説明

吸水剤

【課題】どのような状態においても(使用者が装着した状態で座ったり横になったりしても)、高い吸収性能(吸収量及び吸収速度)を発揮し、ゲルブロッキングやモレが生じにくい吸収性物品を製造し得る吸水剤を提供する。
【解決手段】吸水性樹脂粒子(A)100重量部と、軟化点が50〜180℃の熱融着性樹脂粒子(B)0.01〜1重量部との混合物からなる殊を特徴とする吸水剤を用いる。この吸水剤は式(1)〜(4)を満たすことが好ましい。
【数1】


[式中、(X)は吸水剤の生理食塩水に対する1時間後の保水量(g/g)、(Y)は吸水剤を生理食塩水に1時間浸漬した後の2kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度(ml/分)、Zは吸水剤の生理食塩水に対する1分後の吸収量(g/g)を意味する]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水剤に関する。
【背景技術】
【0002】
重合開始剤量、重合温度及び重合濃度等を変え最適化する方法や、チオール等の連鎖移動剤を使用する方法により吸収量を向上させた架橋重合体が知られている(特許文献1)。また、重合体粒子の近傍を処理する方法等により、荷重下での吸収量等を向上させた架橋重合体が提案されている(特許文献2及び3等)。また、重合体粒子を多孔質にして吸収速度を向上させた架橋重合体が提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開平3−179008号公報
【特許文献2】特許第267529号公報
【特許文献3】ヨーロッパ公開特許公報618005A
【特許文献4】特開2002−212331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の架橋重合体を用いた吸収性物品(紙おむつ等)は、使用者が装着した状態で座ったり横になったような場合、ゲルブロッキングやモレ等の問題を生じやすかった。そして、このようなゲルブロッキングやモレ等の問題のない吸収性物品が強く望まれている。
すなわち、本発明の目的は、どのような状態においても(使用者が装着した状態で座ったり横になったりしても)、高い吸収性能(吸収量及び吸収速度)を発揮し、ゲルブロッキングやモレが生じにくい吸収性物品を製造し得る吸水剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の吸水剤の特徴は、吸水性樹脂粒子(A)100重量部と、軟化点が50〜180℃の熱融着性樹脂粒子(B)0.01〜1重量部とからなる点を要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の吸水剤は、保水性能(保水量)と含水ゲル粒子(吸収性樹脂粒子が吸液して形成されるゲル状物)の通液速度及び吸収時間のバランスが格段に優れ、吸液後もさらっとした感触を示す。
従って、紙おむつ及び生理用ナプキン等の吸収性物品に本発明の吸水剤を適用した場合、どのような状態においても(使用者が装着した状態で座ったり横になったりしても)、優れた吸収性能(吸収量及び吸収速度)を発揮し、ゲルブロッキングやモレが生じにくい吸収性物品が容易に得られる。さらに、この吸収性物品は、どのような状態においても(使用者が装着した状態で座ったり横になったりしても)、被吸収液体が逆戻りしにくい特徴を示す。特に、パルプ含有量の少ない薄型の吸収性物品には非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
まず吸水性樹脂粒子(A)について説明する。
吸水性樹脂粒子(A)としては、通常の水膨潤性架橋ポリマー等が使用でき、(1)〜(9)のポリマー等が挙げられる。なお、これらのポリマーの2種以上の混合物でもよい。
(1)特公昭53−46199号公報又は特公昭53−46200号公報等に記載のデンプン−アクリル酸(塩)グラフト架橋共重合体。
(2)特開昭55−133413号公報等に記載の水溶液重合(断熱重合、薄膜重合又は噴霧重合等)により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)。
(3)特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報又は特開平11−5808号公報等に記載の逆相懸濁重合により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)。
(4)特開昭52−14689号公報又は特開昭52−27455号公報等に記載のビニルエステルと不飽和カルボン酸又はその誘導体との共重合体のケン化物。
(5)特開昭58−2312号公報又は特開昭61−36309号公報等に記載のアクリル酸(塩)とスルホ(スルホネート)基含有モノマーとの共重合体。
(6)米国特許4389513号等に記載のイソブチレン−無水マレイン酸共重合架橋体のケン化物。
(7)特開昭46−43995号公報等に記載のデンプン−アクリロニトリル共重合体の加水分解物。
(8)米国特許4650716号等に記載の架橋カルボキシメチルセルロース誘導体。
(9)特開2003−052742号公報、特開2003−082250号公報、特開2003−165883号公報、特開2003−165883号公報、特開2003−176421号公報、特開2003−183528号公報、特開2003−192732号公報、特開2003−225565号公報、特開2003−238696号公報、特開2003−335970号公報、特開2004−091673号公報又は特開2004−123835号公報等に記載された高性能吸水性樹脂。
【0007】
これらのうち、製造コストの観点等から、(1)デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合架橋体、(2)水溶液重合により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)、(3)逆相懸濁重合により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)及び(9)高性能吸水性樹脂が好ましく、さらに好ましくは(2)、(3)及び(9)である。
【0008】
吸水性樹脂粒子(A)は、(A)の表面近傍を架橋することができる(表面架橋処理)。このように表面近傍を架橋処理した吸水性樹脂粒子(A)は、荷重下での吸収量も大きくなるので好適である。
表面架橋剤としては、特開昭59−189103号公報等に記載の多価グリシジル、特開昭58−180233号公報又は特開昭61−16903号公報等に記載の多価アルコール、多価アミン、多価アジリジン及び多価イソシアネート、特開昭61−211305号公報又は特開昭61−252212号公報等に記載のシランカップリング剤、並びに特開昭51−136588号公報又は特開昭61−257235号公報等に記載の多価金属等が挙げられる。これらの表面架橋剤のうち、カルボキシル(カルボキシレート)基と強い共有結合を形成して荷重下の吸収量に優れた吸水性樹脂が得られるという観点や架橋反応を比較的低い温度で行わせることができて経済的であるという観点等から、多価グリシジル、多価アミン及びシランカップリング剤が好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル及びシランカップリング剤、特に好ましくは多価グリシジルである。
【0009】
表面架橋剤を使用する場合、表面架橋剤の使用量(重量%)は、表面架橋剤の種類、表面架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収性能の観点等から、吸水性樹脂粒子(A)の原料単量体の全重量に基づいて、0.001〜3が好ましく、さらに好ましくは0.005〜2、特に好ましくは0.01〜1である。
吸水性樹脂粒子(A)が水の存在下で製造される場合(通常このようにして製造される)、表面架橋処理は、吸水性樹脂粒子(A)及び水を含有してなる含水樹脂(WA)の乾燥前、(WA)の乾燥中、並びに(WA)の乾燥後等のいずれの段階で行われてもよいが、架橋条件の調整の観点等から、(WA)の乾燥中又は(WA)の乾燥後の段階が好ましい。
【0010】
この表面架橋処理を行う方法としては、従来公知の方法が適用でき、表面架橋剤、水及び/又は有機溶媒からなる混合溶液を吸水性樹脂粒子(A)又は含水樹脂(WA)と混合し、加熱反応させる方法等が適用できる。
上記の方法の場合、表面架橋処理に使用する水の量(重量%)は、表面架橋剤の吸水性樹脂粒子(A)の内部への浸透性の観点等から、吸水性樹脂粒子(A)の原料単量体の全重量に基づいて、1〜10が好ましく、さらに好ましくは1.5〜8、特に好ましくは2〜7である。
【0011】
上記の方法の場合、表面架橋処理のときに使用する有機溶媒の種類としては、従来公知の親水性溶媒等が使用でき、表面架橋剤の吸水性樹脂粒子(A)の内部への浸透性、表面架橋剤の反応性等を考慮し、適宜選択することができるが、炭素数1〜4のアルコール(メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコール等)のように水と任意の比率で溶解しうる親水性溶媒が好ましい。
有機溶媒は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、有機溶媒の使用量(重量%)は、有機溶媒の種類により種々変化させることができるが、吸水性樹脂粒子(A)の原料単量体の全重量に基づいて、0.2〜20が好ましく、さらに好ましくは0.5〜15、特に好ましくは1〜10である。
【0012】
また、水及び有機溶媒を使用する場合、水に対する有機溶媒の使用比率は任意に変化させることができが、有機溶媒の使用量(重量%)は、水の重量に基づいて、20〜80が好ましく、さらに好ましくは25〜75、特に好ましくは30〜70である。
また、表面架橋処理の温度(℃)は、80〜200が好ましく、さらに好ましくは90〜180、特に好ましくは100〜160である。
【0013】
また、表面架橋処理の反応時間(分)は、反応温度等により変化させることができるが、3〜60が好ましく、さらに好ましくは5〜50、特に好ましくは10〜40である。
表面架橋剤で表面架橋して得られる吸水性樹脂粒子(A)又は含水樹脂(WA)を、これと同種の表面架橋剤又はこれと異種の表面架橋剤で追加の表面架橋を施すこともできる。追加の表面架橋剤の使用量、処理方法、処理温度、処理時間等は上記の場合と同様である。
【0014】
吸水性樹脂粒子(A)の形状は特に限定はないが、球状、顆粒状、破砕状、針状、薄片状及びこれらの一次粒子が互いに融着したような凝集状が好ましく、さらに好ましくは破砕状及びこれらの一次粒子が互いに融着したような凝集状である。
吸水性樹脂粒子(A)の大きさは特に制限がないが、吸水性樹脂粒子(A)の全重量の90重量%以上(好ましくは93重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上)の粒子径(μm)が38〜1180であることが好ましく、さらに好ましくは63〜1000、特に好ましくは106〜850、最も好ましくは150〜710であることである。
【0015】
吸水性樹脂粒子(A)の大きさ(粒子径)の測定は、JIS Z8815−1994に準じてロータップ試験ふるい振とう機及びJIS Z8801−2000に規定されたふるいを用いて測定される(以下、粒子径の測定は本方法による。)。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm及び受け皿の順、又は上から425μm、300μm、250μm、150μm、125μm、75μm、45μm及び受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定サンプル粒子約50gを入れ、ロータップ試験ふふるい振とう機で5分間浸透させる。各ふるい及び受け皿上の測定サンプル粒子の重量を秤量し、その合計を100%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、各ふるいの値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引いて「粒子径−重量分率」線を得る。そして、この線から、各粒子径範囲の含有量を算出する。
【0016】
吸水性樹脂粒子(A)としては、商品名として、サンウェットIM−930、サンウェットIM−701、サンウェットIM−717、アクアパールDS−53K{以上、サンダイヤポリマー(株)製}、サンフレッシュST−500D*{三洋化成工業(株)製}、アクアリックCA{(株)日本触媒製}及びアクアキープSA60S{住友精化(株)製}等が挙げられる。
【0017】
熱融着性樹脂粒子(B)の軟化点(℃)は、50〜180が好ましく、さらに好ましくは60〜160、特に好ましくは70〜150、最も好ましくは80〜140℃である。この範囲であると、本発明の吸水剤を用いた吸収性物品のモレやゲルブロッキングがさらに良好となる。なお、軟化点はJIS K6863−1994に準拠して測定される。
【0018】
熱融着性樹脂粒子(B)としては、熱可塑性樹脂及び天然ワックス等が含まれる。
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン変性物、オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂及びこれらの2種以上の混合物等が使用できる。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン及びポリブテン等が挙げられる。
ポリオレフィン変性物としては、マレイン酸変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン及びマレイン酸変性ポリブタジエン等が挙げられる。
オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−アクリル酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体及びイソブチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレード及びポリブタジエンテレフタレート等が挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、ナイロン等が挙げられる。
ポリスチレン樹脂としては、ポリスチレン、スルホン化ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、ポリオール及びイソシアネートを必須構成単量体としてなる樹脂等が挙げられる{ポリオール及びイソシアネートは公知のものが使用できる(例えば平野陽三著「実用プラスチック事典」(株)産業調査会1993年5月初版代1刷発行、257〜268項)}。
酢酸ビニル樹脂としては、ポリ酢酸ビニル及びエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0019】
天然ワックスとしてはみつろう、鯨ろう及び牛脂等が挙げられる。
これらのうち、熱可塑性樹脂が好ましく、さらに好ましくはポリオレフィン樹脂及びポリオレフィン変性物、特に好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンである。
【0020】
熱融着性樹脂粒子(B)の重量平均粒径(μm)は、0.5〜250が好ましく、さらに好ましくは0.6〜200、特に好ましくは0.8〜150、最も好ましくは1〜100である。この範囲であると、本発明の吸水剤を用いた吸収性物品のモレやゲルブロッキングがさらに良好となる。
なお、重量平均粒径は、重量平均粒径が38μm以上の場合、吸水性樹脂粒子(A)の大きさ(粒子径)の測定と同様にして「粒子径−重量分率」線を得た後、重量分率50%に対応する粒子径を読み取ることにより得られる。一方、重量平均粒径が38μm未満の場合、JIS K1150−1994 5.7.2.1項に記載の電気抵抗式粒度測定法に準拠して「粒子径−重量分率」線を得た後、重量分率50%に対応する粒子径を読み取ることにより得られる。
【0021】
熱融着性樹脂粒子(B)は、水に乳化・分散した形態でも使用できる。水に乳化・分散した形態で使用する場合、水の含有量(重量%)は、熱融着性樹脂粒子(B)の重量に基づいて、50〜98が好ましく、さらに好ましくは60〜95、特に好ましくは70〜90である。
【0022】
熱融着性樹脂粒子(B)としては、商品名(括弧内は順に、軟化点、重量平均粒子径)として、サンワックス161P(111℃、75μm)、ユーメックス2000P(110℃、85μm)、ビスコール660−P(145℃、250μm){以上、三洋化成工業(株)製};ケミパールWP100(108℃、3μm、水含有量60重量%エマルション)、ケミパールW401(102℃、1μm、水含有量60重量%エマルション)、ケミパールS200(50℃、0.5μm、水含有量73重量%エマルション)、ケミパールS100(60℃、0.6μm、水含有量73重量%エマルション)、ケミパールS300(70℃、0.8μm、水含有量65重量%エマルション){以上、三井化学(株)製};バイロンGM903P(105℃、95μm){東洋紡績(株)製};アロンメルトPPET−2015(80℃、150μm){東亞合成(株)製};A−C307(140℃、150μm)、A−C1221P(150℃、100μm)、ACumistB9(130℃、6μm){以上、Honeywell International Inc.製};ノバロイB6508(160℃、200μm){ダイセル化学工業製};ノバテックMA3H(180℃、−:フレーク){日本ポリプロ}を吸水性樹脂粒子(A)と同様の方法で、粉砕及びふるい別して重量平均粒子径250μmに調整したもの等が挙げられる。
【0023】
熱融着性樹脂粒子(B)の含有量(重量部)は、吸水性樹脂(A)100重量部に基づいて、0.01〜1が好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.5、特に好ましくは0.03〜0.1、最も好ましくは0.04〜0.08である。この範囲であると、本発明の吸水剤を用いた吸収性物品のモレやゲルブロッキングがさらに良好となる。
【0024】
本発明の吸水剤の製造法としては、吸水性樹脂粒子(A)と熱融着性樹脂粒子(B)とを均一混合できれば制限がないが、簡便性及び経済性の観点等から、粉体混合する方法が好ましい。吸水性樹脂粒子(A)と熱融着性樹脂粒子(B)とを混合する装置としては通常の混合装置でよく、例えばコニカルブレンダー、ナウターミキサー、V型混合機、流動層式混合機、タービュライザー、スクリュー式ラインブレンド装置及びハニカム方式スタティックミキサーなどが挙げられる。なお、熱融着性樹脂粒子(B)が水に乳化・分散した形態の場合、本発明の吸水剤は、吸水性樹脂粒子(A)を撹拌しながら、これに上記液体を噴霧することにより得られる。
【0025】
本発明の吸水剤は、式(1)〜(4)を満たしてなることが好ましい。
【数1】

[式中、(X)は吸水剤の生理食塩水に対する1時間後の保水量(g/g)、(Y)は吸水剤を生理食塩水に1時間浸漬した後の2kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度(ml/分)、Zは吸水剤の生理食塩水に対する1分後の吸収量(g/g)を意味する]
【0026】
式(1)に換えて、式(7)を満たすことが好ましく、さらに好ましくは式(8)、特に好ましくは式(9)、最も好ましくは式(10)を満たすことである。これらの式を満たすと、どのような状態においてもさらに高い吸収性能を発揮し、さらにモレの生じにくい吸収性物品を製造しやすい。
【数2】

通液速度(Y)は、吸水性樹脂粒子(A)に表面架橋を施し、表面架橋の度合(表面架橋剤の使用量を増加、反応条件の強化等)を強めると高くなる傾向がある。一方、表面架橋を過剰に強めると、保水量(X)が低下する為、式(2)を満たさなくなる。
また、熱融着性樹脂粒子(B)の添加量が少な過ぎると、保水量(X)の値が同じでも、通液速度(Y)の値は低くなり、式(1){または(7)〜(10)}を満たさなくなる傾向がある。
一方、熱融着性樹脂粒子(B)の添加量が多すぎても、保水量(X)の値が同じでも、通液速度(Y)の値が低くなり、式(1){または(7)〜(10)}を満たさなくなる傾向がある。そして、熱融着性樹脂粒子(B)の含有量が上記の範囲であると、式(1){または(7)〜(10)}を満たしやすい傾向がある。
【0027】
式(2)に換えて、式(11)を満たすことが好ましく、さらに好ましくは式(12)、特に好ましくは式(13)、最も好ましくは式(14)を満たすことである。これらの式を満たすと、どのような状態においてもさらに高い吸収性能を発揮し、さらにゲルブロッキングやモレが生じにくい吸収性物品を製造しやすい。
【数3】

吸水剤の生理食塩水に対する1時間後の保水量(X)は、吸水性樹脂粒子(A)を構成する架橋剤量等によって変化し、架橋剤量が少ないと(X)は増加する傾向にあり、逆に、多いと(X)は減少する傾向にある。また、吸水性樹脂粒子(A)の分子量等によっても変化し、分子量が大きいと(X)は増加する傾向にあり、逆に、小さいと(X)は減少する傾向にある。
なお、吸水性樹脂粒子(A)の分子量は、例えば吸水性樹脂粒子(A)を重合する時の重合開始剤の使用量によっても変化し、開始剤量が少ないと分子量は増大する傾向にあり、開始剤量が多いと分子量は減少する傾向にある。ただし、開始剤が少な過ぎると重合開始までの誘導期が長くなる他、重合を開始してから重合が完了するまでの時間が長くなり、生産性が悪化する。
【0028】
式(3)に換えて、式(15)を満たすことが好ましく、さらに好ましくは式(16)、特に好ましくは式(17)、最も好ましくは式(18)を満たすことである。これらの式を満たすと、どのような状態においてもさらに高い吸収性能を発揮し、さらにモレの生じにくい吸収性物品を製造しやすい。
【数4】

吸水剤を生理食塩水に1時間浸漬した後の2kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度(Y)は、吸水性樹脂粒子(A)を構成する架橋剤量等によって変化し、架橋剤量が少ないと(Y)は減少する傾向にあり、逆に、多いと(Y)は増加する傾向にある。また、吸水性樹脂粒子(A)の分子量等によっても変化し、分子量が大きいと(Y)は増加する傾向にあり、逆に、分子量が小さいと(Y)は減少する傾向にある。
【0029】
式(4)に換えて、式(19)を満たすことが好ましく、さらに好ましくは式(20)、特に好ましくは式(21)、最も好ましくは式(22)を満たすことである。これらの式を満たすと、どのような状態においてもさらに高い吸収性能を発揮し、さらにモレが生じにくい吸収性物品を製造しやすい。
【数5】

これらの式は吸水性樹脂粒子(A)と熱融着性樹脂粒子(B)を混合することで満たすことができる。
吸水剤の生理食塩水に対する1分後の吸収量(Z)は、吸水性樹脂粒子(A)の表面積等によって変化し、表面積が大きいと(Z)は増大する傾向にあり、逆に、小さいと(Z)は減少する傾向にある。また、吸水性樹脂粒子(A)の重量平均粒径等によっても変化し、重量平均粒径が小さいと(Z)は減少する傾向にあり、重量平均粒子径が150〜710μmの時に(Z)は増加する傾向にある。
なお、吸水性樹脂粒子(A)の表面積は、例えば吸水性樹脂粒子(A)を含む含水ゲルの乾燥速度によって変化し、早く(急激に)乾燥すると表面積は増加する傾向にあり、時間をかけてゆっくりと乾燥すると表面積は減少する傾向がある。ただし、過度に乾燥速度を短縮しすぎると、吸水性樹脂粒子(A)が衝撃等で壊れやすくなる傾向がある。
また、吸水性樹脂粒子(A)の重量平均粒径は、例えば吸水性樹脂粒子(A)の粉砕条件によりコントロールできる。
【0030】
吸水剤の生理食塩水に対する1時間後の保水量(X)(g/g)は下記方法にて測定される。
<保水量(X)の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2000)のステンレス製網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000cc中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りする。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式(5)から保水量(X)を求める。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃である。
【数6】

(h2)は、測定試料のない場合について上記と同様の操作により計測したティーバックの重量である。
【0031】
吸水剤の生理食塩水に1時間浸漬した後の2kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度(Y)(ml/分)は、下記方法にて測定される。
【0032】
<通液速度(Y)の測定法>
垂直に立てた円筒(内径25.4mm、長さ35cm、底部から20mlの位置及び10mlの位置に目盛り線が設けてある)の底部(開口部の一端)に、金網(目開き150μm)と開閉自在のコック(内径2mm)付き細管(内径4mm、長さ8cm)とを有する濾過円筒管内に、該コックを閉鎖した状態で、円筒管の他端(上部)から測定試料0.200gを金網(目開き150μm)上に均一厚みになるように投入し、この測定試料の上に金網(目開き150μm、直径25mm)付き荷重(21.2g)を金網と測定試料が接するようにしてのせて、40mlの生理食塩水を注ぎ、直ちにコックを開けて20mlの目盛り線まで生理食塩水の液面を下げながら、金網からコックまでにたまっている空気を抜き、コックを閉鎖する。引き続き、生理食塩水を注ぎ始めて20秒経過後におもり(77.0g)を金網付き荷重の上にのせて、1分間静置した後該コックを開き、生理食塩水の液面が20mlの目盛り線から10mlの目盛り線に達するまでの時間(秒/10ml)を測定し、式(6)から算出される。
【0033】
【数7】

(T2)は、測定試料のない場合について上記と同様の操作により計測した時間である。すなわち、測定試料のない状態で、濾過円筒管内に生理食塩水50mlを入れ、生理食塩水の液面が20mlから10mlになるのに要する時間(T2;秒)である。
【0034】
通液速度(Y)の測定用装置としては、濾過円筒管{円筒(1)、金網(2)、パッキン(3)、細管固定用ジョイント(4)及びコック付き細管(5)}、及び荷重{金網付き荷重(6)、蓋(7)及びおもり(8)}からなる(図1〜3を参照)。
円筒(1)大きさは、内径25.4mm、外径29.0mm、長さ35cmである。
円筒(1)の一端部には、細管固定用ジョイント(4)と接合するネジ山(オス)を有する。
金網(2)の目開きは、150μmである。また、(2)の外周端部に液漏れ防止用のパッキン(3)を有する。パッキン(3)は、円状の金網の外周端部に装着されている。金網(2)の大きさは直径25.4mmであり、パッキン(3)も含めて直径28.5mmである。
コック付き細管(5)の大きさは、内径4mm、長さ8cmである。
コックは、開閉自在であり、コックの内径は2mmであり、2mmの内径部分の長さは8mmである。
細管固定用ジョイント(4)は、円筒(1)と接合するネジ山(メス)を有する。このネジ山(メス)と、円筒(1)のネジ山(オス)とを接合することにより、円筒(1)、金網(2)、パッキン(3)、細管固定用ジョイント(4)及びコック付き細管(5)が一体化することができ、この一体化した状態で透液速度(Y)を測定することができる。
金網付き荷重(6)は、長さ44cm、直径2mmの円柱軸の一端に直径25mmの金網(目開き150μm)を円柱軸と直交するようにして配する(図2、3参照)。
また、円柱軸の他端より約4cm中央側の部分にはおもり保持用のストッパーを有する。ストッパーは、おもり(8)がストッパーを越えて金網付き荷重の金網側に移動しないように(6)の軸に固定されている。金網付き加重(6)の重量は、21.2g(蓋の重量は含まない)である。
また、金網とストッパーとの間には、円柱軸に接しながら自在に移動できる蓋(7)を有する。
蓋(7)は、円筒(1)のネジ山を有する一端とは別の他端に配して蓋とすることができる。蓋をすることにより、円柱軸が安定し、おもりの重心が安定することにより、測定試料に均一な荷重をかけることができる。その結果、測定値が安定化する効果がある。
おもり(8)の重量は、77.0gである。
また、おもり(8)の中心部に金網付き荷重(6)の円柱軸を挿入できる穴を有する。
【0035】
吸水剤の生理食塩水に対する1分後の吸収量(Z)(g/g)は、下記方法にて測定される。
<吸収量(Z)の測定法{DW(Demand Wettability)法;JIS K7224−1996の解説3〜4頁}>
25℃、湿度50%の室内で、図4に示す装置{ビューレット(10)の容量25ml、長さ55cm、小穴の直径2mm}を用い、空気流入細管(17)の最下端部と支持板(14)の最上端部とを同一水平面になるように調整した後、バルブ(7)及び(16)を閉じた状態で、生理食塩水(11)約25mlをビューレットに入れ、ゴム栓(9)を装着した後、バルブ(15)を開けることによりビューレット(10)から生理食塩水を充填する。次いで、バルブ(16)を開け、支持板(14)に溢れ出た生理食塩水を拭き取ってから、ビューレットのの液面(h1)を読み取る。引き続き、支持板(14)上に、平織りナイロンメッシュ(13)(目開き63μm、5cm×5cm)をのせ、さらにこの平織りナイロンメッシュ(13)の上に、吸水剤1.0gを散布してから、1分後に、ビューレットの液面(h2)を読み取り、液面の差{(h1)−(h2)}を吸収量(Z)とする。
【0036】
本発明の吸水剤の含水率(重量%)は、作業性・風合い・耐湿性等の観点から、1〜12が好ましく、さらに好ましくは2〜10、特に好ましくは4〜8である。この範囲であると、吸水剤が衝撃により破壊されするのを防ぎ、作業性等がさらに良好となる。
なお、含水率は、乾燥工程のみで決まるのではなく、表面架橋工程及び加水工程等で調整される。また、含水率は、赤外水分測定器{たとえば、(株)KETT社製JE400(ランプ仕様100V,40W)等}により加熱(120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH)したときの加熱前後の吸水剤の重量減量から求められる。
【0037】
本発明の吸水剤には、必要により任意の段階{架橋重合体(A)の重合工程、破砕工程、乾燥工程、粉砕工程、表面架橋工程及び/又はこれらの工程の前後等}において、添加物を添加することができる。
添加物としては、特許第3648553号公報等に記載の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤及び有機質繊維状物等が使用でき、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。
【0038】
これらの添加物を添加する場合、その添加量(重量%)は用途によって異なるが、吸水剤の重量に基づいて、10-6〜20が好ましく、さらに好ましくは10-5〜10、特に好ましくは10-4〜5である。この範囲であると、吸水剤の吸収性能を低下させることなく、添加剤の効果(抗菌効果等)を付与することができる。
【0039】
本発明の吸水剤は、各種の吸収体に適用することにより、吸収性能に優れた吸収性物品を製造し得る。
吸収体に吸水剤を適用する方法としては、(1)層状に配置されたパルプ等からなる繊維状物の層の間に吸収性樹脂粒子を散粒する方法;(2)パルプ、熱融着性繊維等からなる繊維状物と吸収性樹脂粒子とを混合する方法;(3)二枚以上の吸水紙や不織布で、必要により繊維状物と共に吸収性樹脂粒子をサンドイッチする等の方法等が挙げられる。なお、繊維状物としては特許第3648553号公報に記載のもの等が挙げられる。
【0040】
本発明の吸水剤を吸収体に使用する場合、本発明の吸水剤の使用量(重量%)は、吸収体の種類やサイズ、目標とする吸収性能に応じて種々変化させることができるが、吸水剤と繊維状物の合計重量に基づいて、30〜95が好ましく、さらに好ましくは40〜94、特に好ましくは50〜93である。この範囲であると、得られる吸収体の吸収性能がさらに良好となる。
【0041】
本発明の吸水剤を用いた吸収体は、被吸収液(汗、尿及び血液等の体液並びに海水、地下水及び泥水等の水等)を吸収した場合であってもさらっとした感触を示すため、衛生用品(紙おむつ及び生理用ナプキン等)等の吸収性物品に適用した場合、優れた吸収性能のみならず、被吸収液が圧力下でも逆戻りしにくい優れた特徴を発揮する。
従って、本発明の吸水剤を用いることにより、どのような状態においても高い吸収性能を発揮する吸収性物品を容易に製造することができる。
すなわち、本発明の吸水剤を用いた吸収性物品は、使用者が装着した状態で座ったり横になったような荷重のかかった状態であっても吸収量及び吸収速度が低下せず、その結果ゲルブロッキングやモレ等の問題が極めて発生しにくい。
【0042】
吸収性物品としては、吸収体、液体透過性シート、通気性バックシートを備える吸収性物品が好ましく、さらに好ましくは衛生用品としての吸収性物品である。
衛生用品としては、紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ等)、ナプキン(生理用ナプキン等)、紙タオル、パッド(失禁者用パッド及び手術用アンダーパッド等)及びペットシート(ペット尿吸収シート)等が挙げられる。これらの衛生物品のうち、紙おむつにより適している。
【0043】
なお、本発明の吸水剤は前記載の衛生用品用途のみならず、ペット尿吸収剤、携帯トイレの尿ゲル化剤、青果物等の鮮度保持剤、肉類及び魚介類のドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物や土壌等の保水剤、結露防止剤、止水材やパッキング材並びに人工雪等、種々の用途にも有用である。
【実施例】
【0044】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下特に定めない限り、%は重量%を示す。
<実施例1>
吸水性樹脂(A1){サンダイヤポリマー(株)製、架橋ポリアクリル酸ナトリウム塩、商品名「サンウェットIM−930」、150μm〜710μm:97%)100部と、熱融着性樹脂粒子(B1){三洋化成工業(株)製、低分子量ポリエチレン、商品名「サンワックス161P」、軟化点111℃、重量平均粒径75μm}0.1部とをV型混合機(入江製作所社製:VK−2S)に入れ、20分間、均一混合して、本発明の吸水剤(1)を得た。
【0045】
<実施例2>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を0.01部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(2)を得た。
【0046】
<実施例3>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(3)を得た。
【0047】
<実施例4>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を0.02部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(4)を得た。
【0048】
<実施例5>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を0.03部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(5)を得た。
【0049】
<実施例6>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を0.04部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(6)を得た。
【0050】
<実施例7>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を0.08部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(7)を得た。
【0051】
<実施例8>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(8)を得た。
【0052】
<実施例9>
熱融着性樹脂粒子(B1)を熱融着性樹脂粒子(B2){三洋化成工業(株)製、マレイン酸変性ポリエチレン、商品名「ユーメックス2000P」、軟化点108℃、重量平均粒径85μm}を使用する以外は実施例1と同様にして本発明の吸水剤(9)を得た。
【0053】
<実施例10>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B2)0.01部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(10)を得た。
【0054】
<実施例11>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B2)1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(11)を得た。
【0055】
<実施例12>
熱融着性樹脂粒子(B1)を熱融着性樹脂粒子(B3){東洋紡績(株)製、ポリエステル樹脂、商品名「バイロンGM903P」、軟化点133℃、重量平均粒径95μm}を使用する以外は実施例1と同様にして本発明の吸水剤(12)を得た。
【0056】
<実施例13>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B3)0.01部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(13)を得た。
【0057】
<実施例14>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B3)1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(14)を得た。
【0058】
<実施例15>
熱融着性樹脂粒子(B1)を熱融着性樹脂粒子(B4){Honeywell International Inc.製、酸化ポリエチレン、商品名「A−C307、軟化点140℃、重量平均粒径150μm}を使用する以外は実施例1と同様にして本発明の吸水剤(15)を得た。
【0059】
<実施例16>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B4)0.01部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(16)を得た。
【0060】
<実施例17>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B4)1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(17)を得た。
【0061】
<実施例18>
熱融着性樹脂粒子(B1)を熱融着性樹脂粒子(B5){東亞合成(株)製、マレイン酸変性ポリエチレン、商品名「アロンメルトPPET−2015、軟化点80℃、重量平均粒径150μm}を使用する以外は実施例1と同様にして本発明の吸水剤(18)を得た。
【0062】
<実施例19>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B5)0.01部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(19)を得た。
【0063】
<実施例20>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B5)1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(20)を得た。
【0064】
<実施例21>
熱融着性樹脂粒子(B1)を熱融着性樹脂粒子(B6){Honeywell International Inc.製、マレイン酸変性ポリエチレン、商品名「ACumistB9、軟化点130℃、重量平均粒径6μm}を使用する以外は実施例1と同様にして本発明の吸水剤(21)を得た。
【0065】
<実施例22>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B6)0.01部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(22)を得た。
【0066】
<実施例23>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B6)1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(23)を得た。
【0067】
<実施例24>
熱融着性樹脂粒子(B1)を熱融着性樹脂粒子(B7){Honeywell International Inc.製、エチレン・無水マレイン酸共重合体、商品名「A−C1221P、軟化点150℃、重量平均粒径100μm}を使用する以外は実施例1と同様にして本発明の吸水剤(24)を得た。
【0068】
<実施例25>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B7)0.01部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(25)を得た。
【0069】
<実施例26>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B7)1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(26)を得た。
【0070】
<実施例27>
熱融着性樹脂粒子(B1)を熱融着性樹脂粒子(B8){ダイセル化学工業製、スチレン−無水マレイン酸共重合体、商品名「ノバロイB6508、軟化点160℃、重量平均粒径200μm}を使用する以外は実施例1と同様にして本発明の吸水剤(27)を得た。
【0071】
<実施例28>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B8)0.01部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(28)を得た。
【0072】
<実施例29>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B8)1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(29)を得た。
【0073】
<実施例30>
熱融着性樹脂粒子(B1)を熱融着性樹脂粒子(B9){三洋化成工業(株)製、マレイン酸変性ポリエチレン、商品名「ビスコール660−P、軟化点45℃、重量平均粒径250μm}を使用する以外は実施例1と同様にして本発明の吸水剤(30)を得た。
【0074】
<実施例31>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B9)0.01部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(31)を得た。
【0075】
<実施例32>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を熱融着性樹脂粒子(B9)1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、本発明の吸水剤(32)を得た。
【0076】
<実施例33>
吸水性樹脂(A1)100部を高速攪拌{細川ミクロン(株)製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm}しながら、熱融着性樹脂粒子(B10){三井化学(株)製、低分子量ポリプロピレンエマルション、商品名「ケミパールWP100」、軟化点108℃、重量平均粒子径 3μm、ポリプロピレンの濃度40重量%}0.3部を2流体式スプレーノズルでスプレー噴霧し、さらに20分間高速撹拌して、本発明の吸水剤(33)を得た。
【0077】
<実施例34>
熱融着性樹脂粒子(B10)0.3部を0.03部に変更した以外は、実施例16と同様にして、本発明の吸水剤(34)を得た。
【0078】
<実施例35>
熱融着性樹脂粒子(B10)を熱融着性樹脂粒子(B11){三井化学(株)製、低分子量ポリエチレンエマルション、商品名「ケミパールW401」、軟化点102℃、重量平均粒子径 1μm、ポリエチレンの濃度40重量%}に変更した以外は実施例33と同様にして、本発明の吸水剤(35)を得た。
【0079】
<実施例36>
熱融着性樹脂粒子(B11)0.3部を0.03部に変更した以外は、実施例33と同様にして、本発明の吸水剤(36)を得た。
【0080】
<実施例37>
熱融着性樹脂粒子(B10)を熱融着性樹脂粒子(B12){三井化学(株)製、低分子量ポリエチレンエマルション、商品名「ケミパールS200」、軟化点50℃、重量平均粒子径 0.5μm、ポリエチレンの濃度27重量%}に変更した以外は実施例33と同様にして、本発明の吸水剤(37)を得た。
【0081】
<実施例38>
熱融着性樹脂粒子(B12)0.3部を0.03部に変更した以外は、実施例33と同様にして、本発明の吸水剤(38)を得た。
【0082】
<実施例39>
熱融着性樹脂粒子(B10)を熱融着性樹脂粒子(B13){三井化学(株)製、低分子量ポリエチレンエマルション、商品名「ケミパールS100」、軟化点60℃、重量平均粒子径 0.6μm、ポリエチレンの濃度27重量%}に変更した以外は実施例33と同様にして、本発明の吸水剤(39)を得た。
【0083】
<実施例40>
熱融着性樹脂粒子(B13)0.3部を0.03部に変更した以外は、実施例33と同様にして、本発明の吸水剤(40)を得た。
【0084】
<実施例41>
熱融着性樹脂粒子(B10)を熱融着性樹脂粒子(B14){三井化学(株)製、低分子量ポリエチレンエマルション、商品名「ケミパールS300」、軟化点70℃、重量平均粒子径 0.8μm、ポリエチレンの濃度35重量%}に変更した以外は実施例33と同様にして、本発明の吸水剤(41)を得た。
【0085】
<実施例42>
熱融着性樹脂粒子(B14)0.3部を0.03部に変更した以外は、実施例33と同様にして、本発明の吸水剤(42)を得た。
【0086】
<実施例43>
吸水性樹脂(A1)を吸水性樹脂(A2){サンダイヤポリマー(株)製、架橋ポリアクリル酸ナトリウム塩、商品名「サンウェットIM−701」、150μm〜710μm:97%}を使用する以外は実施例1と同様にして本発明の吸水剤(43)を得た。
【0087】
<実施例44>
吸水性樹脂(A1)を吸水性樹脂(A2)を使用する以外は実施例2と同様にして本発明の吸水剤(44)を得た。
【0088】
<実施例45>
吸水性樹脂(A1)を吸水性樹脂(A3){サンダイヤポリマー(株)製、架橋ポリアクリル酸ナトリウム塩、商品名「アクアパールDS−53K」、150μm〜710μm:98%}を使用する以外は実施例1と同様にして本発明の吸水剤(45)を得た。
【0089】
<実施例46>
吸水性樹脂(A1)を吸水性樹脂(A3)を使用する以外は実施例3と同様にして本発明の吸水剤(46)を得た。
【0090】
<実施例47>
吸水性樹脂(A1)を吸水性樹脂(A4){(株)日本触媒製、架橋ポリアクリル酸ナトリウム塩、商品名「アクアリックCA」、150μm〜710μm:98%}を使用する以外は実施例1と同様にして本発明の吸水剤(47)を得た。
【0091】
<実施例48>
吸水性樹脂(A1)を吸水性樹脂(A5){サンダイヤポリマー(株)製、架橋ポリアクリル酸ナトリウム塩、商品名「サンウェットIM−717」、150μm〜710μm:95%}を使用する以外は実施例1と同様にして本発明の吸水剤(48)を得た。
【0092】
<実施例49>
吸水性樹脂(A1)を吸水性樹脂(A5)を使用する以外は実施例2と同様にして本発明の吸水剤(49)を得た。
【0093】
<実施例50>
吸水性樹脂(A1)を吸水性樹脂(A5)を使用する以外は実施例3と同様にして本発明の吸水剤(50)を得た。
【0094】
<実施例51>
熱融着性樹脂粒子(B1)を熱融着性樹脂粒子(B14){日本ポリプロ製、ポリプロピレン、商品名「ノバテックMA3H」、軟化点180℃、重量平均粒径−:フレーク}を重量平均粒子径250μmに調整したものを使用する以外は実施例1と同様にして本発明の吸水剤(51)を得た。
【0095】
<比較例1>
吸水性樹脂(A1)をそのまま比較用の吸水剤(52)とした。
【0096】
<比較例2>
吸水性樹脂(A2)をそのまま比較用の吸水剤(53)とした。
【0097】
<比較例3>
吸水性樹脂(A3)をそのまま比較用の吸水剤(54)とした。
【0098】
<比較例4>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を0.001部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較用の吸収剤(55)を得た。
【0099】
<比較例5>
熱融着性樹脂粒子(B1)0.1部を1.1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較用の吸収剤(56)を得た。
【0100】
吸水剤(1)〜(56)の保水量(X)、通液速度(Y)、吸収量(Z)を上記のようにして測定し、これらの結果及び式(1)の右辺の計算値を表1〜4に示した。
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
【表3】

【0104】
【表4】

【0105】
<実施例52>
フラッフパルプ100部と、実施例1で得られた本発明の吸水剤(1)100部とを気流型混合装置{(株)オーテック社製}で混合した混合物を坪量約400g/m2となるように均一に積層し、5Kg/cm2の圧力で30秒間プレスし、本発明の吸収体(1)を得た。
この吸収体(1)を14cm×36cmの長方形に裁断し、各々の上下に吸収体と同じ大きさの吸水紙(坪量15.5g/m2)を配置し、更に市販の紙おむつに使用されているポリエチレンシートを裏面に、ポリエチレン製不織布(坪量20.0g/m2)を表面に配置することにより本発明の吸収性物品{紙おむつ(1)}を作成した。
【0106】
<実施例53〜102>
同様に、吸水剤(1)に代えて吸水剤(2)〜(51)を用いて、本発明の吸収体(2)〜(51)を調製し、さらに同様に本発明の吸収性物品{紙おむつ(2)〜(51)}を作成した。
【0107】
<実施例103>
フラッフパルプ50部の層(坪量約200g/m2)を実施例52と同様にして形成した後、この上に、実施例2で得られた吸水剤(2)100部を均一に散布し、更にその上にフラッフパルプ50部の層を積層してサンドイッチ構造とし、5Kg/cm2の圧力で30秒間プレスして、本発明の吸収体(52)を得た。
この吸収体(52)を用いて実施例52と同様にして、本発明の吸収性物品{紙おむつ(52)}を作成した。
【0108】
<比較例6〜10>
吸水剤(1)に代えて、比較例1〜5で得られた比較用の吸水剤(52)〜(56)を用いて、実施例52と同様にして、比較用の吸収体(53)〜(57)を調製し、比較用の吸収性物品{紙おむつ(53)〜(57)を作成した。
【0109】
作成した吸収性物品{紙おむつ(1)〜(57)について、漏れまでの吸収量、表面ドライ感及びSDMEによる表面ドライネス値を下記方法により測定し、これらの測定結果を表5に示した。
【0110】
<漏れまでの吸収量>
アクリル板(140mm×360mm、重量0.5Kg)上に、吸収性物品{紙おむつ(140mm×360mm)}を乗せた後、吸収性物品の短辺(140mm)の一端(上端)をガムテープでアクリル板に固定し(吸収性物品とガムテープとの重ねしろ:一端部から1cm幅)、吸収性物品を固定した一端(上端)が上部となるようにアクリル板を45度に傾けた状態で固定する。次いで上端から30mm{他端(下端)から330mm}であって、長辺の両端からそれぞれ70mmの部位に、人工尿(塩化カルシウム0.03重量%、硫酸マグネシウム0.08重量%、塩化ナトリウム0.8重量%及びイオン交換水99.09重量%)を滴下ポンプ(轟産業株式会社製、商品名CP−21)で100g/分の速度で投入した。吸収性物品の下端部より人工尿が漏れ出した時点を終点とし、漏れるまでの人工尿の投入量を求め、これを漏れまでの吸収量とした。
【0111】
<表面ドライ感>
漏れまでの吸収量を測定した後の吸収性物品を用いて、この吸収性物品表面のドライ感を10人のパネラーで指触判定し、次の4段階で評価した。10人の平均を求め、表面ドライ感とした。なお、数値が大きい程、表面ドライ感が優れていることを意味する。
12〜10:ドライ感良好
9〜7:わずかに湿っぽいが、満足できるレベルのドライ感
6〜4:ドライ感に乏しく、湿っぽい状態
3〜1:ドライ感無く、濡れた状態
【0112】
<SDME法による表面ドライネス値>
SDME(Surface Dryness Measurement Equipment)試験器(WK system社製)を用いて次の手順で測定した。
SDME試験器の検出器を十分に湿らした吸収性物品(吸収性物品を覆う程度の人工尿中に浸し、60分放置した)の上に置き、0%ドライネス値を設定し、次に、SDME試験器の検出器を乾いた吸収性物品(吸収性物品を80℃、2時間加熱乾燥した)の上に置き100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行った。
次に、測定する吸収性物品の中央に金属リング(内径70mm、外径80mm長さ50mm、重量300g)をセットし、人工尿80mlを注入した後、直ちに金属リングを取り去り、吸収性物品の中央にSDME検出器を吸収性物品に接触するようにしてセットし測定を開始した。そして、測定開始後、5分後の値をSDMEによる表面ドライネス値とした。
【0113】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の吸水剤は、各種の吸収体に適用することにより、被吸収液体がモレにくい吸収性物品にすることができる。特に、紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ等)、ナプキン(生理用ナプキン等)、紙タオル、パッド(失禁者用パッド及び手術用アンダーパッド等)及びペットシート(ペット尿吸収シート)等の吸収性物品(衛生用品)に適しており、さらには紙おむつに最適である。
なお、本発明の吸水剤は衛生用品のみならず、ペット尿吸収剤、携帯トイレの尿ゲル化剤、青果物等の鮮度保持剤、肉類及び魚介類のドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物や土壌等の保水剤、結露防止剤、止水材やパッキング材並びに人工雪等、種々の用途にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】通液速度(Y)を測定するための通液速度測定装置のうち、濾過円筒管を模式的に示した正面断面図である。
【図2】通液速度(Y)を測定するための通液速度測定装置のうち、荷重を模式的に示した正面断面図である。
【図3】通液速度(Y)を測定するための通液速度測定装置の荷重のうち、金網付き荷重(6)を模式的に示した上面図である。
【図4】吸収量(Z)を測定するためのD/W法測定装置を模式的に示した正面断面図である(JIS K7224−1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験方法」中の解説図1から引用した)。
【符号の説明】
【0116】
1.円筒
2.金網
3.パッキン
4.細管固定用ジョイント
5.コック付き細管
6.金網付き荷重
7.蓋
8.おもり
9.ゴム栓
10.ビューレット
11.生理食塩水
12.測定試料
13.平織りナイロンメッシュ
14.小穴(直径;2mm)の開いた支持板
15.バルブ
16.バルブ
17.空気流入細管
18.金網枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性樹脂粒子(A)100重量部と、
軟化点が50〜180℃の熱融着性樹脂粒子(B)0.01〜1重量部との混合物からなることを特徴とする吸水剤。
【請求項2】
式(1)〜(4)を満たしてなる請求項1記載の吸水剤。
【数1】

[式中、(X)は吸水剤の生理食塩水に対する1時間後の保水量(g/g)、(Y)は吸水剤を生理食塩水に1時間浸漬した後の2kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度(ml/分)、Zは吸水剤の生理食塩水に対する1分後の吸収量(g/g)を意味する]
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸水剤と、繊維状物とを含有してなる吸収体。
【請求項4】
請求項3に記載の吸収体を備えてなる吸収性物品。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−69161(P2007−69161A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261105(P2005−261105)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(301023009)サンダイヤポリマー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】