説明

吸収性物品

【課題】表面シート、吸収体、及び裏面シートの全てに伸縮性に配慮した材料を用いることなく、伸縮性と吸収性を両立した吸収性物品を提供すること。
【解決手段】本発明の吸収性物品の1例であるナプキン1Aは、表面シート2、伸縮性の裏面シート3、これらシート2,3間に配された液保持性の収縮性の吸収構造体4を備えた伸縮性の物品である。ナプキン1Aは、伸長状態にある裏面シート3と、非収縮状態にある吸収構造体4とが固定されてなる。ナプキン1Aは、非伸長時には、収縮状態にあり、且つ250cN/15mm引張荷重時には、長手方向に20%以上伸長する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等の女性用吸収性物品(以下吸収性物品とも言う)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、生理用ナプキン、パンティライナー等の吸収性物品をショーツ等の下着のクロッチ部に取り付ける際には、装着者は下着を膝上あたりまで引き上げた状態で脚を開いて下着を拡幅伸長させて、下着のクロッチ部に生理用ナプキン等を取り付ける。ショーツ等の下着は、伸縮性に富み、装着者の動きに伴い伸縮できるが、下着に固定された吸収性物品は、一般的に伸縮することができず、装着者の動きによって、下着と吸収性物品との固定が剥がれたり、吸収性物品がクロッチ部からズレたりしてしまう。
【0003】
特許文献1には、伸縮シート間に吸収部材を離散的に配置固定してなる伸縮可能な弾性体がおむつに用いられることが記載されており、特許文献2には、ひずみ可能な網目領域をトップシート及びバックシートに形成し、これらシートの間に粒子状に形成された吸収性コアを配して形成された延伸可能な生理用ナプキンが記載されている。また、特許文献3には、漠然と伸縮性のトップシートと伸縮性のバックシートとの間に伸縮性の吸収材を配置して伸縮可能とした吸収性物品が記載されている。また特許文献4には、伸張性を付与したトップシートとバックシートの間にスライド可能な複数の吸収シートを重ね合わせた構造を配置することにより、伸張可能な吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平5−504699号公報
【特許文献2】特表2006−527102号公報
【特許文献3】特表平10−508225号公報
【特許文献4】特表平11−508470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、いずれの特許文献に記載の技術も、所定の伸縮特性を実現するためには、特別な伸縮性を有するバックシートの他に、特別な伸縮特性を有するトップシートと、特別な伸縮特性を有する吸収シートを組み合わせることが必須となっており、通常好適に用いられるトップシートや吸収部材を用いることができない。なぜなら、トップシートとして安定して体液を透過し、逆戻りさせない機能や、吸収体として安定して体液を収容保持する機能実現には、使用環境や吸液状態によらず材の構造が安定していることが必要であるが、伸縮可能な材料は伸縮時に内部構造も大きく変動するため、必然的に不安定な構造となるためである。
特許文献4では、かかる不都合に対して、吸収体として使用可能なシート材料を重ね合わせ、製品拡張時にはシート材料をスライドさせて対応可能とする工夫が開示されているが、本質的にシート間の摩擦ゆえにスライドが難しい他、吸液によってシート同士が濡れて貼り付く問題もある。更に、この場合でも(バックシートのみならず)トップシートには伸縮可能な特別な工夫が不可欠である。
以上の如く、従来技術においては、伸縮機能をひとつの部材に集約することができず、全ての部材に伸縮を必要とした結果、トップシート・吸収部材選択に著しい制約を受ける問題があった。
【0006】
従って、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、肌対向面側に液透過性の表面シートと、非肌対向面側に伸縮性の裏面シートと、これらシート間に配された液保持性の収縮性の吸収構造体とを備えた縦長の伸縮性の吸収性物品であって、前記吸収性物品は、長手方向に伸長状態にある前記裏面シートと、非収縮状態にある前記吸収構造体とが固定されてなり、非伸長時には、収縮状態にあり、且つ250cN/15mm引張荷重時には、長手方向に20%以上伸長する吸収性物品を提供することにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸収性物品によれば、表面シート、吸収体、及び裏面シートの全てに伸縮性に配慮した材料を用いることなく、伸縮性と吸収性を両立した吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態である伸長状態の生理用ナプキンを表面シート側から見た一部破断平面図である。
【図2】図2は、図1に示す伸長状態の生理用ナプキンを裏面シート側から見た一部破断平面図である。
【図3】図3は、図1のY1−Y1線断面図である。
【図4】図4は、図1に示す生理用ナプキンの有する裏面シートの拡大斜視図である。
【図5】図5は、剥離紙に仮固定された図1に示す生理用ナプキンが、包装シートと共に折り畳まれていく状態を説明する説明図である。
【図6】図6は、剥離紙に仮固定された図1に示す生理用ナプキンが、包装シートと共に折り畳まれた状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態である伸長状態の生理用ナプキンの断面図(図3相当図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明をその好ましい第1実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の吸収性物品の第1実施形態である生理用ナプキン1A(以下、「ナプキン1A」ともいう)は、図1〜図3に示すように、肌対向面側に液透過性の表面シート2と、非肌対向面側に液難透過性又は撥水性で且つ伸縮性の裏面シート3と、これら両シート2,3間に配された液保持性の収縮性の吸収構造体4とを備えた縦長の伸縮性の本体部5を有する。
ナプキン1Aは、図1に示すように、ナプキン1Aの長手方向に延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。
本明細書において、「肌対向面」とは、本体部5などの各部材の表裏両面のうち、装着時に装着者の肌側に配される面であり、「非肌対向面」とは、本体部5などの各部材の表裏両面のうち、装着時に装着者の肌側とは反対側に向けられる面である。
また、本明細書において、「伸縮性」とは、伸びることと縮むことの両方の性能を有すると共に(弾性体など)、復元性を有し、非伸長時の自然長さに復元する性質を有することを意味し、「収縮性」とは、基本的には縮み代を有し、所定の長さまで収縮できる性質を意味する。更にここでの収縮性に於いては、防漏材などの収縮性に依存して他動的に収縮可能であって、単独では自然長さに復元せず、任意の収縮状態を取れる性質をも意味する。また非収縮状態は、収縮性の吸収構造体が収縮する前の状態であり、具体的にはブロック間に間隔がある状態である。
【0011】
本体部5は、図1,図2中のY方向に長い形状を有し、図2に示すように、ナプキン1Aにおいては、裏面シート3の非肌対向面に、該本体部5を、ショーツ等の下着のクロッチ部(不図示)の肌対向面(装着者の肌側に向けられる面)に固定するための本体粘着部6が形成されている。ここで、図中のY方向とは、ナプキン1A又は本体部5の長手方向と同方向であり、中心線CLに平行な方向である。また、図中のX方向とは、ナプキン1A又は本体部5の幅方向と同方向であり、中心線CLに垂直な方向である。
【0012】
本体部5は、図1に示すように、装着者の液排出部(膣口等)に対向配置される領域である排泄部領域A、ナプキン1Aの装着時に排泄部領域Aより装着者の腹側に配される前方領域B、及びナプキン1Aの装着時に排泄部領域Aよりも装着者の背中側に配される後方領域Cを有している。ここで、「排泄部領域A」とは、装着者の排泄部(膣口)に当接する領域をいい、ナプキン1Aのように、所謂ウイング部を有していない場合には、生理用ナプキンが個装形態に折り畳まれた際に生じるY方向に直交する2つの折り線(図5参照)で囲まれた領域を意味し、生理用ナプキンの製品長が長く3つの折線が生じる場合には、Y方向の前端から数えて第1折り線と第2折り線とに囲まれた領域、又はY方向の前端から数えて第1折り線と第3折り線とに囲まれた領域を意味する。尚、所謂ウイング部を有している場合には、「排泄部領域A」とは、ウイング部の位置する領域を意味する。ここで言うウイング部は、装着者のショーツの股下部で折り返して固定する部位を言う。ウイング部の非肌当接面側にはショーツの固定する為の周知のズレ止め材が塗布される。
【0013】
本体部5は、図3に示すように、表面シート2、伸縮性の裏面シート3及びこれら両シート2,3間に配された液保持性の収縮性の吸収構造体4を具備する。表面シート2及び裏面シート3は、何れも、図1に示すように、本体部5の長手方向(Y方向)に長い縦長の形状を有しており、ナプキン1Aにおいては、表面シート2と伸長状態の裏面シート3とが同形同大に形成されている。
ナプキン1Aの本体部5の長手方向(Y方向)の長さL0(図1,図2参照)は、160〜400mmであることが好ましく、ナプキン1Aの本体部5の幅方向(X方向)の長さW0(図1,図2参照)は、45〜100mmであることが好ましい。尚、長手方向(Y方向)の長さとは、本体部5の最も長い位置での長さであり、幅方向(X方向)の長さは、本体部5の最も短い位置での長さである。
【0014】
表面シート2は、図1に示すように、本体部5の排泄部領域A、前方領域B及び後方領域Cそれぞれにおいて、本体部5の輪郭と一致する輪郭を有している。裏面シート3も、伸長状態において、表面シート2と同様に、図1に示すように、本体部5の排泄部領域A、前方領域B及び後方領域Cそれぞれにおいて、本体部5の輪郭と一致する輪郭を有している。
【0015】
ナプキン1Aにおいては、図3に示すように、表面シート2と伸長状態の裏面シート3とが、吸収構造体4の肌対向面及び非肌対向面を被覆しており、図1〜図3に示すように、延出部分が熱エンボス加工によって接合されて、ナプキン1Aの周縁部に周縁シール部7を形成している。
尚、ナプキン1Aにおいては、周縁シール部7が熱エンボス加工により形成されているが、超音波シールにより形成されていてもよく、ホットメルト等の接着剤等により形成されていてもよい。伸長状態のナプキン1Aの収縮抑制の観点からは、ホットメルト接着剤と、図1の如く格子状又は線状の熱エンボスを併用して周縁シール部7が形成されていることが好ましい。
【0016】
表面シート2は、収縮性があれば非伸縮性のものを用いることができ、伸縮性を有するものを用いることもできる。収縮性を有するものを用いる場合には、少なくとも長手方向(Y方向)に伸縮性を有するものであることが好ましい。伸縮性を有するものを用いる場合には、少なくとも長手方向(Y方向)に伸縮性を有するものであることが好ましく、長手方向(Y方向)及び幅方向(X方向)の2方向に伸縮性を有するものであることが更に好ましく、あらゆる方向に伸縮性を有するものであることが特に好ましい。ナプキン1Aにおいては、あらゆる方向に伸縮性を有するシートを用いている。
【0017】
ナプキン1Aの伸縮性の表面シート2としては、熱収縮性繊維を含む第1繊維層と、熱収縮しない繊維又は前記熱収縮性繊維の収縮開始温度では熱収縮しない繊維を含む第2繊維層との積層体が、多数の接合部にて部分的に接合されており、各接合部の間において第1繊維層が収縮して突出し多数の凸部を形成している凹凸シート(図3参照)を用いている。多数の凸部は、前記積層体を部分的に接合した後、第1繊維層を熱風処理して収縮させることにより形成できる。この凹凸シート(表面シート2)においては、図1,3に示すように、第2繊維層が、第1繊維層との接合部以外の部分において突出して凸部21を形成している一方、前記接合部が凹部22を形成しており、ナプキン1Aにおいては、凹凸シート(表面シート2)における第2繊維層側を、装着者の肌に向けて使用している。熱収縮性繊維は、潜在捲縮性繊維が好ましい。このような凹凸シート(表面シート2)としては、特開2002−187228号公報、特開2003−250836号公報、特開2004−166849号公報、特開2004−202890号公報等に記載のものを用いることがでる。
【0018】
本発明の吸収性物品(ナプキン1A)の有する伸縮性の裏面シート3は、少なくとも長手方向(Y方向)に伸縮性を有するものであることが好ましい。即ち、伸縮性の裏面シート3としては、長手方向(Y方向)に伸縮性を有すれば、長手方向(Y方向)及び幅方向(X方向)の2方向に伸縮性を有するものでも、あらゆる方向に伸縮性を有するものでも用いることができ、ナプキン1Aにおいては、長手方向(Y方向)の1方向に伸縮性を有するシートを用いている。ナプキン1Aの裏面シート3としては、図3,図4に示すように、裏面シート3の肌対向面を形成する透湿フィルムシート31と裏面シート3の非肌対向面を形成する不織布シート32との間に、長手方向(Y方向)に延在する弾性部材33が幅方向(X方向)に間欠的に複数本配され固定された複合シートであり、該複合シートの両面それぞれに多数の凹凸パターンが形成されている凹凸シートが用いられている。尚、裏面シートがあらゆる方向に伸縮性を有するシートである場合には、裏面シートとして、液難透過性又は撥水性のオレフィン系エラストマーフィルム、液難透過性又は撥水性のウレタン系エラストマーフィルム、立体エンボス加工した液難透過性又は撥水性のフィルム等を用いることができる。
【0019】
ナプキン1Aの裏面シート3の透湿フィルムシート31としては、例えば、熱可塑性樹脂と、これと相溶性のない無機フィラーを含む樹脂組成物を溶融混練して押し出したフィルムを、所定の倍率に延伸して微細孔を開けた多孔性フィルムが挙げられる。透湿フィルムシート31に十分な透湿性を付与する観点、及び裏面シート3を形成する際の歯溝加工による破れ防止の観点から、フィルムの坪量は、16〜50g/m2であることが好ましく、無機フィラーの配合量は、フィルム全体の重量に対するフィラーの重量%として、25〜65重量%であることが好ましく、透湿発現の為のフィルム延伸倍率は、40%以内であることが好ましく、25〜37%であることがより好ましい。透湿フィルムシート31に含まれる無機フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、タルク、ゼオライト、カーボン、シリカ、ケイ酸塩鉱物等が挙げられる。一方、透湿フィルムシート31を構成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等が用いられる。
【0020】
ナプキン1Aの裏面シート3の不織布シート32としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PETやPBT)、ポリアミド等からなる不織布シートが挙げられる。裏面シート3を形成する際の歯溝加工による破れ防止の観点から、不織布シート32の坪量は、9〜40g/m2であることが好ましい。また、(同様に歯溝加工による)破れ防止、並びにズレ止め材の接着性の観点から、該不織布シート32は延伸性と毛羽立ち防止性に優れた材が好ましく、具体的にはスパンボンド不織布(S)、スパンボンド−メルトブローン複合不織布(SM)、SMS等が好ましく、延伸性の観点から繊維組成の一部にランダムPP又はエチレン-プロピレン共重合体を含むことが更に好ましい。
【0021】
ナプキン1Aの裏面シート3の弾性部材33としては、例えば、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー又はポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、ゴム等の弾性樹脂を原料とする弾性フィラメントが挙げられる。各弾性部材33の太さは、180〜1000dtexであることが好ましく、伸長率が15〜60%であることが好ましい。尚、伸長率は、下記式で求められる。

伸長率(%)={(伸長後の長さ−伸長前の長さ)/伸長前の長さ}×100

また、幅方向(X方向)に隣り合う弾性部材33どうしの間の間隔は、5〜75mmであることが好ましい。
後述する様に、ナプキン1Aが伸張状態から収縮する過程で効果的に収縮抑制がかかるためには、局所的に大きな収縮力がかからず、裏面シートの面全体に、一様に弱い収縮がかかる状態が好ましい。このためには、該弾性部材33が細く、低伸張率で、多数配置された状態が好ましい。具体的には、弾性部材33の太さは、180〜400dtexであることがより好ましく、伸長率が15〜50%であることがより好ましく、3本以上の弾性部材が5〜30mmの間隔で複数本配置され固定された状態であることがより好ましい。
【0022】
ナプキン1Aの伸縮性の裏面シート3は、上述した、肌対向面を形成する透湿フィルムシート31と非肌対向面を形成する不織布シート32との間に、互いに交差せずに一方向(長手方向(Y方向))に延びるように配列した多数の弾性部材33を、実質的に非伸長状態で固定して、複合シートを形成し、この形成された複合シートを、例えば、互いに噛み合う歯溝が回転軸方向に沿うように周面部に設けられた一対のロールの噛み合い部分に供給し、前記複合シートにその流れ方向(長手方向(Y方向))に延伸加工を施し、複合シートの両面それぞれに多数の凹凸パターンを形成して形成される。表現を変えれば、細かな多皺状の凹凸が見られる(図4)。このような凹凸シート(裏面シート3)は、特開2007−321285号公報、特開2008−38304号公報、特開2008−106377号公報等に記載の方法により形成することができる。尚、弾性部材33の固定は、不織布シート32の肌対向面/並びに透湿フィルムシート31に、ホットメルト接着剤をスパイラルスプレー塗工して行っている。
【0023】
裏面シート3の伸縮物性について、以下、具体的に説明する。
裏面シート3は、使用環境下の低応力で伸縮可能であり、かつ収縮抑制材が機能できる程度の低収縮応力であることが好ましい。かかる観点から、裏面シートの収縮応力は、収縮抑制材の収縮応力よりも小さいことが好ましい。収縮応力は、以下に記載する低応力伸縮性測定に準じて測定し、収縮過程の応力の平均値で求められる。
具体的には、裏面シート3の長手方向(Y方向)の最大伸長率は、30%以上であることが好ましく、35〜200%であることが更に好ましい。ここで最大伸長率とは、それ以上伸ばせない長さ(材破する直前の長さ)まで伸長したときの伸長率であり、最大伸長率は、下記式で求められる。
最大伸長率(%)={(材破する直前の長さ−伸長前の長さ)/伸長前の長さ}×100

低応力伸縮性に関しては、ナプキン1Aの備える裏面シート3は、長手方向(Y方向)において、100cN/15mm荷重時に、30%以上伸長することが好ましく、かつ荷重を取り除いた後の裏面シート3長さが伸張率(残留伸張率)10%以内に回復することが好ましい。
尚、最大伸張率並びに低応力伸縮性測定は、ナプキン1Aの幅方向(X方向)中央部付近で弾性部材33を含む部分15mm幅を切り出して測定することが好ましいが、当該域に弾性部材33を含まない場合、適宜弾性部材を含む場所からサンプリングして測定可能である。低応力伸縮性ではオリエンテック製テンシロン引っ張り試験機を用いて、100cNまで引っ張ったときの長さ/及び0cNまで戻したときの長さをチャートから読み取り、伸張率及び回復性(残留伸張率)を計算した。尚、テンシロンの引っ張り/戻し速度は100mm/分とした。
【0024】
尚、凹凸パターンを有するナプキン1Aの裏面シート3を製造する際に用いる、伸縮性発現のための歯溝加工は、透湿フィルムシートを著しく延伸して破らない観点から歯間ピッチ及び歯溝間押し込み量及び歯溝延伸倍率を上げすぎない必要があり、かつ加熱して透湿フィルムシートに熱ダメージを与えないための温度管理が必要である。好ましい歯間ピッチは0.5〜3mm、より好ましくは1〜2mm、好ましい歯溝押し込み量は0.8〜1.9mm、好ましい歯溝延伸倍率は30〜60%、より好ましくは35〜50%である。
尚、歯溝延伸倍率は、歯溝加工前に、弾性部材が伸びきるまで裏面シートを伸ばしたときの長さを最大伸張長さとし、歯溝加工後に同様に測定した長さを歯溝加工後最大伸張長さとすると、
歯溝延伸倍率(%)=[(歯溝加工後最大伸張長さ−最大伸張長さ)]/歯溝加工後最大伸張長さ]×100
となる。
また、温度は、透湿フィルムシートが熱収縮しない温度範囲内で管理することが少なくとも必要であり、加工温度が60℃以下であることが好ましく、0〜45℃であることが更に好ましい。加工時のエネルギー損失も考慮すると、15〜30℃の室温又はその近傍で設定することが最も好ましい。
【0025】
本発明では、前記防漏材の伸縮性を利用して、製品全体に伸縮性を発現させる点に最も特徴を有する。すなわち、伸張状態の防漏材に吸収体/表面シートを合流固定することにより、使用状態(自由長)に於いては収縮状態で用いられることに特徴があり、この事によって伸張方向に応答を有する。
かかる収縮状態で、製品全体にシワや外観異常を生じない為には、吸収体/表面シート共に伸縮性部材を選択することが最も好ましいが、以下の様に防漏材の挙動に応答して収縮性を有する吸収体/表面シートを用いることにより、(部材自体に収縮応力がないゆえに)低応力伸縮可能な製品を構成することが可能となって、より装着者の動きに追随して変形応答できる点で有利である。以下に好ましい吸収体の実施形態を示す。
【0026】
本発明の吸収性物品(ナプキン1A)の有する液保持性の収縮性の吸収構造体4は、図1に示すように、個々に独立した多数のブロック状吸収部41を備え、多数のブロック状吸収部41は、長手方向(Y方向)に間欠的に配されて幅方向(X方向)に多数の吸収部列41fを形成している。更に、吸収構造体4は、ナプキン1Aにおいては、図3に示すように、多数のブロック状吸収部41と裏面シート3との間に配される非伸縮性で圧縮性の基板シート42も有している。多数のブロック状吸収部41それぞれは、直接、基板シート42上に固定されている。このようにナプキン1Aにおいては、吸収構造体4は、多数のブロック状吸収部41それぞれを非伸長状態(自然状態)の基板シート42上に直接固定して形成されている(図3参照)。
【0027】
吸収構造体4を構成するブロック状吸収部41は、ナプキン1Aにおいては、図1に示すように、平面視して、長手方向(Y方向)に長い矩形状に形成されている。尚、ナプキン1Aのブロック状吸収部41は、矩形状に形成されているが、平面視の形状はこれに限られず、円形状、楕円形状、菱形状、三角形状等の形状であってもよく、これらの形状を2種以上組み合わせたものであってもよい。
【0028】
各ブロック状吸収部41は、フィット性、吸収量確保、ブロック間収縮性の観点から、長手方向(Y方向)の長さL1(図1参照)が20mm以下であることが好ましく、5〜15mmであることが更に好ましい。
同様な観点から、各ブロック状吸収部41は、幅方向(X方向)の長さW1(図1参照)が15mm以下であることが好ましく、5〜12mmであることが更に好ましい。
尚、長手方向(Y方向)の長さとは、ブロック状吸収部41の最も長い位置での長さであり、幅方向(X方向)の長さも、ブロック状吸収部41の最も長い位置での長さである。
さらにまた、同様な観点から、各ブロック状吸収部41は、その高さが1.5〜20mmであることが好ましく、2〜12mmであることが更に好ましい。
【0029】
多数のブロック状吸収部41は、図1に示すように、長手方向(Y方向)に間欠的に配されて幅方向(X方向)に多数の吸収部列41fを形成している。図1に示すように、吸収部列41fは、長手方向(Y方向)に8〜35個のブロック状吸収部41が間欠的に配されて形成されている。長手方向(Y方向)に隣り合うブロック状吸収部41同士の間隔は、1〜10mmであることが好ましく、3〜7mmであることが更に好ましい。尚、後述するように、吸収構造体4は、伸長状態の裏面シート3に固定されるため、長手方向(Y方向)に隣り合うブロック状吸収部41同士の間隔の範囲内で、ナプキン1Aが収縮する際に、収縮することができる。幅方向(X方向)に隣り合うブロック状吸収部41同士の間隔は、0.5〜5mmであることが好ましい。
【0030】
ナプキン1Aにおいては、図1に示すように、隣り合う別の吸収部列4fを形成する幅方向(X方向)に隣り合うブロック状吸収部41,41同士が、幅方向(X方向)から見て重なっており、吸収部列4fを形成する多数のブロック状吸収部41と、隣り合う別の吸収部列4fを形成する多数のブロック状吸収部41とが長手方向(Y方向)に半ピッチずつズレて規則的なパターンで配されている。多数のブロック状吸収部41の配置パターンは、前記パターンに限られず、例えば、吸収部列4fを形成する多数のブロック状吸収部41と、隣り合う別の吸収部列4fを形成する多数のブロック状吸収部41が長手方向(Y方向)にズレてない規則的なパターンで配されていてもよく、ランダムなパターンで配されていてもよい。
【0031】
多数のブロック状吸収部41それぞれは、繊維材料と高吸収性ポリマーとを有している。
各ブロック状吸収部41を構成する繊維材料としては、木材パルプ、コットン、麻などの天然繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂からなる単繊維、これらの樹脂を2種以上含む複合繊維、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維を用いることができる。合成樹脂からなる繊維を用いる場合、該繊維は熱によって形状が変化する熱収縮繊維であってもよい。吸収性の観点から、繊維材料の量は、120〜450g/m2であることが好ましく、150〜350g/m2であることが更に好ましい。
【0032】
各ブロック状吸収部41を構成する高吸収性ポリマーとしては、自重の5倍以上の体液を吸収・保持でき、かつゲル化し得るものが好ましい。形状は特に問わず、球状、塊状、ブドウ状、粉末状又は繊維状であり得る。好ましくは大きさが1〜1000μm、より好ましくは150〜500μmの粒子状のものである。吸収性の観点から、このような高吸収性ポリマーの量は、4〜250g/m2であることが好ましく、20〜100g/m2であることが更に好ましい。
高吸収性ポリマーの例としては、デンプンや架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体を挙げることができる。ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩を好ましく用いることができる。また、アクリル酸にマレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はスチレンスルホン酸等のコモノマーを高吸収性ポリマーの性能を低下させない範囲で共重合させた共重合体も好ましく使用し得る。
【0033】
以上説明した多数のブロック状吸収部41は、例えば、繊維材料及び高吸収性ポリマーの所定量を均一に混合積層したシート状の積層体を、公知の切断手段を用いて多数のブロック状吸収部41の形状に合わせてカットすることにより形成することができ、また、公知の積層手段を用いて、多数のブロック状吸収部41の形状に合わせてパターン積層することにより形成することができる。
【0034】
ナプキン1Aの吸収構造体4は、上述したように、多数のブロック状吸収部41と非伸縮性の基板シート42とを有している(図1,図3参照)。基板シート42の肌対向面には、図3に示すように、全ての多数のブロック状吸収部41が直接固定されている。ナプキン1Aの基板シート42は、図1に示すように、表面シート2及び裏面シート3と同様に、本体部5の排泄部領域A、前方領域B及び後方領域Cそれぞれにおいて、本体部5の輪郭と一致する輪郭を有している。従って、ナプキン1Aにおいては、周縁シール部7は、図3に示すように、表面シート2、伸長状態の裏面シート3及び基板シート42それぞれにおける、吸収構造体4の有する多数のブロック状吸収部41の中で最も外方に位置する各ブロック状吸収部41よりも外方に延出した部分を熱エンボス加工によって接合して形成されている。
【0035】
ナプキン1Aに用いる基板シート42としては、裏面シート3の収縮に伴って収縮可能な柔軟なシートであればよく、例えばクレープ紙の様なシートも適用可能であるが、上述の様に半ピッチずれたパターンで固定されたブロック状吸収部41の隙間を縮めて吸収構造体4全体が収縮可能であり、かつ裏面シート3の伸縮に応じて繰り返し伸縮に耐えるには、特別な柔軟性を有する不織布が好ましい。具体的には、坪量24g/m2以下のスパンボンド不織布を、裏面シート3を製造する際に用いる前記の歯溝加工又はカレンダー加工を施した柔軟な不織布、またはカード積繊法による、坪量30g/m2以下の薄いエアスルー不織布が挙げられる。
柔軟性及び繰り返し伸縮応答の観点から、伸縮性の基板シート42を用いることもでき、その際に用いるシート材料としては、長手方向(Y方向)に伸縮性を有するシート材料(特に不織布)であることが好ましく、長手方向(Y方向)及び幅方向(X方向)の2方向に伸縮性を有するシート材料(特に不織布)であることが更に好ましく、あらゆる方向に伸縮性を有するシート材料(特に不織布)であることが特に好ましい。尚、上述したように、ナプキン1Aにおいては、基板シート42には、非伸縮性のシートを用いている。
【0036】
ナプキン1Aに用いられている非伸縮性の基板シート42としては、吸収紙、各種親水性又は非親水性不織布の他、積繊坪量150g/m2以下程度の薄層綿状パルプ及び該パルプに吸水ポリマーを混合して圧縮した圧縮性の薄型吸収シートを用いることも可能である。非伸縮性の基板シート42として、このような薄型吸収シートを用いれば、該薄型吸収シートによって長手方向(Y方向)及び幅方向(X方向)に隣り合うブロック状吸収部41の間に吸収構造を形成することができ、体液の吸収性が向上する。
基板シート42が非伸縮性シートである場合、吸収構造体4の厚み(ブロック状吸収部41と基板シート42との固定位置における高さ)に対する基板シート42のみの高さの割合は、5g荷重下において、3〜40%であることが好ましい。
【0037】
また、ナプキン1Aの非伸縮性の基板シート42と全ての多数のブロック状吸収部41との固定は、基板シート42の肌対向面の全面に、ホットメルト接着剤を、例えば、スパイラル状に塗工して固定することができる。
【0038】
仮に、ナプキン1Aの基板シート42として、あらゆる方向に伸縮性を有するシートを用いた場合には、基板シート42の伸縮性を阻害しない観点から、全ての多数のブロック状吸収部41と基板シート42との固定は、ブロック状吸収部41毎に、Y方向及びX方向それぞれに、ホットメルト接着剤を、例えば、スパイラル状に、間欠的に塗工して固定することが好ましい。尚、ホットメルト接着剤を間欠的に塗工して固定する代わりに、基板シート42の非肌対向面側から、熱エンボス、超音波シール等を用いてシールして、多数のブロック状吸収部41及び基板シート42を固定してもよい。ホットメルト接着剤としては、例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等のブロックコポリマー系のホットメルト接着剤が挙げられる。
【0039】
仮に、ナプキン1Aの基板シート42として、伸縮性のシートを用いる場合、伸縮性の基板シート42としては、ウレタン系樹脂とポリプロピレン樹脂とからなる伸縮性のスパンボンド不織布、オレフィン系エラストマー樹脂からなる伸縮性のスパンボンド不織布等が挙げられ、多数のブロック状吸収部41全体に体液を拡散し吸収する観点から、公知の方法により親水化処理したものが好ましく用いられる。伸縮性のスパンボンド不織布である場合、吸収構造体4の厚み(ブロック状吸収部41と基板シート42との固定位置における高さ)に対する基板シート42のみの高さの割合は、5g荷重下において、3〜15%であることが好ましい。
【0040】
本発明の吸収性物品においては、長手方向(Y方向)に伸長状態にある裏面シート3と、非収縮状態にある吸収構造体4とが固定されており、ナプキン1Aにおいては、吸収構造体4の基板シート42と裏面シート3とが固定されている。具体的には、伸縮性の裏面シート3を、100cN/幅15mm荷重下において、長手方向(Y向)に130〜180%伸長させ、その伸長状態の裏面シート3上に、予め作成した吸収構造体4、すなわち非伸長状態(自然状態)の基板シート42上に多数のブロック状吸収部41を固定してなる吸収構造体4を配して固定する。初期状態において、裏面シート3に対して適切に収縮抑制をサポートする観点から、吸収構造体4と伸長状態の裏面シート3との固定は、吸収部列4f毎に対応する位置に、ホットメルト接着剤をスパイラル状に間欠的に塗工して固定することが好ましい。ホットメルト接着剤としては、例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等のブロックコポリマー系のホットメルト接着剤が挙げられる。
【0041】
尚、吸収構造体4が基板シート42を有していない場合には、伸長状態の裏面シート3に、直接、多数のブロック状吸収部41を、長手方向(Y方向)及び幅方向(X方向)に所定の間隔を空けて配し、多数のブロック状吸収部41毎に、上記と同様に、ホットメルト接着剤をスパイラル状に間欠的に塗工して固定してもよく、多数のブロック状吸収部41毎に、熱エンボス、超音波シール等を用いてシールして、吸収構造体4と裏面シート3とを固定してもよい。
【0042】
このようにして形成された本発明の伸縮性の吸収性物品(ナプキン1A)は、非伸長時には、収縮状態となるものとなり、更に、250cN/15mm荷重時には、長手方向に20%以上伸長するものとなる。尚、ナプキン1Aは、250cN/15mm荷重時には、長手方向に25%以上伸長するものとなることが好ましく、長手方向に30%以上伸長するものとなり、かつ伸張応力がなくなると、元の長さに復元することが更に好ましい。
本発明の吸収性物品(ナプキン1A)は、基本的には裏面シート3の伸縮性のゆえにナプキン1A全体が一定の伸縮性を示す点に特徴があり、該伸縮性は吸収構造体4が存在する部位に於いても同様に発現する必要がある。
従って吸収構造体4は自ずと伸縮に対して追随性を有する必要があるとともに、既に記載した通り、裏面シート3の伸縮性を無効にしない程度の柔軟性を有する必要がある。このため、吸収構造体4の厚みは10g/cm2荷重時において3mm以内、また吸収構造体4に用いられる綿状パルプの坪量の合計は300g/m2以内(ポリマー除く)であることが好ましい。
同様の理由で、表面シート2の厚みは10g/cm2荷重時において1.5mm以内、坪量は80g/m2以内が好ましい。
【0043】
ナプキン1Aは、使用前においては、吸収性物品(ナプキン1A)が収縮するのを防止する収縮抑制材8に伸長状態で仮固定されており、吸収構造体のブロック間に間隔があいている。従って、本発明の吸収性物品(ナプキン1A)は、収縮抑制材8に仮固定されていないと、非伸長状態(自然状態)においては、長手方向(Y方向)に隣り合うブロック状吸収部41同士の間隔が無くなるまで収縮してしまう。収縮抑制材8は、ナプキン1Aにおいては、図5に示すように、縦長の剥離紙81、及び吸収性物品(ナプキン1A)を包む縦長の包装シート82である。包装シート82の肌対向面側が剥離処理されている。ナプキン1Aは、図2に示すように、裏面シート3の外表面(非肌対向面)に設けられた長手方向(Y方向)に連続して延びる本体粘着部6を介して、ナプキン1Aが包装シート82の肌対向面(剥離紙81)に剥離可能に固定されている。
【0044】
ナプキン1Aの本体粘着部6は、図2に示すように、吸収性本体5の両側部領域5s,5sそれぞれに長手方向(Y方向)に連続して延びている。各本体粘着部6は、ナプキン1Aにおいては、図2に示すように、平面視して、長手方向(Y方向)に連続して延びる矩形状に形成されている。尚、ナプキン1Aの本体粘着部6は、矩形状に形成されているが、平面視の形状はこれに限られず、長手方向(Y方向)に連続して延びていれば、楕円形状、菱形状、三角形状等の形状であってもよい。また、ナプキン1Aの本体粘着部6は、一対で形成されているが、長手方向(Y方向)に連続して延びる1個の粘着部であってもよく、3個以上の粘着部であってもよい。
【0045】
各本体粘着部6は、長手方向(Y方向)の長さL2(図2参照)が140〜200mmであることが好ましく、幅方向(X方向)の長さW2(図2参照)が15〜30mmであることが好ましい。尚、長手方向(Y方向)の長さとは、本体粘着部6の最も長い位置での長さであり、幅方向(X方向)の長さも、本体粘着部6の最も長い位置での長さである。
ナプキン1Aの長手方向(Y方向)の長さL0に対する本体粘着部6の長手方向(Y方向)の長さL2の割合(L2×100/L0)は、ナプキン1Aを下着と一体化させ、下着とともに変形追随する観点から、50%以上であることが好ましく、60〜85%であることが更に好ましい。
本体粘着部6形成用の接着剤としては、それぞれ、生理用ナプキン等の吸収性物品の接着部形成用に従来用いられている各種の接着剤を特に制限なく用いることができ、塗工量は20〜60g/cm2であることが好ましい。
【0046】
収縮抑制の観点からは、各本体粘着部6は、個装第1折りと第2折りの間の部分において、製品長手方向(Y)に連続する連続するパターンであることが好ましい。
【0047】
ナプキン1Aの剥離紙81は、図2に示すように、長手方向(Y方向)に長い矩形状のシートである。剥離紙81は、ナプキン1Aにおいては、図2に示すように、平面視して、長手方向(Y方向)に長い矩形状に形成されている。尚、ナプキン1Aの剥離紙81は、矩形状に形成されているが、平面視の形状はこれに限られず、長手方向(Y方向)に長い形状であれば、楕円形状、多角形状等の形状であってもよい。
【0048】
剥離紙81は、本体粘着部6を完全に覆う大きさであればよく、具体的には、長手方向(Y方向)の長さL3(図2参照)が150〜220mmであることが好ましく、幅方向(X方向)の長さW3(図2参照)が45〜75mmであることが好ましい。尚、長手方向(Y方向)の長さとは、剥離紙81の最も長い位置での長さであり、幅方向(X方向)の長さも、剥離紙81の最も長い位置での長さである。
ナプキン1Aの長手方向(Y方向)の長さL0に対する剥離紙81の長手方向(Y方向)の長さL3の割合(L3×100/L0)は、包装シート82を効果的に補強して収縮抑制に寄与する観点から、60〜120%であることが好ましく、70〜100%であることが更に好ましい。
【0049】
剥離紙81としては、樹脂フィルムや不織布(特にスパンボンド系の不織布)からなる基材シートの剥離処理を施したもの等を用いることができる。剥離処理としては、例えばシリコン系樹脂、フッ素系樹脂、または四フッ化エチレン系樹脂などの離型処理液等を、塗工するかスプレー塗布し表面に薄い被膜を形成する方法、さらに紫外線照射や熱処理により剥離被膜を安定化させる方法等を挙げることができる。剥離紙81は、本体粘着部6の対向面が剥離処理面である一方、それとは反対側の面は、包装シート82との固定を安定させる観点から剥離処理されていないことが好ましい。
【0050】
また、剥離紙81に仮固定されたナプキン1Aは、包装シート82と共に折り畳まれて包装シート82に収納されている(図6参照)。包装シート82は、図5に示すように、ナプキン1Aの外方全域に亘って延出しており、長手方向(Y方向)に長い矩形状のシートである。具体的には、包装シート82は、長手方向(Y方向)の長さL4が220〜260mmであることが好ましく、幅方向(X方向)の長さW4が85〜100mmであることが好ましい。
【0051】
包装シート82としては、生理用ナプキン等の吸収性物品の個別包装に、従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。例えば、包装シート82としては、樹脂フィルムや不織布等を用いることができ、滑らかさや、シート強度、耐液性(接着剤の染みだし抵抗性)の点からは、スパンボンド不織布(S)とメルトブロー不織布(M)との複合不織布(SM,SMS等)が好ましく、柔軟性の観点からは、バインダー繊維によるエアースルー不織布が好ましい。包装シート82に直接鮮明な印刷をおこなう場合には、フィルム材料またはフィルムと不織布のラミネート構造体が好ましい。
【0052】
包装シート82と剥離紙81は、薄膜塗工したホットメルト粘着材等の各種接着剤で固定一体化することができる。収縮抑制補助の観点からは、個装第1折りと第2折りの間の区間を一体化して変形抑制することが効果的であるため、当該区間を少なくとも縦(Y)方向連続する接着パターンで接着することが好ましく、当該区間を薄膜接着剤で全面固定することが更に好ましい。また同様の理由で、他の固定部位に対し、当該部位の固定接着剤塗布量を高めてもよい。具体的には、包装シート82と剥離紙81固定接着剤塗布量は、15〜30g/m2程度が好ましいが、当該部位に対しては25〜55g/m2程度の高坪量塗布が好ましい。
【0053】
図5に示すように、以上のような包装シート82の上側(肌対向面側)にナプキン1Aを載置する。ナプキン1Aを、包装シート82の上側に載置する前には、予め、剥離紙81及び/又は包装シート82の相対向面に、生理用ナプキン等の吸収性物品に通常用いられる公知の接着剤(不図示)を塗工している。従って、ナプキン1Aは、包装シート82の上側(肌対向面側)に載置されると、前記接着剤を介して、包装シート82上に固定される。包装シート82上に固定されたナプキン1Aは、図5に示すように、ナプキン1Aの長手方向(Y方向)を略3等分する位置で、包装シート82と共に表面シート2側に折り曲げられて、三つ折りに折り畳まれた状態となる。包装シート82と共に三つ折りに折り畳まれたナプキン1Aは、ナプキン1Aの両側縁から幅方向(X方向)外方に延出する包装シート82の両側部それぞれをヒートシール等の公知の固定方法により固定して側方封止部83を形成すると共に、包装シート82の開封開始端84を公知のタブテープ85で所定箇所に止着することにより、図6に示すように、ナプキン1Aを包装シート82に収納した個別包装状態となる。尚、包装シート82上に固定されたナプキン1Aは、本実施形態においては、三つ折りされているが、包装シート82に収納されれば、三つ折りでなくてもよく、例えば、二つ折りでも、四つ折りでもよい。
【0054】
上述した本発明の吸収性物品の実施形態である生理用ナプキン1A(以下、「ナプキン1A」ともいう)を使用した際の作用効果について説明する。
ナプキン1Aは、図1,図2に示すように、液透過性の表面シート2と、伸縮性の裏面シート3と、これらシート2,3間に配された液保持性の吸収構造体4とを備えた伸縮性の吸収性物品である。ここでナプキン1Aの伸縮性を発現する主要素は伸縮性の裏面シート3であり、表面シート2と吸収構造体4は、裏面シート3の収縮力に連動して収縮可能であれば選択可能であり、該表面シート2、該吸収構造体4自身に伸縮性がなくともナプキン1A全体として伸縮性が発現する点に特徴がある。かかる(構成全体としての)伸縮性発現に必要な要素として、表面シート2、吸収構造体4は裏面シート3伸張状態で合流固定される。使用状態では裏面シート3が収縮し、これに連動して表面シート2及び吸収構造体4も収縮する。使用状態に於いて、表面シート2及び吸収構造体4は少なくとも20%収縮した状態にあり、より好ましくは30%以上収縮した状態にある。この収縮率は、(使用状態を想定して)個装から取り出して伸ばしたナプキン1Aを、粘着面を上にして室温で30分以上放置した後、表面シート2、吸収構造体4に基準となる点2点をマジックなどで記し、しかる後にナプキン1Aを分解して表面シート2、吸収構造体4を取り出して自然長として前記基準点間距離を再測定する。
例えば、基準点として100mmピッチで2点マーキングしていた場合、分解自然長で表面シート2は基準点間距離が120mm、吸収構造体で同120mmの場合、収縮率20%の収縮状態で固定されていたことがわかる。
【0055】
かかる条件で構成されたナプキン1Aは、自然長まで少なくとも20%の伸張余力を有し、かつ材自身の柔軟性も加え、長手方向に30%以上の伸張性を有するとともに、収縮性をも有する。すなわち製品として30%以上の伸縮性を有する。(伸縮性測定は段落〔0023〕に準じ、試験片は中央付近の所定幅のナプキン全体を切り出して用い、引っ張り荷重上限を250cNに変更してサイクル試験を実施する。)
すなわち、かかるナプキン1Aは、下着のクロッチ部と同様の低応力で伸縮可能で、装着者の動きに伴い変形する下着の伸縮性に対応して伸縮することができ、ショーツ等の下着のクロッチ部から剥がれ難く、ズレ難い。
【0056】
第1実施形態に於いては、個々に独立した多数のブロック状吸収部41を、隣り合うブロック状吸収部41間が容易に収縮可能となる柔軟な基板シート42(より柔軟に収縮可能とするために伸縮性の基板シートであってもよい)に固定して形成された所定の収縮特性を有する吸収構造体4が、伸長状態の裏面シート3に固定されており、ナプキン1Aが収縮するのを防止する収縮抑制材8に伸長状態で仮固定されている。ナプキン1Aは、収縮抑制材8から外すと、長手方向(Y方向)に隣り合うブロック状吸収部41同士の間隔が無くなるまでゆっくり収縮するため、使用開始時に収縮力も伸長力も発現できる。従って、ショーツ等の下着を拡幅して伸長した状態のクロッチ部に、ナプキン1Aを取り付けると、装着者の動きに伴い変形する下着の伸縮性に対応して収縮することができ、ショーツ等の下着のクロッチ部から剥がれ難く、ズレ難い。
【0057】
上述したように、ナプキン1Aは、収縮抑制材8に仮固定されていないと、自然状態においては、長手方向(Y方向)に隣り合うブロック状吸収部41同士の間隔が無くなるまで収縮してしまう。ナプキン1Aは、ショーツ等の下着のクロッチ部に取り付ける際に、収縮抑制材8との仮固定を解除したとしても、直ちに収縮してしまわないように、収縮力を緩和している。具体的には、ナプキン1Aは、図3に示すように、吸収構造体4が、基板シート42上に多数のブロック状吸収部41を固定して形成されており、伸長状態の裏面シート3上に、非伸長状態(自然状態)の基板シート42を配設固定して形成されている。このように、非伸長状態(自然状態)の基板シート42により、伸長状態の裏面シート3の収縮力を緩和している。更に、ナプキン1Aは、図1,図2に示すように、周縁シール部7が、表面シート2、伸長状態の裏面シート3及び非伸長状態の基板シート42それぞれにおける外周縁部を熱エンボス加工によって接合して形成されており、周縁シール部7により、伸長状態の裏面シート3の収縮力を緩和している。
【0058】
収縮緩和には、基板シート42と裏面シート3、及び裏面シート3における透湿フィルムシート31と不織布シート32夫々に塗布された接着剤も寄与している。これら接着剤はゴム的な性質を有し、長時間保存された状態(形態)を保とうとする性質が強い。従って、個装開封してナプキン1Aを展開した直後には平坦に伸びた状態を維持しやすく、次第に裏面シートに配された弾性体33の収縮力に負けてゆっくり収縮する。
更に、第1実施形態に於いては、裏面シート3は、延伸状態では(凹凸シワの伸びきった)平坦な形状である一方、収縮状態では図4及び図3断面図に見られるようにプリーツ状の凹凸形状を取る必要がある。すなわち第1実施形態に於いては、ナプキン1Aが収縮するためには、裏面シート構成部材を固定する接着剤の接着力に打ち勝って、平面状の複合シートをプリーツ上に変形する過程をとる必要があるため、収縮が更にゆっくり進行する。
【0059】
ナプキン1Aを収縮抑制材8から外して、長手方向(Y方向)に隣り合うブロック状吸収部41同士の間隔が無くなるまで収縮してしまうまでの時間は、下着のクロッチ部の適正な位置にナプキン1Aを取り付ける観点から、20〜90秒であることが好ましい。
【0060】
また、ナプキン1Aは、図3に示すように、吸収構造体が、多数のブロック状吸収部41と基板シート42とを有しており、Y方向又はX方向に隣り合うブロック状吸収部41どうしの間の体液の移動を基板シート42によってスムーズに行うことができるので、体液の吸収効率が向上する。
【0061】
また、収縮抑制材8が、剥離紙81及び包装シート82であり、図5に示すように、剥離紙81に仮固定されたナプキン1Aが、包装シート82と共に三つ折り状態に折り畳まれているので、三つ折りの折れ線で、伸長状態の裏面シート3の収縮力を分断できる。更に、三つ折り状態に於いては、全ての層が隙間なく重なり合って固定された状態にあり、いわば相互に支え合って形状を維持しているため、個装状態に於いては本願の裏面シート3の収縮を押さえ込む効果が高く、ナプキン1Aが収縮するのを有効に防止することができる。
【0062】
また、ナプキン1Aは、裏面シート3が、図4に示すように、透湿フィルムシート31と不織布シート32との間に、長手方向(Y方向)に延在する弾性部材33が複数本配され固定された複合シートであり、肌対向面及び非肌対向面それぞれに多数の凹凸パターンが形成されている凹凸シートであるので、弾性材として一般的に用いられるウレタンフィルムやオレフィンエラストマーフィルムと異なって、伸縮性とともに本質的に透湿性を有する。
更に、伸縮性が弾性部材33と(歯溝加工による)多数の凹凸パターン形成によって設計された「伸び代」によって生み出されている点に特徴がある。すなわち、通常の弾性フィルムは、全体が一様に伸縮する点、強度を高めるためにフィルム坪量を大きくすると伸びにくくなる(伸張応力が大きくなる)点に特徴があるが、該裏面シート3では、材料強度は裏面側の不織布シート32の選択で任意に決定でき、伸縮特性は弾性部材33の太さ、伸張倍率、歯溝加工条件(凹凸の大きさ)の組み合わせで(シート強度と独立して)決定できる。このため、伸縮しやすいが強度の高い裏面シートを製造可能な他、弾性部材33の配置によって、ナプキン中央部のみ、あるいは両サイド部のみ、更に又はナプキン長手方向中央部付近のみ、前部のみ、臀部周辺のみ、等任意の部位に選択的に収縮性を付与することも可能である。
【0063】
また、ナプキン1Aは、表面シート2が、伸縮性を有し、図3に示すように、熱収縮性繊維を含む第1繊維層と、熱収縮しない繊維又は前記熱収縮性繊維の収縮開始温度では熱収縮しない繊維を含む第2繊維層との積層体が、多数の接合部22にて部分的に接合されており、各接合部22の間において第1繊維層が収縮して突出し多数の凸部21を形成している凹凸シートであるので、ナプキン1Aが長手方向(Y方向)に伸縮するに伴って、肌と相対的に運動するため、肌側に付着した粘性の高い経血やおりものを拭き落とす効果が高い。
【0064】
次に、本発明の吸収性物品を、その好ましい第2実施形態に基づき、図7を参照しながら説明する。
【0065】
第2実施形態の吸収性物品は、生理用ナプキンであり、第2実施形態の生理用ナプキン1B(以下、「ナプキン1B」ともいう。)については、第1実施形態のナプキン1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、ナプキン1Aと同様であり、ナプキン1Aの説明が適宜適用される。
【0066】
ナプキン1Bは、図7に示すように、ナプキン1Aの構成に、更に連続層9を備えている。具体的には、ナプキン1Bの吸収構造体4は、図7に示すように、多数のブロック状吸収部41の表面シート2側の面全域に亘って、繊維材料と高吸収性ポリマーとからなる連続層9を有しており、連続層9によって、長手方向(Y方向))に隣り合うブロック状吸収部41,41の間、及び幅方向(X方向)に隣り合うブロック状吸収部41,41の間それぞれに吸収構造を形成する。ナプキン1Aの連続層9は、基板シート42と同形同大であり、具体的には、基板シート42と同様に、本体部5の排泄部領域A、前方領域B及び後方領域Cそれぞれにおいて、本体部5の輪郭と一致する輪郭を有している。従って、ナプキン1Bにおいては、周縁シール部7は、図7に示すように、表面シート2、伸長状態の裏面シート3、基板シート42及び連続層9それぞれにおける、吸収構造体4の有する多数のブロック状吸収部41の中で最も外方に位置する各ブロック状吸収部41よりも外方に延出した部分を熱エンボス加工によって接合して形成されている。
【0067】
連続層9としては、ブロック状吸収部に比べ繊維密度が低く、薄い繊維材料と高吸収性ポリマーとを混合したものが挙げられる。繊維材料は、その目付が、75g/m2以下であることが好ましく、20〜60g/m2以下であることが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、吸収性補助の観点から、配合量が、20〜60g/m2が好ましい。繊維材料としては、綿状パルプや各種合成繊維等が挙げられる。
【0068】
第2実施形態のナプキン1Bの形成材料について説明する。第2実施形態のナプキン1Bについては、第1実施形態の使い捨てナプキン1Aの形成材料と同様である。
【0069】
上述した本発明の第2実施形態のナプキン1Bを使用した際の作用効果について説明する。
第2実施形態のナプキン1Bの効果については、第1実施形態の使い捨てナプキン1Aの効果と異なる点について説明する。特に説明しない点は、第1実施形態の使い捨てナプキン1Aの効果と同様であり、第1実施形態の使い捨てナプキン1Aの効果の説明が適宜適用される。
【0070】
ナプキン1Bは、図7に示すように、多数のブロック状吸収部41の表面シート2側の面全域に亘って連続層9を有しているので、連続層9が、吸収の一部を担い、自身で体液を保持する他、各々独立したブロック状吸収部42に体液を分配し吸収効率が向上する。更に連続層9が、隣り合うブロック状吸収部42間に、かかる連続部が撓んで収縮を許容する結果、ナプキン1Bのすばやい収縮を緩和する効果が向上する。すなわち固定接着剤や裏面シート3の凹凸(プリーツ状構造)と連携して、ナプキン1Bをゆっくり収縮させる収縮緩和機構の一部を担うことができる。
【0071】
本発明の吸収性物品は、上述の第1実施形態の生理用ナプキン1A、第2実施形態の生理用ナプキン1Bに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の第1実施形態の生理用ナプキン1A,第2実施形態の生理用ナプキン1Bにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【0072】
例えば、基板シート43はブロック状吸収部42下部に平面状に下置きした実施形態の他、親水性の基板シートで吸収構造体を包んだ形態としてもよい。このとき収縮追随するために、該基板シートは歯溝加工によってコルゲート状に凹凸賦型されていてもよく、伸縮性の不織布としてもよい。また個々のブロック状吸収部42固定のためにスパイラルスプレー塗工等によりホットメルト接着剤塗布とピンエンボス等の圧着手段を併用してもよい。
【0073】
また、上述の実施形態の生理用ナプキン1Aにおいては、吸収構造体4は、図3に示すように、多数のブロック状吸収部41それぞれを基板シート42上に直接固定して形成されているが、本発明の吸収性物品においては、基板シート42はなくてもよい。また、上述の実施形態の生理用ナプキン1Bにおいては、吸収構造体4は、図7に示すように、多数のブロック状吸収部41それぞれを基板シート42上に直接固定して形成されているが、基板シート42がなく、連続層9のみを有していてもよい。また、上述の実施形態の収縮抑制材8は、剥離紙81及び包装シート82であるが、剥離紙81又は包装シート82のみであってもよい。収縮抑制材8が包装シート82のみである場合には、包装シート82の相対向面に接着剤を塗工せず、ナプキン1Aの本体粘着部6を介して、直接ナプキン1Aを包装シート82上に固定し、上述の実施形態と同様に三つ折りに折り畳めばよい。
【0074】
また、排泄ポイント近傍のフィット性を高めるとともに吸収容量も高める目的で、吸収構造体4の排泄ポイント対向部に綿状パルプ吸収部追加による隆起(いわゆる中高)を形成してもよい。
この場合、好ましい中高部のサイズは、幅34mm以内、長さ100mm以内とするのが好ましい。この程度のサイズであれば、中高部における綿状パルプの坪量合計が前述の300g/m2を超えても、全体として吸収構造体4が裏面シート3と連動して伸縮する挙動を大きく損ねないからである。
【0075】
裏面シート3の収縮性発現に用いる弾性部材33の配置は、概ね長手方向(Y)に収縮性をもつパターンに配置されていればよく、曲線状あるいは弾性部材同士が交差するパターンで配置されていてもよい。
【0076】
本発明の吸収性物品は、生理用ナプキン以外にも、例えば、失禁者用パッド、パンティーライナー等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0077】
1A,1B 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
21 凸部
22 凹部
3 裏面シート
4 吸収構造体
41ブロック状吸収部
41f 吸収部列
42 基板シート
5 本体部
5s 長手方向(Y方向)の側部領域
6 本体粘着部
7 周縁シール部
8 伸縮抑制材
81 剥離紙
82 包装シート
83 側方封止部
84 開封開始端
85 タブテープ
9 連続層
A 排泄部領域
B 前方領域
C 後方領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌対向面側に液透過性の表面シートと、非肌対向面側に伸縮性の裏面シートと、これらシート間に配された液保持性の収縮性の吸収構造体とを備えた縦長の伸縮性の吸収性物品であって、
前記吸収性物品は、長手方向に伸長状態にある前記裏面シートと、非収縮状態にある前記吸収構造体とが固定されてなり、
非伸長時には、収縮状態にあり、且つ250cN/15mm引張荷重時には、長手方向に20%以上伸長する吸収性物品。
【請求項2】
前記裏面シートは、透湿フィルムシートと不織布シートとの間に、長手方向に延在する弾性部材が幅方向に間欠的に複数本配され固定された複合シートであり、該複合シートの両面それぞれに多数の凹凸パターンが形成されており、
前記裏面シートは、100cN/15mm引張荷重時には、少なくとも長手方向に30%以上伸長する請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収構造体は、個々に独立した多数のブロック状吸収部を備え、
多数の前記ブロック状吸収部は、長手方向に間欠的に配されて幅方向に多数の吸収部列を形成しており、
多数の前記ブロック状吸収部それぞれは、繊維材料と高吸収性ポリマーとを有しており、
前記吸収性物品は、該吸収性物品が収縮するのを防止する収縮抑制材に伸長状態で剥離可能に固定されている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収構造体は、多数の前記ブロック状吸収部と前記裏面シートとの間に配される基板シートを有し、多数の該ブロック状吸収部それぞれは、直接該基板シート上に固定されており、
前記吸収構造体の前記基板シートと前記裏面シートとが固定されている請求項1〜3の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記収縮抑制材は、縦長の個装シートであり、該個装シートの肌対向面側が剥離処理されており、
前記裏面シートの外表面に設けられた長手方向に連続して延びる本体粘着部を介して、前記吸収性物品が前記剥離面に剥離可能に固定されている請求項3又は4に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−385(P2013−385A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134997(P2011−134997)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】