説明

吸収性物品

【課題】製品全体を薄くしながら、柔軟性を維持した上で、縒れにくくする。
【解決手段】本発明に係る吸収性物品1では、吸収体10における排泄口対応領域15の両側縁に、複数の第1圧搾部12が離間して設けられており、吸収体10おいて第1圧搾部12が設けられている領域11以外の全域に渡って、複数の第2圧搾部13が離間して設けられており、第1圧搾部12の平面視形状では、吸収性物品1の長手方向Lに沿った寸法L1が、吸収性物品1の幅方向Wに沿った寸法W1よりも長くなるように構成されており、第2圧搾部13の平面視形状では、吸収性物品1の幅方向Wに沿った寸法W2が、吸収性物品1の長手方向Lに沿った寸法L2よりも長くなるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の圧搾部が離間して設けられている吸収体を有する吸収性物品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-33397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、出願人は、上述の吸収体物品について、以下のような問題点を発見した。
【0005】
特許文献1に示す吸収性物品では、吸収体の排泄口対応領域に圧搾部が設けられていないため、かかる排泄口対応領域が、当該排泄口対応領域の周辺領域よりも厚くなるため、かかる吸収性物品が、着用者の排泄口の周辺の体にフィットしすぎてしまい、着用者に対して異物感を与えてしまう可能性があるという問題点がある。
【0006】
また、特許文献1に示す吸収性物品では、吸収体の排泄口対応領域に圧搾部が設けられていないため、かかる排泄口対応領域の剛性が、当該排泄口対応領域の周辺領域内の圧搾部が設けられている領域よりも低いため、着用時に、着用者の内股からの外力が加わった場合に、排泄口対応領域が、縒れ易くなり、着用者の排泄口の周辺の体にフィットできなくなり、体液の漏れが発生してしまう危険性があるという問題点がある。
【0007】
さらに、特許文献1に示す吸収性物品では、上述の圧搾部が、平面視形状において、直線形状を有していないため、吸収体の剛性の方向付けができないため、着用者の歩行等の動作によって、吸収性物品の幅方向からの外力が加わった場合に、かかる吸収体が、縒れ易くなり、体液の漏れが発生してしまう危険性があるという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、製品全体を薄くしながら、柔軟性を維持した上で、縒れにくくすることができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴は、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品であって、前記吸収体における排泄口対応領域の両側縁に、複数の第1圧搾部が離間して設けられており、前記吸収体において前記第1圧搾部が設けられている領域以外の全域に渡って、複数の第2圧搾部が離間して設けられており、前記第1圧搾部の平面視形状では、前記吸収性物品の長手方向に沿った寸法が、前記吸収性物品の幅方向に沿った寸法よりも長くなるように構成されており、前記第2圧搾部の平面視形状では、前記吸収性物品の幅方向に沿った寸法が、前記吸収性物品の長手方向に沿った寸法よりも長くなるように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明によれば、製品全体を薄くしながら、柔軟性を維持した上で、縒れにくくすることができる吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図におけるa-a断面図及びb-b断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の吸収体の肌当接面側から見た平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の吸収体の肌当接面側から見た平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の吸収体の肌当接面側から見た平面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の製造方法について説明するための図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の製造方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明の第1の実施形態)
図1乃至図7を参照して、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品1について説明する。例えば、本実施形態に係る吸収性物品1は、紙おむつや失禁パッドや生理用ナプキン等である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る吸収性物品1は、幅方向Wの両外側に延出するように形成されている1対のウィング部30を有していてもよい。また、本実施形態に係る吸収性物品1は、長手方向Lにおいて、ウィング部30の後方に、1対の後方ウィング部(図示せず)を有していてもよい。
【0014】
また、図1及び図2に示すように、本実施形態に係る吸収性物品1には、長手方向Lに沿って、表面シート21から吸収体10までを圧搾するように構成されている複数の圧搾溝26が設けられていてもよい。
【0015】
図2に示すように、本実施形態に係る吸収性物品1は、液透過性の表面シート21と、液不透過性の裏面シート22と、ウィング部30を構成するサイドシート31と、表面シート21と裏面シート22との間に配置される吸収体10とを有する。なお、本実施形態に係る吸収性物品1は、表面シート21と吸収体10との間に、セカンドシートを有していてもよい。
【0016】
吸収体10は、粉砕パルプ及び高分子吸収ポリマーからなる吸収体コア10Aと吸収体コア10Aを包み込むコアラップ10Bとによって構成されている。ここで、高分子ポリマーは、アクリル酸ナトリウム共重合体の粒状のポリマーである。
【0017】
また、コアラップ10Bは、液体を吸収する任意の材料のシートである。例えば、コアラップとして、ティッシュを用いてもよいし、親水性繊維や粉砕パルプをエアレイド法によってシート状にしたエアレイドシートを用いてもよい。
【0018】
ここで、図1及び図2に示すように、排泄口対応領域15の内部に、周辺領域よりも吸収体目付けが高くなるように構成されている領域16が設けられていてもよい。
【0019】
例えば、領域16における吸収体10の目付けは、300g/mであり、領域16における吸収体10の厚さは、3mmであり、領域16の周辺領域における吸収体10の目付けは、100g/mであり、領域16の周辺領域における吸収体10の厚さは、2mmであってもよい。
【0020】
また、吸収体10の剛性値は、2mNから3mNの範囲であることが好ましい。なお、かかる剛性値は、JIS-1096(1994年度更新版)に規定されているガーレー法を用いて測定する値である。
【0021】
また、表面シート21として、ポリエチレンやポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートといったポリオレフィン繊維からなるスルーエアー不織布若しくは開孔したポリエチレンフィルムを用いてもよい。
【0022】
また、裏面シート22として、ポリオレフィンフィルムを用いてもよいし、サイドシート31として、ポリエチレンやポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートといったポリオレフィン繊維からなるスパンボンドやスルーエアー不織布を用いてもよい。
【0023】
さらに、セカンドシートしては、ポリエチレンやポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートといったポリオレフィン繊維からなるスルーエアー不織布を用いてもよい。
【0024】
また、本実施形態に係る吸収性物品1には、長手方向Lに沿って防漏壁(図示せず)が設けられていてもよい。
【0025】
ここで、防漏壁は、ポリエチレンやポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートといったポリオレフィン繊維からなるスパンボンドやSMS等の不織布基材に延伸した糸状の弾性部材を配して構成されていてもよい。
【0026】
図3に示すように、吸収体10における排泄口対応領域15の両側縁に、複数の第1圧搾部12が離間して設けられている。ここで、複数の第1圧搾部12は、吸収性物品1の幅方向Wに沿って離間するのみでなく、吸収性物品1の長手方向Lに沿って離間して設けられていてもよい。
【0027】
なお、かかる排泄口対応領域15は、着用者の膣口に当接する領域であり、例えば、着用者の下着に吸収性物品1が着用される際に、下着の2つの足回り開口の間に配置される領域である。
【0028】
ここで、着用者は、吸収性物品1を下着に着用する際に、ウィング部30を下着のクロッチに巻き込み、後方ウィング部を下着の上に広げて、吸収性物品1を下着に固定する。
【0029】
そのため、例えば、本実施形態に係る吸収性物品1において、ウィング部30が設けられている場合、上述の排泄口対応領域15の中心線は、長手方向Lにおけるウィング部30の中心線に一致する。
【0030】
なお、ウィング部30が設けられていなく、かつ吸収性物品1の幅方向Wの長さ寸法がほぼ一定の場合、上述の排泄口対応領域15の中心線は、吸収性物品1(すなわち、製品)の長手方向Lにおける中心において幅方向Wに延びる線である。
【0031】
また、ウィング部30が設けられていない場合、着用者は、吸収性物品1を下着に着用する際に、吸収性物品1の幅方向Wの長さ寸法が最も短い位置を、下着のクロッチに合わせて、吸収性物品1を下着に固定してもよい。この場合、すなわち、本実施形態に係る吸収性物品1において、ウィング部30が設けられていない場合、上述の排泄口対応領域15の中心線は、吸収性物品1の幅方向Wの長さ寸法が最も短い位置において幅方向Wに延びる線である。
【0032】
例えば、吸収性物品1の長手方向の寸法(製品長)が「21cm」である場合には、排泄口対応領域15は、吸収体10の長手方向Lの前端部及び後端部から「40mm」〜「55mm」の位置に設けられており、吸収体10の幅方向Wの両端部から「6mm」〜「16mm」の位置に設けられている。なお、吸収性物品1の長手方向の寸法(製品長)が、その他の寸法である場合には、排泄口対応領域15の設けられる位置は、異なった位置になる。
【0033】
ここで、第1圧搾部12の平面視形状では、図3に示すように、吸収性物品1の長手方向Lに沿った寸法L1が、吸収性物品1の幅方向Wに沿った寸法W1よりも長くなるように構成されている。
【0034】
例えば、吸収体10の剛性の観点からは、寸法L1は、3mm以下であり、寸法W1は、2mm以下であることが好ましい。
【0035】
なお、本実施形態に係る吸収性物品1において、図3に示すように、複数の第1圧搾部12は、排泄口対応領域15の両側縁の領域11に設けられている。領域11は、図3に示すような台形形状であってもよいし、その他の任意の形状であってもよい。
【0036】
また、複数の第1圧搾部12は、吸収性物品1の長手方向Lに沿った直線を含む形状である。本実施形態では、複数の第1圧搾部12では、吸収性物品1の長手方向Lの両先端が半円状に形成されている。なお、複数の第1圧搾部12は、同じ面積や形状を有していてもよいし、異なる面積や形状を有していてもよい。
【0037】
かかる構成によれば、第1圧搾部12が、吸収性物品1の幅方向Wに沿って離間して設けられているので、高剛性部(第1圧搾部12)と低剛性部(第1圧搾部12以外)とが交互に繰り返されており、複数の折れ起点が存在することになる。
【0038】
その結果、吸収性物品1の幅方向Wからの外力が該吸収性物品1に加わった際、すなわち、着用者の内股からの外力が加わった際に、排泄口対応領域15の両側縁の領域11において、吸収性物品1は、吸収性物品1の長手方向Lに沿って折れ曲がりやすくなる。従って、着用者が股を閉じた場合であっても、着用者に対する違和感(固さ)の低減やフィット性の向上等を両立することができる。
【0039】
さらに、かかる構成によれば、複数の第1圧搾部12が、吸収性物品1の長手方向Lに沿って離間して設けられていることや、複数の第1圧搾部12が、吸収性物品1の長手方向Lに沿った直線を含む形状であることで、吸収性物品1の幅方向Wに経血が流れたとしても、第1圧搾部12によって、かかる経血を吸収性物品1の長手方向Lに拡散誘導することができ、経血の横漏れを防ぐことができる。
【0040】
特に、複数の第1圧搾部12では、吸収性物品1の長手方向Lの両先端が半円状に形成されているので、吸収性物品1の変形が繰り返されても、表面シート21等がやぶれにくい。
【0041】
また、吸収体10において第1圧搾部12が設けられている領域11以外の全域に渡って、複数の第2圧搾部13が離間して設けられている。ここで、複数の第2圧搾部13は、吸収性物品1の長手方向Lに沿って離間するのみでなく、吸収性物品1の幅方向Wに沿って離間して設けられていてもよい。
【0042】
ここで、第2圧搾部13の平面視形状では、図3に示すように、吸収性物品1の幅方向Wに沿った寸法W2が、吸収性物品1の長手方向Lに沿った寸法L2よりも長くなるように構成されている。
【0043】
例えば、吸収体10の剛性の観点からは、寸法W2は、3mm以下であり、寸法L2は、2mm以下であることが好ましい。
【0044】
また、複数の第2圧搾部13は、吸収性物品1の幅方向Wに沿った直線を含む形状である。本実施形態では、複数の第2圧搾部13では、吸収性物品1の幅方向Wの両先端が半円状に形成されている。なお、複数の第2圧搾部13は、同じ面積や形状を有していてもよいし、異なる面積や形状を有していてもよい。
【0045】
かかる構成によれば、吸収性物品1の幅方向Wからの外力が該吸収性物品1に加わった際、すなわち、着用者の内股からの外力が加わった際に、第2圧搾部13によって、排泄口対応領域15が吸収性物品1の長手方向Lに沿って折れ曲がりにくくなる。従って、着用者が股を閉じた場合であっても、排泄口対応領域15を寄れにくくすることができる。
【0046】
また、かかる構成によれば、排泄口対応領域15の後方(お尻側)において、第2圧搾部13によって、排泄口対応領域15が吸収性物品1の長手方向Lに沿って折れ曲がりにくくなることに伴い、ショーツの着圧がお尻の溝に沿って加わった場合でも、吸収性物品1がお尻の溝に食い込み難くなる。
【0047】
また、かかる構成によれば、排泄口対応領域15の前方(恥丘側)において、第2圧搾部13によって、吸収性物品1の幅方向Wにおける吸収体10の剛性を上げることができ、吸収性物品1が尿道口に食い込み難くなる。
【0048】
さらに、かかる構成によれば、第2圧搾部13が吸収性物品1の長手方向Lに沿って離間して設けられていることや、複数の第2圧搾部13は、吸収性物品1の幅方向Wに沿った直線を含む形状であることで、高剛性部(第2圧搾部13)と低剛性部(第2圧搾部13以外)とが交互に繰り返されており、複数の折れ起点が存在することになる。
【0049】
その結果、吸収性物品1の長手方向Lにおける吸収体10の剛性を低下させることができるので、吸収体10が、着用者の体の曲率に合わせて変形し易くなり、吸収性物品1の着用者の体へのフィット感を向上させることができる。
【0050】
特に、複数の第2圧搾部13では、吸収性物品1の幅方向Wの両先端が半円状に形成されているので、吸収性物品1の変形が繰り返されても、表面シート21等がやぶれにくい。
【0051】
また、かかる構成によれば、吸収体10は、吸収性物品1の幅方向Wに長い形状(W2>L2)の複数の第2圧搾部13によって、吸収性物品1の幅方向Wからの外力(例えば、着用者の内股からの外力等)に対して容易に変形し難くなる。
【0052】
また、図3に示すように、第2圧搾部13の吸収性物品1の幅方向Wに沿った寸法W2は、隣接する第2圧搾部13間の吸収性物品1の幅方向Wに沿った間隔aよりも短くなるように構成されていてもよい。
【0053】
例えば、隣接する第2圧搾部13間の吸収性物品1の幅方向Wに沿った間隔aは、10mm以下であり、隣接する第2圧搾部13間の吸収性物品1の長手方向Lに沿った間隔bは、10mm以下であり、より好ましくは、a及びbが共に、5mm以下である。
【0054】
かかる構成によれば、吸収性物品1が固くなり過ぎず、柔軟性を維持した上で、縒れにくくできるとともに、着用者に対する違和感(固さ)の低減やフィット性の向上等を両立することができる。
【0055】
また、図3に示すように、複数の第1圧搾部12及び複数の第2圧搾部13は、それぞれ千鳥状に配置されていてもよい。
【0056】
かかる構成によれば、着用者の動きに応じて、吸収体10がねじれるような力F1及びF2が加わった場合、剛性が高い部分(第1圧搾部12及び第2圧搾部13)と剛性が低い部分(第1圧搾部12及び第2圧搾部13以外の部分)との間の境界線L1及びL2を折れ起点として、折れ曲がり易くなり(すなわち、ねじれ易くなり)、着用者に対する違和感を低減することができる。
【0057】
また、図3に示すように、排泄口対応領域15における第2圧搾部13の面積率は、排泄口対応領域15の周辺領域における第2圧搾部13の面積率よりも低くなるように構成されていてもよい。
【0058】
例えば、排泄口対応領域15における第2圧搾部13の数を、排泄口対応領域15の周辺領域における第2圧搾部13の数よりも少なくするように構成されていてもよい。
【0059】
また、排泄口対応領域15において、吸収性物品1の長手方向Lに沿って配置されている第2圧搾部13の列を少なくするように構成されていてもよいし、排泄口対応領域15において、吸収性物品1の幅方向Wに沿って配置されている第2圧搾部13の行を少なくするように構成されていてもよい。
【0060】
さらに、図4に示すように、排泄口対応領域15における第2圧搾部13の数及び排泄口対応領域15の周辺領域における第2圧搾部13の数は、同一であるが、排泄口対応領域15における第2圧搾部13の面積を小さくするように構成されていてもよい。
【0061】
なお、上述のパターンのいくつかを組み合わせることによって、排泄口対応領域15における第2圧搾部13の面積率を、排泄口対応領域15の周辺領域における第2圧搾部13の面積率よりも低くするように構成されていてもよい。
【0062】
ここで、排泄口対応領域15における第2圧搾部13の面積率は、「(排泄口対応領域15内に設けられている第2圧搾部13の面積の合計)÷(排泄口対応領域15の面積)」によって算出され、排泄口対応領域15の周辺領域における第2圧搾部13の面積率は、「(排泄口対応領域15の周辺領域内に設けられている第2圧搾部13の面積の合計)÷(排泄口対応領域15の周辺領域の面積)」によって算出される。
【0063】
なお、かかる第2圧搾部13の面積率の測定方法としては、例えば、特定の第2圧搾部13の1点を中心とした所定範囲(例えば、2cm×2cmの大きさの範囲)内の第2圧搾部13の面積率を測定してもよい。
【0064】
ここで、例えば、排泄口対応領域15における第2圧搾部13の面積率、及び、排泄口対応領域15の周辺領域における第2圧搾部13の面積率共に、10%以下であり、より好ましくは、5%以下である。
【0065】
また、図5に示すように、第2圧搾部13の面積率は、吸収性物品1の長手方向Lにおいて、排泄口対応領域15に近づくに連れて高くなるように構成されていてもよい。
【0066】
かかる構成によれば、排泄口対応領域15及び排泄口対応領域15の周辺領域の剛性が、それ以外の領域の剛性よりも高くなるので、排泄口対応領域15が容易に変形することを回避することができる。
【0067】
また、かかる構成によれば、第2圧搾部13の面積率が、吸収性物品1の長手方向Lにおいて、排泄口対応領域15に近づくに連れて高くなるように構成されているので、着用者のお尻の曲率が高い部分に対応する位置(すなわち、排泄口対応領域15の前方及び後方)において、吸収性物品1の幅方向Wに沿って曲がり易くなる。従って、着用者に対するフィット性を向上させることができる。
【0068】
かかる構成によれば、排泄口対応領域15において、周辺領域よりも吸収体10の目付けが高い領域16が設けられており、かつ、第2圧搾部13の面積率が、周辺領域における第2圧搾部13の面積率よりも低いため、排泄口対応領域15において、体液の吸収能力を高めることができ、かつ、体液が吸収された後であっても着用者に異物感を与えることを回避することができる。
【0069】
また、図3に示すように、周辺領域よりも吸収体10の目付けが高い領域16における平面視形状の大きさは、排泄口対応領域15における平面視形状の大きさよりも小さくなるように構成されている。すなわち、領域16における吸収性物品1の長手方向L及び幅方向Wに対する寸法は、排泄口対応領域15における吸収性物品1の長手方向L及び幅方向Wに対する寸法よりも小さくなるように構成されている。
【0070】
例えば、吸収体10の剛性の観点からは、排泄口対応領域15は、領域16よりも、吸収性物品1の長手方向Lの寸法及び幅方向Wの寸法が、1mm以上長く、より好ましくは、5mm以上長い。
【0071】
また、図3に示すように、第2圧搾部13の少なくとも1つは、吸収体10の目付けが高い領域16と吸収体10の目付けが低い領域との間の境界Xを跨ぐように配置されていてもよい。
【0072】
かかる構成によれば、吸収性物品1の幅方向Wからの外力が該吸収性物品1に加わった際、すなわち、着用者の内股からの外力が加わった際に、上述の境界Xで曲がりにくく、複数の第1圧搾部12によって吸収性物品1の長手方向Lに沿ってより確実に折れ曲がりやすくすることができる。
【0073】
ここで、高目付け領域である領域16において、排泄口対応領域15の周辺領域と同じ第2圧搾部13の面積率を適用すると、かかる領域16の剛性が過度に高まってしまい、着用者に異物感を与える可能性がある。
【0074】
特に、吸収体10の製造ラインでは、後述するように、吸収体10を生成した後に、第2圧搾部13を形成するように構成されているため、吸収体10の製造ラインがCD方向に蛇行した場合には、かかる問題点が発生する可能性が高くなる。
【0075】
したがって、上述のように、領域16を排泄口対応領域15よりも狭くすることによって、領域16における過度の剛性の高まりを回避し、吸収体10の製造ラインがCD方向に蛇行した場合であっても、排泄口対応領域15内で左右に過度の剛性差の発生を抑制することができる。
【0076】
また、吸収性物品1の長手方向Lの前側の剛性は、吸収性物品1の長手方向Lの後側の剛性よりも高くなるように構成されていてもよい。
【0077】
例えば、長手方向Lの寸法が27cm以上である吸収性物品1(夜用ナプキン等)では、漏れ防止のため防漏部を備えている場合が多いが、吸収性物品1の長手方向Lの前側の剛性を下げると、防漏部に備えられた弾性材の応力で、吸収性物品1の長手方向Lの前側が折れ返ってしまい、着用者に違和感を与えてしまう可能性がある。
【0078】
したがって、かかる事態を避けるために、上述のように、吸収性物品1の長手方向Lの前側の剛性を、吸収性物品1の長手方向Lの後側の剛性よりも高くしてもよい。
【0079】
また、吸収性物品1の長手方向Lの後側の剛性は、吸収性物品1の長手方向Lの前側の剛性よりも高くなるように構成されていてもよい。
【0080】
例えば、長手方向Lの寸法が27cm未満である吸収性物品1(昼用ナプキン或いはレギュラータイプのナプキン等)では、吸収性物品1の長手方向Lの後側の剛性を低下させると、着用者の肛門付近で吸収性物品がお尻の溝に食い込みすぎて、着用者に異物感を与えてしまう可能性がある。
【0081】
したがって、かかる事態を避けるために、上述のように、吸収性物品1の長手方向Lの後側の剛性を、吸収性物品1の長手方向Lの前側の剛性よりも高くしてもよい。
【0082】
ここで、吸収体10の目付けを高めることによって、吸収性物品1の長手方向Lの前側(或いは後側)の剛性を高めてもよいし、圧搾部を形成することによって、吸収性物品1の長手方向Lの前側(或いは後側)の剛性を高めてもよい。
【0083】
例えば、図3に示すように、吸収性物品1の長手方向Lの前側(或いは後側)の両側縁部に圧搾部50を形成することによって、吸収性物品1の長手方向Lの前側(或いは後側)の剛性を、吸収性物品1の長手方向Lの後側(或いは前側)の剛性よりも高くなるように構成してもよい。
【0084】
次に、図6及び図7を参照して、本実施形態に係る吸収性物品1の製造方法の一部について、具体的には、本実施形態に係る吸収性物品1の吸収体10の製造方法の一部について説明する。なお、図6及び図7に記載されていない方法については、既存の方法を用いることができる。
【0085】
図6に示すように、ステップS101において、粉砕されたパルプ及び吸収ポリマーの積層体からなる吸収体コア10Aをコアラップ10Bでラッピングし、加圧ロール100A及び100A-1を通過させる。
【0086】
ステップS102において、吸収体カッター100Bを用いて、所定の寸法及び形状にカットすることによって、吸収体10を生成する。
【0087】
ステップS103において、搬送ベルト100Cによって、吸収体カッター100Bによって生成された吸収体10を搬送する。
【0088】
ここで、吸収体カッター100Bと搬送ベルト100Cとの間には、スペースが存在するため、図7に示すように、吸収体100は、吸収体カッター100Bによって生成された直後、自重で、鉛直方向Aに垂れ下がってしまうという問題点がある。
【0089】
かかる問題点を解決するために、吸収体10の剛性を上げる必要がある。ここで、全体的に吸収体10の剛性を上げてしまうと、着用者に異物感を与えてしまうため、MD方向の前側においてのみ吸収体10の剛性を上げる。
【0090】
すなわち、長手方向Lの寸法が27cm以上である吸収性物品1(夜用ナプキン等)では、MD方向の前側に、吸収性物品1の長手方向Lの前側を配置するため、吸収性物品1の長手方向Lの前側の剛性を高めることになる。
【0091】
一方、長手方向Lの寸法が26cm未満である吸収性物品1(昼用ナプキン或いはレギュラータイプのナプキン等)では、MD方向の前側に、吸収性物品1の長手方向Lの後側を配置するため、吸収性物品1の長手方向Lの後側の剛性を高めることになる。
【0092】
ここで、例えば、吸収体10の前側の50%以下の領域、より好ましくは、吸収体10の前側の30%以下の領域においてのみ、吸収体10の剛性を上げる。
【0093】
かかる構成によれば、吸収体10の製造ラインにおいて直進安定性を向上させることができる。
【0094】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0095】
1…吸収性物品
10…吸収体
12…第1圧搾部
13…第2圧搾部
15…排泄口対応領域
21…表面シート
22…裏面シート
30…ウィング部
31…サイドシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品であって、
前記吸収体における排泄口対応領域の両側縁に、複数の第1圧搾部が離間して設けられており、
前記吸収体において前記第1圧搾部が設けられている領域以外の全域に渡って、複数の第2圧搾部が離間して設けられており、
前記第1圧搾部の平面視形状では、前記吸収性物品の長手方向に沿った寸法が、前記吸収性物品の幅方向に沿った寸法よりも長くなるように構成されており、
前記第2圧搾部の平面視形状では、前記吸収性物品の幅方向に沿った寸法が、前記吸収性物品の長手方向に沿った寸法よりも長くなるように構成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記第1圧搾部は、前記吸収性物品の長手方向に沿って離間して設けられており、
前記第2圧搾部は、前記吸収性物品の幅方向に沿って離間して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記排泄口対応領域における前記第2圧搾部の面積率は、前記排泄口対応領域の周辺領域における前記第2圧搾部の面積率よりも低くなるように構成されており、
前記排泄口対応領域の内部に、周辺領域よりも吸収体目付けが高くなるように構成されている領域が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収性物品の長手方向の前側の剛性は、前記吸収性物品の長手方向の後側の剛性よりも高くなるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性物品の長手方向の後側の剛性は、前記吸収性物品の長手方向の前側の剛性よりも高くなるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記第2圧搾部の面積率は、前記吸収性物品の長手方向において、前記排泄口対応領域に近づくに連れて高くなるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第2圧搾部の少なくとも1つは、吸収体目付けが高い領域と吸収体目付けが低い領域との間の境界を跨ぐように配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記第2圧搾部の前記吸収性物品の幅方向に沿った寸法は、隣接する前記第2圧搾部間の前記吸収性物品1の幅方向Wに沿った間隔よりも短くなるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記複数の第1圧搾部及び前記複数の第2圧搾部は、それぞれ千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記複数の第1圧搾部及び前記複数の第2圧搾部は、直線を含む形状であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−29997(P2012−29997A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174040(P2010−174040)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】