説明

吸引型殺虫機

【課題】 畑や農場、牧場等の生産側に近い生産現場等においては、工場内に大量の飛翔昆虫が紛れ込むため、これを効率的に捕獲し、かつ、効率的な後処理をする必要性が高い。
【解決手段】本発明の殺虫機では、衝撃殺虫された虫の残骸を回収する通気性素材からなる略円筒状の残骸回収袋0111と、虫を衝撃殺虫して、残骸回収袋の内面略円周方向に殺虫された虫の残骸を強風排出する殺虫排出ファン0108と、からなり、効率的に虫を捕獲、殺虫した後、殺虫排出ファンからの旋回排気により虫の死骸を効率的に乾燥させることができる吸引型殺虫機を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般食品加工施設、畜産施設、鶏舎、医薬品製造施設、工場、農園、倉庫、商店等における虫の捕獲、殺虫、乾燥を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者にとって食の安全面は極めて関心の高い事項であり、生産者においてもこれに応えるべく、さまざまな対策を行っている。その一つが、飛翔昆虫等の食物への混入防止対策である。飛翔昆虫対策に用いられる装置としては、例えば、電撃式の殺虫機が挙げられる。電撃式の殺虫機は、蚊、ハエ、コガネムシなどの飛翔昆虫を誘引灯で誘引し、高電圧で感電殺虫するものである。しかし、電撃式の殺虫機では、電撃殺虫後の昆虫の死骸が散乱するという欠点があった。
【0003】
そこで、引用文献1では、吸引式の捕虫機に関する技術が提案されている。引用文献1の吸引式の捕虫機では、誘引灯にて飛翔昆虫を誘引し、誘引灯付近に集まった昆虫を誘引灯付近に配置された吸引フードによって吸引捕獲し、ダクトを介して捕虫機本体まで移送し、捕虫袋で飛翔昆虫を回収する構造となっている。
【特許文献1】実公平2−5742
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最終製品を製造する食品工場等では、工場内に紛れ込む虫の数自体が少ないため、虫を捕獲する機能さえ有していれば、その後の処理を考慮する必要性に乏しい。しかし、畑や農場、牧場等の生産現場に近い施設等においては、作物に虫が紛れ込んだままの状態で施設内に搬入されるため、施設内にも大量の虫が紛れ込む。このため、大量の虫を効率的に捕獲し、かつ、効率的な後処理をしなければならないという問題点がある。
【0005】
引用文献1に記載の捕虫機では、虫を捕獲することはできても、その後の処理については言及されておらず、上記問題点である大量の虫を効率的に捕獲し、後処理をすることができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明では、上記課題を解決するために、効率的に虫を捕獲し、殺虫し、適切な処理を行う吸引型殺虫機を提供することを目的とする。当該目的を達成するために、本発明では、以下の構成を有する殺虫機を提案する。
【0007】
第一発明では、衝撃殺虫された虫の残骸を回収する通気性素材からなる略円筒状の残骸回収袋と、虫を衝撃殺虫して、残骸回収袋の内面略円周方向に殺虫された虫の残骸を強風排出する殺虫排出ファンと、からなる殺虫機を提案する。
【0008】
第二発明では、第一発明に記載の殺虫機であって、前記殺虫排出ファンは、回転羽根により虫を衝撃殺虫し、この回転羽根の略円周位置に排気口を有する殺虫機を提案する。
【0009】
第三発明では、第一発明又は第二発明に記載の殺虫機であって、吸引口を有するとともに、前記殺虫排出ファンに対して吸引口から吸引された虫を回転軸線方向から導き入れるように取り付けられているダクトを有する殺虫機を提案する。
【0010】
第四発明では、第一発明から第三発明のいずれか一に記載の殺虫機であって、前記ダクトの吸引口には、虫を誘引する誘引手段を備えた吸引フードを有する殺虫機を提案する。
【0011】
第五発明では、第一発明から第四発明のいずれか一に記載の殺虫機であって、前記ダクトは伸縮性を有する構造からなり、吸引口の高さを変更するためのスライド式の高さ調整手段を有する殺虫機を提案する。
【0012】
第六発明では、第一発明から第五発明のいずれか一に記載の殺虫機であって、前記吸引口には、吸引風速を調節するための風速調整手段を有する殺虫機を提案する。
【0013】
第七発明では、第一発明から第六発明のいずれか一に記載の殺虫機であって、前記殺虫排出ファンの吸引風速は5m/sec以上である殺虫機を提案する。
【発明の効果】
【0014】
以上のような構成をとる本発明の殺虫機では、吸引された大量の虫を効率的に殺虫し、かつ、殺虫した後の虫の残骸を効率的に乾燥させることができる。このため、殺虫した虫の残骸の腐敗等を防ぐことができるため衛生的であり、虫の残骸を一般ごみとして廃棄処理することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。なお、実施形態1は主に請求項1、2について説明する。実施形態2は主に請求項3、4について説明する。実施形態3は主に請求項5について説明する。実施形態4は主に請求項6、7について説明する。
【0016】
≪実施形態共通の概念≫
【0017】
本実施形態に共通する概念を、図1を用いて説明する。図1に示すのは、本実施形態1乃至4に記載の機能を有する殺虫機の正面図(図1(a))と側面図(図1(b))である。図1に示す殺虫機は、吸引フード0101、誘引灯0102、反射板0103、吸引口0104、ダクト0105、ファンモータ0106、ファンケーシング0107、タイマ0108、風向案内板0109、残骸回収袋0110、スライド式高さ調整手段0111、キャスター0114などからなる。
【0018】
図1において、吸引フード0101には誘引灯0102が備え付けられ、誘引灯からの光は誘引効果を増大させるための反射板0103により反射されて広範囲から虫を誘引する。吸引フード0101にはダクト0105の一端が接続され、ダクト0105の他端はファンケーシング0107に接続されている。ファンケーシング0107内部には回転羽根(図示せず)が収納されており、回転羽根はファンモータ0106にて高速回転させることができる。
【0019】
回転羽根をファンモータ0106にて高速回転をさせると、ダクト0105を介して、吸引フード0101の吸引口0104から空気を吸引することができる。吸引口0104には、誘引灯0102が設置されているため、吸引口付近に誘引された虫を空気とともに吸引することができる。吸引された虫は、高速回転している回転羽根又は/及びファンケーシング0107の内面との衝撃により、瞬間的に殺虫される。
【0020】
衝撃殺虫された虫の残骸は、ファンケーシング0107から強制的に残骸回収袋0110に排気される。残骸回収袋0110は、通気性の素材からなり、空気のみを排気し、虫の残骸を内部に回収することができる。本発明では、ファンケーシング0107から残骸回収袋0110への排気方向が風向案内板0109により案内される点に特徴を有し、虫の残骸を効率的に乾燥させることができる。
【0021】
≪実施形態1≫
【0022】
(実施形態1の構成)図2に本実施形態における殺虫機を示す。本実施形態における殺虫機は、「残骸回収袋」0201と、「殺虫排出ファン」0202とを有する。
【0023】
(実施形態1の構成の説明)「残骸回収袋」0201は、衝撃殺虫された虫の残骸を回収するように構成されており、通気性素材からなる略円筒状にて形成されている。残骸回収袋は、図1における残骸回収袋0110に該当する。
【0024】
「衝撃殺虫」とは、殺虫排出ファン0202にて衝撃により殺虫することをいう。「虫の残骸」とは、衝撃殺虫された後の虫の死骸等をいう。虫とは、主として飛翔昆虫であり、ハエ、蚊、羽蟻、羽虫、ウンカ、蜂、蛾、蝶などの虫が該当するが、これらの虫に何ら限定されず、その他の虫であってもよい。
【0025】
「通気性素材」とは、空気を通す性質を持つ素材をいう。通気性素材は無数の微小孔を有する繊維性、樹脂製、紙製などの材料である。なお、残骸回収袋は全てが通気性素材にて形成されていなくても良く、少なくとも一部に通気性素材を有しており、排気可能であれば良い。例えば、図3(a)に示すように、残骸回収袋の上部0301のみが通気性素材であり、下部0302は通気性ではない素材とし、上部では主として排気を行い、下部では主として虫の残骸の回収を行うこととしても良い。また、図3(b)に示すように、円筒形状の一部0303のみを通気性素材として排気機能を確保しても良い。
【0026】
「略円筒状」とは、厳密な円筒形状のみに限らず、例えば、図4(a)に示す略円錐状の残骸回収袋0401、図4(b)に示す断面が略台形状の残骸回収袋0402等も含まれる。
【0027】
「殺虫排出ファン」0202とは、虫を衝撃殺虫して残骸回収袋0201の内面略円周方向に殺虫された虫の残骸を強風排出するように構成されている。殺虫排出ファン0202は、回転羽根0203を有し、これがファンケーシング0204に収納されている。回転羽根はモータ等(図示せず)により回転される。殺虫排出ファンに吸引された虫は、回転羽根やファンケーシングに衝突する際の衝撃により殺すことができる。殺虫排出ファンは、図1では、ファンモータ0106、ファンケーシング0107、及びファンケーシングの内部に収納された回転羽根が該当する。
【0028】
「残骸回収袋の内面略円周方向」とは、略円筒形状をしている残骸回収袋の内面の略円周方向をいう。すなわち、残骸回収袋の内面にそって円を描く方向である。「強風排出」とは、強風により、虫の残骸を強制的に排出することをいう。
【0029】
殺虫排出ファン0202では、残骸回収袋の内面略円周方向に殺虫された虫の残骸を強風排出するため、強風排出された虫の残骸は、残骸回収袋の内面にそって円を描くように強風排出される。排出方向は、図2に示すように風向案内板0205を設けることで調整することができる。また、風向案内板を用いずに、排気口を残骸回収袋の内面に沿う方向に設けることで排出方向を調整しても良い。強風排出された虫の残骸は、重力によって次第に下方へ落ちていくため、結果的に、虫の残骸は残骸回収袋内部を旋回するような方向で、殺虫排出ファンから残骸回収袋に排出される(以下、これを「旋回排気」という)。また、残骸回収袋にて回収された後の虫の残骸も、上部からの旋回排気により絶えず巻き上げられて風にさらされるため、効率的に乾燥させることができる。
【0030】
図2に示すように、殺虫排出ファンのファンケーシング0204に設けられた排気口0206は、回転羽根を挟んで吸引口0207とは反対側へ設けることで、虫を回転羽根0203にて確実に衝撃殺虫することができる。なお、吸引口0207は、ファンケーシングへの送気を行うことができるのであれば、いずれの位置に設けても良いが、回転羽根の回転軸付近に設けることで、回転羽根への送風をより効率的に行うことができる。
【0031】
殺虫排出ファンは、残骸回収袋に対して水平に設置することとしても良いし、図1に示す殺虫排出ファンのように、殺虫排出ファンを残骸回収袋に対して垂直に設置しても良い。図5に示す該殺虫排出ファンの概略図により、これを詳細に説明をする。図5に示す殺虫排出ファン0501は、ファンケーシング0504の内壁面を回転羽根0503の円周と略同一とし、回転羽根0503の略円周位置に排気口0505を設けている。「回転羽根の略円周位置」とは、回転羽根が回転により描く円における円周のいずれかの位置をいう。「排気口」とは、殺虫排出ファン0501から残骸回収袋0502へ排気を行うための口である。排気口から排気された虫は、風向案内板0506により残骸回収袋0502へ旋回排気される。図5の殺虫排出ファンでは、排気口を回転羽根の略円周位置に設けているため、殺虫排出ファンに吸引された虫を確実に殺虫することができる。殺虫排出ファンは、殺虫排出ファンの吸引口から吸引された虫が排気口から排気されるまでの間に少なくとも1回は回転羽根が回転している領域を通過するように構成する。
【0032】
なお、ファンケーシングの内面に樹脂コーティング処理を施しておくと、虫の死骸等が付着しにくく、その後の掃除等を容易に行うことができる。
【0033】
(実施形態1の具体例)図1、2、5を用いて本実施形態の殺虫機を具体的に説明する。本実施形態の殺虫機では、何らかの手段により、殺虫排出ファンに空気とともに虫を導く。例えば、図1に示すダクト0105を殺虫排出ファンに設置することとしても良いし、図2に示すように、殺虫排出ファンに直に吸引口0207を設けても良い。
【0034】
殺虫排出ファンに導かれた虫は、回転羽根及びファンケーシング等に衝突することで衝撃殺虫され、粉々に粉砕される。そして、虫の残骸は、風向案内板0109、0205、0506により、空気とともに残骸回収袋へ旋回排気される。残骸回収袋では、空気を旋回排気するとともに虫の残骸が回収されるため、大量の虫を捕獲した場合であっても、虫の残骸を効率的に乾燥し、かつ、回収することができる。
【0035】
(実施形態1の効果)本実施形態の殺虫機では、吸引された虫を確実に殺虫し、かつ、殺虫した後の虫の残骸を旋回排気することで効率的に乾燥させることができる。このため、殺虫した虫の残骸の腐敗等を防ぐことができるため衛生的であり、虫の残骸は一般ごみとして廃棄することが可能である。
【0036】
≪実施形態2≫
【0037】
(実施形態2の構成)本実施形態の殺虫機は、実施形態1に記載の殺虫機を基本とし、さらに、図1に示すように、ダクト0105と吸引フード0101を有することを特徴とする。
【0038】
(実施形態2の構成の説明)「ダクト」0105は、吸引口を有するとともに、前記殺虫排出ファンに対して吸引口から吸引された虫を回転軸線方向から導き入れるように取り付けられている。すなわち、ダクトの一端は吸引口であり、他端は前記殺虫排出ファンに接続される。殺虫排出ファンへは、回転羽根の回転軸線方向から虫を導き入れるために、回転軸近傍にダクトの排気口を接続する。図6に、ダクト0601の排気口0602が殺虫排出ファン0603の回転軸0604付近に接続されている様子を示す。
【0039】
ダクト0601を回転羽根0605の回転軸近傍に接続すると、ダクトから殺虫排出ファンに導かれた虫は、空気の流れに乗って回転羽根に吸い込まれる(矢印1)。殺虫排気ファンの排気口は、図2又は図6に示すように、回転羽根を介した反対側又は回転羽根の円周位置に設けられているため、回転羽根に吸い込まれた虫が殺虫排気ファンから排出されるまでには、必ず回転羽根の回転領域を通らなければいけない。特に図6の殺虫排出ファンでは、回転羽根の円周位置に殺虫排気ファンが設けられており、ダクトからの吸引方向に対して、排気方向が直交している(矢印2)。このため、殺虫排気ファンに導かれた虫が回転羽根をすり抜けて残骸回収袋に達することは極めて困難であり、確実に殺虫排気ファンにて衝撃殺虫することができる。そして、衝撃殺虫された虫は、残骸回収袋の内面略円周方向に強風排出される(矢印3)。
【0040】
「吸引フード」0101は、前記吸引ダクト0105の吸引口に設けられ、虫を誘引する誘引手段を備えている。吸引フードは、外側に向けて幅広の反射板0103等を有していても良く、反射板等を備えた場合には広範囲からの虫を吸引することができる。
【0041】
「誘引手段」とは、虫を吸引フード近傍に誘引することができる手段である。例えば、図1に示すように、昆虫が好むナノメータの光線を発する誘引灯0102などが用いられる。図7に誘引灯を備えた吸引フードの側方断面図を示す。図7に示すように、誘引灯0702は、吸引フード0701の吸引口0704の略中央付近に設置し、これを取り囲むように上下に反射板0703が設けられている。誘引灯0702は、蛍光灯であっても良いし、発光ダイオードなどであっても良い。また、誘引対象となる虫に応じて誘引灯の色を変更しても良い。誘引手段としては、誘引灯のほかにも、昆虫が好むフェロモン剤、香り、音、振動、微弱電波等を用いても良いし、対象とする虫に応じてこれらの色(可視光以外の波長も含む)、温度等を変更しても良い。また、これらの複数の誘引手段を併用しても良い。例えば、誘引灯とフェロモン剤の併用や、誘引灯と香りとの併用などである。
【0042】
(実施形態2の具体例)図1、8を用いて本実施形態の殺虫機を具体的に説明する。図1に示すように、誘引手段として、誘引灯0102を用いた場合には、吸引フード0101に設けられる反射板0103は金属等の光沢を有する材質であることが望ましい。これにより、広範囲から虫を吸引することができるだけでなく、誘引灯の光を反射することで広範囲の虫を誘引することも可能である。また、反射板の反射面に樹脂コーティングを施すことにより、虫が滑りやすくなりより効率的に虫を捕獲することができる。
【0043】
図1に示すように、吸引フードは殺虫排出ファンの上方に設けても良いし、図8(a)に示すように、殺虫排出ファン0801の側方に吸引フード0802を設けても良い。殺虫排出ファンの上方に設ける場合には、高い位置に飛翔する虫を捕獲することができ、側方に設ける場合には、飛翔力の弱い虫を捕獲することもできる。このように、捕獲する虫の生態や設置場所の状況に応じて吸引フードの設置位置を変更することが効果的である。また、これらの態様に限られず、例えば、吸引フードを斜めに配しても良いし、図8(b)に示すように吸引フード0803の吸引口が上方を向くように配置しても良いし、図8(c)に示すように吸引フード0804の吸引口が下方を向くように配置しても良いし、図8(d)に示すように吸引フード0805の吸引口が低位置で側方を向くように配置しても良い。
【0044】
吸引フード0101から吸引された虫は、ダクト0105を介して回転羽根の回転軸線方向から殺虫排出ファンのファンケーシング0107に導き入れることができる。殺虫排出ファンの排気口が回転羽根の略円周位置に設けられている場合には、吸引方向に対して排気方向が直交しており、ダクトから殺虫排出ファンに導かれた虫は、回転羽根の高速回転による衝撃と、ファンケーシング0107への衝突により、確実に殺虫される。そして、衝撃殺虫された虫は強風排出されて強制的に残骸回収袋0110に排出される。
【0045】
上記の通り、殺虫排出ファンの回転軸線方向から虫を導き入れることにより確実に殺虫することができるため、回転羽根をタイマ0108により間欠運転とすることも効果的である。虫の種類によっては気流があると逆らう性質を持ち、誘引されないものもある。このため、回転羽根を間欠運転することでこのような性質を持つ虫も誘引することができる。本実施形態における殺虫機では、虫が確実に衝撃殺虫されるため、回転羽根を一時的に停止させた場合でも、残骸回収袋0110から虫が逃げていく虞が無い。このため、逆止弁等を新たに設けて虫が逃げていくのを防止せずとも、効果的に回転羽根の間欠運転を行うことができる。また、間欠運転を行うことにより、常時運転の場合よりも省エネ効果が期待できる。
【0046】
(実施形態2の効果)本実施形態の殺虫機では、実施形態1に加えて、吸引フードと誘引手段により効率的に虫を誘引、吸引し、吸引された虫を殺虫排出ファンにて確実に殺虫することができる。これにより、回転羽根を間欠運転することも可能であり、虫の特性に応じてより効率的に虫を捕獲して処理することができる。
【0047】
≪実施形態3≫
【0048】
(実施形態3の構成)本実施形態の殺虫機は、実施形態1又は2に記載の殺虫機を基本とし、さらに、図1に示すように吸引フードを殺虫排出ファンの上方に設けた場合に「高さ調整手段」0111を有することを特徴とする。
【0049】
(実施形態3の構成の説明)「高さ調整手段」0111は、スライド式であり、ダクトの吸引口の高さを変更することができる。図1に示すように、高さ調整手段の下部は殺虫排出ファン、残骸回収袋などに固定されており、上部にはダクト0105の吸引口が接続された吸引フード0101が設置できるように構成される。高さ調整手段のスライド機構は、例えば、内径の異なる二つの金属管や矩形の鋼材を用意し、一方の金属管又は鋼材にもう一方の金属管又は鋼材を挿入した状態で繋ぎ合わせて形成することができる。また、高さ調整手段の上部には、吸引フードの位置決めのための上部支持体0112を備え、吸引フードを上部支持体にて支持する。また、高さ調整手段の略中央部にダクトの略中央部を支持する中央部支持体0113を備えることが望ましい。高さ調整手段の下部では、殺虫排出ファン又は/及び残骸回収袋と接続し、吸引フードの高さを高くした場合であっても殺虫排出ファン等が倒れることなく重心のバランスを保つことができるようにすることが望ましい。なお、高さ調整手段の最下部にキャスター0114等を設けることで、殺虫機を移動可能とすることがより望ましい。
【0050】
高さ調整手段0111を設ける場合には、ダクト0105は伸縮性を有する構造とする。例えば、ダクトを蛇腹状としても良いし、ダクトの素材をゴムなどの伸縮自在な素材にて形成しても良いし、ダクトの延長を十分な長さとして可撓性を有する素材にて形成しても良い。また、ダクト自体を取り外し可能とし、必要に応じた長さのダクトを設置できるようにしても良い。
【0051】
ダクトの吸引口の高さを調整可能とすることで、設置場所において障害物が存在する場合であっても、これを避けて虫の誘引、吸引を行うことができる。また、障害物が存在しない場合であっても、虫の生態特性に対応した位置に吸引口を設置することが可能である。さらに、キャスターを備えることで、より設置施設の状況や虫の生態特性に対応した位置に殺虫機を設置することができる。
【0052】
(実施形態3の効果)本実施形態の殺虫機では、実施形態1又は2に加えて、ダクトの吸引口の高さを調整することで、設置施設の状況や虫の生態特性に対応した位置に殺虫機を設置することができる。このため、より効率的に虫を捕獲して処理することができる。
【0053】
≪実施形態4≫
【0054】
(実施形態4の構成)本実施形態の殺虫機は、実施形態1から3のいずれかに記載の殺虫機を基本とし、さらに、ダクトの吸引口に風速調整手段を有することを特徴とする。
【0055】
(実施形態4の構成の説明)「風速調整手段」は、吸引風速を調整するように構成されている。風速調整手段の一例を図9に示す。図9に示すように、風速調整手段は、吸引フード0901に設けられた上下のスリット0902などにて構成される。スリットは、例えば、端部に磁石を備えて、所定の角度で吸引フード側壁に固定できるようにする。また、スリットはビス等で固定しても良い。当該スリット0902の角度を変化させると、吸引フード0901の開口部0903の面積が変化する。吸引フードはダクト0904に接続されており、風速調整手段であるスリット0902により、ダクトの吸引風速を調節することができる。ダクトの排気口に接続されている殺虫排出ファンの回転羽根が一定の速度で回転している場合には、当該開口部0903の面積を大きくすると吸引フード0901近傍における吸引風速は遅くなり、当該開口部0903の面積を小さくすると速くなる。このため、回転羽根の回転数を変化させなくても風速調整手段にて吸引フード近傍の吸引風速を調節することができる。
【0056】
なお、ダクト0904の排気口に接続されている殺虫排出ファンは、ダクトの吸引口における吸引風速が少なくとも5m/sec以上となるように設定して運転することが望ましい。上記風速以上とすることで、蠅、蚊、羽蟻、羽虫、蛾、ウンカなどの主要な害虫を確実に吸引することができる。そして、風速調整手段等にてさらに吸引風速を速くすることで、蜂などの飛翔能力の高い害虫を吸引することも可能である。
【0057】
(実施形態4の効果)本実施形態の殺虫機では、実施形態1から3に加えて、風速調整手段を設けることで、吸引風速を調整することができる。このため、虫の生態特性に対応した風速に調整することで、より確実に、かつ、効率的に虫を捕獲して処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】殺虫機の正面図及び則面図
【図2】実施形態1の殺虫機を示す図
【図3】残骸回収袋の具体例を示す図(1)
【図4】残骸回収袋の具体例を示す図(2)
【図5】殺虫排出ファンの他の形状を示す図
【図6】回転軸線方向にダクトを接続した状態を示す図
【図7】吸引フードの具体例を示す図
【図8】吸引フードの設置位置を示す図
【図9】風速調整手段の具体例を示す図
【符号の説明】
【0059】
0101 吸引フード
0102 誘引灯
0103 反射板
0104 吸引口
0105 ダクト
0106 ファンモータ
0107 ファンケーシング
0108 タイマ
0109 風向案内板
0110 残骸回収袋
0111 高さ調整手段
0112 上部支持体
0113 中央部支持体
0114 キャスター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃殺虫された虫の残骸を回収する通気性素材からなる略円筒状の残骸回収袋と、
虫を衝撃殺虫して、残骸回収袋の内面略円周方向に殺虫された虫の残骸を強風排出する殺虫排出ファンと、
からなる殺虫機。
【請求項2】
前記殺虫排出ファンは、回転羽根により虫を衝撃殺虫し、この回転羽根の略円周位置に排気口を有する請求項1に記載の殺虫機。
【請求項3】
吸引口を有するとともに、前記殺虫排出ファンに対して吸引口から吸引された虫を回転軸線方向から導き入れるように取り付けられているダクトを有する請求項1又は2に記載の殺虫機。
【請求項4】
前記ダクトの吸引口には、虫を誘引する誘引手段を備えた吸引フードを有する請求項1から3のいずれか一に記載の殺虫機。
【請求項5】
前記ダクトは伸縮性を有する構造からなり、吸引口の高さを変更するためのスライド式の高さ調整手段を有する請求項1から4のいずれか一に記載の殺虫機。
【請求項6】
前記吸引口には、吸引風速を調節するための風速調整手段を有する請求項1から5のいずれか一に記載の殺虫機。
【請求項7】
前記殺虫排出ファンの吸引風速は5m/sec以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一に記載の殺虫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−54564(P2008−54564A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234571(P2006−234571)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(506294255)ポラリス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】