説明

吸収性物品

【課題】吸収コア全体の使用効率を改善できる吸収性物品を提供する。
【解決手段】トップシート26は、縦方向Yに延びる3枚以上であって奇数枚のシート材31,32A,33Bによって構成されている。3枚以上のシート材31,32A,32Bの互いに隣り合うシート材31,32A,32Bの各組み合わせにおいて、横方向Xの外方側に位置するシート材31,32A,32Bの横方向Xの内方側に縁部が、横方向Xの内方側に位置するシート材に肌面側から重ね合わされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸収性物品として特許文献1に記載のものがある。この従来の吸収性物品では、吸収コアの肌面側に配置された内側シート部材の横方向の中央部がメッシュ領域(101M)とされている。これによって、内側シートの横方向の中央部が他の部分よりも尿等の液体をより透過しやすくなっている。このため、この吸収性物品が装着された状態で排尿が行われた場合、尿が内側シート部材のメッシュ領域を直ちに透過して吸収コアに到達する。その結果、吸収コアによる尿の吸収が着用者の排尿口の近傍に位置する排尿口近傍領域に集中的に偏って進みやすい。このように吸収コアによる尿の吸収が排尿口近傍領域に偏りすぎると、排尿口近傍領域以外の領域では尿の吸収量が吸収容量に対してまだ余裕があるのに、排尿口近傍領域の尿の吸収量が吸収容量の限界に達してしまうことがある。この状態でさらに排尿が行われた場合、吸収コアの排尿口近傍領域での尿の吸収が行われないため、吸収コアによる単位時間当たりの尿の吸収量が着用者による単位時間当たりの排尿量に追い付かず、尿が吸収性物品の外部に漏れ出すことがある。このため、吸収コアの排尿口近傍領域以外の領域では尿の吸収量が吸収容量に対して十分に余裕があるのにかかわらず、排尿口近傍領域の尿の吸収量が吸収容量の限界付近に達した時点で、吸収性物品を交換する必要が生じることがある。この場合、吸収コアに含まれる多くのパルプ及び吸収ポリマー等の吸収材が未使用の廃棄されることとなり、効率が悪い。吸収性物品に用いられる吸収コアは横方向よりも縦方向(前後方向)に長いため、吸収コアの縦方向の前側及び後側の縁部について吸収材の使用効率が悪い傾向が強い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−90056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の解決すべき課題は、吸収コア全体の使用効率を改善できる吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明では、着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品であって、吸液性を有する素材を備える吸収コアと、不透液性を有し、前記吸収コアの外面側に配置された外側シート部材と、前記吸収コアの肌面側に配置された内側シート部材とを備え、前記内側シート部材は、前記吸収コアの肌面側に配置された内側シート部材本体と、前記内側シート部材本体の肌面側において横方向に間隔をあけて縦方向に沿って設けられ、前記内側シート部材本体から離反する方向に起立可能な左右の起立シート部と、前記左右の起立シート部の先端部に伸張された状態でそれぞれ付与された弾性部材とを備え、前記内側シート部材本体における前記左右の起立シート部の間に位置するトップ部分は、前記縦方向に延びる3枚以上のシート材によって構成され、前記3枚以上のシート材のうちの少なくとも1枚のシート材は透液性を有し、前記3枚以上のシート材の互いに隣り合うシート材の各組み合わせにおいて、前記横方向の外方側に位置するシート材の前記横方向の内方側に縁部が、前記横方向の内方側に位置するシート材に肌面側から重ね合わされている。
【0006】
また、請求項2の発明では、請求項1の発明に係る吸収性物品において、前記内側シート部材本体の前記トップ部分を構成する前記3枚以上のシート材は、前記横方向の内方側に位置するシート材ほど液体をより透過しにくくなっている。
【0007】
また、請求項3の発明では、請求項2の発明に係る吸収性物品において、前記内側シート部材本体の前記トップ部分を構成する前記3枚以上のシート材は、すべて親水性不織布であり、前記横方向の内方側に位置するシート材ほど親水性の度合いがより低い親水性不織布である。
【0008】
また、請求項4の発明では、請求項2の発明に係る吸収性物品において、前記内側シート部材本体の前記トップ部分を構成する前記3枚以上のシート材のうちの前記横方向の中央に位置するシート材は、撥水性不織布である。
【0009】
また、請求項5の発明では、請求項2の発明に係る吸収性物品において、前記内側シート部材本体の前記トップ部分を構成する前記3枚以上のシート材の前記横方向の両側における最も外側に位置するシート材は、複数の透孔が設けられたメッシュ状のシート材である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、内側シート部材本体における左右の起立シート部の間に位置するトップ部分が、縦方向に延びる3枚以上のシート材によって構成されている。その3枚以上のシート材のうちの少なくとも1枚のシート材は透液性を有している。しかも、3枚以上のシート材の互いに隣り合うシート材の各組み合わせにおいて、横方向の外方側に位置するシート材の横方向の内方側に縁部が、横方向の内方側に位置するシート材に肌面側から重ね合わされている。それ故、内側シート部材本体のトップ部分の肌面側表面には、そのトップ部分を構成する3枚以上のシート材の横方向の外方側に配置されたシート材の横方向の内方側の縁部によって略縦方向に延びる段差が2つ以上形成されることなる。このため、本発明に係る吸収性物品が装着された状態で排尿が行われた場合、排尿された尿が内側シート部材本体のトップ部分の肌面側表面に沿って広がりながら進むときに、トップ部分の肌面側表面に位置するシート材の縁部によっての流れが影響され、尿が横方向よりも縦方向に広がりやすくなり、尿の縦方向への広がりが増進される。すなわち、尿が内側シート部材本体のトップ部分の肌面側表面で排尿口近傍から縦方向に効果的に拡散されながら、トップ部分を構成するいずれかの透液性のシート材を透過して吸収コアに到達する。このため、吸収コアの縦方向の幅広い範囲で尿の吸収が進むようになる。これによって、尿の吸収が吸収コアの排尿口近傍領域で過度に片寄って進むのを抑制し、吸収コアの全体について使用効率(特に、吸収コアの縦方向の前後の縁部の使用効率)を改善できる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、内側シート部材本体のトップ部分を構成する3枚以上のシート材は、横方向の内方側に位置するシート材ほど液体をより透過しにくくなっている。このため、着用者の排尿口から尿が排泄されたときに、内側シート部材本体のトップ部分における排尿口に近い横方向の内方側の領域を透過して吸収コアに到達する尿の割合を抑制し、トップ部分における排尿口から遠い横方向の外方側の領域を透過して吸収コアに到達する尿の割合を増大させることができ、これによって、吸収コアの横方向の広い範囲で尿の吸収が進むこととなる。その結果、尿の吸収が吸収コアの排尿口近傍領域で過度に片寄って進むのを抑制し、吸収コアの全体について使用効率(特に、吸収コアの横方向の両側の縁部の使用効率)を改善できる。
【0012】
また、内側シート部材本体のトップ部分の横方向の両側の縁部に最も液体を透過しやすいシート材が配置されるため、トップ部分の肌面側表面に沿ってトップ部分の横方向の両側の縁部まで到達した尿については、トップ部分を吸収コア側に迅速に透過させることができる。その結果、排泄された尿がトップ部分の横方向の両側の縁部に溜まり、その溜まった尿が起立シート部を乗り越える等して吸収性物品の外部に漏れるのを防止できる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、内側シート部材本体のトップ部分を構成するシート材に肌触りの良好な不織布を用いながら、トップ部分を構成する各シート材の液体を透過性を容易に調節できる。その結果、内側シート部材本体のトップ部分の肌触りを損ねることなく、吸収コアによる尿の吸収の進行度合いの偏りを改善できる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、内側シート部材本体のトップ部分を構成する3枚以上のシート材のうちの横方向の中央に位置するシート材が撥水性不織布であるため、着用者の排尿口から尿が排泄されたときに、内側シート部材本体のトップ部分における排尿口に近い横方向の内方側の領域を透過して吸収コアに到達する尿の割合をより効果的に抑制し、トップ部分における排尿口から遠い横方向の外方側の領域を透過して吸収コアに到達する尿の割合を増大させることができる。また、内側シート部材本体のトップ部分の横方向の中央部に不織布からなるシート材が用いられるため、内側シート部材本体のトップ部分の肌触りを損ねることなく、吸収コアの全体の使用効率を改善できる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、内側シート部材本体の前記トップ部分を構成する前記3枚以上のシート材の前記横方向の両側における最も外側に位置するシート材に、複数の透孔が設けられ、透液性に優れたメッシュ状のシート材が用いられている。このため、トップ部分の肌面側表面に沿ってトップ部分の横方向の両側の縁部まで到達した尿については、トップ部分の横方向の両側の縁部に不織布を用いた構成に比して、より迅速にトップ部分を透過させて吸収コア側に導くことができる。その結果、排泄された尿がトップ部分の横方向の両側の縁部に溜まり、その溜まった尿が起立シート部を乗り越える等して吸収性物品の外部に漏れるのをより確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る吸収性物品としての使い捨ておむつの平面図である。
【図2】図1の使い捨ておむつのA−A線に沿った断面の構成を模式的に示す図である。
【図3】図1の使い捨ておむつの第1の変形例に係る使い捨ておむつの要部の構成を示す断面図である。
【図4】図3の使い捨ておむつに用いられるメッシュ状のシート材の断面構造を示す図である。
【図5】図1の使い捨ておむつの第2の変形例に係る使い捨ておむつの要部の構成を示す断面図である。
【図6】図1の使い捨ておむつの第3の変形例に係る使い捨ておむつの要部の構成を示す断面図である。
【図7】図3の使い捨ておむつに一例として用いられるメッシュ状のシート材の断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る使い捨て吸収性物品としての使い捨ておむつ(以下、単に「おむつ」という)の平面図であり、図2は図1のおむつのA−A線に沿った断面の構成を模式的に示す図である。なお、図1及び図2において、横方向Xは着用者の左右方向に対応しており、縦方向Yは着用者の前後又は上下方向に対応している。また、図1に示すおむつ1の構成において、図1の図面上における上側がおむつ1の後側に対応している。
【0018】
本実施形態に係るおむつ1は、テープ型又はパンツ型のおむつ等の股部の内側に敷き込まれて用いられるものである(尿パッドと呼ばれる場合がある)。このおむつ1をテープ型又はパンツ型のおむつ等の股部に敷き込むことにより、おむつの吸液容量が補強され、多量の尿が排尿された場合又は多量の水分を含んだ軟便が排便された場合に対応できるようになる。なお、本実施形態では本発明を尿パッドに適用した場合について説明したが、本発明をテープ型又はパンツ型のおむつに適用してもよい。なお、テープ型のおむつとは、おむつの後縁部の左右両側等に面ファスナー等の止着部材が設けられたタイプのおむつであり、パンツ型のおむつとは、左右の脚穴と腰穴を有し、左右の脚穴に着用者の脚を通して装着するタイプのおむつである。
【0019】
このおむつ1は、図1及び図2に示すように、吸収コア11、外側シート部材12及び内側シート部材13を備えている。内側シート部材13は、内側シート部材本体21、左右の起立シート部22、及び左右の弾性部材23を備えている。
【0020】
吸収コア11は、着用者が排泄した排泄液(例えば、尿又は便に含まれる水分等)を吸収する。より具体的には、吸収コア11は、集合された繊維を少なくとも備えて構成された繊維集合体111と、繊維集合体111を包装する包装シート(例えば、ティッシュペーパー)112とを備えている。好ましくは、繊維集合体111には、繊維集合体111に混入又は散布された図示しない吸収性樹脂粉末が含まれる。なお、変形例として、包装シート112を省略してもよい。また、本実施形態では、吸収コア11の繊維集合体111の厚み方向から見た外形形状が略砂時計形になっているが、繊維集合体111の形状として略矩形、略楕円形等の他の形状が採用されてもよい。
【0021】
外側シート部材12は、不透液性を有し、吸収コア11の外面側に配置されている。外側シート部材12は、より具体的には例えば、不織布シート121と、不織布シート121の肌面側に貼り合わされた不透液性の樹脂フィルム122とを備えている。不織布シート121には、例えば撥水性を有する合成繊維製不織布等が用いられる。樹脂フィルム122には、例えばポリエチレン等の合成樹脂製フィルム(不透液性でかつ通気性を有するフィルムが好ましい)等が用いられる。
【0022】
内側シート部材13の内側シート部材本体21は、吸収コア11の肌面側に配置されている。左右の起立シート部22は、内側シート部材本体21の肌面側において横方向Xに間隔をあけて縦方向Yに沿って設けられ、内側シート部材本体21から離反する方向(肌面側)に起立可能となっている。左右の弾性部材23は、左右の起立シート部22の先端部に縦方向Yに伸張された状態でそれぞれ付与されており、その収縮力によって起立シート部22を着用者の肌面に向けて起立させる。この弾性部材23及び起立シート部22によって立体ギャザーが構成されており、この立体ギャザーにより排泄された尿及び便の横漏れが防止される。
【0023】
このような内側シート部材13の内側シート部材本体21及び起立シート部22は、例えばトップシート26及び左右のサイドシート27によって構成されている。トップシート26は、内側シート部材本体21のトップ部分21aを含む領域に配置されている(すなわち、トップシート26の横方向Xの幅はトップ部分21aの横方向Xの幅よりも大きい)。トップ部分21aとは、内側シート部材本体21における左右の起立シート部22が内側シート部材本体21から肌面側に立ち上がる基端部22aの間に位置し、縦方向Yに延びる部分である。このトップシート26の構成について後にさらに詳述する。
【0024】
左右のサイドシート27は、不透液性を有し、トップシート26の横方向Xの両側の部分(例えば、横方向Xの両側の縁部)に肌面側から重なるように、縦方向Yに沿って配置され、トップシート26の横方向Xの両側の部分(例えば、横方向Xの両側の縁部)と接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)等の接合手段によって接合されている。サイドシート27の材料としては、例えば撥水性不織布等が用いられる。サイドシート27の横方向Xの内方側の部分は、トップシート26から離反する方向(肌面側)に起立可能な構成となっており、起立シート部22を構成している。なお、本実施形態では、起立シート部22をサイドシート27の横方向Xの内方側の部分によって構成したが、この構成に限らず、種々の構成が採用可能である。
【0025】
次に、トップシート26のより詳細な構成について説明する。トップシート26は、縦方向Yに延びる3枚以上であって奇数枚(図1及び図3に示す構成では3枚)のシート材31,32A,33Bによって構成されている。トップシート26を構成する3枚以上のシート材31,32A,32Bのうちの少なくとも1枚のシート材31,32A,32Bは透液性を有している。なお、トップシート26を構成する3枚以上のシート材31,32A,32Bの枚数は、奇数枚であることが好ましいが、奇数枚に限らず、3枚以上なら何枚でもよい。
【0026】
また、3枚以上のシート材31,32A,32Bの互いに隣り合うシート材31,32A,32Bの各組み合わせにおいて、横方向Xの外方側に位置するシート材31,32A,32Bの横方向Xの内方側に縁部が、横方向Xの内方側に位置するシート材に肌面側から重ね合わされている。具体的には、図1及び図2に示す構成では、中央のシート材31の横方向Xの両側の縁部31aに、そのシート材31の横方向Xの両側に位置するシート材32A,32Aの横方向Xの内側の縁部32Aa,32Baが肌面側から重ね合わされ、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)等の接合手段により接合されている。これによって、トップ部分21aを構成するトップシート26の肌面側表面には、トップシート26を構成する3枚以上のシート材31,32A,32Bの横方向Xの外方側に配置されたシート材32A,32Bの横方向Xの内方側の縁部32Aa,32Baによって略縦方向Yに延びる段差が2つ以上形成されることなる。
【0027】
このため、本実施形態に係るおむつ1が装着された状態で着用者による排尿が行われた場合、排尿された尿が内側シート部材本体21のトップ部分21aの肌面側表面に沿って広がりながら進むときに、トップ部分21aの肌面側表面に位置するシート材32A,32Bの縁部32Aa,32Baによって尿の流れが影響され、尿が横方向Xよりも縦方向Yに広がりやすくなり、尿の縦方向Yへの広がりが増進される。すなわち、尿がトップ部分21aの肌面側表面で排尿口近傍から縦方向Yに効果的に拡散されながら、トップ部分を構成するいずれかの透液性のシート材を透過して吸収コアに到達する。このため、吸収コア11の縦方向Yの幅広い範囲で尿の吸収が進むようになる。これによって、尿の吸収が吸収コア11の排尿口近傍領域で過度に片寄って進むのを抑制し、吸収コア11の全体について使用効率(特に、吸収コア11の縦方向Yの前後の縁部の使用効率)を改善できる。
【0028】
また本実施形態では、トップシート26を構成する3枚以上であって奇数枚のシート材31,32A,32Bは、横方向Xの内方側に位置するシート材31,32A,32Bほど液体をより透過しにくい素材によって形成されている。すなわち、横方向Xの中央に配置されたシート材31の方が、シート材31の横方向Xの外側に配置されたシート材32A,32Bよりも液体を透過しにくい素材によって形成されている。
【0029】
このため、着用者の排尿口から尿が排泄されたときに、内側シート部材本体21のトップ部分21aにおける排尿口に近い横方向Xの内方側の領域(例えば、シート材31)を透過して吸収コア11に到達する尿の割合を抑制し、トップ部分21aにおける排尿口から遠い横方向Xの外方側の領域(例えば、シート材32A,32B)を透過して吸収コア11に到達する尿の割合を増大させることができ、これによって吸収コア11の横方向Xの広い範囲で尿の吸収が進むこととなる。その結果、この構成によっても、尿の吸収が吸収コア11の排尿口近傍領域で過度に片寄って進むのを抑制し、吸収コア11の全体について使用効率(特に、吸収コア11の横方向Xの両側の縁部の使用効率)を改善できるという効果が得られる。
【0030】
また、トップ部分21aの横方向Xの両側の縁部に最も液体を透過しやすいシート材32A,32Bが配置されるため、トップ部分21aの肌面側表面に沿ってトップ部分21aの横方向Xの両側の縁部まで到達した尿については、トップ部分21aを吸収コア11側に迅速に透過させることができる。その結果、排泄された尿がトップ部分21aの横方向Xの両側の縁部に溜まり、その溜まった尿が起立シート部22を乗り越える等しておむつ1の外部に漏れるのを防止できる。
【0031】
より具体的には、本実施形態ではトップシート26を構成する3枚以上のシート材31,32A,32Bは、すべて親水性不織布であり、横方向Xの内方側に位置するシート材31,32A,32Bほど親水性の度合いがより低い不織布となっている。すなわち、横方向Xの中央に配置されたシート材31の方が、シート材31の横方向Xの外側に配置されたシート材32A,32Bよりも親水性の度合いが低い不織布によって形成されている。
【0032】
このため、トップ部分21aを構成するシート材31,32A,32Bに肌触りの良好な不織布を用いながら、トップ部分21aを構成する各シート材31,32A,32Bの液体を透過性を容易に調節できる。その結果、トップ部分21aの肌触りを損ねることなく、吸収コア11による尿の吸収の進行度合いの偏りを改善できる。
【0033】
内側シート部材本体21のトップ部分21aを構成するトップシート26については、上述の図1及び図2に示す構成に限らず種々の構成が採用可能である。以下では、図3ないし図7を参照して、内側シート部材本体21のトップ部分21aの変形例について説明する。
【0034】
図3に示す出し1の変形例では、内側シート部材本体21のトップ部分21aを構成する3枚以上であって奇数枚のシート材31,32A,32Bの横方向Xの両側における最も外側に位置するシート材32A,32Bが、図7に示すように、複数の透孔41aが比較的高密度で設けられた樹脂製のメッシュ状のシート材41(メッシュシートと呼ばれることがある)で形成されている。この図3の構成では、トップ部分21aを構成するシート材32A,32B以外のシート材31は、親水性不織布で形成されているが、撥水性不織布を用いてもよい。ここで、メッシュ状のシート材41に設けられた透孔41aは不織布の繊維の隙間よりも遙かに大きいため、横方向Xの両側のシート材32A,32Bの方が、中央のシート材31よりも液体を透過しやすくなっている。なお、メッシュ状のシート材41は、着用者の肌に触れたときに肌にはりつくような感触を与える傾向がある等の好ましくない特性をあるため、図3に示すように、トップ部分21aにおける着用者の肌と接触しにくい部分(例えば、起立シート部22の基端部22aの近傍部分)に配置するのが好ましい。
【0035】
このため、トップ部分21aの肌面側表面に沿ってトップ部分21aの横方向Xの両側の縁部まで到達した尿については、トップ部分21aの横方向Xの両側の縁部に不織布を用いた構成に比して、より迅速にトップ部分21aを透過させて吸収コア11側に導くことができる。排泄された尿がトップ部分21aの横方向Xの両側の縁部に溜まり、その溜まった尿が起立シート部22を乗り越える等しておむつ1の外部に漏れるのをより確実に防止できる。
【0036】
図5に示す第2の変形例では、内側シート部材本体21のトップ部分21aが5枚のシート材31,32A,32B,33A,33Bによって構成されている。各シート材31,32A,32B,33A,33Bの具体的な構成例としては、例えば以下の3つの例が挙げられる。第1の例では、横方向Xの中央のシート材31に親水性の度合いが低レベルの親水性不織布が用いられ、そのシート材31の横方向Xの外側の左右のシート材32A,32Bに親水性の度合いが中レベルの親水性不織布が用いられ、そのシート材32A,32Bの横方向Xのさらに外側の左右のシート材33A,33Bに親水性の度合いが高レベルの親水性不織布が用いられる。第2の例では、シート材31に撥水性不織布が用いられ、シート材31A,31Bに親水性不織布が用いられ、シート材33A,33Bにシート材31A,31Bよりも親水性の度合いが高い親水性不織布が用いられる。第3の例では、シート材31に撥水性不織布が用いられ、シート材31A,31Bに親水性不織布が用いられ、シート材33A,33Bにシート材31A,31Bよりも親水性の度合いが高い親水性不織布が用いられる。
【0037】
上記の第2及び第3の例のように、トップ部分21aの横方向Xの中央に位置するシート材31に撥水性不織布を用いることにより、着用者の排尿口から尿が排泄されたときに、トップ部分21aにおける排尿口に近い横方向の内方側の領域(例えば、シート材31)を透過して吸収コア11に到達する尿の割合をより効果的に抑制し、トップ部分21aにおける排尿口から遠い横方向の外方側の領域(例えば、シート材32A,32B,33A,33B)を透過して吸収コア11に到達する尿の割合を増大させることができる。また、トップ部分21aの横方向Xの中央部に不織布からなるシート材31が用いられるため、トップ部分21aの肌触りを損ねることなく、吸収コア11による尿の吸収の進行度合いの偏りを改善できる。
【0038】
図6に示す第3の変形例では、上述の図1及び図2に示す内側シート部材本体21のトップ部分21aの外面側における横方向Xの両側に、シート材42が追加されている。このシート材42は、上述のシート材41とほぼ同様なメッシュ状のシート材によって形成されており、トップ部分21aの外面側(吸収コア11側)における横方向Xの両側の縁部に縦方向Yに沿って配置されている。このようにシート材42を配置することにより、トップ部分21aにおけるシート材42が配置された横方向Xの両側の縁部の透液性(液透過速度)をより高めることができる。これによって、排泄された尿がトップ部分21aの横方向Xの両側の縁部に溜まり、その溜まった尿が起立シート部22を乗り越える等しておむつ1の外部に漏れるのをより確実に防止できる。ここで、吸収コア11とトップシート26との間における尿の通過速度は、尿が吸収コア11に到達したときの吸収コア1の表面における尿によって濡れる部分の広がる速度の影響を受けている。このため、吸収コア11とトップシート26との間にメッシュ状のシート42のような嵩のある透液性の部材を介在させることにより、その部材の漏斗作用により、トップシート26を透過した尿が吸収コア11の方向に勢いを付けられて吸収コア11の表面に到達することとなる。このため、吸収コア11の表面に到達した尿のうち、吸収コア11に吸収されるのを待ちきれない尿が吸収コアの表面に拡散してゆき、次々と新しい表面を濡らしていくこととなり、これによって、メッシュ状のシート材42が配置されたトップ部分21aの部分の液透過速度が向上される。
【0039】
図6のメッシュ状のシート材42の他の例としては、図7に示すように、シート材42の厚みを増大させて、シート材42が配置されたトップ部分21aの液透過速度をさらに高めてもよい。さらに、図7に示すように、シート材42に設ける透孔42を、尿が透過する方向Bに向けて内径が縮小するようような略テーパ状の透孔としてもよい。このような透孔42の構成により、シート材42が配置されたトップ部分21aの液透過速度がさらに高められるとともに、圧力が印加されたとき尿がシート材42を透過して吸収コア11側から肌面側に逆戻りしにくくできる。
【符号の説明】
【0040】
1 おむつ、11 吸収コア、111 繊維集合体、112 包装シート、12 外側シート部材、121 不織布シート、122 樹脂フィルム、21 内側シート部材本体、21a トップ部分、22 起立シート部、22a 基端部、23 弾性部材、26 トップシート、27 サイドシート、31,32A,32B,33A,33B シート材、41 シート材、41a 透孔、42 シート材、42a 透孔、X 横方向、Y 縦方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の股部を含む領域に装着される吸収性物品であって、
吸液性を有する素材を備える吸収コアと、
不透液性を有し、前記吸収コアの外面側に配置された外側シート部材と、
前記吸収コアの肌面側に配置された内側シート部材と、
を備え、
前記内側シート部材は、
前記吸収コアの肌面側に配置された内側シート部材本体と、
前記内側シート部材本体の肌面側において横方向に間隔をあけて縦方向に沿って設けられ、前記内側シート部材本体から離反する方向に起立可能な左右の起立シート部と、
前記左右の起立シート部の先端部に伸張された状態でそれぞれ付与された弾性部材と、
を備え、
前記内側シート部材本体における前記左右の起立シート部の間に位置するトップ部分は、前記縦方向に延びる3枚以上のシート材によって構成され、前記3枚以上のシート材のうちの少なくとも1枚のシート材は透液性を有し、
前記3枚以上のシート材の互いに隣り合うシート材の各組み合わせにおいて、前記横方向の外方側に位置するシート材の前記横方向の内方側に縁部が、前記横方向の内方側に位置するシート材に肌面側から重ね合わされていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品において、
前記内側シート部材本体の前記トップ部分を構成する前記3枚以上のシート材は、前記横方向の内方側に位置するシート材ほど液体をより透過しにくくなっていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性物品において、
前記内側シート部材本体の前記トップ部分を構成する前記3枚以上のシート材は、すべて親水性不織布であり、前記横方向の内方側に位置するシート材ほど親水性の度合いがより低い親水性不織布であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項2に記載の吸収性物品において、
前記内側シート部材本体の前記トップ部分を構成する前記3枚以上のシート材のうちの前記横方向の中央に位置するシート材は、撥水性不織布であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項2に記載の吸収性物品において、
前記内側シート部材本体の前記トップ部分を構成する前記3枚以上のシート材の前記横方向の両側における最も外側に位置するシート材は、複数の透孔が設けられたメッシュ状のシート材であることを特徴とする吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−279(P2011−279A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145604(P2009−145604)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】