説明

吸収性物品

【課題】立体ギャザーの収縮に伴ってカップ形状を形成しやすく、漏れ防止性に優れた吸収性物品を提供すること。
【解決手段】失禁パッド1は、表面シート2、裏面シート3及び両シート間に介在された吸収体4を具備し、吸収体4は、平面方向に分散した複数の高坪量部Hと、該高坪量部Hの間に配された、高坪量部Hよりも坪量の低い低坪量部Lとを有している。失禁パッド1は、長手方向の両側部に、防水性シート6と該防水性シート6に固定された弾性部材51を含み、着用者側に起立する立体ギャザー5を備えている。立体ギャザー5は、長手方向の両端部50,50に、吸収体4上の表面シート2上に伏せた状態で該表面シート2に固定された固定部Fを有しており、固定部Fは、高坪量部H上に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、失禁パッドや尿取りパッド、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品として、吸収体が、吸収性材料を有する小吸収部(又は吸収性材料が相対的に多い高坪量部)を平面方向に多数分散させてなると共に、立体ギャザーを備えたものが知られている。特許文献1の吸収性物品は、個々に独立した多数の吸収部が、物品平面方向にわたって配置された吸収体を有しており、多数の該吸収部は、表面シートと該吸収体との間に配された中間シートに固定されている。また、特許文献1には、必要に応じ、表面シート上の左右両側部に一対の立体ガードが配置されることが記載されている。また特許文献2のおむつは、液透過性の2層のシート同士が複数の細長円形状の非接合部分を残して部分的に接合された吸収剤ラミネートを有しており、当該非接合部分からなるポケット領域それぞれの内部に、高吸収性材料が配置されている。該おむつは、その長手方向の両側に、一対の収納フラップが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−172363号公報
【特許文献2】特表平09−504206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品は、着用時に、カップ形状(物品縦方向においても横方向においても、中央部が底の凹状となる立体形状)を形成するように変形することが、漏れ防止を図る点で有効である。特許文献1は、吸収体が柔軟な構造となっていると考えられるが、立体ガードが長手方向両端部において表面シートに固定された固定部について何ら記載されておらず、固定部と吸収体との位置関係も不明である。固定部と吸収体の位置関係によっては、立体ギャザーが伸縮しても上記のカップ形状は形成しにくい。
特許文献2においても、吸収剤ラミネートの位置と、収納フラップの固定位置との関係は明らかになっていない。なお、特許文献2においては、吸収剤ラミネートは、親水性繊維からなり二次吸収体の役割を果たす分配層と積層されることが好ましい旨が記載されている。このような積層構造を採用する場合、特許文献2の吸収性構造は、柔軟性を欠くため、収納フラップの弾性部材の収縮に伴い変形しにくく、特許文献2のおむつは、漏れ防止性に欠ける。
【0005】
従って、本発明の課題は、立体ギャザーの収縮に伴ってカップ形状を形成しやすく、漏れ防止性に優れた吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、肌当接面側に配置された表面シート、非肌当接面側に配置された裏面シート、及び両シート間に介在された吸収体を具備する縦長の吸収性物品であって、前記吸収体は、平面方向に分散した複数の高坪量部と、該高坪量部の間に配された、高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを有しており、前記吸収性物品の長手方向の両側部に、防水性シートと該防水性シートに固定された弾性部材とを含み、着用者側に起立する立体ギャザーを備えており、前記立体ギャザーは、その長手方向両端部に、前記吸収体上の前記表面シート上に伏せた状態で固定された固定部を有しており、該固定部は、前記高坪量部上に位置している、吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、立体ギャザーの収縮に伴ってカップ形状を形成しやすく、漏れ防止性に優れた吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である失禁パッドの、伸長状態における肌当接面側(表面シート側)を模式的に示す一部破断平面図である。伸長状態とは、失禁パッドを、各部の弾性部材を伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態を言う。
【図2】図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、図1のII−II線断面を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、図1に示す失禁パッドの伸長状態における平面図であり、高坪量部や固定部等の位置を模式的に示す図である。
【図5】図5は、本発明の変形例であり、図2相当図である。
【図6】図6は、本発明の他の変形例であり、図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施形態である失禁パッド1(以下失禁パッド1ともいう)は、図1及び図2に示すように、肌当接面側に配置された表面シート2、非肌当接面側に配置された裏面シート3、及び両シート2,3間に介在された吸収体4を具備しており、縦長(一方向に長い形状)である。吸収体4は、平面方向に分散した複数の高坪量部Hと、該高坪量部Hの間に配された、高坪量部Hよりも坪量の低い低坪量部Lとを有している。失禁パッド1は、長手方向の両側部に、防水性シート6と該防水性シート6に固定された弾性部材51とを含む立体ギャザー5を備えている。立体ギャザー5は、着用時に着用者側に向かって起立する。図2及び図4に示すように、立体ギャザー5は、長手方向の両端部50,50に、吸収体4上の表面シート2上に伏せた状態で該表面シート2に固定された固定部Fを有しており、固定部Fは、高坪量部H上に位置している。
【0010】
尚、吸収性物品の長手方向(縦方向)は、着用時に着用者の前後方向と一致する方向であり、吸収性物品の幅方向は、該長手方向と略直交する方向である。図中、符号Xで示す方向(X方向)は、吸収性物品(吸収体、吸収性コア、立体ギャザー)の長手方向であり、符号Yで示す方向(Y方向)は、吸収性物品(吸収体、吸収性コア、立体ギャザー)の幅方向である。本実施形態においては、吸収体、吸収性コア、立体ギャザーの長手方向もX方向に一致している。
また、図1,図2及び図4に示す幅方向中央線CLは、X方向に延び且つ失禁パッド1をY方向に二等分(失禁パッド1のX方向長さを二等分)する線である。
また、吸収性物品(吸収体、吸収性コア)の平面方向とは、吸収性物品の長手方向(X方向)及び幅方向(Y方向)からなるXY平面が延在する方向である。また、吸収性物品の厚み方向は、図中Zで示す方向である。また、肌当接面は、吸収性物品における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面は、吸収性物品における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(通常、衣類側)に向けられる面である。
【0011】
図1に示すように、失禁パッド1は、図中X方向に長い略矩形状であり、長手方向の両端縁が円弧状に形成されている。表面シート2は液透過性であり、表面シート2の片面は、失禁パッド1の肌当接面を構成している。裏面シート3は、液不透過性又は液難透過性を有しており、裏面シート3の片面が、衣類側に向けられる失禁パッド1の非肌当接面側の面を構成している。
表面シート2、裏面シート3及び吸収体4は、それぞれ失禁パッド1の長手方向(X方向)と同方向に長い形状を有している。吸収体4は、図2及び図3に示すように、表面シート2及び裏面シート3間に狭持固定されている。表面シート2の長手方向両側部は、吸収体4の非肌対向面側に巻き下げられ、吸収体4と裏面シート3との間において、吸収体4及び/又は裏面シート3と接合されている。
【0012】
吸収体4は、吸収性材料(パルプ等の繊維材料、吸水性ポリマー等)を含む吸収性コア40を含んで構成されている。図2に示すように、本実施形態における吸収体4は、吸収性コア40を、ティッシュペーパーや透水性の不織布からなるコアラップシート44で被覆して構成されている。吸収性コア40は、パルプ繊維等の繊維材料のみから構成されていても良く、該繊維材料間に吸水性ポリマーが保持されていても良い。表面シート2と吸収体4との間、及び吸収体4と裏面シート3との間は、ドット、スパイラル、ストライプ等のパターン塗工された接着剤(ホットメルト接着剤等)により互いに接合されている。例えば、吸収体4の両側部は、表面シート2に接合固定されている。また吸収体4の非肌当接面側は、裏面シート3に接合固定されている。
【0013】
図1及び図2に示すように、吸収体4は、坪量が相対的に高い高坪量部Hと、坪量が相対的に低い低坪量部Lとを有している。本実施形態において、吸収体4の高坪量部Hは、吸収体4において吸収性コア40の吸収性材料の坪量が相対的に高い部分であり、吸収体4の低坪量部Lは、吸収体4において吸収性コア40の吸収性材料の坪量が相対的に低い部分である。また、吸収性コア40において吸収性材料の坪量が相対的に高い部分が、吸収性コア40の高坪量部41であり、吸収性コア40において吸収性材料の坪量が相対的に低い部分が、吸収性コア40の低坪量部42である。
本実施形態の吸収体4における一の高坪量部Hは、吸収性コア40における一の高坪量部41及びコアラップシート44における該一の高坪量部41の上下に位置する部分から構成され、吸収体4における一の低坪量部Lは、吸収性コア40における一の低坪量部42及びコアラップシート44における該一の低坪量部42の上下に位置する部分から構成される。
図1及び図4に示すように、多数の高坪量部Hが吸収体4の平面方向に分散しており、低坪量部Lは高坪量部H間に配されている。
【0014】
以下、本実施形態における吸収体4について、平面視における、高坪量部Hと低坪量部Lの位置関係及びそれぞれの形状を、図1及び図4に基づいて説明する。
吸収体4には、高坪量部Hと低坪量部Lとが所定方向(X方向)に交互に形成されている。より具体的には、図1及び図4に示すように、高坪量部Hがパッド1の長手方向(X方向)に間隔をおいて複数配置された高坪量部列HXが、パッド1の幅方向(Y方向)に間隔を開けて複数列形成されている。
低坪量部Lは、長手方向(X方向)においても、幅方向(Y方向)においても、高坪量部H間に配されており、各高坪量部Hを囲んで高坪量部Hを区画している。
【0015】
図1及び図4に示すように、低坪量部Lは、X方向において高坪量部H間に配された部分LYと、Y方向において高坪量部H間に配された部分LXとを有している。前記部分LXは、その複数がY方向に直列し、それによって、X方向に連続的に延びる直線状部分Luが形成されている。直線状部分Luは、吸収体4のX方向の略全長に亘っている。また、高坪量部列HXは、直線状部分Luにより、吸収体4がパッド幅方向(Y方向)に区画されて形成されている。
本実施形態においては、互いに隣接する高坪量部列HXにおける高坪量部HのX方向位置がずれている。また、互いに隣接する高坪量部列HXにおける前記部分LYのX方向位置もずれている。このように、本実施形態において、多数の高坪量部Hは、吸収体4に千鳥状に配置されている。本実施形態においては、互いに隣接する高坪量部列HXにおいて、高坪量部HのX方向位置が半ピッチ分ずれている。
多数の高坪量部Hは、平面視において略同形の矩形状に形成されている。ただし、多数の高坪量部Hのうち、円弧状をなす失禁パッド1の長手方向両端縁に沿うものは該端縁形状に合わせた形状をしている。
【0016】
なお、吸収体4の高坪量部Hと吸収性コア40の高坪量部41とは、吸収体4の平面視において、同位置に同形状に形成されており、吸収体4の低坪量部Lと吸収性コア40の低坪量部42とは、吸収体4の平面視において、同位置に同形状に形成されている。このため、平面視における高坪量部41と低坪量部42の位置関係及びそれぞれの形状は、上述した高坪量部Hと低坪量部Lの位置関係及びそれぞれの形状と同様である。
【0017】
図2及び図3に示すように、吸収性コア40の低坪量部42は、吸収性コア40における厚み方向(Z方向)の一方に偏在している。より具体的には、低坪量部42は、厚み方向(Z方向)において、吸収性コア40の肌当接面側に偏在している。そして、低坪量部42がこのように吸収性コア40の肌当接面側に偏在していることにより、吸収性コア40の高坪量部41は、肌当接面とは反対側、即ち、吸収性コア40の非肌当接面側に突出している。従って、吸収性コア40の肌当接面側の面は、実質的に凹凸が無く略平坦であるのに対し、非肌当接面側の面は、突出形成された高坪量部41(凸部)と高坪量部41,41間に位置する低坪量部42(非凸部あるいは凹部)とによる凹凸を有している。
【0018】
吸収体4の高坪量部Hの坪量SHと低坪量部Lの坪量SLとの比(SH/SL)は、好ましくは1.2〜65、より好ましくは1.5〜20である。
高坪量部Hの坪量SHは、好ましくは220〜1400g/m、より好ましくは250〜1000g/mであり、低坪量部Lの坪量SLは、好ましくは20〜350g/m、より好ましくは50〜200g/mである。
また、吸収性コア40の高坪量部41の坪量S41と低坪量部42の坪量S42との比(S41/S42)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5 〜30 である。
吸収性コア40の高坪量部41の坪量S41は、好ましくは180〜1200g/m、より好ましくは220〜900g/mであり、低坪量部42の坪量S42は、好ましくは0〜150g/m、より好ましくは30〜90g/mである。
【0019】
吸収性コア40の高坪量部41の厚みT41(図2参照)と低坪量部42の厚みT42(図2参照)との比(T41/T42)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5〜20である。
吸収性コア40の高坪量部41の厚みT41は、好ましくは0.5〜10mm、より好ましくは2〜9mmであり、低坪量部42の厚みT42は、好ましくは0〜2mm、より好ましくは0.5〜1.5mmである。
【0020】
吸収体4の高坪量部Hの、図1及び図3に示すような平面視における大きさは、吸収性物品の種類・用途等に応じて適宜に決定することができるが、図示の失禁パッド1の如き失禁パッドや、尿取りパッド、生理用ナプキン等においては、例えば、長手方向(X方向)の長さLHx(図1参照)が、好ましくは10〜30mm、より好ましくは13〜25mmであり、幅方向Yの長さLHy(図1参照)が、好ましくは5〜20mm、より好ましくは6〜13mmである。
吸収体4の高坪量部Hは、吸収体4に15〜140個、特に15〜100個形成されていることが好ましい。
また、本実施形態のように、高坪量部HがX方向に所定間隔を開けて複数配置された高坪量部列HX(41X)を有する場合、高坪量部列HXは吸収体4に、好ましくは3〜11列、より好ましくは5〜9列形成されている(図示例では7列)。
【0021】
本実施形態における吸収性コア40は、高坪量部41及び低坪量部42が形成されるように吸収性材料を成形して製造されたものであって、高坪量部41及び低坪量部42が、同一の材料から一体的に形成されており、接着剤や熱融着等の接合手段を介さずに一体化されている。このため、本実施形態における高坪量部41と低坪量部42とは、液がスムーズに移動し得る連続性を有している。
【0022】
失禁パッド1は、図1に示すように、その長手方向(X方向)の両側部に、着用者側に起立する一対の立体ギャザー5,5を備えている。図2及び図3に示すように、本実施形態において、立体ギャザー5は、表面シート2で覆われた吸収体4の両側に配されている。具体的には、失禁パッド1の長手方向両側部それぞれには、そのX方向のほぼ全長に亘って、一定の幅を有する立体ギャザー形成用の一対の防水性シート6,6が配されている。図2及び図3に示すように、シート6の一方の側縁部は、表面シート2とともに吸収体4の裏側に配され、表面シート2と共に裏面シート3に接合されて、立体ギャザー5の固定端部53を形成している。立体ギャザー5の自由端部52は、シート6の他方の側縁部からなる。立体ギャザー5(シート6)の自由端部52側は、X方向に沿って幅方向(Y方向)外側に折り返されている。これにより、図2及び図3に示すように、本実施形態において、立体ギャザー5の自由端部52は、失禁パッド1の幅方向中央線CL側から幅方向(Y方向)外側(失禁パッド1の側縁1a側)を向いている。以下では、立体ギャザー5(シート6)の該折り返し位置から自由端部52までの部分を折り返し部55という。
【0023】
立体ギャザー5(シート6)の自由端部52近傍には、1本又は複数本の弾性部材51(図2では2本)がX方向に伸長状態で固定されている。本実施形態において、弾性部材51は、失禁パッド1の長手方向(X方向)の中央領域Aを超えて配されており、立体ギャザー5のほぼX方向全長に亘り設けられている。ここで失禁パッド1の長手方向中央領域Aとは、失禁パッド1をX方向に3分割した場合の中央の領域であり、例えば、失禁パッド1のX方向全長のうち50%を占める領域、或いは当該領域を含み当該領域よりも広い領域である。
【0024】
立体ギャザー5(シート6)は、長手方向(X方向)両端部50,50において、図2に示すように、吸収体4上の表面シート2上に伏せた状態で固定されている。詳述すると、立体ギャザー5(シート6)は、長手方向両端部50,50において、自由端部52側が前述のように幅方向外側に折り返された状態で、吸収体4上の表面シート2上に倒れている。立体ギャザー5(シート6)は、その長手方向両端部50,50において、前述の折り返し部55と、折り返し部55より固定端部53側におけるシート部分56との間が、ホットメルト接着剤等の接着剤9で接合固定されている。更に該シート部分56が、吸収体4上の表面シート2にホットメルト接着剤等の接着剤9で接合固定されている。立体ギャザー5(シート6)のうち、長手方向両端部50において表面シート2に接合固定された部分を固定部Fという。本実施形態においては、固定部Fは、立体ギャザー5(シート6)における前記シート部分56のうちの表面シート2に接合固定された部分である。
【0025】
図2に示すように、立体ギャザー5は固定部Fにおいては、弾性部材51を有する自由端部52側が表面シート2上に固定されているため、立体ギャザー5は起立しない。つまり、立体ギャザー5は、固定部Fが形成された長手方向両端部50,50それぞれにおいては起立していない。一方、立体ギャザー5は、長手方向中央領域A及びその近傍においては、自由端部52側が他のシート材に固定されていない。このため、立体ギャザー5は、長手方向中央領域A及びその近傍においては、図3に示すように、弾性部材51の伸縮力を利用して、着用者側に向かって起立する。図3に示すように、立体ギャザー5(シート6)は、自由端部52側が、Y方向外側に折り返されていることにより、折り返し部55が面状に着用者の肌に当たって肌への刺激を低減できる。
【0026】
本実施形態において、固定部Fは、図4の左下から右上に向かう斜線のハッチングにより示された部分である。なお図4の左上から右下に向かう斜線のハッチングにより示された部分は後述のズレ止め層10の位置を示しており、後述するように本実施形態では、固定部Fはその全体がズレ止め層10と平面方向において重なっていることから、固定部Fは格子状のハッチングにより示されている。
図4に示す例においては、固定部Fの内側縁(Y方向内側の側縁)Fbは、X方向に略平行な直線状であり、固定部Fの長手方向中央領域A側の中央側端縁部FcはY方向に略平行な直線状であるが、図示例の形状に限定されない。例えば、これらは傾斜した直線状でもよいし、波線等の曲線状でもよい。
【0027】
好ましくは、固定部Fの内側縁部Fbと失禁パッド側縁1aとのY方向距離LFyは、失禁パッド1のY方向全幅Lyに対して10〜30%であり、より好ましくは15〜25%である。当該Y方向距離LFyがX方向に沿って一定でない場合(固定部Fの内側縁部FbがX方向に平行な略直線状でない場合)、固定部Fの内側縁部Fbと失禁パッド側縁1aとのY方向最大距離である。
また、固定部Fの中央側端縁部Fcと失禁パッド1の長手方向先端位置1eとのX方向距離LFxは、失禁パッドのX方向全長Lxに対して15〜35%であり、より好ましくは18〜30%である。当該Y方向距離LFxは、Y方向に沿って一定でない場合(固定部Fの中央側端縁部FcがY方向に平行な略直線状でない場合)、固定部Fの中央側端縁部Fcと失禁パッド先端位置1eとのY方向最大距離である。
【0028】
図2及び図4に示すように、固定部Fは、高坪量部H上に位置している。図4に示す例では、平面視において、固定部Fは、その一部が、高坪量部Hと重なっている。固定部Fの全体が高坪量部Hと失禁パッド1と重なっていてもよい。なお、「平面視において」とは、図1及び図4に示すように、失禁パッド1を伸長状態にして平面視した状態を意味する。固定部Fの面積QFのうち、平面視において高坪量部41と重なる部分(高坪量部41の上方に位置する部分)の面積QF4の割合(QF4/QF)は、好ましくは30%以上であり、より好ましくは40%以上である。
図4に示す例では、平面視において、固定部Fは、複数の高坪量部Hと重なっており、複数の高坪量部H上に位置している。しかしながら、固定部Fは、平面視において一の高坪量部Hのみと重なっていてもよい。
【0029】
本実施形態の失禁パッド1は、弾性部材51を備えた立体ギャザー5が、長手方向の両端部50,50において、吸収体4上の表面シート2上に固定された固定部Fを有している。このため立体ギャザー5(弾性部材51)の収縮により、吸収体4の長手方向両端部及び両側部が上方に持ちあがりやすい。更に、吸収体4は、平面方向に多数分散した高坪量部H間に配された低坪量部Lを有しているため、低坪量部Lを起点に折れ曲がりやすい。このため、吸収体4(及び失禁パッド1)は、カップ形状(X方向において中央部が凹となると共に、そのY方向においても中央部が凹となる形状)を形成しやすい。これにより失禁パッド1は、漏れ防止性能に優れたものとなる。更に、本実施形態の失禁パッド1によれば、固定部Fが高坪量部H上に位置しているため、X方向及びY方向において固定部F間に位置する高坪量部Hがしっかりと上方に持ちあがって着用者の肌に近接しやすく、更に漏れ防止性能に優れたものとなる。特に、本実施形態のように凹部形状が吸収性コア40の非肌当接面側に形成されている場合には、肌当接面側に吸収性コア40自体がより折れ曲がりやすくなるので、漏れ防止性能がより優れたものとなる。
【0030】
図4に示すように、本実施形態の吸収体4は、Y方向において、最も外側に位置する高坪量部H’の内側(幅方向中央線CL側)隣に位置する内側高坪量部H”を有しており、固定部Fの内側縁部Fbは、内側高坪量部41”の外側縁部H”aよりも、失禁パッド1の内側(幅方向中央線CL側)に位置している。これにより、吸収体4全体のうち、固定部Fと平面視において重なる部分が拡大するため、立体ギャザー5の弾性部材51の伸縮により、吸収体4の両側部がしっかり上方に持ち上がり、吸収体4(失禁パッド1)が、更にカップ形状を形成しやすい。またY方向において固定部F間に位置する高坪量部Hが、着用者の肌に近接しやすい。このため、失禁パッド1が、更に漏れ防止性能に優れたものとなる。
図4に示すように、本実施形態において、固定部Fは、Y方向において、最も外側の高坪量部H’と、その内側隣の内側高坪量部H”とに跨って形成されている。固定部Fは、Y方向において、内側高坪量部H”よりも更に内側の高坪量部Hに跨って形成されていてもよい。
【0031】
本実施形態のように、高坪量部列HXが、Y方向に所定間隔を置いて複数配置されている場合、Y方向において、固定部Fの内側縁部Fb,Fb同士間に、高坪量部列HXが1列以上形成されていることが、着用者の肌面に沿うカップ形状を形成する観点から好ましい。より好ましくは、Y方向において内側縁部Fb,Fb同士間に配される高坪量部列HXの数は、2〜4列である。ここで、Y方向において、内側縁部Fb同士間に配されている高坪量部列HXとは、その全体が、固定部Fの内側縁部Fb同士間に位置する高坪量部列をいい、図4に示す例では3列である。
【0032】
また、本実施形態のように、固定部Fが、Y方向において最も外側に位置する高坪量部H’X上に位置している場合、好ましくは、立体ギャザー5の長手方向両端部50,50それぞれの固定部Fの中央側端縁部Fc同士の間に、X方向に並んだ高坪量部H’が1個〜2個配されている。
【0033】
また図1、図3及び図4に示すように、失禁パッド1は、長手方向の中央領域Aに、吸収体4を肌当接面側の面が凹んだ圧搾溝7を有している。図1及び図4に示すように、圧搾溝7は、失禁パッド1の幅方向中央線CLの両側に、一本ずつ配されており、それぞれ、失禁パッド1の長手方向に沿って延びている。長手方向に沿って延びているという表現には、圧搾溝7が直線状に延びている場合の他、圧搾溝7が円弧状又は他の形状を有しているが、概ね長手方向に延びている場合も含まれる。また、圧搾溝7においては、表面シート2も共に圧搾溝7内に陥没していることが好ましい。
本実施形態の吸収体4は、多数の高坪量部Hの間に配された低坪量部Lを有して柔軟に形成されているため、通常であれば失禁パッド1のカップ形状は不安定になりやすい。しかしながら本実施形態の失禁パッド1は、吸収体4が、圧搾溝7,7の形成部位において比較的高剛性になる。このため吸収体4は、Y方向において、圧搾溝7,7間が平坦になりやすいと共に、圧搾溝7,7の外側が低坪量部Lを起点に折れ曲がりやすい。これにより、失禁パッド1のカップ形状が安定しやすい。
【0034】
圧搾溝7,7は、熱を伴うか又は伴わないエンボス、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。即ち、失禁パッド1の製造工程において、吸収体4(凹凸構造を有する吸収性コア40)の一面上に表面シート2を供給した後、エンボス加工により所定部位を表面シート2側から吸収体4側に向けて凹状に押し込む(圧搾する)ことにより、該所定部位に圧搾溝7を形成することができる。圧搾溝7においては、表面シート2及び吸収体4が熱融着等により一体化している。圧搾溝7は、平面視において長方形、正方形、菱形、円形、十字等の多数の深窪み部(相対的に深く窪んでいる部分。高エンボス部。)と浅窪み部(相対的に浅く窪んでいる部分。低エンボス部。)とが、交互に連なって全体として連続線を形成していても良く、あるいは多数の窪み部が間欠的に配されて形成されていても良い。
【0035】
図4に示すように、一対の圧搾溝7,7は、幅方向中央線CLに対して対称に形成されていることが、着用者の肌面に合うカップ形状を形成する観点から好ましい。図4に示すように、圧搾溝7は、Y方向において、その全体が、固定部Fの内側縁部Fbよりも幅方向中央線CL側に位置することが、圧搾溝7,7による形状安定化効果をより向上させる点から、好ましい。
【0036】
本実施形態においては、圧搾溝7は、Y方向外側から幅方向中央線CL側に向かって凸となった緩やかな曲線状に形成されている。圧搾溝7の長手方向中央部分は、低坪量部Lに沿ってX方向に延びている。Y方向において、圧搾溝7,7の最も幅方向中央線CLに近い部分7aと、固定部Fの内側縁Fbとの間に、低坪量部LのX方向に延びる直線状部分Luが配されていることが、圧搾溝7,7による形状安定化効果をより向上させつつ装着性に優れる柔軟性を得る観点から好ましい。
図3及び図4に示すように、本実施形態において、圧搾溝7は、その一部がX方向に延びる直線状部分Luの上に重なるように形成されているが、必ずしもその必要はない。例えば圧搾溝7は、X方向に複数並列する高坪量部H及びそれらの間に配された低坪量部LのY方向線状部分LYの上のみに形成されていてもよい。
なお圧搾溝7は、3本以上形成されていてもよい。例えば圧搾溝7,7は失禁パッド1の幅方向中央線CLの両側に2本ずつ形成されていてもよいし、一対の圧搾溝7,7の間における幅方向中央線CL上に、圧搾溝7,7と同様の圧搾溝7を1本形成されていてもよい。
更に、圧搾溝7は、長手方向に関して両側に位置する固定部Fに到達しない(圧搾溝7の長手方向端部が、固定部Fの中央側端縁部FcよりもX方向中央側に位置する)ように設けられることがカップ形状の形成をより容易にする観点から好ましい。加えて、圧搾溝7は立体ギャザー8の自由端部52よりも幅方向内側にのみ位置していることがカップ形状形成容易性の観点から好ましい。
【0037】
また、上述したように、立体ギャザー5は、自由端部52側がY方向外側に折り返されている。そのため、自由端部52に配された弾性部材51が、失禁パッド1の側縁1a近傍に位置することになる。これにより、弾性部材51の伸縮により、吸収体4が変形しやすく、上記のカップ形状がより容易に形成されやすい。なお、立体ギャザー5の弾性部材51は長手方向中央領域Aに配されていれば良く、必ずしも立体ギャザー5の長手方向両端部50,50までX方向に延在している必要はない。しかしながら図2に示すように、弾性部材51が立体ギャザー5の長手方向両端部50,50まで延在している場合、該両端部50,50において、弾性部材51は、少なくとも一本が、最もY方向外側の高坪量部H’よりもY方向外側に位置することが好ましい。
【0038】
また、上述したように、複数の高坪量部列HXにおいて高坪量部Hの位置がずれているため、吸収体4(失禁パッド1)が、深くなだらかな傾斜のカップ形状を形成しやすくなる。高坪量部Hは半ピッチずれていることが好ましいが、3分の1ピッチ又は4分の1ピッチずれていてもよい。
【0039】
失禁パッド1は、着用者の衣類(例えば、ショーツ等の下着等)に固定されて使用され、裏面シート3の衣類側表面(非肌当接面)は、着用時にショーツのクロッチ部等、衣類側に向けられる。失禁パッド1は、該衣類に固定可能な固定手段として、裏面シート3の衣類側表面(非肌当接面)に、粘着剤からなるズレ止め層10を備えている。ズレ止め層10は、ホットメルト粘着剤等の粘着剤を所定箇所に塗布して形成されており、失禁パッド1の使用前においては、フィルム、不織布、紙などからなる図示しない剥離シートによって被覆されている。失禁パッド1は、吸収体4が多数の高坪量部Hの間に配された低坪量部Lを有するために、ズレ止め層10を介して衣類に固定されると、着用者の体の動きに伴い、衣類と一体的に変形しやすい。
【0040】
ズレ止め層10は、図2及び図3において裏面シート3の非肌当接面上の××として示されている。また、ズレ止め層10は、図4において、左上から右下を向く斜線のハッチングにより示されており、その一部が、左下から右上を向く斜線のハッチングで示す固定部Fと平面視において重なっている。仮に、ズレ止め層10が固定部Fと平面視において重なるように形成されていない場合、吸収体4が柔軟に形成されていることもあり、長手方向中央領域Aにおいて、立体ギャザー5の自由端部52側(本実施形態では折り返し部55)が表面シート2側に倒れやすい。この場合、立体ギャザー5が着用者側に向かって起立しなくなったり、吸収体4の吸収面が変形して、失禁パッド1がカップ形状を安定的に形成できなくなるという不具合が起こりやすい。しかしながら、本実施形態の失禁パッド1は、ズレ止め層10が固定部Fと平面視において重なっているため、着用時に固定部Fがしっかり衣類上に固定されて、上記の不具合を防止することができる。
【0041】
図4に示す例では、ズレ止め層10は、平面視においてX方向に延びる略I字状に形成されている。なお、図示例では、ズレ止め層10は一部が固定部Fと平面方向お重なっているが、ズレ止め層10全体が固定部Fと平面視において重なっていてもよい。つまり、ズレ止め層10は、固定部Fと同様に失禁パッド1の4隅のみに形成されていてもよい。図4に示すように、固定部Fは、その全体がズレ止め層10と平面視で重なっていることが好ましい。固定部Fの一部のみがズレ止め層10と平面視において重なっている場合、平面視における固定部Fの面積のうち好ましくは30%以上がズレ止め部10と平面方向に重なっており、より好ましくは40%以上が重なっている。
【0042】
上述したおむつ1の各部の形成材料について説明する。
表面シート2、裏面シート3、吸収体4、及び防水性シート6等としては、失禁パッド等の吸収性物品に従来用いられている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。裏面シート3としては、例えば、透湿性を有しない樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等を用いることができる。防水性シート6としては裏面シート3と同様のものを用いることができる。裏面シート3は、透湿性又は非透湿性の樹脂フィルムの非肌当接面側の面に、液透過性又は液不透過性の不織布等を積層した積層シートであっても良い。
【0043】
弾性部材51の形成素材としては、例えば、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。弾性部材の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、楕円形又は多角形状等の糸状(糸ゴム等)、若しくは紐状(平ゴム等)のもの、又はマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。
【0044】
吸収性コア40の形成材料である吸収性材料としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば繊維材料として、木材パルプ、コットン、麻等の天然繊維;ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂からなる合繊繊維;アセテートやレーヨン等の半合成繊維等を用いることができる。これらの繊維材料は一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、吸収性材料としてこれらの繊維材料に加えて、更に粒子状等の各種形状の吸水性ポリマーを用いることもできる。
【0045】
また、ずれ止め層(ずれ止め部)を形成する粘着剤としては、従来、吸収性物品に使用されている各種のもの等を特に制限なく用いることができるが、主に天然ゴム類似の基本構造を有する合成ゴム系のブロック共重合体を用いることが好ましい。そのようなブロック共重合体としては、例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等が挙げられる。粘着剤は、これらのブロック共重合体から選択される一種又は二種以上のベースポリマーを10〜65重量%、特に30〜50重量%含むことが好ましい。
【0046】
以上、本発明の吸収性物品について好ましい実施形態を説明したが、本発明は上述した各実施形態に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態において、吸収体4の高坪量部Hは、吸収体4において吸収性コア40の吸収性材料の坪量が相対的に高い部分であり、吸収体4の低坪量部Lは、吸収体4において吸収性コア40の吸収性材料の坪量が相対的に低い部分であったが、図5に示すように、吸収性コア40の低坪量部41を、吸収性材料のない部分43に変更しても良い。この場合、吸収体4の高坪量部Hは、吸収性コア40の吸収性材料が存在する小吸収部41Aと、コアラップシート44の該小吸収部41Aの上下に位置する部分とから構成される。また吸収体4の低坪量部Lは、吸収性コア40の吸収性材料のない部分43と、コアラップシート44の該部分43の上下に位置する部分とから構成される。
【0047】
また例えば、前記実施形態においては、吸収性コア40の低坪量部42は、吸収性コア40の厚み方向の肌当接面側に偏在していたが、これとは逆に、図6に示すように非肌当接面側に偏在していても良い。図6に示す失禁パッド1Bにおいては、高坪量部41は、吸収性コア40の肌当接面側に突出し、吸収性コア40全体として、図2及び図3に示すものとは上下が逆になる。また、例えば低坪量部Lは二つの異なる坪量部である第1低坪量部と第2低坪量部から成るように構成されても良い。例えば、X方向に延びる低坪量部よりもY方向に延びる低坪量部の坪量を大きくすることが長手方向及び幅方向にバランスの良いカップ形状を形成し易くなる観点から好ましい。第1低坪量部の坪量は、好ましくは20〜100g/mであり、第2低坪量部の坪量は、好ましくは0〜40g/mである。その時の高坪量部と第1低坪量部の坪量の比は1.2以上であり、第1低坪量部と第2低坪量部の坪量の比は1.2以上であるのが好ましい。
【0048】
また、吸収体4において高坪量部Hは必ずしも千鳥状に配置されていなくてもよい良い。例えば、高坪量部Hと低坪量部Lとは、X方向のみならずY方向においても交互に形成されていてもよい。具体的に言うと、低坪量部Lは、長手方向(X方向)に沿って延びるX方向の直線状部分と、幅方向(Y方向)に沿って延びるY方向の直線状部分とがそれぞれ複数形成され、低坪量部L全体として格子状に形成されていると共に、これら格子状の低坪量部Lで区画された部位が、高坪量部Hとなっていてもよい。その場合、X方向の直線状部分は、それぞれ、吸収体4の長手方向(X方向)の全長に亘って延びて形成されており、Y方向の直線状部分が、それぞれ、吸収体4の幅方向(Y方向)の全長に亘って延びて形成されているようにしてもよい。
【0049】
立体ギャザー5(シート6)は、長手方向両端部50,50において、自由端部52側が幅方向外側に折り返されていない状態、即ち、自由端部52が最も幅方向中央線CL側に位置するように伏せられた状態で、吸収体4上の表面シート2上に固定されていてもよい。
【0050】
また、本発明の吸収性物品は、失禁パッドの他、尿取りパッド、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等であっても良い。
【0051】
また、上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 失禁パッド(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
H,H’ 吸収体の高坪量部
H” 内側高坪量部
H”a 内側高坪量部の外側縁部
HX,H’X 高坪量部列
L,LX,LY,Lu 吸収体の低坪量部
40 吸収性コア
41 吸収性コアの高坪量部
42 吸収性コアの低坪量部
5 立体ギャザー
52 立体ギャザーの自由端部
51 弾性部材
6 防水性シート
7 圧搾溝
10 ズレ止め層
A 長手方向中央領域
CL 幅方向中央線
F 固定部
Fb 固定部の内側縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌当接面側に配置された表面シート、非肌当接面側に配置された裏面シート、及び両シート間に介在された吸収体を具備する縦長の吸収性物品であって、
前記吸収体は、平面方向に分散した複数の高坪量部と、該高坪量部の間に配された、高坪量部よりも坪量の低い低坪量部とを有しており、
前記吸収性物品の長手方向の両側部に、防水性シートと該防水性シートに固定された弾性部材とを含み、着用者側に起立する立体ギャザーを備えており、
前記立体ギャザーは、その長手方向両端部に、前記吸収体上の前記表面シート上に伏せた状態で固定された固定部を有しており、該固定部は、前記高坪量部上に位置している、吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収体は、前記吸収性物品の幅方向において、最も外側に位置する高坪量部の内側隣に位置する内側高坪量部を有しており、前記固定部の内側縁部が、前記内側高坪量部の外側縁部よりも内側に位置している、請求項1記載の吸収性物品
【請求項3】
前記吸収性物品の長手方向の中央領域には、前記吸収体の肌当接面側の面が凹んだ圧搾溝が、前記長手方向に沿って形成されており、該圧搾溝は、少なくとも、前記吸収性物品の幅方向中央線の両側に一本ずつ配されている、請求項1又は2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記立体ギャザーは、前記吸収性物品の長手方向の中央領域では、他のシート材に固定されていない自由端部を有しており、該自由端部側が、該吸収性物品の幅方向外側に向かって折り返されている、請求項1〜3の何れか1項記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記低坪量部が、吸収性物品の長手方向及び幅方向の双方において前記高坪量部間に配されており、
前記低坪量部によって前記幅方向に区画された互いに隣接する複数の高坪量部列を備え、隣接する該高坪量部列同士では、前記高坪量部の前記長手方向の位置がずれている、請求項1〜4の何れか1項記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記裏面シートに、衣類に固定可能な固定手段を備えており、
前記固定手段の少なくとも一部は、前記固定部と、前記吸収性物品を平面視した状態において重なっている、請求項1〜5の何れか1項記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−376(P2013−376A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134821(P2011−134821)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】