説明

吸着シートの展示方法

【課題】展示ブースの大きさや厚さに係わらず、また、立看板の設計や加工、取り付け準備等が簡単でコストや時間もかからず簡単に展示パネルのの大きさを変更し且つ接着剤で糊付けすることなく(接着剤不要)、パネルを剥がし再度使用することのできる吸着樹脂シートの展示方法を提供する。
【解決手段】展示方法が、一方の面21に商品広告の文字や絵(写真)を表示すと共に、他方の面22には塗布するだけで微小な吸着用凹凸面を形成する塗料3を塗布した吸着シート2を、滑らかな表面の板材(展示ボード)1に貼付する 。また、前記微小な吸着用凹凸面の凹部(セル吸盤3a)径が数μm〜数十μmの径を有するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄く紙状のシートとし、一方の面に商品名やその商品広告の文字や絵(写真)を表示し、他方の面を吸着面として形成し、特に糊等の接着剤を不要とした吸着シートの展示方法に関する。
【0002】
見本市や種々の商品の商談会等で商品名称の文字や絵(写真)を表示し展示した展示ブースでは、立てた看板板材の表面に商品の名称や絵画や写真あるいは特徴を表示し、シート状のパネルとして展示される。従来このような展示パネルは専門の業者や職人が製作し、通常の人々には製作することができない。また、展示パネルは商談会の会場には必須のものであり、展示ブースの広さや大きさも区々でその都度製作して商品を展示する。
【0003】
従来の展示パネルと似た展示物として、壁面に取り付けたり、壁面から取り外したりする壁面展示物では、壁面取り付け、取り外し作業を何度も繰り返すと、粘着力が徐々に衰えてくる。しかし、粘着力が徐々に衰えたとしても水洗い可能な軽量物品の壁面取付具として、自己吸着性を有し、水洗い可能なアクリルフォームよりなり、平滑な壁面に粘着可能とした粘着面を片面または両面に有した壁面取付具が提案されている。しかし、この壁面取付具は、アクリルラテックスを気体混入法で発泡固化させたアクリルフォームよりなるもので、平滑な壁面に粘着可能とした粘着面を有している。アルリルフォームは、自己粘着性を有しソフトな感触を有したものとし、水洗い可能なものとしている。そして、粘着面が片側のみの場合裏側の片面には適宜「接着剤」を塗布して貼り付けるものである(特許文献1)。
【0004】
また、シート状の表示物を容易に交換でき、且つ全体の美感を向上させると共に重量や製造コストを低減する表示物の挟持フレームを提供するものとして、透明な表示面24(符号は特許文献のものをそのまま使用、以下特許文献4まで同様)を形成すると共に表示面24の裏面側外周に自着シートを配置した前板面22と、表示物36を背後で支持可能な支持面34を形成すると共に支持面34の外周に平滑面35を配置した前後面23とを備え、全面板22と後面板は、自着シート及び平面板35を介して互いに着脱することにより、シート状の表示物36を挟み込んで保持し得るように構成され、シート状の表示物36を容易に交換でき、且つ全体の美感を向上させることのできる表示物の挟持フレームが提案されている。この場合、自着シートとしては接着部29に吸盤作用を有するセル28が示されている(特許文献2)。
【0005】
吸盤付の収納ケース、マウスパッド等の収納ケースを貼付または滑り止め防止、固定する方法を接着剤や粘着糊を使用しないで柔軟質で可撓性のある吸盤層により吸着させる製品として、複数の合成樹脂等のシートまたはフィルムの2辺または3辺を接着して収納部とした表示板ケースまたはマススパッド等の収納ケースの裏面または表面部に柔軟質で可撓性の吸盤層となるインキ用物質を、スクリーン印刷等の方法に寄り、円輪等の方法により、円輪等の単体または連鎖状、網目状の吸盤層を印刷して設置した「吸盤付の収納ケース」が開示されている(特許文献3)。
【0006】
また、表示物に接着剤等が移行することなく、時間が経過しても紫外線による黄変や物性の劣化等がなく、表示物を除去しても跡が残らず、汚れがついても拭き取ることができ、さらに展示物位に取付け具を用いることなく取付けることができるワンタッチパネルが知られている。その構成としては、ワンタッチパネル1は、所定の大きさを有する発泡プラスチックからなるボード2と、このボード2の片面または両面の全面に固着される不織布3と、この不織布3に固着されるアクリル系の合成樹脂製吸盤シート4と、この吸盤シート4を介して着剥自在にボード2の全面に設けられる透明フィルム5とから構成される(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−321653
【特許文献2】実用新案登録第3102001号
【特許文献3】実用新案登録第3045396号
【特許文献4】実開平7−10772号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記するような展示用ブースの展示パネルは、樹脂の板材やベニヤ板に貼り付けた平面板に貼り付けて展示される。中には樹脂材に磁石の鉄粉を混合し、薄い樹脂材として商品表示したパネルを磁着する場合もあるが、このような磁石混合板のパネルはそれなりの重量があり、被接着板も鉄系の平面板であり製作に一定の困難を伴う。また、商品展示ブースでは、立看板の設計や加工、取り付け準備にコストや時間がかかる。そして、看板用パネルに種々の寸法があり、展示ブースの規模や広さ、大きさによりその都度パネルの大きさを変更しなければならない。また、特許文献1の「自己吸着性」はアクリルフォームに形成されることは明示されているが、具体的な粘着技術の内容は記載されていない。
【0009】
また、特許文献2のものは、吸盤作用のあるセル28(本文献2の符号をそのまま使用、以下同様)を使用していても、表示面24の上に接着手段26が必要であり、枠部27aを設けたりするため厚みが重層的である。さらに引用文献3のものは、吸着盤層5あっても背後に数層の収納部](10、11)や中間間仕切り(7、8)があるためこれも重層的である。また、表示部を簡単に剥がして撤去することができない。更に、発泡スチロールを使用したものは所定の厚みがあり、しかも折れやすい。
【0010】
本発明は、上記する課題に対処するためになされたものであり、展示ブースの大きさや厚さに係わらず、また、立看板の設計や加工、取り付け準備等が簡単でコストや時間もかからず簡単に展示パネルのの大きさを変更し且つ接着剤で糊付けすることなく(接着剤不要)、パネルを剥がし再度使用することのできる吸着樹脂シートの展示方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、上記する課題を解決するために、請求項1に記載の吸着シートの展示方法が、一方の面(21)に商品広告の文字や絵(写真)を表示すと共に、他方の面(22)には塗布するだけで微小な吸着用凹凸面の凹部(3a)すなわち、セル吸盤が形成される塗料(3)を用いる吸着シート(2)を、滑らかな表面の板材(展示ボード1)に貼付することを特徴としている。
【0012】
この場合、展示ボード1に塗布するだけで、塗布表面に自然に凹凸の凹部(3a:セル吸盤)が形成される。吸着面となる塗料(3)としてはゼオンALシート(登録商標、日本ゼオン株式会社製)が用いられる。
【0013】
また請求項2に記載の発明は、前記微小な吸着用凹凸面のセル吸盤の凹部(3a)径が数μm〜数十μmの径を有する塗料である展示方法であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明を上記手段とすれば、商談会等の展示ブースの寸法がどのような大きさや広さであっても、その寸法に合わせて樹脂製シートを簡単に作成することができ使用しやすい。すなわち、塗料は展示ボード1に塗布するだけであるから、意図する大きさや広さに拡大縮小して展示場の寸法に合わせて商品を表示する写真や絵あるいは商品文字を表示し、片面を塗料で吸着面とした樹脂製シートのパネルを滑らかな平面板に貼り付けることができる。このとき、樹脂製シートの吸着面は平面板に吸着するだけで安定し、勝手に落下することはない。また、平面板に樹脂製シートを貼り付ける際接着剤を使用する必要もない。さらに、樹脂製シートを剥がすときにはスムースに剥がすことができるので、パネルに糊の後が残ることもなく、ベト付くこともない。
【0015】
本発明の樹脂製シートの展示方法では、樹脂製シートに写真データとして撮影し蓄積した文字や写真、絵を変更使用する場合は、使用した樹脂製シートを剥がし、表示文字等を替えて他の展示ブースに使用することができる。したがって、製作方法、展示方法に際しては作業時間の短縮とコスト低減をはかることができる。このように、樹脂製シートは表示の内容や大きさを変更して使用することもできる。さらに磁石混合の樹脂製シートと異なり、重量は小さく薄いので極めて扱いやすい。また、貼り付ける展示ボードが弧状であってもぴたりと貼り付けることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の吸着盤シートの展示方法の使用において、吸着盤シートを展示ボードに貼り付けた状態を示す展示ブースの斜視図である。
【図2】図2(A)は吸着シートの斜視図であり、図2(B)はこの吸着シートを構成物を示す斜視図である。
【図3】図3(A)は、展示ボードと塗料を塗布した吸着シートの一部断面図であり、図3(B)は図3(A)のP矢視部から見た一部平面図であり、凹凸のできる塗料を塗布した状態の一部平面図である。
【図4】図4(A)は本発明の樹脂製シートの側面図であり、図4(B)は、図4(A)のQ部拡大図であり、図4(C)も本発明の樹脂製シート(吸着盤シート)を展示用ボード1に吸着した状態の拡大図である。
【図5】本発明の吸着盤シートの展示方法を示す例であって、商談会の会場などで本願発明の吸着シートの展示方法用いて、一枚づつ商品やサービス毎に展示する方法を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の吸着盤シートの展示方法の使用において、吸着盤シートを展示ボードに貼り付けた状態を示す展示ブースの斜視図であり、図2(B)はこの吸着シートを構成物を示す斜視図である。この吸着シート2の表面には、塗布するだけで小さなミクロン単位あるいはそれ以下の径の丸い円或いは楕円の周囲を囲って凹状の閉鎖状の凹部(セル吸盤)3aを形成する塗料3が塗布してある。この塗料3としては、ゼオンALシート(日本ゼオン株式会社製、登録商標)を使用する。吸着シート2に該塗料3塗布した後の未使用の状態ではこの吸着盤シート2の表面には薄いフィルム4が接着してある。図2(A)、(B)に示す吸着シート2や凹部3aは、強調するため若干厚く且つ大きく描いてある。なお、前記吸着シート2は樹脂製の薄紙で製作される。
【0018】
図3(A)は本発明の樹脂製シートの側面図であり、図3(B)は、図3(A)のP部拡大図である。この図に示すように、吸着盤シート2の他方側の面22に特殊な前記塗料3を塗布するだけで、該塗料3の表面にはμm単位の凹凸が形成される。
【0019】
前記吸着シート2は、図1に示すように、展示場会場において展示ボード1に貼り付けるが、その貼り付け方法は、吸着シート2に貼り付けたフィルム4を剥がし、抑えて接着するのみである。即ち、例えば展示ボード1に吸着シート2を貼り付けるには、滑らかな表面を有する展示ボード1に広げて押さえ、少し強い力で満遍なく押さえて行くと、塗料3の凹部3a、・・内の空気が押し出され、周囲より圧力が低くなり、外部から空気圧がかかって安定し、ぴたりと貼り付けられて安定し、落下することはない。
【0020】
図4(A)は本発明の樹脂製シートの側面図であり、図4(B)は、図4(A)のP部拡大図であり、図4(C)も本発明の樹脂製シート(吸着盤シート2)を展示用ボード1に吸着した状態の拡大図である。なお、これらの図は拡大した状態であっても内容を判りやすくするため若干大きく表示している。前記吸着シート2の塗料3に形成される凹部(セル吸盤)3a、、3a、・・を設けた一方側の面21(凹部3aの反対側の面)は滑らかな面であり、写真を印刷したり、文字や絵をきれいに描く面とするが、これも大きく(厚く)表示している。該吸着盤シート2の表面21は、写真や文字や絵が鮮やかに表示することができるため、種々の印象、表現例えば商品の宣伝を効果的に表示することが可能となる。
【0021】
本発明の展示方法において使用される吸着シート2は、未使用の状態では、吸着シート2に塗布した塗料3のセル吸盤(凹部3a)、3a、・・を形成した面に薄いフィルム4が吸着(接着)されている。使用する際には該フィルム4を剥がし、展示ボード1に貼り付けることとなる。この場合、図4(B)に示すように、フィルム4は凹凸はなく平坦である。また、図4(C)に示すように、展示ボード1の表面にも凹凸はなく滑らかな平坦状面である。したがって、吸着シート2は、糊付けする必要はなく手で剥がすのみであり、跡に糊等が付いていることもない。展示ボード1も糊付けする必要はなく、手で押すだけである。ただし、展示ボード1の表面は滑らかでほぼ凹凸のない面であることが必要である。
【0022】
前記吸着盤シート2の幅や高さ(広さ)は、未使用の状態では任意である。この場合、使用する予定の幅や高さに切断しておいてロール巻きにしておく。また、該 吸着盤シート2の表面(吸着盤の設けてある反対側には、展示する予定の大きさに合わせて写真や絵や文字を表示しておく。
【0023】
図5は本発明の吸着シート2の展示方法を示す例であって、商談会の会場などで本願発明の吸着シート2の展示方法用いて、一枚づつ商品やサービス毎に展示し、剥がして展示することも可能である。
【0024】
上記する展示ブースに設置する吸着シート2は、例えば一枚の大きな吸着シート2に表現して、展示ボード1の寸法に合わせてカットして吸着させることができる。或いは図1にも示すように、縦長の吸着シート2一枚を吸着させることもできる。或いは上半分のみ吸着させることもできる。このように、吸着シート2は分割したものを全体として一体の写真や絵のように表示させることもできる。更に、本発明の特徴は、展示ボード1に吸着シート2を貼り付けるとき、糊や接着剤等は不要であり、寸法通りカットしたものをそのまま貼り付けることができる点である。従って、商談会が終わり、吸着シート2が不要となれば、そのまま何の苦労も労力もなく、剥がして元のとおり仕舞うことができる点である。本発明によれば、展示会場やブースの組み立て、分解、仕舞い等が簡単となる。更に、次の会場でも何の苦労も労力もなく同じことを繰り返すだけで、次の展示会場をセットすることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 展示ボード
2 吸着シート
21 吸着シートの一方側の面
22 吸着シートの他方側の面
3 塗料
3a セル吸盤
4 フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に商品広告の文字や絵(写真)を表示すと共に、他方の面には塗布するだけで微小な吸着用凹凸面の凹部すなわち、セル吸盤が形成される塗料を用いる吸着シートを、滑らかな表面の板材(展示ボード)に貼付することを特徴とする吸着シートの展示方法。
【請求項2】
前記微小な吸着用凹凸面のセル吸盤の凹部径が数μm〜数十μmの径を有する塗料である請求項1に記載の吸着シートの展示方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−232593(P2011−232593A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103379(P2010−103379)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(507175739)有限会社太陽社 (1)
【Fターム(参考)】