吸引捕集装置
【課題】被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる吸引捕集装置を提供すること。
【解決手段】本体筐体の前部に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも下方に配される吹出口を有して被捕集面に沿って前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の速度の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたこととする。
【解決手段】本体筐体の前部に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも下方に配される吹出口を有して被捕集面に沿って前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の速度の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたこととする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被捕集物を捕集する吸引捕集装置に関するものであり、特に吸込手段と吹出手段を有する吸引捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、塵や埃等を吸い込み捕集する装置として電気掃除機やロボットクリーナーが普及している。例えば電気掃除機は電気掃除機本体の内部に電動送風機が設けられ、電動送風機の動作により吸込口から塵埃を含んだ空気を吸い込む。吸い込まれた空気はフィルタを通すことにより塵埃を捕集し、フィルタを通過した塵埃が除去された空気が電動掃除機から排出される。このような電気掃除機には塵埃の吸引効率を向上させるために電動掃除機から排出される排気の一部を電気掃除機の本体内部で循環させて吸込口に設けられた吹出口から吹き出す機構を有するものがある。
【0003】
従来の吸引捕集装置は特許文献1に開示されている。この吸引捕集装置は開口した吸気口に噴出ノズルが設けられ、噴出ノズルは配管部を介してエアポンプと接続されている。電動送風機が動作を開始すると、吸込口から気流が吸い込まれる。同時にエアポンプに圧縮空気が溜まり始め、任意の圧力以上になるとバルブが開いて圧縮空気は配管部を伝って噴射ノズルから噴射される。そして、噴出ノズルから噴射された高速気流により清掃面に付着した塵埃や凸凹の奥にある塵埃が吹き飛ばされ、吹き飛ばした塵埃が吸気口から吸い込まれる。これにより、効率よく塵埃を捕集することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−321305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の吸引捕集装置は、吸気口が噴射ノズルよりも高速気流の噴射方向後方に配されている。よって、塵埃を吸気口から吸い込むためには塵埃を高く舞い上げる必要があり、吸気口により吸い込むことができなかった塵埃が撒き散らされることになるという問題があった。また、塵埃が撒き散らされることを防ぐため開口部に傘状部を有するようにすることが開示されているが、該構成では壁際において傘状部が壁に当たることにより壁際の塵埃を吸い込むことができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑み被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる吸引捕集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の吸引捕集装置は、本体筐体の前部に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも下方に配される吹出口を有して被捕集面に沿って前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の速度の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴としている。
【0008】
上記目的を達成するために本発明の吸引捕集装置は、本体筐体の前部に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも下方に配される吹出口を有して被捕集面に沿って前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の風量の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の風量の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴としている。
【0009】
この構成によると、吸引捕集装置が駆動されると本体筐体の前部に形成された吸込口から外気が吸い込まれ、吹出手段によって空気が吹出口から被捕集面に沿って吹き出される。また、被捕集面上の被捕集物は吹出口から吹き出された気流に巻き込まれ被捕集面に沿って流れる。そして、吸込口から吸い込まれる気流の速度又は風量の大きさは吹出口から吹き出される気流の速度又は風量の大きさよりも大きいため、吹出口から吹き出された気流は吸い込まれる気流の一部となって吸込口により吸い込まれる。
【0010】
また本発明は、前記本体筐体は被捕集面に対して所定の隙間を有して配されるとともに、前記吹出口を前記吸込口よりも後方に配して前記吹出口から前方に向けて前記隙間を流通する気流が吹き出されることが望ましい。
【0011】
この構成によると、吸引捕集装置が駆動されると吹出口から本体筐体と被捕集面との隙間を流通する気流が吹き出される。また、吹出口は吸込口よりも後方に配されているため、吹出口から吹き出された気流は本体筐体と被捕集面とが対向する範囲にある被捕集物を気流に巻き込む。そして、吹出口から吹き出された気流は本体筐体の前方まで被捕集面に沿って流れて吸い込まれる気流の一部となって吸込口により吸い込まれる。
【0012】
上記目的を達成するために本発明の吸引捕集装置は、本体筐体に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも上方に配される吹出口を有して被捕集面に向かって前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の速度の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴としている。
【0013】
上記目的を達成するために本発明の吸引捕集装置は、本体筐体に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも上方に配される吹出口を有して被捕集面に向かって前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の風量の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の風量の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の吸引捕集装置において、前記吸込口は前記本体筐体の前部に形成されることが望ましい。
【0015】
また本発明は、上記構成の吸引捕集装置において、前記本体筐体は被捕集面に対して所定の隙間を有して前記吸込口が底面に配されることが望ましい。
【0016】
また本発明は、上記構成の吸引捕集装置において、前記吸込口は前記被捕集面に平行な方向に延びるスリット状に形成されることが望ましい。
【0017】
また本発明は、上記構成の吸引捕集装置において、前記吸込口から吸い込まれる気流の流入方向を被捕集面に対して略平行にし、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口の前方で向きを変えて前記吸込口から吸い込まれることが望ましい。
【0018】
また本発明は、上記構成の吸引捕集装置において、前記吹出口を複数設けることが望ましい。
【0019】
また本発明は、上記構成の吸引捕集装置において、複数の前記吹出口は対向配置され、対向する一の前記吹出口と他の前記吹出口とから吹き出される気流が衝突して前方に導かれることが望ましい。
【0020】
また本発明は、上記構成の吸引捕集装置において、前記吹出口から吹き出される気流が前記吸込手段の排気から成ることが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、吸込口から吸い込まれる気流の速度又は風量の大きさが吹出口から吹き出される気流の速度又は風量の大きさよりも大きいため、吹き出された気流は吸い込まれる気流の一部となって吸込口により吸い込まれる。この時、吹き出された気流は被捕集面上の被捕集物を該気流に巻き込んで吸い込まれる気流に合流する。従って、被捕集面上の被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】は、本発明の第1実施形態の吸引捕集装置を示す正面図である。
【図2】は、本発明の第1実施形態の吸引捕集装置を示す側面図である。
【図3】は、本発明の第1実施形態の吸引捕集装置の気流の移動ベクトル分布を解析した図である。
【図4】は、本発明の第2実施形態の吸引捕集装置を示す側面図である。
【図5】は、本発明の第3実施形態の吸引捕集装置を示す正面図である。
【図6】は、本発明の第4実施形態の吸引捕集装置を示す正面図である。
【図7】は、本発明の第5実施形態の吸引捕集装置を示す側面図である。
【図8】は、本発明の第6実施形態の吸引捕集装置を示す正面図である。
【図9】は、本発明の第6実施形態の吸引捕集装置を示す側面図である。
【図10】は、本発明の第6実施形態の吸引捕集装置において、被捕集面における気流の流線を解析した図である。
【図11】は、本発明の第7実施形態の吸引捕集装置を示す正面図である。
【図12】は、本発明の第7実施形態の吸引捕集装置を示す側面図である。
【図13】は、本発明の第1実施形態の吸引捕集装置の別の例を示す側面図である。
【図14】は、本発明の第6実施形態の吸引捕集装置を壁際で使用した際の気流の流線を解析した図である。
【図15】は、本発明の第6実施形態の別の例の吸引捕集装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために本発明の吸引捕集装置の一例を示すものであって、本発明を以下の吸引捕集装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の吸引捕集装置にも等しく適応し得るものである。また、以下において説明する具体的な数値はあくまでも例示であり、発明の内容を限定するものではない。図1、図2は本発明の第1実施形態の吸引捕集装置を示す正面図及び側面図である。吸引捕集装置1は被捕集物を捕集する本体筐体2を備えている。吸引捕集装置1の本体筐体2は被捕集面10に対して所定の隙間9を有して配される。そして、本体筐体2の被捕集面10に対して直交する前面2aには吸込口3が設けられ、吸込口3よりも下方且つ後方に吹出口4が設けられている。吸込口3は幅広い範囲から外気を吸い込むために被捕集面10の略平行な方向に延びて前面2aの横幅方向に広く開口して形成されている。吹出口4は気流を任意の速度で被捕集面10に吹き出すためにスポット状に開口して形成されている。
【0024】
吸込口3は吸込通路5を介して電動送風機6と接続されている。これにより吸込口3と吸込通路5と電動送風機6とは吸込口3から被捕集物とともに外気を吸い込む吸込手段を構成する。吹出口4は吸込口3と同じ方向に面して開口している。また、吹出口4は被捕集面10に沿って気流を吹き出すためにやや被捕集面10に向かって傾斜している。吹出口4は配管部8を介してエアポンプ7に接続されている。これにより吹出口4と配管部8とエアポンプ7とは被捕集面10に沿って吹出口4から気流を吹き出す吹出手段を構成する。なお、エアポンプ7により圧縮される空気は図示しないフィルタにより塵埃等の被捕集物が取り除かれた空気となっている。
【0025】
上記構成の吸引捕集装置1において、電動送風機6が駆動されると吸込口3から矢印A1に示すように任意の速度で外気が吸い込まれる。また、エアポンプ7により圧縮された空気が矢印B1に示すように任意の速度で吹出口4から吹き出される。吹出口4から吹き出された気流は本体筐体2と被捕集面10の隙間9を流通する。吹出口4から吹き出された気流は本体筐体2と被捕集面10との隙間9を流通する際に本体筐体2の下方の被捕集面10上の被捕集物を気流に巻き込んで吸込口3の前方に流通する。
【0026】
この時、吸込口3から吸い込まれる気流の速度の大きさは吹出口4から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きくなるように設定される。これにより、吸込口3と吹出口4とを含む一定の範囲内において空気の循環が発生し、被捕集面10に沿って流れていた吹出口4から吹き出された気流の移動ベクトルが矢印B2に示すように上方に変換される。そして、吹出口4から吹き出された気流は吸込口3に吸い込まれる気流の一部となって吸込通路5に流入する。これにより、被捕集面10上の塵埃が気流に含まれて捕集される。
【0027】
加えて、吹出口4から吹き出された気流が本体筐体2と被捕集面10の隙間9を流通して該隙間9に存在する被捕集物を気流に巻き込んで吸込口3の前方に吹き出すので、被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。
【0028】
なお、吹出口4を吸込口3よりも下方且つ後方のどの位置に設けるかは特に限定されない。図13に示すように吹出口4から吹き出された気流が本体筐体2と被捕集面10の隙間9を流通する時間を長くする(距離を長くする)ことによって、該隙間9に存在する被捕集物をより広範囲に渡って気流に巻き込んで吸込口3の前方に吹き出すので、多くの被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。
【0029】
図3は本実施形態において所定の速度差を設定した際の気流の移動ベクトル分布を解析した図である。吸い込む気流の速度を17m/s、吹き出す気流の速度を10m/sとし、速度差を7m/sとしている。これによれば、吸込口3の前方40mm付近において吹き出された気流の移動ベクトルが上方に変換され、吸い込まれる気流に合流していることが確認できる。従って、吸込口3の前方40mmの範囲を捕集範囲とすることができる。
【0030】
なお、捕集範囲は吹出口4の気流速度と吸込口3の気流速度の大きさを変更すること及び速度差を変更することによって任意の範囲に設定することができる。
【0031】
また、被捕集面10であるフローリングに被捕集物としてφ2mmの発泡ビーズを置いた状態で吸込気流の速度を17m/s、吹出気流の速度を10m/sとして吸引を行った。その結果、吸込口3の前方40mm、幅10mmの捕集範囲において被捕集物を撒き散らすことなく全て吸い込むことができた。
【0032】
本実施形態によると、吸込口3から吸い込まれる気流の速度の大きさが吹出口4から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きいことにより、吹出口4から吹き出された気流が吸い込まれる気流の一部となって吸込口3により吸い込まれる。この時、吹き出された気流は被捕集面10上の被捕集物を該気流に巻き込んで吸い込まれる気流に合流する。従って、被捕集面10上の被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。
【0033】
また、吸込口3から吸い込まれる気流の流入方向を被捕集面10に対して略平行にするので吹出口4から吹き出された気流が吸込口3の前方で向きを変えて吸込口3から吸い込まれる。これによって、捕集範囲を吸込口3の前方の一定範囲とすることができ、本体筐体2の前方の開放空間の塵埃を捕集することができる。
【0034】
[第2実施形態]
図4は第2実施形態の吸引捕集装置を示す側面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は吸引捕集装置1の本体筐体2と被捕集面10との間に所定の隙間9を有しておらず、吹出口4が吸込口3よりも下方に配されている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0035】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に被捕集面10上の被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。
【0036】
[第3実施形態]
図5は第3実施形態の吸引捕集装置を示す正面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は吸引捕集装置1の吹出口11が被捕集面10に平行な方向に延びるスリット状に形成されている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0037】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、吹出口4が被捕集面10に平行な方向に延びるスリット状に形成されていることにより、気流を被捕集面10に対して幅広く吹き出すことができる。これにより、気流が流れる被捕集面10上の範囲が横幅方向に広い範囲になるので、被捕集面10上の被捕集物を多く気流に巻き込むことができて吸引効率を向上させることができる。
【0038】
[第4実施形態]
図6は第4実施形態の吸引捕集装置を示す正面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は吸引捕集装置1の吹出口14がスポット状に開口した形状を有する第1の吹出口12と第2の吹出口13からなっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0039】
第1の吹出口12と第2の吹出口13とは吹き出される気流が衝突して前方に導かれるように対抗して配置されている。なお、気流が衝突する位置は気流の移動ベクトルが上方に変換される範囲であって、且つ本体筐体2から離れた吸込口3の前方とすることが望ましい。
【0040】
上記構成の吸引捕集装置1において、電動送風機6が駆動されると第1の吹出口12から吹き出される気流と第2の吹出口13から吹き出される気流とが衝突することにより、気流の移動ベクトルを上方に変換する力が発生する。
【0041】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、より少ない気流の吹き出し量で効率的に気流の移動ベクトルを上方に変換することができるので、エアポンプ7(図1参照)をより安価なものとすることができる。従って、吸引捕集装置1のコストを削減することができるとともに、消費電力を削減することができる。尚、第1〜第4実施形態においてエアポンプ7に替えて送風ファンを設けてもよい。
【0042】
[第5の実施形態]
図7は第5実施形態の吸引捕集装置を示す側面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。吸引捕集装置1の背面側に排気口15が設けられ、電動送風機6と排気口15は排気ダクト16で接続されている。また、エアポンプ7(図1参照)は設けずに排気ダクト16から分岐した配管部17を設け、配管部17を介して電動送風機6と吹出口4とが接続される構成としている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0043】
上記構成の吸引捕集装置1において、電動送風機6が駆動されると吸込口3から任意の速度で外気を吸い込む。吸込口3から吸い込まれた外気は図示しないフィルタにより被捕集物が取り除かれると排気ダクト16を伝わって排気口15から排気される。電動送風機6の一部は排気ダクト16から分岐した配管部17を伝わって吹出口4から吹き出される。
【0044】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に被捕集面10上の被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。加えて、電動送風機6の排気の一部を利用して吹出口4から気流を吹き出すことができるため、エアポンプなどの送風機を搭載する必要がなくなり部品点数を減らしてコストを削減することができる。また、エアポンプなどの送風機に使用する電力を削減できるため、消費電力を小さくすることができる。また、装置の軽量化を実現することができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、吸い込まれる気流の速度の大きさを吹き出される気流の速度の大きさよりも大きく設定することを実現するために排気口15を有する構成としているが、吸込口3や吹出口4の形状を変更とすることにより上記目的を達成することができる場合には、排気口15を有しない構成とすることもできる。
【0046】
[第6実施形態]
図8、図9は第6実施形態の吸引捕集装置を示す正面図及び側面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は吸引捕集装置1の吹出口22がスポット状に開口した形状を有する第1の吹出口20と第2の吹出口21からなっている。また、第1の吹出口20と第2の吹出口21は共に吸込口3よりも上方に設けられている。なお、本実施形態においては第4実施形態と同様に本体筐体2と被捕集面10との間に所定の隙間9を有していないが、所定の隙間9を有することとしてもよい。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0047】
上記構成の吸引捕集装置1において、電動送風機6が駆動されると吸込口3から矢印C1に示すように任意の速度で外気が吸い込まれる。また、エアポンプ7により圧縮された空気が矢印D1に示すように任意の速度で第1の吹出口20と第2の吹出口21から被捕集面10に向かって吹き出される。
【0048】
この時、吸込口3から吸い込まれる気流の速度の大きさは第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きくなるように設定される。これにより、吸込口3と第1の吹出口20及び第2の吹出口21とを含む一定の範囲内において空気の循環が発生する。
【0049】
図9を参照して詳説すると、被捕集面10に到達(衝突)した気流の移動ベクトルは矢印D2に示すように吸込口3の前方方向に変換されて被捕集面10に沿って流れる。次に被捕集面10に沿って一定の距離を流れた気流の移動ベクトルは矢印D3に示すように吸込口3方向に変換される。そして、第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出された気流は吸込口3に吸い込まれる気流の一部となって吸込通路5に流入する。これにより、被捕集面10上の塵埃が気流に含まれて捕集される。
【0050】
すなわち、第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出された気流が吸込口3に吸い込まれる気流の一部となる際に本体筐体2と被捕集面10の前方に存在する被捕集物を気流に巻き込むため、被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。
【0051】
図10は本実施形態の吸引捕集装置において、被捕集面10における気流の流線を解析した図である。図10に示すように第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出された気流は吸込口3の前方10mm付近で被捕集面10に到達(衝突)する。そして、被捕集面10に到達(衝突)した気流は被捕集面10に沿って吸込口3の前方方向に約30mm流れる。
【0052】
一方で、上述したように吸込口3と第1の吹出口20及び第2の吹出口21とを含む一定の範囲内において空気の循環が発生しているので、吸込口3の前方40mm付近において気流の移動ベクトルが吸込口3方向に変換されて吸込口3に吸い込まれる気流に合流している。一方、吸込口3の前方40mm付近において被捕集物を撒き散らす方向(吸込口3と反対方向)には気流の移動ベクトルが発生していない。このように、吸込口3の前方40mm付近においては、吸込口3方向にのみ移動ベクトルが発生しているので、被捕集面10上に存在する被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。
【0053】
なお、第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出される気流の移動ベクトルが下方に変換されやすくするために、第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出される気流が衝突して前方に導かれるように対抗して配置することとしてもよい。その時、気流が衝突する位置は衝突した気流が被捕集面10に沿って前方に流れた後に当該気流の移動ベクトルが上方に変換される範囲であって、且つ本体筐体2から離れた吸込口3の前方とすることが望ましい。
【0054】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に被捕集面10上の被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。なお、本実施形態では吹出口22が2つの吹出口(第1の吹出口20と第2の吹出口21)から構成されているが、1つの吹出口(第1実施形態の吹出口1)であってもよい。
【0055】
[第7実施形態]
図11、図12は第7実施形態の吸引捕集装置を示す正面図及び側面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は吸引捕集装置1の吹出口22がスポット状に開口した形状を有する第1の吹出口20と第2の吹出口21からなっている。また、第1の吹出口20と第2の吹出口21は共に吸込口23よりも上方に設けられている。また、吸込口23が本体筐体2の底面2Bに形成されている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0056】
吸込口23が筐体2の底面2Bに形成されていることによって、吸込口23から吸い込まれる気流は、第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出される気流(矢印C1)だけではなく、被捕集面10と本体筐体2の隙間9において、吸込口23の後方から吸込口23に向う気流(矢印C2)が含まれる。
【0057】
これによって、本体筐体2と被捕集面10の隙間9であって、吸込口23の後方に存在する被捕集物を気流に巻き込んで吸込口23から捕集することができる。
【0058】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に被捕集面10上の被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。加えて、吸込口23が本体筐体2の底面2Bに配置されていることにより、吸込口23の前方だけでなく、吸込口23の後方の塵埃等の被捕集物も効率的に集塵することができる。尚、第6実施形態及び第7実施形態においてエアポンプ7に替えて送風ファンを設けてもよい。また、第6実施形態及び第7実施形態において第5実施形態に示すようにエアポンプ7を設けないこととしてもよい。
【0059】
また、第6実施形態及び第7実施形態においては吹出口22(第1吹出口20及び第2吹出口21)から吹き出された気流が被捕集面に到達する地点よりも、吹出口22から吹き出された気流の移動ベクトルが吸込口3、23方向に変換される地点の方が吸込口3、23の前方方向遠方の地点であることとしているが、例えば図15に示す第6実施形態の別の例のように吹出口22から吹き出された気流が被捕集面に到達する地点と、吹出口22から吹き出された気流の移動ベクトルが吸込口3、23方向に変換される地点がほぼ同一の地点であることとしてもよい。
【0060】
すなわち、矢印F1に示すように任意の速度で吹出口22から被捕集面10に向かって吹き出された気流が、被捕集面10に到達したときに矢印F2に示すように気流の移動ベクトルが吸込口3方向に変換されるものであってもよい。その後吹出口22から吹き出された気流は矢印E1に示すように任意の速度で吸込口3から吸い込まれる気流の一部になる。
【0061】
[風速と風量の説明]
上記実施形態においては、吹出口及び吸込口の気流の速度に関して、吸込口から吸い込まれる気流の速度の大きさが吹出口から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きい(吹出口の気流の速度<吸込口の気流の速度)こととしているが、吸込口から吸い込まれる気流の風量が吹出口から吹き出される気流の風量よりも大きいと言い換えることができる。
【0062】
なぜなら、気流の風量は吹出口又は吸込口の断面積と気流の速度(風速)を乗じて算出されるものだからである(気流の風量=断面積×風速)。すなわち、吸込口の断面積の大きさは各図に示すように吹出口の断面積の大きさよりも大きく、また、吸込口から吸い込まれる気流の速度(風速)の大きさは上述の通り吹出口から吹き出される気流の速度(風速)の大きさよりも大きい。従って、吸込口から吸い込まれる気流の風量が吹出口から吹き出される気流の風量よりも大きくなる。
【0063】
気流の風量は断面積及び/又は気流の速度(風速)を調整することによって所望の風量とすることができる。上述したように吸込口の断面積及び気流の速度(風速)を共に吹出口の断面積及び気流の速度(風速)よりも大きくすることによって吸込口の気流の風量を吹出口の気流の風量よりも大きくすることとしてもよいが、例えば吸込口の気流の速度(風速)は吹出口の気流の速度(風速)よりも小さいが、吸込口の断面積を吹出口の断面積よりも大きくすることによって吸込口の気流の風量を吹出口の気流の風量よりも大きくすることとしてもよい。なお、第6実施形態の吸引集塵装置において吸込口3から吸い込まれる気流の風量は0.5m3/minとなるように設定されており、吹出口22から吹き出される気流の風量は0.002m3/minとなるように設定されている。
【0064】
[壁際における集塵効果の説明]
図14は本発明の吸引捕集装置を壁際で使用した際の気流の流線を解析した図である。図14は第6実施形態の吸引捕集装置1を使用したものであるが、その他の実施形態の吸引捕集装置1を使用しても同様の集塵効果を奏する。
【0065】
図14において吸込口3と壁面Wとの間は30mmになっている。第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出された気流は吸込口3の前方約10mmの地点で被捕集面10に到達して被捕集面10に沿って吸込口3の前方に向かって流れる。また、被捕集面10に沿って流れた気流は壁面Wに到達(衝突)して気流の移動ベクトルが反対方向(吸込口3方向)に変換される。そして、移動ベクトルが吸込口3の方向に変換された気流は吸込口3から吸い込まれる気流に合流している。これにより、壁際、隅、角等の掃除をすることが困難な場所に存在する被捕集物を撒き散らすことなく効率的に捕集することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は気流を吹き出す手段と気流を吸い込む手段を有する吸引捕集装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1・・・吸引捕集装置、2・・・筐体、3,23・・・吸込口、4,11,14,22・・・吹出口、5・・・吸込通路、6・・・電動送風機、7・・・エアポンプ、8,17・・・配管部、9・・・隙間、10・・・被捕集面、12,20・・・第1の吹出口、13,21・・・第2の吹出口、15・・・排気口、16・・・排気ダクト
【技術分野】
【0001】
本発明は、被捕集物を捕集する吸引捕集装置に関するものであり、特に吸込手段と吹出手段を有する吸引捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、塵や埃等を吸い込み捕集する装置として電気掃除機やロボットクリーナーが普及している。例えば電気掃除機は電気掃除機本体の内部に電動送風機が設けられ、電動送風機の動作により吸込口から塵埃を含んだ空気を吸い込む。吸い込まれた空気はフィルタを通すことにより塵埃を捕集し、フィルタを通過した塵埃が除去された空気が電動掃除機から排出される。このような電気掃除機には塵埃の吸引効率を向上させるために電動掃除機から排出される排気の一部を電気掃除機の本体内部で循環させて吸込口に設けられた吹出口から吹き出す機構を有するものがある。
【0003】
従来の吸引捕集装置は特許文献1に開示されている。この吸引捕集装置は開口した吸気口に噴出ノズルが設けられ、噴出ノズルは配管部を介してエアポンプと接続されている。電動送風機が動作を開始すると、吸込口から気流が吸い込まれる。同時にエアポンプに圧縮空気が溜まり始め、任意の圧力以上になるとバルブが開いて圧縮空気は配管部を伝って噴射ノズルから噴射される。そして、噴出ノズルから噴射された高速気流により清掃面に付着した塵埃や凸凹の奥にある塵埃が吹き飛ばされ、吹き飛ばした塵埃が吸気口から吸い込まれる。これにより、効率よく塵埃を捕集することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−321305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の吸引捕集装置は、吸気口が噴射ノズルよりも高速気流の噴射方向後方に配されている。よって、塵埃を吸気口から吸い込むためには塵埃を高く舞い上げる必要があり、吸気口により吸い込むことができなかった塵埃が撒き散らされることになるという問題があった。また、塵埃が撒き散らされることを防ぐため開口部に傘状部を有するようにすることが開示されているが、該構成では壁際において傘状部が壁に当たることにより壁際の塵埃を吸い込むことができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑み被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる吸引捕集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の吸引捕集装置は、本体筐体の前部に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも下方に配される吹出口を有して被捕集面に沿って前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の速度の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴としている。
【0008】
上記目的を達成するために本発明の吸引捕集装置は、本体筐体の前部に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも下方に配される吹出口を有して被捕集面に沿って前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の風量の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の風量の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴としている。
【0009】
この構成によると、吸引捕集装置が駆動されると本体筐体の前部に形成された吸込口から外気が吸い込まれ、吹出手段によって空気が吹出口から被捕集面に沿って吹き出される。また、被捕集面上の被捕集物は吹出口から吹き出された気流に巻き込まれ被捕集面に沿って流れる。そして、吸込口から吸い込まれる気流の速度又は風量の大きさは吹出口から吹き出される気流の速度又は風量の大きさよりも大きいため、吹出口から吹き出された気流は吸い込まれる気流の一部となって吸込口により吸い込まれる。
【0010】
また本発明は、前記本体筐体は被捕集面に対して所定の隙間を有して配されるとともに、前記吹出口を前記吸込口よりも後方に配して前記吹出口から前方に向けて前記隙間を流通する気流が吹き出されることが望ましい。
【0011】
この構成によると、吸引捕集装置が駆動されると吹出口から本体筐体と被捕集面との隙間を流通する気流が吹き出される。また、吹出口は吸込口よりも後方に配されているため、吹出口から吹き出された気流は本体筐体と被捕集面とが対向する範囲にある被捕集物を気流に巻き込む。そして、吹出口から吹き出された気流は本体筐体の前方まで被捕集面に沿って流れて吸い込まれる気流の一部となって吸込口により吸い込まれる。
【0012】
上記目的を達成するために本発明の吸引捕集装置は、本体筐体に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも上方に配される吹出口を有して被捕集面に向かって前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の速度の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴としている。
【0013】
上記目的を達成するために本発明の吸引捕集装置は、本体筐体に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも上方に配される吹出口を有して被捕集面に向かって前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の風量の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の風量の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の吸引捕集装置において、前記吸込口は前記本体筐体の前部に形成されることが望ましい。
【0015】
また本発明は、上記構成の吸引捕集装置において、前記本体筐体は被捕集面に対して所定の隙間を有して前記吸込口が底面に配されることが望ましい。
【0016】
また本発明は、上記構成の吸引捕集装置において、前記吸込口は前記被捕集面に平行な方向に延びるスリット状に形成されることが望ましい。
【0017】
また本発明は、上記構成の吸引捕集装置において、前記吸込口から吸い込まれる気流の流入方向を被捕集面に対して略平行にし、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口の前方で向きを変えて前記吸込口から吸い込まれることが望ましい。
【0018】
また本発明は、上記構成の吸引捕集装置において、前記吹出口を複数設けることが望ましい。
【0019】
また本発明は、上記構成の吸引捕集装置において、複数の前記吹出口は対向配置され、対向する一の前記吹出口と他の前記吹出口とから吹き出される気流が衝突して前方に導かれることが望ましい。
【0020】
また本発明は、上記構成の吸引捕集装置において、前記吹出口から吹き出される気流が前記吸込手段の排気から成ることが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、吸込口から吸い込まれる気流の速度又は風量の大きさが吹出口から吹き出される気流の速度又は風量の大きさよりも大きいため、吹き出された気流は吸い込まれる気流の一部となって吸込口により吸い込まれる。この時、吹き出された気流は被捕集面上の被捕集物を該気流に巻き込んで吸い込まれる気流に合流する。従って、被捕集面上の被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】は、本発明の第1実施形態の吸引捕集装置を示す正面図である。
【図2】は、本発明の第1実施形態の吸引捕集装置を示す側面図である。
【図3】は、本発明の第1実施形態の吸引捕集装置の気流の移動ベクトル分布を解析した図である。
【図4】は、本発明の第2実施形態の吸引捕集装置を示す側面図である。
【図5】は、本発明の第3実施形態の吸引捕集装置を示す正面図である。
【図6】は、本発明の第4実施形態の吸引捕集装置を示す正面図である。
【図7】は、本発明の第5実施形態の吸引捕集装置を示す側面図である。
【図8】は、本発明の第6実施形態の吸引捕集装置を示す正面図である。
【図9】は、本発明の第6実施形態の吸引捕集装置を示す側面図である。
【図10】は、本発明の第6実施形態の吸引捕集装置において、被捕集面における気流の流線を解析した図である。
【図11】は、本発明の第7実施形態の吸引捕集装置を示す正面図である。
【図12】は、本発明の第7実施形態の吸引捕集装置を示す側面図である。
【図13】は、本発明の第1実施形態の吸引捕集装置の別の例を示す側面図である。
【図14】は、本発明の第6実施形態の吸引捕集装置を壁際で使用した際の気流の流線を解析した図である。
【図15】は、本発明の第6実施形態の別の例の吸引捕集装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために本発明の吸引捕集装置の一例を示すものであって、本発明を以下の吸引捕集装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の吸引捕集装置にも等しく適応し得るものである。また、以下において説明する具体的な数値はあくまでも例示であり、発明の内容を限定するものではない。図1、図2は本発明の第1実施形態の吸引捕集装置を示す正面図及び側面図である。吸引捕集装置1は被捕集物を捕集する本体筐体2を備えている。吸引捕集装置1の本体筐体2は被捕集面10に対して所定の隙間9を有して配される。そして、本体筐体2の被捕集面10に対して直交する前面2aには吸込口3が設けられ、吸込口3よりも下方且つ後方に吹出口4が設けられている。吸込口3は幅広い範囲から外気を吸い込むために被捕集面10の略平行な方向に延びて前面2aの横幅方向に広く開口して形成されている。吹出口4は気流を任意の速度で被捕集面10に吹き出すためにスポット状に開口して形成されている。
【0024】
吸込口3は吸込通路5を介して電動送風機6と接続されている。これにより吸込口3と吸込通路5と電動送風機6とは吸込口3から被捕集物とともに外気を吸い込む吸込手段を構成する。吹出口4は吸込口3と同じ方向に面して開口している。また、吹出口4は被捕集面10に沿って気流を吹き出すためにやや被捕集面10に向かって傾斜している。吹出口4は配管部8を介してエアポンプ7に接続されている。これにより吹出口4と配管部8とエアポンプ7とは被捕集面10に沿って吹出口4から気流を吹き出す吹出手段を構成する。なお、エアポンプ7により圧縮される空気は図示しないフィルタにより塵埃等の被捕集物が取り除かれた空気となっている。
【0025】
上記構成の吸引捕集装置1において、電動送風機6が駆動されると吸込口3から矢印A1に示すように任意の速度で外気が吸い込まれる。また、エアポンプ7により圧縮された空気が矢印B1に示すように任意の速度で吹出口4から吹き出される。吹出口4から吹き出された気流は本体筐体2と被捕集面10の隙間9を流通する。吹出口4から吹き出された気流は本体筐体2と被捕集面10との隙間9を流通する際に本体筐体2の下方の被捕集面10上の被捕集物を気流に巻き込んで吸込口3の前方に流通する。
【0026】
この時、吸込口3から吸い込まれる気流の速度の大きさは吹出口4から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きくなるように設定される。これにより、吸込口3と吹出口4とを含む一定の範囲内において空気の循環が発生し、被捕集面10に沿って流れていた吹出口4から吹き出された気流の移動ベクトルが矢印B2に示すように上方に変換される。そして、吹出口4から吹き出された気流は吸込口3に吸い込まれる気流の一部となって吸込通路5に流入する。これにより、被捕集面10上の塵埃が気流に含まれて捕集される。
【0027】
加えて、吹出口4から吹き出された気流が本体筐体2と被捕集面10の隙間9を流通して該隙間9に存在する被捕集物を気流に巻き込んで吸込口3の前方に吹き出すので、被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。
【0028】
なお、吹出口4を吸込口3よりも下方且つ後方のどの位置に設けるかは特に限定されない。図13に示すように吹出口4から吹き出された気流が本体筐体2と被捕集面10の隙間9を流通する時間を長くする(距離を長くする)ことによって、該隙間9に存在する被捕集物をより広範囲に渡って気流に巻き込んで吸込口3の前方に吹き出すので、多くの被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。
【0029】
図3は本実施形態において所定の速度差を設定した際の気流の移動ベクトル分布を解析した図である。吸い込む気流の速度を17m/s、吹き出す気流の速度を10m/sとし、速度差を7m/sとしている。これによれば、吸込口3の前方40mm付近において吹き出された気流の移動ベクトルが上方に変換され、吸い込まれる気流に合流していることが確認できる。従って、吸込口3の前方40mmの範囲を捕集範囲とすることができる。
【0030】
なお、捕集範囲は吹出口4の気流速度と吸込口3の気流速度の大きさを変更すること及び速度差を変更することによって任意の範囲に設定することができる。
【0031】
また、被捕集面10であるフローリングに被捕集物としてφ2mmの発泡ビーズを置いた状態で吸込気流の速度を17m/s、吹出気流の速度を10m/sとして吸引を行った。その結果、吸込口3の前方40mm、幅10mmの捕集範囲において被捕集物を撒き散らすことなく全て吸い込むことができた。
【0032】
本実施形態によると、吸込口3から吸い込まれる気流の速度の大きさが吹出口4から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きいことにより、吹出口4から吹き出された気流が吸い込まれる気流の一部となって吸込口3により吸い込まれる。この時、吹き出された気流は被捕集面10上の被捕集物を該気流に巻き込んで吸い込まれる気流に合流する。従って、被捕集面10上の被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。
【0033】
また、吸込口3から吸い込まれる気流の流入方向を被捕集面10に対して略平行にするので吹出口4から吹き出された気流が吸込口3の前方で向きを変えて吸込口3から吸い込まれる。これによって、捕集範囲を吸込口3の前方の一定範囲とすることができ、本体筐体2の前方の開放空間の塵埃を捕集することができる。
【0034】
[第2実施形態]
図4は第2実施形態の吸引捕集装置を示す側面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は吸引捕集装置1の本体筐体2と被捕集面10との間に所定の隙間9を有しておらず、吹出口4が吸込口3よりも下方に配されている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0035】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に被捕集面10上の被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。
【0036】
[第3実施形態]
図5は第3実施形態の吸引捕集装置を示す正面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は吸引捕集装置1の吹出口11が被捕集面10に平行な方向に延びるスリット状に形成されている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0037】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、吹出口4が被捕集面10に平行な方向に延びるスリット状に形成されていることにより、気流を被捕集面10に対して幅広く吹き出すことができる。これにより、気流が流れる被捕集面10上の範囲が横幅方向に広い範囲になるので、被捕集面10上の被捕集物を多く気流に巻き込むことができて吸引効率を向上させることができる。
【0038】
[第4実施形態]
図6は第4実施形態の吸引捕集装置を示す正面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は吸引捕集装置1の吹出口14がスポット状に開口した形状を有する第1の吹出口12と第2の吹出口13からなっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0039】
第1の吹出口12と第2の吹出口13とは吹き出される気流が衝突して前方に導かれるように対抗して配置されている。なお、気流が衝突する位置は気流の移動ベクトルが上方に変換される範囲であって、且つ本体筐体2から離れた吸込口3の前方とすることが望ましい。
【0040】
上記構成の吸引捕集装置1において、電動送風機6が駆動されると第1の吹出口12から吹き出される気流と第2の吹出口13から吹き出される気流とが衝突することにより、気流の移動ベクトルを上方に変換する力が発生する。
【0041】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、より少ない気流の吹き出し量で効率的に気流の移動ベクトルを上方に変換することができるので、エアポンプ7(図1参照)をより安価なものとすることができる。従って、吸引捕集装置1のコストを削減することができるとともに、消費電力を削減することができる。尚、第1〜第4実施形態においてエアポンプ7に替えて送風ファンを設けてもよい。
【0042】
[第5の実施形態]
図7は第5実施形態の吸引捕集装置を示す側面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。吸引捕集装置1の背面側に排気口15が設けられ、電動送風機6と排気口15は排気ダクト16で接続されている。また、エアポンプ7(図1参照)は設けずに排気ダクト16から分岐した配管部17を設け、配管部17を介して電動送風機6と吹出口4とが接続される構成としている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0043】
上記構成の吸引捕集装置1において、電動送風機6が駆動されると吸込口3から任意の速度で外気を吸い込む。吸込口3から吸い込まれた外気は図示しないフィルタにより被捕集物が取り除かれると排気ダクト16を伝わって排気口15から排気される。電動送風機6の一部は排気ダクト16から分岐した配管部17を伝わって吹出口4から吹き出される。
【0044】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に被捕集面10上の被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。加えて、電動送風機6の排気の一部を利用して吹出口4から気流を吹き出すことができるため、エアポンプなどの送風機を搭載する必要がなくなり部品点数を減らしてコストを削減することができる。また、エアポンプなどの送風機に使用する電力を削減できるため、消費電力を小さくすることができる。また、装置の軽量化を実現することができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、吸い込まれる気流の速度の大きさを吹き出される気流の速度の大きさよりも大きく設定することを実現するために排気口15を有する構成としているが、吸込口3や吹出口4の形状を変更とすることにより上記目的を達成することができる場合には、排気口15を有しない構成とすることもできる。
【0046】
[第6実施形態]
図8、図9は第6実施形態の吸引捕集装置を示す正面図及び側面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は吸引捕集装置1の吹出口22がスポット状に開口した形状を有する第1の吹出口20と第2の吹出口21からなっている。また、第1の吹出口20と第2の吹出口21は共に吸込口3よりも上方に設けられている。なお、本実施形態においては第4実施形態と同様に本体筐体2と被捕集面10との間に所定の隙間9を有していないが、所定の隙間9を有することとしてもよい。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0047】
上記構成の吸引捕集装置1において、電動送風機6が駆動されると吸込口3から矢印C1に示すように任意の速度で外気が吸い込まれる。また、エアポンプ7により圧縮された空気が矢印D1に示すように任意の速度で第1の吹出口20と第2の吹出口21から被捕集面10に向かって吹き出される。
【0048】
この時、吸込口3から吸い込まれる気流の速度の大きさは第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きくなるように設定される。これにより、吸込口3と第1の吹出口20及び第2の吹出口21とを含む一定の範囲内において空気の循環が発生する。
【0049】
図9を参照して詳説すると、被捕集面10に到達(衝突)した気流の移動ベクトルは矢印D2に示すように吸込口3の前方方向に変換されて被捕集面10に沿って流れる。次に被捕集面10に沿って一定の距離を流れた気流の移動ベクトルは矢印D3に示すように吸込口3方向に変換される。そして、第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出された気流は吸込口3に吸い込まれる気流の一部となって吸込通路5に流入する。これにより、被捕集面10上の塵埃が気流に含まれて捕集される。
【0050】
すなわち、第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出された気流が吸込口3に吸い込まれる気流の一部となる際に本体筐体2と被捕集面10の前方に存在する被捕集物を気流に巻き込むため、被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。
【0051】
図10は本実施形態の吸引捕集装置において、被捕集面10における気流の流線を解析した図である。図10に示すように第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出された気流は吸込口3の前方10mm付近で被捕集面10に到達(衝突)する。そして、被捕集面10に到達(衝突)した気流は被捕集面10に沿って吸込口3の前方方向に約30mm流れる。
【0052】
一方で、上述したように吸込口3と第1の吹出口20及び第2の吹出口21とを含む一定の範囲内において空気の循環が発生しているので、吸込口3の前方40mm付近において気流の移動ベクトルが吸込口3方向に変換されて吸込口3に吸い込まれる気流に合流している。一方、吸込口3の前方40mm付近において被捕集物を撒き散らす方向(吸込口3と反対方向)には気流の移動ベクトルが発生していない。このように、吸込口3の前方40mm付近においては、吸込口3方向にのみ移動ベクトルが発生しているので、被捕集面10上に存在する被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。
【0053】
なお、第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出される気流の移動ベクトルが下方に変換されやすくするために、第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出される気流が衝突して前方に導かれるように対抗して配置することとしてもよい。その時、気流が衝突する位置は衝突した気流が被捕集面10に沿って前方に流れた後に当該気流の移動ベクトルが上方に変換される範囲であって、且つ本体筐体2から離れた吸込口3の前方とすることが望ましい。
【0054】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に被捕集面10上の被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。なお、本実施形態では吹出口22が2つの吹出口(第1の吹出口20と第2の吹出口21)から構成されているが、1つの吹出口(第1実施形態の吹出口1)であってもよい。
【0055】
[第7実施形態]
図11、図12は第7実施形態の吸引捕集装置を示す正面図及び側面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は吸引捕集装置1の吹出口22がスポット状に開口した形状を有する第1の吹出口20と第2の吹出口21からなっている。また、第1の吹出口20と第2の吹出口21は共に吸込口23よりも上方に設けられている。また、吸込口23が本体筐体2の底面2Bに形成されている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0056】
吸込口23が筐体2の底面2Bに形成されていることによって、吸込口23から吸い込まれる気流は、第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出される気流(矢印C1)だけではなく、被捕集面10と本体筐体2の隙間9において、吸込口23の後方から吸込口23に向う気流(矢印C2)が含まれる。
【0057】
これによって、本体筐体2と被捕集面10の隙間9であって、吸込口23の後方に存在する被捕集物を気流に巻き込んで吸込口23から捕集することができる。
【0058】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に被捕集面10上の被捕集物を撒き散らすことなく捕集することができる。加えて、吸込口23が本体筐体2の底面2Bに配置されていることにより、吸込口23の前方だけでなく、吸込口23の後方の塵埃等の被捕集物も効率的に集塵することができる。尚、第6実施形態及び第7実施形態においてエアポンプ7に替えて送風ファンを設けてもよい。また、第6実施形態及び第7実施形態において第5実施形態に示すようにエアポンプ7を設けないこととしてもよい。
【0059】
また、第6実施形態及び第7実施形態においては吹出口22(第1吹出口20及び第2吹出口21)から吹き出された気流が被捕集面に到達する地点よりも、吹出口22から吹き出された気流の移動ベクトルが吸込口3、23方向に変換される地点の方が吸込口3、23の前方方向遠方の地点であることとしているが、例えば図15に示す第6実施形態の別の例のように吹出口22から吹き出された気流が被捕集面に到達する地点と、吹出口22から吹き出された気流の移動ベクトルが吸込口3、23方向に変換される地点がほぼ同一の地点であることとしてもよい。
【0060】
すなわち、矢印F1に示すように任意の速度で吹出口22から被捕集面10に向かって吹き出された気流が、被捕集面10に到達したときに矢印F2に示すように気流の移動ベクトルが吸込口3方向に変換されるものであってもよい。その後吹出口22から吹き出された気流は矢印E1に示すように任意の速度で吸込口3から吸い込まれる気流の一部になる。
【0061】
[風速と風量の説明]
上記実施形態においては、吹出口及び吸込口の気流の速度に関して、吸込口から吸い込まれる気流の速度の大きさが吹出口から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きい(吹出口の気流の速度<吸込口の気流の速度)こととしているが、吸込口から吸い込まれる気流の風量が吹出口から吹き出される気流の風量よりも大きいと言い換えることができる。
【0062】
なぜなら、気流の風量は吹出口又は吸込口の断面積と気流の速度(風速)を乗じて算出されるものだからである(気流の風量=断面積×風速)。すなわち、吸込口の断面積の大きさは各図に示すように吹出口の断面積の大きさよりも大きく、また、吸込口から吸い込まれる気流の速度(風速)の大きさは上述の通り吹出口から吹き出される気流の速度(風速)の大きさよりも大きい。従って、吸込口から吸い込まれる気流の風量が吹出口から吹き出される気流の風量よりも大きくなる。
【0063】
気流の風量は断面積及び/又は気流の速度(風速)を調整することによって所望の風量とすることができる。上述したように吸込口の断面積及び気流の速度(風速)を共に吹出口の断面積及び気流の速度(風速)よりも大きくすることによって吸込口の気流の風量を吹出口の気流の風量よりも大きくすることとしてもよいが、例えば吸込口の気流の速度(風速)は吹出口の気流の速度(風速)よりも小さいが、吸込口の断面積を吹出口の断面積よりも大きくすることによって吸込口の気流の風量を吹出口の気流の風量よりも大きくすることとしてもよい。なお、第6実施形態の吸引集塵装置において吸込口3から吸い込まれる気流の風量は0.5m3/minとなるように設定されており、吹出口22から吹き出される気流の風量は0.002m3/minとなるように設定されている。
【0064】
[壁際における集塵効果の説明]
図14は本発明の吸引捕集装置を壁際で使用した際の気流の流線を解析した図である。図14は第6実施形態の吸引捕集装置1を使用したものであるが、その他の実施形態の吸引捕集装置1を使用しても同様の集塵効果を奏する。
【0065】
図14において吸込口3と壁面Wとの間は30mmになっている。第1の吹出口20と第2の吹出口21から吹き出された気流は吸込口3の前方約10mmの地点で被捕集面10に到達して被捕集面10に沿って吸込口3の前方に向かって流れる。また、被捕集面10に沿って流れた気流は壁面Wに到達(衝突)して気流の移動ベクトルが反対方向(吸込口3方向)に変換される。そして、移動ベクトルが吸込口3の方向に変換された気流は吸込口3から吸い込まれる気流に合流している。これにより、壁際、隅、角等の掃除をすることが困難な場所に存在する被捕集物を撒き散らすことなく効率的に捕集することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は気流を吹き出す手段と気流を吸い込む手段を有する吸引捕集装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1・・・吸引捕集装置、2・・・筐体、3,23・・・吸込口、4,11,14,22・・・吹出口、5・・・吸込通路、6・・・電動送風機、7・・・エアポンプ、8,17・・・配管部、9・・・隙間、10・・・被捕集面、12,20・・・第1の吹出口、13,21・・・第2の吹出口、15・・・排気口、16・・・排気ダクト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筐体の前部に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも下方に配される吹出口を有して被捕集面に沿って前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の速度の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴とする吸引捕集装置。
【請求項2】
本体筐体の前部に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも下方に配される吹出口を有して被捕集面に沿って前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の風量の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の風量の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴とする吸引捕集装置。
【請求項3】
前記本体筐体は被捕集面に対して所定の隙間を有して配されるとともに、前記吹出口を前記吸込口よりも後方に配して前記吹出口から前方に向けて前記隙間を流通する気流が吹き出されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸引捕集装置。
【請求項4】
本体筐体に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも上方に配される吹出口を有して被捕集面に向かって前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の速度の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴とする吸引捕集装置。
【請求項5】
本体筐体に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも上方に配される吹出口を有して被捕集面に向かって前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の風量の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の風量の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴とする吸引捕集装置。
【請求項6】
前記吸込口は前記本体筐体の前部に形成されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の吸引捕集装置。
【請求項7】
前記本体筐体は被捕集面に対して所定の隙間を有して前記吸込口が底面に配されることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の吸引捕集装置。
【請求項8】
前記吸込口は前記被捕集面に平行な方向に延びるスリット状に形成されることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の吸引捕集装置。
【請求項9】
前記吸込口から吸い込まれる気流の流入方向を被捕集面に対して略平行にし、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口の前方で向きを変えて前記吸込口から吸い込まれることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の吸引捕集装置。
【請求項10】
前記吹出口を複数設けることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の吸引捕集装置。
【請求項11】
複数の前記吹出口は対向配置され、対向する一の前記吹出口と他の前記吹出口とから吹き出される気流が衝突して前方に導かれることを特徴とする請求項10に記載の吸引捕集装置。
【請求項12】
前記吹出口から吹き出される気流が前記吸込手段の排気から成ることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の吸引捕集装置。
【請求項1】
本体筐体の前部に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも下方に配される吹出口を有して被捕集面に沿って前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の速度の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴とする吸引捕集装置。
【請求項2】
本体筐体の前部に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも下方に配される吹出口を有して被捕集面に沿って前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の風量の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の風量の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴とする吸引捕集装置。
【請求項3】
前記本体筐体は被捕集面に対して所定の隙間を有して配されるとともに、前記吹出口を前記吸込口よりも後方に配して前記吹出口から前方に向けて前記隙間を流通する気流が吹き出されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸引捕集装置。
【請求項4】
本体筐体に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも上方に配される吹出口を有して被捕集面に向かって前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の速度の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の速度の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴とする吸引捕集装置。
【請求項5】
本体筐体に開口形成された吸込口を有する吸込手段によって被捕集面上の被捕集物を吸い込み捕集する吸引捕集装置において、前記本体筐体は前記吸込口よりも上方に配される吹出口を有して被捕集面に向かって前記吹出口から前方に向けて気流を吹き出す吹出手段を備え、前記吸込口から吸い込まれる気流の風量の大きさを前記吹出口から吹き出される気流の風量の大きさよりも大きくして、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口から吸い込まれるようにしたことを特徴とする吸引捕集装置。
【請求項6】
前記吸込口は前記本体筐体の前部に形成されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の吸引捕集装置。
【請求項7】
前記本体筐体は被捕集面に対して所定の隙間を有して前記吸込口が底面に配されることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の吸引捕集装置。
【請求項8】
前記吸込口は前記被捕集面に平行な方向に延びるスリット状に形成されることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の吸引捕集装置。
【請求項9】
前記吸込口から吸い込まれる気流の流入方向を被捕集面に対して略平行にし、前記吹出口から吹き出された気流が前記吸込口の前方で向きを変えて前記吸込口から吸い込まれることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の吸引捕集装置。
【請求項10】
前記吹出口を複数設けることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の吸引捕集装置。
【請求項11】
複数の前記吹出口は対向配置され、対向する一の前記吹出口と他の前記吹出口とから吹き出される気流が衝突して前方に導かれることを特徴とする請求項10に記載の吸引捕集装置。
【請求項12】
前記吹出口から吹き出される気流が前記吸込手段の排気から成ることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の吸引捕集装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図3】
【図10】
【図14】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図3】
【図10】
【図14】
【公開番号】特開2012−16572(P2012−16572A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57603(P2011−57603)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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