説明

吸収性物品

【課題】吸収性物品の着用者に不快感及び漏れ不安を与えることを防ぐ。
【解決手段】本発明に係る吸収性物品1において、第1吸収体11は、吸収性物品1における排泄口当接領域Aと後方領域Bとに渡って配置されており、幅方向Wにおいて、第1吸収体11は、第2吸収体21よりも長くなるように構成されており、第2吸収体21は、本体層10よりも吸収性物品1の肌当接面側に配置されており、第2吸収体21は、排泄口当接領域Aに配置されず、後方領域Bに配置されており、第2吸収体21よりも吸収性物品1の肌当接面側に、排泄口当接領域Aと後方領域Bとに渡って、液透過性シート22が配置されており、幅方向Wにおいて、液透過性シート22は、第1吸収体11よりも短くなるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品において、表面シートと裏面シートと第1吸収体とを含む本体層を設け、かつ、かかる本体層の吸収性物品の肌当接面側に、第2吸収体を含む上層を設けることによって、経血等の漏れを防止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、かかる吸収性物品では、上述の第2吸収体は、排泄口当接領域に配置されており、かかる排泄口当接領域の前方領域及び後方領域には配置されていない。
【0004】
なお、かかる吸収性物品では、かかる排泄口当接領域の後方領域は、弾性部材によって起立するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-181218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、出願人は、上述の吸収体物品について、以下のような問題点を発見した。
【0007】
かかる吸収性物品において、排泄口当接領域は、最も大量の体液に接触する場所であるにも関わらず、かかる排泄口当接領域では、第2吸収体が、空隙が少ない上層の表面層のすぐ下に配置されている。
【0008】
従って、かかる吸収性物品において、かかる第2吸収体が、排泄された大量の体液を瞬間的に吸収することができず、かかる体液が、上層の表面層上に広がっていき、かかる吸収性物品の着用者に不快感及び漏れ不安を与えてしまうという問題点があった。
【0009】
さらに、かかる吸収性物品において、排泄口当接領域の後方領域では、第2吸収体が配置されていないため、上層では、排泄口当接領域で吸収されなかった体液が吸収され得ないという問題点があった。
【0010】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、排泄された体液について効率的に本体層の第1吸収体で吸収し、かかる第1吸収体で吸収できなかった体液について上層の第2吸収体で吸収することによって、吸収性物品の着用者に不快感及び漏れ不安を与えることを防ぐことができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の特徴は、表面シートと、裏面シートと、該表面シートと該裏面シートとの間に配置される第1吸収体とを有する本体層と、前記本体層とは別体である第2吸収体とを有する吸収性物品であって、前記第1吸収体は、前記吸収性物品における排泄口当接領域と、該吸収性物品の長手方向における該排泄口当接領域の後方領域とに渡って配置されており、前記吸収性物品の幅方向において、前記第1吸収体は、前記第2吸収体よりも長くなるように構成されており、前記第2吸収体は、前記本体層よりも前記吸収性物品の肌当接面側に配置されており、前記第2吸収体は、前記排泄口当接領域に配置されず、前記後方領域に配置されており、前記第2吸収体よりも前記吸収性物品の肌当接面側に、前記排泄口当接領域と前記後方領域とに渡って、液透過性シートが配置されており、前記幅方向において、前記液透過性シートは、前記第1吸収体よりも短くなるように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、排泄された体液について効率的に本体層の第1吸収体で吸収し、かかる第1吸収体で吸収できなかった体液について上層の第2吸収体で吸収することによって、吸収性物品の着用者に不快感及び漏れ不安を与えることを防ぐことができる吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る吸収性物品が下着に着用される際の様子を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る吸収性物品のa-a断面図及びb-b断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る吸収性物品の外観図である。
【図5】本発明の実施形態に係る吸収性物品の製造方法を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態に係る吸収性物品の作用・効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至図6を参照して、本発明の実施形態に係る吸収性物品1について説明する。例えば、本実施形態に係る吸収性物品1は、紙おむつや失禁パッドや生理用ナプキン等である。
【0015】
図1に示すように、吸収性物品1は、排泄口当接領域Aと、後方領域Bと、前方領域Cとによって構成されている。
【0016】
後方領域Bは、排泄口当接領域Aに対して吸収性物品1の長手方向Lの後方側に配置されており、前方領域Cは、排泄口当接領域Aに対して吸収性物品1の長手方向Lの前方側に配置されている。
【0017】
なお、排泄口当接領域Aは、吸収性物品1において着用者の膣口に当接する領域であり、例えば、図2に示すように、着用者の下着に吸収性物品1が着用される際に、下着の2つの足回り開口の間に配置される領域である。
【0018】
また、吸収性物品1は、排泄口当接領域Aにおいて、幅方向Wの両外側に延出するように形成されている1対の中央ウィング部40を有しており、後方領域Bにおいて、幅方向Wの外側に延出するように形成されている後方ウィング部41を有している。
【0019】
ここで、着用者は、吸収性物品1を下着に着用する際に、中央ウィング部40を下着に巻き込んで、吸収性物品1を下着に固定する。また、着用者は、吸収性物品1を下着に着用する際に、後方ウィング部41を下着の後ろ身ごろに開いた状態で固定する。
【0020】
また、吸収性物品1において、幅方向Wの中心を通る長手方向Lの線Oと中央ウィング部40の長手方向Lの中心を通る幅方向Wの線(a-a)との交点Qを「排泄口当接領域Aの長手方向Lの中心」とし、交点Qから長手方向Lの後方に40mm離れた箇所と長手方向Lの後方端部との間の領域を「後方領域B」とし、交点Qから長手方向Lの前方に40mm離れた箇所と長手方向Lの前方端部との間の領域を「前方領域C」としてもよい。
【0021】
ここで、中央ウィング部40が設けられていない吸収性物品1において、圧搾溝14Aが、長手方向Lに沿って幅方向Wの内側に湾曲するように配置されている場合には、両圧搾溝14Aにおいて最も幅方向Wの内側に位置する箇所同士を結ぶ線を、上述の線(a-a)としてもよい。
【0022】
或いは、中央ウィング部40が設けられていない吸収性物品1において、圧搾溝14Aが、長手方向Lに沿って幅方向Wの外側に湾曲するように配置されている場合には、両圧搾溝14Aにおいて最も幅方向Wの外側に位置する箇所同士を結ぶ線を、上述の線(a-a)としてもよい。
【0023】
本実施形態の吸収性物品1において、図3(a)及び図3(b)に示すように、本体層10は、表面シート12と、裏面シート13と、表面シート12と裏面シート13との間に配置される第1吸収体11とを有している。
【0024】
なお、表面シート12、裏面シート13及び第1吸収体11としては、一般的な材料を用いることができる。例えば、表面シート12は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。裏面シート13は、ポリエチレン、ポリプロピレン等を主体としたフィルム、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。第1吸収体11は、親水性繊維又は粉体をエアレイド法によって積層して形成されてもよいし、親水性繊維又は粉体をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシートでもよい。
【0025】
表面シート12は、本体層10において、吸収性物品1の肌当接面側に設けられている液透過性のシートであり、裏面シート13は、本体層10において、吸収性物品1の肌非当接面側に設けられている液不透過性のシートである。
【0026】
第1吸収体11は、尿や経血等の体液を吸収するように構成されており、吸収性物品1における排泄口当接領域Aと後方領域Bと前方領域Cとに渡って配置されている。
【0027】
なお、図3(a)及び図3(b)に示すように、表面シート12と第1吸収体11とは、長手方向Lに延びる圧搾溝14A、14Bによって接合されている。
【0028】
また、本実施形態の吸収性物品1において、上層20は、本体層10とは別体であり、図3(a)及び図3(b)に示すように、本体層10よりも吸収性物品1の肌当接面側に配置されている。また、図1に示すように、上層20は、吸収性物品1の長手方向Lの製品全長に渡って配置されている。
【0029】
また、図3(a)及び図3(b)に示すように、上層20は、第2吸収体21と、液透過性シート22とを有している。なお、第2吸収体21としては、第1吸収体11と同様の材料を用いることができ、液透過性シート22としては、表面シート12と同様の材料を用いることができきる。
【0030】
図1、図3(a)及び図3(b)に示すように、第2吸収体21は、上層20において、排泄口当接領域Aに配置されず、後方領域Bに配置されている。
【0031】
ここで、吸収性物品1の幅方向Wにおいて、第1吸収体11は、第2吸収体21よりも長くなるように構成されている。また、第2吸収体21に対して、着色処理や模様印刷処理が施されていてもよい。
【0032】
また、上層20において、第2吸収体21よりも吸収性物品1の肌当接面側に、排泄口当接領域Aと後方領域Bと前方領域Cとに渡って、液透過性シート22が配置されている。
【0033】
具体的には、上層20において、液透過性シート22の幅方向Wの端部を含む領域の両方を、幅方向Wの中心線側かつ本体層10側に折り畳むことによって、液透過性シート22が第2吸収体21全体を包むように構成されている。
【0034】
例えば、上層20において、液透過性シート22は、3つに折り畳まれており、3つに折り畳まれた液透過性シート22の領域同士は、ホットメルト接着剤(HMA)によって接合されている。
【0035】
そして、図3(b)に示すように、後方領域Bに対応する上層20において、3つに折り畳まれた液透過性シート22内部に、第2吸収体21が配置されている。
【0036】
すなわち、図3(a)に示すように、排泄口当接領域A(及び、前方領域C)に対応する上層20では、3つに折り畳まれた液透過性シート22内部に、第2吸収体21が配置されていない。
【0037】
ここで、上層20において、第2吸収体21が配置されていない領域(すなわち、幅方向Wの境界線20A1と吸収性物品1の前方端部との間の領域)と、第2吸収体21が配置されている領域(すなわち、幅方向Wの境界線20A2と幅方向Wの境界線20A3との間の領域)20Cとの間に、離間領域(スライド部)20Bが設けられていてもよい。
【0038】
かかる場合、離間領域20B及び第2吸収体21が配置されている領域20Cでは、上層20と本体層10とが接合されていない。一方、排泄口当接領域A及び前方領域Cでは、圧搾部(エンボス)やホットメルト接着剤等によって上層20と本体層10とが接合されている。また、後方領域Bでは、上述の離間領域20B及び第2吸収体21が配置されている領域20C以外の領域において、圧搾部(エンボス)やホットメルト接着剤等によって上層20と本体層10とが接合されていてもよい。
【0039】
なお、離間領域20Bでは、幅方向Wに横断するように複数の圧搾溝が設けられていてもよい。
【0040】
かかる場合、図4に示すように、吸収性物品1が下着に着用される際に、スライド部20Bが、長手方向Lの前方に向かって起立するように構成されている。
【0041】
また、上層20において、上述の離間領域20Bが設けられていなくてもよい。かかる場合、吸収性物品1の長手方向Lの製品全長に渡って、上層20と本体層10とが接合されている。
【0042】
また、かかる場合、第2吸収体21の長手方向Lの前方端部は、後方領域Bの長手方向Lの前方端部に重なり、第2吸収体21の長手方向Lの後方端部は、第1吸収体11の長手方向Lの後方端部よりも、長手方向Lの前方に配置される。このような構成によれば、第2吸収体21によって吸収できなかった体液を、第1吸収体11によって吸収することができる。
【0043】
ここで、吸収性物品1の幅方向Wにおいて、液透過性シート22は、第1吸収体11よりも短くなるように構成されている。
【0044】
また、中央ウィング部40が設けられている領域では、吸収性物品1の幅方向Wにおいて、上層20の両縁部は、2本の圧搾溝14Aの外側に延出しないように配置されている。
【0045】
また、第2吸収体21が配置されていない領域では、液透過性シート22に、圧搾部24Aが設けられており、かかる圧搾部24Aによって、折り畳まれた液透過性シート22の領域同士が接合されるように構成されている。
【0046】
また、第2吸収体21が配置されている領域20Bでは、液透過性シート22に、圧搾部24Bが設けられており、かかる圧搾部24Bによって、折り畳まれた液透過性シート22の領域と第2吸収体21とが接合されるように構成されている。
【0047】
ここで、かかる圧搾部24Bによって、第2吸収体21の吸収性物品1の肌当接面側の一部の領域及び液透過性シート22の吸収性物品1の肌当接面側の領域のみが接合されるように構成されていてもよい。
【0048】
かかる構成によれば、吸収性物品1が硬くなることを防ぎつつ、液透過性シート22から第2吸収体21への体液の移行速度を高めることができる。
【0049】
また、第2吸収体21が配置されている領域20Bにおいて、嵩回復処理が行われないように構成されていてもよい。かかる構成によれば、第2吸収体21が配置されている領域20Bの嵩高を、その他の領域の嵩高よりも低くすることで、液透過性シート22から第2吸収体21への体液の移行速度を高めることができる。
【0050】
また、液透過性シート22における繊維密度は、表面シート12における繊維密度よりも低くなるように構成されていてもよい。
【0051】
例えば、嵩回復処理の有無や、温度や風量や時間といった嵩回復処理における条件を変えることで、液透過性シート22における繊維密度を、表面シート12における繊維密度をよりも低くしていてもよい。
【0052】
なお、表面シート12及び液透過性シート22の繊維密度は、例えば、以下の測定方法によって測定することができる。(1)密度を測定するシートの厚み及び面積を測定する。(2)密度を測定するシートの重量を測定する。(3)シートの重量とシートの面積とに基づいて目付を算出する。(4)目付及び厚みに基づいて密度を算出する。また、シートの厚みは、例えば、以下の方法で測定することができる。(1)シートを液体窒素に含浸させて凍結させる。(2)剃刀によって凍結させたシートを切断した後、切断したシートを常温に戻して解凍する。(3)切断面におけるシートの厚みを電子顕微鏡(キーエンス社製 VE7800)によって測定する。
【0053】
また、吸収性物品1において、本体層20の幅方向Wの両脇に、防漏壁30が設けられていてもよい。かかる防漏壁30は、中空上に折り畳まれた防漏シート31と、防漏シート31内に伸張状態で配置された弾性部材32とによって構成されている。
【0054】
次に、図5を参照して、本実施形態に係る吸収性物品1の製造方法の一部について説明する。なお、図5に記載されていない方法については、既存の方法を用いることができる。
【0055】
図5に示すように、ステップS101において、上層20を生成する。
【0056】
具体的には、第1に、1回又は2回のセーラー工程において、第2吸収体21を折り畳み、仮止めエンボス又はホットメルト接着剤にて開かないように仮止めする。
【0057】
第2に、液透過性シート22用ウェブに対して、嵩回復処理や冷却処理を施して嵩を回復させる。例えば、液透過性シート22用ウェブを加熱ロールに接触させる、或いは、液透過性シート22用ウェブに対して熱風を当てた後、急冷させることによって、液透過性シート22用ウェブの嵩を回復させてもよい。
【0058】
第3に、折り畳まれた第2吸収体を所定の長さにカットし、ホットメルト接着剤を塗工した後に、液透過性シート22用ウェブ上に貼り合わせる。
【0059】
第4に、液透過性シート22用ウェブと第2吸収体21上にホットメルト接着剤を塗工して、セーラー工程にて3つに折り畳み、第2吸収体21を液透過性シート22用ウェブでラッピングする。
【0060】
第5に、液透過性シート22用ウェブにおいて、エンボス加工を行うことによって、スライド部20Cを形成する。
【0061】
ステップS102において、防漏壁30を生成する。
【0062】
具体的には、第1に、弾性部材32にホットメルト接着剤を塗工し、スリッターで半切された防漏シート31に合流させ、セーラー工程を経て、防漏壁30の基礎を形成する。
【0063】
第2に、防漏壁30の基礎を、表面シート12用ウェブに合流させ、エンボス加工によって、防漏壁30の基礎と表面シート12用ウェブとを接合する。
【0064】
第3に、セーラー工程によって、防漏壁30の基礎から、Ω状の防漏壁30を形成する。
【0065】
ステップS103において、3つに折り畳まれた液透過性シート12用ウェブに対して間欠的にホットメルト接着剤を塗工し、防漏壁30が形成された表面シート12用ウェブに貼り合わせ、その後、エンボス加工によって、液透過性シート12用ウェブと表面シート12用ウェブとを接合する。
【0066】
ステップ104において、第1吸収体11を生成する。
【0067】
具体的には、第1に、ティッシュ上に粉砕されたパルプ及び吸収ポリマーを積層させ、セーラー工程にてティッシュでラップして、第1吸収体11の基礎を形成する。
【0068】
第2に、エンボス加工によって、第1吸収体11の基礎の厚みを、所定の厚みとする。
【0069】
第3に、吸収体カッターを用いて、第1吸収体11の基礎を、所定の寸法及び形状にカットすることによって、第1吸収体11を生成する。
【0070】
ステップ105において、液透過性シート22用ウェブ及び防漏壁30が接合されている表面シート12用ウェブに、第1吸収体11を貼り合わせ、吸収性物品1の肌当接面側に、ヒンジシールにて所定の形状の圧搾溝を形成する。
【0071】
ステップS106において、裏面シート13用ウェブにホットメルト接着剤を塗工して、表面シート12用ウェブの吸収性物品1の肌当接面側に合流させる。
【0072】
本実施形態に係る吸収性物品1によれば、図6に示すように、吸収性物品1の着用者が、仰向けで寝ている場合、排泄口当接領域Aに配置されている本体層10の第1吸収体11が、排泄口から排泄された体液を吸収し、後方領域Bに配置されている上層20の第2吸収体21が、着用者のお尻の溝等を伝って流れてきた体液を吸収することができる。
【0073】
すなわち、第2吸収体21は、排泄口から排泄された体液に直接触れる可能性が低いため、着用者のお尻の溝等を伝って流れてきた体液の吸収に専念することができ、着用者のお尻の溝等を伝って流れてきた体液の吸収漏れを低減することができる。
【0074】
また、本実施形態に係る吸収性物品1によれば、上層20において、折り畳まれた液透過性シート22の領域同士をドット状のエンボス等で高密度にして一体化すことで、液透過性シート22の領域間で滞留する体液の上層20側から本体層10側への移行を容易にすることができると共に、体液が上層20側から本体層10側へ移行するまでの間、かかる液透過性シート22の繊維の間に体液を滞留させることができる。
【0075】
また、本実施形態に係る吸収性物品1によれば、上層20と本体層10とをホットメルト接着剤で接合した後に、さらに、ドット状のエンボスにより部分的に接合しているため、上層20と本体層10と部分的に高密度にして一体化することで、上層20側に滞留している体液の本体層10側への移行を容易にすることができる。
【0076】
また、本実施形態に係る吸収性物品1によれば、後方領域Bにおいて、液透過性シート22及び第2吸収体21をドット状のエンボスにより部分的に接合しているため、液透過性シート22から第2吸収体21への体液の移行を容易にすることができ、さらに、かかるエンボスにより形成された凹凸で流れてきた体液を止めることができる。
【0077】
また、本実施形態に係る吸収性物品1によれば、液透過性シート22における繊維密度は、表面シート12における繊維密度よりも低くなるように構成されている。
【0078】
従って、繊維密度の低い液透過性シート22が、本体層10における第1吸収体11が体液を吸収するまで、繊維の間に体液を保存することができ、保存されている体液が、繊維密度の高い表面シート12に引き込まれるように構成されているので、一度に大量の体液が排泄された場合であっても、かかる体液の吸収漏れを低減することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る吸収性物品1によれば、上層20において、第2吸収体21が配置されている領域における液透過性シート22の繊維密度は、第2吸収体21が配置されていない領域における液透過性シート22の繊維密度よりも高くなるように構成されている、すなわち、吸収性物品1の肌当接面側の第2吸収体21は、嵩の低い液透過性シート22で覆われているため、体液の引き込み性が高まる。
【0080】
また、本実施形態に係る吸収性物品1によれば、上層20において、第2吸収体21が配置されている領域における液透過性シート22の繊維密度は、第2吸収体21が配置されていない領域における液透過性シート22の繊維密度よりも高くなるように構成されている、すなわち、吸収性物品1の肌当接面側の第2吸収体21は、嵩の低い液透過性シート22で覆われている。
【0081】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0082】
1…吸収性物品
10…本体層
11…第1吸収体
12…表面シート
13…裏面シート
20…上層
21…第2吸収体
22…液透過性シート
30…防漏壁
31…防漏シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シートと、裏面シートと、該表面シートと該裏面シートとの間に配置される第1吸収体とを有する本体層と、
前記本体層とは別体である第2吸収体とを有する吸収性物品であって、
前記第1吸収体は、前記吸収性物品における排泄口当接領域と、該吸収性物品の長手方向における該排泄口当接領域の後方領域とに渡って配置されており、
前記吸収性物品の幅方向において、前記第1吸収体は、前記第2吸収体よりも長くなるように構成されており、
前記第2吸収体は、前記本体層よりも前記吸収性物品の肌当接面側に配置されており、
前記第2吸収体は、前記排泄口当接領域に配置されず、前記後方領域に配置されており、
前記第2吸収体よりも前記吸収性物品の肌当接面側に、前記排泄口当接領域と前記後方領域とに渡って、液透過性シートが配置されており、
前記幅方向において、前記液透過性シートは、前記第1吸収体よりも短くなるように構成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記液透過性シートに圧搾部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記液透過性シートにおける繊維密度は、前記表面シートにおける繊維密度よりも低くなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記後方領域において、前記本体層と前記第2吸収体とが接合されていないことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記液透過性シートの前記幅方向の端部を含む領域の両方を、前記幅方向の中心線側かつ前記本体層側に折り畳むことによって、該液透過性シートが前記第2吸収体全体を包むように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−218158(P2011−218158A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65033(P2011−65033)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】