説明

吸収性物品

【課題】肌当接面に硬い部分が生じて違和感や不快感を生じさせることを防止しつつ、使用時における表面シートの両側縁部に浮きやめくれが生じることを防止することができる吸収性物品を提供すること。
【解決手段】本発明の吸収性物品1は、表面シート2、裏面シート3及び吸収体4を具備する縦長の本体部5、及びその両側縁から延出するウイング部6,6を有する。ウイング部6は、表面シート2及び裏面シート3とは別体のウイング部形成材62から形成され、ウイング部形成材62は、本体部5側に位置する一側縁側が表面シート2と裏面シート3との間に固定され、他側縁側が表面シート2及び裏面シート3の側縁21,31より外方に延出している。表面シート2とウイング部形成材62とを融着させる加工が施された融着加工部8が、本体部5の長手方向に沿って連続して形成されており、該加工部8が部分的に表面シートの側縁21の位置より外方に延出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド、陰唇間パッド等の吸収性物品に関し、特にウイング部を有する女性用吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ウイング部を有する吸収性物品は、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備する本体部及び該本体部の両側縁から延出する一対のウイング部を有しており、その使用時には、一対のウイング部を、裏面シート側に折り曲げ、折り曲げたウイング部を、ショーツのクロッチ部の非肌対向面等に粘着剤等で固定して使用する。
また、ウイング部に用いるシート材の使用量を低減する観点等から、ウイング部を有する吸収性物品の製造方法として、表面シートや裏面シート等の原反とは異なる原反から、ウイング片を形成し、そのウイング片を、本体部における表面シートや裏面シートとの間に挟んで、本体部の両側部に固定する方法が提案されている(特許文献1,2参照)。
【0003】
ウイング片を本体部に固定してウイング部を形成する場合、吸収性物品の使用時に、ウイング部を引っ張ってもウイング片が本体部から取れたりしないように、ウイング片を本体部の構成材料に強固に接合することが望まれる。
ウイング片を強固に固定するには、表面シートとウイング片との間を、熱や超音波により本体部の長手方向に亘って広い幅で融着させることが考えられる。
しかし、その場合には、ウイング部と本体部との境界付近に硬い部分が生じて、吸収性物品の着用時に、違和感や不快感を与え易い。
他方、吸収性物品の長手方向側方(側縁)におけるウイング部を有する部分において、表面シートとウイング片との間を接合しない場合には、ウイング片の接合が弱く脱落が懸念される他、吸収性物品が長手方向に湾曲したときなどにその部分の表面シートの両側縁部に、浮きやめくれが生じて、外観が悪化したり、漏れに対する不安感を与えたりする。
【0004】
特許文献1には、ウイング部形成材と表面シートとの間を、本体部の幅方向に延び且つ該本体部の長手方向に間隔を設けて設けた複数の溶着接合部により接合することが記載されている。
しかし、特許文献1における溶着接合部は、本体部の長手方向に間欠的に形成されているため、吸収性物品の本体側縁に形成すると下着に折り返す位置と重なり、使用時の動きによって局部的に加わる変形によって接合が外れることが懸念され、また使用時に易変形部分と難変形部分が形成されて違和感となり易いことから、折返し位置から離れた領域に、具体的には折り返されるウイング領域内に形成されている。結果、ウイング領域に形成された溶着接合部による凹凸によって、裏面側の粘着剤が下着側に残り易くなる。また、表面材からウイング材への液にじみを防止できる位置に形成されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3748015号公報
【特許文献2】特許第4230480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備する縦長の本体部、及び該本体部の両側縁から延出する一対のウイング部を有する吸収性物品であって、前記ウイング部は、前記表面シート及び前記裏面シートとは別体のウイング部形成材から形成されており、前記ウイング部形成材は、前記本体部側に位置する一側縁側が前記表面シートと前記裏面シートとの間に固定され、他側縁側が該表面シート及び該裏面シートそれぞれの側縁より外方に延出しており、前記表面シートと前記ウイング部形成材とを融着させる加工が施された融着加工部が、前記本体部の長手方向に沿って連続して形成されており、該融着加工部が、部分的に、前記表面シートの側縁の位置より外方に延出している、吸収性物品を提供するものである(以下、第1発明というときは、この発明をいう)。
【0008】
本発明は、表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備する縦長の本体部、及び該本体部の両側縁から延出する一対のウイング部を有する吸収性物品であって、前記ウイング部は、前記表面シート及び前記裏面シートとは別体のウイング部形成材から形成されており、前記ウイング部形成材は、前記本体部側に位置する一側縁側が前記表面シートと前記裏面シートとの間に固定され、他側縁側が該表面シート及び該裏面シートそれぞれの側縁より外方に延出しており、前記本体部の長手方向におけるウイング部を有する領域の本体部幅方向において、前記表面シートの側縁が、該本体部の左右同じ側の前記裏面シートの側縁よりも内方に位置しており、前記表面シートと前記ウイング部形成材とを融着させる加工が施された融着加工部が、前記表面シートの側縁を跨いで幅方向内方及び外方に交互に蛇行しながら、前記本体部の長手方向に延びている、吸収性物品を提供するものである(以下、第2発明というときは、この発明をいう)。
【発明の効果】
【0009】
本発明(第1,第2発明)によれば、肌当接面に硬い部分が生じて違和感や不快感を生じさせることを防止しつつ、使用時における表面シートの両側縁部に浮きやめくれが生じることを防止することができる。
また、第1発明によれば、ウイング折返し後の使用時において、ウイングに加わる局所的な力(変形)に対して(大きな変形をおこさないよう連続した接合部によって変形の強弱を制御する事で)変形を抑えて違和感を抑制し、接合部分の剥がれも起こりにくい。一方で、長手方向の湾曲変形に対する可撓性に優れ、連続接合による表面シートからウイング部材への液にじみを防止できる。
また、第2発明によれば、表面シートの端部が接合部間で起立して肌触りが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態である生理用ナプキンを表面シート側から見た平面図である。
【図2】図2は、図1のII−II線断面図である。
【図3】図3は、第1実施形態における表面シートとウイング部形成材との接合態様を示すウイング部の模式拡大平面図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施形態である生理用ナプキンを表面シート側から見た平面図である。
【図5】図5は、第2実施形態における表面シートとウイング部形成材との接合態様を示すウイング部の模式拡大平面図(図3相当図)である。
【図6】図6は、本発明の第3実施形態である生理用ナプキンを表面シート側から見た平面図である。
【図7】図7は、第3実施形態における表面シートとウイング部形成材との接合態様を示すウイング部の模式拡大平面図(図3相当図)である。
【図8】図8は、本発明の更に他の実施形態を示す模式図である。
【図9】図9は、本発明の更に他の実施形態を示す模式図である。拡大平面図である。
【図10】図10は、本発明の更に他の実施形態を示す模式図(図3相当図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の第1実施形態(第1発明の一実施形態)である生理用ナプキン1(以下、ナプキン1ともいう)は、図1及び図2に示すように、縦長の本体部5及び該本体部5の両側縁から延出する一対のウイング部6,6を有する。
本体部5は、図1中X方向に長い形状を有し、その裏面には、該本体部5を、ショーツのクロッチ部の肌対向面(着用者の肌側に向けられる面)に固定するための本体粘着部(図示せず)が形成されており、ウイング部6の裏面には、各ウイング部6を、ショーツのクロッチ部の非肌対向面(着用者の肌側とは反対側に向けられる面)に固定するためのウイング部粘着部61が形成されている。クロッチ部の非肌対向面には、上層及び下層を有する二重構造のクロッチ部の下層側の面も含まれる。
【0012】
本体部5は、図1に示すように、左右両側方にウイング部6,6を有する中央部A、ナプキン1の着用時に中央部Aより着用者の腹側に配される前方部B、及びナプキン1の着用時に中央部Aよりも着用者の背中側に配される後方部Cを有している。ナプキン1の着用時には、通常、本体部5の中央部Aが、着用者の液排出部(膣口等)に対向配置される。
【0013】
本体部5は、図2に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性又は撥水性の裏面シート3及びこれら両シート間に配された液保持性の吸収体4を具備する。
表面シート2、裏面シート3及び吸収体4は、何れも、本体部5の長手方向(X方向)に長い縦長の形状を有している。
【0014】
表面シート2は、本体部5の前方部B及び後方部Cにおいては、本体部5の輪郭と一致する輪郭を有しており、本体部5の中央部Aにおいては、前方部B及び後方部Cにおける本体部5の両側縁の位置から該本体部5の幅方向(Y方向)外方に延出し、その一部が、ウイング部6,6内に入り込んでいる。ウイング部6内に入り込んだ表面シート2の側縁21は、図1及び図3に示すように、本体部5の長手方向(X方向)に沿って延びている。
【0015】
中央部Aにおける表面シート2の両側縁21,21は、本体部5の幅方向(Y方向)における位置が、前方部B及び後方部Cにおける表面シート2の両側縁の位置と同位置であっても良いが、図1〜図3に示すように、中央部Aにおける表面シート2の両側縁21,21は、前方部B及び後方部Cにおける表面シート2の両側縁の位置により本体部5の幅方向(Y方向)の外方に位置していることが肌触りの点等から好ましく、ウイング部6の突出方向にけるウイング部粘着部61よりもウイング部基端側(本体部の幅方向中央側)に位置していることが、より好ましい。
【0016】
裏面シート3も、本体部5の前方部B及び後方部Cにおいては、本体部5の輪郭と一致する輪郭を有しており、本体部5の中央部Aにおいては、前方部B及び後方部Cにおける本体部5の両側縁の位置から該本体部5の幅方向(Y方向)外方に延出し、その一部が、ウイング部6,6内に入り込んでいる。ウイング部6内に入り込んだ裏面シート3の側縁31は、図1及び図3に示すように、本体部5の長手方向(X方向)に沿って延びている。
【0017】
中央部Aにおいて、裏面シート3の両側縁31,31は、本体部5の幅方向(Y方向)における位置が、表面シート2の両側縁21,21の位置より内方側(本体部5の幅方向中央側)であっても良いし、表面シート2の両側縁21,21の位置と同位置にあっても良いが図1〜図3に示すように、表面シート2の両側縁21,21それぞれより外方に位置していることが、裏面シートの折り返しによる使用時の形状形成が容易となり防漏性の向上の点から好ましい。裏面シート3の両側縁31,31も、本体部5の幅方向(Y方向)において、ウイング部6の突出方向におけるウイング部粘着部61よりもウイング部基端側(本体部の幅方向中央側)に位置していることが、より好ましい。
【0018】
ナプキン1における一対のウイング部6は、図2に示すように、表面シート2及び裏面シート3とは別体の一対のウイング部形成材62を、それぞれ、本体部5側に位置する一側縁63側が、表面シート2と裏面シート3との間に固定され、他側縁64側が、表面シート2の側縁21及び裏面シート3の側縁31のそれぞれより外方(X方向の外方)に延出するように固定して形成されている。
より詳細に説明すると、ウイング部形成材62は、図1に示すように、本体部5の幅方向中央側に配される内側縁63が、本体部5の長手方向(X方向)に沿って延びる直線状をなしており、本体部5の幅方向外方側に配される外側縁64が、ナプキン1の輪郭に一致する形状を有している。
【0019】
そして、そのウイング部形成材62は、図2に示すように、本体部5側に位置する内側縁63側の所定幅の部分が、表面シート2の両側部に、該表面シート2を上側にして積層されており、その積層部分において、表面シート2とウイング部形成材62とが融着されて融着部81が形成されている。
この融着部81は、ナプキン1の製造時に、表面シート2の帯状原反とウイング部形成材62とを、両者の積層部分と、表面シート2の帯状原反の一側縁から延出するウイング部形成材62のみからなる部分とが生じるように積層し、両者の積層部分とウイング部形成材62のみからなる部分との両者に跨るように、ヒートシール又は超音波シール(融着加工)を施すことにより形成されている。
【0020】
この融着加工は、表面シート2及び/又はウイング部形成材62に含まれる合成樹脂を溶融固化させて、両者が融着した融着部81を形成させる加工であると同時に、ウイング部形成材62における表面シート2が積層されていない部分に施されて、該ウイング部形成材62に、凹部、圧密化部を形成するものである。以下、融着加工が、ウイング部形成材62における表面シート2が積層されていない部分に施されて生じた、凹部、圧密化部等を、便宜上、ウイングシール部82という。
本発明における融着加工部は、表面シート2とウイング部形成材62とが重なっている部分には、両者が融着した融着部81を形成し、ウイング部形成材62の表面シート2と重なっていない部分には、ウイングシール部82を形成するものである。
ウイング部形成材62としては、後述するように、単層若しくは多層の不織布、又は不織布と樹脂フィルムとの積層体等を好ましく用いることができるが、これらを用いた場合のウイングシール部82の好ましい例としては、融着加工による加圧及び加熱により、不織布の構成繊維どうしが融着した部分、融着加工による加圧及び加熱により、不織布の密度が他の部分より高密度化した部分、融着加工による加圧及び加熱により、不織布の厚みが他の部分より減少した部分等が挙げられる。これらは、これらの2以上が複合的に生じている部分であっても良い。
【0021】
第1実施形態におけるナプキン1は、この融着加工が施された融着加工部8が、図1及び図3に示すように、蛇行しながら本体部5の長手方向(X方向)に沿って延びるパターンで形成されている。
より詳細には、融着加工部8は、図3に示すように、本体部5の幅方向中央側の一側縁8aが連続して表面シートの側縁21の位置P21より内方(図中N側)に位置しており、且つ他側縁8bが連続して表面シート2の側縁21の位置P21より外方(図中G側)に位置するように形成されている。
【0022】
これにより、図3に示すように、表面シートの側縁21の位置P21より内方(図中N側)に、ウイング部形成材62と表面シート2とが融着された融着部81が、本体部5の長手方向(X方向)に沿って連続して形成されていると共に、表面シートの側縁21の位置P21より外方(図中G側)に、ウイングシール部82が、本体部5の長手方向(X方向)に沿って連続して形成されている。図3中、P21は、表面シートの側縁21の位置を示す直線であり、図3に示す融着加工部8のうち、直線P21よりN側が融着部81、直線P21よりG側がウイングシール部82である。
本ナプキン1における融着加工部8は、図1に示すように、ナプキン1のウイング部6の基端の近傍に形成されており、また、該ウイング部6のX方向の前端縁65と後端縁66との間に亘っている。
【0023】
第1実施形態のナプキン1によれば、融着加工部8が、蛇行しながら本体部5の長手方向に沿って延びており、表面シート2とウイング部形成材62とが融着された融着部81が、本体部5の長手方向に沿って連続して形成されているため、ウイング部6の折返し時に加わるナプキン1の幅方向の引張力、下着に固定された後の様々な方向への力(主としてせん断力)等であっても、表面シート2の側縁部に浮きやめくれが生じにくい。そのため、表面シート2の側縁部に浮きやめくれが生じた場合の、ナプキン1の外観が悪化や、使用者に、漏れに対する不安感を与えたりすることを防止することができる。
【0024】
しかも、その融着加工部8が、部分的に表面シート2の側縁の位置P21より外方に延出して前記のウイングシール部82を形成しているため、表面シート2の端部の接合が高められながらも長手方向への湾曲可撓性が良好となり、ナプキン1のフィット性が向上する。また、下着のクロッチ部での折り返しに関しても、クロッチ部の曲線形状に融着部81が跨った場合でも、ウイングシール部82の凹形状によって緩やかに折り返される(折り線が形成されにくくループ形状を取り易い)ため、さらには、ウイング側方端側ほど折返しによるループ状の曲がりが大きい(先端側ほど曲率半径が小さい)ことで、表面シート2の側縁部の浮きやめくれが抑制され、ウイング粘着剤の下着への固定性やショーツの装着感も向上する。
【0025】
また、第1実施形態においては、表面シート2の側縁の位置P21より外方に形成されたウイングシール部82も、本体部5の長手方向に沿って連続して延びる部分を有するため、 前述したループ状の折返しが安定して形成されやすく、装着感が向上する。
【0026】
第1実施形態のナプキン1において、融着加工部8は、固定強度確保の観点から、その全幅W8(図3参照)が、3〜30mm、特に5〜15mmであることが好ましい。また、蛇行のピッチP8(図3参照)は、前記全幅W8より大きくても良いし、小さくても良いし、等しくても良い。蛇行のピッチP8と前記全幅W8の比(P8/W8)は、例えば、0.1〜60とすることができ、1〜25とすることが好ましい。
また、融着加工部8の融着部81側の側縁8aの蛇行幅L8a(図3参照)は、融着加工部8の全幅W8の5〜95%、特に20〜80%であることが好ましく、融着加工部8のウイングシール部82側の側縁8bの蛇行幅L8b(図3参照)は、融着加工部8の全幅W8の5〜95%、特に20〜80%であることが好ましい。
【0027】
また、蛇行しながら本体部の長手方向に沿って延びている融着加工部8は、表面シート2の側縁21より内方に形成された部分(融着部)81の面積が、該側縁21より外方に形成された部分(ウイングシール部)82の面積より大きい。すなわち、内方に形成された融着部81の融着部面積は、外方に形成された融着加工部(ウイングシール部)82の面積に比べて大きい。そのため、ウイング材と表面シートが重なった領域の押圧が制御されやすく安定した強度を有するようにできるとともに、外方領域による押えすぎを防止することができる。ウイング接着部における浮き、破れ等を防止することができる。このような観点から、前記融着部81の面積は、融着加工部8の全面積(融着部81とウイングシール部82の合計面積)の60〜90%、特に70〜85%であることが好ましい。
【0028】
また、蛇行しながら本体部の長手方向に沿って延びている融着加工部8は、表面シート2の側縁21より内方に形成された部分(融着部)81の幅W81(図3参照)が、該側縁21より外方に形成された部分(ウイングシール部)82の幅W82(図3参照)より大きいことも好ましい。但し、前記幅W81を、前記幅W82と同一、あるいは該幅W82より小さくすることもできる。
【0029】
本実施形態のナプキン1における融着加工部8の領域におけるウイング部形成材62は、図2に示すように、裏面シート3に対して、スロットスプレー法やスパイラル法によるホットメルト型接着剤により接合(図示せず)されている。また、ウイング部形成材62の長手方向端部側では、周縁シール部11によって接合(融着)されている。
【0030】
一方、融着加工部8の領域より側方縁側においては、使用時に折り返され下着とウイング部形成材62とに挟みこまれるため、固定がなされていなくても良いが、個装形態時から下着への装着時の操作性の観点から、前述した塗工方法によるホットメルト型粘着剤やドット状のヒートシール法等によってウイング部形成材62と裏面シートが固定(接合)されていることが好ましい。
【0031】
また、本ナプキン1においては、図2に示すように、吸収体4の両側縁41それぞれの外方に、ウイング部形成材62と裏面シート3とがホットメルト型接着剤71を介して連続的に接合された帯状接合部7が、該本体部5の長手方向(X方向)に延びて形成されている。
即ち、ホットメルト型接着剤71は、本体部5の長手方向に沿って連続的に配されており、このホットメルト型接着剤71による、ウイング部形成材62と裏面シート3との接合により、本体部5の両側部に、それぞれ本体部5の長手方向に沿って延びる一対の帯状接合部7,7が形成されている。
本ナプキン1における帯状接合部7は、本体部5、より詳細には、ウイング部6をショーツに固定する際の折り曲げ線Pの位置より内方側に形成されていることが好ましい。また、帯状接合部7は、ウイング部6、特に折り曲げ線Pの位置より外方に延出していないことが好ましい。
【0032】
このホットメルト型接着剤71を用いた帯状接合部7の存在により、吸収体4に吸収された液(経血等)が、ウイング部形成材62と裏面シート3との間又はウイング部形成材を伝わって滲み出すことが効果的に防止され、それにより、漏れ出した液による下着や肌の汚染を防止することができる。
また、表面シート2をウイング部形成材62と接合した後に、吸収体4の側縁41の近傍において、該ウイング部形成材62を裏面シート3にヒートシールにより接合した場合には、該裏面シート3に破れが生じ易くなる欠点があるが、ホットメルト型接着剤71により接合することにより、そのような場合にも、裏面シート3の破れを防止することができる。
【0033】
なお、本体部5の中央部Aにおいて、帯状接合部7(ホットメルト型接着剤71)と吸収体4の側縁41との間の距離L1は、良好な接合強度(剥離強度)とウイング部の操作性(可撓性)の観点から、7mm以下であることが好ましく、より好ましくは良好な液の防漏性の観点を加えて1〜6mm、更に好ましくは2〜5mmである。
【0034】
各材料間の隙間消失による液の滲み出し防止の観点から、帯状接合部7を形成するホットメルト型接着剤71の幅W(図2参照)は、1mm以上であることが好ましく、より好ましくは2mm以上、更に好ましくは4mm以上である。他方、良好なウイング操作性(可撓性)の観点から、ホットメルト型接着剤71の前記幅Wは、7mm以下であることが好ましく、より好ましくは5mm以下である。
【0035】
また、接合の安定による液の滲み出し防止の観点から、帯状接合部7を形成するホットメルト型接着剤71の塗工坪量は、15g/m2であることが好ましく、より好ましくは20g/m2以上、更に好ましくは25g/m2以上である。他方、剛性や隆起による違和感の抑制の観点から、ホットメルト型接着剤71の塗工坪量は、50g/m2以下であることが好ましく、より好ましくは35g/m2以下である。
【0036】
また、液の滲み出し防止の観点から、帯状接合部7は、図1に示すように、本体部5の長手方向において、ウイング部6の全長(X方向の全長)に亘っていることが好ましい。帯状接合部7は、ウイング部6の長さを超えて、前方部Bから後方部Cに亘っていることがより好ましい。帯状接合部7の全長L7は、例えば、ウイング部6の長さL6の90〜150%とすることができ、より好ましくは、ウイング部6の長さL6の95〜120%である。
【0037】
また、本実施形態のナプキン1は、図1に示すように、その周縁部に、裏面シート3と、ウイング部形成材62及び/又は表面シート2との間が、熱エンボス加工によって接合された周縁シール部11を有している。
そして、図1に示すように、前述した融着加工部8、融着部81及びウイングシール部82は、何れもX方向の両端が、周縁シール部11に達している。
【0038】
また、本ナプキン1においては、図1に示すように、本体部5の中央部Aに、表面シート2と吸収体4とを熱エンボス加工により一体的に圧縮して形成された防漏溝9が形成されている。
【0039】
次に、本発明の第2実施形態(第1発明の一実施形態)である生理用ナプキン1A(以下、ナプキン1Aともいう)について、図4及び図5を参照して説明する。
第2実施形態のナプキン1Aについては、第1実施形態のナプキン1との相違点について主として説明し、同様の点については説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態について上述した説明が適宜適用される。図4及び図5には、第1実施形態のナプキンの構成要素等と同様の構成要素等に同一の符号を付してある。
【0040】
第2実施形態におけるナプキン1Aにおいても、第1実施形態のナプキン1と同様に、融着加工が施された融着加工部8が、蛇行しながら本体部5の長手方向(X方向)に沿って延びるパターンで形成されている。
しかし、第2実施形態のナプキン1Aの融着加工部8は、表面シート2の側縁21の位置P21との関係における融着加工部8の形成位置が第1実施形態のナプキン1と相違する。
即ち、第2実施形態のナプキン1Aにおける融着加工部8は、図5に示すように、本体部5の幅方向中央側の一側縁8aが連続して表面シートの側縁21の位置P21より内方(図中N側)に位置しているのに対して、他側縁8bは、表面シート2の側縁21の位置P21を挟んでその両側に交互に位置するように蛇行している。
これにより、図5に示すように、表面シートの側縁21の位置P21より内方(図中N側)には、ウイング部形成材62と表面シート2とが融着された融着部81が、本体部5の長手方向(X方向)に沿って連続して形成されていると共に、表面シートの側縁21の位置P21より外方(図中G側)には、ウイングシール部82が、本体部5の長手方向(X方向)に沿って間欠的に生じている。
【0041】
また、第2実施形態のナプキン1Aの融着加工部8は、その全幅8(図5参照)が、第1実施形態の融着加工部よりやや狭く、また、融着部81側の一側縁8aの蛇行幅L8aと他側縁8bの蛇行幅L8bの合計が、融着加工部8の全幅W8以上となっている。
【0042】
第2実施形態のナプキン1Aによれば、融着加工の融着加工部8が、蛇行しながら本体部5の長手方向に沿って延びており、表面シート2とウイング部形成材62とが融着された融着部81が、本体部5の長手方向に沿って連続して形成されているため、第1実施形態のナプキン1と同様に、表面シート2の側縁部に浮きやめくれが生じにくい。そのため、表面シート2の側縁部に浮きやめくれが生じた場合の、ナプキン1Aの外観が悪化や、使用者に、漏れに対する不安感を与えたりすることを防止することができる。
【0043】
しかも、その融着加工部8が、部分的に表面シート2の側縁の位置P21より外方に延出して前記のウイングシール部82を形成しているため、表面シート2の端部の接合が高められながらも長手方向への湾曲可撓性が良好となり、ナプキン1Aのフィット性が向上する。また、ナプキン1と同様に、表面シート2の側縁部の浮きやめくれが抑制され、ウイング粘着剤の下着への固定性やショーツの装着感も向上する。
【0044】
また、第2実施形態においては、表面シート2の側縁の位置P21より外方に形成されたウイングシール部82が、本体部5の長手方向に沿って間欠的に生じているため、実施形態1と同様の効果が奏される。
また、第2実施形態においては、図5に示すように、表面シート2の側縁21に、融着部81によりウイング部形成材62に融着された部分22と、融着部81によりウイング部形成材62に融着されていない部分23とが、本体部5の長手方向に沿って交互に形成されている。そのため、表面シートの端部が接合部間で起立することで、融着加工部8が直接肌に触れる可能性が低減され、使用時における(特にウイング折返し形状での)肌触りが向上する。
表面シート2の側縁21における、融着部81によりウイング部形成材62に融着された部分22のX方向の長さと、融着部81によりウイング部形成材62に融着されていない部分23の同方向(X方向)の長さの比(前者/後者)は、0.5〜5、特に1〜3であることが好ましい。
【0045】
なお、融着部81によりウイング部形成材62に融着されていない部分23は、ホットメルト型接着剤により、ウイング部形成材62に固定されており、個装形態(特にウイング部材が表面シート側に折られた状態における操作性が向上する。ウイング部形成材62への固定は、0.5〜1mm程度の円相当径を有する面積のドット状エンボスで形成されていても良い。
【0046】
次に、本発明の第3実施形態(第2発明の一実施形態)である生理用ナプキン1B(以下、ナプキン1Bともいう)について、図6及び図7を参照して説明する。
第3実施形態のナプキン1Bについては、第1実施形態のナプキン1との相違点について主として説明し、同様の点については説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態について上述した説明が適宜適用される。図6及び図7には、第1実施形態のナプキンの構成要素等と同様の構成要素等に同一の符号を付してある。
【0047】
第3実施形態におけるナプキン1Bにおいても、図6及び図7に示すように、本体部5の長手方向におけるウイング部6,6を有する領域(中央部A)の本体部幅方向(Y方向)において、表面シート2の側縁21が、該本体部の左右同じ側の裏面シート3の側縁31よりも内方(本体部の幅方向中央側、図7中、左方向)に位置している。
【0048】
第3実施形態におけるナプキン1Bにおいても、第1実施形態のナプキン1と同様に、融着加工が施された融着加工部8が、蛇行しながら本体部5の長手方向(X方向)に沿って延びるパターンで形成されている。
しかし、第3実施形態のナプキン1Bの融着加工部8は、表面シート2の側縁21の位置P21との関係における融着加工部8の形成位置が第1実施形態のナプキン1と相違する。
第3実施形態のナプキン1Bにおける融着加工部8は、図7に示すように、本体部5の幅方向中央側の一側縁8a及び他側縁8bの何れもが、表面シート2の側縁21の位置P21を挟んでその両側に交互に位置するように蛇行している。
即ち、第3実施形態における、融着加工の融着加工部8は、該本体部5の幅方向(Y方向)と平行な幅の全体が、表面シート2の側縁21の位置P21より内方に位置する部分81と、該幅の全体が、該表面シートの該側縁21の位置P21より外方に位置する部分82とを、該本体部の長手方向(X方向)に交互に有している。ここでいう、融着加工部8の「幅の全体」は、図7に示す、揺動を考慮した融着加工部8の全幅W8とは異なり、X方向の各部位においてY方向に沿って測定した融着加工部8の幅である。
【0049】
これにより、第3実施形態においては、図7に示すように、表面シートの側縁21の位置P21より内方(図中N側)には、ウイング部形成材62と表面シート2とが融着された融着部81が、本体部5の長手方向(X方向)に沿って間欠的に生じており、また、表面シートの側縁21の位置P21より外方(図中G側)には、ウイングシール部82が、本体部5の長手方向(X方向)に沿って間欠的に生じている。
【0050】
また、第3実施形態のナプキン1Bの融着加工部8は、その全幅8(図7参照)が、第1実施形態の融着加工部と略同じである一方、融着部81側の一側縁8aの蛇行幅L8a及び他側縁8bの蛇行幅L8bは、第1実施形態の融着加工部の対応する蛇行幅より大きなっている。また、第3実施形態のナプキン1Bの融着加工部8は、前記蛇行幅L8a及び前記蛇行幅L8bの合計は、融着加工部8の全幅W8より大きくなっている。
【0051】
第3実施形態のナプキン1Bによれば、ウイング部を有する領域(中央部A)の本体部幅方向(Y方向)において、表面シートの側縁21が裏面シートの側縁31よりも内方に位置しており、しかも、融着加工部8が、表面シートの側縁21を跨いで幅方向内方及び外方に交互に蛇行しながら、本体部5の長手方向に延びているため、ナプキン1A装着時の幅方向への引っ張り力に対して、充分な強度を有しながら、比較的少ない融着加工部となるため、柔軟なウイング部を得やすい。
【0052】
また、融着加工の融着加工部8が、表面シート2の側縁21の近傍に、本体部5の長手方向に沿って所定のピッチで形成されているため、表面シート2の側縁部に、ナプキンの外観が悪化したり、漏れに対する不安感を与えたりするような、浮きやめくれが生じにくい。
【0053】
しかも、その融着加工部8が、部分的に表面シート2の側縁の位置P21より外方に延出して前記のウイングシール部82を形成しているため、表面シート2の端部の接合が高められながらも長手方向への湾曲可撓性が良好となり、ナプキン1Bのフィット性が向上する。また、ナプキン1と同様に、表面シート2の側縁部の浮きやめくれが抑制され、ウイング粘着剤の下着への固定性やショーツの装着感も向上する。
【0054】
また、第3実施形態においては、表面シート2の側縁の位置P21より外方に形成されたウイングシール部82が、本体部5の長手方向に沿って間欠的に生じているため、第1及び第2実施形態と同様の効果が奏される。さらには、表面シート2とウイング部形成材62の境目の強度の向上と表面シートの側縁部から離間することで、滲みを抑制しやすくモレを防止しやすい。
【0055】
また、表面シート2の側縁の位置P21より内方に形成された融着部81が、本体部5の長手方向に沿って間欠的に生じているため、表面シート2の側縁に、融着部81によりウイング部形成材62に融着されていない部分23によるウイング部形成材62からの隆起(離間)が第2実施形態よりおこりやすく、使用時の肌触りが良好である。
【0056】
第3実施形態のナプキン1Bにおいて、表面シート2の側縁21における、融着部81によりウイング部形成材62に融着された部分22のX方向の長さと、融着部81によりウイング部形成材62に融着されていない部分23の同方向(X方向)の長さの比(前者/後者)は、0.1〜1、特に0.3〜0.8であることが好ましい。
【0057】
なお、融着部81によりウイング部形成材62に融着されていない部分23は、実施形態1及び2と同様、ホットメルト型接着剤により、ウイング部形成材62に固定されており、個装形態(特にウイング部材が表面シート側に折られた状態における操作性が向上する。ウイング部形成材62への固定は、0.5〜1mm程度の円相当径を有する面積のドット状エンボスで形成されていても良い。
【0058】
第3実施形態のナプキン1Bにおいて、融着加工部8は、固定強度確保の観点から、その全幅W8(図3参照)が、3〜30mm、特に5〜15mmであることが好ましい。また、蛇行のピッチP8(図3参照)は、前記全幅W8より大きくても良いし、小さくても良いし、等しくても良いが、前記全幅W8以下であることが好ましく、前記全幅W8より小さいことがより好ましい。蛇行のピッチP8と前記全幅8の比(P8/W8)は、例えば、0.1〜0.9とすることが好ましく、0.2〜0.7とすることがより好ましい。
また、融着加工部8の融着部81側の側縁8aの蛇行幅L8a(図3参照)は、融着加工部8の全幅W8の5〜95%、特に30〜80%であることが好ましく、融着加工部8のウイングシール部82側の側縁8bの蛇行幅L8b(図3参照)は、融着加工部8の全幅W8の5〜95%、特に30〜80%であることが好ましい。
【0059】
上述したナプキン1,1A,1Bの製造方法は、当業者が考え得る任意の方法により製造することができるが、例えば、一枚の帯状シートから左右のウイング部形成材62を切り出し、それらのウイング部形成材62を、表面シート2の帯状原反の両側部にそれぞれヒートシール又は超音波シール等により接合した後、その複合シートに吸収体4を乗せ、エンボスロール間に通して防漏溝9を形成した後、その上に、ホットメルト型接着剤71を塗工した裏面シート3の帯状原反を積層し、加圧及び周縁部のシールを行うことで、製造することができる。ホットメルト型接着剤71は、表面シート2の帯状原反側に塗工し、それに、ホットメルト型接着剤71を塗工していない裏面シート3の帯状原反を重ねて接合することもできる。
【0060】
上述したナプキン1,1A,1Bの各部の形成材料について説明する。
表面シート2、裏面シート3、吸収体4としては、生理用ナプキン等の吸収性物品において従来用いられている各種の材料などを特に制限なく用いることができる。
例えば、表面シート2としては、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート3としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体4としては、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したものや、各種公知のポリマーシート等を用いることができる。
【0061】
ウイング部形成材62としては、単層又は多層の不織布や、該不織布と樹脂フィルムとの積層体等を用いることができる。単層の不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、エアスルー不織布等が挙げられ、多層の不織布としては、スパンボンド−メルトブロー複合不織布(SM、SMS)や、エアスルー不織布とスパンボンド不織布の複合シート、エアスルー不織布とスパンボンド−メルトブロー複合不織布の複合シート等が挙げられる。不織布と樹脂フィルムとの積層体における不織布と樹脂フィルムとの間は、溶融樹脂をフィルムに塗工した後固化させて一体化されていても良いし、ホットメルト型接着剤等の接着剤を介して接合されていても良い。
【0062】
帯状接合部7を形成するホットメルト型接着剤71としては、弾性を有するポリマー成分であるスチレンーブタジエン系やスチレンーイソプレン系のもの、また常温(体温相当)で粘着性がほとんど無い低タック性のホットメルト等が挙げられるが、動きにおける追従性の点から、弾性のある樹脂組成を有することが好ましく、それらの中でも、接合の維持の点から、タック性を有する接着剤が好ましい。
【0063】
また、本発明の吸収性物品においては、本体部5における吸収体4と裏面シート3との間も接着剤によって接合することが好ましい。但し、この接着剤は、スパイラルパターン等のパターン塗工や、帯状接合部7を形成するホットメルト型接着剤71よりも低坪量に塗工することが好ましい。
【0064】
本発明は、上述したいくつかの実施形態について制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、蛇行する融着加工部8は、連続波状に蛇行する融着加工部に代えて、図8に示す融着加工部8のように、ジグザグ状に形成されたものや、図9に示す融着加工部8のように、Y方向に延びる横部分とX方向に延びる縦部分とが交互に連なったものであっても良い。
【0065】
また、融着加工部8は、表面シート2の側縁21との関係において、図10に示すような態様で形成されたものであっても良い。図10中、N側が、表面シートの側縁21の位置P21より内方側(本体部側)であり、G側が、表面シートの側縁21の位置P21より外方側(ウイング部の先端部側)である。また、融着加工部の前記位置P21より内方側(N側)が、表面シート2とウイング部形成材62とが融着された融着部81であり、前記位置P21より外方側(G側)が、ウイングシール部82である。すなわち、融着加工部8は櫛型に形成され、該櫛のピン(歯)に相当する部位82Aの先端部が表面シート側縁の外方に形成される。
【0066】
また、ウイング部形成材62は、融着加工部8において、融着により裏面シート3に接合するのに代えて、ウイング部形成材62が、融着部81及び/又はウイングシール部82において、帯状接合部7と同様のホットメルト型接着剤71により裏面シート3と接合されていても良い。
【0067】
また、ウイング部は、粘着部を介してショーツに固定するものに限られず、機械的面ファスナーのオス部材からなる係合部を用いてショーツに固定するものや、粘着部や機械的面ファスナーからなる係合部を介してウイング部同士を連結して固定するもの等であっても良い。また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等であっても良い。
また、表面シート2として、全域が液透過性のものに代えて、液透過性の中央シートの両側それぞれに、撥水性の不織布からなるサイドシートが連結した構成の複合シートを用いることもできる。
【0068】
また、上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
例えば、第1実施形態の説明に記載した変形例や好ましい形態等は、第2実施形態、第3実施形態又は図10に示した実施形態に適用することができる。また、第1〜第3実施形態における融着加工部の形態を、図8や図9に示す形態とすることもでき、その際、融着加工部8の一側縁と他側縁との距離は、図8に示すように、適宜拡縮することができる。
【符号の説明】
【0069】
1,1A,1B 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
21 側縁
3 裏面シート
31 側縁
4 吸収体
5 本体部
6 ウイング部
61 ウイング部粘着部
62 ウイング部形成材
7 帯状接合部
71 ホットメルト型接着剤
8 融着加工部
81 融着部
82 ウイングシール部
A 中央部(左右にウイング部を有する部分)
B 前方部
C 後方部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備する縦長の本体部、及び該本体部の両側縁から延出する一対のウイング部を有する吸収性物品であって、
前記ウイング部は、前記表面シート及び前記裏面シートとは別体のウイング部形成材から形成されており、
前記ウイング部形成材は、前記本体部側に位置する一側縁側が前記表面シートと前記裏面シートとの間に固定され、他側縁側が該表面シート及び該裏面シートそれぞれの側縁より外方に延出しており、
前記表面シートと前記ウイング部形成材とを融着させる加工が施された融着加工部が、前記本体部の長手方向に沿って連続して形成されており、該融着加工部が、部分的に、前記表面シートの側縁の位置より外方に延出している、吸収性物品。
【請求項2】
前記融着加工部は、前記表面シートの側縁を跨いで幅方向内方及び外方に交互に蛇行しながら前記本体部の長手方向に沿って形成されている、請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記表面シートの側縁を跨いで幅方向内方及び外方に交互に蛇行しながら前記本体部の長手方向に沿って形成されている前記融着加工部は、該表面シートの側縁より内方に形成された部分の面積が、該側縁より外方に形成された部分の面積より大きく形成されている、請求項2記載の吸収性物品。
【請求項4】
表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備する縦長の本体部、及び該本体部の両側縁から延出する一対のウイング部を有する吸収性物品であって、
前記ウイング部は、前記表面シート及び前記裏面シートとは別体のウイング部形成材から形成されており、
前記ウイング部形成材は、前記本体部側に位置する一側縁側が前記表面シートと前記裏面シートとの間に固定され、他側縁側が該表面シート及び該裏面シートそれぞれの側縁より外方に延出しており、
前記本体部の長手方向におけるウイング部を有する領域の本体部幅方向において、前記表面シートの側縁が、該本体部の左右同じ側の前記裏面シートの側縁よりも内方に位置しており、
前記表面シートと前記ウイング部形成材とを融着させる加工が施された融着加工部が、前記表面シートの側縁を跨いで幅方向内方及び外方に交互に蛇行しながら、前記本体部の長手方向に延びている、吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収体の両側縁それぞれの外方に、ウイング部形成材と前記裏面シートとがホットメルト型接着剤を介して連続的に接合された帯状接合部が、該本体部の長手方向に延びて形成されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記融着加工部は櫛型に形成され、該櫛のピンに相当する部位が前記表面シート側縁を跨いで外方に延出している、請求項1記載の吸収性物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate