説明

吸収性物品

【課題】高圧搾領域と低圧搾領域とを有する吸収性物品において、吸収面の損傷を防ぐとともに、液体の吸収性を高め、液体の漏れを防止する。
【解決手段】 圧搾領域50は、肌当接面側からの平面視において、低圧搾領域53を有する。低圧搾領域53には、高圧搾領域54A,54Bが形成される。低圧搾領域53は、高圧搾領域よりも吸収体30の密度が低い。低圧搾領域53における吸収体30の密度は、吸収性物品1の未圧搾領域30aよりも高い。低圧搾領域53には、高圧搾領域54が形成される。高圧搾領域54は、圧搾加工により吸収体30の密度が高められている。高圧搾領域54の接触部54aは、低圧搾領域53の側縁部53aと接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧搾加工により吸収体の密度が高められた圧搾領域を有する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生理用ナプキンなどの吸収性物品では、液体の漏れ防止、或いは装着感の向上のために、吸収性物品の吸収面に圧搾加工によって溝を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、凸部を有する加圧ロールにより圧搾されることにより、吸収体の密度が高められた高圧搾領域と、高圧搾領域よりも密度が低い低圧搾領域とを有する溝が形成される。高圧搾領域は、低圧搾領域内に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−14701号公報(図5など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、吸収体の密度が高い部分は、吸収体の密度が低い部分よりも吸収性が高いことが知られている。そのため、特許文献1に記載された吸収性物品では、液体は、圧搾のない部分から低圧搾領域へ、低圧搾領域から高圧搾領域へと吸収される。
【0006】
特許文献1に記載された吸収性物品では、高圧搾領域が低圧搾領域に囲まれているため、低圧搾領域において吸収可能な量を上回る液体が接触した際、低圧搾領域から高圧搾領域に液体が移動し、低圧搾領域において再び吸収可能になるまでの間に、液体が溝を乗り越えて吸収面に広がることがある。この吸収の遅れが吸収性物品から外に液体が漏れ出す要因になっていた。
【0007】
これに対して、高圧搾領域の面積を増やせば、液体の吸収が早まると想定される。しかし、低圧搾領域を介さずに、吸収面に高圧搾領域を直接形成すると、高圧搾領域の周囲の表面シートにかかる応力が高まるため、圧搾の無い領域と高圧搾領域との境界に沿って吸収面が裂け易くなる問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、高圧搾領域と低圧搾領域とを有する吸収性物品において、製造工程において吸収面の損傷を防止するとともに、液体の吸収性が高められた吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明の特徴に係る吸収性物品は、着用者の肌に当接する肌当接面を有する液透過性の表面シート(表面シート10)と、液不透過性の裏面シート(裏面シート20)と、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられる吸収体(吸収体30)とを備える吸収性物品(吸収性物品1)であって、前記吸収性物品の前記肌当接面側には、圧搾加工により少なくとも前記表面シート及び吸収体の密度が高められた圧搾領域(低圧搾領域53)が溝状に形成され、前記圧搾領域には、前記密度が更に高められた高圧搾領域(高圧搾領域54A,54B)が形成されており、前記吸収性物品の平面視において、前記高圧搾領域は、圧搾されていない未圧搾領域(領域30a)と点で接触する接触部(接触部54a,54b)を有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高圧搾領域と低圧搾領域とを有する吸収性物品において、製造工程において吸収面の損傷を防止するとともに、液体の吸収性が高められた吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る吸収性物品を使用者の肌当接面側からみた平面図である。
【図2】図2は、図1に示す吸収性物品のX−X線における断面を含む斜視図である。
【図3】図3(a)は、吸収性物品の肌当接面側における圧搾領域を拡大した拡大図であり、(b)は、圧搾領域の断面の拡大図である。
【図4】図4(a)は、吸収性物品の肌当接面側における圧搾領域の別のパターンを説明する拡大図であり、(b)は、圧搾領域の断面の拡大図である。
【図5】図5(a),(b)は、吸収性物品の肌当接面側における圧搾領域の別のパターンを説明する拡大図である。
【図6】図6は、吸収性物品の肌当接面側における圧搾領域の別のパターンを説明する拡大図である。
【図7】図7は、圧搾領域を形成する装置の概略を説明する模式図である。
【図8】図8は、前記装置の圧搾領域を形成するためのローラのF7領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る吸収性物品の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0013】
図1は、本実施形態に係る吸収性物品1を表面シート側(使用者の肌当接面側)から見た平面図である。図2は、図1に示す吸収性物品1のX−X線における断面を含む斜視図である。
【0014】
吸収性物品1は、液透過性の表面シート10と、液不透過性の裏面シート20と、表面シート10と裏面シート20との間に配置される吸収体30と、不織布によって構成されており吸収性物品1の両側縁部から側方に延出されたウィング部40とを備える。また、吸収性物品1は、長手方向Lに沿って、中央領域Aと、中央領域Aに対して長手方向Lの外側に、前方領域Bと後方領域Cとを有する。
【0015】
本実施形態において、表面シート10は、不織布である。表面シート10の素材は、織布、有孔プラスチックシート等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。本実施形態では、吸収体30の肌当接面側には、表面シート10のみが配置される。
【0016】
天然繊維の例としては、粉砕パルプ、コットン等のセルロースが挙げられる。化学繊維の例としては、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、熱可塑性疎水性化学繊維、又は親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維などが挙げられる。熱可塑性疎水性化学繊維の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の単繊維、ポリエチレンとポリプロピレンをグラフト重合してなる繊維、芯鞘構造等の複合繊維が挙げられる。
【0017】
不織布のウェブフォーミング方法としては、乾式(カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法等)及び湿式のいずれか一つの方法を用いることができる。乾式法と湿式法のうち、複数の方法を組み合わせてもよい。また、サーマルボンディング、ニードルパンチ、ケミカルボンディング等の方法が挙げられる。不織布を作成する方法は、上述の方法に限定されない。
【0018】
また、水流交絡法によりシート状に形成したスパンレースを表面シート10に用いることもできる。また、不織布の上層側に凹凸を付けた不織布、又はウェブ形成時にエアーを当てることにより不織布に目付斑を設けた凹凸不織布を表面シート10に用いることもできる。表面に凹凸を形成することにより、体液が表面シート10を透過する前に表面シート10の表面を伝わって拡散することを軽減できる。
【0019】
本実施形態において、吸収体30よりも衣類側には、コアラップ21が配置される。コアラップ21は、液体を吸収する吸収性を有するシートであり、例えば、ティッシュである。裏面シート20は、コアラップ21よりも衣類側に配置される。裏面シート20は、ポリエチレン、ポリプロピレン等を主体としたフィルム、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。裏面シート20は、着用時の違和感を生じさせない程度の柔軟性を有する材料とすることが好ましい。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂を主体とし、目付(単位面積当りの重さ(g):坪量という)が15〜30g/mの範囲のフィルムを使用することが好ましい。
【0020】
本実施形態において、吸収体30は、パルプや化学パルプやレーヨンやアセテートや天然コットンや高分子吸収体や繊維状高分子吸収体や合成繊維や発泡体等を単独又はこれらを混合したものからなり、型崩れし難く化学的刺激が少ないものであることが好ましい。親水性繊維の例としては、粉砕パルプ、コットン等のセルロース、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、粒子状ポリマー、繊維状ポリマー、熱可塑性疎水性化学繊維、又は、親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維等を単独又は混合して用いることができる。
【0021】
これらの中でも、低コストと吸収体の成形し易さとを考慮すると、粉砕パルプを使用することが好ましい。親水性繊維に高分子吸収体を混合したものを吸収体30として使用しても良い。本実施形態では、高分子吸収体は、吸収性、吸湿性のあるアクリル酸ナトリウム共重合体等の粒状ポリマーである。
【0022】
吸収体30は、親水性繊維又は粉体をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシートでもよい。吸収体30として、エアレイドシートを使用する場合、エアレイドシートの厚さは、0.3〜5.0mmであるのが好ましい。エアレイドシートの例としては、繊維と粒子状ポリマーとをバインダー等でシート物に成形したものが挙げられる。なお、粒子状ポリマーは、エアレイドシートにおいて、層状に分散されていてもよいし、厚み方向に偏っていてもよい。
【0023】
吸収体30は、1層からなるものでもよいし、複数層の吸収体から構成されていてもよい。また、表面シート10と吸収体30との間には、ティッシュ、クッションシート、拡散シート等のシートが配置されていてもよい。
【0024】
ウィング部40は、吸収性物品1の中央領域Aに一対形成される。ウィング部40は、吸収性物品1の幅方向外側に延出されている。吸収性物品1は、一対のウィング部40の着用者の肌側とは反対の表面には、着用者の下着に固定される固定領域60を有する。固定領域60は、図1において破線で示される。固定領域60には、接着材、接着テープ、面ファスナーなどが配置される。また、着用者の下着と接触する裏面シート20の表面には、長手方向Lに沿って接着材70が複数のライン状に塗布される(図1には不図示、図2参照)。一対のウィング部40は、下着のクロッチ部に折り返され、固定領域60に配置された接着材によって、下着に留め付けられる。
【0025】
接着材としては、任意のパターンで容易に塗布できるホットメルト粘着材を使用する。ホットメルト粘着材は、スチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤から構成される。スチレン系ポリマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、などを用いることができる。本実施形態では、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体を使用した。粘着材は上記のものに限られないが、柔らかく、常温で被着体の繊維と繊維の間にめり込んで付着できる常温感圧性ホットメルト接着材(Hot Melt Adhesive)を使用することができる。
【0026】
図1,2に示すように、吸収性物品1には、圧搾加工により吸収体30が圧搾された圧搾領域50が形成される。圧搾領域50は、吸収体30の圧搾領域50を除く領域の厚さよりも薄い。ここで、圧搾領域50を除く領域を未圧搾領域30aという。
【0027】
次に、圧搾領域50を説明する。図3(a)は、圧搾領域50を肌当接面側からみた平面図である。図3(b)は、図3(a)のF3−F3線における圧搾領域50の断面を示す断面図である。
【0028】
圧搾領域50は、肌当接面側からの平面視において、圧搾加工により少なくとも表面シート10と吸収体30との密度が高められた領域であり、溝状に形成されている。圧搾領域50には、密度が更に高められた高圧搾領域54A,54Bが形成されている。圧搾領域50は、未圧搾領域30aに比べると圧搾により密度が高められているが、高圧搾領域54A,54よりは密度が低いため、低圧搾領域53と表す。
【0029】
吸収性物品1の平面視において、低圧搾領域53は、吸収性物品の長手方向Lに沿って形成される。高圧搾領域54A,54Bは、吸収性物品1の溝(低圧搾領域53)に沿って、溝の内側に所定間隔置きに複数形成される。
【0030】
図3(a)に示すように、吸収性物品1の平面視において、高圧搾領域54Aは、未圧搾領域30aと接触する接触部54aを有する。溝(低圧搾領域53)の延びる方向に沿った接触部54aの長さL2は、溝(低圧搾領域53)の延びる方向に沿った高圧搾領域54の長さL1よりも短い。本実施形態では、高圧搾領域54の接触部54aは、未圧搾領域30aと点で接触する。
【0031】
圧搾領域50は、複数の高圧搾領域54Aからなる第1グループG1と、複数の高圧搾領域54Bからなる第2グループG2とを有する。第1グループG1を構成する高圧搾領域54Aの接触部54aは、低圧搾領域53の一方の側縁部53aに接触する。すなわち、第1グループG1は、第1の高圧搾領域群を構成する。第2グループG2を構成する高圧搾領域54Bの接触部54bは、低圧搾領域53の他方の側縁部53bに接触する。すなわち、第2グループG2は、第2の高圧搾領域群を構成する。
【0032】
図3に示す例では、第1グループの高圧搾領域54Aと第2グループの高圧搾領域54Bとは、溝の延びる方向に互い違いに形成される。高圧搾領域54Aは、吸収性物品1の平面視において四角形である。接触部54aは、四角形の1つの頂点である。また、高圧搾領域54Bにおいても同様に、四角形であり、接触部54bは、四角形の1つの頂点である。
【0033】
図4(a)は、低圧搾領域53に形成される高圧搾領域の別のパターンを肌当接面側からみた平面図である。図4(b)は、図4(a)のF4−F4線における断面を示す断面図である。図4に示す例では、低圧搾領域53に高圧搾領域55A,55B,55Cが形成される。図4に示すように、低圧搾領域53は、複数の高圧搾領域55Aからなる第1グループG1と、複数の高圧搾領域54Bからなる第2グループG2と、複数の高圧搾領域55Cからなる第3グループG3とを有する。第1グループG1を構成する高圧搾領域55Aの接触部55aは、低圧搾領域53の一方の側縁部53aに接触する。第2グループG2を構成する高圧搾領域55Bの接触部55bは、低圧搾領域53の他方の側縁部53bに接触する。第3グループG3を構成する高圧搾領域55Cは、溝(低圧搾領域53)の幅方向における第1グループと第2グループとの間に、溝(低圧搾領域53)の延びる方向に沿って形成される。
【0034】
第1グループの高圧搾領域55Aと第3グループの高圧搾領域55Cとは互い違いに形成される。また、第2グループの高圧搾領域55Bと第3グループの高圧搾領域55Cとは互い違いに形成される。
【0035】
一般に、吸収体は、密度が高められた領域ほど、液体を引き込みやすいことが知られている。以上説明したように、吸収性物品1には、未圧搾領域よりも密度が高められた低圧搾領域53と、低圧搾領域53よりも更に密度が高められた高圧搾領域54A,54Bとが形成されている。そのため、低圧搾領域53から高圧搾領域54A,54Bへと、体液などの液体を引き込みやすく、吸収体30の内部に引き込みやすい。従って、液体の吸収速度が向上するため、吸収性物品1の外に漏れ出ることを防止できる。
【0036】
また、吸収性物品1では、高圧搾領域54A,54Bの接触部54a,54bは、圧搾されていない未圧搾領域30a、すなわち、低圧搾領域53の側縁部53a,53bと点で接触するため、接触部54a,54bにおいて、表面シート10にかかる応力が小さい。従って、製造工程において、表面シートの破れなどの損傷を防ぐことができる。
【0037】
また、圧搾領域50に形成される低圧搾領域と高圧搾領域のパターンを図3のように、互い違いに配設することにより、液体を引き込みやすい高圧搾領域を限られた面積(低圧搾領域53)内に数多く配置できる。そのため、一度に吸収可能な液体の量が増加する。従って、吸収性物品1の吸収性を高めることができる。
【0038】
本実施形態では、吸収体30よりも肌側には、表面シート10のみが配置される。表面シート10を透過した液体は、吸収体30を構成するパルプ、親水性繊維、高分子吸収体などに直接接触するため、液体の吸収速度が速くなる。
【0039】
従って、吸収性物品に高圧搾領域54A,54B及び低圧搾領域53を形成することと、肌当接面側にコアラップ21を備えないこととを併用することにより、液体の吸収性を一層高めることができる。これにより、液体の漏れを確実に防止できる。
【0040】
以上、図3に示した高圧搾領域54A,54Bが形成された吸収性物品について効果を説明したが、図4に示す高圧搾領域55A,55B,55Cが形成された吸収性物品であっても同様の効果を奏する。肌当接面側に図4に示す圧搾領域が形成された場合には、第3グループG3を有するため、高圧搾領域の面積が広く、吸収速度が一層速くなる。
【0041】
次に、圧搾領域50に形成される高圧搾領域の別のパターンについて説明する。図5(a)、(b)は、圧搾領域50に形成される高圧搾領域の別のパターンを肌当接面側からみた平面図である。図5(a)に示す例では、低圧搾領域53に、略円形状の高圧搾領域56A,56Bが形成される。図5(b)に示す例では、低圧搾領域53に、略円形状の高圧搾領域57A,57B,57Cが形成される。図6に示す例では、低圧搾領域53に、ハート型の高圧搾領域58A,58Bが形成される。
【0042】
例えば、ハート型の高圧搾領域58A,58Bとした場合には、圧搾されていない未圧搾領域30aとの側縁部53a、53bと、ハートの頂部58a、58bとが点で接触するように高圧搾領域58A,58Bを形成することが好ましい。これにより、表面シート10にかかる応力を小さくすることができる。従って、吸収面の損傷を防ぐことができる。
【0043】
図5,6に示すように、吸収性物品1の平面視において、高圧搾領域と未圧搾領域との接触部分である接触部の溝(低圧搾領域53)の延びる方向に沿った長さL2が、溝の延びる方向に沿った高圧搾領域の長さL1よりも短ければよく、高圧搾領域の形状は、四角形状だけでなく、円形状、花形などの模様、記号などであってもよい。
【0044】
次に、吸収性物品1の肌当接面側に、低圧搾領域と高圧搾領域とを形成する方法を説明する。ここでは、一例として、図3に示した高圧搾領域54A,54Bのパターンを形成する方法を説明する。図7は、圧搾領域50を形成する装置の概略を説明する模式図である。図7に示すように、装置100は、第1ロール110と、第2ロール120とを有する。
【0045】
第1ロール110は、表面シートと裏面シートとの間に吸収体30を包含した連続体200と接しながら吸収性物品1の製造工程の流れ方向に沿った機械方向MDに回転する。第1ロール110の表面には、連続体200を圧搾するための圧搾部111が形成されている。圧搾部111は、第1ロール110の法線方向に突出しており、連続体200と当接する表面には、高圧搾領域54A,54Bを形成するための凸部が形成されている。第2ロール120の表面は平滑に処理されている。
【0046】
図8は、圧搾部111の拡大図である。圧搾部111の連続体200と当接する表面には、凸部112,113が形成されている。凸部112は、高圧搾領域54Aを形成する。凸部113は、高圧搾領域54Bを形成する。凸部112は、角部112aを有する。角部112aは、側面111aにおける、第1ロール110の法線方向の延長上に連なっている。すなわち、角部112aは、圧搾部111の側面111aと一致するように形成されている。
【0047】
連続体200は、第1ロール110と第2ロール120とに挟まれ、押圧されながら、機械方向MDに送られる。このとき、連続体200は、一方の表面側から第1ロール110の圧搾部111によって第2ロール120の表面に向けて押し付けられる。これにより、連続体200には、圧搾部111の形状に対応する圧搾領域が形成される。
【0048】
図8に示すように、第1ロール110の表面に形成される圧搾部111の側面111aと凸部112の角部112aとが一致しており、凸部112の全体が圧搾部111の幅に収まっている。このため、角部112aの欠け等の不具合を防止することができ、ロールの寿命を延ばすという効果も奏する。
【0049】
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0050】
例えば、本発明の実施形態では、吸収性物品が生理用ナプキンの場合について説明したが、この限りではない。例えば、おむつ、インナーライナー、尿取りパッドなどであってもよい。また、本実施形態では、吸収性物品1の両側縁部から側方にウィング部40が延出されていると説明したが、ウィング部40はなくてもよい。
【0051】
圧搾領域50に形成される高圧搾領域の形状は、図3〜図6に示す形状に限定されない。低圧搾領域の側縁部53a,53bは、直線でなくてもよい。例えば、波形等であってもよい。
【0052】
上述した実施形態では、圧搾領域50において、着用者の肌側には、表面シート10のみが配置される場合について説明した。しかし、表面シート10と吸収体30との間にコアラップ21を配置してもよい。
【0053】
また、裏面シート20の衣服当接面側から凹凸部(高圧搾領域54A,54B及び低圧搾領域53A,53B,53C)が形成されていてもよい。
【0054】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0055】
1…吸収性物品、 10…表面シート、 20…裏面シート、 21…コアラップ、 30…吸収体、 30a…未圧搾領域、 40…ウィング部、 50…圧搾領域、 53…低圧搾領域、 53A,53B,53C…低圧搾領域、 53a,53b…側縁部、 54…高圧搾領域、 54A,54B…高圧搾領域、 54a,54b…接触部、 55A,55B,55C…高圧搾領域、 55a,55b…接触部、 56A,56B…高圧搾領域、 57A,57B,57C…高圧搾領域、 58A,58B…高圧搾領域、 58a,58b…頂部、 60…固定領域、 70…接着材、 100…装置、 110…第1ロール、 111…圧搾部、 111a…側面、 112,113…凸部、 112a…角部、 120…第2ロール、 200…連続体、 A…中央領域、 B…前方領域、 C…後方領域、 G1…第1グループ、 G2…第2グループ、 G3…第3グループ、 L…長手方向、 MD…機械方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の肌に当接する肌当接面を有する液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に設けられる吸収体とを備える吸収性物品であって、
前記吸収性物品の前記肌当接面側には、圧搾加工によって少なくとも前記表面シートと吸収体との密度が高められた圧搾領域が溝状に形成され、前記圧搾領域には、前記密度が更に高められた高圧搾領域が形成されており、
前記吸収性物品の平面視において、
前記高圧搾領域は、圧搾されていない未圧搾領域と点で接触する接触部を有する吸収性物品。
【請求項2】
前記高圧搾領域は、前記吸収性物品の平面視において、四角形であり、前記接触部は、前記四角形の1つの頂点である請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性物品の平面視において、
前記圧搾領域は、前記吸収性物品の長手方向に沿って形成されており、
前記高圧搾領域は、前記吸収性物品の長手方向に沿って所定間隔置きに複数形成され、
前記高圧搾領域の前記接触部が前記溝状の圧搾領域の一方の側縁部に接触する第1の高圧搾領域群と、
前記高圧搾領域の前記接触部が前記溝状の圧搾領域の他方の側縁部に接触する第2の高圧搾領域群と
を有し、
前記第1の高圧搾領域群と前記第2の高圧搾領域群とは、互い違いに形成される請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収性物品の平面視において、
前記圧搾領域は、前記吸収性物品の長手方向に沿って形成されており、
前記高圧搾領域は、前記吸収性物品の長手方向に沿って所定間隔置きに複数形成され、
前記高圧搾領域の前記接触部が前記溝状の圧搾領域の一方の側縁部に接触する第1の高圧搾領域群と、
前記高圧搾領域の前記接触部が前記溝状の圧搾領域の他方の側縁部に接触する第2の高圧搾領域群と、
前記第1の高圧搾領域群と前記第2の高圧搾領域群との間に形成される第3の高圧搾領域群と
を有し、
前記第1の高圧搾領域群と前記第3の高圧搾領域群とは互い違いに形成され、かつ、前記第2の高圧搾領域群と前記第3の高圧搾領域群とは互い違いに形成される請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記液体を吸収する吸収性シートを有し、
前記吸収性シートは、前記吸収体と前記裏面シートとの間に配置され、
前記吸収体の肌当接面側には、前記表面シートのみが配置される請求項1に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−62475(P2011−62475A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218184(P2009−218184)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】