説明

吸引式投薬器

【課題】簡便かつ確実にカプセルを装填できる吸引式投薬器を提案する。
【解決手段】薬剤を充填したカプセルを収納する収納室Mを有するボディ1と、このボディ1の収納室Mに配置されたカプセルに孔を開ける穿孔手段6と、穿孔されたカプセルの薬剤を該収納室Mにつながる排出経路3aを通して吸引するマウスピース3とを備えた吸引式投薬器において、前記ボディ1を、2箇所において開口部を有する筒体1′にて構成する。そして筒体1′の一方の開口部1dにマウスピース3を設け、該筒体1′のもう一方の開口部1eに、枢軸Pやヒンジ等の連結部を介して筒体1′に開閉可能につながり、その開放状態で収納室Mの入口Mを開としてカプセルの装填を行なう蓋体4を設ける。該蓋体4には、マウスピース3による吸引時にのみボディ1内への外気の導通を許容する逆止弁4aを配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の吸引により薬剤を投与するのに適した吸引式投薬器に関するものであり、薬剤を充填したカプセルを簡便かつ確実に投薬器に装填しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
薬剤を装填したカプセルを収納室に配置し該カプセルに孔を開けたのち、マウスピースを通してカプセル内の薬剤を吸引する吸引器は、喘息患者等において多用されるものであって、吸引に係る薬剤が口腔内面に付着するのを防止する構造のもの等、これまでに種々の提案が見られる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005-21669号公報
【0003】
ところで、従来の投薬器は、各構成部材がねじによる連結構造になっているのが一般的であり、薬剤を充填したカプセルの投薬器への装填に手間がかかるうえ、薬剤(粉体)の一部分が蓋体等のねじ部に付着した場合等においては投薬器の確実な密閉が困難となることから薬剤の吸引時に投薬器から漏れ出てしまうことも懸念され、未だ改善の余地が残されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、カプセルの装填を、簡便かつ確実に行ない得る新規な吸引式投薬器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、薬剤を充填したカプセルを収納する収納室を有するボディと、このボディの収納室に配置されたカプセルに孔を開ける穿孔手段と、穿孔されたカプセルの薬剤を該収納室につながる排出経路を通して吸引するマウスピースとを備えた吸引式投薬器であって、
前記ボディは、2箇所において開口部を有する筒体からなり、
前記筒体の一方の開口部にマウスピースを設け、
該筒体のもう一方の開口部に、筒体に連結部を介して開閉可能につながり、その開放状態で収納室の入口を開としてカプセルの装填を行なう蓋体を設け、
該蓋体は、マウスピースによる吸引時にのみボディ内への外気の導通を許容する逆止弁を有することを特徴とする吸引式投薬器である。
【発明の効果】
【0006】
投薬器のボディを構成する筒体の一方の開口部に枢軸あるいはヒンジの如き連結部を介して蓋体を取り付け、この蓋体を開閉するだけでカプセルの装填が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明に従う吸引式投薬器の実施の形態をその外観で示したものであり、図2〜図3はその各断面を示した図である。
【0008】
図において1は投薬器の主要部を構成するボディである。このボディ1は軸心に沿う対向位置の2箇所において両端が開放された筒体1′を例として示してあり、その内側には、隔壁1aによってカプセルを収納する収納室Mと、この収納室Mにつながる入側経路1b及び出側経路1cが区画形成されている(図2参照)。
【0009】
また、2は筒体1′の内側に配置された仕切壁である。この仕切壁2は外気と混合された薬剤を旋回させつつ通す通路を形成するものであって、その一端は出側経路1cにつながっている。3は筒体1′の開口部1dにつながるマウスピースである。このマウスピース3は仕切壁2によって形成された通路の他端につながっており、外気と混合された薬剤を排出する排出口3aを有する。
【0010】
4は筒体1′のもう一方の開口部1eに設けられた蓋体である。この蓋体4はマウスピース3による吸引時のみボディ1内への外気の導通を許容する逆止弁4aが配置されていて、連結部としての枢軸Pを介して筒体1′に開閉可能につながっている。連結部は枢軸Pに代えてヒンジを適用することもできる。
【0011】
5は蓋体4の両側に一体的に設けられた係止片である(図1参照)。この係止片5の先端には爪部5aが設けられており、この爪部5aを、筒体1′に設けた開口で係止することで蓋体4を閉じた状態に保持する。
【0012】
6はボディ1の収納室Mに配置されたカプセルに孔を開ける穿孔手段である。この穿孔手段6はボディ1に一体的あるいは別体としてつながるとともに上端部に開口を有する筒体6aと、この筒体6aの内側にてスプリングSの如き弾性部材にてスライド可能に支持され、上端部の開口より抜け出し不能に露出する押しボタン6bと、この押しボタン6bの孔部6b′に嵌合保持され、該押しボタン6bの押圧にて隔壁1aに形成された貫通孔hを通して収納室Mに先端部分を導入してカプセルの穿孔を行なうピン6cからなる。さらに、7は筒体6aの上端部でねじあるいはアンダーカットにより係合され押しボタン6bの抜け出しを防止する抜け止めキャップである。
【0013】
上記の構成になる投薬器において、収納室M内に配置したカプセル内の薬剤を吸引するには、まず、押しボタン6bを押し込む。そうすると押しボタン6bにつながるピン6cがスプリングSの反発力に抗して収納室Mへと導入されその先端部分でカプセルに孔を開けることになる。
【0014】
カプセルに孔を開けたのち、マウスピース3を口で咥え込んで吸気すると、図2中の矢印の如く逆止弁4aを通って外気が収納室M内へと流入し、カプセル内の薬剤と混合され、出側経路1c及び仕切壁2によって形成された通路を経てマウスピース3の排出口3aから排出される。
【0015】
カプセルを収納室Mに配置するには、蓋体4の係止片5を両側から内側に向けて押し込みその爪部5aによるボディ1との連係を解除して図4に示すように、蓋体4を枢軸Pを基点にして回動させればよく、これにより収納室Mの入口Mが開となりカプセルを簡単に装填することができる。
【0016】
本発明では、穿孔手段6をボディ1の軸心に対して直交する向きに設けたものを例として示したが、該穿孔手段6は、ボディ1の軸心に沿う向きに設けてもよく、この場合、筒体1′の開口部1d、1eの設置位置は該筒体1′の軸心に直交する向きに設ける等、適宜変更される。
【産業上の利用可能性】
【0017】
簡便にしかも確実にカプセルを配置することができる吸引式投薬器が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に従う吸引式投薬器の実施の形態を外観で示した図である。
【図2】図1に示した投薬器の断面を示した図である。
【図3】図2のA-A断面を示した図である。
【図4】図1に示した投薬器につき、収納室を開放した状態を示した図である。
【符号の説明】
【0019】
1 ボディ
1′筒体
1a 隔壁
1b 入側経路
1c 出側経路
1d 開口部
1e 開口部
2 仕切壁
3 マウスピース
3a排出経路
4 蓋体
4a逆止弁
4b開口
5 係止片
5a爪部
6 穿孔手段
6a 筒体
6b 押しボタン
6b′孔部
6c ピン
7 抜け止めキャップ
M 収納室
S スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を充填したカプセルを収納する収納室を有するボディと、このボディの収納室に配置されたカプセルに孔を開ける穿孔手段と、穿孔されたカプセルの薬剤を該収納室につながる排出経路を通して吸引するマウスピースとを備えた吸引式投薬器であって、
前記ボディは、2箇所において開口部を有する筒体からなり、
前記筒体の一方の開口部にマウスピースを設け、
該筒体のもう一方の開口部に、筒体に連結部を介して開閉可能につながり、その開放状態で収納室の入口を開としてカプセルの装填を行なう蓋体を設け、
該蓋体は、マウスピースによる吸引時にのみボディ内への外気の導通を許容する逆止弁を有することを特徴とする吸引式投薬器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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