説明

吸収性物品

【課題】排泄液の吸収による吸収ポリマーの膨潤を阻害することなく、吸収ポリマーの吸収性能を十分に発揮させることができ、使用後に土壌等へ埋却した際に効率よく生分解され、また使用後に容易に手で小さく分割できる吸収性物品を提供する。
【解決手段】この吸収性物品1は、袋部材11、吸収ポリマー及び破断部13を備えている。袋部材11は、生分解性及び透液性を有するシートにより薄い略シート状の形態に形成され、外部から閉鎖されかつ互いに分割された複数の収容空間を有する。吸収ポリマーは、生分解性を有するとともに略粒状又は略粉状の形態を有し、袋部材11の各収容空間内に、収容空間内において自由に移動可能な状態で入れられている。破断部13は、袋部材11の一部が破断可能なように弱化されることにより形成され、袋部材11を複数の部分に分割するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者が排泄した排泄液を吸収する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明者らは、失禁パンツの交換式の吸収部材、又は使い捨ておむつの吸収容量の補強用の吸収部材などの用途として、コンパクトでパット状の形態を有する吸収性物品の開発を進めている。この種の吸収性物品では、使用後の処分をどのように行うかが常に問題となっており、簡易な処分方法が望まれている。
【0003】
おむつに関する従来技術としては、おむつを生分解性の素材により形成することで土壌等への埋却を可能としたものがある(特許文献1)。
【0004】
また、おむつ等の吸収容量を補強する従来の補助吸収部材としては、特許文献2、3に記載のものがある。例えば、特許文献2に記載の吸収性物品(積層体(10))では、熱溶着等により接合された表面シート(11)と裏面シート(12)の間に、吸収ポリマー等からなる吸収体(13)を挟み込んで構成されている(段落[0013]、図2等参照)。しかし、この特許文献2に記載の吸収性物品では、表面シート(11)と裏面シート(12)とによって形成された収容空間内において吸収ポリマーの自由度及び膨潤時のスペース的な余裕が乏しい。このため、排泄液の吸収時に吸収ポリマーの膨潤の妨げとなり、吸収ポリマーの吸収性能(吸収容量)が損なわれるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−265522号公報
【特許文献2】特開2000−354609号公報
【特許文献3】特開2003−70843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の解決すべき課題は、排泄液の吸収による吸収ポリマーの膨潤を阻害することなく、吸収ポリマーの吸収性能を十分に発揮させることができ、使用後に土壌等へ埋却した際に効率よく生分解され、また容易に手で小さく分割でき、水洗トイレ等に容易に流して処分できる吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、着用者が排泄した排泄液を吸収する吸収性物品であって、生分解性及び透液性を有するシートにより薄い略シート状の形態に形成され、外部から閉鎖されかつ互いに分割された複数の収容空間を有する袋部材と、生分解性を有するとともに略粒状又は略粉状の形態を有し、前記袋部材の前記各収容空間内に、前記収容空間内において自由に移動可能な状態で入れられた吸収ポリマーと、前記袋部材の一部が破断可能なように弱化されることにより形成され、前記袋部材を複数の部分に分割するように配置された破断部とを備える。
【0008】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係る吸収性物品であって、前記破断部は、前記袋部材における隣り合う前記収容空間の間を仕切る仕切り部に沿って設けられている。
【0009】
また、請求項3の発明では、請求項1又は請求項2の発明に係る吸収性物品において、前記袋部材を形成するための前記シートの接合箇所は、すべて溶着が用いられている。
【0010】
また、請求項4の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る吸収性物品において、前記当該吸収性物品は、一方向に沿って延びた略長尺状の形状を有する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明に係る吸収性物品によれば、袋部材の各収容空間内に、略粒状又は略粉状の形態を有する吸収ポリマーが収容空間内において自由に移動可能な状態で入れられている。このため、排泄液の吸収により吸収ポリマーが膨潤する際のスペース的な余裕を十分に確保することができ、その結果、吸収ポリマーの膨潤を阻害することなく、吸収ポリマーの吸収性能を十分に発揮させることができる。
【0012】
また、袋部材の各収容空間内において吸収ポリマーが自由に移動できるため、吸収性物品の装着時における形状変化の自由度も大きい。その結果、吸収性物品の配置場所等に応じて吸収性物品の形状を自由に変化させることができ、吸収性物品を種々の用途に使用できる。例えば、おむつの吸収容量の補強等のために、テープ型又はパンツ型のおむつの内側に本発明に係る吸収性物品を任意の数だけ配置してもよい。この場合、本発明に係る吸収性物品をおむつの内面と着用者の肌面(例えば、股下部又は排泄部位付近)との間に挟み込んで吸収性物品を保持するようにしてもよいし、おむつの肌面側に本発明に係る吸収性物品を保持するための保持構造を設けてもよい。
【0013】
また、本発明に係る吸収性物品は薄型でコンパクトな構成となっているため、当該吸収性物品をおむつ又は失禁パンツの内側に配置する場合等に、当該吸収性物品の配置により着用者が感じる圧迫感又は異物感等の違和感を軽減できる。また、身体が拘縮した着用者の場合、身体の萎縮等によりおむつと身体との間に隙間が生じ、その隙間から尿等が漏れることがある。このような場合、おむつの内側に尿パット等を装着して隙間ができるのを防止するのが好ましいが、身体の拘縮により尿パット等の装着が困難なことがある。このように身体の拘縮により尿パット等の装着が困難な場合であっても、着用者におむつを装着させた状態でおむつと身体との間に本発明に係る吸収性物品を挿入し、おむつと身体との間の隙間を塞ぐことができる。なお、拘縮とは、寝たきり等により脚を動かさなくなったため、筋肉が萎縮し、関節可動域が制限された状態のことをいう。
【0014】
また、本発明に係る吸収性物品に含まれる袋部材及び吸収ポリマーを構成する全ての素材が生分解性の素材により形成されているため、使用後は当該吸収性物品を土壌等に埋却して処分できる。しかも、吸収ポリマーが袋部材の複数の収容空間に分けて入れられているため、当該吸収性物品が土壌等に埋却された際に、吸収ポリマーを塊にならずに分散させて効率よく生分解させることができる。その結果、吸収性物品全体を効率よく生分解させることができる。
【0015】
また、袋部材の一部が破断可能なように弱化されることにより破断部が形成され、その破断部を破断することにより、袋部材が複数の部分に分割できる。それ故、袋部材を容易に手で小さく分割できるため、使用後の吸収性物品を小さく分割することにより水洗トイレ等に容易に流して処分できる。小さく分割されて水洗トイレ等に流された吸収性物品は、浄化槽内等で生分解される。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、破断部が袋部材における隣り合う収容空間の間を仕切る仕切り部に沿って設けられているため、袋部材における収容空間を構成している部分の強度低下又は穴開き等を生じることなく、袋部材に破断部を形成できる。
【0017】
また、破断部が袋部材の仕切り部に沿って設けられているため、使用後に袋部材を破断部で分割する際に、袋部材の収容空間を構成している部分を破損することなく、袋部材を小さく分割できる。このため、袋部材を分割する際に袋部材の収容空間を構成している部分が破損して、収容空間内に収容された吸収ポリマーが散乱する等の不都合が生じるのを回避できる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、袋部材を形成するためのシートの接合箇所にすべて溶着が用いられ、接着剤が用いられてないため、接着剤の使用により吸収性物品の生分解性が損なわれるのを回避できる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、吸収性物品が一方向に沿って延びた略長尺状の形状を有するため、本発明に係る吸収性物品を、失禁パンツ又はおむつ等の内側における着用者の股下部等に沿った領域に、着用者に違和感を与えることなく、配置することができる。特に、身体が拘縮した着用者に対しては、着用者におむつを装着させた状態でおむつと着用者の肌面との間の隙間から、本発明に係る吸収性物品を着用者の股下部等に容易に挿入できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る吸収性物品の平面図である。
【図2】図1の吸収性物品のA1−A1線に沿った断面の構成を示す図である。
【図3】図1の吸収性物品が用いられる失禁パンツの斜視図である。
【図4】図3の失禁パンツを左右のサイド部分(図3の仮想線L1の部分)で切って平面的に展開した図である。
【図5】図3の失禁パンツのA2−A2線に沿った断面の構成を示す断面図である。
【図6】図3の失禁パンツに対する吸収性物品の着脱時の操作を説明するための図である。
【図7】図1の吸収性物品の使用例を示し、吸収性物品がおむつの内側に配置された状態を示す図である。
【図8】図1の吸収性物品をおむつの内側に配置する際の配置例を示す図である。
【図9】図1の吸収性物品の他の使用例を示し、吸収性物品が略袋状の男性用尿吸収物品内に挿入された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る吸収性物品の平面図であり、図2は図1の吸収性物品のA1−A1線に沿った断面の構成を示す図である。
【0022】
本実施形態に係る吸収性物品1は、図1及び図2に示すように、袋部材11と、その袋部材11内に入れられた吸収ポリマー12と、袋部材11に形成された破断部13とを備えて構成され、着用者が排泄した尿、軟便中に含まれる水分又は経血等の排泄液を吸収するために用いられる。本実施形態では、吸収性物品1は主に尿の吸収に用いられる。吸収性物品1に用いられるすべての素材は、後述するように生分解性の材料により形成されており、使用後は吸収性物品1を土壌等に埋却できるようになっている。
【0023】
袋部材11は、薄い略シート状の形態を有し、生分解性及び透液性を有する不織布からなる2枚のシート15,16により形成されている。袋部材11の内部には、外部から閉鎖され、かつ互いに分割された複数の収容空間17が形成されている。第1のシート15,16を形成する不織布の材料としては、例えばポリ乳酸が用いられる。
【0024】
シート15,16は、一方向に沿って略長尺状に延びた略矩形の平面形状を有している。2枚のシート15,16の周縁部15a,16a、及び複数の収容空間17間を分割する仕切り部15b,16bが、溶着(加熱溶着又は超音波溶着)によって互いに接合されている(本実施形態では、加熱溶着が用いられている)。これによって、袋部材11内に、外部から遮断されかつ互いに分割された複数の収容空間17が形成される。本実施形態では、6つの収容空間17が2列に分けて形成されているが、収容空間17の数も6つに限定するものではなく、また収容空間17を3列以上に分けて設けてもよいし、1列だけの構成としてもよい。なお、本実施形態では、2枚のシート15,16を用いて袋部材11を形成したが、1枚のシート15を二つ折りにして対向した周縁部15aを接合することにより、袋部材11を形成してもよい。
【0025】
吸収ポリマー12は、生分解性を有するとともに略粒状又は略粉状の形態を有し、袋部材11の各収容空間17内に、収容空間17内において自由に移動可能な状態で入れられている。このため、吸収ポリマー12の各収容空間17内への充填量は、各収容空間17内に十分な余剰スペースが確保可能な分量に設定される。吸収ポリマー12の材料としては、例えばポリアスパラギン酸が用いられる。
【0026】
破断部13は、袋部材11の一部が破断可能なように他の部分よりも弱化されることにより形成されており、袋部材11を複数の部分に分割するように配置されている。より具体的には、破断部13は袋部材11のシート15,16における隣り合う収容空間17の間を仕切る仕切り部15b,16bに沿って設けられている。また、破断部13は、シート15,16に設けられたミシン目、又はシート15,16の他の部分よりも厚みが薄くされた薄厚部などによって形成される。破断部13の形成方法としては、例えば、シート15,16に対する部分的な切断、打ち抜き又は引き掻き等による機械的加工手段によるもの、加熱又は超音波印加によりシート15,16の一部を軟化又は溶融させて成形する熱的加工手段によるものなどが挙げられる。なお、熱的加工手段を用いた場合には、シート15,16に仕切り部15b,16bを形成する溶着工程に伴って破断部13を形成できるという利点がある。
【0027】
このように構成される吸収性物品1は、図1に示すように、一方向に沿って延びた薄い略長尺状の形状を有している。
【0028】
次に、図3ないし図9を参照して本実施形態に係る吸収性物品1の使用例について説明する。本実施形態に係る吸収性物品1は、薄型でコンパクトであるとともに、袋部材11の収容空間17内において吸収ポリマー12が自由に移動できるため、吸収性物品1の装着時における形状変化の自由度も大きい。その結果、吸収性物品1の配置場所等に応じて吸収性物品1の形状を自由に変化させることができ、吸収性物品1を種々の用途に使用できる。
【0029】
例えば、本実施形態に係る吸収性物品1を、図3ないし図6に示すような失禁パンツ101に適用することができる。なお、図4において図面に向かって上側が失禁パンツ101の前側に対応している。
【0030】
この失禁パンツ101は、図3ないし図6に示すように、パンツ本体111と、防水シート112と、表面シート113と、保持部114と、第1及び第2止着部115,116とを備えて構成され、本実施形態に係る吸収性物品1が着脱自在に装着される。この失禁パンツ101は、洗濯可能であり、何度も再利用できるものである。
【0031】
パンツ本体111は、洗濯可能な1つ又は複数の布材がパンツの外形を構成するように縫合等により接合されて形成されており、左右の脚孔121及びウエスト開口122を有している。パンツ本体111を構成する布材としては、例えば、綿、化学繊維又はそれらの混合繊維からなる織布が用いられる。
【0032】
防水シート112は、不透液性の素材により形成され、パンツ本体111の肌面側におけるパンツ本体111の股下部123を含む領域を覆うように、縫合又は接着等により固定されている。この防水シート112によって、吸収性物品1が吸収した尿が失禁パンツ101の外部にしみ出すのが防止される。
【0033】
表面シート113は、透液性を有するシート材によって形成され、吸収性物品1をカバー部材112との間に挟み込んで保持する。表面シート113における失禁パンツ101の後側の外縁113aに沿った略U字状又は略円弧状の後側固定部分113bは、防水シート112の肌面側における後側に位置する部分に、縫合等により固定されている。表面シート113の後側固定部分113bよりも失禁パンツ101の前側に位置する部分は、図6に示すように、防水シート112等と固定されておらず、吸収性物品1の着脱時に防水シート112に対して近接、離反できるようになっている。
【0034】
保持部114は、表面シート113の後側固定部分113bと防水シート112とによって囲まれた略ポケット状の空間を有し、吸収性物品1の後側の部分1aを受け入れて保持する。
【0035】
第1及び第2の止着部115,116は、表面シート113の前側の部分をパンツ本体111側(具体的には防水シート112)に着脱自在に固定するためのものである。第1の止着部115は、表面シート113の外面側(肌面側と反対側)における前側の部分に縫合又は接着等により固定されている。第2の止着部116は、防水シート112の肌面側における第1の止着部115と対応する位置に縫合又は接着等により固定され、第1の止着部115が着脱自在に止着される。第1の止着部115及び第2の止着部116としては、例えば、一方に複数のループ構造が設けられたループ部材が用いられ、他方に複数のフック構造が設けられたフック部材が用いられる。
【0036】
失禁パンツ101に吸収性物品1を装着するときは、図6に示すように、第1及び第2の止着部115,116の止着状態を解除し、表面シート113の前側の部分を防水シート112から引き離すようにしてめくり上げて開く。そして、吸収性物品1の後側の部分1aを保持部114内に挿入するようにして、吸収性物品1を防水カバー112上に置き、表面シート113の前側の部分を閉じて、第1の止着部115を第2の止着部116に止着する。吸収性物品1の交換又は取り外しは、第1及び第2の止着部115,116の止着状態を解除することにより、容易に行える。
【0037】
他の使用例として、図7に示すように、おむつ131の吸収容量の補強等のために、本実施形態に係る吸収性物品1をおむつ131の内面側に任意の数だけ配置してもよい。なお、おむつ131はテープ型又はパンツ型のいずれでも問題ない。吸収性物品1の配置位置としては、例えば、おむつ131の内面と着用者の肌面との間における着用者の排泄部(例えば、陰部)から股下部にかけたいずれかの領域が挙げられる。この場合、おむつ131の内面側に図8に示すように着用者の肌面側に向けて立ち上がる立体ギャザー132が設けられている場合には、吸収性物品1をおむつ131の立体ギャザー132の左右方向内方側における立体ギャザー132とトップシート133との間に配置することにより、吸収性物品1の位置ずれ及び脚穴から脱落等を防止できる。なお、他の例として、おむつ131の肌面側に吸収性物品1を保持するための保持構造を設けてもよい。
【0038】
また、身体が拘縮した着用者の場合、身体の萎縮等によりおむつ131と身体との間に隙間が生じ、その隙間から尿等が漏れることがある。このような場合、おむつ131の内側に尿パット等を装着して隙間ができるのを防止するのが好ましいが、身体の拘縮により尿パット等の装着が困難なことがある。このように身体の拘縮により尿パット等の装着が困難な場合であっても、着用者におむつ131を装着させた状態でおむつ131と身体との間に吸収性物品1を挿入し、おむつ131と身体との間の隙間を塞ぐことができる。
【0039】
また、図9に示す使用例では、本実施形態に係る吸収性物品1が略袋状の男性用尿吸収物品136の尿吸収容量の補強のため、尿吸収物品136内に挿入されている。尿吸収物品136は、袋状の形態を有し、その開口部から着用者の陰茎が挿入されるようになっている。このような尿吸収物品136は、おむつ131と併用される場合が多い。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る吸収性物品1によれば、袋部材11の各収容空間17内に、略粒状又は略粉状の形態を有する吸収ポリマー12が収容空間17内において自由に移動可能な状態で入れられている。このため、排泄液の吸収により吸収ポリマー12が膨潤する際のスペース的な余裕を十分に確保することができ、その結果、吸収ポリマー12の膨潤を阻害することなく、吸収ポリマー12の吸収性能を十分に発揮させることができる。
【0041】
また、袋部材11の各収容空間17内において吸収ポリマー12が自由に移動できるため、吸収性物品1の装着時における形状変化の自由度も大きい。その結果、吸収性物品1の配置場所等に応じて吸収性物品1の形状を自由に変化させることができ、上記の如く、吸収性物品1を種々の用途に使用できる。例えば、上記の如く、おむつの吸収容量の補強等のために、おむつの内側に本実施形態に係る吸収性物品1を任意の数だけ配置してもよい。
【0042】
また、本実施形態に係る吸収性物品1は上記の如く薄型でコンパクトな構成となっている。このため、吸収性物品1を失禁パンツ又はおむつの内側に配置する場合等に、当該吸収性物品1の配置により着用者が感じる圧迫感又は異物感等の違和感を軽減できる。例えば、上記の如く、着用者が身体の拘縮により尿パット等の装着が困難な場合であっても、着用者におむつを装着させた状態でおむつと身体との間に吸収性物品1を挿入し、おむつと身体との間の隙間を塞ぐことができる。
【0043】
また、吸収性物品1が一方向に沿って延びた略長尺状の形状を有するため、吸収性物品1を、失禁パンツ又はおむつ等の内側における着用者の股下部等に沿った領域に、着用者に違和感を与えることなく、配置することができる。特に、上述の如く、身体が拘縮した着用者に対しては、着用者におむつを装着させた状態でおむつと着用者の肌面との間の隙間から、吸収性物品1を着用者の股下部等に容易に挿入できる。
【0044】
また、吸収性物品1に含まれる袋部材11及び吸収ポリマー12を構成する全ての素材が生分解性の素材により形成されているため、使用後は当該吸収性物品1を土壌等に埋却して処分できる。しかも、吸収ポリマー12が袋部材11の分割された複数の収容空間17に分けて入れられているため、当該吸収性物品1が土壌等に埋却された際に、吸収ポリマー12を塊にならずに分散させて効率よく生分解させることができる。その結果、吸収性物品1全体を効率よく生分解させることができる。
【0045】
また、袋部材11の一部が破断可能なように弱化されることにより破断部13が形成され、その破断部13を破断することにより、袋部材11が複数の部分に分割できる。それ故、袋部材11を容易に手で小さく分割できるため、使用後の吸収性物品1を小さく分割することにより水洗トイレ等に容易に流して処分できる。小さく分割されて水洗トイレ等に流された吸収性物品1は、浄化槽内等で生分解される。
【0046】
また、破断部13が袋部材11における隣り合う収容空間17の間を仕切る仕切り部15b,16bに沿って設けられているため、袋部材11における収容空間17を構成している部分の強度低下又は穴開き等を生じることなく、袋部材11に破断部13を形成できる。
【0047】
また、破断部13が袋部材11の仕切り部15b,16bに沿って設けられているため、使用後に袋部材11を破断部13で分割する際に、袋部材11の収容空間17を構成している部分を破損することなく、袋部材11を小さく分割できる。このため、袋部材11を分割する際に袋部材11の収容空間17を構成している部分が破損して、収容空間17内に収容された吸収ポリマー12が散乱する等の不都合が生じるのを回避できる。
【0048】
また、袋部材11を形成するためのシート15,16の接合箇所に、すべて溶着が用いられ、接着剤が用いられてないため、接着剤の使用により吸収性物品1の生分解性が損なわれるのを回避できる。
【0049】
なお、上述の実施形態に係る吸収性物品1のさらなる変形例として、吸収性物品1に含まれる袋部材11及び吸収ポリマー12を構成する全ての素材を、生分解性に加えて水解性を有する素材により形成してもよい。これによって、使用後の吸収性物品1を水洗トイレ等に流した際に、吸収性物品1が水分解されることにより、排水パイプ等の通りが良くなるとともに、生分解も進みやすくなる。
【符号の説明】
【0050】
1 吸収性物品、11 袋部材、12 吸収ポリマー、13 破断部、15,16 シート、15a,16a 周縁部、15b,16b 仕切り部、17 収容空間、101 失禁パンツ、111 パンツ本体、112 防水シート、113 表面シート、114 保持部、115 第1の止着部、116 第2の止着部、131 おむつ、132 立体ギャザー、133 トップシート、136 男性用尿吸収物品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者が排泄した排泄液を吸収する吸収性物品であって、
生分解性及び透液性を有するシートにより薄い略シート状の形態に形成され、外部から閉鎖されかつ互いに分割された複数の収容空間を有する袋部材と、
生分解性を有するとともに略粒状又は略粉状の形態を有し、前記袋部材の前記各収容空間内に、前記収容空間内において自由に移動可能な状態で入れられた吸収ポリマーと、
前記袋部材の一部が破断可能なように弱化されることにより形成され、前記袋部材を複数の部分に分割するように配置された破断部と、
を備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記破断部は、前記袋部材における隣り合う前記収容空間の間を仕切る仕切り部に沿って設けられていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品において、
前記袋部材を形成するための前記シートの接合箇所は、すべて溶着が用いられていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の吸収性物品において、
前記当該吸収性物品は、一方向に沿って延びた略長尺状の形状を有することを特徴とする吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−115516(P2011−115516A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288527(P2009−288527)
【出願日】平成21年12月19日(2009.12.19)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】