吸着フィルタ材料及びエアクリーナ
【課題】接着剤の塗布・乾燥という煩雑な工程を要することなく製造可能な構造であって、粒状活性炭同士を重ねることなく吸着容量の増大も可能な構造を吸着フィルタ材料に付与する。
【解決手段】吸着フィルタ材料は、第1の通気性カバーシート、通気性ホットメルトシート及び第2の通気性カバーシートが積層され、通気性ホットメルトシートと第2の通気性カバーシートとの間に粒状活性炭が挟持されてなるものである。通気性ホットメルトシートは、ホットメルト処理により粒状活性炭を固定すると共に、第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとを接着する。
【解決手段】吸着フィルタ材料は、第1の通気性カバーシート、通気性ホットメルトシート及び第2の通気性カバーシートが積層され、通気性ホットメルトシートと第2の通気性カバーシートとの間に粒状活性炭が挟持されてなるものである。通気性ホットメルトシートは、ホットメルト処理により粒状活性炭を固定すると共に、第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとを接着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリン、エタノール、軽油、重油等を燃料とする、4ストローク又は2ストロークレシプロエンジン、ロータリーエンジン、ガスタービンエンジンなどの各種内燃機関等のエアクリーナに用いる吸着フィルタ材料、及び当該エアクリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジンには、エンジン内に外気を導入する吸気系と、エンジン内で燃焼した排ガスを外部に排気する排気系とが配設されているが、吸気系の重要な部品としてエアクリーナがある。エアクリーナは、エンジンに供給されるべき外気からダストを除去するためのエアフィルタエレメントを備えている他、自動車エンジン休止時にエンジン内部から吸気系を介して漏れ出てくる燃料蒸気の大気への流出を防止すべく、炭化水素を吸着除去する吸着フィルタが設けられている。
【0003】
このような吸着フィルタとしては、多数の粒状活性炭を、不織布及び耐熱性ネットで両側から挟み込んだシート状吸着フィルタが提案されている(特許文献1)。この場合、粒状活性炭を固定するために、一対の対向する不織布のそれぞれの対向面に接着剤を塗布した後に、粒状活性炭を不織布で挟み込んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−276486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の吸着フィルタは、対向する不織布の両内面に接着剤層が形成されているため、その通気性が低下するという問題があった。また、接着剤の塗布工程、乾燥工程という煩雑な工程を要するという問題もあった。また、吸着容量の増大のために活性炭を増量すると、活性炭同士が重なり擦れ合い、活性炭の微粉末が生じるという問題もあった。
【0006】
本発明の目的は、以上の従来の技術の課題を解決しようとすることであり、接着剤の塗布・乾燥という煩雑な工程を要することなく製造可能な構造であって、粒状活性炭同士を重ねることなく吸着容量の増大も可能な構造を吸着フィルタ材料に付与することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、粒状活性炭から活性炭微粉末の形成を防止するためには、粒状活性炭が互いに接触しないように固定することが必要であるという観点から、接着剤を塗布することに代えて、吸着フィルタには従来用いられていないような、微細なホットメルト繊維を例えば蜘蛛の巣状もしくは網目状にシート化した通気性ホットメルトシートを使用することとした。更に、本発明者は、少なくとも一枚の通気性ホットメルトシートを一対の対向する通気性カバーシート間に挟み、その通気性ホットメルトシートと通気性カバーシートの間に粒状活性炭を挟持させ、ホットメルト処理することにより、粒状活性炭を固定できること、しかも、複数の通気性ホットメルトシートを使用することにより、粒状活性炭を吸着フィルタの厚み方向に互いになるべく直接重ならないように配して、吸着容量の増大を図ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、第1の通気性カバーシート、通気性ホットメルトシート及び第2の通気性カバーシートが積層され、少なくとも通気性ホットメルトシートと第2の通気性カバーシートとの間に粒状活性炭が挟持されてなる吸着フィルタ材料であって、該通気性ホットメルトシートがホットメルト処理により粒状活性炭を固定すると共に、第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとを接着していることを特徴とする吸着フィルタ材料を提供する。
【0009】
本発明は、この吸着フィルタ材料の好ましい態様として、特に内燃機関用のエアフィルタに適した態様として、第2の通気性カバーシートと粒状活性炭との間に、更に別の通気性ホットメルトシートが配置されている態様、即ち、第1の通気性カバーシート1、一対の通気性ホットメルトシート2、5及び第2の通気性カバーシート3が積層され、少なくとも一対の通気性ホットメルトシート2、5の間に粒状活性炭4が挟持されてなる吸着フィルタ材料であって、該通気性ホットメルトシート2、5がホットメルト処理により粒状活性炭4を固定すると共に、第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3とを接着していることを特徴とする吸着フィルタ材料を提供する。
【0010】
また、本発明は、第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとの間に、少なくとも3層の通気性ホットメルトシートが積層され、互いに隣接する通気性ホットメルトシートとの間に粒状活性炭が挟持されてなる吸着フィルタ材料であって、該通気性ホットメルトシートがホットメルト処理により粒状活性炭を固定すると共に、第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとを接着していることを特徴とする吸着フィルタ材料を提供する。
【0011】
更に、本発明は、第1の通気性カバーシートの上に、通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、その上に第2の通気性カバーシートを積層した後、得られた積層体に対し、通気性ホットメルトシートで粒状活性炭が固定され、且つ第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとが接着されるように、ホットメルト処理することを特徴とする吸着フィルタ材料の製造方法を提供する。
【0012】
加えて、本発明は、第1の通気性カバーシートの上に、通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、その上に別の通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、更に、その上に別の通気性ホットメルトシートを載せ、その上に第2の通気性カバーシートを積層した後、得られた積層体に対し、通気性ホットメルトシートで粒状活性炭が固定され、且つ第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとが接着されるように、ホットメルト処理することを特徴とする吸着フィルタ材料の製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、濾過すべき空気を導入する吸気孔と、濾過した空気を、それを必要とする装置に供給する排気孔とを有するハウジングと、ハウジング内部に設けられ、空気を濾過するエアフィルタエレメントとを有するエアクリーナであって、該ハウジング内において、エアフィルタエレメントの排気側に前述した吸着フィルタ材料からなる吸着フィルタエレメントが設けられていることを特徴とするエアクリーナを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吸着フィルタ材料は、少なくとも一枚の通気性ホットメルトシートを一対の対向する通気性カバーシート間に挟み、その通気性ホットメルトシートと通気性カバーシートの間に粒状活性炭を挟持させ、ホットメルト処理することにより、粒状活性炭を固定すると共に、一対の対向する通気性カバーシート同士を接着することができ、通気性や吸着性を損なうことなく、シート間の接着強度を向上させ、吸着フィルタ材料の振動耐久性を向上させることができる。しかも、複数の通気性ホットメルトシートを使用すれば、粒状活性炭を吸着フィルタの厚み方向に互いに直接重ならないように配して、吸着容量の増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の吸着フィルタ材料の概略断面図である。
【図2】本発明の吸着フィルタ材料の概略断面図である。
【図3】スパンボンド不織布のデジタル写真である。
【図4】通気性ホットメルトシートを構成する繊維2aと粒状活性炭4との関係を平面方向から見た概略図である。
【図5】本発明の吸着フィルタ材料の概略断面図である。
【図6】本発明の吸着フィルタ材料の概略断面図である。
【図7】本発明の吸着フィルタ材料の概略断面図である。
【図8】本発明の吸着フィルタ材料の製造工程説明図である。
【図9】フレーム状スペーサー治具の斜視図である。
【図10】本発明の吸着フィルタ材料の製造工程説明図である。
【図11】吸着フィルタエレメントを内蔵したエアクリーナの概略断面図である。
【図12】吸着フィルタエレメントを内蔵したエアクリーナの概略断面図である。
【図13】吸着フィルタエレメントを内蔵したエアクリーナの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の吸着フィルタ材料の実施態様の一例の断面図である。この吸着フィルタ材料10は、第1の通気性カバーシート1、通気性ホットメルトシート2及び第2の通気性カバーシート3が積層され、通気性ホットメルトシート2と第2の通気性カバーシート3との間に粒状活性炭4が挟持された構造を有する。粒状活性炭4は、互いに擦れあって微粉末を生じないように、互いに接触しないように挟持されていることが好ましい。そして、通気性ホットメルトシート2が、ホットメルト処理により粒状活性炭4を固定すると共に、第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3とを接着している。この場合、隣接する粒状活性炭4の間の通気性ホットメルトシート2が第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3とを接着していることになる。このような構造により、高振動環境下において、粒状活性炭の脱落も大いに抑制もしくは防止することができ、第1の通気性カバーシート1及び第2の通気性カバーシート3の剥離も大いに抑制もしくは防止することができる。
【0018】
なお、図1では、通気性ホットメルトシート2と第2の通気性カバーシート3との間に粒状活性炭4が挟持された構造を有するが、更に、通気性ホットメルトシート2と第1の通気性カバーシート1との間にも粒状活性炭4が挟持された構造としてもよい(図示せず)。
【0019】
図1の吸着フィルタ材料10の場合、粒状活性炭4同士が近接してくると、第2の通気性カバーシート3に接触する通気性ホットメルトシート2の領域が小さくなるので、図2に示すように、第2の通気性カバーシート3と粒状活性炭4との間に、更に別の通気性ホットメルトシート5を配置することが好ましい。具体的には、図2の吸着フィルタ材料10は、第1の通気性カバーシート1、一対の通気性ホットメルトシート2、5及び第2の通気性カバーシート3が積層され、少なくとも一対の通気性ホットメルトシート2、5の間に粒状活性炭4が挟持されてなる吸着フィルタ材料であって、該通気性ホットメルトシート2、5がホットメルト処理により粒状活性炭4を固定すると共に、第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3とを接着している構造を有する。かかる構造においては、粒状活性炭4は、一対の通気性ホットメルトシート2、5でしっかりと挟持保持される。また、通気性ホットメルトシート2、5同士が粒状活性炭4以外の領域でしっかりと接着する。従って、一対の通気性ホットメルトシート2、5で挟持する粒状活性炭4の量を増大させることができる。また、図2の吸着フィルタ材料を高振動環境下に置いても、図1の吸着フィルタ材料に比べ、粒状活性炭4が脱落することをいっそう抑制もしくは防止することができ、しかも、通気性ホットメルトシート2、5同士が剥離することもいっそう抑制もしくは防止することができる。更に、第1の通気性カバーシート1は、通気性ホットメルトシート2の片全面と接着され、他方第2の通気性カバーシート3は、通気性ホットメルトシート5の片全面と接着されるので、第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3とが、吸着フィルタ材料から剥離することを大いに抑制もしくは防止することができる。このように、図2の吸着フィルタ材料は、吸着性能と振動耐久性とが大幅に向上したものとなるので、自動車等の内燃機関用のエアフィルタに特に適したものとなる。
【0020】
第1の通気性カバーシート1及び第2の通気性カバーシート3は、粒状活性炭4を保持する部材である。両者は同一でも異なっていてもよい。このような通気性カバーシートとしては、耐熱性を有する繊維材料から形成されているものが好ましく、例えば、融点が150℃以上のポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ビニロン繊維、これらの混合繊維等の織布シートまたは不織布シートが挙げられる。これらの繊維もしくは混合繊維のシート化は、スパンボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法、バインダー結着法、熱融着法、湿式抄紙法、スパンレース法等の公知のシート化法の中から、使用する繊維やカバーシートの要求特性等に応じて適宜選択した方法により行うことができる。
【0021】
第1、第2の通気性カバーシート1、3を構成する繊維の平均繊度は、細すぎると通気抵抗大となり、太すぎると活性炭の保持力不足となるので、好ましくは3.3〜22dtex、より好ましくは5.5〜17dtexである。
【0022】
第1、第2の通気性カバーシート1、3の繊維目付量は、少なすぎると活性炭保持力不足、剛性不足となり、多すぎると通気抵抗大となるので、好ましくは20〜42g/m2好、より好ましくは23〜36g/m2である。
【0023】
第1、第2の通気性カバーシート1、3の剛性を改善するために、通気性カバーシート1、3における繊維間を、耐熱性のアクリル酸エステル系バインダで結着することが好ましい。通常、バインダ量は繊維量の0.4〜1.0倍である。
【0024】
第1、第2の通気性カバーシート1、3のカバーファクタは、それが小さすぎると、粒状活性炭が意図せずに微粉末化した場合に、外部に活性炭微粉末が漏れるおそれがあり、多すぎると目詰まりが生じるおそれがあるので、好ましくは0.72〜1.39である。ここで、カバーファクタ(K)は、具体的には以下の式(1)で算出される数値である。
【0025】
【数1】
【0026】
式(1)中、Wは繊維目付(g/m2)であり、ρは繊維の比重であり、dは繊度(デニール)である。
【0027】
第1、第2の通気性カバーシート1、3の通気性の程度に関し、できるだけ気体の通過を阻害しないことが好ましいが、粒状活性炭4の保持特性等とのバランスを考慮すると、JIS L1096のフラジール法によるそれぞれの通気度は好ましくは1000〜2000ml/cm2/sec、より好ましくは1200〜1900ml/cm2/secである。
【0028】
第1、第2の通気性カバーシート1、3の厚みは、通常0.40〜0.70mm、好ましくは0.45〜0.65mmである。
【0029】
通気性ホットメルトシート2は、熱板による加熱加圧、熱風加熱、超音波加熱等によるホットメルト処理により少なくとも一部が溶融して粒状活性炭4に付着し固定すると共に、第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3とを接着させるためのものである。このような通気性ホットメルトシート2としては、メルトフローインデックス(160℃又は190℃での測定)が低すぎるとホットメルト成分のカバー材へのしみだしが生じ、高過ぎると接着不良となるので、好ましくは8〜50g/10分、より好ましくは10〜40g/10分のメルトフローインデックスを有するものが好ましい。このような通気性ホットメルトシート2としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂から調製されたスパンボンド不織布が好ましく挙げられる。特に、図3(スパンボンド不織布のデジタル写真)に示すような状態に構成されたスパンボンド不織布が好ましい。図3のような繊維結着状態の不織布は、一般に、蜘蛛の巣状あるいは網目状不織布とも称されており、構成繊維として好ましくは約120℃以下の低融点繊維を使用した場合には、低融点不織布ネットとも称されている。図4に、通気性ホットメルトシートを構成する繊維2aと粒状活性炭4との関係を平面方向から見た概略図を示す。
【0030】
通気性ホットメルトシート2を構成する繊維2aの平均繊度は、細すぎると通気抵抗大となり、太すぎると活性炭保持力が小となるので、好ましくは3.3〜22dtex、より好ましくは5.5〜17dtexである。
【0031】
通気性ホットメルトシート2の繊維目付量は、少なすぎると活性炭保持力不足、剛性不足となり、多すぎると通気抵抗大となるので、好ましくは15〜42g/m2、より好ましくは20〜36g/m2である。
【0032】
通気性ホットメルトシート2の空隙率は、小さすぎると通気抵抗が大きくなり、大きすぎると活性炭保持力が小さくなるので、好ましくは78〜94%、より好ましくは79.5〜93.0%である。ここで、空隙率は、具体的には以下の式(2)で算出される数値である。
【0033】
【数2】
【0034】
式(2)中、ρは通気性ホットメルトシートの目付量(g/m2)を厚み(m)で除した値であり、dは通気性ホットメルトシートの比重である。
【0035】
通気性ホットメルトシート2の通気性の程度に関し、できるだけ気体の通過を阻害しないことが好ましいが、粒状活性炭4の固定安定性や第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3との間の接着の安定性等を考慮すると、通気度は好ましくは600〜3600ml/cm2/sec、より好ましくは650〜3000ml/cm2/secである。
【0036】
通気性ホットメルトシート2の厚みは、通常0.14〜0.25mm、好ましくは0.15〜0.22mmである。
【0037】
粒状活性炭4の形状として、球状、直方体状、円柱状、不定形状等が挙げられる。好ましくは、直径2〜4mmの球状もしくは底面直径2〜4mmで高さ2〜5mmの略円柱状のペレット、4mm×4mmの篩を通り抜け且つ1.7mm×1.7mmの篩を通り抜けない大きさの不定形の破砕活性炭を好ましく使用できる。
【0038】
図5に、本発明の吸着フィルタ材料の別の態様を示す。この態様では、第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3との間に、3枚の通気性ホットメルトシート2、5、6が積層され、互いに隣接する通気性ホットメルトシート(2と5;5と6)の間に粒状活性炭4、7が挟持されている。いわば粒状活性炭4、7が2層化した態様となっている。この態様でも、図1の態様と同様に、通気性ホットメルトシート2、5、6がホットメルト処理により粒状活性炭4、7を固定すると共に、第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3とを接着している。4枚の通気性ホットメルトシートを使用すれば、粒状活性炭を3層化することが可能となる。
【0039】
図5の吸着フィルタ材料は、図2の態様の吸着フィルタ材料における粒状活性炭4が単層であるところ、その高い吸着性能と振動耐久性とを保持したまま、粒状活性炭4の層と粒状活性炭7の層とに二層化した態様に相当する。従って、図5の吸着フィルタ材料は、図2の吸着フィルタ材料の場合よりも、粒状活性炭を多量に保持することができ、吸着性能をより向上させることができ、特に内燃機関用のエアフィルタとして適したものとなる。
【0040】
なお、図5の態様において、通気性ホットメルトシート6を、発明の効果が損なわれない限り図6のように省略してもよい。
【0041】
粒状活性炭を多層化した態様においては、粒状活性炭を、層方向では互いに接触しないように挟持し、且つ厚み方向では中央の通気性ホットメルトシートを介して互いに重ならないように挟持することが好ましい。
【0042】
また、図5の吸着フィルタ材料に対し、図7に示す様に、第2の通気性カバーシート3とそれに隣接する通気性ホットメルトシート6との間に粒状活性炭8を配してもよい。また、第1の通気性カバーシート1と通気性ホットメルトシート2との間に、粒状活性炭を更に配してもよい(図示せず)。これらの場合も、粒状活性炭が、層方向では互いに接触しないように挟持され、且つ厚み方向では中央の通気性ホットメルトシートを介して互いに重ならないように挟持されていることが好ましいが、2枚以上の通気性ホットメルトシートを間に介すれば、厚み方向で重なってもよい。2枚以上の通気性ホットメルトシートを間に介すれば、粒状活性炭の破砕の可能性が大きく低下するからである。
【0043】
次に本発明の吸着フィルタ材料の製造方法を説明する。
【0044】
図1に示す吸着フィルタ材料は、以下に説明するように製造することができる。即ち、第1の通気性カバーシートの上に、通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、その上に第2の通気性カバーシートを積層した後、得られた積層体に対し、通気性ホットメルトシートで粒状活性炭が固定され、且つ第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとが接着されるように、ホットメルト処理することにより製造することができる。この場合、粒状活性炭を、通気性ホットメルトシート上に互いに接触しないように配することが好ましい。
【0045】
粒状活性炭上に、別の通気性ホットメルトシートを載せてホットメルト処理すれば、図2の態様の吸着フィルタ材料を製造することができる。
【0046】
ホットメルト処理の具体例としては、図8に示す様に、互いに対向する板20、21で積層体30を挟持して加熱する処理が挙げられる。この場合、互いに対向する板20、21の少なくとも一方が熱板である。
【0047】
ところで、熱板を使用するホットメルト処理の場合、粒状活性炭が熱板の圧力で潰されてしまうことが懸念される。そこで、図9に示すような鉄やステンレス等の金属からなるフレーム状スペーサー治具40を、図10に示すように、互いに対向する板20、21の間に配して行うことが好ましい。このようなフレーム状スペーサー治具40の厚みは、熱板のクリアランス高さになる。なお、このクリアランス高さ(フレーム状スペーサー治具40の厚み)は、粒状活性炭の大きさやその積層化の程度等により調整する必要がある。例えば、前述した円柱状ペレットサイズの粒状活性炭の量が150〜400g/m2程度である場合には、0.8〜2mmが好ましく、400〜600g/m2程度である場合には、2.0〜4.5mmが好ましい。
【0048】
また、図10にあるように、フレーム状スペーサー治具40と熱板20との間に挟まれた積層体の部分は、扁平に圧着され、粒状活性炭が誤って外にこぼれることを防止する。なお、この扁平に圧着された部分には粒状活性炭を存在させないことが好ましい。粒状活性炭の微粉末が生じることを防ぐためである。
【0049】
また、図5の吸着フィルタ材料は、第1の通気性カバーシートの上に、通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、その上に別の通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、更に、その上に別の通気性ホットメルトシートを載せ、その上に第2の通気性カバーシートを積層した後、得られた積層体に対し、通気性ホットメルトシートで粒状活性炭が固定され、且つ第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとが接着されるように、前述で説明したホットメルト処理することにより製造することができる。このとき、粒状活性炭を、層方向では互いに接触しないように配し、且つ厚み方向では中央の通気性ホットメルトシートを介して互いに重ならないように配することが好ましい。
【0050】
以上説明した本発明の吸着フィルタ材料は、良好な吸着性能と振動耐久性を示すので、各種内燃機関のエアクリーナ用フィルタばかりでなく、自動車等の車室内の空気を清浄化するためのエアフィルタ、キャビンフィルタ、住宅やオフィス等で使用される空気清浄機用フィルタ、エアコン用フィルタ、OA機器の吸気・排気フィルタ、ビル空調用フィルタ、産業用クリーンルーム用フィルタ等にも使用できる。中でも、公知の自動車用エアクリーナ(例えば、特開平4−27404号公報の図1、図2)のフィルタエレメントと共に好適に使用できる。
【0051】
本発明の吸着フィルタ材料を使用してエアクリーナを構成した例を以下に説明する。このエアクリーナも本発明の一態様である。
【0052】
図11のエアクリーナ100は、濾過すべき空気を導入する吸気孔110と、濾過した空気を、それを必要とする内燃機関などの装置(図示せず)に供給する排気孔120とを有するハウジング130と、ハウジング130内部に設けられ、空気を濾過するエアフィルタエレメント140とを有するものである。このエアクリーナ100においては、エアフィルタエレメント140の排気側に本発明の吸着フィルタ材料からなる吸着フィルタエレメント150が設けられている。吸着フィルタエレメント150は、吸着フィルタ材料をエアクリーナ100の構造に適用できるような大きさ・形状に切り出したものであり、必要に応じて、カット箇所から粒状活性炭がこぼれ落ちないようにヒートシール処理をしたものである。かかるエアクリーナ100は、空気中のダストを除去するとともに吸着フィルタエレメント150の素材として、良好なシート間強度と振動耐久性とを示す本発明の吸着フィルタ材料を使用しているので、排気側から逆流してくる炭化水素等を効率よく除去することが可能である。
【0053】
なお、ハウジング130は、必要に応じて吸気側ハウジング130aと排気側ハウジング130bとに分割できるようにしてもよく、3パーツ以上に分割してもよい。また、エアフィルタエレメント140としては、従来公知のものを適用することができ、例えば、不織布濾材をプリーツ加工したもの等を使用することができる。
【0054】
図11の態様では、ハウジング130を2分割し、それらの間に吸着フィルタエレメント150を挟持しているが、図12に示すように、吸着フィルタエレメント150を排気側ハウジング130bの内壁に固定してもよく、図13に示すように、排気孔120の内壁に固定してもよい。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。以下の実施例において使用した通気性カバーシート、通気性ホットメルトシート、粒状活性炭は以下の通りである。
【0056】
参考例1(通気性カバーシート)
17dtexのビニロン(軟化点220〜230℃)30質量%と、7.8dtexのビニロン(軟化点220〜230℃)20質量%と、6.6dtexのポリエステル(融点260℃)50質量%とからなる繊維ウェブをレジンボンド法によりシート化し(具体的には、繊維ウェブにアクリル酸エステル系バインダを含浸、乾燥させてシート化し)、目付量41g/m2の通気性カバーシートを得た。アクリル酸エステル系バインダの付着量は、通気性カバーシート全体の40質量%であった。従って、得られた通気性カバーシートの繊維目付量は24.6g/m2であった。また、通気性カバーシートの平均繊度は、9.96dtexであり、カバーファクタは0.82であり、厚みは0.53mmであった。また、通気度は、1800ml/cm2/secであった。
【0057】
参考例2(通気性ホットメルトシート)
通気性ホットメルトシートとして以下の(2a)〜(2g)を使用した。
【0058】
(2a) ポリアミドシートa
通気度: 2310ml/cm2/sec
目付量: 15g/m2
融点: 115℃
メルトフローインデックス(160℃): 17g/10分
加工適温度: 140〜160℃
【0059】
(2b) ポリアミドシートb
通気度: 2130ml/cm2/sec
目付量: 20g/m2
融点: 115℃
メルトフローインデックス(160℃): 8g/10分
加工適温度: 150〜180℃
【0060】
(2c) ポリアミドシートc
通気度: 1436ml/cm2/sec
目付量: 25g/m2
融点: 115℃
メルトフローインデックス(160℃): 11g/10分
加工適温度: 145〜170℃
【0061】
(2d) ポリアミドシートd
通気度: 2110ml/cm2/sec
目付量: 10g/m2
融点: 85℃
メルトフローインデックス(160℃): 60g/10分
加工適温度: 100〜120℃
【0062】
(2e) ポリエステルシートe
通気度: 2736ml/cm2/sec
目付量: 25g/m2
融点: 150℃
メルトフローインデックス(190℃): 40g/10分
加工適温度: 160〜190℃
【0063】
(2f) ポリエステルシートf
通気度: 2340ml/cm2/sec
目付量: 20g/m2
融点: 120℃
メルトフローインデックス(160℃): 22g/10分
加工適温度: 140〜160℃
【0064】
(2g) エチレン−オクテン共重合体シートg
通気度: 672ml/cm2/sec
目付量: 20g/m2
融点: 98℃
メルトフローインデックス(190℃): 30g/10分
加工適温度: 120〜140 ℃
【0065】
参考例3(粒状活性炭)
実施例には、BWC(ブタン・ワーキング・キャパシティー)値が11〜15g/dlであって且つ比表面積が1500〜2000m2/gである、キャニスタに用いられる活性炭である木質系活性炭を、粒状活性炭として使用した。
【0066】
実施例1〜67
表1に示す組み合わせと条件に従い、参考例1〜3の材料を用いて図1(活性炭量150g/m2)、図2(活性炭量300g/m2)、図5(活性炭量450g/m2)、図7(活性炭量600g/m2)の構造の吸着フィルタ材料を、図8に示すような一対の熱板と図9に示す鉄製のフレーム状スペーサー治具とを用いて、表1の加工温度と加工時間で図10に示すようにホットメルト処理をすることにより作成した。
【0067】
なお、実施例1〜52及び54の吸着フィルタ材料を作成する際に使用したフレーム状スペーサー治具の厚みは1.1mmであり、実施例58及び64の吸着フィルタ材料を作成する際に使用したフレーム状スペーサー治具の厚みは2.0mmであり、実施例53、55〜57、59〜63、65〜67の吸着フィルタ材料を作成する際に使用したフレーム状スペーサー治具の厚みは2.2mmであった。
【0068】
【表1】
【0069】
(評価)
<吸着フィルタ材料の固定接着状態>
実施例1〜67の吸着フィルタ材料について、使用している粒状活性炭がシートに固定化され(振動耐久性)、シートが簡単に剥離することなく接着しているか否か(シート間接着性)、吸着フィルタ材料の表面や断面を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。その結果、表2に示したように、実施例1〜67の吸着フィルタ材料は、いずれもB以上の好ましい評価結果であった。特に、実施例19、35、52、53、62及び66の吸着フィルタ材料については、AAという非常に好ましい評価結果であった。
【0070】
ランク 基準
AA: 活性炭がシートとの間で固定されており、吸着フィルタ材料を振っても活性炭は動かず、つぶれもなく、シート間を引っ張っても剥れず材料全体として接着されているもの。
A: 活性炭がシートとの間で固定されており、吸着フィルタ材料を振っても活性炭は動かず、つぶれもなく、シート間を引っ張っても剥れにくく材料全体として接着されているもの。
B: 活性炭がシートとの間で固定されており、吸着フィルタ材料を振っても活性炭は動かず、つぶれもないが、シート間を引っ張って剥すと一部の活性炭に脱落が見られるもの。
C: 活性炭がシートとの間で固定されておらず、吸着フィルタ材料を振ると活性炭が動き、シート間を引っ張ると剥れやすく材料全体としての接着が不十分なもの。
【0071】
<吸着フィルタ材料の通気度>
実施例1〜67の吸着フィルタ材料について、フラジール法(JIS L1096)に従って通気度を測定した。その結果、実施例1〜67の吸着フィルタ材料は、いずれも250ml/cm2/sec以上の通気度を示し、実用上好ましい通気度であった。
【0072】
<吸着フィルタ材料の炭化水素吸着特性>
実施例1〜67の吸着フィルタ材料について、キャニスターのガソリン吸着評価に用いられる炭化水素回収装置を使用し、炭化水素としてn−ブタンの吸着特性評価を行った。その結果、実施例1〜67の吸着フィルタ材料では、炭化水素100mgが炭化水素回収装置から抜け出すまでの間に、吸着フィルタ材料が炭化水素を0.30mg以上吸収し、実用上好ましい吸着特性を有していた。
【0073】
【表2】
【0074】
実施例68
参考例1の通気性カバーシートと、参考例2の(2c)通気性ホットメルトシートと、参考例3の粒状活性炭とを用い、プレス温度120℃、プレス時間30秒というプレス条件で図2(活性炭量150g/m2)の構造の吸着フィルタ材料を得た。なお、使用したスペーサー治具の厚みは1.1mmであった。
【0075】
実施例69
参考例1の通気性カバーシートと、参考例2の(2c)通気性ホットメルトシートと、参考例3の粒状活性炭とを用い、プレス温度150℃、プレス時間30秒というプレス条件で図1(活性炭量300g/m2)の構造の吸着フィルタ材料を得た。なお、使用したスペーサー治具の厚みは2.0mmであった。
【0076】
実施例70
参考例1の通気性カバーシートと、参考例2の(2c)通気性ホットメルトシートと、参考例3の粒状活性炭とを用い、プレス温度120℃、プレス時間30秒というプレス条件で図2(活性炭量450g/m2)の構造の吸着フィルタ材料を得た。なお、使用したスペーサー治具の厚みは2.2mmであった。
【0077】
(評価)
<吸着フィルタ材料の固定接着状態>
実施例68〜70の吸着フィルタ材料について、実施例1〜67の場合と同様に、吸着フィルタ材料の固定接着状態(振動耐久性、シート間接着性)を評価した。その結果、実施例68の吸着フィルタ材料はAAという非常に好ましい評価結果であり、実施例69及び70の吸着フィルタ材料は共にAという評価結果であった。
【0078】
なお、実施例69(図1、活性炭量300g/m2)の吸着フィルタ材料と、実施例52(図2、活性炭量300g/m2)の吸着フィルタ材料とを比較した場合、活性炭量は共に300g/m2で同じであるが、前者がA評価であり、後者がAA評価であったことから、粒状活性炭を両側から通気性ホットメルトシートで挟み込んだ実施例52の吸着フィルタ材料の方が、実施例69の吸着フィルタ材料よりも評価吸着性能と振動耐久性とがより優れていたことがわかる。従って、実施例69の吸着フィルタ材料よりも、実施例52の吸着フィルタ材料の方が、特に、内燃機関用フィルタとして適していることがわかった。
【0079】
また、実施例70(図2、活性炭量450g/m2)の吸着フィルタ材料と、実施例62(図5、活性炭量450g/m2)の吸着フィルタ材料とを比較した場合も、活性炭量は共に450g/m2で同じであるが、前者がA評価であり、後者がAA評価であったことから、粒状活性炭を多層化した実施例62の吸着フィルタ材料の方が、吸着性能と振動耐久性とがより優れていた。従って、実施例70の吸着フィルタ材料よりも、実施例62の吸着フィルタ材料の方が、特に、内燃機関用フィルタとして適していることがわかった。
【0080】
<吸着フィルタ材料の通気度>
実施例68〜70の吸着フィルタ材料について、実施例1〜67の場合と同様に、通気度を測定した。その結果、実施例68〜70の吸着フィルタ材料は、いずれも250ml/cm2/sec以上の通気度を示し、実用上好ましい通気度であった。
【0081】
<吸着フィルタ材料の炭化水素吸着特性>
実施例68〜70の吸着フィルタ材料について、実施例1〜67の場合と同様に、n−ブタンの吸着特性評価を行った。その結果、実施例68〜70の吸着フィルタ材料では、炭化水素100mgが炭化水素回収装置から抜け出すまでの間に、吸着フィルタ材料が炭化水素を0.30mg以上吸収し、実用上好ましい吸着特性を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の吸着フィルタ材料においては、少なくとも一枚の通気性ホットメルトシートが一対の対向する通気性カバーシート間に挟持され、その通気性ホットメルトシートと通気性カバーシートの間に粒状活性炭が挟持され、ホットメルト処理により、粒状活性炭が固定されると共に、一対の対向する通気性カバーシート同士が接着されている。しかも、複数の通気性ホットメルトシートを使用すれば、粒状活性炭を吸着フィルタの厚み方向に互いに直接重ならないように配して、吸着容量の増大を図ることができる。従って、本発明の吸着フィルタ材料は、各種内燃機関のエアクリーナに用いる吸着フィルタ材料として有用である。
【符号の説明】
【0083】
1 第1の通気性カバーシート
2、5、6 通気性ホットメルトシート
2a 繊維
3 第2の通気性カバーシート
4、7、8 粒状活性炭
10 吸着フィルタ材料
20、21 板
30 積層体
40 フレーム状スペーサー治具
100 エアクリーナ
110 吸気孔
120 排気孔
130 ハウジング
130a 吸気側ハウジング
130b 排気側ハウジング
140 エアフィルタエレメント
150 吸着フィルタエレメント
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリン、エタノール、軽油、重油等を燃料とする、4ストローク又は2ストロークレシプロエンジン、ロータリーエンジン、ガスタービンエンジンなどの各種内燃機関等のエアクリーナに用いる吸着フィルタ材料、及び当該エアクリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジンには、エンジン内に外気を導入する吸気系と、エンジン内で燃焼した排ガスを外部に排気する排気系とが配設されているが、吸気系の重要な部品としてエアクリーナがある。エアクリーナは、エンジンに供給されるべき外気からダストを除去するためのエアフィルタエレメントを備えている他、自動車エンジン休止時にエンジン内部から吸気系を介して漏れ出てくる燃料蒸気の大気への流出を防止すべく、炭化水素を吸着除去する吸着フィルタが設けられている。
【0003】
このような吸着フィルタとしては、多数の粒状活性炭を、不織布及び耐熱性ネットで両側から挟み込んだシート状吸着フィルタが提案されている(特許文献1)。この場合、粒状活性炭を固定するために、一対の対向する不織布のそれぞれの対向面に接着剤を塗布した後に、粒状活性炭を不織布で挟み込んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−276486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の吸着フィルタは、対向する不織布の両内面に接着剤層が形成されているため、その通気性が低下するという問題があった。また、接着剤の塗布工程、乾燥工程という煩雑な工程を要するという問題もあった。また、吸着容量の増大のために活性炭を増量すると、活性炭同士が重なり擦れ合い、活性炭の微粉末が生じるという問題もあった。
【0006】
本発明の目的は、以上の従来の技術の課題を解決しようとすることであり、接着剤の塗布・乾燥という煩雑な工程を要することなく製造可能な構造であって、粒状活性炭同士を重ねることなく吸着容量の増大も可能な構造を吸着フィルタ材料に付与することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、粒状活性炭から活性炭微粉末の形成を防止するためには、粒状活性炭が互いに接触しないように固定することが必要であるという観点から、接着剤を塗布することに代えて、吸着フィルタには従来用いられていないような、微細なホットメルト繊維を例えば蜘蛛の巣状もしくは網目状にシート化した通気性ホットメルトシートを使用することとした。更に、本発明者は、少なくとも一枚の通気性ホットメルトシートを一対の対向する通気性カバーシート間に挟み、その通気性ホットメルトシートと通気性カバーシートの間に粒状活性炭を挟持させ、ホットメルト処理することにより、粒状活性炭を固定できること、しかも、複数の通気性ホットメルトシートを使用することにより、粒状活性炭を吸着フィルタの厚み方向に互いになるべく直接重ならないように配して、吸着容量の増大を図ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、第1の通気性カバーシート、通気性ホットメルトシート及び第2の通気性カバーシートが積層され、少なくとも通気性ホットメルトシートと第2の通気性カバーシートとの間に粒状活性炭が挟持されてなる吸着フィルタ材料であって、該通気性ホットメルトシートがホットメルト処理により粒状活性炭を固定すると共に、第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとを接着していることを特徴とする吸着フィルタ材料を提供する。
【0009】
本発明は、この吸着フィルタ材料の好ましい態様として、特に内燃機関用のエアフィルタに適した態様として、第2の通気性カバーシートと粒状活性炭との間に、更に別の通気性ホットメルトシートが配置されている態様、即ち、第1の通気性カバーシート1、一対の通気性ホットメルトシート2、5及び第2の通気性カバーシート3が積層され、少なくとも一対の通気性ホットメルトシート2、5の間に粒状活性炭4が挟持されてなる吸着フィルタ材料であって、該通気性ホットメルトシート2、5がホットメルト処理により粒状活性炭4を固定すると共に、第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3とを接着していることを特徴とする吸着フィルタ材料を提供する。
【0010】
また、本発明は、第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとの間に、少なくとも3層の通気性ホットメルトシートが積層され、互いに隣接する通気性ホットメルトシートとの間に粒状活性炭が挟持されてなる吸着フィルタ材料であって、該通気性ホットメルトシートがホットメルト処理により粒状活性炭を固定すると共に、第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとを接着していることを特徴とする吸着フィルタ材料を提供する。
【0011】
更に、本発明は、第1の通気性カバーシートの上に、通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、その上に第2の通気性カバーシートを積層した後、得られた積層体に対し、通気性ホットメルトシートで粒状活性炭が固定され、且つ第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとが接着されるように、ホットメルト処理することを特徴とする吸着フィルタ材料の製造方法を提供する。
【0012】
加えて、本発明は、第1の通気性カバーシートの上に、通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、その上に別の通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、更に、その上に別の通気性ホットメルトシートを載せ、その上に第2の通気性カバーシートを積層した後、得られた積層体に対し、通気性ホットメルトシートで粒状活性炭が固定され、且つ第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとが接着されるように、ホットメルト処理することを特徴とする吸着フィルタ材料の製造方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、濾過すべき空気を導入する吸気孔と、濾過した空気を、それを必要とする装置に供給する排気孔とを有するハウジングと、ハウジング内部に設けられ、空気を濾過するエアフィルタエレメントとを有するエアクリーナであって、該ハウジング内において、エアフィルタエレメントの排気側に前述した吸着フィルタ材料からなる吸着フィルタエレメントが設けられていることを特徴とするエアクリーナを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吸着フィルタ材料は、少なくとも一枚の通気性ホットメルトシートを一対の対向する通気性カバーシート間に挟み、その通気性ホットメルトシートと通気性カバーシートの間に粒状活性炭を挟持させ、ホットメルト処理することにより、粒状活性炭を固定すると共に、一対の対向する通気性カバーシート同士を接着することができ、通気性や吸着性を損なうことなく、シート間の接着強度を向上させ、吸着フィルタ材料の振動耐久性を向上させることができる。しかも、複数の通気性ホットメルトシートを使用すれば、粒状活性炭を吸着フィルタの厚み方向に互いに直接重ならないように配して、吸着容量の増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の吸着フィルタ材料の概略断面図である。
【図2】本発明の吸着フィルタ材料の概略断面図である。
【図3】スパンボンド不織布のデジタル写真である。
【図4】通気性ホットメルトシートを構成する繊維2aと粒状活性炭4との関係を平面方向から見た概略図である。
【図5】本発明の吸着フィルタ材料の概略断面図である。
【図6】本発明の吸着フィルタ材料の概略断面図である。
【図7】本発明の吸着フィルタ材料の概略断面図である。
【図8】本発明の吸着フィルタ材料の製造工程説明図である。
【図9】フレーム状スペーサー治具の斜視図である。
【図10】本発明の吸着フィルタ材料の製造工程説明図である。
【図11】吸着フィルタエレメントを内蔵したエアクリーナの概略断面図である。
【図12】吸着フィルタエレメントを内蔵したエアクリーナの概略断面図である。
【図13】吸着フィルタエレメントを内蔵したエアクリーナの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の吸着フィルタ材料の実施態様の一例の断面図である。この吸着フィルタ材料10は、第1の通気性カバーシート1、通気性ホットメルトシート2及び第2の通気性カバーシート3が積層され、通気性ホットメルトシート2と第2の通気性カバーシート3との間に粒状活性炭4が挟持された構造を有する。粒状活性炭4は、互いに擦れあって微粉末を生じないように、互いに接触しないように挟持されていることが好ましい。そして、通気性ホットメルトシート2が、ホットメルト処理により粒状活性炭4を固定すると共に、第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3とを接着している。この場合、隣接する粒状活性炭4の間の通気性ホットメルトシート2が第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3とを接着していることになる。このような構造により、高振動環境下において、粒状活性炭の脱落も大いに抑制もしくは防止することができ、第1の通気性カバーシート1及び第2の通気性カバーシート3の剥離も大いに抑制もしくは防止することができる。
【0018】
なお、図1では、通気性ホットメルトシート2と第2の通気性カバーシート3との間に粒状活性炭4が挟持された構造を有するが、更に、通気性ホットメルトシート2と第1の通気性カバーシート1との間にも粒状活性炭4が挟持された構造としてもよい(図示せず)。
【0019】
図1の吸着フィルタ材料10の場合、粒状活性炭4同士が近接してくると、第2の通気性カバーシート3に接触する通気性ホットメルトシート2の領域が小さくなるので、図2に示すように、第2の通気性カバーシート3と粒状活性炭4との間に、更に別の通気性ホットメルトシート5を配置することが好ましい。具体的には、図2の吸着フィルタ材料10は、第1の通気性カバーシート1、一対の通気性ホットメルトシート2、5及び第2の通気性カバーシート3が積層され、少なくとも一対の通気性ホットメルトシート2、5の間に粒状活性炭4が挟持されてなる吸着フィルタ材料であって、該通気性ホットメルトシート2、5がホットメルト処理により粒状活性炭4を固定すると共に、第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3とを接着している構造を有する。かかる構造においては、粒状活性炭4は、一対の通気性ホットメルトシート2、5でしっかりと挟持保持される。また、通気性ホットメルトシート2、5同士が粒状活性炭4以外の領域でしっかりと接着する。従って、一対の通気性ホットメルトシート2、5で挟持する粒状活性炭4の量を増大させることができる。また、図2の吸着フィルタ材料を高振動環境下に置いても、図1の吸着フィルタ材料に比べ、粒状活性炭4が脱落することをいっそう抑制もしくは防止することができ、しかも、通気性ホットメルトシート2、5同士が剥離することもいっそう抑制もしくは防止することができる。更に、第1の通気性カバーシート1は、通気性ホットメルトシート2の片全面と接着され、他方第2の通気性カバーシート3は、通気性ホットメルトシート5の片全面と接着されるので、第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3とが、吸着フィルタ材料から剥離することを大いに抑制もしくは防止することができる。このように、図2の吸着フィルタ材料は、吸着性能と振動耐久性とが大幅に向上したものとなるので、自動車等の内燃機関用のエアフィルタに特に適したものとなる。
【0020】
第1の通気性カバーシート1及び第2の通気性カバーシート3は、粒状活性炭4を保持する部材である。両者は同一でも異なっていてもよい。このような通気性カバーシートとしては、耐熱性を有する繊維材料から形成されているものが好ましく、例えば、融点が150℃以上のポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ビニロン繊維、これらの混合繊維等の織布シートまたは不織布シートが挙げられる。これらの繊維もしくは混合繊維のシート化は、スパンボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法、バインダー結着法、熱融着法、湿式抄紙法、スパンレース法等の公知のシート化法の中から、使用する繊維やカバーシートの要求特性等に応じて適宜選択した方法により行うことができる。
【0021】
第1、第2の通気性カバーシート1、3を構成する繊維の平均繊度は、細すぎると通気抵抗大となり、太すぎると活性炭の保持力不足となるので、好ましくは3.3〜22dtex、より好ましくは5.5〜17dtexである。
【0022】
第1、第2の通気性カバーシート1、3の繊維目付量は、少なすぎると活性炭保持力不足、剛性不足となり、多すぎると通気抵抗大となるので、好ましくは20〜42g/m2好、より好ましくは23〜36g/m2である。
【0023】
第1、第2の通気性カバーシート1、3の剛性を改善するために、通気性カバーシート1、3における繊維間を、耐熱性のアクリル酸エステル系バインダで結着することが好ましい。通常、バインダ量は繊維量の0.4〜1.0倍である。
【0024】
第1、第2の通気性カバーシート1、3のカバーファクタは、それが小さすぎると、粒状活性炭が意図せずに微粉末化した場合に、外部に活性炭微粉末が漏れるおそれがあり、多すぎると目詰まりが生じるおそれがあるので、好ましくは0.72〜1.39である。ここで、カバーファクタ(K)は、具体的には以下の式(1)で算出される数値である。
【0025】
【数1】
【0026】
式(1)中、Wは繊維目付(g/m2)であり、ρは繊維の比重であり、dは繊度(デニール)である。
【0027】
第1、第2の通気性カバーシート1、3の通気性の程度に関し、できるだけ気体の通過を阻害しないことが好ましいが、粒状活性炭4の保持特性等とのバランスを考慮すると、JIS L1096のフラジール法によるそれぞれの通気度は好ましくは1000〜2000ml/cm2/sec、より好ましくは1200〜1900ml/cm2/secである。
【0028】
第1、第2の通気性カバーシート1、3の厚みは、通常0.40〜0.70mm、好ましくは0.45〜0.65mmである。
【0029】
通気性ホットメルトシート2は、熱板による加熱加圧、熱風加熱、超音波加熱等によるホットメルト処理により少なくとも一部が溶融して粒状活性炭4に付着し固定すると共に、第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3とを接着させるためのものである。このような通気性ホットメルトシート2としては、メルトフローインデックス(160℃又は190℃での測定)が低すぎるとホットメルト成分のカバー材へのしみだしが生じ、高過ぎると接着不良となるので、好ましくは8〜50g/10分、より好ましくは10〜40g/10分のメルトフローインデックスを有するものが好ましい。このような通気性ホットメルトシート2としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂から調製されたスパンボンド不織布が好ましく挙げられる。特に、図3(スパンボンド不織布のデジタル写真)に示すような状態に構成されたスパンボンド不織布が好ましい。図3のような繊維結着状態の不織布は、一般に、蜘蛛の巣状あるいは網目状不織布とも称されており、構成繊維として好ましくは約120℃以下の低融点繊維を使用した場合には、低融点不織布ネットとも称されている。図4に、通気性ホットメルトシートを構成する繊維2aと粒状活性炭4との関係を平面方向から見た概略図を示す。
【0030】
通気性ホットメルトシート2を構成する繊維2aの平均繊度は、細すぎると通気抵抗大となり、太すぎると活性炭保持力が小となるので、好ましくは3.3〜22dtex、より好ましくは5.5〜17dtexである。
【0031】
通気性ホットメルトシート2の繊維目付量は、少なすぎると活性炭保持力不足、剛性不足となり、多すぎると通気抵抗大となるので、好ましくは15〜42g/m2、より好ましくは20〜36g/m2である。
【0032】
通気性ホットメルトシート2の空隙率は、小さすぎると通気抵抗が大きくなり、大きすぎると活性炭保持力が小さくなるので、好ましくは78〜94%、より好ましくは79.5〜93.0%である。ここで、空隙率は、具体的には以下の式(2)で算出される数値である。
【0033】
【数2】
【0034】
式(2)中、ρは通気性ホットメルトシートの目付量(g/m2)を厚み(m)で除した値であり、dは通気性ホットメルトシートの比重である。
【0035】
通気性ホットメルトシート2の通気性の程度に関し、できるだけ気体の通過を阻害しないことが好ましいが、粒状活性炭4の固定安定性や第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3との間の接着の安定性等を考慮すると、通気度は好ましくは600〜3600ml/cm2/sec、より好ましくは650〜3000ml/cm2/secである。
【0036】
通気性ホットメルトシート2の厚みは、通常0.14〜0.25mm、好ましくは0.15〜0.22mmである。
【0037】
粒状活性炭4の形状として、球状、直方体状、円柱状、不定形状等が挙げられる。好ましくは、直径2〜4mmの球状もしくは底面直径2〜4mmで高さ2〜5mmの略円柱状のペレット、4mm×4mmの篩を通り抜け且つ1.7mm×1.7mmの篩を通り抜けない大きさの不定形の破砕活性炭を好ましく使用できる。
【0038】
図5に、本発明の吸着フィルタ材料の別の態様を示す。この態様では、第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3との間に、3枚の通気性ホットメルトシート2、5、6が積層され、互いに隣接する通気性ホットメルトシート(2と5;5と6)の間に粒状活性炭4、7が挟持されている。いわば粒状活性炭4、7が2層化した態様となっている。この態様でも、図1の態様と同様に、通気性ホットメルトシート2、5、6がホットメルト処理により粒状活性炭4、7を固定すると共に、第1の通気性カバーシート1と第2の通気性カバーシート3とを接着している。4枚の通気性ホットメルトシートを使用すれば、粒状活性炭を3層化することが可能となる。
【0039】
図5の吸着フィルタ材料は、図2の態様の吸着フィルタ材料における粒状活性炭4が単層であるところ、その高い吸着性能と振動耐久性とを保持したまま、粒状活性炭4の層と粒状活性炭7の層とに二層化した態様に相当する。従って、図5の吸着フィルタ材料は、図2の吸着フィルタ材料の場合よりも、粒状活性炭を多量に保持することができ、吸着性能をより向上させることができ、特に内燃機関用のエアフィルタとして適したものとなる。
【0040】
なお、図5の態様において、通気性ホットメルトシート6を、発明の効果が損なわれない限り図6のように省略してもよい。
【0041】
粒状活性炭を多層化した態様においては、粒状活性炭を、層方向では互いに接触しないように挟持し、且つ厚み方向では中央の通気性ホットメルトシートを介して互いに重ならないように挟持することが好ましい。
【0042】
また、図5の吸着フィルタ材料に対し、図7に示す様に、第2の通気性カバーシート3とそれに隣接する通気性ホットメルトシート6との間に粒状活性炭8を配してもよい。また、第1の通気性カバーシート1と通気性ホットメルトシート2との間に、粒状活性炭を更に配してもよい(図示せず)。これらの場合も、粒状活性炭が、層方向では互いに接触しないように挟持され、且つ厚み方向では中央の通気性ホットメルトシートを介して互いに重ならないように挟持されていることが好ましいが、2枚以上の通気性ホットメルトシートを間に介すれば、厚み方向で重なってもよい。2枚以上の通気性ホットメルトシートを間に介すれば、粒状活性炭の破砕の可能性が大きく低下するからである。
【0043】
次に本発明の吸着フィルタ材料の製造方法を説明する。
【0044】
図1に示す吸着フィルタ材料は、以下に説明するように製造することができる。即ち、第1の通気性カバーシートの上に、通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、その上に第2の通気性カバーシートを積層した後、得られた積層体に対し、通気性ホットメルトシートで粒状活性炭が固定され、且つ第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとが接着されるように、ホットメルト処理することにより製造することができる。この場合、粒状活性炭を、通気性ホットメルトシート上に互いに接触しないように配することが好ましい。
【0045】
粒状活性炭上に、別の通気性ホットメルトシートを載せてホットメルト処理すれば、図2の態様の吸着フィルタ材料を製造することができる。
【0046】
ホットメルト処理の具体例としては、図8に示す様に、互いに対向する板20、21で積層体30を挟持して加熱する処理が挙げられる。この場合、互いに対向する板20、21の少なくとも一方が熱板である。
【0047】
ところで、熱板を使用するホットメルト処理の場合、粒状活性炭が熱板の圧力で潰されてしまうことが懸念される。そこで、図9に示すような鉄やステンレス等の金属からなるフレーム状スペーサー治具40を、図10に示すように、互いに対向する板20、21の間に配して行うことが好ましい。このようなフレーム状スペーサー治具40の厚みは、熱板のクリアランス高さになる。なお、このクリアランス高さ(フレーム状スペーサー治具40の厚み)は、粒状活性炭の大きさやその積層化の程度等により調整する必要がある。例えば、前述した円柱状ペレットサイズの粒状活性炭の量が150〜400g/m2程度である場合には、0.8〜2mmが好ましく、400〜600g/m2程度である場合には、2.0〜4.5mmが好ましい。
【0048】
また、図10にあるように、フレーム状スペーサー治具40と熱板20との間に挟まれた積層体の部分は、扁平に圧着され、粒状活性炭が誤って外にこぼれることを防止する。なお、この扁平に圧着された部分には粒状活性炭を存在させないことが好ましい。粒状活性炭の微粉末が生じることを防ぐためである。
【0049】
また、図5の吸着フィルタ材料は、第1の通気性カバーシートの上に、通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、その上に別の通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、更に、その上に別の通気性ホットメルトシートを載せ、その上に第2の通気性カバーシートを積層した後、得られた積層体に対し、通気性ホットメルトシートで粒状活性炭が固定され、且つ第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとが接着されるように、前述で説明したホットメルト処理することにより製造することができる。このとき、粒状活性炭を、層方向では互いに接触しないように配し、且つ厚み方向では中央の通気性ホットメルトシートを介して互いに重ならないように配することが好ましい。
【0050】
以上説明した本発明の吸着フィルタ材料は、良好な吸着性能と振動耐久性を示すので、各種内燃機関のエアクリーナ用フィルタばかりでなく、自動車等の車室内の空気を清浄化するためのエアフィルタ、キャビンフィルタ、住宅やオフィス等で使用される空気清浄機用フィルタ、エアコン用フィルタ、OA機器の吸気・排気フィルタ、ビル空調用フィルタ、産業用クリーンルーム用フィルタ等にも使用できる。中でも、公知の自動車用エアクリーナ(例えば、特開平4−27404号公報の図1、図2)のフィルタエレメントと共に好適に使用できる。
【0051】
本発明の吸着フィルタ材料を使用してエアクリーナを構成した例を以下に説明する。このエアクリーナも本発明の一態様である。
【0052】
図11のエアクリーナ100は、濾過すべき空気を導入する吸気孔110と、濾過した空気を、それを必要とする内燃機関などの装置(図示せず)に供給する排気孔120とを有するハウジング130と、ハウジング130内部に設けられ、空気を濾過するエアフィルタエレメント140とを有するものである。このエアクリーナ100においては、エアフィルタエレメント140の排気側に本発明の吸着フィルタ材料からなる吸着フィルタエレメント150が設けられている。吸着フィルタエレメント150は、吸着フィルタ材料をエアクリーナ100の構造に適用できるような大きさ・形状に切り出したものであり、必要に応じて、カット箇所から粒状活性炭がこぼれ落ちないようにヒートシール処理をしたものである。かかるエアクリーナ100は、空気中のダストを除去するとともに吸着フィルタエレメント150の素材として、良好なシート間強度と振動耐久性とを示す本発明の吸着フィルタ材料を使用しているので、排気側から逆流してくる炭化水素等を効率よく除去することが可能である。
【0053】
なお、ハウジング130は、必要に応じて吸気側ハウジング130aと排気側ハウジング130bとに分割できるようにしてもよく、3パーツ以上に分割してもよい。また、エアフィルタエレメント140としては、従来公知のものを適用することができ、例えば、不織布濾材をプリーツ加工したもの等を使用することができる。
【0054】
図11の態様では、ハウジング130を2分割し、それらの間に吸着フィルタエレメント150を挟持しているが、図12に示すように、吸着フィルタエレメント150を排気側ハウジング130bの内壁に固定してもよく、図13に示すように、排気孔120の内壁に固定してもよい。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。以下の実施例において使用した通気性カバーシート、通気性ホットメルトシート、粒状活性炭は以下の通りである。
【0056】
参考例1(通気性カバーシート)
17dtexのビニロン(軟化点220〜230℃)30質量%と、7.8dtexのビニロン(軟化点220〜230℃)20質量%と、6.6dtexのポリエステル(融点260℃)50質量%とからなる繊維ウェブをレジンボンド法によりシート化し(具体的には、繊維ウェブにアクリル酸エステル系バインダを含浸、乾燥させてシート化し)、目付量41g/m2の通気性カバーシートを得た。アクリル酸エステル系バインダの付着量は、通気性カバーシート全体の40質量%であった。従って、得られた通気性カバーシートの繊維目付量は24.6g/m2であった。また、通気性カバーシートの平均繊度は、9.96dtexであり、カバーファクタは0.82であり、厚みは0.53mmであった。また、通気度は、1800ml/cm2/secであった。
【0057】
参考例2(通気性ホットメルトシート)
通気性ホットメルトシートとして以下の(2a)〜(2g)を使用した。
【0058】
(2a) ポリアミドシートa
通気度: 2310ml/cm2/sec
目付量: 15g/m2
融点: 115℃
メルトフローインデックス(160℃): 17g/10分
加工適温度: 140〜160℃
【0059】
(2b) ポリアミドシートb
通気度: 2130ml/cm2/sec
目付量: 20g/m2
融点: 115℃
メルトフローインデックス(160℃): 8g/10分
加工適温度: 150〜180℃
【0060】
(2c) ポリアミドシートc
通気度: 1436ml/cm2/sec
目付量: 25g/m2
融点: 115℃
メルトフローインデックス(160℃): 11g/10分
加工適温度: 145〜170℃
【0061】
(2d) ポリアミドシートd
通気度: 2110ml/cm2/sec
目付量: 10g/m2
融点: 85℃
メルトフローインデックス(160℃): 60g/10分
加工適温度: 100〜120℃
【0062】
(2e) ポリエステルシートe
通気度: 2736ml/cm2/sec
目付量: 25g/m2
融点: 150℃
メルトフローインデックス(190℃): 40g/10分
加工適温度: 160〜190℃
【0063】
(2f) ポリエステルシートf
通気度: 2340ml/cm2/sec
目付量: 20g/m2
融点: 120℃
メルトフローインデックス(160℃): 22g/10分
加工適温度: 140〜160℃
【0064】
(2g) エチレン−オクテン共重合体シートg
通気度: 672ml/cm2/sec
目付量: 20g/m2
融点: 98℃
メルトフローインデックス(190℃): 30g/10分
加工適温度: 120〜140 ℃
【0065】
参考例3(粒状活性炭)
実施例には、BWC(ブタン・ワーキング・キャパシティー)値が11〜15g/dlであって且つ比表面積が1500〜2000m2/gである、キャニスタに用いられる活性炭である木質系活性炭を、粒状活性炭として使用した。
【0066】
実施例1〜67
表1に示す組み合わせと条件に従い、参考例1〜3の材料を用いて図1(活性炭量150g/m2)、図2(活性炭量300g/m2)、図5(活性炭量450g/m2)、図7(活性炭量600g/m2)の構造の吸着フィルタ材料を、図8に示すような一対の熱板と図9に示す鉄製のフレーム状スペーサー治具とを用いて、表1の加工温度と加工時間で図10に示すようにホットメルト処理をすることにより作成した。
【0067】
なお、実施例1〜52及び54の吸着フィルタ材料を作成する際に使用したフレーム状スペーサー治具の厚みは1.1mmであり、実施例58及び64の吸着フィルタ材料を作成する際に使用したフレーム状スペーサー治具の厚みは2.0mmであり、実施例53、55〜57、59〜63、65〜67の吸着フィルタ材料を作成する際に使用したフレーム状スペーサー治具の厚みは2.2mmであった。
【0068】
【表1】
【0069】
(評価)
<吸着フィルタ材料の固定接着状態>
実施例1〜67の吸着フィルタ材料について、使用している粒状活性炭がシートに固定化され(振動耐久性)、シートが簡単に剥離することなく接着しているか否か(シート間接着性)、吸着フィルタ材料の表面や断面を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。その結果、表2に示したように、実施例1〜67の吸着フィルタ材料は、いずれもB以上の好ましい評価結果であった。特に、実施例19、35、52、53、62及び66の吸着フィルタ材料については、AAという非常に好ましい評価結果であった。
【0070】
ランク 基準
AA: 活性炭がシートとの間で固定されており、吸着フィルタ材料を振っても活性炭は動かず、つぶれもなく、シート間を引っ張っても剥れず材料全体として接着されているもの。
A: 活性炭がシートとの間で固定されており、吸着フィルタ材料を振っても活性炭は動かず、つぶれもなく、シート間を引っ張っても剥れにくく材料全体として接着されているもの。
B: 活性炭がシートとの間で固定されており、吸着フィルタ材料を振っても活性炭は動かず、つぶれもないが、シート間を引っ張って剥すと一部の活性炭に脱落が見られるもの。
C: 活性炭がシートとの間で固定されておらず、吸着フィルタ材料を振ると活性炭が動き、シート間を引っ張ると剥れやすく材料全体としての接着が不十分なもの。
【0071】
<吸着フィルタ材料の通気度>
実施例1〜67の吸着フィルタ材料について、フラジール法(JIS L1096)に従って通気度を測定した。その結果、実施例1〜67の吸着フィルタ材料は、いずれも250ml/cm2/sec以上の通気度を示し、実用上好ましい通気度であった。
【0072】
<吸着フィルタ材料の炭化水素吸着特性>
実施例1〜67の吸着フィルタ材料について、キャニスターのガソリン吸着評価に用いられる炭化水素回収装置を使用し、炭化水素としてn−ブタンの吸着特性評価を行った。その結果、実施例1〜67の吸着フィルタ材料では、炭化水素100mgが炭化水素回収装置から抜け出すまでの間に、吸着フィルタ材料が炭化水素を0.30mg以上吸収し、実用上好ましい吸着特性を有していた。
【0073】
【表2】
【0074】
実施例68
参考例1の通気性カバーシートと、参考例2の(2c)通気性ホットメルトシートと、参考例3の粒状活性炭とを用い、プレス温度120℃、プレス時間30秒というプレス条件で図2(活性炭量150g/m2)の構造の吸着フィルタ材料を得た。なお、使用したスペーサー治具の厚みは1.1mmであった。
【0075】
実施例69
参考例1の通気性カバーシートと、参考例2の(2c)通気性ホットメルトシートと、参考例3の粒状活性炭とを用い、プレス温度150℃、プレス時間30秒というプレス条件で図1(活性炭量300g/m2)の構造の吸着フィルタ材料を得た。なお、使用したスペーサー治具の厚みは2.0mmであった。
【0076】
実施例70
参考例1の通気性カバーシートと、参考例2の(2c)通気性ホットメルトシートと、参考例3の粒状活性炭とを用い、プレス温度120℃、プレス時間30秒というプレス条件で図2(活性炭量450g/m2)の構造の吸着フィルタ材料を得た。なお、使用したスペーサー治具の厚みは2.2mmであった。
【0077】
(評価)
<吸着フィルタ材料の固定接着状態>
実施例68〜70の吸着フィルタ材料について、実施例1〜67の場合と同様に、吸着フィルタ材料の固定接着状態(振動耐久性、シート間接着性)を評価した。その結果、実施例68の吸着フィルタ材料はAAという非常に好ましい評価結果であり、実施例69及び70の吸着フィルタ材料は共にAという評価結果であった。
【0078】
なお、実施例69(図1、活性炭量300g/m2)の吸着フィルタ材料と、実施例52(図2、活性炭量300g/m2)の吸着フィルタ材料とを比較した場合、活性炭量は共に300g/m2で同じであるが、前者がA評価であり、後者がAA評価であったことから、粒状活性炭を両側から通気性ホットメルトシートで挟み込んだ実施例52の吸着フィルタ材料の方が、実施例69の吸着フィルタ材料よりも評価吸着性能と振動耐久性とがより優れていたことがわかる。従って、実施例69の吸着フィルタ材料よりも、実施例52の吸着フィルタ材料の方が、特に、内燃機関用フィルタとして適していることがわかった。
【0079】
また、実施例70(図2、活性炭量450g/m2)の吸着フィルタ材料と、実施例62(図5、活性炭量450g/m2)の吸着フィルタ材料とを比較した場合も、活性炭量は共に450g/m2で同じであるが、前者がA評価であり、後者がAA評価であったことから、粒状活性炭を多層化した実施例62の吸着フィルタ材料の方が、吸着性能と振動耐久性とがより優れていた。従って、実施例70の吸着フィルタ材料よりも、実施例62の吸着フィルタ材料の方が、特に、内燃機関用フィルタとして適していることがわかった。
【0080】
<吸着フィルタ材料の通気度>
実施例68〜70の吸着フィルタ材料について、実施例1〜67の場合と同様に、通気度を測定した。その結果、実施例68〜70の吸着フィルタ材料は、いずれも250ml/cm2/sec以上の通気度を示し、実用上好ましい通気度であった。
【0081】
<吸着フィルタ材料の炭化水素吸着特性>
実施例68〜70の吸着フィルタ材料について、実施例1〜67の場合と同様に、n−ブタンの吸着特性評価を行った。その結果、実施例68〜70の吸着フィルタ材料では、炭化水素100mgが炭化水素回収装置から抜け出すまでの間に、吸着フィルタ材料が炭化水素を0.30mg以上吸収し、実用上好ましい吸着特性を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の吸着フィルタ材料においては、少なくとも一枚の通気性ホットメルトシートが一対の対向する通気性カバーシート間に挟持され、その通気性ホットメルトシートと通気性カバーシートの間に粒状活性炭が挟持され、ホットメルト処理により、粒状活性炭が固定されると共に、一対の対向する通気性カバーシート同士が接着されている。しかも、複数の通気性ホットメルトシートを使用すれば、粒状活性炭を吸着フィルタの厚み方向に互いに直接重ならないように配して、吸着容量の増大を図ることができる。従って、本発明の吸着フィルタ材料は、各種内燃機関のエアクリーナに用いる吸着フィルタ材料として有用である。
【符号の説明】
【0083】
1 第1の通気性カバーシート
2、5、6 通気性ホットメルトシート
2a 繊維
3 第2の通気性カバーシート
4、7、8 粒状活性炭
10 吸着フィルタ材料
20、21 板
30 積層体
40 フレーム状スペーサー治具
100 エアクリーナ
110 吸気孔
120 排気孔
130 ハウジング
130a 吸気側ハウジング
130b 排気側ハウジング
140 エアフィルタエレメント
150 吸着フィルタエレメント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通気性カバーシート、通気性ホットメルトシート及び第2の通気性カバーシートが積層され、少なくとも通気性ホットメルトシートと第2の通気性カバーシートとの間に粒状活性炭が挟持されてなる吸着フィルタ材料であって、該通気性ホットメルトシートがホットメルト処理により粒状活性炭を固定すると共に、第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとを接着していることを特徴とする吸着フィルタ材料。
【請求項2】
第2の通気性カバーシートと粒状活性炭との間に、更に別の通気性ホットメルトシートが配置されている請求項1記載の吸着フィルタ材料。
【請求項3】
粒状活性炭が、互いに接触しないように挟持されている請求項1又は2記載の吸着フィルタ材料。
【請求項4】
第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとの間に、少なくとも3枚の通気性ホットメルトシートが積層され、互いに隣接する通気性ホットメルトシートとの間に粒状活性炭が挟持されてなる吸着フィルタ材料であって、該通気性ホットメルトシートがホットメルト処理により粒状活性炭を固定すると共に、第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとを接着していることを特徴とする吸着フィルタ材料。
【請求項5】
粒状活性炭が、層方向では互いに接触しないように挟持され、且つ厚み方向では中央の通気性ホットメルトシートを介して互いに重ならないように挟持されている請求項4記載の吸着フィルタ材料。
【請求項6】
第1の通気性カバーシートの上に、通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、その上に第2の通気性カバーシートを積層した後、得られた積層体に対し、通気性ホットメルトシートで粒状活性炭が固定され、且つ第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとが接着されるように、ホットメルト処理することを特徴とする吸着フィルタ材料の製造方法。
【請求項7】
粒状活性炭が、通気性ホットメルトシート上に互いに接触しないように配されている請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
粒状活性炭上に、別の通気性ホットメルトシートを載せる請求項6又は7記載の製造方法。
【請求項9】
ホットメルト処理が、互いに対向する板で積層体を挟持して加熱する処理である請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
互いに対向する板の少なくとも一方が熱板である請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
ホットメルト処理を、粒状活性炭が潰されないようにするためのフレーム状スペーサー治具を互いに対向する板の間に配して行う請求項9又は10記載の製造方法。
【請求項12】
第1の通気性カバーシートの上に、通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、その上に別の通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、更に、その上に別の通気性ホットメルトシートを載せ、その上に第2の通気性カバーシートを積層した後、得られた積層体に対し、通気性ホットメルトシートで粒状活性炭が固定され、且つ第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとが接着されるように、ホットメルト処理することを特徴とする吸着フィルタ材料の製造方法。
【請求項13】
粒状活性炭を、層方向では互いに接触しないように配し、且つ厚み方向では中央の通気性ホットメルトシートを介して互いに重ならないように配する請求項12記載の製造方法。
【請求項14】
ホットメルト処理が、互いに対向する板で積層体を挟持して加熱する処理である請求項12又は13記載の製造方法。
【請求項15】
互いに対向する板の少なくとも一方が熱板である請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
ホットメルト処理を、粒状活性炭が潰されないようにするためのフレーム状スペーサー治具を互いに対向する板の間に配して行う請求項13〜15のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
濾過すべき空気を導入する吸気孔と、濾過した空気を、それを必要とする装置に供給する排気孔とを有するハウジングと、ハウジング内部に設けられ、空気を濾過するエアフィルタエレメントとを有するエアクリーナであって、該ハウジング内において、エアフィルタエレメントの排気側に請求項1〜5のいずれかに記載の吸着フィルタ材料からなる吸着フィルタエレメントが設けられていることを特徴とするエアクリーナ。
【請求項1】
第1の通気性カバーシート、通気性ホットメルトシート及び第2の通気性カバーシートが積層され、少なくとも通気性ホットメルトシートと第2の通気性カバーシートとの間に粒状活性炭が挟持されてなる吸着フィルタ材料であって、該通気性ホットメルトシートがホットメルト処理により粒状活性炭を固定すると共に、第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとを接着していることを特徴とする吸着フィルタ材料。
【請求項2】
第2の通気性カバーシートと粒状活性炭との間に、更に別の通気性ホットメルトシートが配置されている請求項1記載の吸着フィルタ材料。
【請求項3】
粒状活性炭が、互いに接触しないように挟持されている請求項1又は2記載の吸着フィルタ材料。
【請求項4】
第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとの間に、少なくとも3枚の通気性ホットメルトシートが積層され、互いに隣接する通気性ホットメルトシートとの間に粒状活性炭が挟持されてなる吸着フィルタ材料であって、該通気性ホットメルトシートがホットメルト処理により粒状活性炭を固定すると共に、第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとを接着していることを特徴とする吸着フィルタ材料。
【請求項5】
粒状活性炭が、層方向では互いに接触しないように挟持され、且つ厚み方向では中央の通気性ホットメルトシートを介して互いに重ならないように挟持されている請求項4記載の吸着フィルタ材料。
【請求項6】
第1の通気性カバーシートの上に、通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、その上に第2の通気性カバーシートを積層した後、得られた積層体に対し、通気性ホットメルトシートで粒状活性炭が固定され、且つ第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとが接着されるように、ホットメルト処理することを特徴とする吸着フィルタ材料の製造方法。
【請求項7】
粒状活性炭が、通気性ホットメルトシート上に互いに接触しないように配されている請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
粒状活性炭上に、別の通気性ホットメルトシートを載せる請求項6又は7記載の製造方法。
【請求項9】
ホットメルト処理が、互いに対向する板で積層体を挟持して加熱する処理である請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
互いに対向する板の少なくとも一方が熱板である請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
ホットメルト処理を、粒状活性炭が潰されないようにするためのフレーム状スペーサー治具を互いに対向する板の間に配して行う請求項9又は10記載の製造方法。
【請求項12】
第1の通気性カバーシートの上に、通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、その上に別の通気性ホットメルトシートを載せ、その上に粒状活性炭を配し、更に、その上に別の通気性ホットメルトシートを載せ、その上に第2の通気性カバーシートを積層した後、得られた積層体に対し、通気性ホットメルトシートで粒状活性炭が固定され、且つ第1の通気性カバーシートと第2の通気性カバーシートとが接着されるように、ホットメルト処理することを特徴とする吸着フィルタ材料の製造方法。
【請求項13】
粒状活性炭を、層方向では互いに接触しないように配し、且つ厚み方向では中央の通気性ホットメルトシートを介して互いに重ならないように配する請求項12記載の製造方法。
【請求項14】
ホットメルト処理が、互いに対向する板で積層体を挟持して加熱する処理である請求項12又は13記載の製造方法。
【請求項15】
互いに対向する板の少なくとも一方が熱板である請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
ホットメルト処理を、粒状活性炭が潰されないようにするためのフレーム状スペーサー治具を互いに対向する板の間に配して行う請求項13〜15のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
濾過すべき空気を導入する吸気孔と、濾過した空気を、それを必要とする装置に供給する排気孔とを有するハウジングと、ハウジング内部に設けられ、空気を濾過するエアフィルタエレメントとを有するエアクリーナであって、該ハウジング内において、エアフィルタエレメントの排気側に請求項1〜5のいずれかに記載の吸着フィルタ材料からなる吸着フィルタエレメントが設けられていることを特徴とするエアクリーナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−45795(P2011−45795A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177310(P2009−177310)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000109037)ダイニック株式会社 (55)
【出願人】(000223034)株式会社ROKI (51)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000109037)ダイニック株式会社 (55)
【出願人】(000223034)株式会社ROKI (51)
【Fターム(参考)】
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