説明

吸気系部品

【課題】第1部材と第2部材の溶着部及び第3部材と第2部材の溶着部が重畳する場合であっても、吸気系部品内側に突出する溶着用鍔部を形成することなく、溶着の強度を安定することができ、且つ溶着時間の短縮を図ることができる吸気系部品を提供する。
【解決手段】互いに分割された第1部材,第2部材及び第3部材を加圧しつつ溶着させて形成される吸気系部品であって、前記第1部材と前記第2部材の溶着部及び前記第2部材と前記第3部材の溶着部が重畳して溶着される部位に前記第2部材と前記第1部材の溶着部と、前記第2部材と前記第3部材の溶着部の重畳を避けるように第1の治具受面が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも三部材に分割された第1部材,第2部材及び第3部材を互いに振動溶着によって溶着させて製造される樹脂製の吸気系部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、吸気系部品として、樹脂製インテークマニホールドでは、複数の分割体を振動溶着させて製造されることが行われていた。また、レゾネータ等のタンク室を一体的に形成すれば、別体でタンク室を形成する場合に比べて、製造工数やコストの観点から望ましい。
【0003】
このように、溶着される複数の分割体によって形成され、タンク室を一体的に設けても製造工数・コストの上昇を抑えて製造することができる樹脂製インテークマニホールドとして、種々の構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−308604号公報
【0005】
特許文献1に記載されたインテークマニホールドは、第1ピースの外周縁に外方へ突出するように形成されて、第2ピースとの溶着用の外側溶着鍔部が配設され、第1ピースにおける第3ピースとの溶着用の部位が、第1ピースの第2ピースとの溶着時における外側溶着鍔部を支持する加圧治具との干渉を防止可能に、周壁部の内周面側に突出する内側溶着鍔部を備えている。
【0006】
このように特許文献1に記載されたインテークマニホールドは、第1ピースと第3ピースとの溶着時、周壁部の内側溶着鍔部は、周壁部の内周側に配置される加圧治具によって、支持可能となって、その加圧治具は、スライドさせる必要のない簡便な構造で済み、溶着コストを増加させず、また、内側溶着鍔部を周壁部の内周側で強固に支持することができるので、溶着時間を不必要に長くしなくとも済み、溶着工数を増加させないようになっている。
【0007】
また、他のインテークマニホールドでは、図6に示すように、ポートカバー110とポート120とを溶着した後、チャンバ130を溶着するように製造されている。このような構造によると、分岐管路112のタンク室131と連通する一端との反対端では、ポートカバー110とポート120との溶着部と、ポート120とチャンバ130との溶着部が重畳することから、ポート120とチャンバ130とを溶着する場合に加圧治具141とスライド治具142との距離Lを離して溶着を行う必要がある。このような溶着方法を採用している理由は、振動溶着による溶着において、ワークに加圧・振動を加える加圧治具141は、ワークの加圧方向に当接させる必要があり、スライド治具142のようにスライド構造を採用することができないので、加圧治具141とスライド治具142との距離Lを離さなければワークに加圧・振動を加えることができないためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来のインテークマニホールドの構成によると、特許文献1に記載されたインテークマニホールドは、内側溶着鍔部が分岐管路内に突出しているので、吸気管路の容積を十分に確保できず、また、内側溶着鍔部が吸気流体の円滑な流通を阻害するといった問題があった。
また、図6に記載したインテークマニホールドは、加圧治具141とスライド治具142との距離Lが離れているため、十分に溶着部に振動を加えることが難しく、溶着強度が安定せず、溶着時間が上昇するといった問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、ポートとポートカバーの溶着部及びポートとチャンバの溶着部が重畳する場合であっても、分岐管路内に突出する内側溶着鍔部を形成することなく、溶着の強度を安定することができ、且つ溶着時間の短縮を図ることができる吸気系部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る吸気系部品は、互いに分割された第1部材,第2部材及び第3部材を加圧しつつ溶着させて形成される吸気系部品であって、前記第1部材と前記第2部材の溶着部及び前記第2部材と前記第3部材の溶着部が重畳して溶着される部位に前記第2部材と前記第1部材の溶着部と、前記第2部材と前記第3部材の溶着部の重畳を避けるように第1の治具受面が形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る吸気系部品において、前記第1部材が、前記分岐管溝を閉塞して分岐管路を形成するポートカバーであり、前記第2部材が、分岐管溝が形成されたポートであり、前記第3部材が、前記分岐管路の一端に連続すると共に、吸気流体を導入する吸気口を備えたタンク室が形成されたチャンバであり、前記吸気系部品がインテークマニホールドであると好適である。
【0012】
また、本発明に係る吸気系部品において、前記第1の治具受面は、前記ポートに形成されていると好適である。
【0013】
また、本発明に係る吸気系部品において、前記第1の治具受面は、前記分岐管溝の前記タンク室と連通する一端の反対端に形成されると共に、前記ポートと前記チャンバとの溶着面と平行に前記分岐管溝の外方に突出するリブが形成されると好適である。
【0014】
また、本発明に係る吸気系部品において、前記チャンバは第1のスライド治具受部が形成され、前記ポートと前記ポートカバーが溶着された後に前記第1のスライド治具受部と前記第1の治具受面とを振動溶着治具によって挟持することで溶着されると好適である。
【0015】
また、本発明に係る吸気系部品において、前記ポートは第2のスライド治具受部が形成され、前記ポートカバーは第2の治具受面が形成され、前記第2のスライド治具受部と前記第2の治具受面とを振動溶着治具によって挟持することで溶着されると好適である。
【0016】
また、本発明に係る吸気系部品において、前記吸気系部品が、レゾネータであると好適である。
【0017】
上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る吸気系部品は、互いに分割された第1部材,第2部材及び第3部材を加圧しつつ溶着させて形成される吸気系部品であって、前記第1部材と前記第2部材の溶着部及び前記第2部材と前記第3部材の溶着部が重畳して溶着される部位に前記第2部材と前記第1部材の溶着部と、前記第2部材と前記第3部材の溶着部の重畳を避けるように第1の治具受面が形成されているので、第2部材と第1部材を溶着した後であっても、加圧治具とスライド治具との距離が離れることがないため、十分に溶着部に振動を加えることができ、溶着強度を向上させることができ、溶着時間を短縮することができる吸気系部品を提供することができる。
【0019】
また、本発明に係る吸気系部品は、前記第1部材が、前記分岐管溝を閉塞して分岐管路を形成するポートカバーであり、前記第2部材が、分岐管溝が形成されたポートであり、前記第3部材が、前記分岐管路の一端に連続すると共に、吸気流体を導入する吸気口を備えたタンク室が形成されたチャンバであるため、吸気系部品をインテークマニホールドとして構成することができ、ポートカバー,ポート及びチャンバの溶着部が互いに重畳する場合であっても各溶着部に十分に振動を加えることができ、溶着強度を向上させることができ、溶着時間を短縮することができるインテークマニホールドを提供することができる。
【0020】
また、本発明に係る吸気系部品は、第1の治具受面がポートに形成されているので、ポートとポートカバーの溶着部とポートとチャンバとの溶着部の重畳を避ける位置に容易に第1の治具受面を形成することができる。
【0021】
また、本発明に係る吸気系部品は、第1の治具受面が分岐管溝のタンク室と連通する一端の反対端に形成されると共に、ポートとチャンバとの溶着面と平行に分岐管溝の外方に突出するリブが形成されているので、吸気系部品の外表面に加圧治具やスライド治具を当てることができ、振動溶着時に分岐管路の内周面を加圧治具やスライド治具で損傷することがなく、振動溶着時に異物が生じることがない吸気系部品を提供することができる。
【0022】
また、本発明に係る吸気系部品は、チャンバに第1のスライド治具受部が形成されているので、ポートとポートカバーの溶着後に容易にポートとチャンバとの溶着を行うことができる。
【0023】
また、本発明に係る吸気系部品は、ポートに第2のスライド治具受部が形成され、ポートカバーに第2の治具受面が形成されているので、容易にポートとポートカバーの溶着を行うことができる。
【0024】
また、本発明に係る吸気系部品は、レゾネータとして形成されているので、第1部材,第2部材及び第3部材の溶着部が互いに重畳する場合であっても各溶着部に十分に振動を加えることができ、溶着強度を向上させることができ、溶着時間を短縮することができるレゾネータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施形態に係る吸気系部品を説明するための平面図。
【図2】第1の実施形態に係る吸気系部品の構成を説明するための分解斜視図。
【図3】ポートカバーとポートとの溶着を説明するための図1におけるA−A断面図。
【図4】ポートとチャンバとの溶着を説明するための図1におけるA−A断面図。
【図5】第2の実施形態に係る吸気系部品の構成を説明するための断面図。
【図6】従来のインテークマニホールドの構造を説明するための図4と同様のA−A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0027】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る吸気系部品を説明するための平面図であり、図2は、本実施形態に係る吸気系部品の構成を説明するための分解斜視図であり、図3は、ポートカバーとポートとの溶着を説明するための図1におけるA−A断面図であり、図4は、ポートとチャンバとの溶着を説明するための図1におけるA−A断面図である。なお、本実施形態の説明において、図2における紙面の上下方向を本実施形態における上下方向として定義する。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る吸気系部品は、インテークマニホールド1として構成されている。インテークマニホールド1は、吸気流体を導入する吸気口32を備えたタンク室31と、このタンク室31に導入された吸気流体を内燃機関の各シリンダに分配する分岐管路12を備えている。本実施形態に係るインテークマニホールド1は、直列四気筒の内燃機関に用いられるインテークマニホールドについて説明を行うため、分岐管路12は内燃機関のシリンダと同数に四本形成されている。吸気口32は、タンク室31の端部に形成されたフランジ34に開口して形成されており、インテークマニホールド1は、フランジ34を介して図示しない吸気流体の制御を行うスロットルボディに取り付けられる。また、分岐管路12のタンク室31と連続する一端の反対端は、図示しない内燃機関に取り付けられるフランジ35が形成されている。
【0029】
次に、図2を参照して本実施形態に係るインテークマニホールド1の構造について説明を行う。図2に示すように、本実施形態に係るインテークマニホールド1は、分岐管溝21が形成された第2部材としてのポート20と、この分岐管溝21を閉塞して分岐管路12を形成する第1部材としてのポートカバー10と、タンク室31が形成されると共に、内燃機関に吸気流体を導入するための吐出口36が形成された第3部材としてのチャンバ30とから構成されている。
【0030】
ポート20は、上側に溶着されるポートカバー10と下側から溶着されるチャンバ30とに挟まれるように配置され、ポートカバー10,ポート20及びチャンバ30は、上からこの順に重ね合わせて溶着される。また、ポートカバー10,ポート20及びチャンバ30は、ポリアミド系樹脂やポリプロピレン系樹脂等の熱可塑性の合成樹脂によって形成されており、各部材の溶着面に振動による摩擦熱を生じさせ、各部材を加圧治具やスライド治具によって加圧しつつ溶着させている。さらに、本実施形態に係るインテークマニホールド1は、分岐管路12の吐出口36側において、ポートカバー10,ポート20及びチャンバ30の溶着部が上下方向に重畳するように形成されている。
【0031】
ポートカバー10は、分岐管溝21の開口部を閉塞して分岐管路12の上面を構成するように閉塞部13が形成されている。また、ポートカバー10の外周縁には、ポート20と溶着するための第2の治具受面11が形成されている。
【0032】
ポート20は、上述したようにタンク室31と吐出口36を連絡する分岐管溝21が形成されている。また、分岐管溝21の外周縁には、ポートカバー10と溶着するための第2のスライド治具受部23が形成されており、ポート20の下端の外周縁には、チャンバ30と溶着するための第1の治具受面22が形成されている。さらに、第1の治具受面22は、分岐管溝21の吐出口36側にポート20とチャンバ30の溶着面と平行に且つ分岐管溝21の外方に突出するリブ24が形成され、ポートカバー10とポート20の溶着部がポート20とチャンバ30の溶着部との重畳を避けるように形成されている。
【0033】
チャンバ30は、タンク室31に連続する吸気口32と、分岐管路12と連続する吐出口36が形成されている。また、タンク室31及び吐出口36の外周縁にはポート20と溶着するための第1のスライド治具受部33が形成されている。
【0034】
このように、ポートカバー10とポート20は、第2の治具受面11と第2のスライド治具受部23とを振動溶着することによって互いに溶着され、ポート20とチャンバ30は、第1の治具受面22と第1のスライド治具受部33とを振動溶着することによって互いに溶着されている。
【0035】
次に図3及び4を参照して本実施形態に係るインテークマニホールド1の製造方法について説明を行う。本実施形態に係るインテークマニホールド1は、まずポートカバー10とポート20が振動溶着によって溶着される。図3に示すように、ポートカバー10の下端とポート20の上端とを重ね合わせた状態で振動溶着が行われ、第2のスライド治具受部23の下端をスライド治具42によって支持し、第2の治具受面11の上端から加圧治具41によって加圧・振動を加えることで溶着が行われる。振動溶着は第2の治具受面11に形成された溶着突起を振動による摩擦熱で溶解させ、加圧治具41が第2の治具受面11を第2のスライド治具受部23に向けて加圧することで溶着が行われる。
【0036】
ポートカバー10とポート20の溶着後、図4に示すようにポート20とチャンバ30の溶着が行われる。ポート20の下端とチャンバ30の上端とを重ね合わせた状態で振動溶着が行われ、第1のスライド治具受部33の下端をスライド治具42によって支持し、第1の治具受面22の上端から加圧治具41によって加圧・振動を加えることで溶着が行われる。このとき、上述したように、分岐管路12の吐出口36側は、ポートカバー10とポート20の溶着部とポート20とチャンバ30の溶着部とが上下方向に重畳しているため、加圧治具41は第1の治具受面22に形成されたリブ24に当接することでポート20とチャンバ30との振動溶着を行っている。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係るインテークマニホールド1は、ポートカバー10とポート20の溶着部とポート20とチャンバ30の溶着部とが重畳している位置では、第1の治具受面22に形成されたリブ24が各溶着部の重畳を避けるように突出して形成されているので、ポートカバー10とポート20の溶着後であっても、ポート20とチャンバ30の溶着部に十分な加圧及び振動を加えることができ、溶着強度の安定、溶着時間の短縮を実現することができる。
【0038】
以上、第1の実施形態に係る吸気系部品としてインテークマニホールドを構成した場合について説明した。しかしながら、本発明に係る吸気系部品はインテークマニホールドに限られない。そこで、次に吸気系部品をレゾネータとして構成した場合について説明を行う。
【0039】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る吸気系部品の構成を説明するための断面図である。なお、以下で説明する第2の実施形態に係る吸気系部品では、上述した第1の実施形態に係る吸気系部品と同一又は類似する部材について、同一符号を付してその説明を省略する場合がある。また、図5において示すように、紙面の幅方向を図面の左右方向と定義して以下の説明を行う。
【0040】
図5に示すように、本実施形態に係る吸気系部品はレゾネータ1aとして構成されている。レゾネータ1aは、内燃機関の吸気系統に接続して使用するものであり、外気から空気を導入する際に生じる吸気音を低減するための部材である。このレゾネータ1aは、外殻をなすハウジングを有しており、該ハウジングは、レゾネータ1aの上半分をなす第3部材としてのカバー30aと、下半分をなす第2部材としてのケース20aと、ケース20aの下端を閉塞する第1部材としてのアンダーケース10aとからなっている。
【0041】
ケース20aは、上側に溶着されるカバー30aと下側から溶着されるアンダーケース10aとに挟まれるように配置され、カバー30a,ケース20a及びアンダーケース10aは、上からこの順に重ね合わせて溶着される。また、カバー30a,ケース20a及びアンダーケース10aは、ポリアミド系樹脂やポリプロピレン系樹脂等の熱可塑性の合成樹脂によって形成されており、各部材の溶着面に振動による摩擦熱を生じさせ、各部材を加圧治具やスライド治具によって加圧しつつ溶着させている。さらに、本実施形態に係るレゾネータ1aは、左端側において、カバー30a,ケース20a及びアンダーケース10aの溶着部が上下方向に重畳するように形成されている。
【0042】
カバー30aの下端に開口する開口部の外周縁には、ケース20aと溶着するための第1のスライド治具受部33aが形成されている。
【0043】
ケース20aの上端の外周縁には、カバー30aと溶着するための第1の治具受面22aが形成されており、ケース20aの下端の外周縁には、アンダーケース10aと溶着するための第2のスライド治具受部23aが形成されている。さらに、第1の治具受面22aは、左端側に第1の治具受面22aと同一の方向に外方に突出するリブ24aが形成され、アンダーケース30aとケース20aの溶着部がケース201とカバー30aの溶着部との重畳を避けるように形成されている。
【0044】
アンダーケース10aの上端の外周縁には、ケース20aと溶着するための第2の治具受面11aが形成されている。
【0045】
このように、アンダーケース10aとケース20aは、第2の治具受面11aと第2のスライド治具受部23aとを振動溶着することによって互いに溶着され、ケース20aとカバー30aは、第1の治具受面22aと第1のスライド治具受部33aとを振動溶着することによって互いに溶着されている。
【0046】
本実施形態に係るレゾネータ1aは、アンダーケース10aとケース20aの溶着後、ケース20aとカバー30aの溶着が行われる。即ち、ケース20aの上端とカバー30aの下端とを重ね合わせた状態で振動溶着が行われ、第1のスライド治具受部33aの上端をスライド治具によって支持し、第1の治具受面22aの下端から加圧治具によって加圧・振動を加えることで溶着が行われる。このとき、上述したように、図6における左端側は、アンダーケース10aとケース20aの溶着部とケース20aとカバー30aの溶着部とが上下方向に重畳しているため、加圧治具は第1の治具受面22aに形成されたリブ24aに当接することでケース20aとカバー30aとの振動溶着を行っている。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係るレゾネータ1aは、アンダーケース10aとケース20aの溶着部とケース20aとカバー30aの溶着部とが重畳している位置では、第1の治具受面22aに形成されたリブ24aが各溶着部の重畳を避けるように突出して形成されているので、アンダーケース10aとケース20aの溶着後であっても、ケース20aとカバー30aの溶着部に十分な加圧及び振動を加えることができ、溶着強度の安定、溶着時間の短縮を実現することができる。
【0048】
また、上述した第1の実施形態に係るインテークマニホールド1では、直列四気筒の内燃機関に適用されるインテークマニホールドについて説明したが、内燃機関の形式はこれに限られず例えば、直列六気筒の内燃機関に適用するために、分岐管路を6本形成しても構わない。このように、適用される内燃機関の形式に応じて分岐管路の形状や数を適宜増減しても構わない。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0049】
1 インテークマニホールド, 10,110 ポートカバー, 11,11a 第2の治具受面, 12,112 分岐管路, 13 閉塞部, 20,120 ポート, 21 分岐管溝, 22,22a 第1の治具受面, 23,23a 第2のスライド治具受部, 24,24a リブ, 30,130 チャンバ, 31,131 タンク室, 32 吸気口, 33,33a 第1のスライド治具受部, 34,35 フランジ, 36 吐出口, 41,141 加圧治具, 42,142 スライド治具, 1a レゾネータ, 10a アンダーケース, 20a ケース, 30a カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに分割された第1部材,第2部材及び第3部材を加圧しつつ溶着させて形成される吸気系部品であって、
前記第1部材と前記第2部材の溶着部及び前記第2部材と前記第3部材の溶着部が重畳して溶着される部位に前記第2部材と前記第1部材の溶着部と、前記第2部材と前記第3部材の溶着部の重畳を避けるように第1の治具受面が形成されていることを特徴とする吸気系部品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸気系部品において、
前記第1部材が、前記分岐管溝を閉塞して分岐管路を形成するポートカバーであり、
前記第2部材が、分岐管溝が形成されたポートであり、
前記第3部材が、前記分岐管路の一端に連続すると共に、吸気流体を導入する吸気口を備えたタンク室が形成されたチャンバであり、
前記吸気系部品がインテークマニホールドであることを特徴とする吸気系部品。
【請求項3】
請求項2に記載の吸気系部品において、
前記第1の治具受面は、前記ポートに形成されていることを特徴とする吸気系部品。
【請求項4】
請求項3に記載の吸気系部品において、
前記第1の治具受面は、前記分岐管溝の前記タンク室と連通する一端の反対端に形成されると共に、前記ポートと前記チャンバとの溶着面と平行に前記分岐管溝の外方に突出するリブが形成されることを特徴とする吸気系部品。
【請求項5】
請求項4に記載の吸気系部品において、
前記チャンバは第1のスライド治具受部が形成され、前記ポートと前記ポートカバーが溶着された後に前記第1のスライド治具受部と前記第1の治具受面とを振動溶着治具によって挟持することで溶着されることを特徴とする吸気系部品。
【請求項6】
請求項5に記載の吸気系部品において、
前記ポートは第2のスライド治具受部が形成され、前記ポートカバーは第2の治具受面が形成され、前記第2のスライド治具受部と前記第2の治具受面とを振動溶着治具によって挟持することで溶着されることを特徴とする吸気系部品。
【請求項7】
請求項1に記載の吸気系部品において、
前記吸気系部品が、レゾネータであることを特徴とする吸気系部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−26278(P2012−26278A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162522(P2010−162522)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000223034)株式会社ROKI (51)