吸発熱ユニットおよびその熱利用方法
【課題】廃熱を長期間保存可能に蓄熱し、蓄熱した熱を利用する際に投入した熱よりも高温の熱を任意の位置で利用できるようにする。
【解決手段】化学蓄熱材16の水和発熱反応により反応生成物を生成する放熱過程、および反応生成物の脱水吸熱反応によって化学蓄熱材16と水蒸気とを生成する蓄熱過程を有する反応部11と、化学蓄熱材16との間で水を授受する水タンク12と、水タンク12と反応部11の間に設けられ水タンク12からの水と温熱源との熱交換により水タンク12からの水を水蒸気にする蒸気管13と、反応部11と水タンク12の間に設けられ反応部11からの水蒸気と冷熱源との熱交換により反応部11からの水蒸気を水にする復水管14と、蒸気管13に介設された第1弁19、および復水管14に介設された第2弁20を制御する制御部30とを備え、少なくとも反応部11を可搬なケース15に収容し反応部11をケース15の端部に配置する。
【解決手段】化学蓄熱材16の水和発熱反応により反応生成物を生成する放熱過程、および反応生成物の脱水吸熱反応によって化学蓄熱材16と水蒸気とを生成する蓄熱過程を有する反応部11と、化学蓄熱材16との間で水を授受する水タンク12と、水タンク12と反応部11の間に設けられ水タンク12からの水と温熱源との熱交換により水タンク12からの水を水蒸気にする蒸気管13と、反応部11と水タンク12の間に設けられ反応部11からの水蒸気と冷熱源との熱交換により反応部11からの水蒸気を水にする復水管14と、蒸気管13に介設された第1弁19、および復水管14に介設された第2弁20を制御する制御部30とを備え、少なくとも反応部11を可搬なケース15に収容し反応部11をケース15の端部に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸発熱ユニットおよびその熱利用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工業用炉では、省エネ対策として、レキュペレータや蓄熱バーナ等が採用され、廃熱が利用されている。いずれの装置も燃焼用空気を廃熱温度よりも低い温度で加熱するものである。この廃熱の利用は、廃ガスと熱を受け取る媒体の間で行われる熱の授受によるものであり、設備の操業中に限られる。また、蓄熱器で熱を蓄熱しても、時間が経過するにつれて冷めていくため、熱を長期間保存できない。したがって、特許文献1ないし3に開示されたバッチ式の炉において、炉内冷却時に排出される熱はそのまま廃棄するしかなかった。
【0003】
一方、特許文献4ないし6には、化学物質の吸熱・発熱反応を利用することにより、長期間の蓄熱、および系に付与する熱よりも高温の熱の獲得を実現できるケミカルヒートポンプが開示されている。
【0004】
このケミカルヒートポンプを利用して、炉の廃熱を長期間蓄熱し、高温の熱を獲得することが考えられる。そして、炉の廃熱を、当該炉以外の炉や炉以外の設備や装置に利用することが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−90361号公報
【特許文献2】特開2001−110314号公報
【特許文献3】特公平4−37155号公報
【特許文献4】特開平9−26225号公報
【特許文献5】特開2005−83656号公報
【特許文献6】特開平8−29008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、廃熱を長期間保存可能に蓄熱し、蓄熱した熱を利用する際に投入した熱よりも高温の熱を任意の位置で取り出して利用できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明の吸発熱ユニットは、化学蓄熱材の水和発熱反応により反応生成物を生成する放熱過程、および前記反応生成物の脱水吸熱反応によって前記化学蓄熱材と水蒸気とを生成する蓄熱過程を有する反応部と、前記反応部の化学蓄熱材との間で水を授受する水タンクと、前記水タンクと前記反応部の間に設けられ、前記水タンクの水と温熱源との熱交換により前記水タンクの水を水蒸気にする蒸気管と、前記反応部と前記水タンクの間に設けられ、前記反応部からの水蒸気と冷熱源との熱交換により前記反応部からの水蒸気を水にする復水管と、前記蒸気管に介設された第1弁と、前記復水管に介設された第2弁と、前記第1弁および前記第2弁それぞれの開閉を制御する制御部とを備え、少なくとも前記反応部を可搬なケースに収容し、前記反応部を前記ケースの端部に配置するようにした。
【0008】
この構成によれば、ケースの端部に配置された反応部の反応生成物に外部からの廃熱を吸熱させ脱水吸熱反応を進行させることができる。その際、第2弁を開弁することにより、反応部で生成した水蒸気を復水管に通して水に戻し、水タンクに送ることができる。そして、第2弁を閉弁することにより、廃熱を長期間保存可能に反応部で蓄熱することができる。その後、水タンクの水を蒸気管に通して水蒸気にし、第1弁を開弁することにより水蒸気を反応部の化学蓄熱材に接触させ水和発熱反応を進行させて反応部で放熱することができる。化学蓄熱材の放熱過程および蓄熱過程を有する反応部を含むケミカルヒートポンプの構成要素を収容したケースは可搬であり、第1弁および第2弁の開閉を制御部によって制御することができるので、廃熱を長期間保存可能に蓄熱し、蓄熱した熱を利用する際に投入した熱(QL)よりも高温の熱(QH)を、蓄熱した位置、またはケースを移動させて前記位置と異なる任意の位置で取り出して利用できる。
【0009】
前記温熱源は、前記水タンクと前記第1弁の間の前記蒸気管に設けられた加熱機構であり、前記冷熱源は、前記第2弁と前記水タンクの間の前記復水管に設けられた冷却機構であることが好ましい。この構成によれば、水タンクから蒸気管に移動した水を加熱機構で加熱して水蒸気にし、第1弁を開弁することにより、反応部に該水蒸気を送ることができる。また、第2弁を開弁することにより、反応部から復水管に移動した水蒸気を冷却機構で冷却して水に戻し、水タンクに送ることができる。したがって、装置を独立させることができる。
【0010】
前記水タンクと前記第1弁の間の前記蒸気管に第1熱交換部を設け、前記温熱源は前記第1熱交換部と熱交換可能に外部装置に設けられた加熱手段からの火炎または熱風であることが好ましい。この構成によれば、第1熱交換部を通じて外部装置に設けられた加熱手段からの火炎または熱風と水タンクから蒸気管に移動した水との間で熱交換することができる。内部に加熱機構を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。加熱手段からの火炎または熱風を利用してケミカルヒートポンプを作動させることができる。
【0011】
前記ケースは炉の内部に装入されるもので、前記温熱源は前記炉の内部のガスであり、前記炉の内部のガスと熱交換可能に前記水タンクと前記第1弁の間の前記蒸気管に配置された第1熱交換部を備えることが好ましい。この構成によれば、第1熱交換部を通じて炉の内部のガスと水タンクから蒸気管に移動した水との間で熱交換することができる。温熱源として炉の内部のガスを利用できる。
【0012】
前記第2弁と前記水タンクの間の前記復水管に第2熱交換部を設け、前記冷熱源は前記第2熱交換部と熱交換可能に外部装置に設けられた冷却手段からの冷風であることが好ましい。この構成によれば、第2熱交換部を通じて外部装置に設けられた冷却手段からの冷風と復水管から水タンクに移動する水蒸気との間で熱交換することができる。内部に冷却機構を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。冷熱源として外部装置に設けられた冷却手段からの冷風を利用し、ケミカルヒートポンプに蓄熱することができる。
【0013】
前記ケースは炉の内部に装入されるもので、前記温熱源は前記水タンクと対向するように前記炉に設けられた加熱手段であることが好ましい。この構成によれば、第1熱交換部が不要となり、設備を簡略化できる。
【0014】
前記ケースに設けられ、冷却媒体が供給される供給口と、前記供給口から供給され前記第2熱交換部で熱交換した前記冷却媒体が排出される排出口とを有する外部供給流路と、前記ケースに連結され、前記外部供給流路の供給口に前記冷却媒体を供給する冷却媒体供給部とを備えることが好ましい。この構成によれば、復水管から水タンクに移動する水蒸気と第2熱交換部を通じて熱交換する冷却媒体をケースの供給口から外部供給流路に供給することができる。内部に冷却機構を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。また、外部の冷却媒体を利用することができる。そして、第2熱交換部で熱交換した後の冷却媒体を排出口から排出して冷却に利用できる。また、装置を独立させることができる。
【0015】
前記課題を解決するための手段として、本発明の吸発熱ユニットの熱利用方法は、化学蓄熱材の水和発熱反応により反応生成物を生成する放熱過程、および前記反応生成物の脱水吸熱反応によって前記化学蓄熱材と水蒸気とを生成する蓄熱過程を有する反応部と、前記反応部の化学蓄熱材との間で水を授受する水タンクと、前記水タンクと前記反応部の間に設けられ、前記水タンクの水と温熱源との熱交換により前記水タンクの水を水蒸気にする蒸気管と、前記反応部と前記水タンクの間に設けられ、前記反応部からの水蒸気と冷熱源との熱交換により前記反応部からの水蒸気を水にする復水管と、前記蒸気管に介設された第1弁と、前記復水管に介設された第2弁と、前記第1弁および前記第2弁それぞれの開閉を制御する制御部とを備え、少なくとも前記反応部を可搬なケースに収容し、前記反応部を前記ケースの端部に配置した吸発熱ユニットを設け、前記反応部を加熱工程および冷却工程を有する炉の内部に位置するように前記ケースを前記炉に装入し、前記炉の冷却工程において、前記炉の廃熱により前記反応生成物の脱水吸熱反応を進行させて生成した前記水蒸気を前記復水管に通し水に戻して前記水タンクに回収し、前記水タンクから送られた水を前記蒸気管に通して発生させた水蒸気を前記反応部の化学蓄熱材と反応させることにより前記水和発熱反応を進行させて任意の位置で発熱するようにした。
【0016】
この方法によれば、炉の冷却工程で排出される熱を反応部の化学蓄熱材の生成物に蓄熱して脱水吸熱反応により化学蓄熱材と水蒸気とを生成し、該水蒸気を復水管に通し水に戻して水タンクに回収することができる。そして、水タンクの水を蒸気管に通して発生させた水蒸気を反応部の化学蓄熱材と反応させることにより水和発熱反応を進行させて任意の位置で発熱することができる。したがって、加熱に必要なエネルギーを節約することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ケースの端部に配置された反応部の反応生成物に外部からの廃熱を吸熱させ脱水吸熱反応を進行させることができる。その際、第2弁を開弁することにより、反応部で生成した水蒸気を復水管に通して水に戻し、水タンクに送ることができる。そして、第2弁を閉弁することにより、廃熱を長期間保存可能に反応部で蓄熱することができる。その後、水タンクの水を蒸気管に通して水蒸気にし、第1弁を開弁することにより水蒸気を反応部の化学蓄熱材に接触させ水和発熱反応を進行させて反応部で放熱することができる。化学蓄熱材の放熱過程および蓄熱過程を有する反応部を含むケミカルヒートポンプの構成要素を収容したケースは可搬であり、第1弁および第2弁の開閉を制御部によって制御することができるので、廃熱を長期間保存可能に蓄熱し、蓄熱した熱を利用する際に投入した熱(QL)よりも高温の熱(QH)を、蓄熱した位置、またはケースを移動させて前記位置と異なる任意の位置で取り出して利用できる。これにより、加熱に必要なエネルギーを節約することができる。また、構成要素が可搬なケースに収容されているので、移動が容易であり、扱い易さを向上させることができる。そして、設備で使用されていない既存のポート(点検用マンホール等)を利用することにより、設備を大幅に改造することなく本発明にかかる吸発熱ユニットを採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a】炉に装入された本発明の第1実施形態の吸発熱ユニットを示す図。
【図1b】本発明の第1実施形態の吸発熱ユニットの変形例を示す図。
【図2】蓄熱工程および放熱工程における化学反応を示す図。
【図3】(a)および(b)は冷却機構の一例を示す図。
【図4a】炉に装入された本発明の第2実施形態の吸発熱ユニットを示す図。
【図4b】本発明の第2実施形態の吸発熱ユニットの変形例を示す図。
【図5a】炉に装入された第3実施形態の吸発熱ユニットを示す図。
【図5b】本発明の第3実施形態の吸発熱ユニットの変形例を示す図。
【図6】本発明の第3実施形態の吸発熱ユニットの変形例を示す図。
【図7a】炉の側壁に装入した本発明にかかる吸発熱ユニットを示す図。
【図7b】炉床に装入した本発明にかかる吸発熱ユニットを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1aは、炉(外部装置)40に装入された本発明の第1実施形態の吸発熱ユニット10を示す。吸発熱ユニット10は、反応部11および水タンク12を備えている。反応部11と水タンク12の間には、蒸気管13および復水管14が設けられている。吸発熱ユニット10の各構成要素は、可搬なケース15に収容されている。ケース15には、炉40の頂部に設けられたポート41に装入する装入部15aと、ポート41より大きなフランジ部15bとが設けられている。フランジ部15bに蓋15cが取り付けられ、ケース15の内部に閉じた空間が形成されている。ポート41は、ポート41に装入された吸発熱ユニット10のケース15の端部のみが炉40の内部に位置するように形成されている。
【0021】
反応部11は、ケース15の端部に位置するように、装入部15aに配置されている。反応部11には、化学蓄熱材16が収容されている。本実施形態における化学蓄熱材16は、酸化カルシウムであるが、酸化マグネシウム等、ケミカルヒートポンプに使用されるいかなる化学蓄熱材であってもよい。酸化カルシウム16は、図2に示すように、水和する際に熱量QHを発熱(放熱)し、脱水する際に熱量QHを吸熱(蓄熱)する。反応部11では、放熱過程において、水和発熱反応により反応生成物(水酸化カルシウム)を生成し、蓄熱過程において、反応生成物の脱水吸熱反応によって酸化カルシウム16と水蒸気とを生成する。
【0022】
水タンク12は、反応部11の酸化カルシウム16との間で授受する水を収容する。具体的には、水タンク12は、酸化カルシウム16と反応させるために水を送り出し、水酸化カルシウムから生成した水蒸気を水に戻して受け入れる容器である。
【0023】
蒸気管13には、水タンク12側から順に、ポンプ17、流量調整弁46、加熱機構18、および第1弁19が介設されている。復水管14には、反応部11側から順に、第2弁20、冷却機構21、およびポンプ22が介設されている。なお、図1bのように、上から順に、冷却機構21、水タンク12、加熱機構18と並べて設置すれば、水は重力で落下するので、ポンプ17,22を不要とすることが可能である。
【0024】
加熱機構18は、水タンク12からの水が水蒸気になるように加熱する。加熱機構18としては、水中ヒータを設けて水を沸騰させるものや、ホットプレート上に水滴を落として水蒸気を得るようなものを用いることができる。
【0025】
冷却機構21は、反応部11からの水蒸気が水になるように冷却する。冷却機構21としては、図3(a)に示すように、水蒸気が流入する空間を貫通するように冷却水や冷却用空気の循環ラインを設けて水蒸気と冷却水や冷却用空気とを熱交換させる構造や、図3(b)に示すように、水蒸気が流通する管の回りに冷却水や冷却用空気を通過させて水蒸気と冷却水や冷却用空気とを熱交換させる構造から適宜選択する。
【0026】
吸発熱ユニット10には、制御部30が設けられている。制御部30は、第1弁19と第2弁20を含む吸発熱ユニット10(全体)の動作を制御する。
【0027】
本発明の第1実施形態の吸発熱ユニット10の動作について説明する。
【0028】
吸発熱ユニット10を炉40のポート41に予め装入しておき、炉40を運転する。そして、運転終了にむけて炉40を冷却する冷却工程において、吸発熱ユニット10の冷却機構21を起動し第2弁20を開弁する。そうすると、反応部11では、炉40で放熱される廃熱から熱量QHを吸熱することによって、図2(蓄熱)に示すように、水酸化カルシウムの脱水吸熱反応が進行するので、酸化カルシウム16と水蒸気とが生成される。生成した水蒸気は、冷却機構21に流入して冷却され水に戻される。この水は、ポンプ22を起動することにより、水タンク12に送られる。運転終了後、第2弁20を閉弁する。このようにして、吸発熱ユニット10は、炉40の廃熱を長期間保存可能に蓄熱することができる。
【0029】
炉40を運転する加熱工程において、吸発熱ユニット10のポンプ17、加熱機構18を起動し第1弁19を開弁する。そうすると、水タンク12の水は、流量調整弁46を通過して加熱機構18に送り出され、加熱機構18の内部で加熱され、QLを吸熱することによって水蒸気になる。そして、水蒸気は反応部11に流入し、酸化カルシウム16と反応する。そうすると、図2(放熱)に示すように、酸化カルシウムは水和して水酸化カルシウムを生成し、熱量QHを発熱する。これにより、炉40の内部を加熱することや、加熱に必要なエネルギーを節約することができる。
【0030】
本発明によれば、水タンク12から蒸気管13に移動した水を加熱機構18で加熱して水蒸気にし、第1弁19を開弁することにより、反応部11に該水蒸気を送ることができる。また、第2弁20を開弁することにより、反応部11から復水管14に移動した水蒸気を冷却機構21で冷却して水に戻し、水タンク12に送ることができる。したがって、装置を独立させることができる。そして、酸化カルシウム16の放熱過程、および蓄熱過程を有する反応部11を含むケミカルヒートポンプの構成要素を可搬なケース15に収容し、制御部30によって第1弁19および第2弁20の開閉を制御できるので、廃熱を長期間保存可能に蓄熱し、蓄熱した熱を利用する際に投入した熱(QL)よりも高温の熱(QH)を、蓄熱した位置、またはケースを移動して任意の位置で取り出して利用できる。これにより、加熱に必要なエネルギーを節約することができる。また、構成要素が可搬なケース15に収容されているので、移動が容易であり、扱い易さを向上させることができる。そして、設備で使用されていない既存のポート(例えば炉内点検用マンホールなど)を利用することにより、設備を大幅に改造することなく本発明にかかる吸発熱ユニット10を採用できる。
【0031】
(第2実施形態)
図4aは、炉40に装入された本発明の第2実施形態の吸発熱ユニット10を示す。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0032】
蒸気管13には、加熱機構18に代えて、温熱源と熱交換する第1熱交換部23が介設されている。復水管14には、冷却機構21に代えて、冷熱源と熱交換する第2熱交換部24が介設されている。第1熱交換部23、水タンク12、および第2熱交換部24はケース15の内部に配置されている。第1熱交換部23は水タンク12より下方に配置され、第2熱交換部24は水タンク12より上方に配置されている。第1熱交換部23および第2熱交換部24は、ケース15の内面に近接している。水タンク12と第1熱交換部23の間には、流量調整弁46が設けられている。炉40のポート41は、ポート41に装入された吸発熱ユニット10の反応部11、および第1熱交換部23が炉40の内部に位置するように形成されている。そして、炉40のポート41は、フランジ部15bがポート41の上端に支持された状態で、ケース15の装入部15aとの間に隙間47を有するように形成されている。炉40には、燃料と空気の混合気を供給し燃焼させる燃焼バーナ(加熱手段)42が吸発熱ユニット10の第1熱交換部23に対向するように設けられている。燃焼バーナ42には弁43が設けられている。また、炉40には、冷却用空気を供給する冷却ノズル(冷却手段)44が吸発熱ユニット10の第2熱交換部24に対向するように設けられている。冷却ノズル44には弁45が設けられている。
【0033】
反応部11で生成した水蒸気は、第2熱交換部24において、炉40の冷却時に冷熱源として冷却ノズル44から供給された冷却用空気とケース15を介して熱交換することにより冷却され水に戻される。また、水タンク12の水は、第1熱交換部23に送り出され、第1熱交換部23において、炉40の加熱時に温熱源として燃焼バーナ42から供給された火炎と熱交換することにより加熱され水蒸気になる。本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1熱交換部23を通じて外部の温熱源と水タンク12から蒸気管13に移動した水との間で熱交換することができる。内部に加熱機構を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。また、外部の温熱源を利用することができる。したがって、燃焼バーナ42の火炎を利用してケミカルヒートポンプを作動させ、炉40を加熱することができるので、火炎だけで加熱するよりも化学蓄熱材の発熱作用が加わるため、炉内を速く昇温できる。さらに、第2熱交換部24を通じて外部の冷熱源と復水管14から水タンク12に移動する水蒸気との間で熱交換することができる。内部に冷却機構を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。また、外部の冷熱源を利用することができる。したがって、冷却ノズル44から炉40の内部に噴出する冷却用空気を利用してケミカルヒートポンプを作動させ、炉40を冷却することができるので、冷却用空気だけで冷却するよりも化学蓄熱材の吸熱作用が加わるため、炉内を速く冷却できる。また、この場合、図4bのように、第1熱交換部23と第2熱交換部24がケース15から外部に露出した構造としてもよい。このようにすれば、火炎や冷却用空気と直接触れることにより、熱交換率が向上する。
【0034】
(第3実施形態)
図5aは、炉40に装入された本発明の第3実施形態の吸発熱ユニット10を示す。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0035】
ケース15には、内部空間と隔離された外部供給流路25が設けられている。外部供給流路25の一端の開口は、蓋15cに位置し供給口26を形成している。供給口26には、冷却用空気(冷却媒体)が供給される。供給口26の近傍の外部供給流路25には、弁27が介設されている。外部供給流路25の他端の開口は、装入部15aの外周面に位置し排出口28を形成している。排出口28の近傍の外部供給流路25には、弁29が介設されている。外部供給流路25の供給口26には、冷却用空気供給源(図示せず)が接続されている。
【0036】
蒸気管13の端部は、水タンク12の内部の上方空間に配置されている。復水管14の端部は、水タンク12の内部の下方に配置されている。吸発熱ユニット10および炉40のポート41は、ポート41に装入された吸発熱ユニット10の反応部11、水タンク12、第2熱交換部24、および排出口28が炉40の内部に位置するように形成されている。蒸気管13には、流量調整弁46および第1弁19が介設されており、ポンプ17および加熱機構18は介設されていない。復水管14には、冷却機構21に代えて、第2熱交換部24が介設されている。また、第2熱交換部24は、弁27と弁29の間の外部供給流路25に収容されている。炉40には、燃焼バーナ42が吸発熱ユニット10の水タンク12に対向するように設けられている。
【0037】
運転終了にむけて炉40を冷却する際、第2弁20および弁27,29を開弁し、冷却用空気供給源(図示せず)から外部供給流路25に冷却用空気を供給する。そうすると、反応部11で生成した水蒸気は、第2熱交換部24に流入し、供給された冷却用空気と復水管14の外面を介して熱交換することにより冷却され水に戻される。この水は、ポンプ22を起動することにより、水タンク12に送られる。運転終了後、第2弁20および弁27,29を閉弁する。
【0038】
炉40を運転する際、水タンク12に対向した燃焼バーナ42を含む燃焼バーナで燃焼を行うとともに、第1弁19を開弁する。そうすると、水タンク12は、燃焼バーナ42の火炎(温熱源)で加熱され、水タンク12の内部の水は水蒸気になる。そして、水蒸気は、蒸気管13を通って反応部11に流入する。火炎によって直接的に水タンク12を加熱するので、第1熱交換部23が不要になり、構造が簡単になる。また、図5bのように、外部供給流路25を水タンク12の中に通過させれば、第2熱交換部24も不要となり、さらに構造を簡単にすることができる。
【0039】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、復水管14から水タンク12に移動する水と第2熱交換部24を通じて熱交換する冷却用空気をケース15の供給口26から外部供給流路25に供給することができる。内部に冷却機構を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。また、外部の冷却用空気を利用することができる。そして、第2熱交換部24で熱交換した後の冷却用空気を排出口28から炉40の内部に排出して炉40の冷却に利用できる。したがって、第2実施形態のように、炉40のポート41と装入部15aの外周面の間の隙間47から炉40に流入し、高温の炉内を通過した冷却用空気と熱交換するよりも低温の冷却用空気が得られるので、復水作用の効率が向上し、炉40の冷却に必要なエネルギーを節約することができる。
【0040】
本発明は実施形態のものに限定されず、種々の変形が可能である。例えば、第2および第3実施形態において、燃焼バーナ42を設けずに、温熱源として炉40内部の熱気を利用してもよい。また、第3実施形態において、図6に示すように、冷却媒体である冷却用空気を供給する冷却用空気供給源としての冷却媒体供給部31(例えば送風機)をケース15と一体化するようにしてもよい。この構成によれば、装置を独立させることができる。炉40への装入位置は頂部のみに限定されず、図7aに示すように側壁であってもよいし、図7bに示すように炉床であってもよい。また、加熱手段としては、燃焼バーナ42による火炎には限定されず、炉内の高温雰囲気をそのまま使ったり、電熱エレメントを接近させたり、接触させたりすることも含まれる。外部で発生させた熱風を吹き込んでもよい。
【0041】
吸発熱ユニット10は空調設備や乾燥設備に適用してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 吸発熱ユニット
11 反応部
12 水タンク
13 蒸気管
14 復水管
15 ケース
15a 装入部
15b フランジ部
15c 蓋
16 化学蓄熱材
17 ポンプ
18 加熱機構
19 第1弁
20 第2弁
21 冷却機構
22 ポンプ
23 第1熱交換部
24 第2熱交換部
25 外部供給流路
26 供給口
27 弁
28 排出口
29 弁
30 制御部
31 冷却媒体供給部
40 炉(外部装置)
41 ポート
42 燃焼バーナ(加熱手段)
43 弁
44 冷却ノズル(冷却手段)
45 弁
46 流量調整弁
47 隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸発熱ユニットおよびその熱利用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工業用炉では、省エネ対策として、レキュペレータや蓄熱バーナ等が採用され、廃熱が利用されている。いずれの装置も燃焼用空気を廃熱温度よりも低い温度で加熱するものである。この廃熱の利用は、廃ガスと熱を受け取る媒体の間で行われる熱の授受によるものであり、設備の操業中に限られる。また、蓄熱器で熱を蓄熱しても、時間が経過するにつれて冷めていくため、熱を長期間保存できない。したがって、特許文献1ないし3に開示されたバッチ式の炉において、炉内冷却時に排出される熱はそのまま廃棄するしかなかった。
【0003】
一方、特許文献4ないし6には、化学物質の吸熱・発熱反応を利用することにより、長期間の蓄熱、および系に付与する熱よりも高温の熱の獲得を実現できるケミカルヒートポンプが開示されている。
【0004】
このケミカルヒートポンプを利用して、炉の廃熱を長期間蓄熱し、高温の熱を獲得することが考えられる。そして、炉の廃熱を、当該炉以外の炉や炉以外の設備や装置に利用することが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−90361号公報
【特許文献2】特開2001−110314号公報
【特許文献3】特公平4−37155号公報
【特許文献4】特開平9−26225号公報
【特許文献5】特開2005−83656号公報
【特許文献6】特開平8−29008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、廃熱を長期間保存可能に蓄熱し、蓄熱した熱を利用する際に投入した熱よりも高温の熱を任意の位置で取り出して利用できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明の吸発熱ユニットは、化学蓄熱材の水和発熱反応により反応生成物を生成する放熱過程、および前記反応生成物の脱水吸熱反応によって前記化学蓄熱材と水蒸気とを生成する蓄熱過程を有する反応部と、前記反応部の化学蓄熱材との間で水を授受する水タンクと、前記水タンクと前記反応部の間に設けられ、前記水タンクの水と温熱源との熱交換により前記水タンクの水を水蒸気にする蒸気管と、前記反応部と前記水タンクの間に設けられ、前記反応部からの水蒸気と冷熱源との熱交換により前記反応部からの水蒸気を水にする復水管と、前記蒸気管に介設された第1弁と、前記復水管に介設された第2弁と、前記第1弁および前記第2弁それぞれの開閉を制御する制御部とを備え、少なくとも前記反応部を可搬なケースに収容し、前記反応部を前記ケースの端部に配置するようにした。
【0008】
この構成によれば、ケースの端部に配置された反応部の反応生成物に外部からの廃熱を吸熱させ脱水吸熱反応を進行させることができる。その際、第2弁を開弁することにより、反応部で生成した水蒸気を復水管に通して水に戻し、水タンクに送ることができる。そして、第2弁を閉弁することにより、廃熱を長期間保存可能に反応部で蓄熱することができる。その後、水タンクの水を蒸気管に通して水蒸気にし、第1弁を開弁することにより水蒸気を反応部の化学蓄熱材に接触させ水和発熱反応を進行させて反応部で放熱することができる。化学蓄熱材の放熱過程および蓄熱過程を有する反応部を含むケミカルヒートポンプの構成要素を収容したケースは可搬であり、第1弁および第2弁の開閉を制御部によって制御することができるので、廃熱を長期間保存可能に蓄熱し、蓄熱した熱を利用する際に投入した熱(QL)よりも高温の熱(QH)を、蓄熱した位置、またはケースを移動させて前記位置と異なる任意の位置で取り出して利用できる。
【0009】
前記温熱源は、前記水タンクと前記第1弁の間の前記蒸気管に設けられた加熱機構であり、前記冷熱源は、前記第2弁と前記水タンクの間の前記復水管に設けられた冷却機構であることが好ましい。この構成によれば、水タンクから蒸気管に移動した水を加熱機構で加熱して水蒸気にし、第1弁を開弁することにより、反応部に該水蒸気を送ることができる。また、第2弁を開弁することにより、反応部から復水管に移動した水蒸気を冷却機構で冷却して水に戻し、水タンクに送ることができる。したがって、装置を独立させることができる。
【0010】
前記水タンクと前記第1弁の間の前記蒸気管に第1熱交換部を設け、前記温熱源は前記第1熱交換部と熱交換可能に外部装置に設けられた加熱手段からの火炎または熱風であることが好ましい。この構成によれば、第1熱交換部を通じて外部装置に設けられた加熱手段からの火炎または熱風と水タンクから蒸気管に移動した水との間で熱交換することができる。内部に加熱機構を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。加熱手段からの火炎または熱風を利用してケミカルヒートポンプを作動させることができる。
【0011】
前記ケースは炉の内部に装入されるもので、前記温熱源は前記炉の内部のガスであり、前記炉の内部のガスと熱交換可能に前記水タンクと前記第1弁の間の前記蒸気管に配置された第1熱交換部を備えることが好ましい。この構成によれば、第1熱交換部を通じて炉の内部のガスと水タンクから蒸気管に移動した水との間で熱交換することができる。温熱源として炉の内部のガスを利用できる。
【0012】
前記第2弁と前記水タンクの間の前記復水管に第2熱交換部を設け、前記冷熱源は前記第2熱交換部と熱交換可能に外部装置に設けられた冷却手段からの冷風であることが好ましい。この構成によれば、第2熱交換部を通じて外部装置に設けられた冷却手段からの冷風と復水管から水タンクに移動する水蒸気との間で熱交換することができる。内部に冷却機構を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。冷熱源として外部装置に設けられた冷却手段からの冷風を利用し、ケミカルヒートポンプに蓄熱することができる。
【0013】
前記ケースは炉の内部に装入されるもので、前記温熱源は前記水タンクと対向するように前記炉に設けられた加熱手段であることが好ましい。この構成によれば、第1熱交換部が不要となり、設備を簡略化できる。
【0014】
前記ケースに設けられ、冷却媒体が供給される供給口と、前記供給口から供給され前記第2熱交換部で熱交換した前記冷却媒体が排出される排出口とを有する外部供給流路と、前記ケースに連結され、前記外部供給流路の供給口に前記冷却媒体を供給する冷却媒体供給部とを備えることが好ましい。この構成によれば、復水管から水タンクに移動する水蒸気と第2熱交換部を通じて熱交換する冷却媒体をケースの供給口から外部供給流路に供給することができる。内部に冷却機構を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。また、外部の冷却媒体を利用することができる。そして、第2熱交換部で熱交換した後の冷却媒体を排出口から排出して冷却に利用できる。また、装置を独立させることができる。
【0015】
前記課題を解決するための手段として、本発明の吸発熱ユニットの熱利用方法は、化学蓄熱材の水和発熱反応により反応生成物を生成する放熱過程、および前記反応生成物の脱水吸熱反応によって前記化学蓄熱材と水蒸気とを生成する蓄熱過程を有する反応部と、前記反応部の化学蓄熱材との間で水を授受する水タンクと、前記水タンクと前記反応部の間に設けられ、前記水タンクの水と温熱源との熱交換により前記水タンクの水を水蒸気にする蒸気管と、前記反応部と前記水タンクの間に設けられ、前記反応部からの水蒸気と冷熱源との熱交換により前記反応部からの水蒸気を水にする復水管と、前記蒸気管に介設された第1弁と、前記復水管に介設された第2弁と、前記第1弁および前記第2弁それぞれの開閉を制御する制御部とを備え、少なくとも前記反応部を可搬なケースに収容し、前記反応部を前記ケースの端部に配置した吸発熱ユニットを設け、前記反応部を加熱工程および冷却工程を有する炉の内部に位置するように前記ケースを前記炉に装入し、前記炉の冷却工程において、前記炉の廃熱により前記反応生成物の脱水吸熱反応を進行させて生成した前記水蒸気を前記復水管に通し水に戻して前記水タンクに回収し、前記水タンクから送られた水を前記蒸気管に通して発生させた水蒸気を前記反応部の化学蓄熱材と反応させることにより前記水和発熱反応を進行させて任意の位置で発熱するようにした。
【0016】
この方法によれば、炉の冷却工程で排出される熱を反応部の化学蓄熱材の生成物に蓄熱して脱水吸熱反応により化学蓄熱材と水蒸気とを生成し、該水蒸気を復水管に通し水に戻して水タンクに回収することができる。そして、水タンクの水を蒸気管に通して発生させた水蒸気を反応部の化学蓄熱材と反応させることにより水和発熱反応を進行させて任意の位置で発熱することができる。したがって、加熱に必要なエネルギーを節約することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ケースの端部に配置された反応部の反応生成物に外部からの廃熱を吸熱させ脱水吸熱反応を進行させることができる。その際、第2弁を開弁することにより、反応部で生成した水蒸気を復水管に通して水に戻し、水タンクに送ることができる。そして、第2弁を閉弁することにより、廃熱を長期間保存可能に反応部で蓄熱することができる。その後、水タンクの水を蒸気管に通して水蒸気にし、第1弁を開弁することにより水蒸気を反応部の化学蓄熱材に接触させ水和発熱反応を進行させて反応部で放熱することができる。化学蓄熱材の放熱過程および蓄熱過程を有する反応部を含むケミカルヒートポンプの構成要素を収容したケースは可搬であり、第1弁および第2弁の開閉を制御部によって制御することができるので、廃熱を長期間保存可能に蓄熱し、蓄熱した熱を利用する際に投入した熱(QL)よりも高温の熱(QH)を、蓄熱した位置、またはケースを移動させて前記位置と異なる任意の位置で取り出して利用できる。これにより、加熱に必要なエネルギーを節約することができる。また、構成要素が可搬なケースに収容されているので、移動が容易であり、扱い易さを向上させることができる。そして、設備で使用されていない既存のポート(点検用マンホール等)を利用することにより、設備を大幅に改造することなく本発明にかかる吸発熱ユニットを採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a】炉に装入された本発明の第1実施形態の吸発熱ユニットを示す図。
【図1b】本発明の第1実施形態の吸発熱ユニットの変形例を示す図。
【図2】蓄熱工程および放熱工程における化学反応を示す図。
【図3】(a)および(b)は冷却機構の一例を示す図。
【図4a】炉に装入された本発明の第2実施形態の吸発熱ユニットを示す図。
【図4b】本発明の第2実施形態の吸発熱ユニットの変形例を示す図。
【図5a】炉に装入された第3実施形態の吸発熱ユニットを示す図。
【図5b】本発明の第3実施形態の吸発熱ユニットの変形例を示す図。
【図6】本発明の第3実施形態の吸発熱ユニットの変形例を示す図。
【図7a】炉の側壁に装入した本発明にかかる吸発熱ユニットを示す図。
【図7b】炉床に装入した本発明にかかる吸発熱ユニットを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1aは、炉(外部装置)40に装入された本発明の第1実施形態の吸発熱ユニット10を示す。吸発熱ユニット10は、反応部11および水タンク12を備えている。反応部11と水タンク12の間には、蒸気管13および復水管14が設けられている。吸発熱ユニット10の各構成要素は、可搬なケース15に収容されている。ケース15には、炉40の頂部に設けられたポート41に装入する装入部15aと、ポート41より大きなフランジ部15bとが設けられている。フランジ部15bに蓋15cが取り付けられ、ケース15の内部に閉じた空間が形成されている。ポート41は、ポート41に装入された吸発熱ユニット10のケース15の端部のみが炉40の内部に位置するように形成されている。
【0021】
反応部11は、ケース15の端部に位置するように、装入部15aに配置されている。反応部11には、化学蓄熱材16が収容されている。本実施形態における化学蓄熱材16は、酸化カルシウムであるが、酸化マグネシウム等、ケミカルヒートポンプに使用されるいかなる化学蓄熱材であってもよい。酸化カルシウム16は、図2に示すように、水和する際に熱量QHを発熱(放熱)し、脱水する際に熱量QHを吸熱(蓄熱)する。反応部11では、放熱過程において、水和発熱反応により反応生成物(水酸化カルシウム)を生成し、蓄熱過程において、反応生成物の脱水吸熱反応によって酸化カルシウム16と水蒸気とを生成する。
【0022】
水タンク12は、反応部11の酸化カルシウム16との間で授受する水を収容する。具体的には、水タンク12は、酸化カルシウム16と反応させるために水を送り出し、水酸化カルシウムから生成した水蒸気を水に戻して受け入れる容器である。
【0023】
蒸気管13には、水タンク12側から順に、ポンプ17、流量調整弁46、加熱機構18、および第1弁19が介設されている。復水管14には、反応部11側から順に、第2弁20、冷却機構21、およびポンプ22が介設されている。なお、図1bのように、上から順に、冷却機構21、水タンク12、加熱機構18と並べて設置すれば、水は重力で落下するので、ポンプ17,22を不要とすることが可能である。
【0024】
加熱機構18は、水タンク12からの水が水蒸気になるように加熱する。加熱機構18としては、水中ヒータを設けて水を沸騰させるものや、ホットプレート上に水滴を落として水蒸気を得るようなものを用いることができる。
【0025】
冷却機構21は、反応部11からの水蒸気が水になるように冷却する。冷却機構21としては、図3(a)に示すように、水蒸気が流入する空間を貫通するように冷却水や冷却用空気の循環ラインを設けて水蒸気と冷却水や冷却用空気とを熱交換させる構造や、図3(b)に示すように、水蒸気が流通する管の回りに冷却水や冷却用空気を通過させて水蒸気と冷却水や冷却用空気とを熱交換させる構造から適宜選択する。
【0026】
吸発熱ユニット10には、制御部30が設けられている。制御部30は、第1弁19と第2弁20を含む吸発熱ユニット10(全体)の動作を制御する。
【0027】
本発明の第1実施形態の吸発熱ユニット10の動作について説明する。
【0028】
吸発熱ユニット10を炉40のポート41に予め装入しておき、炉40を運転する。そして、運転終了にむけて炉40を冷却する冷却工程において、吸発熱ユニット10の冷却機構21を起動し第2弁20を開弁する。そうすると、反応部11では、炉40で放熱される廃熱から熱量QHを吸熱することによって、図2(蓄熱)に示すように、水酸化カルシウムの脱水吸熱反応が進行するので、酸化カルシウム16と水蒸気とが生成される。生成した水蒸気は、冷却機構21に流入して冷却され水に戻される。この水は、ポンプ22を起動することにより、水タンク12に送られる。運転終了後、第2弁20を閉弁する。このようにして、吸発熱ユニット10は、炉40の廃熱を長期間保存可能に蓄熱することができる。
【0029】
炉40を運転する加熱工程において、吸発熱ユニット10のポンプ17、加熱機構18を起動し第1弁19を開弁する。そうすると、水タンク12の水は、流量調整弁46を通過して加熱機構18に送り出され、加熱機構18の内部で加熱され、QLを吸熱することによって水蒸気になる。そして、水蒸気は反応部11に流入し、酸化カルシウム16と反応する。そうすると、図2(放熱)に示すように、酸化カルシウムは水和して水酸化カルシウムを生成し、熱量QHを発熱する。これにより、炉40の内部を加熱することや、加熱に必要なエネルギーを節約することができる。
【0030】
本発明によれば、水タンク12から蒸気管13に移動した水を加熱機構18で加熱して水蒸気にし、第1弁19を開弁することにより、反応部11に該水蒸気を送ることができる。また、第2弁20を開弁することにより、反応部11から復水管14に移動した水蒸気を冷却機構21で冷却して水に戻し、水タンク12に送ることができる。したがって、装置を独立させることができる。そして、酸化カルシウム16の放熱過程、および蓄熱過程を有する反応部11を含むケミカルヒートポンプの構成要素を可搬なケース15に収容し、制御部30によって第1弁19および第2弁20の開閉を制御できるので、廃熱を長期間保存可能に蓄熱し、蓄熱した熱を利用する際に投入した熱(QL)よりも高温の熱(QH)を、蓄熱した位置、またはケースを移動して任意の位置で取り出して利用できる。これにより、加熱に必要なエネルギーを節約することができる。また、構成要素が可搬なケース15に収容されているので、移動が容易であり、扱い易さを向上させることができる。そして、設備で使用されていない既存のポート(例えば炉内点検用マンホールなど)を利用することにより、設備を大幅に改造することなく本発明にかかる吸発熱ユニット10を採用できる。
【0031】
(第2実施形態)
図4aは、炉40に装入された本発明の第2実施形態の吸発熱ユニット10を示す。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0032】
蒸気管13には、加熱機構18に代えて、温熱源と熱交換する第1熱交換部23が介設されている。復水管14には、冷却機構21に代えて、冷熱源と熱交換する第2熱交換部24が介設されている。第1熱交換部23、水タンク12、および第2熱交換部24はケース15の内部に配置されている。第1熱交換部23は水タンク12より下方に配置され、第2熱交換部24は水タンク12より上方に配置されている。第1熱交換部23および第2熱交換部24は、ケース15の内面に近接している。水タンク12と第1熱交換部23の間には、流量調整弁46が設けられている。炉40のポート41は、ポート41に装入された吸発熱ユニット10の反応部11、および第1熱交換部23が炉40の内部に位置するように形成されている。そして、炉40のポート41は、フランジ部15bがポート41の上端に支持された状態で、ケース15の装入部15aとの間に隙間47を有するように形成されている。炉40には、燃料と空気の混合気を供給し燃焼させる燃焼バーナ(加熱手段)42が吸発熱ユニット10の第1熱交換部23に対向するように設けられている。燃焼バーナ42には弁43が設けられている。また、炉40には、冷却用空気を供給する冷却ノズル(冷却手段)44が吸発熱ユニット10の第2熱交換部24に対向するように設けられている。冷却ノズル44には弁45が設けられている。
【0033】
反応部11で生成した水蒸気は、第2熱交換部24において、炉40の冷却時に冷熱源として冷却ノズル44から供給された冷却用空気とケース15を介して熱交換することにより冷却され水に戻される。また、水タンク12の水は、第1熱交換部23に送り出され、第1熱交換部23において、炉40の加熱時に温熱源として燃焼バーナ42から供給された火炎と熱交換することにより加熱され水蒸気になる。本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1熱交換部23を通じて外部の温熱源と水タンク12から蒸気管13に移動した水との間で熱交換することができる。内部に加熱機構を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。また、外部の温熱源を利用することができる。したがって、燃焼バーナ42の火炎を利用してケミカルヒートポンプを作動させ、炉40を加熱することができるので、火炎だけで加熱するよりも化学蓄熱材の発熱作用が加わるため、炉内を速く昇温できる。さらに、第2熱交換部24を通じて外部の冷熱源と復水管14から水タンク12に移動する水蒸気との間で熱交換することができる。内部に冷却機構を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。また、外部の冷熱源を利用することができる。したがって、冷却ノズル44から炉40の内部に噴出する冷却用空気を利用してケミカルヒートポンプを作動させ、炉40を冷却することができるので、冷却用空気だけで冷却するよりも化学蓄熱材の吸熱作用が加わるため、炉内を速く冷却できる。また、この場合、図4bのように、第1熱交換部23と第2熱交換部24がケース15から外部に露出した構造としてもよい。このようにすれば、火炎や冷却用空気と直接触れることにより、熱交換率が向上する。
【0034】
(第3実施形態)
図5aは、炉40に装入された本発明の第3実施形態の吸発熱ユニット10を示す。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0035】
ケース15には、内部空間と隔離された外部供給流路25が設けられている。外部供給流路25の一端の開口は、蓋15cに位置し供給口26を形成している。供給口26には、冷却用空気(冷却媒体)が供給される。供給口26の近傍の外部供給流路25には、弁27が介設されている。外部供給流路25の他端の開口は、装入部15aの外周面に位置し排出口28を形成している。排出口28の近傍の外部供給流路25には、弁29が介設されている。外部供給流路25の供給口26には、冷却用空気供給源(図示せず)が接続されている。
【0036】
蒸気管13の端部は、水タンク12の内部の上方空間に配置されている。復水管14の端部は、水タンク12の内部の下方に配置されている。吸発熱ユニット10および炉40のポート41は、ポート41に装入された吸発熱ユニット10の反応部11、水タンク12、第2熱交換部24、および排出口28が炉40の内部に位置するように形成されている。蒸気管13には、流量調整弁46および第1弁19が介設されており、ポンプ17および加熱機構18は介設されていない。復水管14には、冷却機構21に代えて、第2熱交換部24が介設されている。また、第2熱交換部24は、弁27と弁29の間の外部供給流路25に収容されている。炉40には、燃焼バーナ42が吸発熱ユニット10の水タンク12に対向するように設けられている。
【0037】
運転終了にむけて炉40を冷却する際、第2弁20および弁27,29を開弁し、冷却用空気供給源(図示せず)から外部供給流路25に冷却用空気を供給する。そうすると、反応部11で生成した水蒸気は、第2熱交換部24に流入し、供給された冷却用空気と復水管14の外面を介して熱交換することにより冷却され水に戻される。この水は、ポンプ22を起動することにより、水タンク12に送られる。運転終了後、第2弁20および弁27,29を閉弁する。
【0038】
炉40を運転する際、水タンク12に対向した燃焼バーナ42を含む燃焼バーナで燃焼を行うとともに、第1弁19を開弁する。そうすると、水タンク12は、燃焼バーナ42の火炎(温熱源)で加熱され、水タンク12の内部の水は水蒸気になる。そして、水蒸気は、蒸気管13を通って反応部11に流入する。火炎によって直接的に水タンク12を加熱するので、第1熱交換部23が不要になり、構造が簡単になる。また、図5bのように、外部供給流路25を水タンク12の中に通過させれば、第2熱交換部24も不要となり、さらに構造を簡単にすることができる。
【0039】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、復水管14から水タンク12に移動する水と第2熱交換部24を通じて熱交換する冷却用空気をケース15の供給口26から外部供給流路25に供給することができる。内部に冷却機構を設ける必要がないので、装置を簡素化することができる。また、外部の冷却用空気を利用することができる。そして、第2熱交換部24で熱交換した後の冷却用空気を排出口28から炉40の内部に排出して炉40の冷却に利用できる。したがって、第2実施形態のように、炉40のポート41と装入部15aの外周面の間の隙間47から炉40に流入し、高温の炉内を通過した冷却用空気と熱交換するよりも低温の冷却用空気が得られるので、復水作用の効率が向上し、炉40の冷却に必要なエネルギーを節約することができる。
【0040】
本発明は実施形態のものに限定されず、種々の変形が可能である。例えば、第2および第3実施形態において、燃焼バーナ42を設けずに、温熱源として炉40内部の熱気を利用してもよい。また、第3実施形態において、図6に示すように、冷却媒体である冷却用空気を供給する冷却用空気供給源としての冷却媒体供給部31(例えば送風機)をケース15と一体化するようにしてもよい。この構成によれば、装置を独立させることができる。炉40への装入位置は頂部のみに限定されず、図7aに示すように側壁であってもよいし、図7bに示すように炉床であってもよい。また、加熱手段としては、燃焼バーナ42による火炎には限定されず、炉内の高温雰囲気をそのまま使ったり、電熱エレメントを接近させたり、接触させたりすることも含まれる。外部で発生させた熱風を吹き込んでもよい。
【0041】
吸発熱ユニット10は空調設備や乾燥設備に適用してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 吸発熱ユニット
11 反応部
12 水タンク
13 蒸気管
14 復水管
15 ケース
15a 装入部
15b フランジ部
15c 蓋
16 化学蓄熱材
17 ポンプ
18 加熱機構
19 第1弁
20 第2弁
21 冷却機構
22 ポンプ
23 第1熱交換部
24 第2熱交換部
25 外部供給流路
26 供給口
27 弁
28 排出口
29 弁
30 制御部
31 冷却媒体供給部
40 炉(外部装置)
41 ポート
42 燃焼バーナ(加熱手段)
43 弁
44 冷却ノズル(冷却手段)
45 弁
46 流量調整弁
47 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学蓄熱材の水和発熱反応により反応生成物を生成する放熱過程、および前記反応生成物の脱水吸熱反応によって前記化学蓄熱材と水蒸気とを生成する蓄熱過程を有する反応部と、
前記反応部の化学蓄熱材との間で水を授受する水タンクと、
前記水タンクと前記反応部の間に設けられ、前記水タンクの水と温熱源との熱交換により前記水タンクの水を水蒸気にする蒸気管と、
前記反応部と前記水タンクの間に設けられ、前記反応部からの水蒸気と冷熱源との熱交換により前記反応部からの水蒸気を水にする復水管と、
前記蒸気管に介設された第1弁と、
前記復水管に介設された第2弁と、
前記第1弁および前記第2弁それぞれの開閉を制御する制御部と
を備え、
少なくとも前記反応部を可搬なケースに収容し、前記反応部を前記ケースの端部に配置したことを特徴とする吸発熱ユニット。
【請求項2】
前記温熱源は、前記水タンクと前記第1弁の間の前記蒸気管に設けられた加熱機構であり、
前記冷熱源は、前記第2弁と前記水タンクの間の前記復水管に設けられた冷却機構であることを特徴とする請求項1に記載の吸発熱ユニット。
【請求項3】
前記水タンクと前記第1弁の間の前記蒸気管に第1熱交換部を設け、
前記温熱源は前記第1熱交換部と熱交換可能に外部装置に設けられた加熱手段からの火炎または熱風であることを特徴とする請求項1に記載の吸発熱ユニット。
【請求項4】
前記ケースは炉の内部に装入されるもので、
前記温熱源は前記炉の内部のガスであり、
前記炉の内部のガスと熱交換可能に前記水タンクと前記第1弁の間の前記蒸気管に配置された第1熱交換部を備えることを特徴とする請求項1に記載の吸発熱ユニット。
【請求項5】
前記第2弁と前記水タンクの間の前記復水管に第2熱交換部を設け、
前記冷熱源は前記第2熱交換部と熱交換可能に外部装置に設けられた冷却手段からの冷風であることを特徴とする請求項1に記載の吸発熱ユニット。
【請求項6】
前記ケースは炉の内部に装入されるもので、
前記温熱源は前記水タンクと対向するように前記炉に設けられた加熱手段であることを特徴とする請求項1に記載の吸発熱ユニット。
【請求項7】
前記ケースに設けられ、冷却媒体が供給される供給口と、前記供給口から供給され前記第2熱交換部で熱交換した前記冷却媒体が排出される排出口とを有する外部供給流路と、
前記ケースに連結され、前記外部供給流路の供給口に前記冷却媒体を供給する冷却媒体供給部と
を備えることを特徴とする請求項5に記載の吸発熱ユニット。
【請求項8】
化学蓄熱材の水和発熱反応により反応生成物を生成する放熱過程、および前記反応生成物の脱水吸熱反応によって前記化学蓄熱材と水蒸気とを生成する蓄熱過程を有する反応部と、
前記反応部の化学蓄熱材との間で水を授受する水タンクと、
前記水タンクと前記反応部の間に設けられ、前記水タンクの水と温熱源との熱交換により前記水タンクの水を水蒸気にする蒸気管と、
前記反応部と前記水タンクの間に設けられ、前記反応部からの水蒸気と冷熱源との熱交換により前記反応部からの水蒸気を水にする復水管と、
前記蒸気管に介設された第1弁と、
前記復水管に介設された第2弁と、
前記第1弁および前記第2弁それぞれの開閉を制御する制御部と
を備え、
少なくとも前記反応部を可搬なケースに収容し、前記反応部を前記ケースの端部に配置した吸発熱ユニットを設け、
前記反応部を加熱工程および冷却工程を有する炉の内部に位置するように前記ケースを前記炉に装入し、
前記炉の冷却工程において、前記炉の廃熱により前記反応生成物の脱水吸熱反応を進行させて生成した前記水蒸気を前記復水管に通し水に戻して前記水タンクに回収し、
前記水タンクから送られた水を前記蒸気管に通して発生させた水蒸気を前記反応部の化学蓄熱材と反応させることにより前記水和発熱反応を進行させて任意の位置で発熱することを特徴とする吸発熱ユニットの熱利用方法。
【請求項1】
化学蓄熱材の水和発熱反応により反応生成物を生成する放熱過程、および前記反応生成物の脱水吸熱反応によって前記化学蓄熱材と水蒸気とを生成する蓄熱過程を有する反応部と、
前記反応部の化学蓄熱材との間で水を授受する水タンクと、
前記水タンクと前記反応部の間に設けられ、前記水タンクの水と温熱源との熱交換により前記水タンクの水を水蒸気にする蒸気管と、
前記反応部と前記水タンクの間に設けられ、前記反応部からの水蒸気と冷熱源との熱交換により前記反応部からの水蒸気を水にする復水管と、
前記蒸気管に介設された第1弁と、
前記復水管に介設された第2弁と、
前記第1弁および前記第2弁それぞれの開閉を制御する制御部と
を備え、
少なくとも前記反応部を可搬なケースに収容し、前記反応部を前記ケースの端部に配置したことを特徴とする吸発熱ユニット。
【請求項2】
前記温熱源は、前記水タンクと前記第1弁の間の前記蒸気管に設けられた加熱機構であり、
前記冷熱源は、前記第2弁と前記水タンクの間の前記復水管に設けられた冷却機構であることを特徴とする請求項1に記載の吸発熱ユニット。
【請求項3】
前記水タンクと前記第1弁の間の前記蒸気管に第1熱交換部を設け、
前記温熱源は前記第1熱交換部と熱交換可能に外部装置に設けられた加熱手段からの火炎または熱風であることを特徴とする請求項1に記載の吸発熱ユニット。
【請求項4】
前記ケースは炉の内部に装入されるもので、
前記温熱源は前記炉の内部のガスであり、
前記炉の内部のガスと熱交換可能に前記水タンクと前記第1弁の間の前記蒸気管に配置された第1熱交換部を備えることを特徴とする請求項1に記載の吸発熱ユニット。
【請求項5】
前記第2弁と前記水タンクの間の前記復水管に第2熱交換部を設け、
前記冷熱源は前記第2熱交換部と熱交換可能に外部装置に設けられた冷却手段からの冷風であることを特徴とする請求項1に記載の吸発熱ユニット。
【請求項6】
前記ケースは炉の内部に装入されるもので、
前記温熱源は前記水タンクと対向するように前記炉に設けられた加熱手段であることを特徴とする請求項1に記載の吸発熱ユニット。
【請求項7】
前記ケースに設けられ、冷却媒体が供給される供給口と、前記供給口から供給され前記第2熱交換部で熱交換した前記冷却媒体が排出される排出口とを有する外部供給流路と、
前記ケースに連結され、前記外部供給流路の供給口に前記冷却媒体を供給する冷却媒体供給部と
を備えることを特徴とする請求項5に記載の吸発熱ユニット。
【請求項8】
化学蓄熱材の水和発熱反応により反応生成物を生成する放熱過程、および前記反応生成物の脱水吸熱反応によって前記化学蓄熱材と水蒸気とを生成する蓄熱過程を有する反応部と、
前記反応部の化学蓄熱材との間で水を授受する水タンクと、
前記水タンクと前記反応部の間に設けられ、前記水タンクの水と温熱源との熱交換により前記水タンクの水を水蒸気にする蒸気管と、
前記反応部と前記水タンクの間に設けられ、前記反応部からの水蒸気と冷熱源との熱交換により前記反応部からの水蒸気を水にする復水管と、
前記蒸気管に介設された第1弁と、
前記復水管に介設された第2弁と、
前記第1弁および前記第2弁それぞれの開閉を制御する制御部と
を備え、
少なくとも前記反応部を可搬なケースに収容し、前記反応部を前記ケースの端部に配置した吸発熱ユニットを設け、
前記反応部を加熱工程および冷却工程を有する炉の内部に位置するように前記ケースを前記炉に装入し、
前記炉の冷却工程において、前記炉の廃熱により前記反応生成物の脱水吸熱反応を進行させて生成した前記水蒸気を前記復水管に通し水に戻して前記水タンクに回収し、
前記水タンクから送られた水を前記蒸気管に通して発生させた水蒸気を前記反応部の化学蓄熱材と反応させることにより前記水和発熱反応を進行させて任意の位置で発熱することを特徴とする吸発熱ユニットの熱利用方法。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【公開番号】特開2013−113478(P2013−113478A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258974(P2011−258974)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000211123)中外炉工業株式会社 (170)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000211123)中外炉工業株式会社 (170)
【Fターム(参考)】
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