説明

吸収液中のインヒビター濃度把握方法及び装置、並びにその装置を備えた吸収式冷温水機

【課題】モリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中のインヒビターの濃度を高精度に把握できる簡単な構成のインヒビター濃度把握装置を提供する。
【解決手段】この二重効用吸収式冷温水機は、高温再生器1内のモリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中に浸漬するように設置した各種電極とポテンショスタット14とによるインヒビター濃度把握装置を備える。ポテンショスタット14は、作用電極12及び対極13間に電圧印加又は電流供給し、電極12の電位を負極方向にずらすカソード分極により二酸化モリブデンを析出させた後、電位を正極方向にずらすアノード分極により電極12に析出した二酸化モリブデンを溶出させ、カソード分極時のカソード電流又はカソード電圧、並びにアノード分極時のアノード電流又はアノード電圧の計測を行い、それらの計測値に基づいて吸収液中のインヒビターの濃度を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収液中における腐食抑制剤(インヒビター)の濃度を把握するための吸収液中のインヒビター濃度把握方法及び装置、並びにその装置を備えた吸収式冷温水機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水を冷媒として臭化リチウム(LiBr)水溶液を吸収液として用いる吸収式冷温水機は、運転に大きな電力を必要としないこと、加熱用として多様な熱源に対応できること、夏季に需要が減少する天然ガスや灯油等を活用して夏場の空調ができること等の諸事情により、大規模ビルデイング等に用いられている。このように、吸収式冷温水機は特に夏季の電力需給が逼迫する現状では注目される空調熱源機といえる。
【0003】
ところで、係る吸収式冷温水機では、濃厚な臭化リチウム(LiBr)水溶液を吸収液として用いるため、吸収式冷温水機を構成する材料の腐食問題が付随し、如何にして腐食防止を図るかが機器の信頼性や寿命を保証する上で重要となっている。
【0004】
吸収式冷温水機を構成する材料の腐食防止を図るためには、吸収液中に腐食抑制剤であるインヒビターを添加するのが一般的であり、インヒビターの添加量(濃度)を適正に管理することにより、耐腐食性の高い吸収式冷温水機の実用化が可能になる。通常インヒビターには酸化剤が用いられ、吸収式冷温水機の主構成材料である炭素鋼の表面に安定な酸化皮膜を形成して腐食を抑制すると同時に、腐食に起因する水素ガスの発生を防止する。また、吸収式冷温水機の構成材料は炭素鋼と共に熱伝導率の高い銅管が多く用いられているが、銅管は強酸化剤に対しては耐久性が低いため、現在では炭素鋼及び銅管の双方を効果的に腐食防止するためにモリブデン酸塩が多用されている。
【0005】
しかしながら、モリブデン酸塩は腐食防止効果が高い反面、濃厚な臭化リチウム(LiBr)水溶液に対する溶解度が小さいため、一般的には溶解度限界まで添加しているが、それでも腐食防止に必要な濃度の下限レベル程度である。このため、吸収式冷温水機の腐食を防止して安定した運転を維持するためには、モリブデン酸塩のきめ細かな濃度管理が必要である。
【0006】
そこで、吸収式冷温水機内の適宜箇所に電極を設置し、電気化学的にインヒビターの濃度を計測する技術が提案されており、例えばこれに関連する周知技術としては、吸収液中のインヒビターに対して酸化還元反応を生じる部材と参照電極との電位差でインヒビターの濃度を求めるようにした「吸収式冷凍機」(特許文献1参照)、酸化物電極及び参照電極間の電位差から吸収液中の溶存酸素濃度を求めるようにした「吸収式冷凍機」(特許文献2参照)、一対の鉄製電極間に流れる電流を計測して防食皮膜の形成状況を検知するようにした「吸収式冷凍機」(特許文献3参照)等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−35434号公報
【特許文献2】特開2006−57895号公報
【特許文献3】特開2008−286441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1〜特許文献3に係る電気化学的にインヒビターの濃度を計測する技術は、以下に説明するような問題がある。具体的に云えば、特許文献1に係る技術では、吸収液中のインヒビターに対して酸化還元反応を生じる部材と参照電極との電位差でインヒビターの濃度を求めているが、こうした場合には作用電極の表面においてインヒビターである酸化剤の酸化作用により酸化物を生成して電位が経時変化するため、正確にインヒビターの濃度を知ることが困難になってしまうという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に係る技術では、酸化物電極及び参照電極間の電位差から吸収液中の溶存酸素濃度を求めるものであり、更に、特許文献3に係る技術では、一対の鉄製電極間に流れる電流を計測して防食皮膜の形成状況を検知するものであるが、何れの場合にも実際にモリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中のインヒビターを対象にすると、インヒビターの濃度を高精度に把握することが困難であるという問題がある。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その第1の技術的課題は、モリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中のインヒビターの濃度を高精度に把握できる吸収液中のインヒビター濃度把握方法を提供することにある。
【0011】
本発明の第2の技術的課題は、モリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中のインヒビターの濃度を高精度に把握できる簡単な構成のインヒビター濃度把握装置を提供することにある。
【0012】
本発明の第3の技術的課題は、モリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中のインヒビターの濃度を高精度に把握できると共に、機器内の腐食を効果的に防止できる吸収式冷温水機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記第1の技術的課題を達成するため、本発明の第1の手段は、モリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中の当該インヒビターの濃度を把握する吸収液中のインヒビター濃度把握方法において、吸収液中に浸漬するように挿入した少なくとも2つの電極間に電圧を印加するか、或いは電流を供給し、当該電圧を印加した場合の当該2電極間に流れるモリブデン酸イオン濃度に応答した電流を計測するか、或いは当該電流を供給した場合の当該2電極間のモリブデン酸イオン濃度に応答した電圧を計測し、計測した電流値又は電圧値に基づいて当該吸収液中のインヒビターの濃度を把握することを特徴とする。
【0014】
上記第1の技術的課題を達成するため、本発明の第2の手段は、モリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中の当該インヒビターの濃度を把握する吸収液中のインヒビター濃度把握方法において、吸収液中に浸漬するように設置した作用電極及び対極間に電圧を印加するか、或いは電流を供給し、当該作用電極の電位を負極の方向にずらすカソード分極によりカソード還元作用を生起させて当該作用電極に二酸化モリブデン(MoO)を析出させた後、当該電位を正極の方向にずらすアノード分極によりアノード酸化作用を生起させて当該作用電極に析出している当該二酸化モリブデン(MoO)を溶出させ、当該カソード分極したときのカソード電流又はカソード電圧、並びに当該アノード分極したときのアノード電流又はアノード電圧による電流値又は電圧値を計測し、計測したカソード電流値又はカソード電圧値、並びにアノード電流値又はアノード電圧値の少なくとも一つの計測値に基づいて当該吸収液中のインヒビターの濃度を求めることを特徴とする。
【0015】
上記第2の手段において、カソード分極及びアノード分極を複数回繰り返すこと、作用電極に対して定電流を供給して定電流分極した際の当該作用電極の電位を計測し、計測した電位に基づいて吸収液中のインヒビター濃度を求めることは、それぞれ好ましい。
【0016】
上記第2の技術的課題を達成するため、本発明の第3の手段は、モリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中の当該インヒビターの濃度を把握する吸収液中のインヒビター濃度把握装置において、吸収液中に浸漬するように設置された参照電極、作用電極、及び対極と、作用電極及び対極間に電圧を印加するか、或いは電流を供給し、当該作用電極の電位を負極の方向にずらすカソード分極と当該作用電極の電位を正極の方向にずらすアノード分極とを行う分極機能、当該カソード分極した場合のカソード電流又はカソード電圧を計測する第1の計測機能、及び当該アノード分極した場合のアノード電流又はアノード電圧を計測する第2の計測機能を備えたポテンショスタットと、を備えたことを特徴とする。
【0017】
第3の手段において、参照電極及び対極が兼用された参照電極兼対極であること、参照電極兼対極がモリブデン金属電極で構成されたこと、作用電極がグラッシーカーボンで構成されたこと、はそれぞれ好ましい。
【0018】
上記第3の技術的課題を達成するため、本発明の第4の手段は、上記第3の手段に係る吸収液中のインヒビター濃度把握装置を吸収式冷温水機が備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、吸収液中に浸漬するように設置された2つの電極間に電圧を印加するか、或いは電流を供給し、電圧を印加した場合の2電極間に流れるモリブデン酸イオン濃度に応答した電流を計測するか、電流を供給した場合の2電極間に流れるモリブデン酸イオン濃度に応答した電圧を計測し、計測した電流値又は電圧値に基づいて吸収液中のインヒビターの濃度を把握するため、モリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中のインヒビターの濃度を高精度に把握できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る吸収液中のインヒビター濃度把握装置を備えた二重効用吸収式冷温水機の概略構成を示した図である。
【図2】図1に示す吸収式冷温水機内のインヒビターとしてのモリブデン酸リチウム(LiMoO)を含む吸収液中でカソード分極した場合の電圧に対する電流密度の関係による分極特性に関する実験結果を示した線図である。
【図3】図1に示す吸収式冷温水機内のインヒビターとしてのモリブデン酸リチウム(LiMoO)を含む吸収液中でカソード分極した後にアノード分極した場合の電圧に対する電流密度の関係による分極特性に関する実験結果を示した線図である。
【図4】図3で説明したモリブデン酸リチウム(LiMoO)の濃度に対するアノードピーク電流密度の関係を示した線図である。
【図5】図1に示す吸収式冷温水機内の作用電極への定電流分極時における時間に対する電圧の関係による実験結果を示した線図である。
【図6】図5で説明した定電流分極による所定時間経過後のモリブデン酸リチウム(LiMoO)の濃度に対する電圧の関係による実験結果を示した線図である。
【図7】図1に示す吸収式冷温水機内の参照電極及び対極を兼用した参照電極兼対極とした上での吸収液中のモリブデン酸リチウム(LiMoO)の濃度が異なる場合の複数の吸収液についての作用電極へのカソード分極時、並びにアノード分極時における電位に対する電流密度の関係による実験結果を示した線図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の吸収液中のインヒビター濃度把握方法及び装置、並びにその装置を備えた吸収式冷温水機について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
最初に、本発明の吸収液中のインヒビター濃度把握方法の技術的概要について、簡単に説明する。本発明の吸収液中のインヒビター濃度把握方法は、モリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中のインヒビターの濃度を把握するもので、その技術的概要は、吸収液中に浸漬するように挿入した少なくとも2つの電極間に電圧を印加するか、或いは電流を供給し、電圧を印加した場合の2電極間に流れるモリブデン酸イオン濃度に応答した電流を計測するか、或いは電流を供給した場合の2電極間のモリブデン酸イオン濃度に応答した電圧を計測し、計測した電流値又は電圧値に基づいて吸収液中のインヒビターの濃度を把握するものである。
【0023】
具体的に云えば、吸収液中に浸漬するように設置した作用電極及び対極間に電圧を印加するか、或いは電流を供給し、作用電極の電位を負極の方向にずらすカソード分極によりカソード還元作用を生起させて作用電極に二酸化モリブデン(MoO)を析出させた後、電位を正極の方向にずらすアノード分極によりアノード酸化作用を生起させて作用電極に析出している二酸化モリブデン(MoO)を溶出させ、カソード分極したときのカソード電流又はカソード電圧、並びにアノード分極したときのアノード電流又はアノード電圧による電流値又は電圧値を計測し、計測したカソード電流値又はカソード電圧値、並びにアノード電流値又はアノード電圧値の少なくとも一つの計測値に基づいて吸収液中のインヒビターの濃度を求めるものである。但し、ここではカソード分極及びアノード分極を複数回繰り返すことが好ましい。また、作用電極に対して定電流を供給して定電流分極した際の作用電極の電位を計測し、計測した電位に基づいて吸収液中のインヒビター濃度を求めることも好ましい。
【0024】
係る方法を適用すれば、モリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中のインヒビターの濃度を高精度に把握できるようになる。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の実施例1に係る吸収液中のインヒビター濃度把握装置を備えた二重効用吸収式冷温水機の概略構成を示した図である。この二重効用吸収式冷温水機は、ボイラ等の加熱源を備えた高温再生器1、低温再生器2、凝縮器3、蒸発器4、吸収器5、熱交換器6、溶液ポンプ7、冷媒ポンプ8、これらの機器を連絡する管路を備えると共に、高温再生器1内の吸収液中に浸漬するように設置された参照電極11、作用電極12、及び対極13に接続されたポテンショスタット14を備えて構成される。
【0026】
このうち、参照電極11、作用電極12、及び対極13とポテンショスタット14とは、上述した吸収液中のインヒビター濃度把握方法を適用したインヒビター濃度把握装置となるもので、ポテンショスタット14は、作用電極12及び対極13間に電圧を印加するか、或いは電流を供給し、作用電極12の電位を負極の方向にずらすカソード分極と作用電極12の電位を正極の方向にずらすアノード分極とを行う分極機能、カソード分極した場合のカソード電流又はカソード電圧を計測する第1の計測機能、及びアノード分極した場合のアノード電流又はアノード電圧を計測する第2の計測機能を備えている。
【0027】
低温再生器2は、高温再生器1で発生した冷媒蒸気を加熱源とする加熱管2Aを有し、凝縮器3は、管内を冷却水が流れる冷却水管3Aを有し、蒸発器4は、管内を冷水(被冷却媒体)が流れる冷水管4A、並びに冷媒ポンプ8から送り込まれる冷媒液を冷水管4Aに撒布する撒布ヘッダ4Bを有する。また、吸収器5は、管内を冷却水が流れる冷却水管5A、並びに高温再生器1及び低温再生器2から戻された濃厚吸収液(吸収剤の濃度が相対的に高い吸収液)を冷却水管6Aに撒布する撒布ヘッダ5Bを有する。
【0028】
実施例1に係る二重効用吸収式冷温水機における熱交換器6は、溶液ポンプ7から吐出され、高温再生器1及び低温再生器2に送り込む吸収液(低温で希薄な吸収液)と高温再生器1および低温再生器2から吸収器5に戻される吸収液(高温で濃厚な吸収液)とを熱交換する。この熱交換器6は、高温再生器1に送り込まれる吸収液と高温再生器1から戻る吸収液とを熱交換する高温熱交換器機能と、低温再生器2に送り込まれる吸収液と低温再生器2から戻る吸収液とを熱交換する低温熱交換器機能とを有するのが一般的である。
【0029】
また、溶液ポンプ7は、吸収器6から希薄な吸収液を吸い込み、熱交換器6を経由して高温再生器1及び低温再生器2に供給する。因みに、溶液ポンプ7の吐出側から撒布ヘッダ5Bに連なる管路を分岐し、吸収液の一部を吸収器5の撒布ヘッダ5Bに導き、吸収器5内に撒布する構成にすることもできる。
【0030】
上述した構成の二重効用吸収式冷温水機は、器内が高真空に維持され、高温再生器1内に吸収液が注入されている。この吸収液は、水を冷媒とする臭化リチウム(LiBr)水溶液を吸収剤とすると共に、モリブデン酸リチウム(モリブデン酸塩)を主成分とするインヒビターが添加されている。
【0031】
係る二重効用吸収式冷温水機の動作を説明すれば、ボイラの燃焼熱によって高温再生器1内の吸収液を加熱して冷媒蒸気を発生させ、この冷媒蒸気を低温再生器2の加熱管2Aに導き、低温再生器2内の吸収液を加熱して冷媒蒸気を発生させる。加熱管2A内の冷媒及び低温再生器2で発生した冷媒蒸気は、凝縮器3内に流れ込み、冷却水管3A内を流れる冷却水によって冷却され、冷やされた冷媒液となる。この冷媒液は、蒸発器4の撒布ヘッダ4Bから冷水管4Aに撒布され、冷水管4A内を流れる被冷却媒体から気化潜熱を奪って被冷却媒体を冷却する。この冷やされた被冷却媒体が冷房・空調用として略図する室内のファンコイルユニットに循環される。
【0032】
また、蒸発器4で蒸発した冷媒蒸気は、吸収器5に流れ込み、撒布ヘッダ5Bから撒布される吸収液(濃厚な吸収液)と直接接触すると共に、冷却水管5A内を通る冷却水によって冷却され、これによって冷媒蒸気は吸収液に吸収され出し、濃度の低い(換言すれば冷媒が多くなった)希薄吸収液となる。吸収器5で生成された希薄吸収液は、溶液ポンプ7により低温再生器2及び高温再生器1に送り込まれる。
【0033】
更に、実施例1に係るインヒビター濃度把握装置では、高温再生器1内の吸収液に各種電極を浸漬するように設置された場合を説明するが、各種電極の設置場所は高温再生器1内に限られず、低温再生器2内や吸収器5内、或いは吸収液が循環する管路内等でも良いことは当然である。各種電極については、冷却ジャケット付きの銀−塩化銀電極等による参照電極11、グラッシーカーボン製の作用電極12、白金製の対極13である場合を例示できる。ポテンショスタット14は、上述したように作用電極12及び対極13間に電圧を印加するか、或いは電流を供給する機能を有する他、作用電極12の電位を負極の方向にずらすカソード分極機能、逆に正極の方向にずらすアノード分極機能、カソード分極時のカソード電流又はカソード電圧を計測する第1の計測機能、並びにアノード分極時のアノード電流又はアノード電圧を計測する第2の計測機能を有するものである。
【0034】
高温再生器1の吸収液中に浸漬されるように設置された参照電極11、作用電極12、対極13について、参照電極11はポテンショスタット14に接続されてはいるが、電流が流れないようになっており、基準電位を求めるために設置されているものである。作用電極12と対極13とは、電圧(電位差)、或いは電流を付与できるようにポテンショスタット14に接続されている。
【0035】
インヒビターの濃度を把握するために第1の計測機能や第2の計測機能により電流又は電圧を計測する場合、第1の計測機能では作用電極12の電位を負極の方向にずらすカソード分極により、カソード還元作用を生起させて作用電極12に二酸化モリブデン(MoO)を析出させる。また、その後の第2の計測機能では作用電極12の電位を正極の方向にずらすアノード分極により、アノード酸化作用を生起させて作用電極12に析出している二酸化モリブデン(MoO)を溶出させる。要するに、作用電極12をカソード分極した後、アノード分極する操作を行うことになるが、係る操作は2回以上繰り返して行うことが望ましい。ポテンショスタット14では第1の計測機能によりカソード分極したときのカソード電流又はカソード電圧、第2の計測機能によりアノード分極したときのアノード電流又はアノード電圧をそれぞれ計測する。
【0036】
ポテンショスタット14により計測したカソード電流値、アノード電流値の少なくとも一方の電流値、或いはカソード電圧値、アノード電圧値の少なくとも一方の電圧値に基づき、各電流値又は各電圧値とインヒビター濃度との関係曲線を参照すれば、二重効用吸収式冷温水機内の吸収液中のインヒビターの濃度を適確に検知して把握することができる。
【0037】
上述した例では、電流値又は電圧値を計測する場合について説明したが、作用電極12に供給する定電流密度として、例えば141μA(マイクロアンペア)/cmの定電流を供給し、作用電極12の電極電位(作用電極12及び対極13との間の電圧)の径時変化を計測し、計測した電圧値に基づき、電圧値とインヒビター濃度との関係曲線を参照することによって、二重効用吸収式冷温水機内の吸収液中のインヒビターの濃度を検知(把握)することもできる。
【0038】
実施例1に係る二重効用吸収式冷温水機は3電極系システムであるが、この場合には機器内に信頼できる参照電極11を挿入しなければならないという課題があるため、もっと簡単な構成の2電極系システムとして、モリブデン酸塩を含むインヒビターの濃度を検知(把握)できれば、より実用性が高くなると期待される。3電極系システムは、吸収液中のインヒビター濃度に対応した電流又は電圧を計測する上では最も望ましい実施態様ではあるが、吸収式冷温水機のような高温で作動するような場合には、高温で安定に応答する参照電極11が複雑な構造となってしまうため、実用的には対極13と参照電極11を兼用する参照電極兼対極と作用電極12とによる2電極システムとする方が望ましい。
【0039】
2電極システムとする場合には、対極13の分極曲線の形状が吸収液中のモリブデン酸インヒビター濃度に依存しない場合には、電流密度を一定にすれば対極13の電位は定常値で一定となるので、所謂電圧制御で作用電極12の電位制御が可能となり、対極13と参照電極11とを兼用した参照電極兼対極とすることが可能となる。また、作用電極12に電流を流す場合、対極13の面積を十分大きくすれば電流密度が小さくなり、実質的に分極が小さく電位が一定に保持されるので、対極13と参照電極11とを兼用した参照電極兼対極とすることが可能となる。
【0040】
因みに、上述した各電流値とモリブデン酸インヒビター濃度との間、各電圧値とモリブデン酸インヒビター濃度との間には一定の関係を有することが実験により既に確認されているため、以下には係る各電流値又は各電圧値とインヒビター濃度との関係について説明する。
【0041】
図2は、上述した吸収式冷温水機内のインヒビターとしてのモリブデン酸リチウム(LiMoO)を含む吸収液中でカソード分極した場合の電圧に対する電流密度の関係による分極特性に関する実験結果を示した線図である。図3は、上述した吸収式冷温水機内のインヒビターとしてのモリブデン酸リチウム(LiMoO)を含む吸収液中でカソード分極した後にアノード分極した場合の電圧に対する電流密度の関係による分極特性に関する実験結果を示した線図である。図4は、図3で説明したモリブデン酸リチウム(LiMoO)の濃度に対するアノードピーク電流密度の関係を示した線図である。図5は、上述した吸収式冷温水機内の作用電極12への定電流分極時における時間に対する電圧の関係による実験結果を示した線図である。図6は、図5で説明した定電流分極による所定時間経過後のモリブデン酸リチウム(LiMoO)の濃度に対する電圧の関係による実験結果を示した線図である。図7は、上述した吸収式冷温水機内の参照電極11及び対極13を兼用した参照電極兼対極とした上での吸収液中のモリブデン酸リチウム(LiMoO)の濃度が異なる場合の複数の吸収液についての作用電極12へのカソード分極時、並びにアノード分極時における電位に対する電流密度の関係による実験結果を示した線図である。
【0042】
但し、図2〜図6においては、17.3mol・kg−1の臭化リチウム(LiBr)水溶液に0.1mol・kg−1の臭化リチウム(LiBr)を加えた水溶液を基本液とし、これにインヒビターとして1×10−4〜3×10−3・mol・kg−1のモリブデン酸リチウム(LiMoO)を必要に応じて添加した吸収液を用いている。また、図2、図3、図5、及び図7において、曲線Aはインヒビターを添加していない吸収液の場合を示し、曲線Bはインヒビター濃度が1×10−4・mol・kg−1の吸収液の場合を示し、曲線Cはインヒビター濃度が5×10−4・mol・kg−1の吸収液の場合を示し、曲線Dはインヒビター濃度が1×10−3・mol・kg−1の吸収液の場合を示し、曲線Eは、インヒビター濃度が3×10−3・mol・kg−1の吸収液の場合を示している。尚、曲線A〜Eは、それぞれ各図とも同じインヒビター濃度についての計測結果を示すものであるが、同じ曲線Aであっても用いている線の種類は図毎に異なる。曲線B、C、D、Eについても同様である。また、図2及び図3において、電圧(電位差)は参照電極11との差を表わしている。
【0043】
図2を参照すれば、ここでは具体的に上記吸収液中にアルゴンガスを吹き込んで脱気した状態で40℃の吸収液中で作用電極12にグラッシーカーボン、対極13に白金板、参照電極11に水冷ジャケットを有する銀(Ag)−塩化銀(Agcl)電極を用いて、動電位法によりカソード分極した場合におけるモリブデン酸リチウム(LiMoO)のインヒビター濃度とカソード分極特性との関係を示している。カソード分極特性について、縦軸は電流密度(i/μAcm−2)であり、横軸は電圧(電位差)としてのポテンシャル(E/V vs. Ag/Agcl)であり、曲線Aはインヒビターを添加していない吸収液の場合を示し、曲線Bはインヒビター濃度が1×10−4・mol・kg−1の吸収液の場合を示し、曲線Cはインヒビター濃度が5×10−4・mol・kg−1の吸収液の場合を示し、曲線Dはインヒビター濃度が1×10−3・mol・kg−1の吸収液の場合を示し、曲線Eはインヒビター濃度が3×10−3・mol・kg−1の吸収液の場合を示している。
【0044】
図2からは、電圧が−1.2ボルト以下において電流密度がインヒビター濃度に明瞭に依存している様子が判る。これはグラッシーカーボン上に吸収液中の二酸化モリブデンの還元生成物が生成することによる。このようにカソード分極特性において、−1.2ボルト以下における電流密度を測定すれば、吸収液中のインヒビターの濃度を検知(把握)することができる。
【0045】
図3を参照すれば、ここでは具体的に上記実施例1で説明した場合と同様な吸収液を用い、150℃でカソード分極した後、引き続いて−1.4ボルトからアノード方向に折り返してアノード分極させた場合におけるモリブデン酸リチウム(LiMoO)濃度(インヒビター濃度)と分極特性との関係を示している。図3中の分極特性について、縦軸、横軸、及び各曲線A、C、D、Eは図2で説明した場合と同じである。
【0046】
図3からは、分極特性について、電圧が−0.6ボルト付近で一旦カソード電流がアノード電流に転じてピークを示し、その後に0ボルト付近以上でアノード電流となる様子が判る。電圧が−0.6ボルト付近のアノード電流ピークは、カソード分極によりグラッシーカーボン上に析出したMoO2−の還元生成物である二酸化モリブデン(MoO)が再酸化されて溶出するためである。このピーク電流を示す電位は吸収液の温度により若干シフトするが、実質上問題はない。図3から明らかなように、電圧が−0.6ボルト付近のピーク電流密度は明瞭にインヒビター濃度に依存しているため、このピーク電流密度を計測すれば、吸収液中のインヒビターの濃度を検知(把握)することができる。
【0047】
図4を参照すれば、図3に示したピーク電流密度とインヒビター濃度との関係を整理して示したもので、縦軸は電流密度(i/μAcm−2)であり、横軸はモリブデン酸リチウム(LiMoO)濃度(インヒビター濃度)(m/mol・kg−1)である。図4からは、上述したようにインヒビター濃度はピーク電流密度とほぼ直線関係にあり、カソード分極後にアノード方向に折り返しアノード分極をさせることで吸収液中のインヒビターの濃度を検知(把握)することができる。
【0048】
図5を参照すれば、ここでは具体的に図2、図3の場合と同じ吸収液を用いて25℃で作用電極(グラッシーカーボン電極)12に141μA/cmの定電流密度を印加した場合の電極電位(電圧)の径時変化を示しており、縦軸は電圧(電位差)としてのポテンシャル(E/V vs. Ag/Agcl)であり、横軸は時間(秒t/s)である。図5からは、各曲線B、C、D、Eについて、作用電極(グラッシーカーボン)12の電圧(電位差)がインヒビター濃度により明瞭な差を示していることが判る。
【0049】
図6を参照すれば、図5の状態から150秒後における作用電極(グラッシーカーボン)12の電圧(電位差)とインヒビター濃度との関係を整理して示したもので、縦軸は電圧(電位差)としてのポテンシャル(E/V vs. Ag/Agcl)であり、横軸はモリブデン酸リチウム(LiMoO)濃度(インヒビター濃度)(m/mol・kg−1)である。図6からは、インヒビター濃度と作用電極(グラッシーカーボン)12の電圧(電位差)とはほぼ直線関係にあることから、吸収液中のインヒビター濃度はグラッシーカーボンによる作用電極12を定電流分極することで検知(把握)することができる。
【0050】
図7を参照すれば、ここでは具体的にアノードがモリブデンの金属電極で構成された参照電極兼対極であり、カソードがグラッシーカーボン電極で構成された作用電極12である2電極システムとしており、313K(40℃)の吸収液中のモリブデン酸リチウム(LiMoO)のインヒビター濃度がそれぞれ曲線Aで零、曲線Bで1×10−4・mol・kg−1、曲線Cで5×10−4・mol・kg−1、曲線Dで1×10−3・mol・kg−1、曲線Eで3×10−3・mol・kg−1の場合の電流電位曲線を示している。図7中では縦軸が電流密度(i/μAcm−2)であり、横軸が電位としてのポテンシャル(E/V vs. Ag/Agcl)である他、左側が作用電極12をカソード分極した際のカソード電流を示したカソード分極特性、右側が作用電極12をアノード分極した際の参照電極兼対極のアノード電流を示したアノード分極特性を表わしている。
【0051】
図7からは、カソード分極特性での各曲線の形状は、インヒビター濃度が零〜3×10−3・mol・kg−1の範囲において、インヒビター濃度に依存してカソード電流が増加し、しかも増加度合いがインヒビター濃度によって異なる傾向となっていることが判る。これに対し、アノード分極特性での各曲線の形状は、インヒビター濃度に依存せずに何れの場合でもほぼ同じであり、一定となっている様子が判る。従って、同一電流密度(値は任意)で電解した時のアノードとカソードとの電位差D(図7中に示される同一電流密度におけるアノード分極特性とカソード分極特性との間隔)がインヒビター濃度によって異なる値となるため、係る電位差Dにより吸収液中のインヒビターの濃度を検知(把握)することができる。即ち、参照電極兼対極をモリブデン金属電極とする2電極系システムとすることによって、モリブデン酸塩を含むインヒビターが添加された吸収液中のインヒビターの濃度の検知(把握)が可能となる。
【0052】
尚、実施例1に係る二重効用吸収式冷温水機では、作用電極12としてグラッシーカーボン電極を用いた場合を説明したが、作用電極12はグラッシーカーボンに限定されず、臭化リチウム(LiBr)水溶液に不活性で安定な物質であればその他の材質でも適用可能であり、例えばカーボン、モリブデン、白金等を用いることができ、こうした場合にも実施例1で説明した場合と同様な作用効果が得られる。
【0053】
何れにせよ、実施例1に係る二重効用吸収式冷温水機によれば、高温再生器1内の吸収液中に浸漬するように設置された2つの電極(作用電極12及び対極13)間にポテンショスタット14により電圧を印加するか、或いは電流を供給し、分極機能により作用電極12の電位を負の方向にずらすカソード分極により、カソード還元作用を生起させて作用電極12に二酸化モリブデン(MoO)を析出させた後、正の方向にずらすアノード分極によりアノード酸化作用を生起させて作用電極12に析出している二酸化モリブデン(MoO)を溶出させる。このとき、ポテンショスタット14では同時に第1の計測機能によりカソード分極したときのカソード電流又はカソード電圧、並びに第2の計測機能によりアノード分極したときのアノード電流又はアノード電圧に係る少なくとも一方の電流値又は電圧値を計測しているので、各種電極への酸化被膜の形成による影響を殆ど受けることなく、主成分がモリブデン酸塩であるインヒビターの濃度に見合った作用電極12及び対極13間の電圧を印加した場合の2電極間に流れるモリブデン酸イオン濃度に応答した電流(カソード電流、アノード電流)、或いは電流を供給した場合の2電極間に流れるモリブデン酸イオン濃度に応答した電圧(カソード電圧、アノード電圧)を計測することができる。これによって、高精度にインヒビター濃度を検知(把握)することができる。また、参照電極11と対極13とを兼用した参照電極兼対極と作用電極12とによる2電極系システムを構成し、インヒビター濃度を高精度に検知(把握)できるため、電極が少なくて済むため、機器への装着を簡単に行うことができるため、実用上で極めて有効となる。更に、インヒビター濃度を高精度に検知(把握)することが可能であるため、耐食性及び信頼性の高い吸収式冷温水機を提供することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 高温再生器
2 低温再生器
3 凝縮器
3A、5A 冷却水管
4 蒸発器
4A 冷水管
4B、5B 撒布ヘッダ
5 吸収器
6 熱交換器
7 溶液ポンプ
8 冷媒ポンプ
11 参照電極
12 作用電極
13 対極
14 ポテンショスタット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中の当該インヒビターの濃度を把握する吸収液中のインヒビター濃度把握方法において、
前記吸収液中に浸漬するように挿入した少なくとも2つの電極間に電圧を印加するか、或いは電流を供給し、当該電圧を印加した場合の当該2電極間に流れるモリブデン酸イオン濃度に応答した電流を計測するか、或いは当該電流を供給した場合の当該2電極間のモリブデン酸イオン濃度に応答した電圧を計測し、計測した前記電流値又は前記電圧値に基づいて当該吸収液中の前記インヒビターの濃度を把握することを特徴とする吸収液中のインヒビター濃度把握方法。
【請求項2】
モリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中の当該インヒビターの濃度を把握する吸収液中のインヒビター濃度把握方法において、
前記吸収液中に浸漬するように設置した作用電極及び対極間に電圧を印加するか、或いは電流を供給し、当該作用電極の電位を負極の方向にずらすカソード分極によりカソード還元作用を生起させて当該作用電極に二酸化モリブデンを析出させた後、当該電位を正極の方向にずらすアノード分極によりアノード酸化作用を生起させて当該作用電極に析出している当該二酸化モリブデンを溶出させ、当該カソード分極したときのカソード電流又はカソード電圧、並びに当該アノード分極したときのアノード電流又はアノード電圧による電流値又は電圧値を計測し、計測したカソード電流値又はカソード電圧値、並びにアノード電流値又はアノード電圧値の少なくとも一つの計測値に基づいて当該吸収液中の前記インヒビターの濃度を求めることを特徴とする吸収液中のインヒビター濃度把握方法。
【請求項3】
請求項2記載の吸収液中のインヒビター濃度把握方法において、前記カソード分極及び前記アノード分極を複数回繰り返すことを特徴とする吸収液中のインヒビター濃度把握方法。
【請求項4】
請求項2記載の吸収液中のインヒビター濃度把握方法において、前記作用電極に対して定電流を供給して定電流分極した際の当該作用電極の電位を計測し、計測した電位に基づいて前記吸収液中のインヒビター濃度を求めることを特徴とする吸収液中のインヒビター濃度把握方法。
【請求項5】
モリブデン酸塩を主成分とするインヒビターが添加された吸収液中の当該インヒビターの濃度を把握する吸収液中のインヒビター濃度把握装置において、
前記吸収液中に浸漬するように設置された参照電極、作用電極、及び対極と、前記作用電極及び前記対極間に電圧を印加するか、或いは電流を供給し、当該作用電極の電位を負極の方向にずらすカソード分極と当該作用電極の電位を正極の方向にずらすアノード分極とを行う分極機能、当該カソード分極した場合のカソード電流又はカソード電圧を計測する第1の計測機能、及び当該アノード分極した場合のアノード電流又はアノード電圧を計測する第2の計測機能を備えたポテンショスタットと、を備えたことを特徴とする吸収液中のインヒビター濃度把握装置。
【請求項6】
請求項5記載の吸収液中のインヒビター濃度把握装置において、前記参照電極及び前記対極は、兼用された参照電極兼対極であることを特徴とする吸収液中のインヒビター濃度把握装置。
【請求項7】
請求項6記載の吸収液中のインヒビター濃度把握装置において、前記参照電極兼対極は、モリブデン金属電極で構成されたことを特徴とする吸収液中のインヒビター濃度把握装置。
【請求項8】
請求項5〜7の何れか1項記載の吸収液中のインヒビター濃度把握装置において、前記作用電極は、グラッシーカーボンで構成されたことを特徴とする吸収液中のインヒビター濃度把握装置。
【請求項9】
請求項5〜8の何れか1項記載の吸収液中のインヒビター濃度把握装置を備えたことを特徴とする吸収式冷温水機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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