吸収性物品
【課題】厚さ方向の寸法を小さくし、柔らかさを維持することができるとともに、着用者が不快に感じることがなく、長時間、表面シートに体液が残留することのない吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸液性構造体20の一部には、非肌対向面側から肌対向面側へ向かう方向へ圧搾された圧搾凹部30を形成してある。圧搾凹部は、厚さ方向Zの寸法が相対的に小さい高圧搾凹部31と、厚さ方向Zの寸法が相対的に大きい低圧搾凹部32とを備え、高圧搾凹部は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、点在する態様で複数形成してある。低圧搾凹部は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、高圧搾凹部と高圧搾凹部とを連結するように形成してある。
【解決手段】吸液性構造体20の一部には、非肌対向面側から肌対向面側へ向かう方向へ圧搾された圧搾凹部30を形成してある。圧搾凹部は、厚さ方向Zの寸法が相対的に小さい高圧搾凹部31と、厚さ方向Zの寸法が相対的に大きい低圧搾凹部32とを備え、高圧搾凹部は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、点在する態様で複数形成してある。低圧搾凹部は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、高圧搾凹部と高圧搾凹部とを連結するように形成してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸収性物品に関し、より詳しくは、軽失禁パッド、パンティライナ、生理用ナプキン、おりもの吸収用パッド、尿吸収パッド、紙おむつ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、厚さ方向の一方に配置して着用者の肌対向面側に位置する透液性の表面シートと、厚さ方向の他方に配置して着用者の非肌対向面側に位置する不透液性の裏面シートと、表面シートおよび裏面シートの間に介在する吸液性構造体とを備える吸収性物品は公知である。
【0003】
例えば、特許文献1には、表面シートと、裏面シートと、吸液性構造体とを備える生理用ナプキンが開示されている。該ナプキンの一部には、肌対向面側から非肌対向面側へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部を形成してある。
【0004】
この生理用ナプキンによれば、圧搾凹部を形成した部位では、厚さ方向の寸法を小さくすることができ、かつ圧搾凹部を形成していない部位では、柔らかさを維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−33397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている吸収性物品の圧搾凹部は、表面シートから裏面シートへ向かう方向に形成されている。よって、この吸収性物品の肌対向面には、圧搾凹部による凹凸が存在し、且つ表面シートは、圧搾凹部を形成する際に熱や力によって損傷する。このような吸収性物品を着用者の肌に当接した場合、表面シートが溶融してできた塊が着用者の肌に当接することによって着用者が不快に感じたり、該凹凸に体液が長時間残留したりする課題が存在した。
【0007】
そこで、この発明では、厚さ方向の寸法を小さくすることができ、柔らかさを維持することができるとともに、着用者が不快に感じることがなく、長時間、表面シートに体液が残留することのない吸収性物品の提供を課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明は、互いに直交する縦方向と横方向と厚さ方向とを有し、厚さ方向の一方に配置して着用者の肌対向面側に位置する透液性の表面シートと、厚さ方向の他方に配置して着用者の非肌対向面側に位置する裏面シートと、表面シートおよび前記裏面シートの間に介在する吸液性構造体とを備える吸収性物品を前提とする。
【0009】
この吸収性物品において、この発明の特徴は、吸液性構造体は、肌対向面側に位置する透液性の第1シートと、非肌対向面側に位置する第2シートと、第1シートおよび第2シートの間に介在する体液吸収性の芯材とを備えている。吸液性構造体の一部には、非肌対向面側から肌対向面側へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部を形成してある。圧搾凹部は、厚さ方向の寸法が相対的に小さい高圧搾凹部と、前記厚さ方向の寸法が相対的に大きい低圧搾凹部とを備える。高圧搾凹部は、縦方向および横方向において、点在する態様で複数形成してある。低圧搾凹部は、縦方向および横方向において、高圧搾凹部と高圧搾凹部とを連結するように形成してある。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る吸収性物品によれば、吸液性構造体の一部に、厚さ方向に圧搾された圧搾凹部を形成してあるため、圧搾凹部を形成した部位では、厚さ方向の寸法を小さくすることができ、かつ圧搾凹部を形成していない部位では、柔らかさを維持することができる。
【0011】
加えて、吸液性構造体の一部には、非肌対向面側から肌対向面側へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部を形成してあるため、吸液性構造体の肌対向面側に配置する表面シートには圧搾凹部を形成する必要がない。よって、熱や力が加わることによって表面シートが損傷することを防止することができるから、着用者が不快に感じることがない。しかも、表面シートに圧搾凹部を形成する必要がないため、表面シートに凹凸が現れない。よって、長時間、表面シートに体液が残留することもない。
【0012】
加えて、圧搾凹部は、厚さ方向の寸法が相対的に小さい高圧搾凹部と、厚さ方向の寸法が相対的に大きい低圧搾凹部とを備え、高圧搾凹部は、縦方向および横方向において点在する態様で複数形成してあり、低圧搾凹部は、縦方向および横方向において、高圧搾凹部と高圧搾凹部とを連結するように形成してあるため、高圧搾凹部と低圧搾凹部とによって構成される圧搾凹部は横方向Xおよび縦方向Yに連続する。圧搾凹部は、吸収性繊維が互いに密にからまって剛性が強いため、着用者が生理用ナプキンを着用している際、生理用ナプキンに力が加えられても、圧搾凹部が連続していることによって、剛性を向上することができ、生理用ナプキンにヨレや曲りが発生することを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る吸収性物品の一例としての生理用ナプキンの部分破断平面図。
【図2】図1のII−II線拡大断面図。
【図3】図1のIII−III線拡大断面図。
【図4】吸液性構造体の非肌対向面側から見た底面図。
【図5】図4のV−V線拡大断面図。
【図6】図4のVIで示した部分の拡大図。
【図7】図6の肌対向面側を示す拡大図。
【図8】エンボスプレス工程を示す説明図。
【図9】図1のVIII−VIII線拡大断面図。
【図10】第1変形例の生理用ナプキンの非肌対向面側を示す部分拡大図。
【図11】第2変形例の生理用ナプキンの非肌対向面側を示す部分拡大図。
【図12】第3変形例の生理用ナプキンの非肌対向面側を示す部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面を参照して、この発明に係る吸収性物品の一例である生理用ナプキンの実施形態を説明すると、以下のとおりである。
【0015】
図1は、この発明に係る生理用ナプキン10の平面図であり、図2は、図1のII−II線拡大断面図であり、図3は、図1のIII−III線拡大断面図である。図中、Xは横方向を示し、Yは横方向Xに直交する縦方向を示し、Zは横方向Xおよび縦方向Yにそれぞれ直交する厚さ方向を示し、Pは生理用ナプキン10の横方向Xの長さ方向の寸法を二等分する仮想縦中心線を示し、Qは生理用ナプキン10の縦方向Yの長さ方向の寸法を二等分する仮想横中心線を示している。
【0016】
生理用ナプキン10は、例えば仮想縦中心線Pおよび仮想横中心線Qに関して対称に形成してあり、着用者の肌に対向する面(以下、単に「肌対向面」という)と、その反対側の面(以下、単に「非肌対向面」という)とを有している。
【0017】
生理用ナプキン10は、肌対向面側に位置する表面シート11と、非肌対向面側に位置する裏面シート12と、これら表面シート11と裏面シート12との間に介在する吸液性構造体20とを備えている。
【0018】
表面シート11および裏面シート12は、横方向Xおよび縦方向Yにおける吸液性構造体20の寸法よりも大きく形成した周縁部13を含んでいる。周縁部13は、縦方向Yの両端縁部13aおよび横方向Xの両側縁部13bを含んでいる。表面シート11および裏面シート12は、周縁部13において、公知の接合手段、例えば互いの間に塗布したホットメルト接着剤(不図示)で接合してある。また、図1における両端縁部13aおよび両端縁部13bにおいて、斜線のハッチングで示した部位18は、後述するように熱可塑性合成樹脂を含む表面シート11および裏面シート12を互いに溶着することによって接合してある。
【0019】
表面シート11は、吸液性構造体20の肌対向面を覆うもので、熱可塑性合成樹脂を含み、透液性を有する繊維不織布である、例えばエアスルー繊維不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布などを用いることができる。熱可塑性合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの複合体、ポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。表面シート11は、例えば質量が約10〜50g/m2であり、厚さが約0.5〜2.0mmである。
【0020】
表面シート11の肌対向面側には、横方向Xの中央において表面シート11が肌対向面に露出するとともに、横方向Xの両側縁部13bにおいて表面シート11の肌対向面を覆う態様で、仮想縦中心線Pに関して対称となるように一対のサイドシート14を設けてある。サイドシート14には、熱可塑性合成樹脂を含む透液性または不透液性の繊維不織布を用いることができる。
【0021】
生理用ナプキン10は、サイドシート14と表面シート11と裏面シート12とによって構成し、縦方向Yにおける中央部において、仮想縦中心線Pから互いに離間する態様で、両側縁部13bから横方向Xへ突出するように形成した一対のウイング部15を有している。ウイング部15において、斜線のハッチングで示した部位19は、熱可塑性合成樹脂を含む表面シート11、裏面シート12、およびサイドシート14を互いに溶着することによって接合してある。
【0022】
裏面シート12は、吸液性構造体20の非肌対向面を覆うもので、熱可塑性合成樹脂を含む、プラスチックフィルムを用いることができる。また、そのプラスチックフィルムに、難透液性または不透液性の繊維不織布を積層したものを用いることもできる。繊維不織布として、例えばスパンボンド・メルトブロー・スパンボンド(SMS)繊維不織布、エアスルー繊維不織布、ポイントボンド繊維不織布、スパンボンド繊維不織布等を用いることができる。熱可塑性合成樹脂としては、例えばポリエチレン等の上述した合成樹脂を用いることができるが、表面シート11に用いた樹脂と同じものを用いるのが好ましい。裏面シート12は、例えば質量が約10〜50g/m2であり、厚さが約0.1〜1.0mmである。
【0023】
図4は、生理用ナプキン10の製造途中における吸液性構造体20を非肌対向面側から見た底面図であり、図5は、図4のV−V線拡大断面図であり、図6は、図4の一部を拡大した拡大図である。図7は、図6に示す部分を肌対向面側から見た拡大図である。
【0024】
吸液性構造体20は、肌対向面側に位置する第1シート21と、非肌対向面側に位置する第2シート22と、第1シート21および第2シート22の間に介在する体液吸収性の芯材23とを備えている。第1シート21および第2シート22は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、芯材23よりも長さ寸法が大きく、芯材23から延出する部分を少なくともいずれか一方のシート21,22に塗布したホットメルト接着剤等の接着剤によってそれぞれ接合してある。
【0025】
第1シート21は、芯材23の肌対向面を覆うもので、熱可塑性合成樹脂を含み、透液性の繊維不織布である、例えばスパンボンド・メルトブロー・スパンボンド(SMS)繊維不織布、エアスルー繊維不織布、ポイントボンド繊維不織布、スパンボンド繊維不織布などを用いることができる。熱可塑性合成樹脂としては、例えばポリエチレン等の上述した合成樹脂を用いることができる。この実施形態では、第1シート21にエアスルー繊維不織布を用いてある。第1シート21にエアスルー繊維不織布を用いれば、第1シート21が肌に当接した際に柔らかい。第1シート21は、例えば質量が約15〜60g/m2である。
【0026】
第2シート22は、芯材23の非肌対向面を覆うもので、熱可塑性合成樹脂を含むプラスチックフィルムを用いることができる。また、そのプラスチックフィルムに代えて、熱可塑性合成樹脂を含む繊維不織布を用いることもできる。繊維不織布としては、例えばスパンボンド・メルトブロー・スパンボンド(SMS)繊維不織布、エアスルー繊維不織布、ポイントボンド繊維不織布、スパンボンド繊維不織布などを用いることができる。熱可塑性合成樹脂としては、例えばポリエチレン等の上述した合成樹脂を用いることができる。この実施形態では、第2シート22にSMS繊維不織布を用いてある。第2シート22は、例えば質量が約15〜60g/m2である。
【0027】
芯材23は、例えば吸収性ポリマー粒子24および吸収性繊維25によって構成してある。吸収性ポリマー粒子24には、例えばデンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系等の粒子状または繊維状であって、自己質量の少なくとも数10倍以上の吸収能を有する水不溶性で水膨潤性のポリマーを用いることができる。
【0028】
吸収性繊維25には、木材フラッフパルプ等の天然パルプ繊維、レーヨンステープル等の再生繊維、およびこれらを混合したものを使用することができる。例えば、吸収性繊維25は、その平均長さが約2〜10mmの木材フラッフパルプ繊維を好適に用いることができる。
【0029】
吸収性繊維25は、例えば質量が約100〜300g/m2である。一方、吸収性ポリマー粒子24に関して、芯材23は吸収性ポリマー粒子24と吸収性繊維25とを混合して芯材23を構成する方が好ましいが、必須の構成要素ではなく、吸収性ポリマー粒子24は、例えば質量が約0〜300g/m2であり、芯材23に含まれなくてもよい。
【0030】
吸液性構造体20の一部には、非肌対向面側から肌対向面側へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部30を形成してある。すなわち、圧搾凹部30は、非肌対向面から肌対向面に向かって凹む。圧搾凹部30は、厚さ方向Zの寸法が相対的に小さい高圧搾凹部31と、厚さ方向Zの寸法が相対的に大きい低圧搾凹部32とを含んでいる。
【0031】
高圧搾凹部31は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、点在する態様で複数形成してある。より具体的には、各高圧搾凹部31は、図6に示すように、互いに近接する4つの構成要素31zによって形成してあり、各構成要素31zは矩形状に形成してある。この実施形態において、高圧搾凹部31は、正六角形の頂点に配置してある。また、高圧搾凹部31は、厚さ方向Zにおいて、熱可塑性樹脂を含む第1シート21と第2シート22とが互いに溶着するように形成してある。高圧搾凹部31は、厚さ方向Zにおける長さ寸法が、約0.05〜0.3mmであることが好ましい。
【0032】
低圧搾凹部32は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、高圧搾凹部31と高圧搾凹部31とを連結するように形成してある。より具体的には、低圧搾凹部32は、第1シート21と第2シート22とが互いに溶着するほどまでは圧搾していないが、厚さ方向Zにおける寸法を、高圧搾凹部31および低圧搾凹部32によって囲まれる内部領域33に比較して小さくすることによって、該部位における密度を内部領域33の密度よりも大きくし、それによって該部位における剛性を内部領域33の剛性より向上している。図7に示すように、低圧搾凹部32は、肌対向面側の表面には現れない一方、高圧搾凹部31は、肌対向面側の表面に現れる。低圧搾凹部32は、厚さ方向Zにおける長さ寸法が、約0.3〜0.8mmであることが好ましい。また、低圧搾凹部32は、正六角形の辺に配置してあり、直線状を成すよう形成してある。
【0033】
低圧搾凹部32は、正六角形の辺に配置してあるため、任意に選択した高圧搾凹部31に関して、その高圧搾凹部31から延びる3つの低圧搾凹部32が存在する。説明の便宜上、図6中、ある高圧搾凹部31に関して、その高圧搾凹部31から下方へ向けて延びる低圧搾凹部32を第1低圧搾凹部32pとよび、その高圧搾凹部31から左方に向けて傾斜する態様で延びる低圧搾凹部32を第2低圧搾凹部32qとよび、右方に向けて傾斜する態様で延びる低圧搾凹部32を第3低圧搾凹部32rとよぶ。
【0034】
この吸液性構造体20では、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、高圧搾凹部31から第1低圧搾凹部32pが延びる方向d1と、高圧搾凹部31から第2低圧搾凹部32qが延びる方向d2とが成す角θ1は120度であり、高圧搾凹部31から第1低圧搾凹部32pが延びる方向d1と、高圧搾凹部31から延びる第3低圧搾凹部32rが延びる方向d3とが成す角θ2も120度であり、高圧搾凹部31から第2低圧搾凹部32pが延びる方向d2と、高圧搾凹部31から第3低圧搾凹部32rが延びる方向d3とが成す角θ3も120度である。この吸液性構造体20では、高圧搾凹部31から延びる3つの低圧搾凹部32において、任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第1方向と、残りの低圧搾凹部32から任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第2方向とが180度とならないように、換言すれば直線状とならないように、複数の低圧搾凹部32を配置してある。
【0035】
これら高圧搾凹部31および低圧搾凹部32によって構成してある圧搾凹部30は、生理用ナプキン10の縦方向Yにおける両端に形成してある。換言すれば、この生理用ナプキン10には、縦方向Yの中央において、圧搾凹部30が存在しない非存在領域35を形成してある一方、縦方向Yの両端部において、圧搾凹部30が存在する存在領域36を形成してある。
【0036】
このような吸液性構造体20を製造する工程の一部は、次のとおりである。図8は、吸液性構造体20の製造工程の一部であるエンボスプレス工程40を示す部分斜視図である。図8中、MDは機械方向を示し、CDは機械方向MDと直交する交差方向を示し、VDは機械方向MDおよび交差方向CDにそれぞれ直交する上下方向を示す。なお、機械方向MDは縦方向Yに相当し、交差方向CDは横方向Xに相当し、上下方向VDは厚さ方向Zに相当する。
【0037】
エンボスプレス工程40は、吸液性構造体20を上部に載せた状態で機械方向MDへ搬送するコンベアベルト41を含む搬送部42と、吸液性構造体20を上下方向(厚さ方向Z)VDに圧搾する圧搾部43とから構成してある。
【0038】
吸液性構造体20は、第1シート21がコンベアベルト41に当接するようにコンベアベルト41に載せる。コンベアベルト41に載せられた吸液性構造体20は、吸収性繊維25と吸収性ポリマー粒子24とで形成した芯材23を第1、第2シート21,22で被覆してあり、ほぼ均一の所要の厚さに形成してある。また、この状態の吸液性構造体20は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて吸収性繊維25および吸収性ポリマー粒子24の密度がほぼ均一である。
【0039】
圧搾部43は、互いに平行な回転軸44a,45aを有し、図8中、上方に配置し、第1回転軸44aを中心に回転可能な円筒状の第1ドラム44と、下方に配置し、第2回転軸45aを中心に回転可能な円筒状の第2ドラム45とを有している。
【0040】
第1ドラム44と第2ドラム45との間には、互いの周面が0mmより大きく、且つ2.0mm以下離間するようにドラム44,45を配置することで形成したクリアランス46を形成してある。
【0041】
第1ドラム44の周面44zには、第1回転軸44aの軸心回り方向へ沿って、第1回転軸44aの軸心からの距離が一定である周面部44dと、回転軸44aから離間するように周面44zから突出する突出部44eとを交互に形成してある。
【0042】
第2ドラムの周面45zは、第2回転軸45aの軸心からの距離が一定となりように形成してある。
【0043】
突出部44eは、図示省略するが、高圧搾凹部31に対応するように配置したピンと、低圧搾凹部32に対応するように配置した直状部とで構成してある。
【0044】
第1ドラム44は、エンボスプレス工程40の際に、吸液性構造体20に熱を加えることができるように、突出部44eを加熱する不図示の加熱部を備えている。この加熱部は、突出部44eの表面温度が約80〜100℃になるように構成してある。
【0045】
第1回転軸44aを中心に第1ドラム44を一方向d4に回転させるとともに、第2回転軸45aを中心に第2ドラム45を一方向d5に回転させながら、第1ドラム44と第2ドラム45との間のクリアランス46に吸液性構造体20を通過させると、吸液性構造体20は、第1ドラム44の突出部44eと、第2ドラム45の周面とによって上下方向VDに圧搾されて、圧搾凹部30を有する存在領域36が形成される。より具体的には、第1ドラム44のピンと、第2ドラム45の周面とによって高圧搾凹部31が形成され、第1ドラム44の直状部と、第2ドラム45の周面とによって低圧搾凹部32が形成される。ただし、存在領域36における内部領域33は、実質的には上下方向VDに圧搾されない。また、吸液性構造体20は、第1ドラム44の周面部44zと、第2ドラム45の周面45zとによって挟まれた場合、実質的には上下方向VDに圧搾されず、非存在領域35が形成される。
【0046】
一例をあげて説明すると、第1ドラム44と第2ドラム45との間のクリアランス46に、例えば吸収性繊維25のみから成る質量が約200g/m2の芯材23を備え、上下方向VDの見掛上の寸法が約2.0mmの吸液性構造体20を通過させた場合、高圧搾凹部31の厚さ方向Zの寸法が約0.1〜0.2mmであり、低圧搾凹部32の厚さ方向Zの寸法が約0.5mmであり、内部領域33および非存在領域35の厚さ方向Zの寸法が約2.0mmとなる。
【0047】
この圧縮の際、最も大きな第1圧縮力が加えられることによって、厚さ方向Zの寸法が最も小さい高圧搾凹部31が形成され、2番目に大きな第2圧縮力が加えられることによって、低圧搾凹部32が形成され、実質的に圧縮力が加えられないことによって、厚さ方向Zの寸法が最も大きい非存在領域35,および内部領域33が形成される。
【0048】
このように加えられる圧縮力の大きさに基づいて相対的に高圧搾凹部31の吸収性繊維25の密度が高く、次に、低圧搾凹部32の吸収性繊維25の密度が高い一方、非存在領域35および内部領域33の吸収性繊維25の密度が低い。
【0049】
吸収性繊維25の密度が高い場合、体液の拡散速度が向上する。一方、吸収性ポリマー粒子24および吸収性繊維25の密度が低い場合、その程度にもよるが、体液の拡散速度は低下するものの、吸収保持できる体液の容量が増大する。
【0050】
吸液性構造体20を製造する場合、例えば第1シート21の非肌対向面側にホットメルト接着剤等の接着剤を塗布し、且つ第2シート22の肌対向面側にホットメルト接着剤等の接着剤を塗布する。
【0051】
このように形成した吸液性構造体20には、図1〜図3に示すように、サイドシート14を肌対向面側に取り付けた表面シート11を吸液性構造体20の肌対向面側に積層し、且つ裏面シート12を吸液性構造体20の非肌対向面側に積層する。この積層の際、表面シート11の非肌対向面側および吸液性構造体20の肌対向面側の少なくともいずれか一方にホットメルト接着剤等の接着剤を塗布し、吸液性構造体20の非肌対向面側および裏面シート12の肌対向面側の少なくともいずれか一方にホットメルト接着剤等の接着剤を塗布する。
【0052】
吸液性構造体20に表面シート11および裏面シート12を積層した後、肌対向面側から非肌対向面側へ向けて凹む圧搾条溝50を形成する。
【0053】
圧搾条溝50は、図2に示すように、厚さ方向Zにおいて、例えば表面シート11と第1シート21を溶着しているが、第2シート22および裏面シート12を他のシート11,21に溶着せずに、シート11,21および吸液性構造体20を厚さ方向Zに圧縮するよう形成してある。ただし、圧搾条溝50を形成している箇所のうち、低圧搾凹部32に隣接する箇所53aについては、後述する例外がある。
【0054】
また、圧搾条溝50は、図1に示すように、仮想横中心線Qと仮想縦中心線Pとが交差する交点Oに対して近接するように配置した内側圧搾条溝51と、交点Oに対して離間するように配置した外側圧搾条溝55とを備えている。
【0055】
内側圧搾条溝51は、仮想縦中心線Pに関して対称で、それぞれが縦方向Yに延びる一対の第1条溝52と、仮想横中心線Qに関して対称で、それぞれが横方向Xに延びる一対の第2条溝53とを備え、第1条溝52と第2条溝53とが連続しないように内側圧搾条溝51を形成してある。
【0056】
第2条溝53の一部53aは、図9に示すように、縦方向Yにおいて、吸液性構造体20の非存在領域35と存在領域36との境界37に隣接するように配置してある。よって、この第2条溝53の一部53aでは、厚さ方向Zにおいて、低圧搾凹部32と第2条溝53とが重なり、第1シート21と第2シート22と表面シート11とが溶着されている。
【0057】
外側圧搾条溝55は、仮想縦中心線Pに関して対称で、それぞれが縦方向Yに延びる一対の第3条溝56と、仮想横中心線Qに関して対称で、それぞれが横方向Xに延びる一致の第4条溝57とを備え、第3条溝56と第4条溝57とが連続するように外側圧搾条溝55を形成してある。ただし、図1においては、図1中上方の第4条溝57を省略してある。
【0058】
この発明に係る生理用ナプキン10によれば、吸液性構造体20の一部に、厚さ方向Zに圧搾された圧搾凹部30を形成してあるため、圧搾凹部30を形成した部位では、厚さ方向Zの寸法を小さくすることができ、かつ圧搾凹部30を形成していない部位では、柔らかさを維持することができる。
【0059】
加えて、吸液性構造体20の一部には、非肌対向面側から肌対向面側へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部30を形成してあるため、吸液性構造体20の肌対向面側に配置する表面シート11には圧搾凹部30を形成する必要がない。よって、熱や力が加わることによって表面シート11が損傷することを防止することができるから、着用者が不快に感じることがない。従って、生理用ナプキン10を着用した着用者に、柔らかな使用感を与えることができる。しかも、表面シート11に圧搾凹部30を形成する必要がないため、表面シート11に凹凸が現れない。よって、長時間、表面シート11に体液が残留することもない。
【0060】
加えて、圧搾凹部30は、厚さ方向Zの寸法が相対的に小さい高圧搾凹部31と、厚さ方向Zの寸法が相対的に大きい低圧搾凹部32とを備え、高圧搾凹部31は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて点在する態様で複数形成してあり、低圧搾凹部32は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、高圧搾凹部31と高圧搾凹部31とを連結するように形成してあるため、高圧搾凹部31と低圧搾凹部32とによって構成される圧搾凹部30は横方向Xおよび縦方向Yに連続する。圧搾凹部30は、吸収性繊維25が互いに密にからまって剛性が強いため、着用者が生理用ナプキン10を着用している際、生理用ナプキン10に力が加えられても、圧搾凹部30が連続していることによって、剛性を向上することができ、生理用ナプキン10にヨレや曲りが発生することを抑えることができる。
【0061】
また、高圧搾凹部31は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて点在する態様で複数形成するとともに、第1シート21と第2シート22とが溶着するように形成してあるため、高圧搾凹部31を形成した部位において、生理用ナプキン10が体液を吸収・保持した状態となっても、形状を維持することができる。
【0062】
さらに、低圧搾凹部32は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、高圧搾凹部31と高圧搾凹部31とを連結するように形成してあり、第1シート21と第2シート22とが溶着しない態様であって内部領域33に比較して厚さ方向Zの長さ寸法が小さくなるように形成してあるため、吸収性繊維25の密度を向上して体液が排泄された場合の毛細管現象を促進し、体液を縦方向Yおよび横方向Xに素早く拡散することができる。
【0063】
また、1つの高圧搾凹部31から延びる複数の低圧搾凹部32において、任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第1方向と、残りの低圧搾凹部32から任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第2方向とが直線状とならないように複数の低圧搾凹部32を形成してあるため、低圧搾凹部32が特定の方向に連続して延びることを防止することができる。よって、生理用ナプキン10が特定の方向に曲がることを防止することができる。従って、生理用ナプキン10が縦方向Yに沿って曲がることも防止することができる。
【0064】
加えて、縦方向Yの中央において、圧搾凹部30が存在しない非存在領域35を形成してあるため、縦方向Yの中央では、吸収・保持することができる体液が減少することを防止することができる。また、縦方向Yの中央において、厚さ方向Zの寸法を大きくして性器に生理用ナプキン10を密着させることができる。
【0065】
また、生理用ナプキン10の縦方向Yの両端部において、圧搾凹部30が存在する存在領域36を形成してあるため、縦方向Yの中央において吸収・保持することができない体液を圧搾凹部30で縦方向Yに素早く移動させることができる。よって、縦方向Yの中央において体液が偏在することを防止することができ、これによって、生理用ナプキン10が実際に吸収・保持することができる体液の容量を、潜在的に体液を吸収・保持することができる容量に近づけることができる。従って、生理用ナプキン10が吸収・保持することができる体液の容量を増大することができる。これによって、体液の逆戻りを防止することもできる。さらに、縦方向Yの両端に存在領域36を形成することによって、該両端部の剛性を向上することができるため、この部位にヨレや曲りが発生することを防止することができる。
【0066】
非存在領域35と存在領域36との境界には、横方向Xへ延びるように肌対向面側から非肌対向面側へ向かう方向へ圧搾された内側圧搾条溝51の第2条溝53が形成してあるため、第2条溝53を形成した部位の剛性を向上することができる。よって、仮に、生理用ナプキン10の縦方向Yの両端部においてヨレや変形が発生したとしても、上述した第2条溝53によって、縦方向Yの中央にヨレや変形が発生することを防止することができる。
【0067】
しかも、上述した第2条溝53の一部53aは、縦方向Yにおいて、吸液性構造体20の非存在領域35と存在領域36との境界37に隣接するように配置され、該第2条溝53の一部53aでは、表面シート11と、第1シート21と、第2シート22とが溶着されているため、体液を肌対向面側から非肌対向面側に拡散することができるとともに、縦方向Yの両端部に形成した圧搾凹部30によって、非肌対向面側で体液を拡散することができるから、肌対向面側に体液が現れることを減少し、体液が排泄された場合の違和感を減少させることができる。また、肌対向面側に現れる圧搾条溝50を抑えることができるため、装着した際の違和感を抑えることができる。
【0068】
また、この生理用ナプキン10では、第1シート21にエアスルー繊維不織布を用いてあり、第2シート22にSMS繊維不織布を用いてある。エアスルー繊維不織布およびSMS繊維不織布は、耐水性を有する。一方、吸収性繊維25に天然パルプ繊維を用いた場合、体液が生理用ナプキン10に排泄されると、天然パルプ繊維は水素結合が解離する。しかし、この発明に係る生理用ナプキン10では、耐水性を有する繊維不織布を第1シート21および第2シート22に用いてあり、これら第1シート21、第2シート22、および芯材23を高圧搾凹部31で一体化しているため、第1シート21および第2シート22によって芯材23を補強し、体液が排泄された状態においても、剛性が低下することを抑えることができる。
【0069】
図10は、本発明に係る吸収性物品の第1変形例を示す生理用ナプキン100の吸液性構造体20aを非肌対向面側から見た底面図である。第1変形例の基本的構成は、上述した生理用ナプキン10と同様であるので、相違する点についてのみ以下に説明する。
【0070】
この吸液性構造体20aの一部には、非肌対向面から肌対向面へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部30aを形成してある。圧搾凹部30aは、厚さ方向Zの寸法が相対的に小さい高圧搾凹部31aと、厚さ方向Zの寸法が相対的に大きい低圧搾凹部32aとを備えている。
【0071】
この高圧搾凹部31aは、平行四辺形の頂点に配置してある点のみが、上述した高圧搾凹部31と異なる。この平行四辺形は、互いに隣接するものにおいて、辺の長さが互いに異なる。
【0072】
低圧搾凹部32aは、平行四辺形の辺に配置してある点のみが、上述した低圧搾凹部32と異なる。
【0073】
この吸液性構造体20aは、任意に選択した高圧搾凹部31aに関して、その高圧搾凹部31aから延びる4つの低圧搾凹部32aが存在する。説明の便宜上、図10において、ある高圧搾凹部31aから図10中、上方へ向けて延びる低圧搾凹部32を第1低圧搾凹部32lとよび、左方に向けて傾斜する態様で延びる低圧搾凹部32を第2低圧搾凹部32mとよび、右方に向けて傾斜する態様で延びる低圧搾凹部32を第3低圧搾凹部32nとよび、下方へ向けて延びる低圧搾凹部32を第4低圧搾凹部32oとよぶ。
【0074】
この吸液性構造体20aでは、高圧搾凹部31から第1低圧搾凹部32lが延びる方向d11と、高圧搾凹部31から第4低圧搾凹部32oが延びる方向d14とが成す角は180度でなく、高圧搾凹部31から第2低圧搾凹部32mが延びる方向d12と、高圧搾凹部31から延びる第3低圧搾凹部32nが延びる方向d13とが成す角も180度ではない。また、いずれか1つの方向d11〜d14と、残りの方向d11〜d14とが成す角も180度ではない。
【0075】
この吸液性構造体20aでは、高圧搾凹部31から延びる4つの低圧搾凹部32において、任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第1方向と、残りの低圧搾凹部32から任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第2方向とが180度とならないように、換言すれば直線状とならないように、高圧搾凹部31の周囲に4つの低圧搾凹部32l,32m,32n,32oを配置してある。よって高圧搾凹部31aから延びる低圧搾凹部32aが特定の方向に連続して延びることを防止することができるため、生理用ナプキン10が特定の方向に曲がることを防止することができる。
【0076】
図11は、本発明に係る吸収性物品の第2変形例を示す生理用ナプキン200の吸液性構造体20bを非肌対向面側から見た底面図である。第2変形例の基本的構成は、上述した生理用ナプキン10と同様であるので、相違する点についてのみ以下に説明する。
【0077】
この吸液性構造体20bの一部には、非肌対向面から肌対向面へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部30bを形成してある。圧搾凹部30bは、厚さ方向Zの寸法が相対的に小さい高圧搾凹部31bと、厚さ方向Zの寸法が相対的に大きい低圧搾凹部32bとを備えている。
【0078】
この高圧搾凹部31bは、互いに異なる2種類の形状の菱形201,202の頂点に配置してある点のみが、上述した高圧搾凹部31とことなる。2種類の菱形201,202のうち、一方の菱形201は、互いに隣接する辺の交差角度が72度と、108度である一方、他方の菱形202は、互いに隣接する辺の交差角度が36度と、144度であり、いわゆるペンローズ・タイル形式にこれらの菱形201,202を配置してある。
【0079】
低圧搾凹部32bは、上述した菱形201,202の辺に配置してある点のみが上述した低圧搾凹部32と異なる。
【0080】
この吸液性構造体20は、ある高圧搾凹部31bに関して、該高圧搾凹部31bから延びる4つの低圧搾凹部32bが存在する場合と、該高圧搾凹部31bから延びる5つの低圧搾凹部32bが存在する場合とがある。いずれの場合においても、互いに異なる2種類の形状の菱形201,202をペンローズ・タイル形式に配置してあるため、高圧搾凹部31bから延びる複数の低圧搾凹部32bにおいて、任意に選択した低圧搾凹部32bの延びる第1方向と、残りの低圧搾凹部32から任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第2方向とが直線状とならないように複数の低圧搾凹部32を配置してある。よって、高圧搾凹部31bから延びる低圧搾凹部32bが特定の方向に連続して延びることを防止することができるため、生理用ナプキン10が特定の方向に曲がることを防止することができる。
【0081】
図12は、本発明に係る吸収性物品の第3変形例を示す生理用ナプキン300の吸液性構造体20cを非肌対向面側から見た底面図である。第3変形例の基本的構成は、上述した生理用ナプキン10と同様であるので、相違する点についてのみ以下に説明する。
【0082】
この吸液性構造体20cの一部には、非肌対向面から肌対向面へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部30cを形成してある。圧搾凹部30cは、厚さ方向Zの寸法が相対的に小さい高圧搾凹部31cと、厚さ方向Zの寸法が相対的に大きい低圧搾凹部32cとを備えている。
【0083】
低圧搾凹部32cは、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、高圧搾凹部31cと高圧搾凹部31cとを連結するように曲線状に形成してある。
【0084】
この吸液性構造体20cは、任意に選択した高圧搾凹部31cに関して、その高圧搾凹部31cから延びる複数の低圧搾凹部32cが存在する。この吸液性構造体20cでは、高圧搾凹部31cから延びる複数の低圧搾凹部32cにおいて、任意に選択した低圧搾凹部32cの延びる第1方向と、残りの低圧搾凹部32cから任意に選択した低圧搾凹部32cの延びる第2方向とが180度とならないように、換言すれば、直線状とならないように、高圧搾凹部31cの周囲に複数の低圧搾凹部32cを配置してある。よって、高圧搾凹部31cから延びる低圧搾凹部32cが特定の方向に連続して延びることを防止することができる。従って、生理用ナプキン10が特定の方向に曲がることを防止することができる。また、この例の低圧搾凹部32cは、曲線状に形成してあるため、生理用ナプキン300に直線状の折れ曲がりが発生することを防止することができる。なお、高圧搾凹部31cから延びる低圧搾凹部32cが特定の方向に連続して延びることを防止すればよく、低圧搾凹部32cは曲線状のみでなく、適宜直線状のものを含んでもよい。
【0085】
なお、生理用ナプキン10,100,200,300は、この発明の範囲で適宜変更することができ、上述した実施形態に限定されることはない。例えば、この発明は、生理用ナプキン10などに限られず、軽失禁パッド、パンティライナ、おりもの吸収用パッド、尿吸収パッド、紙おむつ等に適用してもよい。
【0086】
また、上述した実施形態には、高圧搾凹部31および低圧搾凹部32を厚さ方向Zに圧縮することによって形成するもので説明したが、必ずしもこれらを圧縮して形成する必要はない。加えて、高圧搾凹部31および低圧搾凹部32に加える圧縮力を変えることで、吸収性繊維25の密度が異なる凹部31,32を形成する例を用いて説明したが、これらの凹部31,32を形成する方法は、上述した方法に限られない。
【0087】
生理用ナプキン10,100,200,300を構成する部材には、特に明記されていない限りにおいて、この明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている公知の材料を制限なく用いることができる。
【0088】
また、この明細書において使用されている「第1」、「第2」、「第3」および「第4」の用語は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いてある。
【0089】
以上に記載したこの発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
【0090】
互いに直交する横方向Xと縦方向Yと厚さ方向Zとを有し、厚さ方向Zの一方に配置して着用者の肌対向面側に位置する透液性の表面シート11と、厚さ方向Zの他方に配置して着用者の非肌対向面側に位置する裏面シート12と、表面シート11および裏面シート12の間に介在する吸液性構造体20とを備える生理用ナプキン10において、吸液性構造体20は、肌対向面側に位置する透液性の第1シート21と、非肌対向面側に位置する第2シート22と、第1シート21および第2シート22の間に介在する体液吸収性の芯材23とを備え、吸液性構造体20の一部には、非肌対向面側から肌対向面側へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部30を形成してあり、圧搾凹部30は、厚さ方向Zの長さ寸法が相対的に小さい高圧搾凹部31と、厚さ方向Zの長さ寸法が相対的に大きい低圧搾凹部32とを備え、高圧搾凹部31は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、点在する態様で複数形成してあり、低圧搾凹部32は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、高圧搾凹部32と高圧搾凹部32とを連結するように形成してあることを特徴とする生理用ナプキン10。
【0091】
上記段落0090に開示した発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
【0092】
(1) 1つの高圧搾凹部31から延びる複数の低圧搾凹部32において、任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第1方向と、残りの低圧搾凹部32から任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第2方向とが直線状とならないように高圧搾凹部31の周囲に複数の低圧搾凹部32を配置してある。
(2) 縦方向Yの中央において、圧搾凹部30が存在しない非存在領域35を形成してある一方、縦方向Yの両端部において、圧搾凹部30が存在する存在領域36を形成してある。
(3) 非存在領域35と存在領域36との境界には、横方向Xへ延びるように肌対向面側から非肌対向面側へ向かう方向へ圧搾された圧搾条溝50が形成してある。
(4) 第1シート21、第2シート22、および表面シート11は、それぞれ熱可塑性合成樹脂を含み、圧搾凹部30は、第1シート21と第2シート22とを溶着することで形成し、圧搾条溝50は、第1シート21と表面シート11とを溶着することで形成し、圧搾凹部30と圧搾条溝50の第2条溝53とが隣接する箇所53aでは、第1シート21と第2シート22と表面シート11とが溶着している。
【符号の説明】
【0093】
10 生理用ナプキン(吸収性物品)
11 表面シート
12 裏面シート
20 吸液性構造体
21 第1シート
22 第2シート
23 芯材
30 圧搾凹部
31 高圧搾凹部
32 低圧搾凹部
35 非存在領域
36 存在領域
X 横方向
Y 縦方向
Z 厚さ方向
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸収性物品に関し、より詳しくは、軽失禁パッド、パンティライナ、生理用ナプキン、おりもの吸収用パッド、尿吸収パッド、紙おむつ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、厚さ方向の一方に配置して着用者の肌対向面側に位置する透液性の表面シートと、厚さ方向の他方に配置して着用者の非肌対向面側に位置する不透液性の裏面シートと、表面シートおよび裏面シートの間に介在する吸液性構造体とを備える吸収性物品は公知である。
【0003】
例えば、特許文献1には、表面シートと、裏面シートと、吸液性構造体とを備える生理用ナプキンが開示されている。該ナプキンの一部には、肌対向面側から非肌対向面側へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部を形成してある。
【0004】
この生理用ナプキンによれば、圧搾凹部を形成した部位では、厚さ方向の寸法を小さくすることができ、かつ圧搾凹部を形成していない部位では、柔らかさを維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−33397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている吸収性物品の圧搾凹部は、表面シートから裏面シートへ向かう方向に形成されている。よって、この吸収性物品の肌対向面には、圧搾凹部による凹凸が存在し、且つ表面シートは、圧搾凹部を形成する際に熱や力によって損傷する。このような吸収性物品を着用者の肌に当接した場合、表面シートが溶融してできた塊が着用者の肌に当接することによって着用者が不快に感じたり、該凹凸に体液が長時間残留したりする課題が存在した。
【0007】
そこで、この発明では、厚さ方向の寸法を小さくすることができ、柔らかさを維持することができるとともに、着用者が不快に感じることがなく、長時間、表面シートに体液が残留することのない吸収性物品の提供を課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明は、互いに直交する縦方向と横方向と厚さ方向とを有し、厚さ方向の一方に配置して着用者の肌対向面側に位置する透液性の表面シートと、厚さ方向の他方に配置して着用者の非肌対向面側に位置する裏面シートと、表面シートおよび前記裏面シートの間に介在する吸液性構造体とを備える吸収性物品を前提とする。
【0009】
この吸収性物品において、この発明の特徴は、吸液性構造体は、肌対向面側に位置する透液性の第1シートと、非肌対向面側に位置する第2シートと、第1シートおよび第2シートの間に介在する体液吸収性の芯材とを備えている。吸液性構造体の一部には、非肌対向面側から肌対向面側へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部を形成してある。圧搾凹部は、厚さ方向の寸法が相対的に小さい高圧搾凹部と、前記厚さ方向の寸法が相対的に大きい低圧搾凹部とを備える。高圧搾凹部は、縦方向および横方向において、点在する態様で複数形成してある。低圧搾凹部は、縦方向および横方向において、高圧搾凹部と高圧搾凹部とを連結するように形成してある。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る吸収性物品によれば、吸液性構造体の一部に、厚さ方向に圧搾された圧搾凹部を形成してあるため、圧搾凹部を形成した部位では、厚さ方向の寸法を小さくすることができ、かつ圧搾凹部を形成していない部位では、柔らかさを維持することができる。
【0011】
加えて、吸液性構造体の一部には、非肌対向面側から肌対向面側へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部を形成してあるため、吸液性構造体の肌対向面側に配置する表面シートには圧搾凹部を形成する必要がない。よって、熱や力が加わることによって表面シートが損傷することを防止することができるから、着用者が不快に感じることがない。しかも、表面シートに圧搾凹部を形成する必要がないため、表面シートに凹凸が現れない。よって、長時間、表面シートに体液が残留することもない。
【0012】
加えて、圧搾凹部は、厚さ方向の寸法が相対的に小さい高圧搾凹部と、厚さ方向の寸法が相対的に大きい低圧搾凹部とを備え、高圧搾凹部は、縦方向および横方向において点在する態様で複数形成してあり、低圧搾凹部は、縦方向および横方向において、高圧搾凹部と高圧搾凹部とを連結するように形成してあるため、高圧搾凹部と低圧搾凹部とによって構成される圧搾凹部は横方向Xおよび縦方向Yに連続する。圧搾凹部は、吸収性繊維が互いに密にからまって剛性が強いため、着用者が生理用ナプキンを着用している際、生理用ナプキンに力が加えられても、圧搾凹部が連続していることによって、剛性を向上することができ、生理用ナプキンにヨレや曲りが発生することを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る吸収性物品の一例としての生理用ナプキンの部分破断平面図。
【図2】図1のII−II線拡大断面図。
【図3】図1のIII−III線拡大断面図。
【図4】吸液性構造体の非肌対向面側から見た底面図。
【図5】図4のV−V線拡大断面図。
【図6】図4のVIで示した部分の拡大図。
【図7】図6の肌対向面側を示す拡大図。
【図8】エンボスプレス工程を示す説明図。
【図9】図1のVIII−VIII線拡大断面図。
【図10】第1変形例の生理用ナプキンの非肌対向面側を示す部分拡大図。
【図11】第2変形例の生理用ナプキンの非肌対向面側を示す部分拡大図。
【図12】第3変形例の生理用ナプキンの非肌対向面側を示す部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面を参照して、この発明に係る吸収性物品の一例である生理用ナプキンの実施形態を説明すると、以下のとおりである。
【0015】
図1は、この発明に係る生理用ナプキン10の平面図であり、図2は、図1のII−II線拡大断面図であり、図3は、図1のIII−III線拡大断面図である。図中、Xは横方向を示し、Yは横方向Xに直交する縦方向を示し、Zは横方向Xおよび縦方向Yにそれぞれ直交する厚さ方向を示し、Pは生理用ナプキン10の横方向Xの長さ方向の寸法を二等分する仮想縦中心線を示し、Qは生理用ナプキン10の縦方向Yの長さ方向の寸法を二等分する仮想横中心線を示している。
【0016】
生理用ナプキン10は、例えば仮想縦中心線Pおよび仮想横中心線Qに関して対称に形成してあり、着用者の肌に対向する面(以下、単に「肌対向面」という)と、その反対側の面(以下、単に「非肌対向面」という)とを有している。
【0017】
生理用ナプキン10は、肌対向面側に位置する表面シート11と、非肌対向面側に位置する裏面シート12と、これら表面シート11と裏面シート12との間に介在する吸液性構造体20とを備えている。
【0018】
表面シート11および裏面シート12は、横方向Xおよび縦方向Yにおける吸液性構造体20の寸法よりも大きく形成した周縁部13を含んでいる。周縁部13は、縦方向Yの両端縁部13aおよび横方向Xの両側縁部13bを含んでいる。表面シート11および裏面シート12は、周縁部13において、公知の接合手段、例えば互いの間に塗布したホットメルト接着剤(不図示)で接合してある。また、図1における両端縁部13aおよび両端縁部13bにおいて、斜線のハッチングで示した部位18は、後述するように熱可塑性合成樹脂を含む表面シート11および裏面シート12を互いに溶着することによって接合してある。
【0019】
表面シート11は、吸液性構造体20の肌対向面を覆うもので、熱可塑性合成樹脂を含み、透液性を有する繊維不織布である、例えばエアスルー繊維不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布などを用いることができる。熱可塑性合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの複合体、ポリエチレンテレフタレート等を用いることができる。表面シート11は、例えば質量が約10〜50g/m2であり、厚さが約0.5〜2.0mmである。
【0020】
表面シート11の肌対向面側には、横方向Xの中央において表面シート11が肌対向面に露出するとともに、横方向Xの両側縁部13bにおいて表面シート11の肌対向面を覆う態様で、仮想縦中心線Pに関して対称となるように一対のサイドシート14を設けてある。サイドシート14には、熱可塑性合成樹脂を含む透液性または不透液性の繊維不織布を用いることができる。
【0021】
生理用ナプキン10は、サイドシート14と表面シート11と裏面シート12とによって構成し、縦方向Yにおける中央部において、仮想縦中心線Pから互いに離間する態様で、両側縁部13bから横方向Xへ突出するように形成した一対のウイング部15を有している。ウイング部15において、斜線のハッチングで示した部位19は、熱可塑性合成樹脂を含む表面シート11、裏面シート12、およびサイドシート14を互いに溶着することによって接合してある。
【0022】
裏面シート12は、吸液性構造体20の非肌対向面を覆うもので、熱可塑性合成樹脂を含む、プラスチックフィルムを用いることができる。また、そのプラスチックフィルムに、難透液性または不透液性の繊維不織布を積層したものを用いることもできる。繊維不織布として、例えばスパンボンド・メルトブロー・スパンボンド(SMS)繊維不織布、エアスルー繊維不織布、ポイントボンド繊維不織布、スパンボンド繊維不織布等を用いることができる。熱可塑性合成樹脂としては、例えばポリエチレン等の上述した合成樹脂を用いることができるが、表面シート11に用いた樹脂と同じものを用いるのが好ましい。裏面シート12は、例えば質量が約10〜50g/m2であり、厚さが約0.1〜1.0mmである。
【0023】
図4は、生理用ナプキン10の製造途中における吸液性構造体20を非肌対向面側から見た底面図であり、図5は、図4のV−V線拡大断面図であり、図6は、図4の一部を拡大した拡大図である。図7は、図6に示す部分を肌対向面側から見た拡大図である。
【0024】
吸液性構造体20は、肌対向面側に位置する第1シート21と、非肌対向面側に位置する第2シート22と、第1シート21および第2シート22の間に介在する体液吸収性の芯材23とを備えている。第1シート21および第2シート22は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、芯材23よりも長さ寸法が大きく、芯材23から延出する部分を少なくともいずれか一方のシート21,22に塗布したホットメルト接着剤等の接着剤によってそれぞれ接合してある。
【0025】
第1シート21は、芯材23の肌対向面を覆うもので、熱可塑性合成樹脂を含み、透液性の繊維不織布である、例えばスパンボンド・メルトブロー・スパンボンド(SMS)繊維不織布、エアスルー繊維不織布、ポイントボンド繊維不織布、スパンボンド繊維不織布などを用いることができる。熱可塑性合成樹脂としては、例えばポリエチレン等の上述した合成樹脂を用いることができる。この実施形態では、第1シート21にエアスルー繊維不織布を用いてある。第1シート21にエアスルー繊維不織布を用いれば、第1シート21が肌に当接した際に柔らかい。第1シート21は、例えば質量が約15〜60g/m2である。
【0026】
第2シート22は、芯材23の非肌対向面を覆うもので、熱可塑性合成樹脂を含むプラスチックフィルムを用いることができる。また、そのプラスチックフィルムに代えて、熱可塑性合成樹脂を含む繊維不織布を用いることもできる。繊維不織布としては、例えばスパンボンド・メルトブロー・スパンボンド(SMS)繊維不織布、エアスルー繊維不織布、ポイントボンド繊維不織布、スパンボンド繊維不織布などを用いることができる。熱可塑性合成樹脂としては、例えばポリエチレン等の上述した合成樹脂を用いることができる。この実施形態では、第2シート22にSMS繊維不織布を用いてある。第2シート22は、例えば質量が約15〜60g/m2である。
【0027】
芯材23は、例えば吸収性ポリマー粒子24および吸収性繊維25によって構成してある。吸収性ポリマー粒子24には、例えばデンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系等の粒子状または繊維状であって、自己質量の少なくとも数10倍以上の吸収能を有する水不溶性で水膨潤性のポリマーを用いることができる。
【0028】
吸収性繊維25には、木材フラッフパルプ等の天然パルプ繊維、レーヨンステープル等の再生繊維、およびこれらを混合したものを使用することができる。例えば、吸収性繊維25は、その平均長さが約2〜10mmの木材フラッフパルプ繊維を好適に用いることができる。
【0029】
吸収性繊維25は、例えば質量が約100〜300g/m2である。一方、吸収性ポリマー粒子24に関して、芯材23は吸収性ポリマー粒子24と吸収性繊維25とを混合して芯材23を構成する方が好ましいが、必須の構成要素ではなく、吸収性ポリマー粒子24は、例えば質量が約0〜300g/m2であり、芯材23に含まれなくてもよい。
【0030】
吸液性構造体20の一部には、非肌対向面側から肌対向面側へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部30を形成してある。すなわち、圧搾凹部30は、非肌対向面から肌対向面に向かって凹む。圧搾凹部30は、厚さ方向Zの寸法が相対的に小さい高圧搾凹部31と、厚さ方向Zの寸法が相対的に大きい低圧搾凹部32とを含んでいる。
【0031】
高圧搾凹部31は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、点在する態様で複数形成してある。より具体的には、各高圧搾凹部31は、図6に示すように、互いに近接する4つの構成要素31zによって形成してあり、各構成要素31zは矩形状に形成してある。この実施形態において、高圧搾凹部31は、正六角形の頂点に配置してある。また、高圧搾凹部31は、厚さ方向Zにおいて、熱可塑性樹脂を含む第1シート21と第2シート22とが互いに溶着するように形成してある。高圧搾凹部31は、厚さ方向Zにおける長さ寸法が、約0.05〜0.3mmであることが好ましい。
【0032】
低圧搾凹部32は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、高圧搾凹部31と高圧搾凹部31とを連結するように形成してある。より具体的には、低圧搾凹部32は、第1シート21と第2シート22とが互いに溶着するほどまでは圧搾していないが、厚さ方向Zにおける寸法を、高圧搾凹部31および低圧搾凹部32によって囲まれる内部領域33に比較して小さくすることによって、該部位における密度を内部領域33の密度よりも大きくし、それによって該部位における剛性を内部領域33の剛性より向上している。図7に示すように、低圧搾凹部32は、肌対向面側の表面には現れない一方、高圧搾凹部31は、肌対向面側の表面に現れる。低圧搾凹部32は、厚さ方向Zにおける長さ寸法が、約0.3〜0.8mmであることが好ましい。また、低圧搾凹部32は、正六角形の辺に配置してあり、直線状を成すよう形成してある。
【0033】
低圧搾凹部32は、正六角形の辺に配置してあるため、任意に選択した高圧搾凹部31に関して、その高圧搾凹部31から延びる3つの低圧搾凹部32が存在する。説明の便宜上、図6中、ある高圧搾凹部31に関して、その高圧搾凹部31から下方へ向けて延びる低圧搾凹部32を第1低圧搾凹部32pとよび、その高圧搾凹部31から左方に向けて傾斜する態様で延びる低圧搾凹部32を第2低圧搾凹部32qとよび、右方に向けて傾斜する態様で延びる低圧搾凹部32を第3低圧搾凹部32rとよぶ。
【0034】
この吸液性構造体20では、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、高圧搾凹部31から第1低圧搾凹部32pが延びる方向d1と、高圧搾凹部31から第2低圧搾凹部32qが延びる方向d2とが成す角θ1は120度であり、高圧搾凹部31から第1低圧搾凹部32pが延びる方向d1と、高圧搾凹部31から延びる第3低圧搾凹部32rが延びる方向d3とが成す角θ2も120度であり、高圧搾凹部31から第2低圧搾凹部32pが延びる方向d2と、高圧搾凹部31から第3低圧搾凹部32rが延びる方向d3とが成す角θ3も120度である。この吸液性構造体20では、高圧搾凹部31から延びる3つの低圧搾凹部32において、任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第1方向と、残りの低圧搾凹部32から任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第2方向とが180度とならないように、換言すれば直線状とならないように、複数の低圧搾凹部32を配置してある。
【0035】
これら高圧搾凹部31および低圧搾凹部32によって構成してある圧搾凹部30は、生理用ナプキン10の縦方向Yにおける両端に形成してある。換言すれば、この生理用ナプキン10には、縦方向Yの中央において、圧搾凹部30が存在しない非存在領域35を形成してある一方、縦方向Yの両端部において、圧搾凹部30が存在する存在領域36を形成してある。
【0036】
このような吸液性構造体20を製造する工程の一部は、次のとおりである。図8は、吸液性構造体20の製造工程の一部であるエンボスプレス工程40を示す部分斜視図である。図8中、MDは機械方向を示し、CDは機械方向MDと直交する交差方向を示し、VDは機械方向MDおよび交差方向CDにそれぞれ直交する上下方向を示す。なお、機械方向MDは縦方向Yに相当し、交差方向CDは横方向Xに相当し、上下方向VDは厚さ方向Zに相当する。
【0037】
エンボスプレス工程40は、吸液性構造体20を上部に載せた状態で機械方向MDへ搬送するコンベアベルト41を含む搬送部42と、吸液性構造体20を上下方向(厚さ方向Z)VDに圧搾する圧搾部43とから構成してある。
【0038】
吸液性構造体20は、第1シート21がコンベアベルト41に当接するようにコンベアベルト41に載せる。コンベアベルト41に載せられた吸液性構造体20は、吸収性繊維25と吸収性ポリマー粒子24とで形成した芯材23を第1、第2シート21,22で被覆してあり、ほぼ均一の所要の厚さに形成してある。また、この状態の吸液性構造体20は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて吸収性繊維25および吸収性ポリマー粒子24の密度がほぼ均一である。
【0039】
圧搾部43は、互いに平行な回転軸44a,45aを有し、図8中、上方に配置し、第1回転軸44aを中心に回転可能な円筒状の第1ドラム44と、下方に配置し、第2回転軸45aを中心に回転可能な円筒状の第2ドラム45とを有している。
【0040】
第1ドラム44と第2ドラム45との間には、互いの周面が0mmより大きく、且つ2.0mm以下離間するようにドラム44,45を配置することで形成したクリアランス46を形成してある。
【0041】
第1ドラム44の周面44zには、第1回転軸44aの軸心回り方向へ沿って、第1回転軸44aの軸心からの距離が一定である周面部44dと、回転軸44aから離間するように周面44zから突出する突出部44eとを交互に形成してある。
【0042】
第2ドラムの周面45zは、第2回転軸45aの軸心からの距離が一定となりように形成してある。
【0043】
突出部44eは、図示省略するが、高圧搾凹部31に対応するように配置したピンと、低圧搾凹部32に対応するように配置した直状部とで構成してある。
【0044】
第1ドラム44は、エンボスプレス工程40の際に、吸液性構造体20に熱を加えることができるように、突出部44eを加熱する不図示の加熱部を備えている。この加熱部は、突出部44eの表面温度が約80〜100℃になるように構成してある。
【0045】
第1回転軸44aを中心に第1ドラム44を一方向d4に回転させるとともに、第2回転軸45aを中心に第2ドラム45を一方向d5に回転させながら、第1ドラム44と第2ドラム45との間のクリアランス46に吸液性構造体20を通過させると、吸液性構造体20は、第1ドラム44の突出部44eと、第2ドラム45の周面とによって上下方向VDに圧搾されて、圧搾凹部30を有する存在領域36が形成される。より具体的には、第1ドラム44のピンと、第2ドラム45の周面とによって高圧搾凹部31が形成され、第1ドラム44の直状部と、第2ドラム45の周面とによって低圧搾凹部32が形成される。ただし、存在領域36における内部領域33は、実質的には上下方向VDに圧搾されない。また、吸液性構造体20は、第1ドラム44の周面部44zと、第2ドラム45の周面45zとによって挟まれた場合、実質的には上下方向VDに圧搾されず、非存在領域35が形成される。
【0046】
一例をあげて説明すると、第1ドラム44と第2ドラム45との間のクリアランス46に、例えば吸収性繊維25のみから成る質量が約200g/m2の芯材23を備え、上下方向VDの見掛上の寸法が約2.0mmの吸液性構造体20を通過させた場合、高圧搾凹部31の厚さ方向Zの寸法が約0.1〜0.2mmであり、低圧搾凹部32の厚さ方向Zの寸法が約0.5mmであり、内部領域33および非存在領域35の厚さ方向Zの寸法が約2.0mmとなる。
【0047】
この圧縮の際、最も大きな第1圧縮力が加えられることによって、厚さ方向Zの寸法が最も小さい高圧搾凹部31が形成され、2番目に大きな第2圧縮力が加えられることによって、低圧搾凹部32が形成され、実質的に圧縮力が加えられないことによって、厚さ方向Zの寸法が最も大きい非存在領域35,および内部領域33が形成される。
【0048】
このように加えられる圧縮力の大きさに基づいて相対的に高圧搾凹部31の吸収性繊維25の密度が高く、次に、低圧搾凹部32の吸収性繊維25の密度が高い一方、非存在領域35および内部領域33の吸収性繊維25の密度が低い。
【0049】
吸収性繊維25の密度が高い場合、体液の拡散速度が向上する。一方、吸収性ポリマー粒子24および吸収性繊維25の密度が低い場合、その程度にもよるが、体液の拡散速度は低下するものの、吸収保持できる体液の容量が増大する。
【0050】
吸液性構造体20を製造する場合、例えば第1シート21の非肌対向面側にホットメルト接着剤等の接着剤を塗布し、且つ第2シート22の肌対向面側にホットメルト接着剤等の接着剤を塗布する。
【0051】
このように形成した吸液性構造体20には、図1〜図3に示すように、サイドシート14を肌対向面側に取り付けた表面シート11を吸液性構造体20の肌対向面側に積層し、且つ裏面シート12を吸液性構造体20の非肌対向面側に積層する。この積層の際、表面シート11の非肌対向面側および吸液性構造体20の肌対向面側の少なくともいずれか一方にホットメルト接着剤等の接着剤を塗布し、吸液性構造体20の非肌対向面側および裏面シート12の肌対向面側の少なくともいずれか一方にホットメルト接着剤等の接着剤を塗布する。
【0052】
吸液性構造体20に表面シート11および裏面シート12を積層した後、肌対向面側から非肌対向面側へ向けて凹む圧搾条溝50を形成する。
【0053】
圧搾条溝50は、図2に示すように、厚さ方向Zにおいて、例えば表面シート11と第1シート21を溶着しているが、第2シート22および裏面シート12を他のシート11,21に溶着せずに、シート11,21および吸液性構造体20を厚さ方向Zに圧縮するよう形成してある。ただし、圧搾条溝50を形成している箇所のうち、低圧搾凹部32に隣接する箇所53aについては、後述する例外がある。
【0054】
また、圧搾条溝50は、図1に示すように、仮想横中心線Qと仮想縦中心線Pとが交差する交点Oに対して近接するように配置した内側圧搾条溝51と、交点Oに対して離間するように配置した外側圧搾条溝55とを備えている。
【0055】
内側圧搾条溝51は、仮想縦中心線Pに関して対称で、それぞれが縦方向Yに延びる一対の第1条溝52と、仮想横中心線Qに関して対称で、それぞれが横方向Xに延びる一対の第2条溝53とを備え、第1条溝52と第2条溝53とが連続しないように内側圧搾条溝51を形成してある。
【0056】
第2条溝53の一部53aは、図9に示すように、縦方向Yにおいて、吸液性構造体20の非存在領域35と存在領域36との境界37に隣接するように配置してある。よって、この第2条溝53の一部53aでは、厚さ方向Zにおいて、低圧搾凹部32と第2条溝53とが重なり、第1シート21と第2シート22と表面シート11とが溶着されている。
【0057】
外側圧搾条溝55は、仮想縦中心線Pに関して対称で、それぞれが縦方向Yに延びる一対の第3条溝56と、仮想横中心線Qに関して対称で、それぞれが横方向Xに延びる一致の第4条溝57とを備え、第3条溝56と第4条溝57とが連続するように外側圧搾条溝55を形成してある。ただし、図1においては、図1中上方の第4条溝57を省略してある。
【0058】
この発明に係る生理用ナプキン10によれば、吸液性構造体20の一部に、厚さ方向Zに圧搾された圧搾凹部30を形成してあるため、圧搾凹部30を形成した部位では、厚さ方向Zの寸法を小さくすることができ、かつ圧搾凹部30を形成していない部位では、柔らかさを維持することができる。
【0059】
加えて、吸液性構造体20の一部には、非肌対向面側から肌対向面側へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部30を形成してあるため、吸液性構造体20の肌対向面側に配置する表面シート11には圧搾凹部30を形成する必要がない。よって、熱や力が加わることによって表面シート11が損傷することを防止することができるから、着用者が不快に感じることがない。従って、生理用ナプキン10を着用した着用者に、柔らかな使用感を与えることができる。しかも、表面シート11に圧搾凹部30を形成する必要がないため、表面シート11に凹凸が現れない。よって、長時間、表面シート11に体液が残留することもない。
【0060】
加えて、圧搾凹部30は、厚さ方向Zの寸法が相対的に小さい高圧搾凹部31と、厚さ方向Zの寸法が相対的に大きい低圧搾凹部32とを備え、高圧搾凹部31は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて点在する態様で複数形成してあり、低圧搾凹部32は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、高圧搾凹部31と高圧搾凹部31とを連結するように形成してあるため、高圧搾凹部31と低圧搾凹部32とによって構成される圧搾凹部30は横方向Xおよび縦方向Yに連続する。圧搾凹部30は、吸収性繊維25が互いに密にからまって剛性が強いため、着用者が生理用ナプキン10を着用している際、生理用ナプキン10に力が加えられても、圧搾凹部30が連続していることによって、剛性を向上することができ、生理用ナプキン10にヨレや曲りが発生することを抑えることができる。
【0061】
また、高圧搾凹部31は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて点在する態様で複数形成するとともに、第1シート21と第2シート22とが溶着するように形成してあるため、高圧搾凹部31を形成した部位において、生理用ナプキン10が体液を吸収・保持した状態となっても、形状を維持することができる。
【0062】
さらに、低圧搾凹部32は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、高圧搾凹部31と高圧搾凹部31とを連結するように形成してあり、第1シート21と第2シート22とが溶着しない態様であって内部領域33に比較して厚さ方向Zの長さ寸法が小さくなるように形成してあるため、吸収性繊維25の密度を向上して体液が排泄された場合の毛細管現象を促進し、体液を縦方向Yおよび横方向Xに素早く拡散することができる。
【0063】
また、1つの高圧搾凹部31から延びる複数の低圧搾凹部32において、任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第1方向と、残りの低圧搾凹部32から任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第2方向とが直線状とならないように複数の低圧搾凹部32を形成してあるため、低圧搾凹部32が特定の方向に連続して延びることを防止することができる。よって、生理用ナプキン10が特定の方向に曲がることを防止することができる。従って、生理用ナプキン10が縦方向Yに沿って曲がることも防止することができる。
【0064】
加えて、縦方向Yの中央において、圧搾凹部30が存在しない非存在領域35を形成してあるため、縦方向Yの中央では、吸収・保持することができる体液が減少することを防止することができる。また、縦方向Yの中央において、厚さ方向Zの寸法を大きくして性器に生理用ナプキン10を密着させることができる。
【0065】
また、生理用ナプキン10の縦方向Yの両端部において、圧搾凹部30が存在する存在領域36を形成してあるため、縦方向Yの中央において吸収・保持することができない体液を圧搾凹部30で縦方向Yに素早く移動させることができる。よって、縦方向Yの中央において体液が偏在することを防止することができ、これによって、生理用ナプキン10が実際に吸収・保持することができる体液の容量を、潜在的に体液を吸収・保持することができる容量に近づけることができる。従って、生理用ナプキン10が吸収・保持することができる体液の容量を増大することができる。これによって、体液の逆戻りを防止することもできる。さらに、縦方向Yの両端に存在領域36を形成することによって、該両端部の剛性を向上することができるため、この部位にヨレや曲りが発生することを防止することができる。
【0066】
非存在領域35と存在領域36との境界には、横方向Xへ延びるように肌対向面側から非肌対向面側へ向かう方向へ圧搾された内側圧搾条溝51の第2条溝53が形成してあるため、第2条溝53を形成した部位の剛性を向上することができる。よって、仮に、生理用ナプキン10の縦方向Yの両端部においてヨレや変形が発生したとしても、上述した第2条溝53によって、縦方向Yの中央にヨレや変形が発生することを防止することができる。
【0067】
しかも、上述した第2条溝53の一部53aは、縦方向Yにおいて、吸液性構造体20の非存在領域35と存在領域36との境界37に隣接するように配置され、該第2条溝53の一部53aでは、表面シート11と、第1シート21と、第2シート22とが溶着されているため、体液を肌対向面側から非肌対向面側に拡散することができるとともに、縦方向Yの両端部に形成した圧搾凹部30によって、非肌対向面側で体液を拡散することができるから、肌対向面側に体液が現れることを減少し、体液が排泄された場合の違和感を減少させることができる。また、肌対向面側に現れる圧搾条溝50を抑えることができるため、装着した際の違和感を抑えることができる。
【0068】
また、この生理用ナプキン10では、第1シート21にエアスルー繊維不織布を用いてあり、第2シート22にSMS繊維不織布を用いてある。エアスルー繊維不織布およびSMS繊維不織布は、耐水性を有する。一方、吸収性繊維25に天然パルプ繊維を用いた場合、体液が生理用ナプキン10に排泄されると、天然パルプ繊維は水素結合が解離する。しかし、この発明に係る生理用ナプキン10では、耐水性を有する繊維不織布を第1シート21および第2シート22に用いてあり、これら第1シート21、第2シート22、および芯材23を高圧搾凹部31で一体化しているため、第1シート21および第2シート22によって芯材23を補強し、体液が排泄された状態においても、剛性が低下することを抑えることができる。
【0069】
図10は、本発明に係る吸収性物品の第1変形例を示す生理用ナプキン100の吸液性構造体20aを非肌対向面側から見た底面図である。第1変形例の基本的構成は、上述した生理用ナプキン10と同様であるので、相違する点についてのみ以下に説明する。
【0070】
この吸液性構造体20aの一部には、非肌対向面から肌対向面へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部30aを形成してある。圧搾凹部30aは、厚さ方向Zの寸法が相対的に小さい高圧搾凹部31aと、厚さ方向Zの寸法が相対的に大きい低圧搾凹部32aとを備えている。
【0071】
この高圧搾凹部31aは、平行四辺形の頂点に配置してある点のみが、上述した高圧搾凹部31と異なる。この平行四辺形は、互いに隣接するものにおいて、辺の長さが互いに異なる。
【0072】
低圧搾凹部32aは、平行四辺形の辺に配置してある点のみが、上述した低圧搾凹部32と異なる。
【0073】
この吸液性構造体20aは、任意に選択した高圧搾凹部31aに関して、その高圧搾凹部31aから延びる4つの低圧搾凹部32aが存在する。説明の便宜上、図10において、ある高圧搾凹部31aから図10中、上方へ向けて延びる低圧搾凹部32を第1低圧搾凹部32lとよび、左方に向けて傾斜する態様で延びる低圧搾凹部32を第2低圧搾凹部32mとよび、右方に向けて傾斜する態様で延びる低圧搾凹部32を第3低圧搾凹部32nとよび、下方へ向けて延びる低圧搾凹部32を第4低圧搾凹部32oとよぶ。
【0074】
この吸液性構造体20aでは、高圧搾凹部31から第1低圧搾凹部32lが延びる方向d11と、高圧搾凹部31から第4低圧搾凹部32oが延びる方向d14とが成す角は180度でなく、高圧搾凹部31から第2低圧搾凹部32mが延びる方向d12と、高圧搾凹部31から延びる第3低圧搾凹部32nが延びる方向d13とが成す角も180度ではない。また、いずれか1つの方向d11〜d14と、残りの方向d11〜d14とが成す角も180度ではない。
【0075】
この吸液性構造体20aでは、高圧搾凹部31から延びる4つの低圧搾凹部32において、任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第1方向と、残りの低圧搾凹部32から任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第2方向とが180度とならないように、換言すれば直線状とならないように、高圧搾凹部31の周囲に4つの低圧搾凹部32l,32m,32n,32oを配置してある。よって高圧搾凹部31aから延びる低圧搾凹部32aが特定の方向に連続して延びることを防止することができるため、生理用ナプキン10が特定の方向に曲がることを防止することができる。
【0076】
図11は、本発明に係る吸収性物品の第2変形例を示す生理用ナプキン200の吸液性構造体20bを非肌対向面側から見た底面図である。第2変形例の基本的構成は、上述した生理用ナプキン10と同様であるので、相違する点についてのみ以下に説明する。
【0077】
この吸液性構造体20bの一部には、非肌対向面から肌対向面へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部30bを形成してある。圧搾凹部30bは、厚さ方向Zの寸法が相対的に小さい高圧搾凹部31bと、厚さ方向Zの寸法が相対的に大きい低圧搾凹部32bとを備えている。
【0078】
この高圧搾凹部31bは、互いに異なる2種類の形状の菱形201,202の頂点に配置してある点のみが、上述した高圧搾凹部31とことなる。2種類の菱形201,202のうち、一方の菱形201は、互いに隣接する辺の交差角度が72度と、108度である一方、他方の菱形202は、互いに隣接する辺の交差角度が36度と、144度であり、いわゆるペンローズ・タイル形式にこれらの菱形201,202を配置してある。
【0079】
低圧搾凹部32bは、上述した菱形201,202の辺に配置してある点のみが上述した低圧搾凹部32と異なる。
【0080】
この吸液性構造体20は、ある高圧搾凹部31bに関して、該高圧搾凹部31bから延びる4つの低圧搾凹部32bが存在する場合と、該高圧搾凹部31bから延びる5つの低圧搾凹部32bが存在する場合とがある。いずれの場合においても、互いに異なる2種類の形状の菱形201,202をペンローズ・タイル形式に配置してあるため、高圧搾凹部31bから延びる複数の低圧搾凹部32bにおいて、任意に選択した低圧搾凹部32bの延びる第1方向と、残りの低圧搾凹部32から任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第2方向とが直線状とならないように複数の低圧搾凹部32を配置してある。よって、高圧搾凹部31bから延びる低圧搾凹部32bが特定の方向に連続して延びることを防止することができるため、生理用ナプキン10が特定の方向に曲がることを防止することができる。
【0081】
図12は、本発明に係る吸収性物品の第3変形例を示す生理用ナプキン300の吸液性構造体20cを非肌対向面側から見た底面図である。第3変形例の基本的構成は、上述した生理用ナプキン10と同様であるので、相違する点についてのみ以下に説明する。
【0082】
この吸液性構造体20cの一部には、非肌対向面から肌対向面へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部30cを形成してある。圧搾凹部30cは、厚さ方向Zの寸法が相対的に小さい高圧搾凹部31cと、厚さ方向Zの寸法が相対的に大きい低圧搾凹部32cとを備えている。
【0083】
低圧搾凹部32cは、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、高圧搾凹部31cと高圧搾凹部31cとを連結するように曲線状に形成してある。
【0084】
この吸液性構造体20cは、任意に選択した高圧搾凹部31cに関して、その高圧搾凹部31cから延びる複数の低圧搾凹部32cが存在する。この吸液性構造体20cでは、高圧搾凹部31cから延びる複数の低圧搾凹部32cにおいて、任意に選択した低圧搾凹部32cの延びる第1方向と、残りの低圧搾凹部32cから任意に選択した低圧搾凹部32cの延びる第2方向とが180度とならないように、換言すれば、直線状とならないように、高圧搾凹部31cの周囲に複数の低圧搾凹部32cを配置してある。よって、高圧搾凹部31cから延びる低圧搾凹部32cが特定の方向に連続して延びることを防止することができる。従って、生理用ナプキン10が特定の方向に曲がることを防止することができる。また、この例の低圧搾凹部32cは、曲線状に形成してあるため、生理用ナプキン300に直線状の折れ曲がりが発生することを防止することができる。なお、高圧搾凹部31cから延びる低圧搾凹部32cが特定の方向に連続して延びることを防止すればよく、低圧搾凹部32cは曲線状のみでなく、適宜直線状のものを含んでもよい。
【0085】
なお、生理用ナプキン10,100,200,300は、この発明の範囲で適宜変更することができ、上述した実施形態に限定されることはない。例えば、この発明は、生理用ナプキン10などに限られず、軽失禁パッド、パンティライナ、おりもの吸収用パッド、尿吸収パッド、紙おむつ等に適用してもよい。
【0086】
また、上述した実施形態には、高圧搾凹部31および低圧搾凹部32を厚さ方向Zに圧縮することによって形成するもので説明したが、必ずしもこれらを圧縮して形成する必要はない。加えて、高圧搾凹部31および低圧搾凹部32に加える圧縮力を変えることで、吸収性繊維25の密度が異なる凹部31,32を形成する例を用いて説明したが、これらの凹部31,32を形成する方法は、上述した方法に限られない。
【0087】
生理用ナプキン10,100,200,300を構成する部材には、特に明記されていない限りにおいて、この明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている公知の材料を制限なく用いることができる。
【0088】
また、この明細書において使用されている「第1」、「第2」、「第3」および「第4」の用語は、同様の要素、位置等を単に区別するために用いてある。
【0089】
以上に記載したこの発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
【0090】
互いに直交する横方向Xと縦方向Yと厚さ方向Zとを有し、厚さ方向Zの一方に配置して着用者の肌対向面側に位置する透液性の表面シート11と、厚さ方向Zの他方に配置して着用者の非肌対向面側に位置する裏面シート12と、表面シート11および裏面シート12の間に介在する吸液性構造体20とを備える生理用ナプキン10において、吸液性構造体20は、肌対向面側に位置する透液性の第1シート21と、非肌対向面側に位置する第2シート22と、第1シート21および第2シート22の間に介在する体液吸収性の芯材23とを備え、吸液性構造体20の一部には、非肌対向面側から肌対向面側へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部30を形成してあり、圧搾凹部30は、厚さ方向Zの長さ寸法が相対的に小さい高圧搾凹部31と、厚さ方向Zの長さ寸法が相対的に大きい低圧搾凹部32とを備え、高圧搾凹部31は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、点在する態様で複数形成してあり、低圧搾凹部32は、縦方向Yおよび横方向Xにおいて、高圧搾凹部32と高圧搾凹部32とを連結するように形成してあることを特徴とする生理用ナプキン10。
【0091】
上記段落0090に開示した発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
【0092】
(1) 1つの高圧搾凹部31から延びる複数の低圧搾凹部32において、任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第1方向と、残りの低圧搾凹部32から任意に選択した低圧搾凹部32の延びる第2方向とが直線状とならないように高圧搾凹部31の周囲に複数の低圧搾凹部32を配置してある。
(2) 縦方向Yの中央において、圧搾凹部30が存在しない非存在領域35を形成してある一方、縦方向Yの両端部において、圧搾凹部30が存在する存在領域36を形成してある。
(3) 非存在領域35と存在領域36との境界には、横方向Xへ延びるように肌対向面側から非肌対向面側へ向かう方向へ圧搾された圧搾条溝50が形成してある。
(4) 第1シート21、第2シート22、および表面シート11は、それぞれ熱可塑性合成樹脂を含み、圧搾凹部30は、第1シート21と第2シート22とを溶着することで形成し、圧搾条溝50は、第1シート21と表面シート11とを溶着することで形成し、圧搾凹部30と圧搾条溝50の第2条溝53とが隣接する箇所53aでは、第1シート21と第2シート22と表面シート11とが溶着している。
【符号の説明】
【0093】
10 生理用ナプキン(吸収性物品)
11 表面シート
12 裏面シート
20 吸液性構造体
21 第1シート
22 第2シート
23 芯材
30 圧搾凹部
31 高圧搾凹部
32 低圧搾凹部
35 非存在領域
36 存在領域
X 横方向
Y 縦方向
Z 厚さ方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する縦方向と横方向と厚さ方向とを有し、前記厚さ方向の一方に配置して着用者の肌対向面側に位置する透液性の表面シートと、前記厚さ方向の他方に配置して着用者の非肌対向面側に位置する裏面シートと、前記表面シートおよび前記裏面シートの間に介在する吸液性構造体とを備える吸収性物品において、
前記吸液性構造体は、前記肌対向面側に位置する透液性の第1シートと、前記非肌対向面側に位置する第2シートと、前記第1シートおよび前記第2シートの間に介在する体液吸収性の芯材とを備え、
前記吸液性構造体の一部には、前記非肌対向面側から前記肌対向面側へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部を形成してあり、
前記圧搾凹部は、前記厚さ方向の寸法が相対的に小さい高圧搾凹部と、前記厚さ方向の寸法が相対的に大きい低圧搾凹部とを備え、
前記高圧搾凹部は、前記縦方向および前記横方向において、点在する態様で複数形成してあり、
前記低圧搾凹部は、前記縦方向および前記横方向において、前記高圧搾凹部と前記高圧搾凹部とを連結するように形成してあることを特徴とする前記吸収性物品。
【請求項2】
前記1つの高圧搾凹部から延びる複数の低圧搾凹部において、任意に選択した前記低圧搾凹部の延びる第1方向と、残りの前記低圧搾凹部から任意に選択した前記低圧搾凹部の延びる第2方向とが直線状とならないように前記複数の低圧搾凹部を配置してある請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記縦方向の中央において、前記圧搾凹部が存在しない非存在領域を形成してある一方、
前記縦方向の両端部において、前記圧搾凹部が存在する存在領域を形成してある請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記非存在領域と前記存在領域との境界には、前記横方向へ延びるように前記肌対向面側から前記非肌対向面側へ向かう方向へ圧搾された圧搾条溝が形成してある請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1シート、前記第2シート、および前記表面シートは、それぞれ熱可塑性合成樹脂を含み、
前記圧搾凹部は、前記第1シートと前記第2シートとを溶着することで形成し、
前記圧搾条溝は、前記第1シートと前記表面シートとを溶着することで形成し、
前記圧搾凹部と前記圧搾条溝とが隣接する箇所では、前記第1シートと前記第2シートと前記表面シートとが溶着している請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項1】
互いに直交する縦方向と横方向と厚さ方向とを有し、前記厚さ方向の一方に配置して着用者の肌対向面側に位置する透液性の表面シートと、前記厚さ方向の他方に配置して着用者の非肌対向面側に位置する裏面シートと、前記表面シートおよび前記裏面シートの間に介在する吸液性構造体とを備える吸収性物品において、
前記吸液性構造体は、前記肌対向面側に位置する透液性の第1シートと、前記非肌対向面側に位置する第2シートと、前記第1シートおよび前記第2シートの間に介在する体液吸収性の芯材とを備え、
前記吸液性構造体の一部には、前記非肌対向面側から前記肌対向面側へ向かう方向に圧搾された圧搾凹部を形成してあり、
前記圧搾凹部は、前記厚さ方向の寸法が相対的に小さい高圧搾凹部と、前記厚さ方向の寸法が相対的に大きい低圧搾凹部とを備え、
前記高圧搾凹部は、前記縦方向および前記横方向において、点在する態様で複数形成してあり、
前記低圧搾凹部は、前記縦方向および前記横方向において、前記高圧搾凹部と前記高圧搾凹部とを連結するように形成してあることを特徴とする前記吸収性物品。
【請求項2】
前記1つの高圧搾凹部から延びる複数の低圧搾凹部において、任意に選択した前記低圧搾凹部の延びる第1方向と、残りの前記低圧搾凹部から任意に選択した前記低圧搾凹部の延びる第2方向とが直線状とならないように前記複数の低圧搾凹部を配置してある請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記縦方向の中央において、前記圧搾凹部が存在しない非存在領域を形成してある一方、
前記縦方向の両端部において、前記圧搾凹部が存在する存在領域を形成してある請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記非存在領域と前記存在領域との境界には、前記横方向へ延びるように前記肌対向面側から前記非肌対向面側へ向かう方向へ圧搾された圧搾条溝が形成してある請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1シート、前記第2シート、および前記表面シートは、それぞれ熱可塑性合成樹脂を含み、
前記圧搾凹部は、前記第1シートと前記第2シートとを溶着することで形成し、
前記圧搾条溝は、前記第1シートと前記表面シートとを溶着することで形成し、
前記圧搾凹部と前記圧搾条溝とが隣接する箇所では、前記第1シートと前記第2シートと前記表面シートとが溶着している請求項4に記載の吸収性物品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−78366(P2013−78366A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218501(P2011−218501)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
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