説明

吸収性物品及び生理用ナプキン

【課題】本体吸収体の幅方向の変形を容易にし、着用者へのフィット性を向上させる。
【解決手段】本発明に係る吸収性物品1において、本体部10の肌当接面側に、長手方向Lに延びる上層部20が設けられており、上層部20は、表面シート12とは別体の上層表面シート22を有しており、幅方向Wにおける上層部20の寸法W2は、幅方向Wにおける本体部10の寸法W1よりも小さくなるように構成されており、上層部20に対向する本体吸収体11の幅方向Wの中心Oを含む中央領域が設けられており、中央領域の少なくとも一部において、中央領域よりも曲げ剛性が低い低剛性領域50が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品、特に、生理用ナプキンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面シートと裏面シートと本体吸収体とを含む本体部を有し、かつ、かかる本体部の肌当接面側に長手方向に延びる上層部が設けられている吸収性物品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる吸収性物品において、幅方向における上層部の寸法は、幅方向における本体部の寸法よりも小さくなるように構成されており、また、本体部において、上層部に対向する領域において本体吸収体が形成されていない領域が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-115996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、出願人は、上述の吸収体物品について、以下のような問題点を発見した。
【0006】
かかる吸収性物品では、本体吸収体及び上層吸収体が同一の表面シートで覆われた状態で、本体吸収体及び表面シートが接合されているため、かかる表面シートの影響で、本体吸収体が、凹部を起点として幅方向に変形しにくくなり、着用者へのフィット性を損ねてしまうという問題点があった。
【0007】
また、かかる吸収性物品では、上層吸収体が、本体吸収体と表面シートとの間で自由度が抑えられている状態にあるため、吸収性物品全体が、長手方向に湾曲した際に、上層吸収体は、たくれることでしか距離を縮めることができず、本体吸収体が、凹部を起点として幅方向に変形しにくくなり、着用者へのフィット性を損ねてしまうという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、本体吸収体の幅方向の変形を容易にし、着用者へのフィット性を向上させることができる吸収性物品及び生理用ナプキンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴は、表面シートと、裏面シートと、該表面シートと該裏面シートとの間に配置される本体吸収体とを有する本体部を有する吸収性物品であって、前記本体部の肌当接面側に、前記吸収性物品の長手方向に延びる上層部が設けられており、前記上層部は、前記表面シートとは別体の上層表面シートを有しており、前記吸収性物品の幅方向における前記上層部の寸法は、前記幅方向における前記本体部の寸法よりも小さくなるように構成されており、前記上層部に対向する前記本体吸収体の前記幅方向の中心を含む中央領域が設けられており、前記中央領域の少なくとも一部において、前記中央領域よりも曲げ剛性が低い低剛性領域が形成されていることを要旨とする。
【0010】
本発明の第2の特徴は、表面シートと、裏面シートと、該表面シートと該裏面シートとの間に配置される本体吸収体とを有する本体部を有する生理用ナプキンであって、前記本体部は、前記生理用ナプキンの幅方向の両外側に延出する中央ウィング部と、前記中央ウィング部よりも前記生理用ナプキンの長手方向の後方に設けられており前記幅方向の両外側に延出する後方ウィング部とを有し、前記本体部の肌当接面側に、前記生理用ナプキンの長手方向に延びる上層部が設けられており、前記上層部は、前記表面シートとは別体の上層表面シート及び前記本体吸収体とは別体の上層吸収体を有しており、前記生理用ナプキンの幅方向における前記上層部の寸法は、前記幅方向における前記本体部の寸法よりも小さくなるように構成されており、前記上層部に対向する前記本体吸収体の前記幅方向の中心を含む中央領域が設けられており、前記中央領域内で、前記上層部内で前記上層吸収体が配置されている領域に少なくとも一部が対向する領域において、前記中央領域よりも曲げ剛性が低い低剛性領域が形成されており、前記低剛性領域は、前記幅方向における前記本体部の寸法が最も小さい領域よりも、前記長手方向の後方に形成されており、前記後方ウィング部は、前記低剛性領域の前記幅方向の外側に設けられており、前記本体部及び前記上層部は、前記低剛性領域に対向する領域において接合されておらず、前記幅方向における前記低剛性領域の寸法は、前記幅方向における前記上層吸収体の寸法よりも小さくなるように構成されており、前記本体部の肌当接面側において、分断されている第1圧搾溝及び第2圧搾溝が少なくとも設けられており、前記第1圧搾溝は、前記低剛性領域に対向する領域よりも前記幅方向の外側において、前記長手方向に延びており、前記第2圧搾溝は、前記低剛性領域に対向する領域よりも前記幅方向の外側において、前記長手方向に延びており、かつ、前記低剛性領域に対向する領域よりも前記長手方向の後方において、前記幅方向に延びており、前記低剛性領域における前記本体吸収体の目付けは、前記低剛性領域の周辺領域における前記本体吸収体の目付けよりも低くなるように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、本体吸収体の幅方向の変形を容易にし、着用者へのフィット性を向上させることができる吸収性物品及び生理用ナプキンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品のA-A’断面図及びB-B’断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の製造方法を説明するための図である。
【図4】本発明の変更例1に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図5】本発明の変更例1に係る吸収性物品のC-C’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明の第1の実施形態)
図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品1について説明する。例えば、本実施形態に係る吸収性物品1は、紙おむつや失禁パッドや生理用ナプキン等である。以下、本実施形態に係る吸収性物品1として、生理用ナプキンを例に挙げて説明する。
【0014】
図1に示すように、吸収性物品1は、排泄口当接領域Aと、後方領域Bと、前方領域Cとによって構成されている。
【0015】
後方領域Bは、排泄口当接領域Aに対して吸収性物品1の長手方向Lの後方側に配置されており、前方領域Cは、排泄口当接領域Aに対して吸収性物品1の長手方向Lの前方側に配置されている。
【0016】
なお、排泄口当接領域Aは、吸収性物品1において着用者の膣口に当接する領域であり、例えば、着用者の下着に吸収性物品1が着用される際に、下着の2つの足回り開口の間に配置される領域である。
【0017】
また、吸収性物品1は、排泄口当接領域Aにおいて、幅方向Wの両外側に延出するように形成されている1対の中央ウィング部40を有しており、後方領域Bにおいて、幅方向Wの外側に延出するように形成されている後方ウィング部41を有している。
【0018】
ここで、着用者は、吸収性物品1を下着に着用する際に、中央ウィング部40を下着に巻き込んで、吸収性物品1を下着に固定する。また、着用者は、吸収性物品1を下着に着用する際に、後方ウィング部41を下着の後ろ身ごろに開いた状態で固定する。
【0019】
また、吸収性物品1において、幅方向Wの中心を通る長手方向Lの線Oと中央ウィング部40の長手方向Lの中心を通る幅方向Wの線(A-A’)との交点Qを「排泄口当接領域Aの長手方向Lの中心」とし、交点Qから長手方向Lの後方に40mm離れた箇所と長手方向Lの後方端部との間の領域を「後方領域B」とし、交点Qから長手方向Lの前方に40mm離れた箇所と長手方向Lの前方端部との間の領域を「前方領域C」としてもよい。
【0020】
図2(a)及び図2(b)に示すように、本実施形態の吸収性物品1は、本体部10と、上層部20とを有している。
【0021】
ここで、本体部10は、表面シート12と、裏面シート13と、表面シート12と裏面シート13との間に配置される本体吸収体11とを有している。
【0022】
表面シート12は、本体部10において、吸収性物品1の肌当接面側に設けられている液透過性のシートであり、裏面シート13は、本体部10において、吸収性物品1の肌非当接面側に設けられている液不透過性のシートである。
【0023】
例えば、表面シート12は、25目付けのエアースルー不織布であり、2.2dtexの芯がPETであり、かつ、鞘がPEである繊維によって構成されている。かかる表面シート12は、嵩回復処理(温度90°で10分放置)が施されていない。かかる表面シート12の密度は、0.055g/cmである。
【0024】
また、裏面シート13は、例えば、20g/mのポリエチレンフィルムによって構成されている。
【0025】
本体吸収体11は、尿や経血等の体液を吸収するように構成されており、吸収性物品1における排泄口当接領域Aと後方領域Bと前方領域Cとに渡って配置されている。
【0026】
例えば、本体吸収体11としては、15g/m程度のティッシュやレーヨン等が含まれるスパンレース不織布を複数枚重ねたものや、吸収ポリマーや機能性材料を含んだエアレイドパルプシート等が使われる。なお、本体吸収体11の材料は、体液を吸収することができる材料であれば、特には限定されない。
【0027】
なお、図1に示すように、本体吸収体11と表面シート12とは、複数の圧搾溝14A、14B、14C及び14Dによって接合されている。
【0028】
かかる吸収性物品1において、本体部10の幅方向Wの両脇に、防漏壁30が設けられていてもよい。かかる防漏壁30は、中空上に折り畳まれた防漏シート31と、防漏シート31内に伸張状態で配置された弾性部材32とによって構成されている。
【0029】
また、防漏シート31は、例えば、10〜30g/mのスパンボンド不織布によって構成されており、弾性部材32は、糸状の天然ゴム又は合成ゴムによって構成されていてもよい。
【0030】
また、上層部20は、本体部10の肌当接面側に、長手方向Lに延びるように設けられている、すなわち、吸収性物品1全長に渡って配置されている。ここで、幅方向Wにおける上層部20の寸法W2は、幅方向Wにおける本体部10の寸法W1よりも小さくなるように構成されている。
【0031】
具体的には、上層部20は、表面シート12とは別体の上層表面シート22と、本体吸収体11とは別体の上層吸収体21とを有している。
【0032】
例えば、上層表面シート22は、20目付けのエアースルー不織布であり、2.2dtexの芯がPETであり、かつ、鞘がPEである繊維によって構成されている。かかる表面シート12は、嵩回復処理が施されている。かかる表面シート12の密度は、0.025g/cmである。
【0033】
例えば、上層吸収体21としては、15g/m程度のティッシュやレーヨン等が含まれるスパンレース不織布を複数枚重ねたものや、吸収ポリマーや機能性材料を含んだエアレイドパルプシート等が使われる。なお、本体吸収体11の材料は、体液を吸収することができる材料であれば、特には限定されない。
【0034】
ここで、図2(a)及び図2(b)に示すように、上層表面シート22は、3つに折り畳まれており、3つに折り畳まれた上層表面シート22の領域同士は、ホットメルト接着剤(HMA)によって接合されている。
【0035】
そして、図2(b)に示すように、後方領域Bに配置される上層部20において、3つに折り畳まれた上層表面シート22の内部に、上層吸収体21が配置されている。
【0036】
すなわち、図2(a)に示すように、排泄口当接領域A(及び、前方領域C)に配置される上層部20では、3つに折り畳まれた上層表面シート22の内部に、上層吸収体21が配置されていない。
【0037】
なお、吸収性物品1は、4つに折り畳まれて包装されるように構成されている。ここで、包装される際に形成される3本の折り線を、吸収性物品1の長手方向Lの後方から、順番に、第1折り線、第2折り線、第3折り線とすると、かかる上層吸収体21は、第1折り線と第2折り線との間に配置されるように構成されている。
【0038】
また、上層部20において、上層吸収体21が配置されていない領域と、上層吸収体21が配置されている領域との間に、離間領域(スライド部)が設けられていてもよい。
【0039】
かかる離間領域では、本体部10と上層部20とが接合されていない。すなわち、図1及び図2(b)に示すように、上層部20は、低剛性領域15に対向する領域の少なくとも一部において本体部10に接合されていない。
【0040】
かかる構成によれば、吸収性物品1が、長手方向Lに湾曲した際に、肌当接面側の湾曲部分の円弧は、衣服等接面側の湾曲部分の円弧と比べて小さくなるが、上層部20が、本体部10に接合されていないことにより、上層部20が、前後にスライドしやすくなり、上層部に皺が発生しずらくなるため、上層部20は、流れてきた体液を捕捉しやすい。
【0041】
一方、図1及び図2(a)に示すように、かかる離間領域以外の領域では、圧搾部(エンボス)やホットメルト接着剤(HMA)等によって本体部10と上層部20とが接合されている。
【0042】
かかる場合、吸収性物品1が下着に着用されて長手方向Lに湾曲した場合に、かかる離間領域(スライド部)が、長手方向Lの前方或いは後方に向かって移動
するように構成されている。
【0043】
また、上層部20において、上述の離間領域が設けられていなくてもよい。かかる場合、吸収性物品1の長手方向Lの製品全長に渡って、上層部20と本体部10とが接合されている。
【0044】
上層部20に対向する本体吸収体11の幅方向Wの中心Oを含む中央領域が設けられており、かかる中央領域の少なくとも一部において、かかる中央領域よりも曲げ剛性が低い低剛性領域50が形成されている。
【0045】
より具体的には、低剛性領域50は、上層部20内で上層吸収体21が配置されている領域に少なくとも一部が対向する本体吸収体11の領域に形成されている。
【0046】
かかる構成によれば、本体吸収体11における低剛性領域50が、下着の着圧によって着用者の体の凹形状(お尻の窪み)に沿うように変形し、それに伴い、上層部20も、着用者の体の凹形状に沿うように柔軟に変形することができるため、上層部20が、着用者の体の隙間を埋めて流れる体液と接触しやすくなる。その結果、上層吸収体21が、かかる体液を即座に吸収しやすくなる。
【0047】
幅方向Wにおける低剛性領域50の寸法は、幅方向Wにおける上層吸収体21の寸法よりも小さくなるように構成されている。
【0048】
ここで、低剛性領域50が、吸収性物品1の幅方向Wへの変形起点となるため、幅方向Wにおける低剛性領域50の寸法が、幅方向Wにおける上層吸収体21の寸法よりも広いと、吸収性物品1が、上層吸収体21よりも幅方向Wの外側で変形してしまう可能性があり、所望の機能を発揮できなくなる可能性がある。
【0049】
低剛性領域50における本体吸収体11の目付けは、低剛性領域50の周辺領域における本体吸収体11の目付けよりも低くなるように構成されていてもよい。また、本体吸収体11にスリットを入れることによって、かかる低剛性領域50を形成してもよい。
【0050】
かかる構成によれば、低剛性領域50における本体吸収体11の目付けを低くすることによって、安い設備コストで、吸収性物品1を製造することができる。
【0051】
低剛性領域50は、中央ウィング部40よりも、長手方向Lの後方に形成されている。かかる構成によれば、低剛性領域50が、吸収性物品1の後方に配置されていることによって、着用者の体の窪みの中で最も窪みが深いお尻の窪みに低剛性領域50をフィットさせることができる。
【0052】
また、低剛性領域50の幅方向Wの外側に、後方ウィング部41が設けられている。かかる構成によれば、低剛性領域50は、着用者の体の中心線の窪みに沿って変形しやすいが、低剛性領域50の両脇に粘着剤が塗布されている後方ウィング部41を配置しておくことで、過度な変形(縒れ)を防ぐことができる。
【0053】
なお、低剛性領域50は、本体吸収体11が裏面シート13側に凹んでいる凹部領域によって構成されていてもよい。かかる場合、上層部20は、かかる凹部領域内に収まるように構成されていてもよい。
【0054】
かかる構成によれば、上層吸収体21は、厚みを有しているため、凹部領域内に収まることで、上層吸収体21が配置されていない領域の上層部20及び本体部10の総厚みと上層吸収体21が配置されている領域の上層部20及び本体部10の総厚みのとの間の差が小さくなる。したがって、包装のために吸収性物品1を肌当接面側に折った際に、上層吸収体21が配置されている肌当接面側に皺が入りにくくなり、隙間ができにくくなる。
【0055】
裏面シート13の下着当接面側に、吸収性物品1を下着に固定するための粘着剤が塗布されている。
【0056】
例えば、図2(a)に示すように、中央ウィング部40の衣服当接面側に、吸収性物品1を下着に固定するための粘着剤61が塗布されており、図2(b)に示すように、後方ウィング部41の衣服当接面側に、吸収性物品1を下着に固定するための粘着剤62が塗布されている。
【0057】
また、図2(b)に示すように、裏面シート12の衣服当接面側に、長手方向Lに沿って、吸収性物品1を下着に固定するための粘着剤63が塗布されている。なお、低剛性領域50の幅方向Wの中心を含む領域に対向する裏面シート13の領域には、粘着剤63が塗布されていない。
【0058】
かかる構成によれば、低剛性領域50は、下着に固定されてないため、着用者の股の力を借りることで、下着の着圧以上に凸状に変形しやすくなる。
【0059】
また、図1に示すように、本実施形態に係る吸収性物品1には、本体部10の肌当接面側において、表面シート10から吸収体13までを圧搾するように構成されている圧搾溝14A、14B、14C及び14Dが設けられている。
【0060】
具体的には、低剛性領域50よりも幅方向Wの外側に、長手方向Lに延びる圧搾溝14B及び14Cが設けられている。
【0061】
かかる構成によれば、幅方向Wにおいて、低剛性領域50が、高剛性領域(圧搾溝14B/14C)に挟まれることになり、着用者の体の凹形状に沿うように変形しやすい。更に、低剛性領域50は、縒れやすい領域であるため、圧搾溝14B/14Cを配置することで、縒れ耐性を高めることができる。
【0062】
さらに、低剛性領域50よりも長手方向Lの後方に、幅方向Wに延びる圧搾溝14Dが設けられている。
【0063】
かかる構成によれば、吸収性物品1の後端まで低剛性領域50の凸状の変形が伝播しにくくなるため、過度な変形(縒れ)を防ぐことができる。つまり、上層吸収体21が配置されていない後端部分は、面状に着用者の体に当接するように構成される。
【0064】
なお、圧搾溝14A及び14Dによって、本体部10と上層部20とが接合されている、具体的には、上層表面シート22と表面シート12と本体吸収体11とが接合されている。
【0065】
また、中央ウィング部40が設けられている領域では、吸収性物品1の幅方向Wにおいて、上層部20の両縁部は、圧搾溝14Aの外側に延出しないように配置されている。
【0066】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る吸収性物品1の製造方法の一部について説明する。なお、図3に記載されていない方法については、既存の方法を用いることができる。
【0067】
図3に示すように、ステップS101において、上層部20を生成する。
【0068】
具体的には、第1に、上層表面シート22用ウェブに対して、嵩回復処理や冷却処理を施して嵩を回復させる。
【0069】
第2に、上層吸収体21を所定の長さにカットし、ホットメルト接着剤を塗工した後に、上層表面シート22用ウェブ上に貼り合わせる。
【0070】
第3に、上層表面シート22用ウェブと上層吸収体21上にホットメルト接着剤を塗工して、セーラー工程にて3つに折り畳み、上層吸収体21を上層表面シート22用ウェブでラッピングする。
【0071】
第4に、上層表面シート22用ウェブにおいて、エンボス加工を行うことによって、上述の離間領域を形成する。
【0072】
ステップS102において、防漏壁30を生成する。
【0073】
具体的には、第1に、弾性部材32にホットメルト接着剤を塗工し、スリッターで半切された防漏シート31に合流させ、セーラー工程を経て、防漏壁30の基礎を形成する。
【0074】
第2に、防漏壁30の基礎を、表面シート12用ウェブに合流させ、エンボス加工によって、防漏壁30の基礎と表面シート12用ウェブとを接合する。
【0075】
第3に、セーラー工程によって、防漏壁30の基礎から、Ω状の防漏壁30を形成する。
【0076】
ステップS103において、3つに折り畳まれた上層表面シート22用ウェブに対して間欠的にホットメルト接着剤を塗工し、防漏壁30が形成された表面シート12用ウェブに張り合わせ、その後、エンボス加工によって、上層表面シート22用ウェブと表面シート12用ウェブとを接合する。
【0077】
ステップ104において、本体吸収体11を生成する。
【0078】
具体的には、第1に、ティッシュ上に粉砕されたパルプ及び吸収ポリマーを積層させ、セーラー工程にてティッシュでラップして、本体吸収体11の基礎を形成する。
【0079】
第2に、エンボス加工によって、本体吸収体11の基礎の厚みを、所定の厚みとする。
【0080】
第3に、吸収体カッターを用いて、本体吸収体11の基礎を、所定の寸法及び形状にカットすることによって、本体吸収体11を生成する。
【0081】
ステップ105において、上層表面シート22用ウェブ及び防漏壁30が接合されている表面シート12用ウェブに、本体吸収体11を張り合わせ、吸収性物品1の肌当接面側に、ヒンジシールにて所定の形状の圧搾溝を形成する。
【0082】
ステップS106において、裏面シート13用ウェブにホットメルト接着剤を塗工して、表面シート12用ウェブの吸収性物品1の肌非当接面側に合流させる。
【0083】
(変更例1)
図4及び図5を参照して、本発明の変更例1に係る吸収性物品1について、上述の第1の実施形態に係る吸収性物品1との相違点に着目して説明する。
【0084】
図4及び図5に示すように、本変更例1に係る吸収性物品としては、昼用の生理用ナプキンを例に挙げて説明する。すなわち、本変更例1に係る吸収性物品1には、中央ウィング部40は設けられているが、後方ウィング部は設けられていない。
【0085】
ここで、図4に示すように、低剛性領域50の幅方向Wの外側に、中央ウィング部40が設けられている。
【0086】
また、低剛性領域50よりも長手方向Lの前方に、幅方向Wに延びる圧搾溝114Fが設けられており、低剛性領域50よりも長手方向Lの後方に、幅方向Wに延びる圧搾溝114Gが設けられている。
【0087】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0088】
1…吸収性物品
10…本体部
11…本体吸収体
12…表面シート
13…裏面シート
14A、14B、14C、14D…圧搾溝
20…上層部
21…上層吸収体
22…上層表面シート
30…防漏壁
31…防漏シート
40…中央ウィング部
41…後方ウィング部
50…低剛性領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シートと、裏面シートと、該表面シートと該裏面シートとの間に配置される本体吸収体とを有する本体部を有する吸収性物品であって、
前記本体部の肌当接面側に、前記吸収性物品の長手方向に延びる上層部が設けられており、
前記上層部は、前記表面シートとは別体の上層表面シートを有しており、
前記吸収性物品の幅方向における前記上層部の寸法は、前記幅方向における前記本体部の寸法よりも小さくなるように構成されており、
前記上層部に対向する前記本体吸収体の前記幅方向の中心を含む中央領域が設けられており、
前記中央領域の少なくとも一部において、前記中央領域よりも曲げ剛性が低い低剛性領域が形成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記上層部は、前記低剛性領域に対向する領域の少なくとも一部において前記本体部に接合されていないことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記上層部は、前記本体吸収体とは別体の上層吸収体を有しており、
前記低剛性領域は、前記上層部内で前記上層吸収体が配置されている領域に少なくとも一部が対向する前記本体吸収体の領域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記幅方向における前記低剛性領域の寸法は、前記幅方向における前記上層吸収体の寸法よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記本体部の肌当接面側において、前記低剛性領域よりも前記幅方向の外側に、前記長手方向に延びる圧搾溝が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記本体部の肌当接面側において、前記低剛性領域よりも前記長手方向の後方に、前記幅方向に延びる圧搾溝が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記低剛性領域における前記本体吸収体の目付けは、前記低剛性領域の周辺領域における前記本体吸収体の目付けよりも低くなるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記本体部は、前記幅方向の両外側に延出する中央ウィング部を有し、
前記低剛性領域は、前記中央ウィング部よりも、前記長手方向の後方に形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記裏面シートの下着当接面側に、前記吸収性物品を下着に固定するための粘着剤が塗布されており、
前記低剛性領域の前記幅方向の中心を含む領域に対向する前記裏面シートの領域には、前記粘着剤が塗布されていないことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記低剛性領域は、前記本体吸収体が前記裏面シート側に凹んでいる凹部領域によって構成されており、
前記上層部は、前記凹部領域内に収まるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記低剛性領域の前記幅方向の外側に、中央ウィング部又は後方ウィング部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
表面シートと、裏面シートと、該表面シートと該裏面シートとの間に配置される本体吸収体とを有する本体部を有する生理用ナプキンであって、
前記本体部は、前記生理用ナプキンの幅方向の両外側に延出する中央ウィング部と、前記中央ウィング部よりも前記生理用ナプキンの長手方向の後方に設けられており前記幅方向の両外側に延出する後方ウィング部とを有し、
前記本体部の肌当接面側に、前記生理用ナプキンの長手方向に延びる上層部が設けられており、
前記上層部は、前記表面シートとは別体の上層表面シート及び前記本体吸収体とは別体の上層吸収体を有しており、
前記生理用ナプキンの幅方向における前記上層部の寸法は、前記幅方向における前記本体部の寸法よりも小さくなるように構成されており、
前記上層部に対向する前記本体吸収体の前記幅方向の中心を含む中央領域が設けられており、
前記中央領域内で、前記上層部内で前記上層吸収体が配置されている領域に少なくとも一部が対向する領域において、前記中央領域よりも曲げ剛性が低い低剛性領域が形成されており、
前記低剛性領域は、前記幅方向における前記本体部の寸法が最も小さい領域よりも、前記長手方向の後方に形成されており、
前記後方ウィング部は、前記低剛性領域の前記幅方向の外側に設けられており、
前記本体部及び前記上層部は、前記低剛性領域に対向する領域において接合されておらず、
前記幅方向における前記低剛性領域の寸法は、前記幅方向における前記上層吸収体の寸法よりも小さくなるように構成されており、
前記本体部の肌当接面側において、分断されている第1圧搾溝及び第2圧搾溝が少なくとも設けられており、
前記第1圧搾溝は、前記低剛性領域よりも前記幅方向の外側において、前記長手方向に延びており、
前記第2圧搾溝は、前記低剛性領域よりも前記幅方向の外側において、前記長手方向に延びており、かつ、前記低剛性領域に対向する領域よりも前記長手方向の後方において、前記幅方向に延びており、
前記低剛性領域における前記本体吸収体の目付けは、前記低剛性領域の周辺領域における前記本体吸収体の目付けよりも低くなるように構成されていることを特徴とする生理用ナプキン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−50626(P2012−50626A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195078(P2010−195078)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】