説明

吸痰管駆動装置及び吸痰装置

【課題】
2本のローラで吸痰管を挿抜する自動吸痰装置において、挿抜の安定化と過度の気管内負圧の防止によりその安全性を高める。
【解決手段】
吸痰管挿入孔の中心軸の法線方向に対し一方のローラは正の鋭角、他方は負の鋭角を成し、吸痰管に送りと回転を与える.付随して吸痰管の外壁面を粗面にして気管カニューレとの吸着を軽減する、ローラコマにV字型溝を設けて駆動力を増強する、吸痰管駆動機構の吸痰管保護管取り付け部と吸引源への接続管に吸痰管保護管を直接接続しその内部で吸痰管が自由に移動及び回転できるようにする、および吸痰管保護管内壁面を粗面にすることならびに吸痰管保護管内部の洗浄手段を設けて吸痰管との吸着を防ぐ解決手段により、挿抜動作を安定化した。
また、気管内部が負圧のとき開放される逆止め弁、もしくは吸引装置への開閉弁を開閉する制御手段を設けることにより、過度の負圧発生を防止した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気管に装着した気管カニューレを通じて人工呼吸器による換気を行う患者の痰を吸引・除去(以後単に吸引)する吸痰装置に関する.
【0002】
なお、以後の説明において,諸機構要素の患者側の端部を末端、外部側の端部を根元端と呼んで区別する.
【背景技術】
【0003】
自発呼吸機能が低下あるいは停止した患者に対して,気管切開して取り付けた気管カニューレを通じて人工呼吸器による換気が行われることがある.人工呼吸器使用中の痰の吸引は従来人手に頼っていたが、これを患者自身の指令もしくは状況の変化の検出によって自動的に行い、医療従事者や家族の負担を軽減することが要望され、そのための吸痰装置がいくつか提案されている。それらの例としては特許公開番号2002−219175「人工呼吸吸引両用アダプタ及び自動吸引装置」、特許公開番号2002−177378「気道内の痰の吸引装置」、および特願2004−369640「吸痰管駆動装置及び吸痰装置」などがあるが、本発明にもっとも近い従来例は上記3番目の特願2004−369640「吸痰管駆動装置及び吸痰装置」である。
【0004】
上記 特願2004−369640「吸痰管駆動装置及び吸痰装置」では、二本の回転可能なローラの間に吸痰管を通して挟み付け、該二本のローラを互いに逆の方向に回転させる吸痰管送り機構によって吸痰管を挿抜している。
【0005】
また、吸痰管の根元側を吸引装置に連なる接続管に直接接続している.
【0006】
また、吸痰管を囲繞する吸痰管防護袋を設け、該防護袋の根元端は吸痰管に、末端は前記吸痰管送り機構の根元端に共に気密に接続し、吸痰管の気管内に挿抜される部分の外壁面を外部から隔離して、分泌物の外部への拡散と外部の物質の気管内部への侵入を防いでいる。
【0007】
さらに、前記吸痰管送り機構と吸痰管防護袋と吸痰管の3要素をまとめて吸痰管駆動アセンブリとして構成し、該吸痰管駆動アセンブリの外部機構との接続部を着脱容易に構成して、吸痰管駆動アセンブリ単位での製作、包装、供給、保管及び廃棄ができるようにしている。
【0008】
また、吸痰管の根元端と吸引源との間に気液分離瓶を、さらに、該気液分離瓶と吸引源との間に開閉弁を設け、吸痰管がもっとも気管の奥まで挿入された後に該開閉弁を開放するように、また、吸痰管が引き抜かれて停止したら該開閉弁を閉鎖するように構成している.
【特許文献1】特開2002−219175号公報
【特許文献2】特開2002−177378号公報
【特許文献3】特願2004−369640「吸痰管駆動装置及び吸痰装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記従来例特願2004−369640では、気管カニューレのほぼ直角の曲がり部を吸痰管が挿入方向に通過する際、(1)吸痰管の先端が該曲がり部の内壁面に突き当たる、(2)気管カニューレの内壁面に吸痰管の外壁面が吸着する、などの現象が時折発生する。これらの現象が発生すると、吸痰管に過大な軸方向の圧縮力がかかり、(1)吸痰管が座屈する、(2)ローラと吸痰管の間で滑って駆動ができない、(3)吸痰管の挿抜速度が変動する、(4)モータが停止する、(5)ローラを駆動している柔軟軸がキンクする、あるいは(6)気管カニューレと吸痰管駆動アセンブリの接続がはずれる、などさまざまな不具合が発生する。
【0010】
従って、第1の解決すべき課題は、吸痰管先端の気管カニューレ曲がり部内壁面への突き当たり、および吸痰管外壁面と気管カニューレ内壁面との吸着とを防止もしくは軽減して、これらに起因する前記の諸不具合を解決し、吸痰管が気管カニューレの曲がり部を滑らかに通過するようにすることである。
【0011】
第1の課題は、前記従来例特願2004−369640でも強調されているように、気管からの分泌物の外部への飛散及び外部の物質の気管内部への侵入を防止する条件のもとで解決しなければならない.この条件下での第1の課題の解決に付随して発生する新たな課題として、吸痰管を囲繞する吸痰管保護管の内壁面と吸痰管外壁面との接触による両者の吸着によって、第1の課題と類似の不具合が発生する。
【0012】
従って、第2の解決すべき課題は、吸痰管外壁面と吸痰管保護管内壁面との吸着に起因する不具合を解消し、吸痰管を滑らかに挿抜できるようにすることである.
【0013】
また、第3の解決すべき課題は、第1及び第2の課題を、分泌物が付着した複雑な機構部を含む全体を廃棄できるように構成する条件の下で解決することである.
【0014】
さらに、前記従来例特願2004−369640では吸引中に気管内圧力が過度の負圧になることがある。手動吸引の場合には、人工呼吸器を停止した状態で、もしくは人工呼吸器と気管カニューレで構成された換気ラインの途中を大気に解放した状態で、気管カニューレに吸痰管を挿入するから、気管内圧力は大気圧以下には下がらない。しかし、前記従来例特願2004−369640では気管カニューレの根元端と吸痰管の根元端の間を吸痰管防護袋で密閉しているので、吸引中で人工呼吸器が呼気モードのときには気管内圧が負圧になる.気管内圧が過度の負圧になると、患者の自発呼吸との識別が困難になる.
【0015】
従って、第4の解決すべき課題は吸引中の気管内圧の低下を自発呼吸との区別ができる程度の軽度の低下に抑えることである.
【0016】
本発明の第1の目的は、(1)吸痰管の先端が気管カニューレの曲がり部内壁面に突き当たって吸痰管に圧縮軸力を及ぼしたときその突き当たりを解消すること、(2)吸痰管外壁面と気管カニューレ内壁面が接触して吸着が発生しかかったときその接触を解消すること、(3)吸着を軽減もしくは防止すること及び(4)上記突き当たり並びに接触の解消に必要な駆動力を供給することのできる吸痰管送り機構を提供することである.
【0017】
本発明の第2の目的は、第1の目的を達成する吸痰管送り機構の使用に付随して発生する吸痰管と吸痰管保護管の吸着に基づく不具合を解消し、第1の目的の達成を完全なものとする吸痰管保護管を提供することである.
【0018】
本発明の第3の目的は気管内に挿抜される吸痰管の吸痰管送り機構から外部に突出したり、気管内に挿入されたりする部分を囲繞して外部から隔離し、もって、分泌物の外部への拡散と外部の物質の気管内部への侵入を防ぐとともに,分泌物に触れなおかつ清浄化困難な構成部分を事前には清潔に包装・保管し,短期の使用後には安全、容易に廃棄,交換できるように、あるいは加熱等の清浄化、滅菌処理可能なように構成した吸痰管駆動アセンブリを提供することである.
【0019】
本発明の第4の目的は吸引中の気管内に発生する負圧を軽度の負圧に抑制することのできる吸痰管駆動アセンブリもしくは吸引装置を提供することである.
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記第1の目的を達成するために、吸痰管を駆動する2本のローラを、吸痰管挿入孔の中心軸を挟む平行な2枚のローラ平面と該吸痰管挿入孔の中心軸を含み該2枚のローラ平面に直交する第2の吸痰管軸平面との交線の垂線に対し、一方のローラ面のローラ回転軸は正の鋭角をなし、他方のローラ面のローラ回転軸は負の鋭角を成すように構成した.
【0021】
また、吸痰管外壁面を粗面とした。
【0022】
また、ローラの吸痰管に対向する部分の外周にローラ回転軸に直交するV字型溝を設け、吸痰管との接触が両ローラのV字型溝の各側面の4点で生じるようにすると共に、吸痰管を2方向から圧迫変形させることによって接触力の増加とそれに伴う駆動力の増加を図った.
【0023】
このように構成したので、吸痰管にはその軸方向の送りと同時に回転の動きが与えられるようになり、この二つの動きの組合せによって、吸痰管の先端が気管カニューレの曲がり部内壁面に突き当たったときその突き当たりを解消すること、吸痰管外壁面と気管カニューレ内壁面が接触して吸着が発生しかかったときその接触を解消することができるようになった.
【0024】
また、吸痰管外壁面を粗面としたので、気管カニューレ内壁面との吸着が軽減できるようになった。
【0025】
また、溝なしのローラと比較して、ローラ面と吸痰管との接触が2点から4点に増加したこと、および吸痰管の変形形状が楕円型から矩形になって接触力が増加したことにより、上記突き当たり及び接触の解消に十分な駆動力を得ることができるようになった.
【0026】
前記従来例特願2004−369640では吸引装置の気液分離瓶に連なる接続管に吸痰管を直接接続し、かつ吸痰管をその内部に囲繞する吸痰管防護袋を設け、該吸痰管防護袋の末端を吸痰管駆動機構の根元側接続口に気密に接続し、根元端を吸痰管に気密に接続している。一方、本発明では前記第1の目的を達成するために吸痰管に送りと回転の二つの動きを与えるので、固定されている気液分離瓶の接続管に吸痰管を直接接続すると吸痰管がねじれてしまう困難が生じる。また、吸痰管の回転を許容する回転弁を吸痰管と気液分離瓶の接続管との間に設けると、吸痰管防護袋がねじれてしまう困難が生じる。
【0027】
本発明ではこれらの困難を解消するために、吸痰管を囲繞する吸痰管保護管を設け、該吸痰管保護管の末端を吸痰管駆動機構の根元端に気密に接続し、根元端を気液分離瓶の接続管に気密に接続した。そして、吸痰管駆動機構の根元端の開口部から挿抜される吸痰管が該吸痰管保護管内で自由に回転および軸方向の移動ができるようにした。
【0028】
このように構成したので、吸痰管を外部から隔離して、分泌物の外部への拡散と外部の物質の気管内部への侵入を防ぐと同時に、吸痰管の軸方向の送りと回転運動を許容できるようになった。吸引時には吸引装置の動作によって低下する吸痰管保護管内の低圧によって、気管内の分泌物の吸引が従来通りできる。
【0029】
一方、吸痰管保護管を設けたために、(1)吸痰管を挿入方向に起動する際、吸痰管保護管の湾曲部内側内壁面に吸痰管外壁面が吸着する、(2)吸痰管を引き抜く際、吸痰管保護管の湾曲部外側内壁面に吸痰管外壁面が吸着するなどの吸痰管と吸痰管保護管との吸着現象が発生する.これらの現象が発生すると、吸痰管に過大な軸方向の力がかかり、(1)ローラと吸痰管の間で滑って駆動ができない、(2)ローラを駆動するモータの回転数が低下して、挿抜に時間がかかる、などの新たな障害が発生し、新たな課題として、吸痰管と吸痰管保護管との吸着に起因するこれらの不具合を解消し、吸痰管の挿抜をスムーズに行えるようにする必要が生じる.
【0030】
前記第2の目的を達成するために、本発明ではさらに吸痰管外壁面および吸痰管保護管内壁面を粗い表面とした.
【0031】
このように構成することによって、吸痰管保護管内壁面と吸痰管外壁面の吸着が解消され、吸痰管の滑らかな挿抜が可能になった.
【0032】
また、吸痰管保護管の中央部の洗浄剤吹き込み孔から吸痰管保護管洗浄液もしくはそのミストを供給し、一方、吸痰管保護管の末端付近の吸痰管駆動機構の根元端に接続される接続端よりもわずかに吸痰管保護管の根元端寄りに、もしくは吸痰管駆動機構の吸痰管挿入孔の末端側もしくは吸痰管駆動機構のセンサ設置部の末端側に、洗浄剤吸出し孔を設け、そこから前記洗浄剤を吸い出すようにした。
【0033】
これによって、吸痰管保護管あるいは吸痰管が通過する吸痰管駆動機構の吸痰管挿入孔あるいはセンサ設置部内面を洗浄剤で洗浄できるようになったので、吸痰管保護管内部を清潔に保つとともに、吸痰管保護管内面あるいは吸痰管挿入孔あるいはセンサ設置部に付着した粘度の高い分泌物による吸痰管と吸痰管保護管などとの吸着が軽減され、吸痰管をスムーズに挿抜できるようになった。
【0034】
前記第3の目的を達成するために,吸痰管駆動機構と吸痰管保護管および吸痰管との3要素を吸痰管駆動アセンブリとして構成し,該吸痰管駆動アセンブリの外部機構との接続部を取り外し、取り付け容易に構成し、吸痰管駆動アセンブリ単位での製作・包装・供給・保管・廃棄ができるようにした。
【0035】
このようにすることによって,吸痰管を外部から隔離して分泌物の外部への拡散と外部の物質の気管内部への侵入を防ぐとともに,分泌物に触れなおかつ清浄化困難な構成部分を事前には清潔に製作・包装・供給・保管し,短期の使用後には安全、容易に廃棄,交換できるようになった。
【0036】
前記第4の目的を達成するために、前記吸痰管駆動機構の内部の圧力が外部の圧力よりも低いときには開放され、内部の圧力が外部の圧力よりも高いときには閉止される逆止め弁を吸痰管駆動機構の側壁に設けた。
【0037】
このようにすることによって、気管内の圧力が過度に負圧になるのを防止でき、自発呼吸との識別が可能になった。
【0038】
前記第4の目的を達成するための第2の手段として、前記吸痰管駆動機構にその内部の圧力を検出する圧力センサを設け、吸引中に気管内圧が負圧になっている期間中は吸引装置に連なる開閉弁を閉鎖して、吸引を中断するようにした。
【0039】
このようにすることによって、自発呼吸以外には気管内圧が過度の負圧になることはなくなった。
【発明の効果】
【0040】
請求項1により、吸痰管を回転させながら挿抜できるようになったので、吸痰管が気管カニューレの曲がり部内壁面に突き当たったときその突き当りを解消すること、及び吸痰管の外壁面と気管カニューレの内壁面が接触して吸着が発生しかかったときその接触を外すことが、従来公知例特願2004-369640と変わらぬ大きさ及び重量の吸痰管駆動機構でできるようになった。
【0041】
請求項2により、吸痰管の外壁面と気管カニューレの内壁面との吸着が軽減され、吸痰管に過大な軸方向の圧縮力がかかって発生する吸痰管の座屈等の不具合が防止できるようになった。
【0042】
請求項3により、吸痰管断面積を減少させることなくローラコマと吸痰管の接触力を増加させることができたので、吸痰管の回転力を強くすることができ、吸痰管と気管カニューレの吸着および吸痰管と吸痰管保護管の吸着を従来よりも確実に解消できるようになった.
【0043】
請求項4により、気管からの分泌物の外部への飛散及び外部の物質の気管内部への侵入を防止しつつ吸痰管の回転を許容できるようになった。
【0044】
請求項5により、吸痰管と吸痰管保護管の吸着を防止できるようになった。
【0045】
請求項6により、吸痰管と吸痰管保護管の吸着を防止できるようになった。
【0046】
請求項7により、気管からの分泌物の外部への飛散及び外部の物質の気管内部への侵入を防止し、かつ吸痰管を回転しつつ挿抜することが可能となった。
【0047】
請求項8により、気管からの分泌物の外部への飛散及び外部の物質の気管内部への侵入を防止するとともに、吸痰管を回転しつつ、かつ吸痰管と気管カニューレとの吸着を軽減しつつ挿抜することが可能になり、請求項7におけるよりも安定した挿抜が可能になった。
【0048】
請求項9により、吸引中に気管内圧が過度の負圧になるのを防止できた。
【0049】
請求項10により、吸引中の過度の負圧発生のみを防止し、その他の待機中および吸痰管を挿入中などにおける自発呼吸による負圧発生は許容できるようになった。
【0050】
請求項11により、吸痰管挿入孔あるいはセンサ設置部内面と吸痰管との吸着を防止できるようになった。
【0051】
請求項12により、清潔な自動吸痰作業が容易に、確実に実現出来るようになった.
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下に複数の実施例を示す。
【実施例1】
【0053】
図1は本発明による吸痰管駆動装置及び吸痰装置の第1の実施例である.
【0054】
患者1の気管2に装着された気管カニューレ200の根元端202に吸痰管駆動機構500の多分岐管部410の末端側取り付け部411を接続する.多分岐管部410の換気分枝412には換気ホース413を介して図示されていない人工呼吸器400を接続する.また、換気分枝412には気管2内が負圧になったとき開口する逆止め弁570および逆止め弁通気口571を設けている。
【0055】
多分岐管部410の吸引分枝414は吸痰管送り機構部510に連なっており、多分岐管部410と吸痰管送り機構部510は一体に成形されている.
【0056】
吸痰管送り機構部510の詳細は後に説明するので、図1にはその中央断面のみを示す.
【0057】
吸痰管送り機構部510のローラ520Aと520Bは軸継ぎ手625Aと625Bおよび柔軟軸620Aと620Bを介してローラ駆動装置600に接続されて駆動され、吸痰管300を挿抜する。さらにローラ駆動装置600は制御器800によってその起動・停止及び正・逆回転を制御される。このローラ駆動系の構成は従来例特願2004−369640に示されている公知例の技術で実現可能である。
【0058】
吸痰管300の外壁面はサンドペーパで50S程度の粗さに仕上げている。
【0059】
なお、ローラ520Aと520B及び軸継ぎ手625Aと625Bとのそれぞれの結合が意図せずに外れないように、ばね製のストッパ626Aと626Bが設けられている。
【0060】
吸痰管送り機構部510の根元側にはセンサ設置部700が設けられ、該センサ設置部700を通過する吸痰管300の挿入限界マーク320及び抜き出し限界マーク321を検出し、該検出信号に基づく制御器800の指令により、吸痰管300の起動停止、吸引源1010の起動停止、開閉弁1002の開閉を制御する。
【0061】
センサ設置部700のさらに根元側には吸痰管保護管取り付け部558が設けられ、吸痰管保護管の末端581が気密に接続されている.吸痰管保護管取り付け部558の吸痰管挿入孔551には吸痰管300がその末端301から挿入されており、吸痰管の根元端302側は吸痰管保護管580内に無拘束で挿入されている.吸痰管保護管の根元端582は気液分離瓶900に連通している中継管590の接続管591に気密に接続されている.すなわち、吸痰管保護管580は吸痰管300を気密に、かつその内部で回転自在でさらに軸方向にも移動できるように囲繞している。
【0062】
また、吸痰管保護管曲がりの内側内壁面583及び吸痰管保護管曲がりの外側内壁面584は高低差0.1mm、ピッチ0.3mm程度の均一な粗さに仕上げられている。図1に示した粗さは誇張して示したものである。
【0063】
気液分離瓶900にはさらに、吸引管1000、吸引管1000の途中に設けられている開閉弁1002を経て、吸引源1010が接続されており、この部分の構成は前記従来例特願2004-369640で公知である.
【0064】
図2は吸痰管駆動機構500の筐体550を示しており、最下部の多分岐管部410から上部に向けて吸痰管送り機構部筐体530、センサ設置部700及び吸痰管保護管取り付け部558が順に設けられ、これらが一体に成形されている.
【0065】
また、吸痰管保護管取り付け部558には、前記吸痰管挿入孔551が開口しており、ここから吸痰管300を挿入して前記多分岐管部410を通して、前記気管カニューレ200にまで到達させることができる。
【0066】
また、吸痰管送り機構部筐体530にはローラ設置孔531Aと531Bとが次のような角度で設けられている。いま、前記吸痰管挿入孔の中心軸552を含む吸痰管軸平面553と、その両側に前記吸痰管300の外径の1.1倍ずつ離れ、かつ吸痰管軸平面553に平行なローラ平面554Aと554Bとを仮想し、さらに、該吸痰管軸平面553に垂直でかつ吸痰管挿入孔の中心軸552を含む第2の吸痰管軸平面555を仮想して、該第2の吸痰管軸平面555と前記ローラ平面554Aと554Bとの交線を仮想軸線556Aおよび556Bとする.そして、前記ローラ設置孔531Aの中心軸線532Aはローラ平面554A内において仮想軸線556Aの垂線557Aに対しー20度傾くように、一方、ローラ設置孔531Bの中心軸線532Bはローラ平面554B内において仮想軸線556Bの垂線557Bに対し+20度傾くように、ローラ設置孔531Aと531Bとが設けられている。
【0067】
ローラ設置孔531Aと531Bには後述のローラ520Aと520Bをそれぞれ取り付ける。したがって、設置状態においては、ローラ設置孔の中心軸線532Aと532Bはローラ軸521Aと521Bの中心線であるローラ回転軸522Aと522Bとにそれぞれ一致する。
【0068】
図3は吸痰管駆動機構筐体550の前記ローラ平面554Aにおける断面を図2のA−A方向に見た図である.前記のように仮想軸線の垂線557Aに対し、ローラ設置孔の中心軸線532Aをー20度傾けている.ローラ設置孔の先端側軸受け孔533Aが後述の先端ローラ軸受け523Aを嵌合する段差部であり、大径部534Aが後述のローラコマ524Aが格納される空所であり、ブッシュ嵌合部535Aが後述のブッシュ540Aを嵌合する段差部である.他方のローラ設置孔の中心軸線532Bはローラ平面554B内に於いて仮想軸線の垂線557Bに対して+20度傾いているが、その他の構造はローラ設置孔531Aと同様なので、図示は省略する.
【0069】
図4は吸痰管駆動機構筐体550の前記吸痰管軸平面553における断面を図2のA−A方向から見た図である。吸痰管300が挿入された状態を示しており、センサ設置部700には吸痰管300を挟んで発光ダイオード701と受光フォトトランジスタ705を取り付け、吸痰管300に印刷された挿入限界マーク320及び抜き出し限界マーク321の通過を検出する。
【0070】
発光ダイオード701と受光フォトトランジスタ705は隔壁A703および隔壁B704によって、吸痰管挿入孔551から隔離されている。
【0071】
図5はローラ520の側面図である.ローラ520Aおよび520Bの構造は同一なので、区別せずローラ520と表記する.ローラ軸521には先端ローラ軸受け523,ローラコマ524,継ぎ手側ローラ軸受け525が取り付けられ、さらに前記軸継ぎ手625との嵌合のための半円形軸部526と後述する軸継ぎ手625の抜け防止のためのストッパ626と噛み合うスリット527とが設けられている.ブッシュ貫通部529は後述するローラ軸貫通孔543と対向する部分である。
【0072】
ローラコマ524はローラ軸521に固着して、回動しないようにしている.
【0073】
ローラコマ524の円周にはローラ回転軸522に直交する開き角度90度のV字型溝528を設けている。
【0074】
図6は二本のローラ520Aおよび520Bが前記した互いに平行な仮想されたローラ平面554Aおよび554B内でその軸線がそれぞれー20度及び+20度の角度で対向して取り付けられた状態において、ローラコマ524Aと524Bが吸痰管300を挟んで対向している状態を示している。二本のローラのV字型溝528Aと528Bが対向する部分で、図6に示す面間距離aが吸痰管外径の75%の正方形空所が形成され、該空所に吸痰管300が押しつぶされて挟まれ、二本のローラを互いに逆方向に回転することにより、駆動される。面間距離は広すぎると駆動力が小さくなり、狭すぎると駆動動力が大きくなりすぎるし、また吸痰管300の流路面積が狭くなってしまうので好ましくない。適当な値は吸痰管外径の60から80%程度である。
【0075】
図7はブッシュ540の断面図である。ブッシュ540Aと540Bおよびその関連部の形状は構造が同一なのでA,Bは省略して表記する.ブッシュ540はその斜めのブッシュ外表面541が図2および3に示している吸痰管駆動機構筐体550の蓋取り付け面537と一致するようにブッシュ嵌合部535に挿入される。
【0076】
ブッシュ段差部542に継ぎ手側ローラ軸受け525を嵌合する。ローラ軸貫通孔543はローラ軸521のブッシュ貫通部529が貫通する部分である。
【0077】
図8は押さえ蓋560で、前記蓋取り付け面537に取り付けて、ブッシュ540を固定する。押さえ蓋スリット561Aと561Bは押さえ蓋560を蓋取り付け面537に取り付ける際、ローラ軸521Aと521Bを通すための通路である。
【0078】
以上述べた第1の実施例において,図9に示したように吸痰管300、吸痰管保護管580及び吸痰管駆動機構500(吸痰管保護管取り付け部558、センサ設置部700(発光ダイオード701、受光フォトトランジスタ705を含む)、吸痰管送り機構部510(吸痰管送り機構部筐体530、ローラ520A、520B、ブッシュ(図示断面外のため、図9には示されていない)540A,540Bおよび押さえ蓋560を含む)を含む)及び多分岐管部410は一体組み立て品として製造し,滅菌処理後密封して供給する.該一体組み立て品を以後吸痰管駆動アセンブリ1100と称することにする.
【0079】
つぎに、本実施例の動作を説明する.
【0080】
図1において、患者1が気管カニューレ200を取り付けた状態にあるとき、吸痰管駆動アセンブリ1100を密閉袋から取り出し、末端側取り付け部411を気管カニューレの根元端202に接続する。また、吸痰管保護管の根元端582を接続管591に接続する。
【0081】
つぎに多分岐管部410の換気分枝412に人工呼吸器400の換気ホース413を接続し人工呼吸器400による換気を行う.
【0082】
この状態では開閉弁1002は閉じているので、人工呼吸器400からの換気は吸引源1010に吸引されず、通常の換気が開始され、継続される。
【0083】
さらに、ローラ520Aと520Bに軸継ぎ手625Aと625Bを接続し、ストッパ626Aと626Bをスリット527Aと527Bにそれぞれセットする。制御器800と発光ダイオード701および受光フォトトランジスタ705をセンサ電気信号線710で接続する。また、制御器800およびローラ駆動装置600の電源を投入し、吸痰管300を待機状態にセッティングする。
【0084】
待機状態では、吸痰管300の抜き出し限界マーク321はセンサ設置部700よりも末端側に位置し、吸痰管の末端301は予め設定されている望ましい位置、すなわち多分岐管部410の換気分枝412よりも根元側の人工呼吸器400による換気を妨げない位置にセットされる.
【0085】
患者1または介護者が自動吸痰装置に吸痰作業の開始指令を与えた後、あるいは患者1のモニタが吸引の必要を検出し自動吸痰作業の開始を指令した後、あるいは前回の自動吸痰作業の終了から所定の時間が経過した後の自動吸痰装置の動作は、次の通りである.(1)まず吸痰管300を挿入方向に駆動する.(2)挿入限界マーク320がセンサ設置部700を通過したら、直ちにローラ駆動装置600を停止し、(3)吸引源1010を起動する。次に(4)ローラ駆動装置600を逆転方向に起動し、吸痰管300を抜き出し方向に駆動する。同時に(5)開閉弁1002を開放し、吸引を開始する.(6)挿入限界マーク320がセンサ設置部700を通過したら、ローラ駆動装置600を停止する。すなわち、吸痰管300が停止した状態で吸引する。(7)約1秒経過したら、ローラ駆動装置600を逆転方向に起動し、吸痰管300を抜き出し方向に駆動する.(8)抜き出し限界マーク321がセンサ設置部700を通過したら、開閉弁1002を閉にすると同時に(9)ローラ駆動装置を停止し、吸痰管300の引抜きを終了する。(10)さらに、再び吸痰管300を挿入方向に駆動し、抜き出し限界マーク321がセンサ設置部700を通過したら、ローラ駆動装置600を停止し、前記待機状態に戻る.
【0086】
上記(1)から(10)までの動作を1回のみで終了する場合もあるが、多くの場合は数秒の間隔をおいて2乃至3回繰り返し、1連の自動吸痰作業を終了する。そして、上記(10)終了時の待機状態で次の自動吸痰開始指令まで待機する.
【0087】
上記の動作において、2本のローラ520Aと520Bは吸痰管挿入孔の中心軸552に垂直な方向に対して、図2に示したように、−20度と+20度傾いており、かつ吸痰管300はローラコマ524Aと524Bに図6のようにはさまれているので、ローラ520Aと520Bが互いに逆方向に回転すると、吸痰管300はその軸方向に送られると同時に回転する。すなわち、本実施例において、吸痰管300は回転しながら挿抜される。
【0088】
このとき、吸痰管300は吸痰管保護管580の内部で自由に回転しながら移動する。
【0089】
上記の動作において、吸痰管300の挿入限界マーク320及び抜き出し限界マーク321がセンサ設置部700を通過することは図4に示した発光ダイオード701から放射された赤外線を上記2種のマークが遮断し、受光フォトトランジスタ705による該赤外線の受光を妨げることによって検出される。
【0090】
吸痰作業において、吸痰管300がセンサ設置部700を通過すると、吸痰管300に付着した分泌物が発光ダイオード701及び受光フォトトランジスタ705の間にも付着する。このとき、隔壁A703及び隔壁B704はこれらの分泌物が発光ダイオード701及び受光フォトトランジスタ705のレンズ部に直接付着して、両者の光学的性能が変化するのを防止する。
【0091】
吸引中に気管内圧が負圧になろうとするときは、逆止め弁570が開いて逆止め弁通気口571から大気が流入し、気管内圧が負圧になることを防止する。気管内圧が負圧になろうとするのは開閉弁1002を開いて分泌物を吸引中で、かつ人工呼吸器400による換気が呼気モードになったときである。
【0092】
自動化吸痰器は次の手順で取り外す。(1)吸痰管300が待機位置にあり、開閉弁1002が閉であることを確認する。(2)ローラ520Aと520Bからストッパ626Aと626Bおよび軸継ぎ手625Aと625Bを外す。(3)センサ電気信号線710をセンサ設置部700から外す。(4)換気分枝412から換気ホース413を外す。(5)新しい多分岐管に換気ホース413を接続する。(6)多分岐管部410の末端側取り付け部411を気管カニューレの根元端202から外す。(7)新しい多分岐管を気管カニューレの根元端202に接続し、換気を開始する。(8)吸痰管保護管の根元端582を接続管591から外す。(9)他との接続がすべて外された吸痰管駆動アセンブリ1100を廃棄する、あるいは洗浄・滅菌処理の後次回の使用に備えて密封・保管する。
【実施例2】
【0093】
以上説明した第1の実施例では吸引中に気管内圧が負圧になろうとするとき、逆止め弁570が開いて大気を導入した。しかし、逆止め弁570が常時作動すると、吸引中以外の時期に患者1の自発呼吸機能が回復して気管内圧が負圧になったときにも、その機能回復を検知出来ずに人工呼吸を続けてしまう恐れがある。
【0094】
そこで第2の実施例では図10のように換気分枝412に圧力センサ575を設け、その出力を制御器800で読み取るようにした。そしてその出力があらかじめ設定しておいた第1の負圧よりも低い圧力を示した場合、もしそれが吸引中であれば開閉弁1002を閉じ、一定時間経過後、もしくはあらかじめ設定しておいた第2の圧力よりも上昇したら開閉弁1002を開くようにした。もし、吸引以外の時期であれば放置して、人工呼吸器400による処置に委ねるようにした。
【実施例3】
【0095】
以上説明した第1及び第2の実施例では、粘度の高い分泌物を吸引した場合吸痰管300に付着した分泌物が吸痰管300の引き抜きに伴って吸痰管駆動機構500のセンサ設置部700や吸痰管挿入孔551、吸痰管保護管580の内壁に付着・蓄積し、さらに該付着分泌物が時間の経過とともに乾燥・濃縮されさらに粘度が高まることが観察された。それによって、吸痰管300の動きが遅くなって挿入限界マーク320や抜き出し限界マーク321の検出を誤ったり、吸痰管300とセンサ設置部700、吸痰管挿入孔551あるいは吸痰管保護管580との吸着が発生したり、あるいは吸痰管保護管580の内面が汚れたりすることがあった。
【0096】
そこで、第3の実施例では図11のようにミスト状液体を製造・供給する洗浄剤吹き込み装置1200からの洗浄剤供給管1201を接続する供給管接続口1210ならびに洗浄剤を噴出する洗浄剤吹き込み孔1211を吸痰管保護管580の中央部に設けて、該洗浄剤吹き込み孔1211からのミストによって、吸痰管保護管580の内面を洗浄できるようにした。
【0097】
また、吸痰管保護管の末端581の吸痰管保護管取り付け部558との接続部分のすぐ根元端側には洗浄剤吸出し孔1231および吸出し管接続口1230を設け、該吸出し管接続口1230に接続した洗浄剤吸出し管1221を洗浄剤分離瓶225、吸引源接続管1227及びその途中に設けた洗浄剤吸引開閉弁1226を経て吸引源1010に接続して、前記洗浄剤を吸い出し・回収した。
【0098】
前記した1乃至3回程度の一連の吸痰動作を終了した後、洗浄剤吹き込み装置1200を作動させ、前記洗浄剤吹き込み孔1211から洗浄剤を噴出させて吸痰管保護管580内面を洗浄するとともに、吸引源1010及び洗浄剤吸引開閉弁1226を作動させて、液状化した洗浄剤ミストを吸い出す。
【0099】
これによって、吸痰管保護管580内部における分泌物の蓄積を防ぎ、吸痰管保護管580内部を清浄に保つことができるようになった。
【実施例4】
【0100】
第4の実施例では図12のように、洗浄剤吸出し孔1231及び吸出し管接続口1230を吸痰管保護管取り付け部558の末端側に設けた。この位置に取り付けることにより、吸痰管挿入孔551の洗浄も可能になり、吸引作業と吸引作業の間の休止期間に吸痰管300が吸痰管挿入孔551に吸着することがなくなった。
【実施例5】
【0101】
第5の実施例では図13のように、洗浄剤吸出し孔1231及び吸出し管接続口1230をセンサ設置部700の末端側に設けた。この位置に取り付けることにより、吸痰管挿入孔551ならびにセンサ設置部700の内面の洗浄も可能になり、吸引作業と吸引作業の間の休止期間に吸痰管300が吸痰管挿入孔551及びセンサ設置部700に吸着することがなくなった。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】は本発明の第1の実施例の吸痰装置の全体構成を示す立面図である.
【図2】は図1中の吸痰管駆動機構筐体550の鳥瞰図である。
【図3】は吸痰管駆動機構筐体550のローラ平面554Aにおける断面を図2のA−A方向から視た断面図である。
【図4】は吸痰管駆動機構筐体550の吸痰管軸平面553における断面を図2のA−A方向から視た断面図である。
【図5】はローラ520の側面図である。
【図6】は対向して配置された2個のローラコマ524Aと524Bで形成される正方形空所に挟まれた吸痰管300の断面を示す説明図である。
【図7】はブッシュ540の断面図である。
【図8】は押さえ蓋560の鳥瞰図である。
【図9】は吸痰管駆動アセンブリ1100の断面図である。
【図10】は第2の実施例の吸痰装置の全体構成を示す立面図である.
【図11】は第3の実施例の吸痰管保護管580内面の洗浄装置類の構成を示す説明図である。
【図12】は第4の実施例の吸痰管保護管580内面の洗浄装置類の構成、とくに洗浄剤吸出し孔1231の位置を説明する説明図である。
【図13】は第5の実施例の吸痰管保護管580の内面の洗浄装置類の構成、とくに洗浄剤吸出し孔1231の位置を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0103】
1 患者
2 気管
200 気管カニューレ
202 気管カニューレの根元端
300 吸痰管
301 吸痰管の末端
302 吸痰管の根元端
320 挿入限界マーク
321 抜き出し限界マーク
400 人工呼吸器
410 多分岐管部
411 末端側取り付け部
412 換気分枝
413 換気ホース
414 吸引分枝
500 吸痰管駆動機構
510 吸痰管送り機構部
520A、520B ローラ
521A、521B ローラ軸
522A、522B ローラ回転軸
523A、523B 先端ローラ軸受け
524A、524B ローラコマ
525A、525B 継ぎ手側ローラ軸受け
526A、526B 半円形軸部
527A、527B スリット
528A、528B V字型溝
529A、529B ブッシュ貫通部
530 吸痰管送り機構部筐体
531A、531B ローラ設置孔
532A、532B ローラ設置孔の中心軸線
533A、533B ローラ設置孔の先端側軸受け孔
534A、534B 大径部
535A、535B ブッシュ嵌合部
537A、537B 蓋取り付け面
540A、540B ブッシュ
541A、541B ブッシュ外表面
542A、542B ブッシュ段差部
543A、543B ローラ軸貫通孔
550 吸痰管駆動機構筐体
551 吸痰管挿入孔
552 吸痰管挿入孔の中心軸
553 吸痰管軸平面
554A、554B ローラ平面
555 第2の吸痰管軸平面
556A、556B 仮想軸線
557A、557B 仮想軸線の垂線
558 吸痰管保護管取り付け部
560 押さえ蓋
561A、561B 押さえ蓋スリット
570 逆止め弁
571 逆止め弁通気口
575 圧力センサ
580 吸痰管保護管
581 吸痰管保護管の末端
582 吸痰管保護管の根元端
583 吸痰管保護管曲がりの内側内壁面
584 吸痰管保護管曲がりの外側内壁面
590 中継管
591 接続管
600 ローラ駆動装置
620A、620B 柔軟軸
625A、625B 軸継ぎ手
626A、626B ストッパ
700 センサ設置部
701 発光ダイオード
703 隔壁A
704 隔壁B
705 受光フォトトランジスタ
710 センサ電気信号線
800 制御器
900 気液分離瓶
1000 吸引管
1002 開閉弁
1010 吸引源
1100 吸痰管駆動アセンブリ
1200 洗浄剤吹き込み装置
1201 洗浄剤供給管
1210 供給管接続口
1211 洗浄剤吹き込み孔
1220 洗浄剤吸出し装置
1221 洗浄剤吸出し管
1225 洗浄剤分離瓶
1226 洗浄剤吸引開閉弁
1227 吸引源接続管
1230 吸出し管接続口
1231 洗浄剤吸出し孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸痰管を気管内に挿入して吸引を行う吸痰装置の吸痰管駆動機構の吸痰管送り機構であって、2本のローラの間に吸痰管を通し、該2本のローラを互いに逆方向に回転させることによって吸痰管を気管内に挿入及び気管内から抜き取る方式の吸痰管送り機構において、吸痰管挿入孔の中心軸を挟む平行な2枚のローラ平面と該吸痰管挿入孔の中心軸を含み該2枚のローラ平面に直交する吸痰管軸平面との交線の垂線に対し、一方のローラ面のローラ回転軸は正の鋭角をなし、他方のローラ面のローラ回転軸は負の鋭角を成していることを特徴とする吸痰管送り機構
【請求項2】
吸痰管を気管内に挿入して吸引を行う吸痰器の吸痰管駆動機構の吸痰管であって、その外壁面が粗面になっていることを特徴とする吸痰管
【請求項3】
第1項記載の吸痰管送り機構において、該吸痰管送り機構のローラはその吸痰管に対向するローラコマ部分の外周にローラ回転軸に直交するV字型溝を有しているローラであることを特徴とする吸痰管送り機構
【請求項4】
吸痰管貫通孔を有する吸痰管駆動機構の根元側接続口にその一端が気密に接続され、他端が吸引装置に連なる接続管に気密にかつ着脱容易に接続されている吸痰管保護管であって、その内部において吸痰管が自在に回転及び移動できるように吸痰管を囲繞していることを特徴とする吸痰管保護管
【請求項5】
第4項記載の吸痰管保護管において、その内壁面が粗面になっていることを特徴とする吸痰管保護管
【請求項6】
第4項記載の吸痰管保護管において、吸痰管保護管の末端の吸痰管駆動機構の吸痰管取り付け部との接続に使用される部分よりも根元端側に洗浄剤吸出し孔ならびに吸出し管接続口を有し、あるいはさらに該吸痰管保護管の末端と吸痰管保護管の根元端との中間付近に洗浄剤吹き込み孔ならびに供給管接続口を有することを特徴とする吸痰管保護管
【請求項7】
吸痰管を気管内に挿入して吸引を行う吸痰器の吸痰管駆動アセンブリにおいて、第1項もしくは第3項記載の吸痰管送り機構と第4項もしくは第5項もしくは第6項記載の吸痰管保護管を有することを特徴とする吸痰管駆動アセンブリ
【請求項8】
第2項記載の吸痰管を使用することを特徴とする第7項記載の吸痰管駆動アセンブリ
【請求項9】
吸痰管を気管内に挿入して吸引を行う吸痰器の吸痰管駆動アセンブリにおいて、該吸痰管駆動アセンブリの内部と外気との間に内部の圧力が負圧のときには開放となり、正圧のときには閉鎖となる逆止め弁を有することを特徴とする吸痰管駆動アセンブリ
【請求項10】
吸痰管を気管内に挿入して吸引を行う吸痰器の吸引装置であって、吸痰管保護管の根元端と吸引源との間に開閉弁が設置されている吸引装置において、該吸引装置の吸痰管送り機構が吸痰管を引き抜き方向に駆動している条件下において、気管内圧があらかじめ設定された第1の設定圧力より低下したときは該開閉弁を閉じ、圧力があらかじめ設定された第2の設定圧力よりも上昇したときは該開閉弁を開くことを特徴とする吸引装置
【請求項11】
吸痰管を気管内に挿入して吸引を行う吸痰装置の吸痰管駆動機構であって吸痰管挿入孔を有する吸痰管保護管取り付け部を有する吸痰管駆動機構において、該吸痰管取り付け部末端の気管カニューレ側に洗浄剤吸出し孔ならびに吸出し管接続口を有することを特徴とする吸痰管駆動機構
【請求項12】
気管カニューレに人工呼吸器とともに装着して痰を吸引・除去する吸痰装置であって、第1項記載の吸痰管送り機構、第2項記載の吸痰管、第3項記載の吸痰管送り機構、第4項記載の吸痰管保護管、第5項記載の吸痰管保護管、第6項記載の吸痰管保護管、第7項記載の吸痰管駆動アセンブリ、第8項記載の吸痰管駆動アセンブリ、第9項記載の吸痰管駆動アセンブリ、第10項記載の吸引装置、第11項記載の吸痰管駆動機構の少なくとも一つ以上を備えたことを特徴とする吸痰装置.

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−73060(P2008−73060A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250965(P2006−250965)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(399026317)
【出願人】(504469455)
【Fターム(参考)】