説明

吸収性物品

【課題】会陰部への密着性を向上させ、後漏れを防止する。
【解決手段】吸収体4の非肌当接面側に、排血口部Hより後方の幅方向中央部の交点Cから斜め前方の両側に向けて形成された左右一対の前方溝24、24と、前記交点Cから生理用ナプキン1の長手方向に沿う後方に向けて形成された後方溝25とから成るY字状溝23を形成する。Y字状溝23を可撓軸として交点Cを頂点とする三角錐状の隆起部が形成され、この隆起部のうち、前方溝24、24による斜め前方の両側に延びるラインは、排血口部Hの後方部分から臀部の谷間の始まり部分にかけての三角状の身体のラインLa、Laにフィットし、後方溝25による後方に延びるラインは、臀部の谷間の始まり部分から後方に延びる身体のラインLbにフィットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経血やおりものなどを吸収するための生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品に係り、会陰部への密着性を向上させ、後漏れを防止した吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パンティライナー、生理用ナプキン、おりものシート、失禁パッド、トイレタリーなどの吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンシートラミネート不織布などの不透液性裏面シートと、不織布または透液性プラスチックシートなどの透液性表面シートとの間に綿状パルプ等からなる吸収体を介在したものが知られている。
【0003】
この種の吸収性物品にも幾多の改良が重ねられ、体液漏れを防止するための手段が種々講じられている。特に、夜用ナプキンなどの後漏れの原因の一つとして、ナプキンと会陰部との間に隙間が生じることによる伝い漏れがある。
【0004】
このため従来より、排血口部及びそれより後方の身体の形状にフィットさせるようにしたものが開発されている。例えば、下記特許文献1には、吸収部の中央部に、肌当接面側へ隆起した吸収性物品の長手方向に延びる隆起部を備え、吸収部は隆起部が形成されている部分の厚みが隆起部が形成されていない部分の厚みより厚くなっており、前記隆起部に対応する前記隆起部の非肌当接面側には、吸収性物品の長手方向に延びる溝を備えており、前記吸収部に前記溝が複数設けられている吸収性物品が開示されている。また、下記特許文献2には、吸収部の後方部に、肌当接面側へ隆起した隆起部を備え、該隆起部に対応する吸収部の非肌当接面側には、吸収性物品の幅方向中央において該吸収性物品の長手方向に延びる後方溝を備えた吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3850102号
【特許文献2】特許第3850103号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1記載の吸収性物品においては、中央部に側方から幅方向の力が加えられると、前記溝において屈曲して隆起部が肌当接面側に凸の断面アーチ状となって、装着者の股間に良好に当接されるというものである。
【0007】
一方、上記特許文献2記載の吸収性物品においては、前記後方溝を可撓軸として機能させることにより、生理用ナプキンの装着時に吸収部の後方部分を逆V字状に変形させ、装着者の臀部に良好にフィットさせるようにするものである。
【0008】
ところが、吸収性物品の中央部において隆起部を設けることにより装着者の排血口部に当接させることができても、その後方の臀部の溝に至るまでの間に存在する小さな窪み状の会陰部と吸収性物品との間に隙間が生じやすく、この隙間を通じて後方への漏れが発生することがあった。
【0009】
また、可撓軸として機能する前記後方溝を形成することにより、横断面方向の変形性能は向上するものの、前記後方溝は高密度に圧縮された直線状の凹状溝として形成されるものであるため、吸収性物品の長手方向への変形性能、すなわち横断方向を軸とする変形性能が逆に低下してしまい、ナプキン後方部分を臀部の丸みに沿って変形させることが困難となり、臀部との間に隙間が生じて、会陰部の隙間を通じて後方へ漏れた経血等を捕捉できず、後漏れを起こすおそれがあった。
【0010】
そこで本発明の主たる課題は、会陰部への密着性を向上させ、後漏れを防止した吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在された吸収性物品において、
前記吸収体の非肌当接面側に、排血口部より後方の幅方向中央部の交点から斜め前方の両側に向けて形成された左右一対の前方溝と、前記交点から前記吸収性物品の長手方向に沿う後方に向けて形成された後方溝とから成るY字状溝が形成されていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0012】
上記請求項1記載の発明では、吸収体の非肌当接面側に、排血口部より後方の幅方向中央部の交点から斜め前方の両側に向けて形成された左右一対の前方溝と、前記交点から前記吸収性物品の長手方向に沿う後方に向けて形成された後方溝とから成るY字状溝を形成することにより、このY字状溝が他の部分よりも薄肉化され、剛性(断面二次モーメント)が低下するため、両側からの脚の圧力が作用したときに、このY字状溝を可撓軸として前記交点を頂点とする三角錐状の隆起部が形成される。そしてこの三角錐状の隆起部のうち、前記前方溝による斜め前方の両側に延びるラインは、排血口部の後方部分から臀部の谷間の始まり部分にかけての三角状の身体のラインにフィットし、後方溝による後方に延びるラインは、臀部の谷間の始まり部分から後方にフィットする。このため、この三角錐状の隆起部が排血口部より後方の会陰部から臀部の谷間にかけての形状に極めて良好にフィットし、経血等の後方への伝い漏れが防止できるようになる。
【0013】
請求項2に係る本発明として、前記吸収性物品の幅方向中央部の少なくとも前記排血口部を含む股間部に、前記吸収性物品の長手方向に延びるとともに、肌当接面側に隆起する吸収体中高部を有し、前記吸収体中高部及び/又はその近傍に対応する吸収体の非肌当接面側に前記Y字状溝が形成されている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0014】
上記請求項2記載の発明では、吸収性物品の幅方向中央部の少なくとも前記排血口部を含む股間部に、吸収性物品の長手方向に延びるとともに、肌当接面側に隆起する吸収体中高部を有し、前記吸収体中高部及びその近傍に対応する吸収体の肌当接面側に前記Y字状溝を形成することにより、肌当接面側に隆起させた吸収体中高部をより良好に会陰部周辺にフィットさせることができ、後漏れが確実に防止できるようになる。
【0015】
請求項3に係る本発明として、前記Y字状溝の両側にはそれぞれ、吸収体の肌当接面側に前記吸収性物品の略長手方向に沿って左右一対の股間部エンボスが形成されるとともに、前記股間部エンボスの後端部が、前記Y字状溝と幅方向に重なり代を有する範囲において、前記前方溝の前端と後方溝の後端とを結ぶ仮想線とほぼ平行するように形成されている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0016】
上記請求項3記載の発明では、Y字状溝の両側にそれぞれ、吸収体の肌当接面側に吸収性物品の略長手方向に沿って左右一対の股間部エンボスを形成するとともに、前記股間部エンボスの後端部を、前記Y字状溝と幅方向に重なり代を有する範囲において、前記前方溝の前端と後方溝の後端とを結ぶ仮想線とほぼ平行するように形成してあるため、前記股間部エンボスの後端部によって、両側からの脚圧の作用方向を前方溝の前端と後方溝の後端とを結ぶ仮想線と直交する方向に変換することができ、両側からの脚圧によってY字状溝の前方溝と後方溝とで囲まれた領域を隆起させやすくすることができる。
【0017】
請求項4に係る本発明として、前記股間部エンボスの後方には、前記仮想線と直交する方向に一部重なり代を有する左右一対の中間エンボスが形成されている請求項3記載の吸収性物品が提供される。
【0018】
上記請求項4記載の発明では、股間部エンボスの後方に、前記仮想線と直交する方向に一部重なり代を有する左右一対の中間エンボスを形成することにより、前記仮想線と直交する方向に重なり代を有する二重エンボス部分の吸収体の剛性(コシ)が増すため、両側からの脚圧をY字状溝の前方溝と後方溝とで囲まれた領域を隆起させる力に変換しやすくなる。
【0019】
請求項5に係る本発明として、前記Y字状溝の前方溝同士の成す角度は、70°以上、180°未満としてある請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0020】
上記請求項5記載の発明は、会陰部に形成される身体のラインが臀部の谷間の始まり部分を基点としてほぼ70°以上の場合が多いため、前方溝同士の成す角度を70°以上、180°未満としたものである。
【0021】
請求項6に係る本発明として、前記Y字状溝より後方の吸収体の非肌当接面側に前記吸収性物品の長手方向に沿って断続的な凹状溝が形成されるとともに、その周辺に位置する吸収体に前記吸収性物品の長手方向に間隔を空けて横長の周辺エンボスが複数形成され、且つ前記凹状溝間に吸収体欠損部が形成されている請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0022】
上記請求項6記載の発明では、前記Y字状溝より後方の吸収体の非肌当接面側に吸収性物品の長手方向に沿って断続的な凹状溝を形成するとともに、その周辺に位置する吸収体に吸収性物品の長手方向に間隔を空けて横長の周辺エンボスを複数形成し、且つ前記凹状溝間に吸収体を欠損させた吸収体欠損部を形成することにより、前記凹状溝の形成列に沿う軸部分が他の部分よりも薄肉化され、剛性(断面二次モーメント)が低下するため、凹状溝の形成列を軸とする可撓軸(長手方向可撓軸)によって吸収性物品横断方向(吸収性物品幅方向)の臀部の谷間に沿って隆起する変形性能を確保することができる。さらに、前記凹状溝の周辺の吸収体に吸収性物品横断面方向の曲げに対するコシを持たせ、凹状溝近傍の吸収体とその周辺の吸収体との間に剛性差を付与し、中央部分のみを臀部の谷間に沿って変形させる変形性能を確保している。また、前記凹状溝間に吸収体欠損部を形成することにより、臀部の谷間に沿った隆起部分を臀部の前後方向の丸みに沿って湾曲させた場合において、前記吸収体欠損部で吸収体の圧縮方向や引張方向の変形が吸収され、肌当接面側に幅方向のシワ入りが生じ難くなり、臀部の細い谷間の奥にまで良好に密着できるようになる。従って、後方の幅方向中央部分が長手方向に沿って隆起しやすくなり、且つこの隆起部が臀部の前後方向の丸みに沿って湾曲しやすくなるため、臀部の谷間への密着性が向上し、後漏れが防止できる。
【0023】
請求項7に係る本発明として、前記吸収体中高部は、後端部が幅方向中央部に向けて漸次幅狭に形成され、該吸収体中高部の後端部が前記Y字状溝の前方溝とほぼ重なる位置又はこれより前側に形成されている請求項2〜6いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0024】
上記請求項7記載の発明では、吸収体中高部をY字状溝の前方溝とほぼ重なる位置又はこれより前側に形成してあるため、Y字状溝より前側の領域の剛性(コシ)が増し、この領域にシワを発生させずにY字状溝を可撓軸として会陰部から臀部の谷間にかけてのY字状の身体のラインに沿って吸収体を変形させることができるようになる。このため、吸収体中高部が排血口から会陰部にかけてフィットするとともに、Y字状溝を可撓軸として変形した吸収体が会陰部から臀部の谷間にかけてフィットするようになる。
【0025】
請求項8に係る本発明として、前記吸収体中高部は、中高部上面に向けて幅寸法及び/又は長手寸法が漸次縮小するとともに、前記中高部上面の後端部が幅方向中央部に向けて漸次幅狭に形成され、該中高部上面の後端部が前記Y字状溝の前方溝とほぼ重なる位置又はこれより前側に形成されている請求項2〜6いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0026】
上記請求項8記載の発明では、中高部側面を傾斜面状に形成した場合、中高部上面がY字状溝より前側に位置していれば、傾斜面状の中高部側面がY字状溝の後側に延在しても、Y字状溝より前側にコシを持たせることができ、これにより会陰部から臀部の谷間にかけてのY字状の身体のラインに良好にフィットさせることができるようになる。
【発明の効果】
【0027】
以上詳説のとおり本発明によれば、会陰部への密着性を向上させ、後漏れを防止した吸収性物品が提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る生理用ナプキン1の展開図である。
【図2】そのII−II線矢視図である。
【図3】図1のIII−III線矢視図である。
【図4】股間部構造を示す人体の下面図である。
【図5】吸収体欠損部22の平面図である。
【図6】他の形態に係る吸収体欠損部22の平面図及び断面図である。
【図7】他の形態に係る生理用ナプキン1の展開図(その1)である。
【図8】他の形態に係る生理用ナプキン1の展開図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0030】
〔生理用ナプキン1の基本構造〕
本発明に係る生理用ナプキン1は、図1〜図3に示されるように、ポリエチレンシートなどからなる不透液性バックシート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性トップシート3と、これら両シート2,3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4、6と、この吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4を囲繞する被包シート5と、前記吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも体液排出部を含むように前後方向に所定の区間内において表面側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BSとから主に構成され、かつ前記吸収体4の周囲においては、その上下端縁部では前記不透液性バックシート2と透液性トップシート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記不透液性バックシート2と、前記立体ギャザーBSを形成しているサイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、これら不透液性バックシート2とサイド不織布7とによる積層シート部分によって側方に突出するウイング状フラップW、Wが形成されているとともに、これよりも臀部側に位置する部分に第2ウイング状フラップW、Wが形成されている。
【0031】
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記不透液性バックシート2は、ポリエチレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。前記不透液性バックシート2の非使用面側(外面)には1または複数条の粘着剤層(図示せず)が形成され、身体への装着時に生理用ナプキン1を下着に固定するようになっている。前記不透液性バックシート2としては、プラスチックフィルムと不織布とを積層させたポリラミ不織布を用いてもよい。
【0032】
次いで、前記透液性トップシート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。前記透液性トップシート3に多数の透孔を形成した場合には、経血やおりもの等(以下、まとめて体液という。)が速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
【0033】
前記吸収体4としては、体液を吸収・保持し得るものであれば良く、通常はフラッフ状パルプ中に吸水性ポリマー粉末を混入したものが吸収機能および価格の点から好適に使用される。前記吸収体4は形状保持等のために被包シート5によって囲繞するのが望ましい。前記被包シート5としては、クレープ紙、親水性の不織布などを用いることができる。
【0034】
前記吸収体4及び/又は後述の吸収体中高部6には、合成繊維を混合しても良い。前記合成繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記合成繊維は、体液に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。
【0035】
前記吸収体4の使用面側には、幅方向中央部にナプキン長手方向に細長く、長手方向に延び肌当接面側に隆起する吸収体中高部6を形成することができる。この吸収体中高部6は、幅方向中央部に、装着者の排血口部Hを含むとともに後述のY字状溝23に対応する部分を含む股間部6Aと、この股間部6Aの後端から連続する後方部6Bとに亘って細長く形成されている。前記吸収体中高部6のうち、股間部6Aは、吸収量や排血口への密着を維持するために所定の高さで設けることが望ましいが、後方部6Bは、後述のエンボスによる変形の妨げとならないよう、前記股間部6Aより薄くする又は無くすことが好ましい。前記吸収体中高部6の厚みは、股間部6Aが3〜20mm、好ましくは5〜15mmであり、後方部6Bが0〜10mm、好ましくは0〜3mmである。また、前記後方部6Bの吸収体中高部6を薄くした又は無くしたことにより装着者に不安を感じさせないよう、図3に示されるように、この後方部6Bの肌当接面側に嵩高のセカンドシート6aを配設することができる。このセカンドシート6aは、吸収体4、6の変形に影響を与えない程度にクッション性の高い素材を用いることが好ましい。また、前記吸収体中高部6は、前方部6Aより後方部6Bが幅狭に形成され、前方部6Aと後方部6Bとの境界では、後方に向けて幅及び/又は厚みが漸次縮小するように形成されている。この幅及び/又は厚みが漸次縮小する境界範囲は、前側の開始位置が後段で詳述するY字状溝23の交点Cに対応する部分より若干後側とし、後側の終了位置が後段で詳述するY字状溝23の後方溝25の後端に対応する部分より若干後側とすることが好ましい。これにより、股間部6Aと後方部6Bとの境界部分のフィット性が向上するようになる。
【0036】
一方、前記透液性トップシート3の幅寸法は、図示例では、図2および図3の横断面図に示されるように、吸収体4の幅よりも若干長めとされ、吸収体4、6を覆うだけに止まり、前記立体ギャザーBSは前記透液性トップシート3とは別のサイド不織布7、具体的には経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの目的に応じて、適宜の撥水処理または親水処理を施した不織布素材を用いて構成されている。かかるサイド不織布7としては、天然繊維、合成繊維または再生繊維などを素材として、適宜の加工法によって形成されたものを使用することができるが、好ましくはゴワ付き感を無くすとともに、ムレを防止するために、坪量を抑えて通気性を持たせた不織布を用いるのがよい。具体的には、坪量を13〜23g/mとして作製された不織布を用いるのが望ましく、かつ体液の透過を確実に防止するためにシリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布が好適に使用される。
【0037】
前記サイド不織布7は、図2および図3に示されるように、幅方向中間部より外側部分を吸収体4の内側位置から吸収体側縁を若干越えて不透液性バックシート2の外縁までの範囲に亘ってホットメルトなどの接着剤によって接着し、これら前記サイド不織布7と不透液性バックシート2との積層シート部分により、ほぼ体液排出部に相当する吸収体側部位置に左右一対のウイングフラップW、Wを形成するとともに、これより臀部側位置に第2ウイング状フラップW、Wを形成している。これらウイング状フラップW、Wおよび第2ウイング状フラップW、Wの外面側にはそれぞれ粘着剤層8…,9…を備え、ショーツに対する装着時に、前記ウイング状フラップW、Wを折返し線RL位置にて反対側に折り返し、ショーツのクロッチ部分に巻き付けて止着するようになっている。
【0038】
一方、前記サイド不織布7の内方側部分はほぼ二重に折り返されるとともに、この二重シート内部に、その高さ方向中間部に両端または長手方向の適宜の位置が固定された糸状弾性伸縮部材が配設され、表面側に起立する立体ギャザーBS、BSが形成されている。具体的には、図2及び図3に示されるように、起立状態で、吸収体4の側縁部又はその近傍から起立する側面起立部7aと、この側面起立部7aの先端から連続して形成されるとともに、ナプキン1の表面に対して略水平又は中心側に傾斜して形成される所定幅の肌当接面部7bとを有し、前記側面起立部7aが前記肌当接面部7bの外方側端縁より外側に位置するようになっている。前記側面起立部7a及び肌当接面部7bには、それぞれ、生理用ナプキン1の長手方向に沿って、1又は複数本の、図示例では各3本づつ糸状弾性伸縮部材10…、11…が配設されている。
【0039】
〔エンボス等並びに吸収体中高部の構造〕
次に、非肌当接面側に形成されるエンボス及び吸収体を欠損させた吸収体欠損部並びに肌当接面側に形成されるエンボスの構造と、吸収体中高部の構造とについて、以下に説明する。
《非肌当接面側に形成されるエンボス及び吸収体欠損部》
本生理用ナプキン1においては、図1〜図3に示されるように、前記吸収体4の非肌当接面側に前記生理用ナプキン1の長手方向に沿って断続的な凹状溝20、20…が形成されている。すなわち、本生理用ナプキン1では、凹状溝を連続的に形成するのではなく、比較的短い直線状の凹状エンボスと、エンボス無加工部分とが交互に列を成すような断続的な凹状溝20、20を形成することにより、前記凹状溝20,20に沿うナプキン長手方向軸を可撓軸とする横断方向の変形性能を確保するものである。なお、前記凹状溝20は、図示例では前後に2箇所形成されているが、3箇所以上形成することもできる。
【0040】
また、前記凹状溝20、20の周辺に位置する吸収体4の非肌当接面側に前記生理用ナプキン1の長手方向に間隔を空けて横長の周辺エンボス21、21…が複数形成されている。前記周辺エンボス21を形成することにより、凹状溝20の周辺、即ち生理用ナプキン1の後方部の幅方向中央部を除く吸収体4にナプキン横断面方向(ナプキン幅方向)の曲げに対するコシが付与され、凹状溝20近傍の吸収体4とその周辺の吸収体4との間にナプキン横断面方向の剛性差が生じ、幅方向中央部分の吸収体4のみを臀部の谷間に沿って変形することができるようになる。
【0041】
さらに、本生理用ナプキン1においては、少なくとも前記凹状溝20、20間、即ち前記凹状溝20の無加工部分に吸収体4を欠損させた吸収体欠損部22が形成されている。図示例では、凹状溝20、20間に加えて、後段で詳述するY字状溝23と凹状溝20との間にも設けられている。上述のように凹状溝20、20の形成列を可撓軸として幅方向中央部を隆起させた上で、この隆起部分を臀部の前後方向の丸みに沿って湾曲させた場合において、前記吸収体欠損部22で吸収体4の圧縮方向や引張方向の変形が吸収され、肌当接面側に幅方向のシワ入りが生じ難くなり、臀部の細い谷間の奥にまで良好に密着できるようになる。
【0042】
以上に説明した通り、吸収体4の非肌当接面側に形成される凹状溝20、周辺エンボス21及び吸収体欠損部22により、生理用ナプキン1の後方部の幅方向中央部がナプキン長手方向に沿って隆起しやすくなり、且つこの隆起部分が臀部の前後方向の丸みに沿って湾曲しやすくなるため、臀部の谷間への密着性が向上し、体液の後漏れが防止できる。
【0043】
一方、前記吸収体4の非肌当接面側には、排血口部Hより後方の幅方向中央部の交点Cから斜め前方の両側に向けて形成された左右一対の前方溝24、24と、前記交点Cから生理用ナプキン1の長手方向に沿う後方に向けて形成された後方溝25とから成るY字状溝23が形成されている。このY字状溝23が形成されることにより、このY字状溝23が他の部分よりも薄肉化され、剛性(断面二次モーメント)が低下するため、両側からの脚の圧力が作用したときに、このY字状溝23を可撓軸として前記交点Cを頂点とする三角錐状の隆起部が形成される。この三角錐状の隆起部のうち、前記前方溝24、24による斜め前方の両側に延びるラインは、図4に示されるように、排血口部Hの後方部分から臀部の谷間の始まり部分にかけての会陰部に形成される臀部の谷間の始まり部分を基点として前方の両側に向けて延びる身体のラインLa、Laにフィットする。また、三角錐状の隆起部のうち、後方溝25による後方に延びるラインは、臀部の谷間の始まり部分から後方の臀部の谷間のラインLbにフィットする。このため、Y字状溝23によって形成された三角錐状の隆起部が排血口部Hより後方の会陰部から臀部の谷間にかけての身体の形状に極めて良好にフィットし、体液の後方への伝い漏れが防止できるようになる。
【0044】
上記エンボス等の構造についてさらに詳しく説明すると、図示例のように、生理用ナプキン1の少なくとも後方中央部分に、ナプキン長手方向に延びるとともに、肌当接面側に隆起する吸収体中高部6が形成される場合、前記凹状溝20は、前記吸収体中高部6に対応する吸収体4の非肌当接面側に形成され、前記周辺エンボス21は、前記吸収体中高部6の周辺に位置する吸収体4に複数形成され、且つ前記吸収体欠損部22は、前記吸収体中高部6に対応する吸収体4の少なくとも前記凹状溝20、20間に形成されている。さらに、前記Y字状溝23は、前記吸収体中高部6及びその近傍に対応する吸収体4の非肌当接面側に形成されている。
【0045】
前記凹状溝20の深さは、吸収体4の厚みに対して30〜95%、好ましくは50〜90%の深さで形成するのが望ましい。凹状溝20の深さが30%未満の場合は、横断方向の変形性能はもとより長手方向の変形性能を確保することができない。前記凹状溝20の深さが95%を超える場合には、凹状溝20の剛性が高くなりすぎ、臀部の前後方向に沿って湾曲しにくくなる。
【0046】
前記凹状溝20の長さは、5mm〜30mmが好ましく、10mm〜20mmがより好ましい。凹状溝20の長さは一定でなくてもよく、図示例では、前側より後側の凹状溝20を長く形成してある。
【0047】
なお、前記凹状溝20は、吸収体4単独、又は被包シート5で囲繞された吸収体4の段階で付与するのが望ましい。
【0048】
前記周辺エンボス21は、図示例では、装着者の臀部に対応する領域に後段で詳述する左右一対の後方部エンボス31、31より外側及び後段で詳述する後端デザインエンボス36より外側の範囲に施されている。前記周辺エンボス21は、横長のエンボス溝が、生理用ナプキン1の長手方向に間隔を空けるとともに、幅方向に間隔を空けて、平面視千鳥状に配列されている。
【0049】
前記周辺エンボス21の深さは、吸収体4の厚みに対して20〜95%、好ましくは30〜90%の深さで形成するのが望ましい。これにより、中央部分と周辺部との間で幅方向の変形に対して剛性差をつけて確実に中央部分を変形させることができるようになる。前記周辺エンボス21の長さは、5mm〜20mm、好ましくは10mm〜15mmである。
【0050】
前記吸収体欠損部22は、生理用ナプキン1の幅方向に10mm〜20mm、長手方向に5mm〜15mmの範囲内に形成されるもので、図5に示されるように、(A)方形状、(B)菱形形状、(C)、(D)くさび形状の他、三角形状などのいずれかの形状で吸収体を欠損させたものである。また、その断面形状は、吸収体の厚み方向に同一形状としても良いが、図6に示されるように、吸収体4の厚み方向に形状を変化させた立体的形状としても良い。
【0051】
前記Y字状溝23の前方溝24、24同士の成す角度αは、成人女性の会陰部に形成される身体のラインLa、Laの角度がほぼ70°以上の割合が高いため、この身体のラインに適合させるため、70°以上、180°未満とすることが好ましく、90°以上150°未満がより好ましい。70°以上とすることにより、両側からの脚圧がかかっとときに、Y字状溝23を可撓軸とする吸収体の隆起効果が向上する。
【0052】
前記Y字状溝23の深さは、前記凹状溝20と同様に、吸収体4の厚みに対して30〜95%、好ましくは50〜90%の深さで形成するのが望ましい。
【0053】
また前記Y字状溝23の交点Cは、膣口から後方側の肛門付近にかけての会陰部へのフィット性を向上させるため、少なくとも生理用ナプキン1の幅方向中央部で、且つ排血口部Hの中心から生理用ナプキン1の後方に40mm〜60mmの間に設定される。
【0054】
前記前方溝24及び後方溝25は、前記交点Cからそれぞれ20mm〜40mmの長さで形成され、前方溝24と後方溝25の長さは同等であることが好ましいが、異なる長さで形成することもできる。
【0055】
また、前記Y字状溝23の前側であって、排血口部Hに対応する生理用ナプキン1の幅方向中央部の吸収体4の非肌当接面側には、生理用ナプキン1の長手方向に沿って線状エンボス26を形成することが好ましい。この線状エンボス26が形成されることにより、該線状エンボス26を可撓軸として吸収体4の幅方向中央部を長手方向に沿って表面側に隆起するようになり、生理用ナプキン1の表面を装着者の排血口部により確実に密着させることができる。
【0056】
生理用ナプキン1の前端部には、生理用ナプキン1の長手方向に間隔を空けて横長の前端周辺エンボス27、27…が複数形成されている。これは、前端部のナプキン幅方向に対するコシを向上させ、前端部のシワ入りを防止するためのものである。
【0057】
《肌当接面側に形成されるエンボス》
本生理用ナプキン1では、図1に示されるように、吸収体4の肌当接面側に、装着者の股間部に対応する領域に生理用ナプキン1の略長手方向に沿って左右一対の股間部エンボス30、30が形成されるとともに、装着者の臀部に対応する領域に左右一対の後方部エンボス31、31が形成され、且つ前記前記股間部エンボス30と後方部エンボス31との中間領域に、前記エンボス30、31と間を開けて左右一対の中間部エンボス32が形成されている。
【0058】
また、前記股間部エンボス30の前側(図示例のように吸収体中高部6が設けられる場合には、この吸収体中高部6の前端より前側)には、生理用ナプキン1の幅方向中央部に略傘形状の前端傘状エンボス33が形成されるとともに、さらにその前側の領域を囲むように前端デザインエンボス34が形成されている。一方、前記後方部エンボス31の後部(図示例のように吸収体中高部6が設けられる場合には、この吸収体中高部6の後端より後側)には、生理用ナプキン1の幅方向中央部に略傘形状の後端傘状エンボス35が形成されるとともに、その更に後側に間を開けて後端デザインエンボス36が形成されている。
【0059】
前記股間部エンボス30は、排血口部Hを含み、後端が臀部の谷間の始まり部分にかかる範囲に、生理用ナプキン1の略長手方向に沿って左右一対で形成されている。その前端部は、若干両側に拡大するように屈曲した形状とされ、その傾斜角は前記前端デザインエンボス34の後端部とほぼ平行する角度で形成されている。
【0060】
また、前記股間部エンボス30の後端部は、前記Y字状溝23と幅方向に重なり代を有する範囲において、幅方向中央部に傾斜した形状とされ、その傾斜角は、前記Y字状溝23との関係で所定の傾斜角とされている。具体的には、股間部エンボス30の傾斜した後端部を延長した仮想線S1と、前記Y字状溝23の前方溝24の前端と後方溝25の後端とを結ぶ仮想線S2とがほぼ平行するように形成されている。「ほぼ平行する」とは、仮想線S1、S2のナプキン長手方向線に対する傾斜角が完全に一致する場合の他、この傾斜角が±5°の角度差の範囲内で形成されている場合も含む。
【0061】
前記股間部エンボス30の後端部を上記傾斜角とすることにより、この股間部エンボス30の後端部によって、両側からの脚圧の作用方向を前方溝24の前端と後方溝25の後端とを結ぶ仮想線S2と直交する方向に変換することができ、両側からの脚圧によってY字状溝23の前方溝24と後方溝25とで囲まれた領域を隆起させやすくすることができる。
【0062】
前記後方部エンボス31は、臀部の谷間に対応する範囲に、生理用ナプキン1の略長手方向に沿って左右一対で形成され、後方部の吸収体の幅方向中央部を臀部の谷間に沿ってきっちりと隆起させるためのものである。後方部エンボス31は、略前側半分が外側に膨出する曲線によって形成され、残りの後側が内側に膨出する曲線によって形成されている。さらにその後端部は外側に向かって半円弧状に屈曲した形状で形成されている。
【0063】
また、前記後方部エンボス31には、前記吸収体欠損部22に対応する位置に、後方部エンボス31からナプキン幅方向中央側へ延びるフィットエンボス31a、31a…が形成されている。これにより、フィットエンボス31aが基点となって確実に吸収体欠損部22の形成位置で臀部の前後方向の丸みに沿って湾曲させることができるようになる。
【0064】
前記中間エンボス32は、前記仮想線S2と直交する方向に対し、前記股間部エンボス30の後端部と前端の一部が重なり代を有するように形成されている。これにより、前記仮想線S2と直交する方向に重なり代を有する股間部エンボス30と中間エンボス32との二重エンボス部分の吸収体4の剛性(コシ)が増すため、両側からの脚圧をY字状溝23の前方溝24と後方溝25とで囲まれた領域を隆起させる力に変換しやすくなる。
【0065】
《吸収体中高部6の構造》
前記吸収体中高部6として、前述の股間部6A及び後方部6Bに亘って細長く形成したものの他、図7に示されるように、後端部6aが幅方向中央部に向けて漸次幅狭に形成され、該吸収体中高部6の後端部6aが前記Y字状溝23の前方溝24、24とほぼ重なる位置又はこれより前側に形成したものとすることができる。前方溝24、24とほぼ重なる位置とは、平面視で、吸収体中高部6の後端部6aが前方溝24のエンボス線とほぼ重なる位置のことである。Y字状溝23の前方溝24、24は吸収体4の変形時に可撓軸として作用するので、この吸収体4の変形を妨げないように、吸収体中高部6の後端部6aは前方溝24、24より前側に形成することが好ましい。ここで、後端部6aの傾斜角は、Y字状溝23の前方溝24、24の傾斜角とほぼ同じ角度で形成している。
【0066】
吸収体中高部6をY字状溝23とほぼ重なる位置又はこれより前側に形成することにより、Y字状溝23より前側の領域の剛性(コシ)が増し、この領域にシワを発生させずに会陰部から臀部の谷間にかけてのY字状の身体のラインに沿って吸収体を変形させることができるようになる。従って、吸収体中高部が排血口部から会陰部にかけてフィットするとともに、Y字状溝を可撓軸として変形した吸収体が会陰部から臀部の谷間にかけてフィットするようになる。
【0067】
このとき、吸収体中高部6の両側に形成される股間部エンボス30、30は、脚圧が吸収体4を押し上げて変形する力に変換されやすくなるように、他のエンボスよりエンボス線の線幅を太くすることができる。股間部エンボス30の線幅は、エンボス30の全体的に又は部分的に太くすることができる。線幅を部分的に太くする場合、Y字状溝23によって吸収体を隆起させる効果を生じやすくするため、少なくともY字状溝23と幅方向に重なり代を有する範囲(股間部エンボス30の後端部)の線幅を太くすることが好ましい。
【0068】
また、図7に示される形態では、後方部エンボス31の後側に後方中高部6cが形成されている。この後方中高部6cは、臀部の谷間の終わり部分にフィットして体液の後漏れを防止するためのものである。
【0069】
吸収体中高部6の他の形態として、図8に示されるように、中高部上面6bに向けて幅寸法及び長手寸法が漸次縮小するとともに、中高部上面6bの後端部6aが幅方向中央部に向けて漸次幅狭に形成され、該中高部上面6bの後端部6aがY字状溝23の前方溝24、24とほぼ重なる位置又はこれより前側に形成されるようにしてもよい。すなわち、本形態では、吸収体中高部6の側面が傾斜面状に形成されている。なお、図示例では、中高部上面6bに向けて幅寸法及び長手寸法が漸次縮小するようにしているが、幅寸法又は長手寸法のいずれかが漸次縮小するように形成し、他方は垂直に形成してもよい。
【0070】
このように中高部側面を傾斜面状に形成した場合、中高部上面6bをY字状溝23より前側に位置させてあれば、傾斜面状の中高部側面がY字状溝23の後側に延在していても、Y字状溝23より前側にコシを持たせることができ、これにより会陰部から臀部の谷間にかけてのY字状の身体のラインに良好にフィットさせることができるようになる。なお、図8に示される形態では、後方中高部6cも同様に、中高部側面が傾斜面状に形成されている。
【符号の説明】
【0071】
1…生理用ナプキン、2…不透液性バックシート、3…透液性トップシート、4…吸収体、5…被包シート、6…吸収体中高部、7…サイド不織布、20…凹状溝、21…周辺エンボス、22…吸収体欠損部、23…Y字状溝、24…前方溝、25…後方溝、26…線状エンボス、27…前端周辺エンボス、30…股間部エンボス、31…後方部エンボス、32…中間エンボス、C…交点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性表面シートと不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在された吸収性物品において、
前記吸収体の非肌当接面側に、排血口部より後方の幅方向中央部の交点から斜め前方の両側に向けて形成された左右一対の前方溝と、前記交点から前記吸収性物品の長手方向に沿う後方に向けて形成された後方溝とから成るY字状溝が形成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収性物品の幅方向中央部の少なくとも前記排血口部を含む股間部に、前記吸収性物品の長手方向に延びるとともに、肌当接面側に隆起する吸収体中高部を有し、前記吸収体中高部及び/又はその近傍に対応する吸収体の非肌当接面側に前記Y字状溝が形成されている請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記Y字状溝の両側にはそれぞれ、吸収体の肌当接面側に前記吸収性物品の略長手方向に沿って左右一対の股間部エンボスが形成されるとともに、前記股間部エンボスの後端部が、前記Y字状溝と幅方向に重なり代を有する範囲において、前記前方溝の前端と後方溝の後端とを結ぶ仮想線とほぼ平行するように形成されている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記股間部エンボスの後方には、前記仮想線と直交する方向に一部重なり代を有する左右一対の中間エンボスが形成されている請求項3記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記Y字状溝の前方溝同士の成す角度は、70°以上、180°未満としてある請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記Y字状溝より後方の吸収体の非肌当接面側に前記吸収性物品の幅方向中央部を長手方向に沿って断続的な凹状溝が形成されるとともに、前記凹状溝の周辺に位置する吸収体に前記吸収性物品の長手方向に間隔を空けて横長の周辺エンボスが複数形成され、且つ前記Y字状溝と凹状溝との間及び凹状溝間に吸収体欠損部が形成されている請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収体中高部は、後端部が幅方向中央部に向けて漸次幅狭に形成され、該吸収体中高部の後端部が前記Y字状溝の前方溝とほぼ重なる位置又はこれより前側に形成されている請求項2〜6いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収体中高部は、中高部上面に向けて幅寸法及び/又は長手寸法が漸次縮小するとともに、前記中高部上面の後端部が幅方向中央部に向けて漸次幅狭に形成され、該中高部上面の後端部が前記Y字状溝の前方溝とほぼ重なる位置又はこれより前側に形成されている請求項2〜6いずれかに記載の吸収性物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−71102(P2012−71102A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119886(P2011−119886)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】