの絵柄である、請求項10から請求項12のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記圧搾部は、一定の領域を囲むように配置されている、請求項10から請求項13のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項15】
上記請求項1から請求項14のいずれかに記載の吸収性物品を収容する吸収性物品の包装体であって、
前記吸収性物品の前記性能表示部に対応付けられた包装性能表示部を備える、吸収性物品の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−115343(P2012−115343A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265815(P2010−265815)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】