説明

吸着シート

【課題】 両面に吸着層を有する吸着シートが壁面から剥取られる場合、及びティッシュペーパケース等の物品が剥取られる場合に、吸着シートが破れるのを防ぐことができるようにする。
【解決手段】 不織布からなるシート芯3の両面に、アクリル樹脂を主成分とし、且つ複数の微小気泡を有する吸着層1,2を接合することにより、吸着シートが壁面から剥取られる場合、及びティッシュペーパケース等の物品が吸着シートから剥取られる場合に、吸着シートが破れるのをシート芯3により防ぐことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面に吸着層を有する吸着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
吸着シートは例えば非特許文献1に記載されている。また、両面に微小気泡を有するアクリル樹脂からなり、一面を壁面に吸着固定し、他面にティッシュケース等の物品を吸着固定するように構成された吸着シートも知られている。
【非特許文献1】KOKUYO 2005 オフィスサプライズ編 コクヨ株式会社発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、両面に吸着面を有する吸着シートは、全体が合成樹脂製であるため、前記物品を交換すべく該物品を吸着シートから剥取る場合、及び吸着シートを洗うべく該吸着シートを壁面から剥取る場合、剥取力により吸着シートが破れ易く改善策が要望されていた。
【0004】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は両面の吸着層の間にシート芯を設けることにより、剥取られる場合に破れるのを防ぐことができる吸着シートを提供することにある。
【0005】
また、他の目的は不織布のシート芯の両側にアクリル樹脂を主成分とし、複数の微小気泡を有する吸着層を設けることにより、シート芯及び吸着層の接合強度を高めることができ、しかも、比較的薄くでき、また、比較的軽くできる吸着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る吸着シートは、両面に吸着層を有し、夫々の吸着層の間にシート芯を有することを特徴とする。
【0007】
第1発明にあっては、両面の吸着層がシート芯に結合されているため、物品が吸着シートから剥取られる場合、及び吸着シートが壁面から剥取られる場合に吸着シートが破れるのをシート芯により防ぐことができ、耐久性を高めることができる。
【0008】
第2発明に係る吸着シートは、前記シート芯は不織布であり、前記吸着層はアクリル樹脂を主成分とし、且つ複数の微小気泡を有することを特徴とする。
【0009】
第2発明にあっては、不織布のシート芯にアクリル樹脂の吸着層が接合されるため、シート芯及び吸着層の接合強度を高めることができる。しかも、シート芯が不織布であるため、比較的薄くでき、また、比較的軽くできる。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、吸着シートが破れるのをシート芯により防ぐことができ、耐久性を高めることができる。
【0011】
第2発明によれば、シート芯及び吸着層の接合強度を高めることができ、しかも、不織布のシート芯により比較的薄くでき、また、比較的軽くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は吸着シートの構成を示す斜視図、図2は吸着シートの構成を示す拡大断面図である。
【0013】
吸着シートは両面に吸着層1,2を有し、夫々の吸着層1,2の間にシート芯3が設けられている。
【0014】
このシート芯3はポリエステル等の熱可塑性繊維を互いにからませて集合してなる比較的薄肉の不織布からなり、適当な程度の撓み性を有する。
【0015】
吸着層1,2は粘着性を有するアクリル酸エステル共重合体及び熱可塑性繊維とよく相溶するメチルメタアクリレートブタジエン共重合体のエマルジョンに充填材を配合してなる合成樹脂材料が用いられる。
【0016】
吸着層1,2は次のような工程によって形成される。上述した合成樹脂材料の溶液をポンプによって送り出す送出路の中途に空気源に連通する撹拌室が設けてあり、該撹拌室に空気を吹き込みつつ撹拌室に供給された前記溶液を撹拌することによって該溶液を泡立たせ、この泡状溶液を前記送出路の出口からシート芯3の両面に塗布し、この塗布された泡状溶液をドクターブレードにより均した後、乾燥室で数分間乾燥させ、この後、乾燥室から取り出し、冷却することにより粘着性を有する状態で前記泡状溶液が硬化し、複数の微小気泡を有し、且つ表面の微小気泡が外部に開口する吸着層1,2が形成される。尚、シート芯3の両面に塗布された溶液の一部はシート芯3に浸透する。
【0017】
上述の吸着層1,2を形成するときの乾燥によって泡状の溶液のアクリル酸エステル共重合体とメチルメタアクリレートブタジエン共重合体とが化学反応して分子間に橋かけ結合が生じ、また、溶液の全ての泡部が微小気泡となる。この溶液のアクリル酸エステル共重合体とメチルメタアクリレートブタジエン共重合体との橋かけ結合によって吸着層1,2の保形性を高めることができる。しかも、微小気泡は夫々の吸着層1,2の表面にも生ずるため、吸着層1,2の一方を壁面に押付けることにより、その表面に開口する複数の微小気泡の夫々が内部空気を排出し、真空吸着作用をなし、この真空吸着作用及び前記粘着性が吸着層1,2の吸着性を高めており、また、ティッシュケース等の物品が吸着層1,2の他方に押付けられることにより、その表面に開口する複数の微小気泡の夫々が内部空気を排出し、真空吸着作用をなし、この真空吸着作用及び前記粘着性が吸着層1,2の吸着性を高めている。
【0018】
以上のようにシート芯3の両面に吸着層1,2が形成された吸着シートは適宜の形状に裁断される。例えば、ティッシュケース等の比較的重い物品を吸着固定する場合は、該物品の大きさ、重量に対応して比較的大形とし、また、ラップフィルム,アルミホイール等の比較的軽い物品を吸着固定する場合は、該物品の大きさ、重量に対応して比較的小形とする。
【0019】
図3、図4は本発明に係る吸着シートの使用状態を示す説明図である。以上のように構成された吸着シートは、一面の吸着層1を壁面、冷蔵庫の扉、テーブル等に押付けることにより、該吸着層1を壁面等に吸着固定することができる。また、適宜の物品を吸着シートに吸着固定する場合、該物品を他面の吸着層2に押付けることにより、該物品を吸着層2に吸着固定することができる。
【0020】
また、吸着固定されている物品を剥ぎ取ったり、吸着シートを壁面から剥ぎ取ったりする場合、吸着シートの両面の吸着層1,2間にシート芯3があり、該シート芯3に吸着層1,2が接合されているため、剥取力により吸着シートが破れるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る吸着シートの構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る吸着シートの構成を示す拡大断面図である。
【図3】本発明に係る吸着シートの使用状態を示す説明図である。
【図4】本発明に係る吸着シートの使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1、2 吸着層
3 シート芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に吸着層を有し、夫々の吸着層の間にシート芯を有することを特徴とする吸着シート。
【請求項2】
前記シート芯は不織布であり、前記吸着層はアクリル樹脂を主成分とし、且つ複数の微小気泡を有する請求項1記載の吸着シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−299452(P2006−299452A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121470(P2005−121470)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(596060594)株式会社サンコー (65)
【Fターム(参考)】