説明

吸収性物品

【課題】本発明は、分立された小吸収部を複数有する吸収性物品に特有の解決に鑑み、高吸収量と高吸収速度とを両立し、繰り返しの排泄による吸収においても吸収速度が低下せず、さらに、上記特有の構成を有する吸収体の利点である複雑に起伏する肌面に合わせて変形し隙間なく面で当接する人体適合性と、着用者の身体の動きに合わせて変形しその肌面と面で当接した状態を維持する動作追随性とをそのまま維持して発揮することもできる吸収性物品を提供する。
【解決手段】肌当接面側に配置される表面シート、非肌当接面側に配置される裏面シート、及びその間に配置される長手方向とこれと直交する幅方向とを有する吸収体を具備する吸収性物品であって、
前記吸収体は肌当接面からみた平面視において分立した複数の小吸収部により構成され、該吸収体と前記表面シートとの間には液体に接触し濡れることで伸長する伸長性シートが配設された吸収性物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキンや使い捨ておむつ、失禁パンツ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等の吸収性物品においては、各部材の材料や構造を改良し、その機能や着用感の向上が図られてきた。吸収体についても、かかる改良を企図して開発がなされ、特に最近では使用状況や物品の種類に応じた機能性のものが種々提案されている。
【0003】
特許文献1は、肌当接面側の表面シートと、非肌当接面側の裏面シートと、両シートの間に介在された個々に分立され独立した小吸収部材からなる吸収体とを有する生理用品を開示している。これにより十分な液体の吸収保持量を実現しつつ、柔軟性に富み、肌面の起伏にも極めて良好にフィットし、また動作に対する追従性が高く、着用感を大幅に良化することができる。
【0004】
特許文献2は、肌当接面側の表面シートと、非肌当接面側の裏面シートと、両シートの間に介在された吸収体とからなるアンダーガーメントを開示する。前記吸収体には、その厚み方向を貫通し、長手方向へ延びる複数の条孔が前記長手方向と幅方向とに間欠的に配置されている。そして該条孔に沿って前記表裏面シートが剥離不能に接合されるとともに、前記表面シートが該条孔に沿って延びる溝部を形成されている。これにより、吸収した液を前記溝によって幅方向及び長手方向に拡散させ、吸収体の液保持性における有効利用ができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第09/081744号パンフレット
【特許文献2】特開平9−51913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願出願人は先に開発した上記特許文献1に係る吸収性物品により、吸収体への十分な量の液体等の吸収と快適な着用感との両立を達成した。一方、さらにそのようなものを含め分立した小吸収部を有する吸収性物品について研究をつづけた結果、その長時間の使用によってなされる繰り返しの液体等の吸収に際して、吸収保持量が多くなったときの吸収速度の向上が望ましいことが分かってきた。
上記の点に鑑み、本発明は、分立した小吸収部を複数有する吸収性物品に特有の解決に鑑み、高吸収量と高吸収速度とを両立し、繰り返しの排泄による吸収においても吸収速度が低下せず、高い吸収性能を発揮することができる吸収性物品の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、肌当接面側に配置される表面シート、非肌当接面側に配置される裏面シート、及びその間に配置される長手方向とこれと直交する幅方向とを有する吸収体を具備する吸収性物品であって、
前記吸収体は肌当接面からみた平面視において分立した複数の小吸収部により構成され、該吸収体と前記表面シートとの間には液体に接触し濡れることで伸長する伸長性シートが配設された吸収性物品により解決された。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸収性物品は、分立した小吸収部を複数有する吸収性物品に特有の解決に鑑み、高吸収量と高吸収速度とを両立し、繰り返しの排泄による吸収においても吸収速度が低下しにくく、使用末期に至るまで高い吸収性能を発揮するという優れた作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明における吸収性物品の一実施形態としての使い捨ておむつを肌当接面方向から示した一部切欠展開平面図である。
【図2】図1に示すII−II線断面の断面図である。
【図3】図2のT部分を拡大し排泄前から排泄後までの状態をその順に模式的に示す拡大断面図であり、(a)は液体の排泄前を示し、(b)は排泄の直後を示し、(c)は(b)の後さらに時間が経過したときの状態を示す。
【図4】本発明に係る吸収体と液体の排泄を受けた後に形成される谷路部との関係を模式的に示した部分的な平面図である。
【図5】本実施形態の変形例としての吸収体を模式的に示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明についてその好ましい実施形態を示し、図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明における吸収性物品の一実施形態としての使い捨ておむつを肌当接面方向から示した一部切欠展開平面図である。図2は図1に示すII−II線断面の断面図である。
【0011】
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。
図1には、本発明の第1実施形態としての使い捨ておむつが示されている。図2は、図1におけるII−II断面図である。なお、図2では、図1において破断していた部分を破断していない状態で示している。
【0012】
第1実施形態の使い捨ておむつ100は、液透過性の表面シート1と、吸水性ポリマーを含んで構成される縦長の吸収体10と、液不透過性又は撥水性で、かつ、透湿性の裏面シート7とを具備し、実質的に縦長に形成されている。吸収体10は、その長手方向をおむつ100の長手方向Lと一致させて、表面シート1と裏面シート7との間に配されている。なお、本実施形態の使い捨ておむつ100の詳細な形状等については後述する。
【0013】
上記表面シート1、裏面シート7、クレープシート4及び小吸収部3の材料や寸法等に関する詳細は後述するが、本実施形態において表面シート1は、排泄された体液を速やかに吸収し、吸収体に伝達する観点と、肌触りのよさの観点から親水性のエアスルー不織布を用いている。また、裏面シート7としては、通気性を有した透湿性フィルムを単層で用いている。小吸収部3としてはパルプ繊維と超吸収性ポリマーとから構成されたものを用いている。クレープシート4としては水等の液体を受け伸張変形するようクレープ加工された紙製シートを用いている。基盤シート2には弾性伸縮性のものが本実施形態においては採用されている。(図1中、クレープシート4も切欠しており、基盤シート2とほぼ同形状とされている。)
【0014】
本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌面側ないし肌当接面側あるいは表面側といい、これと反対側を非肌面側ないし非肌当接面側あるいは裏面側という。また、装着時に人体の前側に位置する方向を前方といいその端部を前端部とし、後側に位置する方向を後方といいその端部を後端部として説明する。また、吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向といいその量を厚さという。さらに、吸収性物品の平面視において相対的に長さのある方向を長手方向といい、この長手方向と直交する方向を幅方向という。なお、前記長手方向は典型的には装着状態において人体の前後方向と一致する。
【0015】
図2は図1のII―II線に沿った拡大断面図である。本実施形態の吸収体10は伸縮性のある基盤シート2の肌当接面側に多数のそれぞれ分立した小吸収部3が自然状態において互いに対して所定の隙間d,e(図1参照)を有するように縦横方向に配設されている。本実施形態において小吸収部3は縦横に小吸収部3を投影したときに隣あう小吸収部3と一致する直列格子配列である。この小吸収部3は、平面視において長方形状であり、断面において横長台形の、面取りされたやや角に丸みを帯びた切頭四角錐体(角錐台)形状のものとされているが、本発明においてこの形状は特に限定されず任意の形状のものを採用可能である。本実施形態において小吸収部3はパルプ繊維と超吸収性ポリマーとから構成されており、その輪郭は図示したもののように定形的なものではなくてもよく、全体として上述した立体形状のものとされていることが好ましい。また、小吸収部3の縦横の配列も上記に限らず用途に合わせ適宜決められるのが好ましい。
【0016】
小吸収部3は、断面において台形にされ、その肌当接面側である表面3aの面積が非肌当接面側である裏面3bの面積よりも若干小さくなっている(図3(a)参照)。そして該断面において末広がりになるようその側面3cは裏面3bへ向けて傾斜(スロープ)している。各小吸収部3は裏面3bの全面で基盤シート2に固定されている。この固定部tにおいては基盤シート2の伸縮性が抑えられており、前記固定部tは例えば超音波エンボス等によって形成することができ、これによりその部分で基盤シート2の伸縮性が失われるようにしてもよい。また、ホットメルト接着材等によって固定部tを形成してもよい。
【0017】
本実施形態の吸収体10は、分立した多数の小さな吸収部3の集合で構成されたため肌面の起伏にフィットする「身体適合性」が通常の一体の大きな吸収体に比し大幅に高まる。また着用者の動きにも良好に追随し、肌に対して部分的な隙間が生じたりすることが防止される「動作追随性」が極めて良好である。本実施形態によればこのような良好な変形性と該変形に左右されない良好な液体等の吸収保持との両立を図ることができる。この分立した複数の小吸収部からなる吸収体10の作用について後で詳しく述べる。なお、本発明において「分立した」とは本実施形態のような各吸収部が分断されて個々に独立した状態のものだけでなく、図5に示した変形例のように断面視において部分的に連結部で連続するが機能的に独立した状態を含むものとする。
【0018】
ここで本実施形態の使い捨ておむつ100におけるさらなる特徴を図3に基づき詳しく説明する。図3の(a)(b)(c)は本実施形態の使い捨ておむつ100における排泄前後の過程をその順で示している。図3は、図2中Tを拡大した拡大断面図であり、図中、上が肌当接面側であり、下が非肌当接面側である。ただし、図の見やすさ等を考慮し図2と図3とでは縦横の縮尺を異にして示した。また、使い捨ておむつ100の装着時の形状については模式化して示しており、本発明の実施において必ずしも図示したものと同一の形状にならなくともよい。
【0019】
図3(a)は排泄がなされる前の状態を示しており、この状態においてクレープシート4は小吸収部3の肌当接面側に表面シート1と略平行に重なるように配設されている。図3(b)は排泄がなされた直後の小吸収部3近傍の状態を示しており、排泄された液は表面シート1を通り抜けた後、クレープシート4に到達しこれに浸透することとなる。すると、クレープ加工を施されたクレープシート4は、前記排泄された液と接触し濡れることにより、その伸長性を発揮し、非肌当接面側にある小吸収部3の形状に沿うように変形しながら小吸収部3を覆っていく。このとき、幅方向において間欠的に小吸収部3の間にあり長手方向に延びる谷部wに、クレープシート4は前記伸長性により、小吸収部3の膨潤よりも早くその間に垂れ下がるように入り込んでいく。本願では、この現象すなわち、小吸収部間に沿うように変形して小吸収部間に垂れ下がる現象を「挿入」という。その後、クレープシート4をさらに通り抜けた液は小吸収部3に吸収され、小吸収部3はその液の吸収量に応じて徐々に膨潤していく。排泄が繰り返しなされることにより前記膨潤が進み、図3(c)に示したように小吸収部3が多量の液を取り込んで膨らんだ状態となり、小吸収部3同士の隙間が埋まることにより谷部wは狭く閉塞していく。
本実施形態においては、長手方向に延びる谷部wに前述したようにクレープシート4が小吸収部3の膨潤よりも早く入り込んでおり、谷路部Mを形成している。クレープシート4により形成された谷路部Mを通って、排泄された液は長手方向あるいは幅方向に移行させることができる。そのため、排泄ポイントq(図1参照)にとどまらず、例えば長手方向に広がる排泄周辺領域qまで吸収保持性において有効に活用することができ、特に面積のある長手方向の小吸収部3に液を分配し、その部分を効果的に利用することが可能となる。また、小吸収部3の肌当接面側にあるクレープシート4は液に接触し濡れることで伸長するため、小吸収部3の膨潤を阻害せず、吸収量の低下を招きにくい。したがって、たとえ排泄部近傍で繰り返しの排泄があっても、上述したクレープシート4の谷路部Mの形成作用により、その周辺への液の移行がなされ、吸収速度の低下がおこりにくい。その結果、上述した良好な身体適合性と追従性とに加え、長時間の着用においても、肌当接面側において液残りのない快適な着用感を奏する。なお、上述した小吸収部3の利用領域を示すq、qは本発明を説明するにあたり模式的に示した領域であり、必ずしもこの領域に従って小吸収部3の利用がなされるものに限定されるものではない。また、上述したクレープシート4の液に濡れることによる伸長作用は、液に接触し濡れた状態で表現しうるものであり、必ずしも液がクレープシート4に吸収保持される必要はない。
【0020】
本実施形態において谷路部Mとは、膨潤した隣り合う小吸収部3同士に挟まれたクレープシート4と表面シート1とに囲まれる領域である。この領域を水路とし液は分配される。また、本実施形態においてクレープシート4は、濡れた直後(図3(b)の状態)に小吸収部3の肌当接面側に沿うようにして貼りついていくような力が働く。そのため、小吸収部3とクレープシート4との間には前記貼りつきによって変形に対する抵抗力が発生することとなり、小吸収部3の膨潤に伴って谷部wが閉塞していったとしても前記抵抗力により、その完全な閉塞を阻止し、図3(c)に示したような小吸収部3の分立状態を維持するような谷路部Mを確保する形状になりやすい。よって本実施形態において谷路部Mは線状になりにくく、広い領域の水路が確保され、より高い通液性を得ることができる。また、クレープシート4の非肌当接面側に長手方向谷部wに沿ってあるいは後述する幅方向谷部wも併せて再湿接着剤(PVAなど)を塗布することも好ましい。このようにすると、濡れることにより小吸収部3に沿うように垂れ下がるクレープシート4が基盤シート2の長手方向谷部wないし幅方向谷部wに沿った部分において肌当接面側に当接したとき、基盤シート2とクレープシート4とが接着され、上述した小吸収部3の幅方向の膨潤変形を抑制し、分立した形状を維持する効果がより高くなる。
【0021】
図4は本発明に係る吸収体10の谷部を模式的に示した部分的な平面図である。図中小吸収部3は平面視における外形(略長方形)のみで示し、表面シート1、サイドシート8、裏面シート7、基盤シート2は図示していない。図中、小吸収部3は液を吸収する前の形状である。また、Y方向が長手方向であり、X方向が幅方向である。本実施形態においては、クレープ加工した方向を幅方向になるように配置しているため、クレープシート4による谷路部Mが形成されるのは長手方向谷部wである。従って幅方向谷部wの排泄部位は繰り返しの排泄によって小吸収部3の膨潤が進み閉塞することとなる。このようにすることによって、排泄された液は長手方向谷部wを利用して長手方向に分配され、そのことにより高い吸収速度を確保しつつ、幅方向谷部wの閉塞により幅方向への液の移行が妨げられる。したがって、横モレ等の不都合を効果的に防ぐことができる。
【0022】
本実施形態による小吸収部3の大きさは特に限定されないが、使い捨ておむつにおける利用を考慮すると、組み込む吸収性物品によっても多少異なるが長手方向長さh(図4参照)は10〜70mmが好ましく、30〜50mmがより好ましい。幅方向長さhは5〜50mmが好ましく、10〜30mmがより好ましい。また、隙間d,eはそれぞれ1〜10mm、0.1〜5mmが好ましい。
【0023】
本実施形態において採用された分立された小さな吸収部が多数特定の配列で基盤シート上に配置されたことによる作用効果についてさらに詳しく述べる。まず、極めて複雑に屈曲する肌面にも好適に適合することが挙げられる。たとえば排泄ポイントからおしりに亘って使い捨ておむつを沿わしたときに、臀部の丸みにそって長手方向に湾曲するが、内包される従来の吸収体は一般的に剛性が他の部材より大幅に高く座屈してしまうことがある。この座屈変形との関係で、内部の吸収体は臀裂には入り込みににくく、ここに大きな隙間が開くことがある。すなわち、長手方向の座屈と幅方向の屈曲とが両立しにくく十分なフィット性を得がたい。すると、臀裂にできた空間を介して尿等が移行しやすくなり、仰向け時の背中方向への漏れの原因となったりする。
これに対し本実施形態の吸収体を適用した使い捨ておむつ100であれば、おしりの丸みに緩やかに湾曲して適合しながら臀裂にも適度に入り込んで沿う、いわゆる鞍面形状ないし双曲放物線面状に変形して、殿裂にもほぼ隙間を与えずにフィットする。これにより、排泄ポイント近傍からおしりにまでかけてほぼ隙間なく当接する極めて良好な適合性が実現される。そして、着用者が寝返りをうったり歩行したりしたときにも肌面の動きに合わせて追従するため、隙間が開かず良好なフィット性が持続される。
また、本実施形態の使い捨ておむつは形態の復元性が極めて高いため、例えば包装時に2つ折等にして畳まれていても、それによる折り目が残りにくく、着用初期から上記の良好な身体適合性と追従性とが得られる。
【0024】
上述したように、分立した複数の小吸収部3を有する吸収体10により良好な身体適合性と追従性とが得られる。一方、分立した小吸収部3は初回の排泄から排泄を繰り返すことにより、その吸収速度が徐々に低下していく。これは吸収した液によって小吸収部3が膨潤し、小吸収部3どうしの隙間が詰まることにより通液性が低下し、特に排泄部(図1中x)からその他部位への液の移行を妨げ、結果、図1にて一点鎖線で示したqの領域の吸収部程度の利用範囲であった。しかし、本実施形態によれば上述のクレープシート4による作用により、吸収速度の低下をおさえ、効果的な小吸収部3の利用を実現するものである。なお排泄部xとは尿等の排泄を直接受ける部分及びその近傍である。
【0025】
クレープシート4の厚さ及びクレープ率は特に限定されないが、使い捨ておむつにおける利用を考慮すると、クレープシート4の厚さは0.1〜1mmであることが好ましい。本発明において伸長性シートの材料や構造は特に限定されないがクレープシートやプリーツ加工を施したシートを用いることができる。伸長性シートとは伸長率(下記クレープ率と同義)において5%を超えるものをいう。伸長性シートにクレープシートを用いるとき、クレープシート4におけるクレープ率は10〜70%であることが好ましく、20〜50%であることがより好ましく、20〜30%であることが特に好ましい。なお、クレープシートの厚さ及びクレープ率の測定方法は下記に示すとおりである。
[厚さの測定]
該クレープシートに円形(直径55mm)の板状重りを載せ、0.50Paの圧力下における該クレープシートの厚みをデジタル厚み測定機(レーザ変位センサ付き:(株)キーエンス社製)によって測定する。なお、測定は該クレープシートの任意の箇所3点以上において行い、その平均値とする。
[クレープ率の測定]
サンプルを100mm×100mmに裁断し測定、試料とする。前記試料を生理食塩水の中に静かに浮かべ、3分後のX方向、Y方向それぞれの長さの伸びを測定し、以下に示す式を用いてクレープ率を算出する。なお、測定は3点以上行い、その平均値とする。
クレープ率(%)=(3分後の試料の長さ−初期の試料の長さ)/(初期の試料の長さ)×100
【0026】
クレープシート4の構成繊維としては、特に制限は無く任意の繊維を用いることができる。具体的には、例えば、木材パルプや綿等の天然セルロース繊維、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維等が挙げられる。本発明においては、これらの繊維の1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。パルプとしては、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)等の漂白された木質パルプ、その他麻等由来のパルプ、化学処理を施してアルカリ膨潤したマーセル化パルプ、螺旋構造を有する化学架橋パルプを用いることもできる。また、その製造方法は特に限定されないが、クレープシート4を構成する紙を製造する過程において、抄造ラインから供給される湿った紙が、ヤンキードライヤの表面に付着し、ヤンキードライヤからの伝熱によって乾燥しながら回転する。その後、ヤンキードライヤに当接させたドクターブレードによって引き剥がされる際にクレープ加工(ちりめん状のシワ加工)がなされ、巻き取られてクレープ紙となる。このときの製造装置の流れ方向がクレープ加工の方向となり、液と接触し濡れたときにはその方向に伸長することとなる。
【0027】
以下、第1実施形態の使い捨ておむつ100について図1を参照して更に詳しく説明する。なお、図1においては使い捨ておむつ100の長手方向中央部分の表面シート1及びクレープシート4を切欠しており、クレープシート4は平面視において長手方向に長い長方形形状である。
おむつ100は、全体として股下部に相当する長手方向中央部が括れた砂時計状の形状となっている。表面シート1及び裏面シート7はそれぞれ、吸収体10の左右両側縁及び前後両端部から外方に延出している。表面シート1は、その幅方向Sの寸法が、裏面シート7の幅方向の寸法より小さくなっている。おむつ100は、展開型のおむつであり、長手方向Lの一方の端部においては、その両側縁部に一対のファスニングテープFTが取り付けられている。また、他方の端部においては、裏面シート7上にランディングテープLTが取り付けられている。
【0028】
おむつ100は、吸収体10の幅方向側縁部の上方に立ち上がることができる立体ギャザーを備えている。即ち、おむつ100に於ける長手方向Lの両側それぞれには、ギャザー弾性部材6を有する立体ギャザー形成用のシート材(サイドシート)60が配されて、立体ギャザーが形成されている。また、おむつ100における長手方向Lの両側には、レッグギャザー形成用の左右一対の一本又は複数本(第1実施形態においては2本)のレッグ弾性部材8,8が配されて、レッグギャザーが形成されている。レッグギャザー形成用のレッグ弾性部材8は、吸収体10の長手方向両側縁それぞれの外方に延出するレッグフラップにおいて、伸長状態で略直線状に配設されている。
【0029】
立体ギャザー形成用のシート材60は、その一側縁に、前記ギャザー弾性部材6が一本又は複数本(第1実施形態では3本)、伸長状態で固定されている。シート材60は、吸収体10の左右両側縁よりも幅方向Sの外方の位置において、おむつ100の長手方向Lに沿って表面シート1に接合されており、その接合部61が、立体ギャザーの立ち上がり基端部61となっている。シート材60は、立ち上がり基端部61からおむつ100の幅方向Sの外方に延出し、その延出部において裏面シート7と接合されている。シート材60は、おむつ長手方向Lの前後端部において、表面シート1上に接合されている。
【0030】
立体ギャザー形成用のシート材60としては、液不透過性又は撥水性で、かつ、透湿性のものが好ましく用いられる。シート材60としては、例えば、液不透過性又は撥水性の多孔性樹脂フィルム、液不透過性又は撥水性の不織布、あるいは該多孔性樹脂フィルムと該不織布との積層体等が挙げられる。該不織布としては、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、SMMS不織布等が挙げられる。シート材60の坪量は、好ましくは5〜30g/m、更に好ましくは10〜20g/mである。
【0031】
表面シート1としては、この種のおむつにおいて従来用いられている各種のものを用いることができ、尿などの液体を透過させることができるものであれば制限はなく、例えば、合成繊維又は天然繊維からなる織布や不織布、多孔性シート等が挙げられる。表面シート1の一例として、芯成分にポリプロピレンやポリエステル、鞘成分にポリエチレンを用いた、芯鞘構造型(サイドバイサイド型含む)複合繊維をカーディングによりウエブ化した後、エアスルー法によって不織布(この後所定箇所に開孔処理を施しても良い)としたものが挙げられる。また、透液性の高さの点(ドライ感)から、低密度ポリエチレン等のポリオレフィンからなる開孔シートも好ましく用いることができる。
裏面シート7としては、この種のおむつにおいて従来用いられている各種のものを用いることができ、液不透過性又は撥水性で、かつ、透湿性のものが好ましく用いられる。裏面シート7としては、例えば、上述した立体ギャザー形成用のシート材60として使用可能なものを用いることができる。また、裏面シート7の幅を吸収体の幅と同程度にして該吸収体の非肌当接面側に配置し、更に、該裏面シート7の非肌当接面側に、不織布や不織布とフィルムとの積層体等を、おむつの外形を構成するシートとして設けてもよい。なお、非肌当接面は、おむつ装着時に着衣側(装着者の肌側とは反対側)に向けられる面である。また、以下、肌当接面という語句を使用することがあるが、肌当接面は、おむつ装着時に装着者の肌側に向けられる面である。
【0032】
第1実施形態のおむつ100は、通常の展開型のおむつと同様に使用できる。このおむつ100は、分立された小吸収部3とクレープシート4の作用により、高吸収量と高吸収速度とを両立し、基盤シート2に伸縮性のシートを用いることにより、複雑に起伏する肌面に合わせて変形し、隙間なく面で当接する人体適合性と、着用者の身体の動きに合わせて変形し、その肌面と面で当接した状態を維持する動作追随性とを持ち合わせている。
【0033】
ここで本発明の更に別の実施形態について述べる。第2実施形態としての使い捨ておむつは長手方向谷部w及び幅方向谷部wにクレープシート4による谷路部Mが形成される。このようにすることにより、上述したクレープ加工を施したクレープシート4に、更に、施されたクレープ加工に対して垂直となる方向に、プリーツ加工を施したプリーツ加工クレープシートを用いることができる。このプリーツ加工されたクレープシートを用いることにより、小吸収部3の幅方向及び長手方向の両方向の膨潤変形を抑制し、分立した形状を維持できるため、繰り返しの排泄においても、良好な身体適合性や、高い吸収速度を確保できる効果がより高くなる。また、長手方向の谷部も幅方向の谷部も閉塞しにくいため、基盤シートとして伸縮性シートを用いた場合には、動作追随性も良好に維持される。
【0034】
小吸収部3に含まれる高吸収性ポリマーとしては、自重の5倍以上の体液を吸収・保持でき、かつゲル化し得るものが好ましい。形状は特に問わず、球状、塊状、ブドウ状、粉末状又は繊維状であり得る。好ましくは大きさが1〜1000μm、より好ましくは10〜500μmの粒子状のものである。そのような高吸収性ポリマーの例としては、デンプンや架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体を挙げることができる。ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩を好ましく用いることができる。また、アクリル酸にマレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はスチレンスルホン酸等のコモノマーを高吸収性ポリマーの性能を低下させない範囲で共重合させた共重合体も好ましく使用し得る。
【0035】
また、上述した高吸収性ポリマーの中でも、保持量の高いもの、好ましくは生理食塩水での保持量が30〜60g/gを使用することも好ましい。前記超吸収性ポリマーを使用することにより、吸収量が向上することにより、使い捨ておむつの薄型化及び小型化等への利用も考えられる。一方、一般的に保持量が高い高吸収性ポリマーは、ゲルがつぶれやすいためにゲル間の通液性が悪くなり、それを用いた吸収体の吸収速度は遅くなる。しかし、本発明による吸収体の分画、及びクレープシートによる谷路部の形成によって吸収速度を向上させ、高い吸収性と吸収量とを両立した吸収体とすることができる。
[高吸収性ポリマーの保持量の測定方法]
保持量の測定は、JIS K 7223(1996)に準拠して行う。ナイロン製の職布(メッシュ開き250、三力製作所販売、品名:ナイロン網)を幅10cm、長さ40cmの長方形に切断して長手方向中央で二つ折りにし、両端をヒートシールして幅10cm(内寸9cm)、長さ20cmのナイロン袋を作成する。測定試料である高吸収性ポリマー1.00gを精秤し、作成したナイロン袋の底部に均一になるように入れる。試料の入ったナイロン袋を生理食塩水(イオン交換水を用いた0.9質量%塩化ナトリウム水)に1時間浸漬させる。1時間後、ナイロン袋を生理食塩水から取り出し、1時間垂直状態に吊るして水切りした後、遠心脱水機内で脱水する。脱水条件は、143G(800rpm)で10分間とする。脱水後、試料の質量を測定し、次式に従って目的とする保持量を算出する。
保持量(g/g)=(a−b−c)/c
式中、aは吸水脱水後の試料及びナイロン袋の総質量(g)、bはナイロン袋の吸水前(乾燥時)の質量(g)、cは試料の吸水前(乾燥時)の質量(g)を表す。測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。
【0036】
小吸収部3の構成材料としては、特に制限はないが繊維材料、多孔質体、それらの組み合わせなどを用いることができる。繊維材料としては例えば、木材パルプ、コットン、麻などの天然繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂からなる単繊維、これらの樹脂を2種以上含む複合繊維、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維を用いることができる。合成樹脂からなる繊維を用いる場合、該繊維は熱によって形状が変化する熱収縮繊維であってもよい。例えば、熱によって繊度は大きくなるが繊維長は短くなるものや、熱によっては繊度はほとんど変化しないが、形状がコイル状に変化することで見かけの繊維の占有する長さが短くなるものであってもよい。多孔質体としては、スポンジ、不織布、高吸水性ポリマーの凝集物(高吸水性ポリマーと繊維とが凝集したもの)などを用いることができる。
【0037】
小吸収部3に高吸収性ポリマーが含まれている場合、小吸収部3の質量に占める高吸収性ポリマーの割合は、5〜95質量%が好ましい。吸収体10を、生理用ナプキンや、軽失禁などの低排泄量の液の吸収に用いられる物品の吸収体として用いる場合には、小吸収部3の重量に占める高吸収性ポリマーの割合は10〜30質量%が好ましい。吸収体10を、使い捨ておむつなどの高排泄量の液の吸収に用いられる物品の吸収体として用いる場合には、小吸収部3の質量に占める高吸収性ポリマーの割合は30〜80質量%であることが好ましい。
【0038】
小吸収部3が固定される基盤シート2としては排泄された液の引き込み及び拡散機能を有するものが用いられる。そのような機能を有するシートとしては、例えば親水性を有する繊維を含むか、若しくは親水性油剤等で処理した繊維を含む不織布やフィルム、又は多孔質体等が挙げられる。これらのシートは単層の状態でもよく、あるいは複数層が積層されて1枚のシートとなっている多層構造のものでもよい。なかでも、伸縮性を有するシートが好ましく、その材料としては特に制限なく用いることができる。そのようなシートとしては、例えば弾性樹脂を含む繊維を構成繊維として含む不織布(弾性不織布)や、弾性樹脂を含むフィルム(弾性フィルム)や、発泡などの手段によって構造中に3次元ネットワークを形成させた弾性樹脂からなる弾性多孔質体などを挙げることができる。弾性不織布や弾性フィルムや弾性多孔質体としては、当該技術分野において公知のものを用いることができる。基盤シート2の坪量は5〜50g/m、特に10〜30g/mであることが好ましい。
【0039】
基盤シート2の伸縮性の程度は、以下の方法で測定される伸縮率が60%以上、特に80%以上であることが、着用者の体型への適合性及び動作追従性が特に良好になる点から好ましい。伸縮率は、以下の方法で測定される。引張圧縮試験機RTC−1210A(株式会社東洋オリエンテック)を用いて、引張モードで測定する。先ず、基盤シート2を幅25mm×長さ150mmで裁断し測定片を採取する。測定片を引張圧縮試験機に装着されたエアーチャック間に初期試料長(チャック間距離)100mmセットし、引張圧縮試験機のロードセル(定格出力5kg)に取り付けられたチャックを300mm/分の速度で上昇させて、測定片を伸長させる。測定片が初期試料長の50%、つまり50mm伸びた時点で、チャックの移動方向を逆転させ、チャックを300mm/分の速度で下降させ、初期試料長の位置まで戻す。この間の操作で、ロードセルで検出される荷重と、測定片の伸びとの関係をチャートに記録し、このチャートに基づき下記式(1)から伸縮率を求める。
伸縮率=回復伸び/最大伸び長さ(=50mm)・・・式(1)
ここで、回復伸びは、最大伸び長さ(=50mm)からチャックを下降させて、初めて荷重ゼロを記録したときの、最大伸び長さからのチャック移動距離で定義される。なお、測定片が前述の大きさに満たない場合、下記方法で測定する。
<試験片> シートのチャック間方向の長さをLmm、把持部分の長さをSmm、幅をCmmとすると、長さの比;L:C=3:5になるように、試験片(L+2S)mm×Cmmの大きさに裁断し測定片を採取する。
<試験> 引張圧縮試験機に、チャック間距離Lで試験片をセットし、100×(L/30)mm/分、測定片が初期試料長の50%伸張するまで上昇。その後チャックの移動方向を逆転させ、チャックを100×(L/30)mm/分の速度で下降させ、初期試料長の位置まで戻す。下記式(2)で計算する。
伸縮率=回復伸び/最大伸び長さ(=L/2mm) (2)
【0040】
具体的には、例えば図1に示した使い捨ておむつ100を長手方向に伸長したときに小吸収部3,3,3・・・は長手方向に離間し、つまり間隔dが開いていく。一方、使い捨ておむつ100の幅方向は収縮するように接近していき間隔eが狭くなっていく。このようにして小吸収部3,3,3・・・は吸収体10が全体において変形しながらも互いの液体等の伝達に係る連携を維持し、良好な液体等の吸収保持性を示す。なお、本発明において液体連通化とは吸収体に伸長力を加えたときに小吸収部どうしが接近もしくは接触し小吸収部間を液体等が伝達しうる状態になることをいう。このような伸長力の加わった状態における小吸収部どうしの距離(隙間d、e)は特に限定されないが、着用時に生じる一般的な伸長力(例えば100cN/25mm)により0〜5mmに接近することが好ましく、0〜3mmに接近することがより好ましい。さらに、0〜1mmに接近していることがさらに好ましい。
【0041】
本発明の吸収性物品は、上記の実施形態に制限されるものではなく、この種の吸収性物品、例えば生理用ナプキン、失禁パッド、失禁ライナ等に本発明を適応することができる。また、尿に限らずその他、経血、オリモノ、軟便等に対しても効果的である。また、表面シート1、小吸収部3、裏面シート7及びサイドシート8の他にも用途や機能に合わせ適宜部材を組み込んでもよい。なお、上記実施形態の使い捨ておむつの表面シート1、小吸収部3及び裏面シート2の材料、製法における条件や、製品の寸法諸言は特に限定されず、通常の使い捨ておむつ等において用いられている各種材料を用いることができる。
【実施例】
【0042】
以下に、本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
【0043】
[実施例]
以下のようにして図1ないし図5に示した形状の吸収体を具備するおむつを作製した。小吸収部3としてはパルプ/高吸収性ポリマー積層体(坪量50g/m×4層の間に高吸収性ポリマーを各層118g/mの坪量で3層散布)を用い、基盤シートとしては坪量16g/mのティッシュを用いた。高吸収性ポリマーには、アクリル酸系ポリマーからなる吸水ポリマーA(生理食塩水での保持量36g/g)を用いた。吸収部のサイズは横幅=30mm、縦幅=50mmとし、隙間=3.0mm、e=3.0mmで配置した。吸収部はホットメルトを用いて基盤シートに固定した。該吸収部の上側(肌当接面側)に、坪量16g/mで吸収体の幅方向にクレープ率20%のクレープ加工が施されたティッシュ(伸長性シート)を配置させた。液不透過性の裏面シートには、花王(株)社製のメリーズの裏面シートを用いた。
【0044】
[比較例1]
実施例1において、小吸収部3の上側(肌当接面側)に、坪量16g/mで吸収体の幅方向にクレープ率2%のクレープ加工が施されたティッシュ(非伸長性シート)を配置させた以外は、実施例1と同様にして作成した。
【0045】
[比較例2]
吸収部としては、パルプ/高吸収性ポリマー積層体(坪量50g/m×4層の間に高吸収性ポリマーを各層95g/mの坪量で3層散布)を用いた。なお、該吸収部は平面視において分立されておらず連続した一体の長方形のものである。基盤シートとしては坪量16g/mのティッシュを用いた。高吸収性ポリマーには、アクリル酸系ポリマーからなる吸水ポリマーA(生理食塩水での保持量36g/g)を用いた。吸収部はホットメルトを用いて基盤シートに固定した。該吸収部の上側(肌当接面側)に、坪量16g/mで吸収体の幅方向にクレープ率2%のクレープ加工が施されたティッシュを配置させた。液不透過性の裏面シートには、花王(株)社製のメリーズの裏面シートを用いた。
【0046】
[吸収速度の評価]
作成した吸収体サンプルを平面状に拡げ、水平面上に固定した状態でアクリル板をのせ、更にそのアクリル板上に錘をのせて吸収体全体に2.0kPaの荷重を加える。この状態で、40gの生理食塩水(イオン交換水を用いた0.9重量%食塩水)を5回、計200gの生理食塩水を注入した。5回目の生理食塩水注入時から、該生理食塩水を吸収し終わるまでの時間(吸収時間)を測定し、下記の3段階で評価した。
○:吸収時間が400秒以下
△:吸収時間が400秒を超え、500秒以下
×:吸収時間が500秒を超える
【0047】
[表1]
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試験体 実施例 比較例1 比較例2
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評価 ○ △ ×
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【0048】
表1に示す結果から明らかなように、実施例の小吸収部は、繰り返し液を注入した場合においても吸収時間が早く、したがって吸収体の液拡散性が高いことが分かる。
【符号の説明】
【0049】
1 表面シート
2 基盤シート
3 小吸収部
4 クレープシート
6 ギャザー弾性部材
7 裏面シート
8 レッグ弾性部材
FT ファスニングテープ
LT ランディングテープ
10 吸収体
100 使い捨ておむつ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌当接面側に配置される表面シート、非肌当接面側に配置される裏面シート、及びその間に配置される長手方向とこれと直交する幅方向とを有する吸収体を具備する吸収性物品であって、
前記吸収体は肌当接面からみた平面視において分立した複数の小吸収部により構成され、該吸収体と前記表面シートとの間には液体に接触し濡れることで伸長する伸長性シートが配設された吸収性物品。
【請求項2】
前記小吸収部は平面視において吸収性物品の幅方向に複数配置されてなる請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記小吸収部は平面視において吸収性物品の長手方向に複数配置されてなる請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記伸長性シートは液に接触し濡れることで伸長し、幅方向に隣り合う小吸収部間に挿入される請求項1〜3いずれか1項に記載の吸収性物品
【請求項5】
前記複数の小吸収部の間において前記伸長性シートの非肌当接面側には再湿接着性を有する剤が塗布されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記伸長性シートはクレープ紙である請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−135921(P2011−135921A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295971(P2009−295971)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】