説明

吸収性物品

【課題】装着時のフィット性に優れると共に、装着後の身体の動き等によってもよれにくく漏れ防止性に優れた吸収性物品を提供すること
【解決手段】表面シート10、裏面シート20及び表面シート10と裏面シート20との間に配置される吸収体30を備える縦長状の生理用ナプキン1における身体当接面側であって、生理用ナプキン1の長手方向LDにおける後方部BPに、後方圧縮溝42を備える。後方圧縮溝42は、吸収性物品1の幅方向WDに沿うように形成される一対の横圧縮溝部421、421を備える。一対の横圧縮溝部421、421は、生理用ナプキン1の幅方向WD中央において、中心線CLを対称軸として互いに離間するように略線対称に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生理用ナプキン等の吸収性物品には、フィット性及び漏れ防止性を向上させるべく、種々の提案がなされている。
例えば、生理用ナプキンの装着時における身体へのフィット性を向上させるために、生理用ナプキンの後方部に長手方向に延びる一対の立体溝が設けられ、該一対の立体溝は、後端部に向かうにつれてその間隔が漸次大きくなるように形成されている生理用ナプキンが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1記載の生理用ナプキンは、装着時には身体の形状に沿って変形し、フィット性に優れるが、装着後の身体の動きによって生理用ナプキンがよれてしまい、漏れの原因となるという問題があった。
【0003】
また、装着後における生理用ナプキンのよれを防ぐことを目的として、生理用ナプキンの長手方向両端近傍において、生理用ナプキンの長手方向に延びる中心軸に略垂直となるように該中心軸を横断し、かつ生理用ナプキンの幅方向の長さの50%以上を占める硬化要素が形成されたものも提案されている(特許文献2参照)。しかし、特許文献2記載の生理用ナプキンは、硬化要素が中心軸を跨いで形成されているため、装着時に身体の形状、特に臀部における溝の形状に沿いにくくフィット性が悪いという問題があった。
【特許文献1】特開10−201788号公報
【特許文献2】特開10−225480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、装着時のフィット性に優れると共に、装着後の身体の動き等によってもよれにくく漏れ防止性に優れた吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体を備える縦長状の吸収性物品であって、該吸収性物品の長手方向における一端である後縁側に位置する後方部には後方圧縮溝が設けられ、前記後方圧縮溝は、該吸収性物品の幅方向に延び、互いに離間する一対の横圧縮溝部を有し、該一対の横圧縮溝部は、該吸収性物品を幅方向に二分し長手方向に延びる縦中心線を対称軸として略線対称に形成される吸収性物品。
【0006】
(2)前記一対の横圧縮溝部それぞれは、略直線状に形成される(1)に記載の吸収性物品。
【0007】
(3)前記後方圧縮溝は、前記一対の横圧縮溝部それぞれにおける前記幅方向の内方に連続して形成され、前記縦中心線を対称軸として略線対称に形成される内方圧縮溝部を有する(1)又(2)に記載の吸収性物品。
【0008】
(4)前記内方圧縮溝部は、前記縦中心線を挟んで形成される一対の内方圧縮溝部であり、前記一対の内方圧縮溝部それぞれにおける前記縦中心線側の端部は、該端部それぞれから延びる仮想延長線が互いに交差するように形成される(3)に記載の吸収性物品。
【0009】
(5)前記後方圧縮溝は、前記一対の横圧縮溝部それぞれにおける前記幅方向の外方に連続して形成される一対の外方圧縮溝部を有し、該一対の外方圧縮溝部それぞれは、該一対の外方圧縮溝部それぞれにおける前記幅方向外方に位置する一端が、前記一対の横圧縮溝部よりも該吸収性物品における前縁側に位置するように形成される(1)から(4)のいずれかに記載の吸収性物品。
【0010】
(6)該吸収性物品の前記長手方向における中央部に形成される一対の中央圧縮溝を更に備える(1)から(5)のいずれかに記載の吸収性物品。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、装着時のフィット性に優れると共に、装着後の身体の動き等によってもよれにくく漏れ防止性に優れた吸収性物品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について図を用いて説明する。
図1は、本発明の好適な第1実施形態における生理用ナプキン1の平面図である。図2は、図1におけるA−A断面図である。図3は、本発明の好適な第2実施形態における生理用ナプキン1の平面図である。図4は、本発明の好適な第3実施形態における生理用ナプキン1の平面図である。図5は、本発明の好適な第4実施形態における生理用ナプキン1の平面図である。図6は、本発明の好適な第5実施形態における生理用ナプキン1の平面図である。
【0013】
1.第1実施形態
1−1.概要
図1に示すように、吸収性物品の例として、生理用ナプキン1について説明する。生理用ナプキン1は、液透過性の表面シート10と、液不透過性の裏面シート20と、これら両者間に配置される液保持性の吸収体30と、を備え、縦長状に形成されている。
【0014】
ここで、生理用ナプキン1の長手方向LDにおける、前方縁3からウイング2、2の前方縁3側の根本部分までを前方部FP、ウイング2、2の前方縁3側の根本部分から後方縁4側の根本までを中央部CP、ウイング2、2の後方縁4側の根本部分から後方縁4までを後方部BPとする。
【0015】
表面シート10は、吸収体30の全面を覆うように配置され、吸収体30に当接する面とは反対側の面に身体が当接する。また、表面シート10における身体当接面側であって、吸収体30の幅方向WD両側部に重なるように、長手方向LDに沿ってサイドシート11がそれぞれ配置される。表面シート10と一対のサイドシート11、11とは、それぞれ吸収体30の幅方向WD両側に対応する部分について、長手方向LDに沿ってホットメルト接着剤で互いに接合される。一対のサイドシート11、11それぞれは、吸収体30の両側に対応する部分からその一部が幅方向WD外方に延出し、裏面シート20と共にウイング2、2を形成する。
【0016】
裏面シート20は、吸収体30における表面シート10とは反対側の面において、吸収体30の全面を覆うように配置され、着衣である下着に当接する。裏面シート20は、吸収体30における下着当接面側全域を覆うと共に、吸収体30の両側に対応する部分からその一部が幅方向WD外方に延出して一対のサイドシート11、11と共に一対のウイング2、2を形成する。なお、ウイング2は、サイドシート11と裏面シート20がそれぞれホットメルト接着剤で接合されることにより、形成される。
【0017】
第1実施形態においては、一対のウイング2、2は、それぞれ生理用ナプキン1の中央部CPにおいて、幅方向WD外方に延出するように形成される。
【0018】
裏面シート20及び一対のウイング2、2それぞれの下着当接面側には、それぞれ粘着材が塗布されたズレ止め部及びウイング側ズレ止め部(いずれも図示せず)が形成される。
【0019】
1−2.圧縮溝
図1に示すように、生理用ナプキン1の表面シート10が配置される側には、中央圧縮溝41及び後方圧縮溝42が形成される。中央圧縮溝41は、生理用ナプキン1の中央部CPに形成される。後方圧縮溝42は、生理用ナプキン1の後方部BPに形成される。第1実施形態においては、中央圧縮溝41及び後方圧縮溝42は、縦中心線CLを対称軸として略線対称にそれぞれ一対ずつ設けられている。
【0020】
図1に示すように、後方圧縮溝42は、後方部BPにおいて、生理用ナプキン1の幅方向WDに延びるように一対形成される。一対の後方圧縮溝42、42は、生理用ナプキン1の幅方向WDに延び、互いに離間して形成される横圧縮溝部421、421をそれぞれ有する。本実施形態においては、横圧縮溝部421、421は、後方圧縮溝42、42の全体を構成する。
【0021】
横圧縮溝部421、421は、生理用ナプキン1を幅方向WDに二分し、長手方向LDに延びる縦中心線CLを対称軸として、略線対称に形成される。また、横圧縮溝部421、421は、縦中心線CLを中心に互いに離間して形成される。つまり、生理用ナプキン1の幅方向WD中央には、横圧縮溝部421、421は形成されない。また、一対の横圧縮溝部421、421は、その生理用ナプキン1の幅方向WD外方側に位置する端部は、サイドシート11が配置される位置よりも、幅方向WD内方に位置するように形成される。
【0022】
一対の横圧縮溝部421、421それぞれは、一対の横圧縮溝部421、421と、生理用ナプキン1の幅方向WDに延びる直線とのなす角度が0から20度の範囲内となるように形成されることが好ましい。横圧縮溝部421が上記の角度の範囲内となるように形成されることにより、生理用ナプキン1の後方部BPが幅方向WD外方側からかけられる力に対する剛性を維持することができる。横圧縮溝部421が、上記の角度の範囲外となるように形成される場合には、後方部BPが幅方向WD外方側からかけられる力に対する剛性を十分に維持することができなくなる。
【0023】
一対の横圧縮溝部421、421は、それぞれ略直線状に形成される。また、第1実施形態においては、一対の横圧縮溝部421、421は、一対の横圧縮溝部421、421それぞれと、生理用ナプキン1の幅方向WDに延びる直線とのなす角度が、0度となるように形成される。
【0024】
横圧縮溝部421は、後述の位置Zから後方縁4側に向かって、好ましくは、80mmから300mmの離れた範囲内となるように形成される。詳しくは、横圧縮溝部421は、横圧縮溝部421の前方縁3側が位置Zから後方縁4側に80mm離れた位置から、横圧縮溝部421の後方縁4側端部が位置Zから300mm離れた位置の範囲内になるように形成される。本実施形態においては、横圧縮溝部421は、位置Zから横圧縮溝部421の後方縁4側端部までの距離が、130mmの位置となるように形成される。位置Zから横圧縮溝部421の前方縁3側端部までの距離が80mmより短い場合には、臀部の溝に対応する箇所に横圧縮溝部421が配置されないおそれがあり、生理用ナプキン1の後方部BPにおいて、装着時に圧力がかかりやすい箇所でヨレが生じる可能性がある。また、位置Zから横圧縮溝部421の後方縁4側端部までの距離が300mmよりも離れた場合にも、横圧縮溝部421が臀部の溝よりも身体の後ろ方向に配置されるおそれがあり、最も動きのある臀部の溝に当接された箇所においてヨレが生じる可能性がある。
【0025】
また、一対の横圧縮溝部421、421の幅方向WDにおける長さは、好ましくは7から40mm、さらに好ましくは、15から30mmである。7mmより小さい場合は、十分な剛性を維持することができず、ヨレてしまう危険がある。また、40mmより大きい場合には、生理用ナプキン1の幅方向WDにおけるほぼ全域にわたって剛性部分が形成されるため、生理用ナプキン1全体が厚さ方向に凸状に変形することを妨げる可能性がある。
【0026】
中央圧縮溝41は、生理用ナプキン1の中央部CPにおいて、長手方向LDに沿うように一対形成される。中央圧縮溝41、41は、曲線で形成され、生理用ナプキン1の幅方向WD内方に向かって湾曲し、弧を描くように形成される。具体的には、一対の中央圧縮溝41、41の長手方向LD中央において、幅方向WD間の長さが最も短くなるように形成される。一対の中央圧縮溝41、41は、ウイング2、2における前方縁3側の根本部分近傍から、一対のウイング2、2それぞれにおける後方縁4側の根本部分の近傍にかけて形成される。
【0027】
ここで、一対の中央圧縮溝41、41において、一対の中央圧縮溝41、41間の距離が最短の長さとなる点を幅方向WDにつなぐ線と、生理用ナプキン1を幅方向WDに二分するように延びる縦中心線CLとの交点を位置Zとする。この位置Zは、生理用ナプキン1に排泄口が当接すると想定される位置である。
【0028】
図2に示すように、一対の中央圧縮溝41、41及び一対の横圧縮溝部421、421は、それぞれ表面シート10と吸収体30とを圧縮して接合することにより形成される。また、中央圧縮溝41、41及び横圧縮溝部421、421は、それぞれ高い圧力で圧縮された高圧縮部411と、高圧縮部411よりも低い圧力で圧縮された低圧縮部412とが交互に連続的に形成されることにより形成される。中央圧縮溝41、41及び横圧縮溝部421、421は、表面シート10と吸収体30とが圧縮一体化されることにより、中央圧縮溝41、41及び横圧縮溝部421、421が形成されない他の領域よりも剛性が高くなる。
【0029】
横圧縮溝部421、421及び中央圧縮溝41、41が形成される部分における剛性は、0.5N/インチ以上であることが好ましい。横圧縮溝部421、421及び中央圧縮溝41、41が形成される部分における剛性が0.5N/インチより小さい場合には、生理用ナプキン1に対して幅方向WD内方側への力がかけられた場合に、該生理用ナプキン1の後方部BPを平面状に維持することができず、使用中に生理用ナプキン1がよれる場合がある。
【0030】
第1実施形態によれば、生理用ナプキン1は、後方部BPにおいて幅方向WDに沿って互いに離間した一対の後方圧縮溝42、42を備え、一対の後方圧縮溝42、42はそれぞれ横圧縮溝部421、421を有する。横圧縮溝部421、421は、幅方向WDに延びるように形成されるため、幅方向WDへの剛性を他の領域に比べて高くすることができる。その結果、生理用ナプキン1装着中の動作時に、臀部の肉が左右に動くことにより生理用ナプキン1にかかる力や、歩行時の足回りからかかる左右からの力に対し生理用ナプキン1の後方部BPがよれにくくなり、漏れを防ぐことができる。
【0031】
さらには、一対の横圧縮溝部421、421が生理用ナプキン1の幅方向WD中央で互いに離間して形成されるため、一対の横圧縮溝部421、421間の領域が、生理用ナプキン1の肌当接面側に厚さ方向に凸状に変形することを妨げない。したがって、生理用ナプキン1の後方部BPにおける幅方向WD外方部分については、変形することを抑制しつつ、生理用ナプキン1の装着時において臀裂に沿うように変形して密着させることができるので、身体と生理用ナプキン1との隙間が生じることによる漏れを防ぐことができる。
【0032】
また、一対の横圧縮溝部421、421は、縦中心線CLを中心に互いに離間して形成される。つまり、生理用ナプキン1の幅方向WD中央には圧縮溝のような剛性要素が形成されない。このため、生理用ナプキン1の後方部BPに、生理用ナプキン1の幅方向WD内方側への力が加えられた場合に、剛性要素が形成されない縦中心線CL近傍部において、内方側への力を緩衝し、後方部BP全体が変形することを防止することができる。
【0033】
また、一対の横圧縮溝部421、421が離間して形成されるため、生理用ナプキン1を装着して歩行する際に、足の動きにより該生理用ナプキン1の幅方向WD内方へ向けて異なる力のかかり方となった場合でも、横圧縮溝部421、421がそれぞれ独立してその足の動きに応じて動くことができる。このため、生理用ナプキン1の装着感を向上させることができる。
【0034】
2.他の実施形態
図3から図6を用いて他の実施形態について説明する。第2実施形態及び第3実施形態は、後方圧縮溝42の形状において第1実施形態と異なる。第4実施形態は、後方圧縮溝及び42中央圧縮溝41の形状において第1実施形態と異なる。第5実施形態は、後方圧縮溝42、中央圧縮溝41、吸収体30及び生理用ナプキン1の形状において第1実施形態と異なる。なお、以下の実施形態においては、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の部分は同一の符号を付している。
【0035】
2−1.第2実施形態
図3に示すように、第2実施形態の生理用ナプキン1は、一対の後方圧縮溝42、42が、横圧縮溝部421、421それぞれの幅方向WD内方に連続して形成される内方圧縮溝部422、422を有する点で、第1実施形態と異なる。
【0036】
第2実施形態においては、横圧縮溝部421は、生理用ナプキン1の幅方向WDに延びるなだらかな曲線で形成される。また、横圧縮溝部421は、横圧縮溝部421と、生理用ナプキン1の幅方向WDに延びる直線とのなす角度が5度となるように形成される。言い換えると、横圧縮溝部421における縦中心線CL側から延びる仮想延長線V、Vと縦中心線CLとのなす角度が85度となるように形成される。
【0037】
内方圧縮溝部422は、縦中心線CLを挟んで形成される一対の内方圧縮溝部422、422であり、一対の内方圧縮溝部422、422それぞれにおける縦中心線CK側の端部は、該端部それぞれから延びる仮想延長線V、Vが互いに交差するように形成される。詳細には、一対の内方圧縮溝部422、422は、一対の横圧縮溝部421、421それぞれにおける幅方向WD内方側の端部から、前方縁3側に向けて長手方向LDに延びるように形成される。また、一対の内方圧縮溝部422は、前方縁3側に向けて互いの間隔が徐々に狭まるように形成される。さらに、内方圧縮溝部422、422それぞれにおける縦中心線CL側、すなわち前方縁3側に位置する一端部から前方縁3側に向けて延びる仮想延長線V、Vそれぞれは、互いに交差するように形成される。そして、後方圧縮溝42は、全体として曲線で形成される。
【0038】
位置Zから、仮想延長線V、Vの交点Pまでの距離は、好ましくは30から300mmである。第2実施形態においては、位置Zから交点Pまでの距離は、例えば65mmである。位置Zから交点Pまでの距離が30mmより小さい場合には、後方圧縮溝42、42が互いに離間していることにより、生理用ナプキン1の幅方向WD中央に形成される凸型の変形部分が、生理用ナプキン1の装着時に臀裂の位置に対応しなくなるおそれがある。また、位置Zから交点Pまでの距離が300mmより大きい場合には、生理用ナプキン1の装着時に上述の変形部分が臀裂よりも後方に位置するようになるおそれがある。
【0039】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する他、生理用ナプキン1は、前方縁3側に向けて仮想延長線V、Vが交わるように長手方向LDに延びる内方圧縮溝部422、422が形成されることにより、生理用ナプキン1の幅方向WD中央が装着時に身体側に凸となるように変形することを促す。そして、生理用ナプキン1の後方部BPがよれることを防止することができ、同時に生理用ナプキン1が身体に沿うように変形して漏れを防ぐことができる。
【0040】
2−2.第3実施形態
図4に示すように、第3実施形態について説明する。第3実施形態における生理用ナプキン1は、一対の後方圧縮溝42、42が、一対の横圧縮溝部421、421それぞれにおける幅方向WD外方側の端部に連続して形成される一対の外方圧縮溝部423、423を有する他は、第2実施形態と同様の構成である。
【0041】
第3実施形態における後方圧縮溝42、42は、それぞれ、横圧縮溝部421、421と、横圧縮溝部421、421の幅方向WD内方に位置する端部から連続して形成される内方圧縮溝部422、422と、横圧縮溝部421、421の幅方向WD外方に位置する端部から連続して形成される外方圧縮溝部423、423とを有する。
【0042】
外方圧縮溝部423、423は、横圧縮溝部421、421それぞれにおける幅方向WD外方に位置する端部から連続して形成される。また、外方圧縮溝部423、423それぞれは、外方圧縮溝部423、423それぞれにおける幅方向WD外方に位置する一端が、横圧縮溝部421、421よりも、前方縁3側に位置するように形成される。
詳細には、外方圧縮溝部423、423は、横圧縮溝部421、421それぞれの幅方向WD外方に位置する端部に連続するように形成され、生理用ナプキン1の幅方向WD外方側にむけて凸となるような曲線で形成される。そして、外方圧縮溝部423、423における横圧縮溝部421、421側とは反対側の端部が、横圧縮溝部421、421が形成された位置よりも長手方向LDに前方縁3側に形成される。
【0043】
第3実施形態によれば、第2実施形態と同様の効果を奏する他、生理用ナプキン1の装着時において、後方縁4側に横圧縮溝部421、内方圧縮溝部422、外方圧縮溝部423で囲まれた領域が形成されるので、生理用ナプキン1に対して幅方向WD内方への力がかけられた場合でも、囲まれた領域が変形されないように維持することができる。したがって、後方部BPが幅方向WD内方側にかけられる力に対して変形することを抑制することができる。
【0044】
また、後方圧縮溝42、42の幅方向WD外方側が前方縁3側に向くように形成されるので、排泄物等の液体が流れてきた場合でも、液体が後方圧縮溝42、42それぞれに落とし込まれるので、漏れを防ぐことができる。
【0045】
2−3.第4実施形態
図5に示すように、第4実施形態について説明する。第4実施形態における生理用ナプキン1は、一対の後方圧縮溝42、42が幅方向WD中央において互いに連結され、一対の後方圧縮溝42、42と一対の中央圧縮溝41、41とは、後方圧縮溝42、42それぞれの幅方向WD外方側端部と、中央圧縮溝41、41それぞれの後方縁4側端部とが互いに連結され、さらに、前方縁3側に向けて凸となるように湾曲した前方圧縮溝43の後方縁4側端部と、中央圧縮溝41、41それぞれの前方縁3側端部とが互いに連結される。そして、中央圧縮溝41、後方圧縮溝42、前方圧縮溝43全体で環状に形成された圧縮溝を有する他は、第3実施形態と同様の構成である。
【0046】
具体的には、後方部BPにおいて、後方圧縮溝42は、横圧縮溝部421、内方圧縮溝部422及び外方圧縮溝部423で形成される。一対の内方圧縮溝部422は、一対の横圧縮溝部421、421それぞれにおける幅方向WD内方側に位置する側から、縦中心線CLに向けて凸となるようななだらかな曲線で形成され、かつ内方圧縮溝部422は、縦中心線CL上で互いに連結される。
一対の外方圧縮溝部423、423は、一対の横圧縮溝部421、421それぞれの幅方向WD外方側に位置する側から、幅方向WD外方側に向けて凸となるような曲線で形成される。また、一対の外方圧縮溝部423、423における幅方向WD外方側に位置する側は、前方縁3側に向けて延びるように形成され、かつ幅方向WD内方側に互いに近づくように形成され、一対の中央圧縮溝41、41それぞれに接続される。
【0047】
一対の中央圧縮溝41、41は、生理用ナプキン1における中央部CPから後方部BPの前方縁3側にかけて形成される。中央圧縮溝41は、長手方向LDの両端側が幅方向WD外方に向けて凸となるような曲線で形成され、長手方向LDの中央部分が幅方向WD内方側に向けて凸となるような、なだらかな曲線となるように形成される。そして、一対の中央圧縮溝41、41それぞれにおける後方縁4側に位置する端部が後方圧縮溝42、42それぞれに接続される。また、一対の中央圧縮溝41、41における前方縁3側に位置する端部は、それぞれ前方圧縮溝43に互いに接続される。
【0048】
前方圧縮溝43は、中央部CPにおける前方縁3側から前方部FPにかけて形成される。前方圧縮溝43は、一対の中央圧縮溝41、41それぞれの前方縁3側に位置する端部から連続して前方縁3側に凸となるような曲線で形成される。したがって、第4実施形態における生理用ナプキン1においては、後方圧縮溝42、中央圧縮溝41及び前方圧縮溝43は、それぞれ互いに連結され、全体として環状となるように形成される。
【0049】
第4実施形態によれば、生理用ナプキン1は、後方圧縮溝42、中央圧縮溝41及び前方圧縮溝43がそれぞれ連結され、全体として略環状に形成された圧縮溝を有する。これにより、第3実施形態と同様の効果を奏する他、後方部BPにおける幅方向WD内方に向かってかけられる力に対して変形することを抑制しつつ、幅方向WD中央において身体側に凸となるように変形することを妨げない。さらに、生理用ナプキン1の表面を排泄物等の液体が流れてきた場合でも、各圧縮溝の底部に液体が落とし込まれ、吸収体30に吸収保持されるので、漏れを防ぐことができる。
【0050】
2−4.第5実施形態
図6に示すように、第5実施形態について説明する。第5実施形態における生理用ナプキン1は、前方圧縮溝43及び後方圧縮溝42にそれぞれ連結してその長手方向LD中央部分が幅方向WD内方に凸となるように形成される中央圧縮溝41の形状と、後方縁4側端部における幅方向WD中央に形成される切り込み部46を有する吸収体30と、生理用ナプキン1の後方縁4端部における幅方向WD中央に形成される切り込み部47と、生理用ナプキン1の外周縁に沿って形成されるサイドシール部50と、を有する他は、第4実施形態と同様の構成である。
【0051】
一対の中央圧縮溝41、41は、後方部BPにおける前方縁3側から中央部CPにおける前方縁3側にかけて形成され、一対の中央圧縮溝41、41それぞれの長手方向LD略中央が幅方向WD内方側に凸となるようななだらかな曲線で形成される。
【0052】
吸収体30は、その後方縁4側の端部において、縦中心線CL上で互いに連結する内方圧縮溝部422、422の形状に沿うように切り込み部46を有する。つまり、吸収体30は、後方縁4側の幅方向WD中央が、前方縁3側にむけて窪むように形成される切り込み部46を有する。
【0053】
切り込み部46は、吸収体30の後方縁4側端部から前方縁3側に10から70mmの長さであることが好ましい。第5実施形態においては、吸収体30における切り込み部46の長さは、15mmである。切り込み部46が10mmより小さい場合には、吸収体30の後方部BPにおける幅方向WD外方が両足の動きに応じてそれぞれ動くことに寄与しない場合がある。また、切り込み部46の長さが70mmより大きい場合には、吸収体30自体の強度が低下する危険性がある。
【0054】
生理用ナプキン1の後方縁4側端部における幅方向WD中央には、前方縁3側に窪むように形成される切り込み部47が形成される。生理用ナプキン1における切り込み部47は、生理用ナプキン1の後方縁4側端部から前方縁3側へ向けて5から70mmの範囲内で窪むように形成されることが好ましい。本実施形態においては、生理用ナプキン1の切り込み部47の長さは7mmである。そして、後方圧縮溝42、吸収体30における切り込み部46、及び生理用ナプキン1における切り込み部47それぞれの頂点は、縦中心線CL上に並ぶように形成される。
【0055】
生理用ナプキン1の外縁は、表面シート10又はサイドシート11と、裏面シート20とを互いに圧縮して接合されたサイドシール部50が形成される。
【0056】
本実施形態によれば、生理用ナプキン1は、内方圧縮溝部422、422により形成された形状に沿うように切り込み部46を有する吸収体30と、生理用ナプキン1の後方縁4側端部における幅方向WD略中央が前方縁3側に窪むように形成された切り込み部47をと有する。これにより、第4実施形態と同様の効果を奏する他、切り込み部46、47を中心として、生理用ナプキン1の幅方向WD中央が身体側へ凸となるように変形することを促す。また、両足のそれぞれの動きに合わせて、後方部BPが独立して動くことを妨げない。したがって、装着中に使用者が動作した場合であっても、生理用ナプキン1が身体に沿うように動くことができるので、身体と生理用ナプキン1との隙間が生じることによる漏れを防止することができる。
【0057】
さらに、生理用ナプキン1における後方圧縮溝42は、横圧縮溝部421、421を有することにより、幅方向WD内方側へ向かう力がかけられた場合に、後方部BP外方が変形することを抑制する。さらには、外縁にサイドシール部50を有するので、生理用ナプキン1の外方側の形状を維持することに有用である。
【0058】
第1実施形態においては、生理用ナプキン1は、一つの直線上に並ぶように形成された一対の横圧縮溝部421、421を有するが、これに限らない。例えば、横圧縮溝部421、421は、横圧縮溝部421、421それぞれにおける縦中心線CL側に位置する端部が後方縁4側に位置し、後方縁4側から前方縁3側へ徐々に幅方向WD外方にむけて、いわゆるハの字型となるように形成されてもよい。また、逆に、横圧縮溝部421、421は、横圧縮溝部421、421それぞれにおける縦中心線CL側に位置する端部から、後方縁4側に向けて徐々に幅方向WD外方に向けて、いわゆる逆ハの字型となるように形成されてもよい。
【0059】
第2実施形態及び第3実施形態において、内方圧縮溝部422、422及び外方圧縮溝部423、423がそれぞれ曲線で形成された後方圧縮溝42、42を有するが、これに限らない。例えば、内方圧縮溝部422、422、外方圧縮溝部423、423は、直線で形成されてもよい。
【0060】
本実施形態においては、後方圧縮溝42及び/又は中央圧縮溝41は、その底部に高圧縮部411と低圧縮部412とが交互に連続的に形成されることにより構成されるが、これに限らない。例えば、高圧縮部411及び/又は低圧縮部412のみが形成され、全て均一の高さとなるような溝であってもよい。また、後方圧縮溝42又は中央圧縮溝41は、高圧縮部411又は低圧縮部412が溝幅全体に形成されるのではなく、各溝幅の一部に形成されるようにしてもよい。また、高圧縮部411又は低圧縮部412の形状をドット状やハート形状とし、後方圧縮溝42及び/又は中央圧縮溝41に意匠性を付与してもよい。これにより、後方圧縮溝42及び/又は中央圧縮溝41は、上記のような効果を奏すると同時に生理用ナプキン1の外観について、使用者に対する視覚性を向上させることができる。
【0061】
上述の各実施形態においては、吸収性物品の例として、生理用ナプキンについて説明したが、これに限らない。例えば、パンティライナーや尿とりパッド、軽失禁用の尿吸収ライナーのような吸収性物品に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の好適な第1実施形態における生理用ナプキン1の平面図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】本発明の好適な第2実施形態における生理用ナプキンの平面図である。
【図4】本発明の好適な第3実施形態における生理用ナプキンの平面図である。
【図5】本発明の好適な第4実施形態における生理用ナプキンの平面図である。
【図6】本発明の好適な第5実施形態における生理用ナプキンの平面図である。
【符号の説明】
【0063】
BP 後方部
CL 中心線
CP 中央部
FP 前方部
LD 長手方向
WD 幅方向
1 生理用ナプキン
2 ウイング
3 前方縁
4 後方縁
10 表面シート
11 サイドシート
20 裏面シート
30 吸収体
41 中央圧縮溝
42 後方圧縮溝
421 横圧縮溝部
422 内方圧縮溝部
423 外方圧縮溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体を備える縦長状の吸収性物品であって、
該吸収性物品の長手方向における一端である後縁側に位置する後方部には後方圧縮溝が設けられ、
前記後方圧縮溝は、該吸収性物品の幅方向に延び、互いに離間する一対の横圧縮溝部を有し、該一対の横圧縮溝部は、該吸収性物品を幅方向に二分し長手方向に延びる縦中心線を対称軸として略線対称に形成される吸収性物品。
【請求項2】
前記一対の横圧縮溝部それぞれは、略直線状に形成される請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記後方圧縮溝は、前記一対の横圧縮溝部それぞれにおける前記幅方向の内方に連続して形成され、前記縦中心線を対称軸として略線対称に形成される内方圧縮溝部を有する請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記内方圧縮溝部は、前記縦中心線を挟んで形成される一対の内方圧縮溝部であり、前記一対の内方圧縮溝部それぞれにおける前記縦中心線側の端部は、該端部それぞれから延びる仮想延長線が互いに交差するように形成される請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記後方圧縮溝は、前記一対の横圧縮溝部それぞれにおける前記幅方向の外方に連続して形成される一対の外方圧縮溝部を有し、該一対の外方圧縮溝部それぞれは、該一対の外方圧縮溝部それぞれにおける前記幅方向外方に位置する一端が、前記一対の横圧縮溝部よりも該吸収性物品における前縁側に位置するように形成される請求項1から4のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
該吸収性物品の前記長手方向における中央部に形成される一対の中央圧縮溝を更に備える請求項1から5のいずれかに記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−77927(P2009−77927A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249453(P2007−249453)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】