説明

吸収性物品

下着に着用するための吸収性物品。この吸収性物品は不織布を含むことができる。不織布は、不織布の身体に向く表面を有することができる。不織布は、本体部分、及び本体部分につながっている、離間したフラップ対を有することができる。本体部分の一部は、フラップの部分よりも親水性が高い親水性ゾーンを有することができる。吸収性物品は、フィルムの衣類に向く表面を有するフィルムを有することができ、フィルムの衣類に向く表面の少なくとも一部は、不織物の身体に向く表面に面する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の股部に装着するように設計される吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン及びパンティライナーなどを含む、着用者の股部に装着するように設計される吸収性物品を使用して、女性の膣又は尿道からの排泄物を収集することができる。多くの吸収性物品にはフラップが含まれる。通常、フラップは本体から横方向に延び、股領域にある着用者のパンティの縁部に巻き付くようになっている。したがって、フラップは、股領域にある着用者のパンティの縁部と着用者の大腿部との間に配置される。通常、フラップには、着用者のパンティの下面にフラップを貼り付けるための取り付け手段が設けられる。
【0003】
吸収性物品の身体に向く表面は通常トップシートを含む。フラップを有する吸収性物品の場合、吸収性物品のトップシートは、互いに異なる機能を備えた2つの部分を有すると考えることができる。トップシートの本体部分の一部、すなわち、その一部が吸収性物品の長手方向中心線に沿って概ね整列したトップシートの部分は流体を獲得し、これを保持することができる。フラップは、定位置からずれないようにナプキンを安定化させるのに寄与することができ、実施形態によっては、着用者の身体、下着、及び外側の衣類の汚れを軽減するのに寄与することができる。
【0004】
トップシート部分は、使用中に着用者の身体と接触しやすい。例えば、吸収性物品を着用したときに、トップシートは陰唇及び周囲組織と接することがある。吸収性物品がフラップを有する場合、フラップが着用者のパンティの縁部に巻き付けられると、吸収性物品のトップシートは、着用者の内側大腿部の表面と接することがある。トップシートを形成する材料が、柔らかい表面の質感と十分な可撓性とを有していないか、又は吸収性物品を形成する他の材料の可撓性が十分でない場合、上記の接触位置で皮膚の炎症が発現する恐れがある。
【0005】
有孔フィルムは、高速流体獲得、再湿潤抑制率、及び横方向拡散抑制率を含む優れた流体処理特性をトップシートに付与するとして広く認知されている。フィルムに表面の質感を付与することで有効フィルムを柔らかくすることができる。Procter & Gamble Co.,Cincinnati,OHから販売されているALWAYS生理用ナプキンは、DRI−WEAVEとして同業界で公知の有孔フィルムのトップシートを採用している。フィルムトップシートの欠点の1つは、フィルムトップシートが不織布材などの利用可能な代替品よりも高価な場合があることである。
【0006】
吸収性物品のトップシートとして不織布材を採用する場合もある。不織布トップシートは、柔らかい身体接触面をもたらし、許容できる流体処理特性を有すると考えられる。不織布トップシートは、利用可能な代替品と比べて安価である傾向にあるが、不織布トップシートは性能上の制約がある場合がある。不織布トップシート及びフラップを有する吸収性物品に関する1つの問題は、トップシートによって収集された流体が、不織布層内で横方向に拡散しやすいことである。フラップを有する典型的な吸収性物品では、吸収性コアが通常フラップまで広がらないので、フラップの吸収容量はほとんどないか、又は全くない。したがって、フラップまで拡散する流体は、吸収性物品内に更に深く吸い込まれず、その結果、ウィングが汚れる。ウィングの汚れは、着用者にとって視覚上魅力的であるはずがなく、着用者の身体、下着、及び外側の衣類の汚れの一因になることがある。
【0007】
ほとんどの吸収性物品の場合、トップシートは、吸収性物品の身体に向く表面全体にわたって単一材料で構成される。すなわち、フラップの身体に向く表面は、吸収性物品本体の身体に向く表面と同じである。そのような設計により、吸収性物品の身体に向く層を形成するのに、製造時に1つの材料ウェブだけを処理すればよく、かつ吸収性物品を構成する他の材料にトップシートを固定するのに、接合箇所をほとんど必要としないので、吸収性物品を製造しやすくなる。そのような設計の1つの限界は、本体部分及びフラップなどの、吸収性物品の様々な部分の様々な機能面が、そのような単純な構成において不適切に取り扱われる場合があることにある。そのような設計の別の限界は、特に、比較的高価な材料を使用して吸収性物品の身体に向く表面全体を形成する場合に、吸収性物品の身体に向く表面の構成が、期待するほどコスト効率がよくないことがある点にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの限界を考慮すると、吸収性物品の身体に向く表面を含む材料が、吸収性物品の身体に向く表面のさまざまな部分が所望通り機能し、所望の特性を有するように配置されている吸収性物品が必要であるが、現在のところ、この必要性に対応されていない。吸収性物品の身体に向く表面を構成する材料が、コスト効率のよい製品をもたらすように選択され、配置されている吸収性物品が更に必要であるが、この必要性に対応されていない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
下着に着用するための吸収性物品が開示される。吸収性物品は、不織布の身体に向く表面及び不織布の衣類に向く表面を有する不織布を含むことができる。不織布は、本体部分を含むことができる。本体部分は、離間した2つの長手方向側縁部、離間した2つの長手方向縁部、及び横方向中心線を有することができる。不織布は、本体部分につながっている、離間した一対のフラップを更に含むことができる。フラップは、着用者の下着に巻き付け、てこれに固定する大きさ及び寸法とすることができる。フラップのそれぞれは、接続部で本体部分につなげることができる。1つのフラップは、長手方向側縁部のそれぞれから横方向外側に延びることができる。本体部分の一部は、フラップの部分よりも親水性が高い親水性ゾーンを含むことができる。吸収性物品は、フィルムの身体に向く表面及びフィルムの衣類に向く表面を有する有孔フィルムを更に含むことができる。フィルムの衣類に向く表面の少なくとも一部は、本体部分の不織布の身体に向く表面に面することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】吸収性物品の平面図。
【図2】図1に示した吸収性物品の断面図。
【図3】女性の身体に近接して着用された吸収性物品の図。
【図4】不織布が溝を有する吸収性物品の断面図。
【図5】有孔フィルムのパッチを採用した吸収性物品の上面図。
【図6】不織布が吸収性物品の長手方向中心線全体に沿って延びない吸収性物品の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「不織布」とは、相互配置された個々の繊維又は糸の構造を有するが、織布又は編布で見られるような規則的に反復する態様ではないウェブを指す。不織布ウェブ又は織布は、例えば、メルトブローイングプロセス、スパンボンディングプロセス、水流交絡プロセス、ボンドカードウェブプロセスのような多くのプロセスを使用して形成することができる。不織布の坪量は、1平方メートル当たりのグラムで通常表わされ、繊維直径はマイクロメートルで通常表わされる。繊維径はデニールで表すこともできる。坪量が約10gsm〜約200gsmの不織布材が、吸収性物品で使用するのに実用的であり得る。
【0012】
不織布ウェブの構成繊維は、ポリマーの繊維にすることができ、並びに1成分、2成分、及び/又は2構成成分の毛管溝繊維にすることができ、並びに5〜200マイクロメートルの範囲の断面長寸法(例えば、丸繊維の場合、直径)を有することができる。構成繊維は、約0.1デニール〜約100デニールの範囲にすることができる。
【0013】
本明細書で使用するとき、「スパンボンド繊維」は、押し出されるフィラメントの直径を持つ微細で通常は円形をした複数個のスピナレットの毛管から、溶融した熱可塑性材料をフィラメントとして押し出し、その後急激に縮小させることにより形成される小径繊維を指す。スパンボンド繊維は、収集表面に沈着するとき、一般に粘着性がない。スパンボンド繊維は、一般に連続しており、並びに7マイクロメートルを超え、より具体的には約10〜約40マイクロメートルの(少なくとも10のサンプルからの)平均直径を有する。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「メルトブローイング」とは、溶融した熱可塑性材料を、微細で通常は円形の複数の金型毛管を通して、通常は加熱された収束する高速気体(例えば、空気)流の中へ、溶融糸又はフィラメントとして押し出し、この気体流により溶融した熱可塑性材料のフィラメントを細らせてその直径を縮小することによって、繊維が形成されるプロセスを指しており、直径がマイクロファイバー直径となることもある。その後、メルトブローン繊維は、高速気体流により運ばれて、多くはまだ粘着性であるうちに、収集表面上に沈着され、ランダムに分散されたメルトブローン繊維のウェブを形成する。メルトブローン繊維は、連続していても連続していなくてもよい、及び平均直径が一般に10マイクロメートルよりも小さい、マイクロファイバーである。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」には、一般にホモポリマー、コポリマー(ブロック、グラフト、ランダム、及び交互性コポリマーなど)、ターポリマーなど、並びにこれらの混合物及び修飾物が含まれるが、これらに限定されない。更に、特に限定しない限り、用語「ポリマー」とは、材料のあらゆる可能な幾何学的構成を含む。その構成としては、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「1成分」繊維とは、1つのポリマーのみを使用して1つ以上の押出成形機から形成される繊維を指す。これは、1つのポリマーから形成されているが、着色、静電気防止特性、潤滑、親水性などのために、少量の添加剤が添加された繊維を除外することを意味しない。これらの添加剤、例えば着色用の二酸化チタンは、一般に約5重量%未満、より一般的には約2重量%未満の量で存在する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「2成分繊維」とは、別個の押出成形機から押し出されるが、共に紡糸されて1つの繊維を形成する少なくとも2つの異なるポリマーから形成された繊維を指す。2成分繊維はまた、複合繊維又は多コンポーネント繊維と呼ばれることもある。複数個のポリマーは、2成分繊維の横断面にわたって実質的に連続的に位置する別個ゾーンに配置され、2成分繊維の長さに沿って連続して延びる。かかる2成分繊維の形状は、例えば、1つの繊維が別の繊維により包囲されるシース/コア配置であってもよく、又はサイド・バイ・サイド配置、パイ型配置、又は「海島型」配置であってもよい。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「2構成成分繊維」とは、同じ押出成形機からブレンドとして押し出される少なくとも2つのポリマーから形成された繊維を指す。用語「ブレンド」は下記に定義される。2構成成分繊維は、繊維の断面領域を横切って比較的絶え間なく置かれた別個のゾーンに配置される様々なポリマー構成成分を有さず、様々なポリマーは、通常、繊維の全長に沿って連続しておらず、その代わり、通常、ランダムに開始し終端するフィブリルを形成している。2構成成分繊維はまた、多構成成分繊維と呼ばれることもある。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「毛管溝繊維」とは、毛管現象によって流体移動を容易にすることができる毛管溝を有する繊維を指す。そのような繊維は中空の繊維であってもよいが、例えば、それらの外面に毛管溝を有する繊維であるのが好ましい。毛管溝は、「U字形」、「H字形」、「C字形」及び「V字形」などの様々な断面形状のものであり得る。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「結合した」とは、第1部材が直接的又は間接的のいずれかで第2部材に貼り付けられているか、又は接続されている状態を指す。用語「結合した」とは、第1の部材が中間部材に貼り付けられているか、又は接続されていて、次に、中間部材が第2の部材に貼り付けられているか、又は接続されている状態も指す。
【0021】
下着の下に着用する吸収性物品20を図1に示している。吸収性物品20及びその構成要素は、機械方向MD及び機械横方向CDを有することができる。機械方向は、長手方向中心線Lと一致することができ、交差方向CDは、横方向中心線Tと一致することができる。図1に示すように、吸収性物品20は、バックシート21、吸収性コア22、及びトップシート23を含むことができる。トップシート23は、不織布24及び有孔フィルム25で構成することができる。不織布24は、有孔フィルム25と吸収性コア22との間に存在することができる。不織布24は、一対のフラップ26を有することができる。不織布24は、長手方向中心線L及び横方向中心線Tを有する。本明細書で使用するとき、用語「長手方向」とは、吸収性物品20を着用したときに、直立した着用者を左半体と右半体とに二等分する鉛直面と概ね整列する(例えば、ほぼ平行である)、不織布24の平面内の線、軸、又は方向を指す。用語「横方向」とは、不織布24の平面内に概ね位置し、長手方向に対して概ね垂直である線、軸、又は方向を指す。長手方向中心線Lは、吸収性物品20の最も長い寸法の方向に向けることができ、横方向中心線Tは、それに対して垂直とすることができる。
【0022】
不織布24は本体部分30を有し、その本体部分につながっている一対のフラップ26を有することができる。不織布24の本体部分30は、離間した2つの長手方向側縁部42と、離間した2つの横方向縁部44とを有する。不織布24の本体部分30は、前部領域34、後部領域38、及び前部領域34と後部領域38との間に配置された中央領域36を有する。前部領域34、中央領域36、及び後部領域38は、概ね不織布24の長手方向中心線Lに沿って配置され、不織布24の本体部分30を長手方向中心線Lに沿って概ね1/3に分割している。前部領域34、中央領域36、及び後部領域38は、長手方向中心線L及び横方向中心線Tによって画定される不織布24の平面内にある。
【0023】
フラップ26のそれぞれは、接続部40で本体部分30とつながっている。1つのフラップ26は、長手方向中心線Lから離れる方向で長手方向側縁部42のそれぞれから横方向外側に延びている。フラップ26は、中央領域36の各長手方向側縁部42から横方向外側に延びることができる。接続部40は、直線、曲線、又は直線及び曲線の組み合わせとすることができ、フラップ26は、接続部40に沿って不織布24の本体部分30とつながっている。接続部40は、不織布24の本体部分30の長手方向中心線Lに対して窪んだ(すなわち、長手方向中心線Lから離れる方向に開く)曲線とすることができる。
【0024】
不織布24は、不織布の身体に向く表面60と、不織布の衣類に向く表面とを有する。不織布の身体に向く表面60とは、吸収性物品20を使用する際に、不織布24の本体部分30の表面が着用者の身体の方を向く、不織布24のその表面である。不織布の衣類に向く表面とは、吸収性物品20を使用する際に、不織布24の長手方向側縁部42間にある、不織布24の本体部分30の表面が着用者の身体から離れる方を(換言すれば、着用者の下着の方を)向く、不織布24のその表面である。
【0025】
有孔フィルム25は、有孔フィルムの身体に向く表面62と、有孔フィルムの衣類に向く表面とを有する。有孔フィルムの身体に向く表面62とは、吸収性物品20を使用する際に、着用者の身体の方を向く有孔フィルム25の表面である。有孔フィルムの衣類に向く表面とは、吸収性物品20を使用する際に、着用者の身体から離れる方を(換言すれば、着用者の下着の方を)向く有孔フィルム25の表面である。有孔フィルム25の衣類に向く表面の少なくとも一部は、不織布24の本体部分30の不織布の身体に向く表面60に面している。有孔フィルム25は、有孔フィルムの衣類に向く表面が、不織布の身体に向く表面60と接触する関係にあるように、不織布24の本体部分30の不織布の身体に向く表面60に接合することができる。有孔フィルム25は、超音波接合、溶融接合、接着剤接合、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される方法、又は吸収性物品の要素を接合する、当技術分野で公知の他の任意の方法によって、不織布24に接合することができる。有孔フィルム25を、一対の接合線90に沿って不織布24に接合することができる。各接合線90は、親水性ゾーン37とフラップ26との間に存在することができる。接合線は、直線、曲線、又は直線部分及び曲線部分を共に含む線とすることができる。
【0026】
吸収性物品は、フラップ用接着剤50及び中央部用接着剤52を更に含むことができ、これらのそれぞれは、吸収性物品20のバックシート21の衣類に向く表面に塗布される。フラップ用接着剤50は、フラップ26を着用者のパンティに貼り付けるために、作動可能に配置、大きさ、及び寸法にすることができる。中央部用接着剤52は、吸収性物品20の部分を、長手方向中心線Lに合わせて着用者のパンティに貼り付けるために、作動可能に配置、大きさ、及び寸法にすることができる。
【0027】
吸収性物品20は、吸収性物品の身体に向く表面70と、吸収性物品の衣類に向く表面とを有する。同様に、吸収性コア22及びバックシート21を含めた吸収性物品の各構成要素は、各構成要素に付随する身体に向く表面及び衣類に向く表面を有し、各構成要素の身体に向く表面及び衣類に向く表面は、不織布24の長手方向側縁部42の長手方向中心線L及び横方向中心線Tに対して直角な突出部間にある構成要素を構成する材料の向きに基づいて特定可能である。すなわち、吸収性物品及びその構成要素の、身体に向く表面並びに衣類に向く表面は、吸収性物品が平らに置かれ、フラップが着用者の下着に巻き付いていないか、又は折り曲げた状態でない場合に、吸収性物品又はその構成要素の向きに基づいて特定することができる。
【0028】
不織布24の本体部分30の一部は、親水性ゾーン37を有することができる。親水性ゾーン37は、不織布24のうちの、フラップ26の部分と比べて親水性が比較的高い部分とすることができる。親水性ゾーン37は防汚ゾーンであり得る。
【0029】
不織布24は、不織布ウェブが全体にわたって同じ構造を有する(すなわち、均質である又はある程度均質である)均質素材から、不織布ウェブ24を切り取ることで得ることができるような、単一の一体均質ウェブで構成することができる。不織布ウェブ24は、同じタイプ、大きさ、及び形状であり、ウェブが均質になるように配置された繊維を含むことができ、それらのすべての部分で同じ構造、密度、及び坪量を有する。不織布24は、疎水性の不織布とすることができる。不織布24の一部又はすべての中の、改質されていないす、すなわち未処理の構成繊維は、水との接触角を90°未満とすることができる。不織布ウェブ24の処理した部分が、不織布ウェブ24の未処理の部分よりも親水性が高くなるようにする物質で不織布24の一部を処理することにより、親水性ゾーン37を形成することができる。その物質を、不織布24を形成する繊維に長期的に又は一時的に付着することができる。例えば、物質は、不織布ウェブ24の構成繊維にコーティングされる、被せる、及び/又は部分的に被せることができる。物質は、不織布24を構成する繊維間の間隙空間に存在することができる。
【0030】
親水性ゾーン37を形成するための別の選択肢は、素材の一部が素材の他の部分とは異なる不均質素材を使用することである。例えば、不織布ウェブ24の親水性ゾーン37の繊維構造は、それらに限定されるものではないが、繊維のタイプ、繊維径、繊維形状、坪量、及び繊維配列を含めたいくつかの特徴の1つにおいて、不織布ウェブ24の、親水性ゾーンの部分ではない部分の繊維構造とは異なり得る。
【0031】
親水性ゾーン37は、不織布24の本体部分30と一体であり得る。すなわち、親水性ゾーン37の親水性を、親水性ゾーン37の構成繊維の物理的及び/又は化学的構造により付与することができる。
【0032】
不織布24の本体部分30と同一の広がりを持つ親水性ゾーン37を形成するために、不織布24の一部又は本体部分30全体を親水性にすることができる。不織布24の、親水性ゾーン37とフラップ26との間の部分は、親水性ゾーンよりも親水性が低くてもよい。
【0033】
不織布24は、一対の溶融バリア49を更に含むことができる。溶融バリア49を、長手方向中心線Lの両側に配置することができる。溶融バリア49のそれぞれは、長手方向中心線Lとフラップ26の1つとの間に存在することができる。溶融バリア49を不織布の一部とすることができ、不織布24を構成する繊維同士が溶融されて、繊維間の毛管網が、溶融バリア49に隣接する又はそこから離れた不織布24の部分に対して大幅に改質されるか、あるいは破壊される。溶融バリア49は、必要に応じて加熱と組み合わせて、不織布24を圧縮し、それによって不織布を構成する繊維同士を溶融させることで形成することができる。不織布24の繊維間の毛管網を大幅に改質する又は破壊することにより、溶融バリア49は、溶融バリア49を横断する、毛管現象による流体移送を抑制することができると考えられる。1つの溶融バリアが各フラップ26と長手方向中心線Lとの間にあるように溶融バリア49を配置することで、流体が本体部分30からフラップ26に移動する可能性を低減することができると考えられる。溶融バリア49を、各フラップ26と親水性ゾーン37との間に存在するように、長手方向側縁部42の横方向内側に配置することができる。
【0034】
図1の断面図が図2に示されており、図2には、吸収性物品の衣類に向く表面72、不織布の衣類に向く表面74、及び有孔フィルムの衣類に向く表面76が示されている。吸収性物品20は、長手方向中心線Lと横方向中心線Tによって画定される平面に対して面外のZ方向を有する。
【0035】
トップシート23は、トップシート23を構成する各構成要素の様々な特性を利用するように構成された、不織布24及び有孔フィルム25で構成される複合トップシートとみなすことができる。例えば、図3に示すように、フラップ26が着用者の下着78の縁部のまわりに配置されて、吸収性物品20を所定の位置に固定すると、着用者の膣又は尿道から排出された流体が、着用者の身体から着用者の陰唇82を過ぎ、有孔フィルム25を通り抜け、次いで不織布24の本体部分30を通り抜けた後、吸収性コア22によって獲得されるように、有孔フィルム25が配置される。不織布24の、フラップ26を形成する部分は、着用者の下着78の縁部のまわりに巻き付けられ、不織布24が着用者の身体80の内側大腿部82と接することができるように配置されている。
【0036】
不織布24及び有孔フィルム25を含む複合トップシート23は、いくつかの利益をもたらすと考えられる。トップシート23の優れた流体処理特性が有孔フィルム25によって付与される。有孔フィルムは高速流体獲得及び最小限の再湿潤性を有すると認知されている。着用者の下着78の縁部に巻き付き、着用者の内側大腿部82と接することができるフラップ26は、不織布24で構成することができる。不織布24は、柔らかくてクッションのような触感を有するタイプのものとすることができる。柔らかくてクッションのような不織布24で構成されるフラップ26は、快適に着用することができる。例えば、着用者の股に装着される典型的な吸収性物品では、着用者が歩行するときに、フラップ26が着用者の内側大腿部82に沿って前後にこすることがあり、着用者の内側大腿部82の皮膚の表皮剥離、擦傷、及び他の炎症の可能性をもたらす。擦傷及び炎症は、発疹及び他の皮膚疾患が発現するきっかけを作る恐れがあり、着用者を不快にすることがある。柔らかいクッションのような不織布24で構成されるフラップ26は、よりやさしく皮膚と接触することができ、吸収性物品を着用しているために、着用者が動いているときに皮膚にとって不利な状態が生じる可能性を低くすることができる。フラップ26が疎水性不織布で構成される場合、吸収性物品20がコア22内に流体を獲得するときに、フラップ26は、流体が不織布24の本体部分30を通過するときに横方向に拡散するのを抑制することができる。したがって、容易に汚れないようにフラップ26を構成することができる。
【0037】
本質的に、図1に示すように配置された不織布24及び有孔フィルム25により、吸収性物品の、流体を獲得して保持するように設計された部分と、着用者にとって快適であり、着用者の身体80からの排泄物で容易に汚れないフラップ26とに優れた流体処理特性を持つ吸収性物品を得ることができる。疎水性不織布で構成されるフラップ26は、排泄物が着用者の下着の縁部を汚すのを抑制することができる。不織布24内に親水性ゾーン37を含めることで、有孔フィルム25を介して獲得した流体を吸収性コア22に移送するのに寄与し、並びに不織布24内で流体が横方向に拡散する量を制限して、フラップ26が汚れる可能性と、不織布24の平面内で流体が拡散する可能性とを軽減することができる。
【0038】
有孔フィルム25は液体透過性とすることができ、使用時に使用者の皮膚に極めて近接することができる。有孔フィルム25は、柔軟であり、触感が柔らかく、使用者の皮膚に対して非刺激性とすることができる。有孔フィルム25は、この種の使用に対して一般的な任意の材料で作ることができる。
【0039】
実用的な有孔フィルム25は、「Absorptive Structure Having Tapered Capillaries」という名称の米国特許第3,929,135号(Thompson)(1975年12月30日発行)、「Disposable Absorbent Article Having A Stain−Resistant Topsheet」という名称の同第4,324,426号(Mullane and Smith)(1982年4月13日発行)、「Resilient Plastic Web Exhibiting Fiber−Like Properties」という名称の同第4,342,314号(Radel and Thompson)(1982年8月3日発行)、及び「Macroscopically Expanded Three−Dimensional Plastic Web Exhibiting Non−Glossy Visible Surface and Cloth−Like Tactile Impression」という名称の同第4,463,045号(Ahr,Louis,Mullane,and Ouellette)(1984年7月31日発行)に記載されている。有孔フィルム25は非吸収性であるが、それにもかかわらず透過性であって、流体が有孔フィルム25を通り抜けるのを可能にするので、装着者は、有孔フィルム25が湿っていないと感じることができる。Procter & Gamble Co.から商品名DRI−WEAVEで売られている有孔フィルムを有孔フィルム25として採用することができる。
【0040】
有孔フィルム25の一部又は身体に向く表面全体を界面活性剤で処理して、有孔フィルム25を更に親水性にすることができる。界面活性剤は、スプレイ、パディング、又は転写ロールの使用によって有孔フィルムに塗布することができる。界面活性剤は、流体が有孔フィルム25の表面から流れ出る可能性を低くすることができる。
【0041】
フラップ26は、不織布24の本体部分30の長手方向中心線Lに対して概ね平行な方向に、約5cm〜約19cmの長さにすることができる。フラップ26は、不織布24が、不織布24の末端縁部間で不織布24の横方向中心線Tに対して平行な方向に、約10cm〜約23cmの幅になるような大きさ及び寸法にすることができる。フラップ26を、互いに鏡像関係とすることができ、各フラップ26を、不織布24の本体部分30の横方向中心線Tに平行な軸に関して対称にすることができる。フラップは、長手方向側縁部42の少なくとも一部に沿って、不織布24の本体部分30の横方向中心線Tの前方に配置されてもよい。フラップ26は、不織布24の本体部分30に接合された別個の要素であってもよい。フラップ26は不織布24の本体部分30と一体にすることもでき、一体とは、本体部分30及びフラップ26が同じ前駆体ウェブ又は複数の同じ前駆体ウェブから構成されていることを意味する。フラップ26は、不織布24の本体部分30の長手方向側縁部42のうちの約80%未満の部分に沿って延びることができる。
【0042】
吸収性コア22は、圧縮性及び適合性があり、装着者の皮膚に対して刺激がないものとすることができる。吸収性コア22は、一般的にはエアフェルトと呼ばれる粉砕木材パルプ、捲縮セルロース塊、吸収性フォーム、吸収性スポンジ、合成ステープルファイバー、高分子繊維、キトサン、ヒドロゲル形成性ポリマーゲル化剤、ピートモス、又は他の任意の吸収性材料で構成されることができる。吸収性コア22は、実質的に非水溶性の、若干架橋され、部分的に中和されたヒドロゲル形成性ポリマー材料の形態のポリマーゲル化剤を含むことができる。
【0043】
吸収性コア22は、不織布24の本体部分30の長手方向中心線Lに対して直角な方向の最大横方向の範囲を有することができ、その最大横方向の範囲は、不織布24の本体部分30の長手方向側縁部42内に存在する。すなわち、吸収性コア22は、長手方向側縁部42の長手方向中心線Lと横方向中心線Tとに対して直角な突出部の横方向内側に存在することができる。
【0044】
バックシート21は、液体に対して不透過性にすることができる。バックシートに適した材料には、エンボス加工された、又はされていないポリエチレンフィルム及び積層ティッシュを含めることができる。バックシート21に適したフィルムは、Monsanto Chemical Corporationから調達することができ、同業界ではFilm No.8020として販売されている。
【0045】
不織布24は、毛管バリア100を含むことができ、その非限定的概略図が図4に示されている。毛管バリア100は、隣接する不織布の部分よりも繊維密度(体積当たりの質量)が高い不織布24の部分とすることができる。毛管バリア100が親水性ゾーン37とフラップ26のそれぞれとの間に位置するように、1つ以上の毛管バリア100を配置することができる。毛管バリア100は、長手方向中心線Lとフラップ26との間に存在することができる。各毛管バリア100は、長手方向側縁部42と長手方向中心線Lとの間に存在することができる。各毛管バリア100は、不織布24の長手方向側縁部42と、親水性ゾーン37の横方向外側との間に存在することができる。毛管バリア100は、親水性ゾーン37又は不織布24の親水性ゾーン37に近位の部分からフラップ26への流体移動に対するバリアとして機能することができる。
【0046】
毛管バリア100は、不織布の部分飽和した流体移送特性の差異により、毛管バリア100を横断する流体移送を抑制することができる。一般的に、所与の飽和状態でのマトリック吸引力は、不織布の部分の密度が高いほど平均毛管径が小さいことから、繊維を粗く配置した不織布の部分よりも繊維を高密度に配置した不織布の部分の方が高くなる。毛細管バリア100は、不織布24の本体部分30にあり、不織布24の長手方向中心線Lと長手方向側縁部42との間に位置するように配置することができる。毛管バリア100を、各フラップ26と親水性ゾーン37との間にあるように配置することができる。
【0047】
毛管バリア100は、溝102の形態をとることができる。溝102は、不織布24の一部を局所的に圧縮することで形成されて、不織布24内に高密度部分を形成することができる。不織布24の高密度部分は、谷状又は縮小部分とすることができる。溝102は通常、長手方向中心線Lに対して概ね平行な方向に(真っ直ぐに又は湾曲して、あるいは直線部分と曲線部分が混合して)延びることができる。溝102は通常、不織布24の長さに沿って延びることができ、長さは長手方向軸Lに概ね合致する。溝102は、長手方向中心線Lとフラップ26との間に存在することができる。溝102は、図4に示すように、有孔フィルム25及び不織布24の両方内に形成することができる。溝102は、不織布24だけに形成されてもよい。溝102は、有孔フィルム25、不織布24、及び吸収性コア22内に形成されることもでき、補助トップシートなどの吸収性物品20の他の任意の構成要素を含むこともできる。補助トップシートは、トップシート23と吸収性コア22との間に置くことができ、吸収性物品20の外形内に収まる。
【0048】
有孔フィルム25を、接合線90に沿って不織布24に接合することができ、接合線90は、有孔フィルム25及び不織布24内の溝102によって形成される。接合線90は、有孔フィルム25及び不織布24を互い合わせて局所的に圧縮することで、有孔フィルム25及び不織布24が互いに接合される、及び/又は解放可能に互いに接合されるように形成することができる。接合線90は、有孔フィルム25及び不織布24が共に溶融される溶融接合とすることができる。接合線90は、超音波接合、溶融接合、接着剤接合、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される接合を含むことができる。
【0049】
有孔フィルムの衣類に向く表面76のうちの約50%を超える部分が、不織布の身体に向く表面60に面することができる。不織布の身体に向く表面60のうちの約30%を超える部分が、有孔フィルムの衣類に向く表面76に面することができる。図5に示すように、不織布24の本体部分30の身体に向く表面60全体未満が、有孔フィルムの衣類に向く表面76と面する関係にあることができる。不織布の身体に向く表面60のうちの約75%未満が、有孔フィルムの衣類に向く表面76に面することができる。有孔フィルム25は、不織布24の本体部分30の長手方向側縁部42以内に収まる最大横方向の範囲を有することができる。不織布24の本体部分30は、本体部分領域105を有することができ、有孔フィルム25は、有孔フィルム領域107を有することができる。有孔フィルム領域107は、本体部分領域105未満とすることができる。
【0050】
図6に示すように、不織布24は、長手方向中心線Lに沿って測定されたとき、吸収性物品20の全長よりも短い長さに沿って延びてもよい。有孔フィルム25は、長手方向中心線Lに合致して測定される方向で不織布24よりも長くてもよい。有孔フィルム25は、長手方向中心線Lに沿った方向で比較して、不織布24よりも短くても、長くても、又は同じ長さであってもよい。
【0051】
親水性ゾーン37は、不織布24の構成繊維が親水性である、又は何らかの方法で親水性にされたゾーンとすることができる。材料が90°未満の水との静的接触角を有するか、又は90°未満の水との静的接触角を有するようにされた場合に、その材料を親水性とみなすことができる。第1の要素が有する水との静的接触角が、第2の要素の水との静的接触角よりも小さい場合、第1の要素は第2の要素よりも親水性が高いとみなすことができる。接触角により評価した又は特性化した、不織布の水に対する親和性は、不織布を構成する繊維のタイプ(1つ又は複数)を選択することにより、及び/あるいは不織布を物質で処理することにより調整することができる。
【0052】
不織布24を構成する特定の材料の水に対する静的接触角は、水の小滴を不織布24上に滴下し、水と不織布24の構成繊維との間の静的接触角を測定することで評価することができる。不織布24を構成する構成材料の接触角を、不織布24の繊維を形成し、水との接触角を測定する材料と同じ材料で構成される固体基材上で測定することができる。処理したゾーンをより高い親水性にする界面活性剤などの物質で処理した不織布24の場合、不織布の処理したゾーンの繊維間の接触角は、不織布24の処理したゾーンを構成する材料と同じ材料で構成される、界面活性剤で同様に処理された固体基材上で測定することができる。
【0053】
不織布24の1つのゾーンが有する水との静的接触角が、その1つのゾーンの外にある不織布24の部分の水との静的接触角よりも小さい場合、そのようなゾーンは、親水性ゾーン37であるとみなすことができる。親水性ゾーン37は、フラップ26の部分と比べてより親水性であり得る。親水性ゾーン37は、90°未満である水との静的接触角を有することができ、不織布24の残りの部分は、90°を超える水との静的接触角を有することができる。別の実用的な構成では、親水性ゾーン37が有することができる水との静的接触角は、フラップ26を構成する不織布24の水との静的接触角よりも小さく、これらは共に、水との静的接触角が90°未満である。
【0054】
親水性ゾーン37は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される物質を含むことができる。
【0055】
親水性ゾーン37は、非イオン性界面活性剤を含むことができる。非イオン性界面活性剤は、融解温度が比較的低い傾向があり、処理が比較的容易であり、イオン性界面活性剤と比較して室温で液体になりやすいことから、有用であると考えられる。親水性ゾーン37を親水性にする、又はフラップ26よりも高い親水性にするのに有効な量で、界面活性剤を不織布24の親水性ゾーン37に塗布することができる。塗布する界面活性剤の量については、約0.01gsm〜約100gsmが実用的であり得る。不織布24に塗布する界面活性剤の量については、約0.1gsm〜約10gsmが実用的であり得る。
【0056】
不織布24の親水性ゾーン37は、HLB値(親水性対親油性のバランス)が約3〜約12の界面活性剤で処理することができる。不織布24の親水性ゾーン37は、HLB値(親水性対親油性のバランス)が約3〜約12の非イオン性界面活性剤で処理することができる。HLB値が約6〜約12の界面活性剤も、親水性ゾーン37がある不織布24を処理するのに実用的であり得る。
【0057】
ポリエーテルセグメントを含む官能基を有する非イオン性界面活性剤を不織布24の一部に塗布して、その部分を親水性又はフラップ26よりも高い親水性にすることができ、それによって親水性ゾーン37が形成される。それらに限定するものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及びポリブチレングリコール(PBG)官能基の官能基を有するものを含めた非イオン性界面活性剤を、不織布24の一部を処理するために使用して、親水性ゾーン37を形成することができる。ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリブチレングリコール(PBG)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を有する非イオン性界面活性剤を、不織布24の一部を処理するために使用して、親水性ゾーン37を形成することができる。非イオン性界面活性剤内のポリエーテル官能基の重合度は、約2〜約100とすることができる。
【0058】
ポリエーテルセグメントを含む官能基を有する非イオン性界面活性剤を不織布24の一部に塗布して、その部分を親水性又はフラップ26よりも高い親水性にし、並びに防汚性又はフラップ26よりも高い耐血球性にすることができ、それによって親水性ゾーン37が形成される。これらに限定するものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及びポリブチレングリコール(PBG)官能基を有するものを含めた非イオン性界面活性剤を、不織布24の一部を処理するために使用して、防汚親水性ゾーン37を形成することができる。ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリブチレングリコール(PBG)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を有する非イオン性界面活性剤を、不織布24の一部を処理するために使用して、防汚親水性ゾーン37を形成することができる。
【0059】
親水性ゾーン37は、UNIQEMA,Newcastle,Delaware,U.S.から入手可能なARLAMOL Eなどの非イオン性界面活性剤を含むことができる。ARLAMOL Eに対する化粧品原料国際命名法(INCI)は、PPG−15ステアリルエーテルである。ARLAMOL EのCAS番号は、25231−21−4である。ARLAMOL Eのポリ(プロピレングリコール)官能基では、平均重合度を約15とすることができ、重合度は約8〜約20の範囲にある。ARLAMOL Eのポリ(プロピレングリコール)官能基の重合度は3程度に低くてもよい。
【0060】
親水性ゾーン37は、ポリプロピレン酸化物官能基を有する界面活性剤を含むことができる。
【0061】
界面活性剤は、それらに限定するものではないが、スプレイ、パディング、転写ロールの使用、スロットコーティング、及び印刷を含む、活性剤を不織布に塗布する当技術分野で公知の任意の態様で、不織布24に塗布することができる。
【0062】
一実施例では、不織布24は、BBA,Washougal Washington,U.S.から入手できる、商品名083YLCCD09P、ロット番号BBWW142292、BBA 28gsmなどの疎水性不織布とすることができる。不織布の親水性ゾーン37は、不織布24を構成する繊維の少なくとも一部がARLAMOL Eなどの界面活性剤で部分的にコーティングされる又は覆われる(すなわち、処理される)不織布24のゾーンとすることができる。有孔フィルム25は、DRI−WEAVEとしてProcter & Gamble Co.から販売されている有孔フィルムとすることができる。
【0063】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0064】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。本明細書中の用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献中の同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本明細書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0065】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下着内に着用するための吸収性物品(20)において、
不織布の身体に向く表面(60)及び不織布の衣類に向く表面を有する不織布(20)であって、前記不織布は、本体部分(30)を有し、前記本体部分は、離間した2つの長手方向側縁部(42)、離間した2つの横方向縁部(44)、及び長手方向中心線(L)を有し、前記不織布は、前記本体部分につながっている、離間した1対のフラップ(26)を更に含み、前記フラップは、前記下着に巻き付けてこれに固定する大きさ及び寸法とされ、前記フラップのそれぞれは接続部(40)で前記本体部分につなげられ、1つのフラップは、前記長手方向側縁部のそれぞれから横方向外側に延び、前記本体部分の一部は、前記フラップの部分よりも親水性が高い親水性ゾーン(37)を含む、不織布(20)と、
フィルムの身体に向く表面及びフィルムの衣類に向く表面を有する有孔フィルム(25)であって、前記フィルムの衣類に向く表面の少なくとも一部が、前記不織布の身体に向く表面に面する、有孔フィルム(25)と、を含む、吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収性物品は吸収性コア(22)を更に含み、前記不織布は、前記有孔フィルムと前記吸収性コアとの間にある、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性コアは、前記不織布の前記本体部分の前記長手方向側縁部内に最大横方向の範囲を有する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記フラップは前記本体部分と一体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記親水性ゾーンは前記本体部分と一体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記親水性ゾーンは、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される物質を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記親水性ゾーンは非イオン性界面活性剤を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記非イオン性界面活性剤は、HLB値が3〜14である、請求項7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記有孔フィルムは、超音波接合、溶融接合、接着剤接合、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される接合によって、前記不織布に結合される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記親水性ゾーンと前記フラップとの間にある前記不織布の部分は、前記親水性ゾーンよりも親水性が低い、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記フィルムは、一対の接合線(90)に沿って前記不織布に結合され、一つの接合線は、前記親水性ゾーンと各前記フラップとの間にある、請求項1〜10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記不織布は毛管バリア(100)を含み、前記毛管バリアは、前記不織物の隣接する部分よりも繊維密度が高い前記不織布の部分によって画定され、前記毛管バリアは、前記親水性ゾーンと前記フラップの1つとの間にある、請求項1〜11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記毛管バリアは、溝(102)の形態をとる、請求項12に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記不織布の前記本体部分は本体部分領域(105)を有し、前記フィルムはフィルム領域(107)を有し、前記フィルム領域は前記本体部分領域よりも小さい、請求項1〜13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記不織布は、一対の溶融バリア(49)を含み、前記溶融バリアは、前記長手方向中心線の対向する側に配置され、前記溶融バリアは前記長手方向中心線と前記フラップのそれぞれとの間にある、請求項1〜14のいずれか一項に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−510785(P2011−510785A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545602(P2010−545602)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際出願番号】PCT/IB2009/050574
【国際公開番号】WO2009/101591
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】