説明

吸収性物品

【課題】尿等の体液が一度に大量に排出されても横漏れを防止することが容易な吸収性物品を提供する。
【解決手段】トップシート2とバックシート3との間に吸収性コア4が配置され、長手方向yと幅方向xを有する吸収性物品1であって、吸収性物品1のトップシート2側には、吸収性コア4の端部またはそれより外方に、圧縮された弾性体12が被覆シート13に内包された補助吸収体11が設けられ、被覆シート13は濡れると少なくとも一部が開放されるものである吸収性物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ、尿パッド、生理用ナプキン等の吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品の漏れ防止効果を高めるために、補助的な物品が取り付けられた吸収性物品が知られている。例えば、特許文献1には、弾性材料から形成され内部が中空の弾性中空体と、弾性中空体を被覆する肌当接シートとを有するパッド本体と、パッド本体を吸収性物品に固定する固定手段とを有する補助パッドが開示され、補助パッドは吸収性物品のトップシートに取り付けて使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3847023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された補助パッドは、補助パッドの柔軟性と弾性とを利用して吸収性物品の着用者へのフィット性を高めて、尿等の横漏れを防止しようとするものであり、補助パッド自身は液吸収能力を有していない。そのため、このような補助パッドを吸収性物品に取り付けても、尿等の体液が一度に大量に排出されると、体液が吸収性物品から溢れて横漏れするおそれがある。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、尿等の体液が一度に大量に排出されても横漏れを防止することが容易な吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の吸収性物品とは、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配置され、長手方向と幅方向を有する吸収性物品であって、吸収性物品のトップシート側には、吸収性コアの端部またはそれより外方に、圧縮された弾性体が被覆シートに内包された補助吸収体が設けられ、被覆シートは濡れると少なくとも一部が開放されるものであるところに特徴を有する。本発明の吸収性物品は、尿等の体液が吸収性物品の長手方向または幅方向に拡散して補助吸収体まで達すると、補助吸収体が濡れることにより被覆シートの少なくとも一部が開放され、圧縮された弾性体が被覆シートの外に解放される。その結果、圧縮外力から解放されて非圧縮状態に回復する過程で、弾性体により体液が速やかに吸収され、尿等の体液の横漏れが防止される。
【0007】
補助吸収体は、吸収性コアの幅方向両側に、略長手方向に延在して設けられることが好ましい。このように補助吸収体を設けることにより、尿等の体液が一度に大量に排出された場合に、吸収性物品の幅方向への横漏れが効果的に防止できる。
【0008】
被覆シートは、ティッシュペーパー、薄葉紙、ポリビニルアルコールフィルム、オブラートフィルム、およびゼラチンフィルムよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、被覆シートは、水溶性接着剤により接合されて袋状に形成されてそこに圧縮された弾性体が内包され、水溶性接着剤が、デンプン糊、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、およびスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものであることが好ましい。このように被覆シートが構成されれば、被覆シートが濡れると容易に一部が開放されるようになる。
【0009】
弾性体は、発泡ポリマーまたは繊維塊であることが好ましい。弾性体が発泡ポリマーまたは繊維塊であれば、圧縮しやすく、また圧縮外力から解放されて非圧縮状態に回復する過程で、尿等の体液を速やかに吸収しやすい。
【0010】
吸収性物品は、吸収性コアの幅方向両側に立ち上がりフラップが設けられ、補助吸収体が立ち上がりフラップの内側に隣接して設けられていることが好ましい。立ち上がりフラップのすぐ内側には尿等の体液が溜まりやすいため、補助吸収体が立ち上がりフラップの内側に隣接して設けられれば、立ち上がりフラップからの尿等の横漏れが効果的に防止できる。
【0011】
吸収性物品は、吸収性コアの幅方向両側に立ち上がりフラップが設けられず、補助吸収体が吸収性コアの幅方向両側縁から内方に20mm以内の領域または外方に30mm以内の領域に設けられていることも好ましい。この場合、立ち上がりフラップが設けられないにも関わらず、補助吸収体が吸収性物品の幅方向への横漏れを防止できるようになる。また、補助吸収体が弾性体から構成されているため、補助吸収体が着用者の肌に触れても圧迫感が少なく、吸収性物品の着用感が向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の吸収性物品は、尿等の体液が一度に大量に排出されても、横漏れを防止しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の吸収性物品の一実施態様として、吸収性物品(尿パッド)をトップシート側から見た平面図を表す。
【図2】図1の吸収性物品のA−A断面図を表す。
【図3】本発明の吸収性物品の他の実施態様として、吸収性物品(尿パッド)をトップシート側から見た平面図を表す。
【図4】図3の吸収性物品のB−B断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の吸収性物品は、トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配置され、長手方向と幅方向とを有する。本発明の吸収性物品の態様としては、使い捨ておむつ、尿パッド(失禁パッドを含む)、生理用ナプキン等が示される。
【0015】
吸収性物品の形状としては、長手方向と幅方向とを有するものであれば特に限定されない。吸収性物品が、例えば尿パッド、生理用ナプキンである場合、吸収性物品の形状としては、略長方形、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等が示される。
【0016】
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、後背部または前腹部の左右に一対の止着部材が設けられ、この止着部材により着用時にパンツ型に形成するオープン型使い捨ておむつであったり、前腹部と後背部とが接合されることによりウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツ型使い捨ておむつであってもよい。
【0017】
吸収性物品が、例えば使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、前腹部と後背部とこれらの間に位置し前記吸収性コアが備えられた股部とから構成されていることが好ましい。吸収性物品が使い捨ておむつである場合、吸収性物品としては例えば、内側シートと外側シートとからなる積層体が前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とからなるおむつ本体を形成し、おむつ本体の股部に吸収性コアを有する吸収性物品が備えられていてもよい。このとき、吸収性物品の形状としては、略長方形等が示される。また、吸収性物品が使い捨ておむつである場合、吸収性物品としては、例えば、吸収性物品が、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを形成し、この股部に吸収性コアが備えられていてもよい。
【0018】
前腹部、後背部、股部とは、使い捨ておむつを着用の際に、着用者の腹側に当てる部分を前腹部と称し、着用者の尻側に当てる部分を後背部と称し、前腹部と後背部との間に位置し着用者の股間に当てる部分を股部と称する。
【0019】
吸収性物品の長手方向とは、吸収性物品を着用者が着用した際、着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味する。吸収性物品の幅方向とは、吸収性物品を平面に広げた状態で吸収性物品と同一面上にあり、長手方向と直交する方向を意味する。吸収性物品の形状が略長方形状の場合、吸収性物品の長手方向は、一般に、略長方形の長軸方向(長辺が延びる方向)となる。吸収性コアの形状が砂時計型やひょうたん型や羽子板型の場合、吸収性コアの長手方向は一般に、各形状の対称軸方向となる。吸収性物品が前腹部と後背部と股部とを有する場合、前腹部から後背部にかけての方向(またはその逆方向)が長手方向となる。
【0020】
トップシートは、吸収性物品の着用の際に着用者側に位置するシートであり、液透過性であることが好ましい。バックシートは、吸収性物品の着用の際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートであり、液不透過性であることが好ましい。なお、吸収性物品が尿パッドであり、別体の使い捨ておむつ等の内側に取り付けて使用されるものである場合は、バックシートは液透過性であってもよい。本発明において、液不透過性とは撥水性の意味も含まれる。
【0021】
トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、孔が形成されたプラスチックフィルムを用いてもよい。
【0022】
バックシートとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0023】
吸収性物品が、前記説明したように、内側シートと外側シートとからなる積層体から形成されるおむつ本体の股部に備えられるものである場合、内側シートは親水性または液不透過性であることが好ましく、外側シートは液不透過性であることが好ましい。
【0024】
吸収性コアは、尿等の排泄物を吸収できるものであれば特に限定されない。吸収性コアとしては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは吸収性材料を紙シート(例えば、ティッシュペーパー)や液透過性不織布シート等のシート部材で覆ったものを用いることができる。吸収性コアに含まれる吸収性材料としては、例えば、粉砕したパルプ繊維、セルロース繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。吸収性材料としては、少なくとも吸水性樹脂を含んでいることが好ましい。また、吸収性材料として、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いてもよい。
【0025】
吸収性コアの形状は特に限定されない。吸収性コアの形状としては、例えば、略長方形、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型等が挙げられる。
【0026】
吸収性物品には、吸収性コアの幅方向両側に立ち上がりフラップが設けられていてもよい。立ち上がりフラップは、例えば、吸収性コアの上方に、吸収性コアの両側縁に沿って設けられてもよく、吸収性コアの幅方向両外側に設けられてもよい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップは、トップシートの幅方向両側に設けられたサイドシートの内方端が立ち上げられて、形成されてもよい。立ち上がりフラップの内方端には弾性部材が設けられることが好ましく、当該弾性部材の収縮力により立ち上がりフラップが着用者の肌に向かって立ち上がり、防漏壁が形成されやすくなる。立ち上がりフラップおよびサイドシートは、液不透過性であることが好ましい。
【0027】
本発明の吸収性物品には、吸収性物品のトップシート側に補助吸収体が設けられる。補助吸収体は吸収性物品のトップシート側に設けられる限り、取り付け対象となる部材は特に限定されない。補助吸収体は、例えば、トップシートに取り付けられてもよく、吸収性物品のトップシート側に位置する別の部材(例えば、立ち上がりフラップやサイドシート)に取り付けられてもよい。補助吸収体は、吸収性物品を着用者が着用した際に着用者の肌に面するように吸収性物品に設けられればよい。つまり、補助吸収体は、吸収性物品の肌面側に設けられる。
【0028】
補助吸収体は、被覆シートと、被覆シートに内包された圧縮された弾性体とを有する。つまり、補助吸収体は、圧縮された弾性体が被覆シートに内包されて構成される。補助吸収体は、濡れると被覆シートの少なくとも一部が開放され、その結果、圧縮された弾性体が被覆シートの外に解放される。弾性体は被覆シートに圧縮状態で内包されているため、非圧縮状態の弾性体は圧縮可能な部分(代表的には空気)を含む。圧縮可能な部分は、圧縮外力から解放されて非圧縮状態に回復する過程で内部が負圧となり、尿等の体液を吸収できる。あるいは、毛細管現象によって尿等の体液を吸収できる。つまり、補助吸収体は、濡れることにより被覆シートの少なくとも一部が開放され、弾性体の圧縮外力から解放されて非圧縮状態に回復する過程で、弾性体が尿等の体液を吸収できるようになる。
【0029】
弾性体は、被覆シートに圧縮された状態で内包されている。従って、弾性体は、濡れることにより被覆シートの少なくとも一部が開放されると、圧縮された状態から嵩が増えることが好ましい。
【0030】
補助吸収体に用いられる弾性体は、圧縮可能な材料であれば特に限定されない。また、弾性体は、一般的な吸収性物品の取り扱い条件で、弾性変形可能な部材であることが好ましい。例えば、吸収性物品の捻れや曲げに対して追従可能な部材であることが好ましい。弾性体としては、例えば、発泡ウレタン、発泡ゴム、発泡ポリエステル等の発泡ポリマー;木綿、海綿、パルプ繊維、合成繊維等の繊維の集合体である繊維塊等を用いることができる。繊維塊には、吸水性樹脂が含まれていてもよい。弾性体が発泡ポリマーまたは繊維塊であれば、圧縮しやすく、また圧縮外力から解放された際、尿等の体液を速やかに吸収しやすい。
【0031】
繊維塊に用いられる繊維としては、パルプ、綿、麻等の天然セルロース繊維や;レーヨン、ビスコース等の再生セルロース繊維が好ましい。このようなセルロース繊維を用いて繊維塊を形成し弾性体に適用すれば、弾性体により体液が速やかに吸収されやすくなる。
【0032】
弾性体として繊維塊を用いる場合、補助吸収体中で圧縮された状態の弾性体の密度(見かけ密度)は0.01g/cm3以上が好ましく、0.02g/cm3以上がより好ましく、また0.05g/cm3以下が好ましく、0.04g/cm3以下がより好ましい。圧縮された状態の弾性体の密度が0.01g/cm3以上であれば、被覆シートが開放されると、弾性体が被覆シートの外に膨らむように解放されやすくなる。その結果、広範囲にわたり尿等の体液を吸収しやすくなる。圧縮された状態の弾性体の密度が0.05g/cm3以下であれば、弾性体が圧縮された状態で被覆シートに内包されても、被覆シートが乾いた状態で破れにくくなる。
【0033】
補助吸収体に用いられる被覆シートは水解性であることが好ましい。被覆シートが水解性であれば、被覆シートが尿等の体液で濡れると被覆シートが破れて開放されやすくなり、その結果、圧縮された弾性体が被覆シートの外に解放されやすくなる。水解性の被覆シートとしては、ティッシュペーパー、薄葉紙、ポリビニルアルコールフィルム、オブラートフィルム、およびゼラチンフィルムよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。このような材料で被覆シートを構成すれば、被覆シートが濡れると容易に破れやすくなる。
【0034】
圧縮された弾性体は、1または2以上の被覆シートにより内包されていればよい。例えば、1枚の被覆シートが2つ折りされ、2つ折りされた被覆シートの周縁が接合されて袋状に形成され、そこに圧縮された弾性体が内包されてもよい。また、2枚の被覆シートの周縁が互いに接合されて袋状に形成され、そこに圧縮された弾性体が内包されてもよい。被覆シートどうしの接合は、例えば、接着剤(ホットメルト接着剤等)や熱融着(ヒートシール等)により行えばよい。
【0035】
補助吸収体に用いられる被覆シートは水解性でなくてもよい。この場合は、被覆シートが水溶性接着剤により接合されて袋状に形成され、そこに圧縮された弾性体が内包されればよい。被覆シートが水溶性接着剤で接合されていれば、被覆シートの水溶性接着剤で接合された部分が尿等の体液で濡れると、水溶性接着剤による接合が解除され、被覆シートが開放される。なお、被覆シートが水解性の場合であっても、被覆シートを水溶性接着剤で接合してもよい。
【0036】
水溶性接着剤は、水に濡れると接着効果が低減するものであれば特に限定されないが、デンプン糊、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、およびスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものであることが好ましい。SISやSEBSを含む水溶性接着剤は、ホットメルト接着剤であってもよい。水溶性接着剤が接着成分としてこのような成分を含んでいれば、水溶性接着剤による接合部分が水に濡れると、接合部分の接合が解除されやすくなる。
【0037】
非水解性の被覆シートを水溶性接着剤で接合する場合、非水解性の被覆シートは液透過性であることが好ましい。このような被覆シートとしては、トップシートに用いられる不織布等を採用すればよい。
【0038】
補助吸収体は、水解性の被覆シートを用いるものであることがより好ましい。水解性の被覆シートを用いれば、被覆シートのどの部分が濡れても容易に被覆シートが開放され、補助吸収体による吸収性物品からの漏れ防止がより確実に実現される。
【0039】
補助吸収体は、吸収性物品のトップシート側であって、吸収性コアの端部またはそれより外方に設けられる。このような位置に補助吸収体が設けられることにより、補助吸収体は、吸収性物品からの漏れを防止できる。本発明の吸収性物品は、尿等の体液が吸収性物品の長手方向または幅方向に拡散して補助吸収体まで達すると、補助吸収体が濡れて、被覆シートの少なくとも一部が開放され、圧縮された弾性体が被覆シートの外に解放される。その結果、圧縮外力から解放された弾性体により体液が速やかに吸収され、尿等の体液の横漏れが防止される。
【0040】
本発明の吸収性物品は、尿等の体液が一度に大量に排出された場合に特に有効に漏れが防止される。つまり、少量あるいは通常の量の体液が排出された場合には吸収性コアにより体液が吸収されるが、一度に大量の体液が排出されて体液が吸収性物品から漏れそうになったときに、補助吸収体が吸収性物品からの漏れを防止できることが好ましい。
【0041】
補助吸収体は、吸収性コアの端部またはそれより外方に設けられるが、具体的には、吸収性コアの縁から内方に20mm以内の領域、または吸収性コアの縁から長手方向または幅方向に外方の領域に設けられる。このような領域に補助吸収体が設けられることにより、尿等の体液が吸収性物品の長手方向または幅方向から漏れることが防止される。例えば、補助吸収体が吸収性コアの幅方向端部に設けられれば幅方向からの漏れが防止され、補助吸収体が吸収性コアの長手方向端部に設けられれば長手方向からの漏れが防止される。
【0042】
補助吸収体は、吸収性物品のトップシート側に位置する部材(例えば、トップシート、立ち上がりフラップ、サイドシート)に取り付けられる。補助吸収体を吸収性物品のトップシート側に位置する部材に取り付ける固定手段は特に限定されず、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤を用いればよい。なお、補助吸収体の固定手段は、水不溶性であることが好ましい。
【0043】
補助吸収体の形状は特に限定されないが、柱形状のような長細い形状であることが好ましい。柱形状は、一方端から他方端までが同一断面(形状および大きさ)を有する必要はなく、例えば一方端または他方端に近づくにつれて断面積が小さくなるものでもよい。柱形状の断面形状は特に限定されず、例えば、円、楕円、四角形、角の丸まった四角形等が挙げられる。なかでも、柱形状の断面形状は、円、楕円または角の丸まった四角形が好ましい。この場合、補助吸収体が着用者に触れても圧迫感が少なくなる。なお柱形状の断面とは、柱形状の長手方向に直交する断面を意味する。
【0044】
補助吸収体は、吸収性物品の漏れ防止効果を高めたい箇所に部分的に取り付けられることが好ましい。例えば、吸収性物品を着用時、吸収性物品と着用者の肌との間に隙間が形成される部分には液溜まりが生じやすく、そのような部分に補助吸収体を設けることが好適である。具体的には、例えば、吸収性物品の排尿部が面する部分の幅方向両側や、吸収性物品を着用した際に底部となる部分の幅方向両側に補助吸収体を設けることが好ましい。従って、補助吸収体は、吸収性コアの幅方向両側に略長手方向に延在して設けられていることが好ましい。より好ましくは、補助吸収体は、吸収性コアの幅方向に最も狭い部分の縁から内方に20mm以内の領域、またはそれより幅方向に外方の領域に、略長手方向に延在して設けられる。このように補助吸収体を設けることにより、吸収性物品からの尿等の体液の横漏れが効果的に防止できるようになる。
【0045】
補助吸収体が吸収性コアの幅方向両側に略長手方向に延在して設けられる場合、補助吸収体の幅は5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、また40mm以下が好ましく、35mm以下がより好ましい。補助吸収体の幅が5mm以上であれば、補助吸収体の製造が容易になるとともに、補助吸収体による横漏れ防止効果がより確実になる。補助吸収体の幅が40mm以下であれば、補助吸収体が吸収性コアを覆いすぎず、吸収性コアの吸収能力が発揮されやすくなる。また、少量あるいは通常の量の体液が排出された際に補助吸収体が機能せず、大量の体液が一度に排出された際に補助吸収体が機能しやすくなる。
【0046】
補助吸収体が吸収性コアの幅方向両側に略長手方向に延在して設けられる場合、補助吸収体の延在する長さは特に限定されない。補助吸収体は、吸収性物品の漏れ防止効果を高めたい領域に応じて、適宜長さを調整すればよい。補助吸収体の長手方向の長さは、少なくとも幅以上の長さを有することが好ましい。補助吸収体の長さは、例えば、50mm以上300mm以下(より好ましくは、70mm以上200mm以下)であることが好ましい。
【0047】
補助吸収体を備える本発明の吸収性物品について、好ましい実施態様を説明する。
【0048】
本発明の吸収性物品は、吸収性コアの幅方向両側に立ち上がりフラップが設けられ、補助吸収体が立ち上がりフラップの内側に隣接して設けられていることが好ましい。立ち上がりフラップのすぐ内側には尿等の体液が溜まりやすいため、補助吸収体が立ち上がりフラップの内側に隣接して設けられれば、立ち上がりフラップからの尿等の横漏れが効果的に防止できるようになる。この場合、補助吸収体は立ち上がりフラップに取り付けられてもよく、立ち上がりフラップの内側に隣接してトップシートに取り付けられてもよい。なお、立ち上がりフラップの内側とは、立ち上がりフラップが立ち上がった状態の幅方向に対する内側を意味する。
【0049】
本発明の吸収性物品は、吸収性コアの幅方向両側に立ち上がりフラップが設けられず、補助吸収体が吸収性コアの幅方向両側縁から内方に20mm以内の領域または外方に30mm以内の領域に設けられていることも好ましい。この場合、立ち上がりフラップが設けられないにも関わらず、補助吸収体が吸収性物品の幅方向への横漏れを防止できるようになる。また、補助吸収体が弾性体から構成されているため、補助吸収体が着用者の肌に触れても圧迫感が少なく、吸収性物品の着用感が向上する。
【0050】
本発明の吸収性物品の実施態様の一例を、図面を参照して説明する。図1,2には、本発明の吸収性物品の一実施態様を示した。図1は、吸収性物品として尿パッドをトップシート側から見た平面図を表す。図2は、図1の吸収性物品のA−A断面図を表す。なお、本願の図では、矢印xを幅方向とし、矢印yを長手方向と定義付ける。矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向を上下方向zと定義付ける。図1では、吸収性物品1Aの形状が羽子板型である場合を示したが、吸収性物品1Aの形状はこれに限定されない。
【0051】
吸収性物品1Aは、トップシート2とバックシート3との間に吸収性コア4が配置され、長手方向yと幅方向xを有する。トップシート2は、着用者の肌に面するように配置され、尿等の排泄物を透過する。トップシート2を透過した排泄物は、吸収性コア4により収容される。バックシート3は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
【0052】
トップシート2の幅方向xの両側には長手方向yに延在する一対のサイドシート5が設けられ、サイドシート5の内方端には起立用弾性部材7が設けられている(図2)。サイドシート5は、起立用弾性部材7の収縮力によりサイドシート5の内方端が着用者の肌に向かって立ち上がり、これにより立ち上がりフラップ6が形成される。つまり、吸収性物品1Aには、吸収性コア4の幅方向xの両側に立ち上がりフラップ6が設けられている。立ち上がりフラップ6により、尿等の幅方向xの横漏れが防止される。
【0053】
吸収性物品1Aのトップシート2側には、吸収性コア4の端部に、圧縮された弾性体12が被覆シート13に内包された補助吸収体11が設けられている。吸収性物品1Aでは、補助吸収体11が、立ち上がりフラップ6の内側に隣接して設けられている。補助吸収体11は、固定手段14により、立ち上がりフラップ6の内側に取り付けられている。
【0054】
吸収性物品1Aは、立ち上がりフラップ6の内側に尿等の体液が溜まると、補助吸収体11の被覆シート13が濡れて、被覆シート13の少なくとも一部が開放される。その結果、圧縮された弾性体12が被覆シート13の外に解放され、圧縮外力から解放された弾性体12により体液が速やかに吸収され、尿等の体液の横漏れが防止される。
【0055】
本発明の吸収性物品の別の実施態様を図3,4に示した。図3は、吸収性物品として尿パッドをトップシート側から見た平面図を表す。図4は、図3の吸収性物品のB−B断面図を表す。図3では、吸収性物品1Bの形状が砂時計型である場合を示したが、吸収性物品1Bの形状はこれに限定されない。
【0056】
吸収性物品1Bは、トップシート2とバックシート3との間に吸収性コア4が配置され、長手方向yと幅方向xを有する。吸収性物品1Bは、吸収性コア4の幅方向xの両側に立ち上がりフラップが設けられていない。
【0057】
吸収性物品1Bのトップシート2側には、吸収性コア4の外方(幅方向xの外方)に、圧縮された弾性体12が被覆シート13に内包された補助吸収体11が設けられている。補助吸収体11は、吸収性コア4の幅方向xの両側縁から外方に30mm以内の領域に、長手方向yに延在して設けられ、接合手段14によりトップシート2に取り付けられている。
【0058】
吸収性物品1Bは、尿等の体液が吸収性コア4の存在領域を越えて幅方向xに広がると、補助吸収体11の被覆シート13が濡れて、被覆シート13の少なくとも一部が開放される。その結果、圧縮された弾性体12が被覆シート13の外に解放され、圧縮外力から解放された弾性体12により体液が速やかに吸収され、尿等の体液の横漏れが防止される。
【符号の説明】
【0059】
1: 吸収性物品(尿パッド)
2: トップシート
3: バックシート
4: 吸収性コア
11: 補助吸収体
12: 弾性体
13: 被覆シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートとバックシートとの間に吸収性コアが配置され、長手方向と幅方向を有する吸収性物品であって、
前記吸収性物品のトップシート側には、前記吸収性コアの端部またはそれより外方に、圧縮された弾性体が被覆シートに内包された補助吸収体が設けられ、
前記被覆シートは、濡れると、少なくとも一部が開放されるものであることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記補助吸収体が、前記吸収性コアの幅方向両側に、略長手方向に延在して設けられている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記被覆シートが、ティッシュペーパー、薄葉紙、ポリビニルアルコールフィルム、オブラートフィルム、およびゼラチンフィルムよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記弾性体が発泡ポリマーまたは繊維塊である請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記被覆シートが、水溶性接着剤により接合されて袋状に形成され、そこに前記圧縮された弾性体が内包され、
前記水溶性接着剤が、デンプン糊、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、およびスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収性コアの幅方向両側に立ち上がりフラップが設けられ、
前記補助吸収体は、前記立ち上がりフラップの内側に隣接して設けられている請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性コアの幅方向両側に立ち上がりフラップが設けられず、
前記補助吸収体は、前記吸収性コアの幅方向両側縁から内方に20mm以内の領域または外方に30mm以内の領域に設けられている請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−244894(P2011−244894A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118660(P2010−118660)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】