説明

吸収性物品

【課題】吸収された体液の隠蔽性が高く且つ肌触りがソフトにするために凹凸形状の表面シートを吸収性物品に使用する場合に、そのような特徴を減殺しないエンボスを有する吸収性物品を提供すること。
【解決手段】本発明の吸収性物品1は、肌当接面側に液透過性の表面シート2、非肌当接面側に裏面シート3、これら両シート間に配された吸収体4を具備する縦長の吸収性物品である。吸収性物品1の表面シート2は、2枚以上のシート2a,2bからなり、表面シート2には、連続しない4点以上の圧着部8で囲まれ且つ肌当接面側に突出する多数の凸部9が形成されている。また、表面シート2の凹凸部9,10とは別に、表面シート2と吸収体4とを部分的に固着する多数のエンボス7が、吸収性物品1の少なくとも長手方向の両側部に沿って、それぞれ離間されて設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン、失禁パッド、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収された液の隠蔽性が高い表面シートとして、2枚以上のシートから構成されており、肌当接面側のシートを凹凸形状に賦形した表面シートの技術が特許文献1に開示されている。このような表面シートは、吸収された体液の隠蔽性が高く、且つ肌触りがソフトなものである。このような表面シートを、例えば、生理用ナプキンに使用する場合、表面シートと吸収体とを固定するためにエンボスを設ける必要がある。引用文献2には、凹凸形状に賦形した表面シートと吸収体とを固定するために、略長円状に連結した環状エンボスを設ける技術が開示されている。
しかしながら、環状エンボスを設けた場合、せっかく賦形した表面シートの凹凸形状を広範囲で潰してしまい、表面シートの体液の隠蔽性を損ねてしまう。また、表面シートと吸収体とを固定するエンボスはプレス加工されているため、エンボス部分は硬くなり、環状エンボスのように範囲が広いと、表面シートの肌触りがソフトであるという特徴を低減してしまう。
【0003】
また、製品の幅方向からの体液の横漏れを防止するために、体液の排泄部領域の両側部に、それぞれ、長手方向に沿って連続して延びるエンボスを設けた吸収性物品の技術が引用文献3に開示されている。
しかしながら、生理用ナプキンにおいて、特に、体液の隠蔽性を高く且つ肌触りをソフトに保ちたい排泄部領域の両側部に、それぞれ、長手方向に連続して延びるエンボスを設けると、凹凸形状に賦形した表面シートの特徴を低減してしまう。
尚、引用文献に記載の生理用ナプキンに設けるエンボスの目的は、製品の幅方向からの体液の横漏れを防止するためであり、凹凸形状の表面シートの特徴を低減しないことについては、何ら記載されていない。
【0004】
また、表面シートと前記吸収体とを部分的に固着するエンボスが、分離して形成されており、長手方向の両側部に沿ってそれぞれ延びている生理用ナプキンの技術が引用文献4に開示されている。しかしながら、引用文献4には、凹凸形状の表面シートの特徴を低減しないことについて、何ら記載されていない。
【0005】
【特許文献1】特開2004−174234号公報
【特許文献2】特開2004−465号公報
【特許文献3】特開2005−102900号公報
【特許文献4】特開平2−121664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、吸収された体液の隠蔽性が高く且つ肌触りをソフトにするために凹凸形状の表面シートを吸収性物品に使用する場合に、表面シートの特徴である凹凸形状を損なうことなく、身体の形状や動きに適合し、モレやヨレ防止性を高めたエンボスを有する吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、肌当接面側に液透過性の表面シート、非肌当接面側に裏面シート、これら両シート間に配された吸収体を具備する縦長の吸収性物品であって、前記表面シートは、2枚以上の繊維シートからなる規則的な凹凸部を有するシートであり、該凸部は、4点以上の圧着部からなる凹部に囲まれ且つ肌当接面側に突出する多数の凸部が形成されており、前記表面シートの凹凸部とは別に、前記表面シートと前記吸収体とを部分的に固着する多数のエンボスを有し、該エンボスは、前記表面シートの肌当接面側に、前記吸収性物品の少なくとも長手方向の両側部に、それぞれが互いに離間されて設けられ、長手方向に隣り合う前記エンボスの間には、前記凸部が2個以上存在している吸収性物品を提供することにより前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吸収された体液の隠蔽性が高く且つ肌触りをソフトにするために凹凸形状の表面シートを吸収性物品に使用する場合に、表面シートの特徴である凹凸形状を損なうことなく、身体の形状や動きに適合し、モレやヨレ防止性を高めたエンボスを有する吸収性物品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の吸収性物品である生理用ナプキンの好ましい一実施形態について、図1〜6に基づいて説明する。尚、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を示している。
【0010】
図1は本実施形態の生理用ナプキン1の平面図であり、図2は吸収性物品1のX−X線の断面図である。
本実施形態の生理用ナプキン1は、図1,2に示すように、肌当接面側に配置された液透過性の表面シート2、非肌当接面側に配置された液難透過性の裏面シート3及びこれら両シート2,3間に介在された液保持性の吸水体4及び表面シート2の表面に生理用ナプキン1の長手方向の両側部に沿って設けられたサイド防漏シート5を具備し、サイド防漏シート5及び裏面シート2は、吸収体4の周縁から延出する部分において接合部6を形成し、実質的に縦長の生理用ナプキンである。
【0011】
本実施形態の生理用ナプキン1の表面シート2は、図3(a)に示すように、肌当接面側の第1表面シート2a及び非肌当接面側の第2表面シート2bの2枚の繊維シートからなり、表面シート2には、規則的な凹凸部が形成されている。図4に示すように、表面シート2には、連続しない4点の圧着部8からなる凹部10で囲まれ且つ肌当接面側に突出する多数の凸部9が形成されている。これらの圧着部8の大きさは、0.02〜10mm2、特に0.04〜3mm2であることが好ましい。
本実施形態の生理用ナプキン1は、図1,2に示すように、表面シート2の凹凸部9,10とは別に、表面シート2と吸収体4とを部分的に固着する多数のエンボス7が、表面シート2の肌当接面側に、生理用ナプキン1の長手方向の両側部に沿って、それぞれ離間されて設けられている吸収性物品である。
【0012】
本実施形態の生理用ナプキン1の表面シート2は、図3(a)に示すように、肌当接面側の第1表面シート2aと非肌当接面側の第2表面シート2bとの接合体から構成されている。表面シート2は、第1表面シート2aの立体賦形によって、実質的に平坦な第2表面シート2b上に、第1表面シート2aで形成された多数の凸部9を有するとともに、凸部9と隣接する凸部9との間に凹部10を有している。第1表面シート2aと第2表面シート2bとは多数の圧着部8により部分的に接合されている。第1表面シート2aは、着用者の肌当接面側に向けて突出しており、それよって多数の前記の凸部9を形成している。表面シート2の凸部9それぞれの内部は、図3(a)に示すように、肌当接面側の第1表面シート2aと非肌当接面側の第2表面シート2bとにより構成されており、中空構造である。本実施形態のそれぞれの凸部9は、4点の圧着部8からなる凹部10で囲まれているが、4点以上の圧着部8からなる凹部10で囲まれていることが好ましい。また、各圧着部8は、各凹部10の一部を形成している。
【0013】
本実施形態の生理用ナプキン1の表面シート2の凸部9及び凹部10は、図3(a)に示すX方向に沿って交互に配置されている。これと共に凸部9及び凹部10は、X方向と直交する方向であるY方向に沿っても交互に配置されている。表面シート2を第1表面シート2aの側から平面視すると、図4(a)に示すように、凸部9は、千鳥格子状に配置されている。凸部9を千鳥格子状に配置することにより、個々のエンボス7の押し付けに対してエンボス7周辺の個々の凸部9が形状を損なうことなく、形状を安定に保つことができる。
【0014】
また、凸部9を取り囲む圧着部8を4点と6点の組合せや5点と6点の組合せ等、圧着部を各々の凸部9に対して変化させることで、形状が異なる凸部9を組み合わせて配列をより複雑化することができる。
【0015】
本実施形態の生理用ナプキン1の表面シート2の凸部9は、全体として稜線が丸みを帯びた扁平な直方体、半球体又は截頭四角錐体となっている。凸部9は、図3(a)に示すように、X方向と平行に位置しかつ相対向する一対の第1壁部9aを有している。また凸部9は、X方向と直交する方向であるYと平行に位置しかつ相対向する一対の第2壁部9bを有している。更に凸部9は、各第1壁部9aの上辺及び各第2壁部9bの上辺と連なる天面部9cを有している。更に凸部9は、天面部9cと対向する面である底面部9dを有している。第1壁部9a、第2壁部9b及び天面部9cは、第1表面シート2aから構成されている。一方、底面部9dは、第2表面シート2bから構成されている。
特に凸部9の形状としては、凸部形状を安定させることで着用者の肌との接触面積を低減しムレない使用感を提供する観点、及び凹凸形状でありながら滑らかな肌触り感を提供できる観点から、稜線が丸みを帯びた扁平な直方体、つまり天面部9cが略平滑な形状であることが好ましい。また、上記理由から、天面部9cの面積よりも底面部9dの面積の方が大きく設計されていることが好ましい。更には、X方向を吸収性物品1の幅方向とした時、第1壁部9aに対して第2壁部9bの形状が上記底面部9dの方向に向かってより外側に、すなわちY軸を吸収性物品1の長手方向とした時上記底面部9dの前記長手方向の距離を長くする方向に開いた角度で設計されていることが、体液の幅方向の拡散を抑制し、横モレを防止させる観点から好ましい。なお、図4における円形破線部は、おおよその凸部範囲を概念的に示している。
【0016】
本実施形態の生理用ナプキン1の表面シート2の凸部9を構成する底面部9dの面積は、それぞれ、好ましくは、4〜100mm2であり、更に好ましくは、4〜20mm2である。底面部9dの面積が100mm2より広すぎると体液移行のための粗密勾配を効果的に形成できず、4mm2より狭すぎると凸形状が効果的に形成されない。また、図1,6に示す本発明の表面シート2の凸部9の高さhは、好ましくは、1〜10mmであり、更に好ましくは、1〜3mmである。凸部9の高さが10mmより高すぎると体液の引き込み性が低下し、1mmより低すぎると凸形状が効果的に形成されない。
【0017】
表面シート2の凸部9の高さhは、以下のようにして計測する。
先ず、表面シートのみあるいは吸収性物品の形態で断面を切り出す。切断の際、凸部9と圧縮部の断面が得られるようにし、切断にはフェザー安全剃刀(株)製FEATHER−S片刃(品番#FAS−10)を使用し、凸部9を恒常的に変形させないようにした。この状態で、キーエンス製、VH−8000マイクロスコープを25〜175倍のレンズユニットを取り付けて使用し、拡大観察をおこなった。この拡大観察によって、高さh以外にも後述する図6に示される各厚さも測定できる。
【0018】
本実施形態の生理用ナプキン1の凸部9を形成する第1表面シート2aは、その厚み方向に粗密勾配が形成されている。図6に示すように、凸部9の天面部9cの第1表面シート2aの厚みW1は、凸部9の裾部の第1表面シート2aの厚みW2よりも嵩高とされていることが、肌触りを良好とし、液を天面部9cに留めにくくする観点から好ましい。また、凸部9の底面部9dの第2表面シート2bの厚みW3と圧着部8に隣接する第2表面シート2bの厚みW4は、厚みの関係がW3>W4の関係になるようにされていることが、液戻りを防止し圧着部8の周辺に液を集め吸収体4へ液を移行させる観点から好ましい。凸部9の天面部9cと第1壁部9a及び第2壁部9bの裾部を比較すると、第1壁部9a及び第2壁部9bには凸部形成の延伸により不織布構造が伸ばされ繊維間が接近する(密度の高い)状態となっている。すなわち、凸部9を構成する天面部9cの密度が、一対の第1壁部9aの裾部の密度より低い。一対の第2壁部9bについても同様である。このように粗密勾配を第1表面シート2aに形成すれば、毛細管現象により、体液の吸収体4への移行をスムーズに行うことができる。また、凸部9の底面部9dの第2表面シート2bの厚みW4を最も薄くし、高密度化することにより、体液の引き込み性を一層強化できる。上記凸部9の底面部9dの第2表面シート2bの厚みW3については、高密度化が前提であり、上記凸部9の天面部9cの第1表面シート2aの厚みW1の繊維密度をD1、上記凸部9の裾部の第1表面シート2aの厚みW2の繊維密度をD2、上記凸部9の底面部9dの第2表面シート2bの厚みW3の繊維密度をD3とした時、繊維密度の関係が、D1>D2>D3となっていることが好ましい。更に言えば、前記表面シート2の圧着部8の繊維密度をD4とした時、繊維密度の関係が、D1>D2>D3>D4となっていることが好ましい。尚、図3(a),6に示すように、本実施形態の生理用ナプキン1の凸部9の内部は、中空状、即ち空洞になっている。
【0019】
本実施形態の生理用ナプキン1の表面シート2の圧着部8は、図3(a),4に示すように、X方向及びY方向に関して、千鳥格子状の配列パターンで形成されている。圧着部8の位置が、複合シート1における凹部10となる。従って、凹部10は千鳥格子状の配列パターンで形成されている。換言すれば、凹部10は、X方向及びY方向に関して列をなしている。図3(a)に示すように、X方向に沿う凹部10の列に着目した場合、隣り合う当該列においては、凹部10の配置が半ピッチずれている。Y方向においても同様である。
【0020】
本実施形態の生理用ナプキン1の表面シート2の圧着部8は、図4(a)に示すように、圧着部8のうちの、菱形の四隅となる4つの圧着部8a,8b,8c,8dからなり、圧着部8a,8b,8c,8dによって囲まれた領域は、凸部9となっている。図3(a),4から明らかなように、各凸部9は、それぞれが別個に独立して存在しているのではなく、任意の1つの凸部9に着目したとき、X方向(及びY方向)に関して斜め前方に位置する2つの凸部9、及び斜め後方に位置する2つの凸部9と連結している。凸部9どうしの連結部の高さは、凸部9の頂部の高さよりも低くなっている。一方、凹部10に関しては、各凹部は、それぞれが別個に独立して存在している。
【0021】
本実施形態の生理用ナプキン1のエンボス7は、表面シート2と吸収体4とを部分的に固着するものであり、図1に示すように、生理用ナプキン1の肌当接面側に長手方向の両側部に沿って、それぞれ離間されて設けられている。このように生理用ナプキン1の中央領域には、エンボス7が形成されていないため、中央部においては表面シートの肌触りを充分に活かし、かつ側部における液モレを防止することができる。なお、中央部にエンボスを形成することは可能であるが、上記効果を損なわないよう数を少なくしたり、大きさを小さくする等、肌触りに対する配慮が必要である。本実施形態の生理用ナプキン1のエンボス7の形状は、図1,5に示すように円状であるが、矩形状、多角形等であっても良い。
また、必要に応じて、長手方向の両側部に沿った個々のエンボス7の形状と幅方向両端部に沿った個々のエンボス7の形状とを異なるものに設計してもよい。
更には、長手方向の両側部に沿った個々のエンボス7の形状の内、排泄部位に近い位置ほど個々のエンボス7の面積を大きくしてもよい。
【0022】
本実施形態生理用ナプキン1のエンボス7それぞれの底面は、図2に示すように、表面シート2の圧着部8よりも非肌当接面側に窪んでおり、エンボス7それぞれの底面の大きさは、図5に示すように、圧着部8より大きく、好ましくは、凸部9の底面部9dの面積の平均値の4倍以下であり、更に好ましくは、2倍以下である。エンボス7の面積が、底面部9dの面積の4倍以下であれば凹凸形状の表面シート2の特徴が低減されない。
さらに本実施形態の生理用ナプキン1の表面シート2のエンボス7それぞれの大きさは、凸部9を連続して3個以下を圧縮する大きさであることが好ましい。エンボス7の大きさが、凸部9を連続して3個以下を圧縮する大きさにすると、エンボス7による溝が形成されず、凹凸形状の表面シート2の特長が低減しない。ここで、連続して3個以上圧縮しない大きさとは、図5に示すように、X方向に関して列をなす凸部9を連続して3個以上圧縮しないこと、又はY方向に関して列をなす凸部9を連続して3個以上圧縮しないことを示す。
【0023】
本実施形態の生理用ナプキン1の生理用ナプキン1のエンボス7は、図5に示すように、生理用ナプキン1の長手方向に隣り合うエンボス7の間に、凸部9が連続して2個以上存在するように設けられることが好ましい。隣り合うエンボス7間に、凸部9が2個未満であると、エンボス7による溝が形成され、凹凸形状の表面シート2の特長が低減する。
【0024】
本実施形態のエンボス7は、吸収体4の表面と一体化され、かつ吸収体4に窪みを形成していることから、表面シート2の圧着部8よりエンボス7は吸収体4に近接しているため、液が吸収体4へ移動しやすくされている。この効果は、表面シート2の凸部9から吸収体4への移動においておこるだけでなく、吸収しきれないほど多量の液が排出された場合であっても、千鳥配置や複雑化された凸部9の配置によって表面シート2の圧縮部8の表面を流れる液の経路においても同様である。
【0025】
本発明に好ましく使用できる吸収体4としては、柔軟なものであれば特に限定されないが、エンボス7の深さが大きいとエンボス7直下の表面シート2の凸部9だけでなく、その周囲の凸部9の形状が崩れ、液の広がりを端部から回避させる効果や肌触りの低下を起こす虞があるため、エンボス7それぞれの大きさは、1〜4mm、より好ましくは1.5〜2.5mmであることが好ましい。
【0026】
本実施形態の生理用ナプキン1の表面シート2を構成する第1表面シート2aと第2表面シート2bとしては、従来の吸収性物品等において用いられる各種材料を用いることができる。第1表面シート2aと第2表面シート2bは、実質的に非伸縮性である繊維シートを用いることが好ましい。
【0027】
本実施形態の生理用ナプキン1の裏面シート3、吸収体4及びサイド防漏シート5としては、従来の吸収性物品等において用いられる各種材料を用いることができる。裏面シート3としては、例えば、水蒸気透過性で且つ液難透過性のフィルムシートである。また、サイド防漏シート5としては、例えば、撥水性のスパンボンド不織布である。また、吸収体4としては、例えば、フラッフパルプと高吸収性ポリマー粒子との混合物がティッシュペーパーに包被されて構成されている。
【0028】
本実施形態の生理用ナプキン1の圧着部4及びエンボス7の形成方法としては、公知のエンボス法を利用することができる。例えば、超音波エンボス、熱エンボスが利用できる。本実施形態の圧着部4及びエンボス7は、超音波エンボスにより形成されている。
【0029】
次に上述した本発明の一実施形態の生理用ナプキン1を使用した際の作用効果について説明する。
本実施形態の生理用ナプキン1は、図3(a)に示すように、上面側に突出する無数の凸部9を有する表面シート2を備えている。表面シート2は、凸部9の内部が中空構造(空洞)であることから、吸収体4に吸収された体液の色が、表面シート側から見て減殺されるという隠蔽効果がある。また、表面シート2は、多数の凸部9と着用者の肌とが接触するので、接触面積が少なく、肌触りがソフトで且つ滑らかなものである。更に、本実施形態の生理用ナプキン1は、図1に示すように、表面シート2と吸収体4とを部分的に固着する多数のエンボス7を備えている。多数のエンボス7は、生理用ナプキン1の長手方向の両側部に沿って設けられているので、着用者の体液排泄部に当接される生理用ナプキン1の中央領域である排泄部領域には、エンボス7が存在しない。また、多数のエンボス7は、それぞれ所定の大きさで所定の位置に離間して設けられているので、表面シート2の凹凸形状を広範囲で潰してしまうことがなく、エンボスのプレス加工による剛性の向上を抑えることができる。よって、生理用ナプキン1は、表面シート2の特徴を減殺しないエンボス7を備えているので、体液の隠蔽性及び肌触りのソフト感に優れている。
【0030】
また、本実施形態の生理用ナプキン1は、横漏れを防止するために、表面シートと吸収体とを固着するエンボスを生理用ナプキンの長手方向の両側部に沿って連続して延びるように設けなくても、表面シート2の凸部9によって取り囲まれて形成された凹部10内に体液を捕捉することができ、また、凸部9を形成する第1表面シート2aは、その厚み方向に粗密勾配が形成されているので吸収体4への体液の移行がスムーズであるので、横漏れを防止することができる。さらに、凸部9の千鳥配置や圧縮部8の組合せ等によって、仮に表面シート2の吸収速度を超える多量の液が排泄されても、表面シート2上を流れる液は一方向に向かわず分散されるため、表面シート2の圧縮部8や凹部10によって液を補足し横漏れを防止できる。
【0031】
本発明の吸収性物品は、上述の実施形態の生理用ナプキンに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の実施形態の生理用ナプキンにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【0032】
例えば、上述の生理用ナプキン1の実施形態においては、表面シート2を2枚のシートから構成しているが、2枚以上のシートから構成しても良い。
【0033】
また、上述の生理用ナプキン1の実施形態においては、表面シート2の凸部9は、図3(a),図4(a)に示すように、菱形の四隅となる4つの圧着部8a,8b,8c,8dで囲まれているが、図3(b),図4(b)に示すように、6つの圧着部8a,8b,8c,8d,8e,8fで凸部9’を囲んでも良い。6つの圧着部8a,8b,8c,8d,8e,8fで凸部9’を囲むことにより、凸部9’は、平面視で円に近づけることができる。
【0034】
また、上述の生理用ナプキン1の実施形態においては、生理用ナプキン1の凸部9の内部は、中空構造(空洞)であるが、中空構造(空洞)でなくても良い。
【0035】
また、上述の生理用ナプキン1の実施形態における表面シート2において、凸部9の天面部9cの密度が、一対の第1壁部9aの裾部の密度より低く形成されているが、密度勾配を付けなくても良く、逆に、凸部9の天面部9cの密度を一対の第1壁部9aの裾部の密度より高く形成しても良い。一対の第2壁部9cについても同様である。
【0036】
また、上述の生理用ナプキン1の実施形態においては、表面シート2の凸部9及び凹部10の列は、千鳥格子状の配列パターンで形成されているが、凹凸形状の表面シート2の特徴が低減されない配列ならば、千鳥格子状の配列パターンでなくても良い。
【0037】
本発明の吸収性物品は、生理用ナプキン以外にも、例えば、パンティーライナー、失禁パッド、展開型の使い捨ておむつ、パンツ型の使い捨ておむつ等の吸収性物品に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の吸収性物品の一実施形態の平面図である。
【図2】図1の吸収性物品のX−X断面図である。
【図3】(a)図1の吸収性物品の表面シートの斜視図である。(b)吸収性物品の他の表面シートの斜視図である。
【図4】(a)図3(a)に示される表面シートの平面図の拡大図である。(b)図3(b)に示される他の表面シートの平面図の拡大図である。
【図5】図1の吸収性物品の平面図の拡大図である。
【図6】図1の吸収性物品の表面シートの凸部の断面図の拡大図である。
【符号の説明】
【0039】
1 吸収性物品(生理用ナプキン)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 サイド防漏シート
6 接合部
7 エンボス
8 圧着部
8a,8b,8c,8c,8d,8e,8f 圧着部
9,9’ 凸部
9a 第1壁部、9b 第2壁部、9c 天面部、9d 底面部
10 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌当接面側に液透過性の表面シート、非肌当接面側に裏面シート、これら両シート間に配された吸収体を具備する縦長の吸収性物品であって、
前記表面シートは、2枚以上の繊維シートからなる規則的な凹凸部を有するシートであり、該凸部は、4点以上の圧着部からなる凹部に囲まれ且つ肌当接面側に突出する多数の凸部が形成されており、
前記表面シートの凹凸部とは別に、前記表面シートと前記吸収体とを部分的に固着する多数のエンボスを有し、該エンボスは、前記表面シートの肌当接面側に、前記吸収性物品の少なくとも長手方向の両側部に、それぞれが互いに離間されて設けられ、長手方向に隣り合う前記エンボスの間には、前記凸部が2個以上存在している吸収性物品。
【請求項2】
前記エンボスは側部領域に形成され、中央領域に形成されていない請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記エンボス底面の大きさは、前記凸部の底面積の平均値の4倍以下である請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記表面シートの凸部それぞれの底面積は、4〜100mm2で、それらの高さは、1〜10mmであり、該エンボス底面は、前記凹凸表面シートの圧着部よりも非肌当接面側に窪んでいる請求項1〜3何れか記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記表面シートの凸部それぞれの内部は、該表面シートを構成する2枚のシートにより中空構造である、請求項1〜4何れか記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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