説明

吸着剤を利用したオゾン/酸素分離方法と装置

【課題】 オゾン吸着剤を利用してPSAでオゾン/酸素分離を行い、分離した酸素を回収してオゾン発生器の酸素原料に再利用し、乾燥空気で吸着したオゾンを脱着回収する、低コストでオゾン含有ガスを製造する。
【解決手段】 酸素を原料とするオゾン発生器で製造したオゾン、酸素2成分ガスを、オゾン吸着剤吸着塔に導入して吸着剤にオゾンを吸着させて、流過する酸素を回収して酸素原料として再使用し、向流パージガスとして乾燥空気を吸着剤床に導いて、オゾンを脱着させてオゾン、空気2成分ガスとして回収する方法であって、オゾン吸着剤として、(1)リン酸をリン素として0.5〜1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(2)ホウ酸をホウ素として0.5〜1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(3)塩素を0.5〜1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライトから選ばれた少なくとも一種を用いるオゾン、空気2成分ガスの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い吸着圧と低い脱着圧とにおけるオゾン吸着剤のオゾン吸着量の差を利用するオゾン/酸素分離方法に関する。詳細には、本発明は、オゾン吸着能の高い特定の吸着剤を利用して圧力スイング吸着(PSA)に従ってオゾンを吸着及び脱着させることによるオゾン/酸素分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンは、非常に強い酸化力を持ち、漂白・脱臭・殺菌作用があり、例えば、脱臭においては活性炭の数百倍もの力を持っているとされ、これまで除去し難かった物質の除去も可能となることから、水・大気の浄化での応用が増大している。オゾン含有ガスは、一般的に、オゾン濃度が高くなる程オゾン酸化分解反応の速度が速くなるので、濃度が高いものが所望されることがある。例えばパルプの漂白等に用いられる場合には、10質量%を超える高いオゾン濃度のオゾン含有ガスが要求される。このように、オゾン含有ガスは、オゾン濃度が高いもの程、使用範囲が広がり、汎用性が高くなる。
【0003】
オゾン含有ガスは、一般的に低圧水銀ランプ、無声放電装置や水電解装置を用いて製造される。低圧水銀ランプは、装置が簡単であるが、0.5質量%程度の低い濃度のオゾン含有ガスしか得られず、発生量も1g/h程度と小さくかつオゾン単位当たりに要する消費電力が非常に大きく、工業的に使用するには実用的なものではない。水電解装置は、20質量%程度の高い濃度のオゾン含有ガスが得られるが、発生量は1kg/h程度と小さくかつオゾン単位当たりに要する消費電力も相当に大きく、大量のオゾンが要求される場合や経済性が要求される場合には使用するのに適していない。無声放電装置は、発生量が30kg/h程度と大量製造が可能であり、オゾン単位当たりに要する消費電力もこれらの中では一番少ないが、得られるオゾン含有ガスのオゾン濃度は3質量%程度と低いものである。これら従来技術において、オゾン発生装置として無声放電装置が最も好ましいものであるが、消費電力及びオゾン濃度の両面での改良が望まれていた。
【0004】
上述した無声放電装置の欠点を改良するオゾン発生装置として、オゾン発生装置に供給するオゾン発生用原料として酸素を使用し、同じ消費電力で空気を原料として使用する場合の2倍のオゾンを発生させて省電力化を図る酸素リサイクルオゾン発生装置が提案された(例えば特許文献1参照)。この装置では、酸素原料として液体酸素を用い、この液体酸素をオゾン発生装置に導入してオゾンを発生させ、そのオゾン含有ガスを熱交換器及び冷凍機で−60℃程度まで冷却してから、シリカゲルを充填したオゾン吸着塔に導入してオゾンを吸着させている。
【0005】
シリカゲルは、上記のようにオゾン吸着剤として知られているが、そのオゾン吸着量はそれほど大きくなく一定のガス処理量を確保するためには多量のシリカゲルを必要とし、吸着装置も大型にせざるを得なかった。そこで、従来技術では上記装置において、酸素原料として液体酸素を用い、かつ、パージガスを予め乾燥してから吸着塔に導入することにより、液体酸素の低温を利用してオゾン吸着量を増大させようとした。
【0006】
しかし、シリカゲルへのオゾンの吸着量は温度が低い程大きいが、特殊な冷凍機を除いても−60℃よりも低い温度にすることは難しい。また、一般に処理ガス量を多くするためには多量の吸着剤を用いる必要があり、装置は大型化せざるを得ず、装置の製造コスト及びランニングコストが高くなる。特に、特許文献1に開示されるような装置では、装置の製造コスト及びランニングコストが極めて高くなるために、実用化に問題があった。
【0007】
上述したシリカゲルを用いた酸素リサイクルオゾン発生装置の欠点を解決するために、水分の存在する系においてもオゾン吸着能が優れたSiO/Alモル比が20以上の特定の高シリカオゾン吸着剤を用い、この吸着剤をPSA装置に適用してオゾンを効率的に濃縮できる高濃度オゾン含有ガスの製造方法及びその装置が提案された(例えば特許文献2を参照)。
【0008】
しかし、特許文献2の発明では、SiO/Al比20以上の高シリカゼオライトを採用することにより、シリカゲルに比べて8倍以上のオゾン吸着量が確保できるようになったが、吸着時のオゾン分解は完全に抑制されていない。この為依然として−30℃程度の低温が必要であり、低温サイクル採用によるオゾン濃縮操作の煩雑さは完全に解消されていない。このことはより高温でのオゾン/酸素分離、オゾン濃縮、より高濃度のオゾン濃縮において困難さが顕著となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭53−64690号公報
【特許文献2】特開平11−292514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、オゾン吸着剤として、従来技術より更にオゾン吸着能が優れた吸着剤を利用した、オゾンを高い濃度で含有する高濃度オゾンガスの製造方法を提供することである。また、本発明の目的は、オゾン吸着剤として、オゾンの分解率が小さい吸着剤を利用した、オゾンを高い効率で生産する高濃度オゾンガスの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上述した課題を解決すべく鋭意検討したところ、オゾン吸着剤として、SiO/Alモル比70を超え且つ、(1)リン酸をリン原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(2)ホウ酸をホウ素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(3)塩素を塩素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライトの群から選ばれた少なくとも一種において、優れたオゾン吸着能が得られかつオゾンの分解率が小さくなることを見出した。そのため、このようなオゾン吸着剤をPSAにおいてオゾン吸着剤として使用することにより、オゾンを高い効率で生産することができることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0012】
かくして本発明によれば、以下の1〜8の発明が提供される。
1.酸素を原料とするオゾン製造装置で製造したオゾン、酸素2成分含有ガスを、オゾン吸着剤床を収容した吸着塔に導入して吸着剤にオゾンを吸着させて、流過する酸素を回収して酸素原料として再使用し、オゾン吸着が完了したらオゾン含有ガスの導入を停止し、塔後方からパージガスとして乾燥空気を第1式に従って、大気圧もしくは圧力を下げて吸着剤床に導いて、オゾンを脱着させてオゾン、空気2成分ガスとして回収するオゾンガスの製造方法であって、前記オゾン吸着剤として、(1)リン酸をリン原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(2)ホウ酸をホウ素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(3)塩素を塩素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライトから選ばれた少なくとも一種を用いるオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
Gp=k ・G0 ・Pd/Pa (第1式)
(式中、Gp:パージガスとして使用する乾燥空気量(mN/h)、k: 向流パージ率、k>1.2、G0:入口ガス量 (mN/h)、Pd:再生圧力(kPa)、Pa:吸着圧力(kPa))
2.吸着剤床を収容した吸着塔が並列に2以上存在し、1つの吸着塔にオゾン、酸素2成分含有ガスを導入して吸着剤にオゾンを吸着させて流過する酸素を回収してオゾン製造装置原料として再使用する吸着工程に在る間に、吸着工程を完了した別の吸着塔の後方から乾燥空気を大気圧又は減圧条件下パージガスとして向流に供給し、吸着剤床からオゾンを脱着させてオゾン、空気2成分としてオゾンガスを回収する脱着工程を施し、次いでオゾン含有ガスの導入を、吸着工程を完了した吸着塔から、脱着工程を完了した吸着塔に切り換え、上記の工程を繰り返す、オゾン、空気2成分ガスの製造であって、前記オゾン吸着剤として、(1)リン酸をリン原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(2)ホウ酸をホウ素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(3)塩素を塩素原子重量比で0.5wt%から1.25tw%含有するペンタシル型ゼオライトから選ばれた少なくとも一種を用いるオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
3.吸着剤床を収容した吸着塔が並列に2以上存在し、1つの吸着塔にオゾン、酸素2成分含有ガスを導入して吸着剤にオゾンを吸着させて流過する酸素を回収してオゾン製造装置原料として再使用する吸着工程に在る間に、吸着工程を完了した別の吸着塔の後方から乾燥空気を大気圧又は減圧条件下パージガスとして向流に供給し、吸着剤床からオゾンを脱着させてオゾン、空気2成分としてオゾンガスを回収する脱着工程を施し、脱着工程に残留する空気を、吸着工程にある他塔から流過する酸素を分岐して向流に供給して空気と置換し、回収酸素への空気の混入を抑制し、次いでオゾン含有ガスの導入を、吸着工程を完了した吸着塔から、脱着工程を完了した吸着塔に切り換え、上記の工程を繰り返す、オゾン、空気2成分ガスの製造であって、前記オゾン吸着剤として、(1)リン酸をリン原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(2)ホウ酸をホウ素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(3)塩素を塩素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライトから選ばれた少なくとも一種を用いるオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
4.3.項の脱着工程に残留する空気の酸素との置換に別に設置した酸素貯留槽から供給して空気と置換し、回収酸素への空気の混入を抑制し、次いでオゾン含有ガスの導入を、吸着工程を完了した吸着塔から、脱着工程を完了した吸着塔に切り換え、上記の工程を繰り返す、オゾン、空気2成分ガスの製造であって、前記オゾン吸着剤として、(1)リン酸をリン原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(2)ホウ酸をホウ素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(3)塩素を塩素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライトから選ばれた少なくとも一種を用いるオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
5.前記ペンタシル型ゼオライトが、SiO/Alモル比70〜3000のペンタシル型ゼオライトである請求項1又は2に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
6.オゾン含有ガスを、無声放電オゾン発生装置によって発生させる上記1.〜4.項のいずれかーに記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のオゾン/酸素分離方法は、生成したオゾンの分解率が小さく、オゾンを高い濃度で含有するオゾン含有ガスを効率良く製造することができる。またオゾンと分離して流過する酸素を無声放電式オゾン発生器の入口にリサイクルすることにより、オゾン原料となる酸素の製造量を1/2以下に削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の方法を実施する高濃度オゾン製造装置の一例を示す概略図であり、無声放電オゾン発生装置に2塔式のオゾン/酸素分離用PSA装置を組み合わせたものである。
【図2】本発明の方法を実施する高濃度オゾン製造装置の一例を示す概略図であり、2塔式のオゾン/酸素分離用PSA装置の脱着工程に残留する空気を塔後方に設けた酸素ホールダーからの酸素供給でパージして回収酸素濃度の上昇を図るものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明で使用する吸着剤は、オゾンを吸着し、かつ吸着オゾンの分解が抑制されるものでなければならない。このような吸着剤として本発明は、SiO/Alモル比70〜3000の、(1)リン酸をリン原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(2)ホウ酸をホウ素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(3)塩素を塩素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライトの群から選ばれた少なくとも一種の吸着剤を採用する。このような吸着剤はオゾン分解が少なくかつオゾン吸着能が高いためPSA方式で使用することにより、オゾン分解が少なく、オゾンを高い濃度で有するオゾン含有ガスを製造し得ることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0016】
(1)リン酸含有ペンタシル型ゼオライト
本発明において用いるオゾン吸着剤の内のリン酸含有ペンタシル型ゼオライトは、ゼオライト結晶の表面に、リン酸を担持した後400℃以上の高温で熱処理をするとリン元素がゼオライト結晶に拡散してオゾン分解が抑制されるリン酸含有ペンタシル型ゼオライトが調製される。
【0017】
本発明のリン酸含有ペンタシル型ゼオライトのSiO/Al比は、70〜3000である。70未満であると触媒活性点としてのオゾン分解を発現し、一方、3000を超えるリン酸含有ペンタシル型ゼオライトの工業的製造が困難である。
【0018】
(2)ホウ酸含有ペンタシル型ゼオライト
本発明において用いるオゾン吸着剤の内のホウ酸含有ペンタシル型ゼオライトは、ゼオライト結晶の表面に、ホウ酸を担持した後400℃以上の高温で熱処理をするとホウ素元素がゼオライト結晶に拡散してオゾン分解が抑制されるホウ酸含有ペンタシル型ゼオライトが調製される。
【0019】
本発明のホウ酸含有ペンタシル型ゼオライトのSiO/Al比は、70〜3000である。70未満であると触媒活性点としてのオゾン分解を発現し、一方、3000を超えるホウ酸含有ペンタシル型ゼオライトの工業的製造が困難である。
【0020】
(3)塩素含有ペンタシル型ゼオライト
本発明において用いるオゾン吸着剤の内の塩素含有ペンタシル型ゼオライトは、ゼオライト結晶の表面に、塩素を担持した後400℃以上の高温で熱処理をすると塩素元素がゼオライト結晶に拡散してオゾン分解が抑制される塩素含有ペンタシル型ゼオライトが調製される。
【0021】
本発明のホウ酸含有ペンタシル型ゼオライトのSiO/Al比は、70〜3000である。70未満であると触媒活性点としてのオゾン分解を発現し、一方、3000を超える塩素含有ペンタシル型ゼオライトの工業的製造が困難である。
【0022】
上記製造方法により好ましい範囲内のSiO/Al比を有するリン酸、ホウ酸、塩素含有するペンタシル型ゼオライトを得ることが出来る。リン酸、ホウ酸、塩素の含有量は0.1wt%以下で担持の効果がなく、5wt%を超えるとオゾン吸着量の減少が発生するため、担持量は0.1から5wt%にするのが好ましい。本発明実施例においては、実施例吸着材料のSiO/Al比としては、200に調製して使用した。
【0023】
上記のペンタシル型ゼオライトは公知の調製法により得られる。例えば、ケイ酸ソーダ等のシリカ源、硫酸アルミニウムなどのアルミ源、アミンなどの有機塩基その他のテンプレート、水、そして必要に応じて苛性ソーダ、苛性カリ等のアルカリ源を含む原料混合物を、水熱処理すると、ゼオライト前駆体が得られる。これを焼成してナトリウム型のゼオライトが得られる。SiO/Al比はシリカ源濃度に対するアルミニウム塩濃度を変更することにより適宜変更できる。この水熱処理の条件は、例えば、温度は約50℃から300℃位まで、反応時間は約1時間から数ヶ月が適用可能で、一般には高温条件程、短時間で水熱処理反応が進み、約80%の結晶化が終了する。従って、実用的には、温度は約100〜250℃、反応時間は数時間から1週間程度までが好ましい。
【0024】
本発明では図1に示すように、オゾン含有ガスを発生するオゾン発生器(オゾナイザー)としては、公知の無声放電方式、紫外線ランプ方式、水電解方式などいずれの方式のものでも適用できる。好ましくは、高圧仕様の無声放電装置を用い、オゾン濃縮用PSA装置の吸着工程から流出する高圧酸素濃縮ガスを、前記無声放電装置の原料側に戻して酸素原料として用いることにより、前記無声放電オゾン発生装置から流出するオゾン含有ガスを高圧で回収することができ、PSA装置への供給用のコンプレッサーの負担を軽減することができる。なお、前記無声放電オゾン発生装置に供給する酸素原料ガスとして例えば、酸素濃縮用のPSA装置等で製造した高圧酸素濃縮ガスを用いることは、装置全体の効率化及び高性能化に有効である。
【0025】
オゾン濃縮用PSA装置の脱着工程に移行した吸着塔からは、例えば減圧ポンプなどを用いて相対的に低い脱着圧力にしてオゾン濃縮ガスを回収するが、塔後方から乾燥空気を脱着工程の吸着層に導入してオゾン脱着することも可能であり、この時は減圧条件下でも、大気圧条件下で実施することも可能であり、また、吸着工程から流出する高圧酸素濃縮ガスの一部を減圧弁を介して脱着工程の吸着層に導入してパージすることにより脱着を促進することも可能である。
【0026】
なお、脱着工程におけるパージに乾燥空気を使用すると、吸着工程に移行するときに残留空気が回収酸素に混入して、回収酸素濃度を低下してしまう欠点がある。これを防ぐために、本発明では、脱着工程終了後、吸着工程は引き続き酸素/オゾン分離を続行し、このとき回収される酸素の一部を分岐して脱着工程終了後の残留空気を酸素と置換してから、脱着工程から吸着工程への移行を行うことで空気の混入を回避することが出来る。
【0027】
同じく、回収酸素に空気の混入を防ぐために、本発明では、第2図に示すように、塔後方に一時酸素貯留槽を設けて、脱着工程終了後の残留空気を酸素と置換してから、脱着工程から吸着工程への移行を行うことでも空気の混入を回避することが出来る。
【0028】
吸着工程及び脱着工程の条件は、特に限定されない。吸着工程は、106〜507kPa(1.05〜5atm)の範囲の圧力及び温度−60℃〜25℃の範囲で実施するのが普通である。
【0029】
また、脱着工程は、圧力4〜100kPa(0.04〜1atm)の範囲で実施し、温度は特に制限されず、吸着工程の温度に依存するのが普通である。回収したオゾン含有ガスの利用を考慮すると、脱着工程の温度は室温に近いのが好ましい。
【0030】
吸着工程の終了は、例えばオゾン含有ガスの流入口と反対の吸着塔出口のガスのオゾンの濃度を監視していて、オゾンのブレークスルーが見られ始めた時や切換時間、すなわちリサイクルタイムに達した時に吸着が完了したとして、吸着塔へのオゾン含有ガスの導入を停止することによって行うことができる。
【0031】
脱着工程の終了は、例えば脱着圧の可能な最低圧力や切換時間、すなわちリサイクルタイムに達した時に脱着が完了するとか、パージ用空気のパージガス量の1サイクルの必要量から、吸着塔からのオゾン濃縮ガスの回収を停止することによって行うことができる。
【0032】
以下に、本発明を図によって説明する。
【0033】
図1は、PSA酸素製造装置1で製造した酸素を原料として、配管2で無声放電オゾン発生装置3に供給して、オゾン、酸素2成分ガスを製造し、2塔式のオゾン、酸素2成分ガス分離PSA装置4に供給して、オゾン、空気2成分を製造する装置の概念図である。吸着塔5a(左側の吸着塔にはaを数字の後に付番し、右側の吸着塔にはbを付番する。)及び5bに前記のオゾン吸着剤の群から選択された一種以上のオゾン吸着剤6を充填する。
【0034】
このときのシーケンスを表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
図1では、バルブ7a、8aを開け、バルブ9a、10aを閉じることにより、吸着塔5aで吸着工程が進行する。吸着塔5bは、脱着工程に保持した状態を示しており、バルブ7b、8bを閉じ、バルブ9b、10bを開けることにより、前記工程を吸着から脱着へ、切り替えることができる。オゾン発生装置3からのオゾン含有ガスは、ブロワー11で吸着圧力まで加圧して吸着工程の吸着塔5aに供給してオゾンをオゾン吸着剤に吸着させ、吸着塔5aから流出する酸素ガスは配管12でオゾン発生装置3入口に還流されて、原料酸素供給量を削減して、オゾン発生装置3の消費電力を節減する。
【0037】
他方、オゾン回収系は脱着圧に保持されており、真空ポンプ13と結んだバルブ9bを開けることにより脱着工程の吸着塔5bから減圧脱着によりオゾンを回収する。なお、ここで乾燥空気14をパージガスとして使用し、バルブ18開、バルブ19閉として、パージガス供給用導管15に設けた減圧弁16で脱着圧まで減圧して、脱着工程の吸着塔5bに供給して向流パージすることにより脱着は促進される。パージガスを多量に使用するとその分だけオゾン濃度が低下する。好ましいパージ率は1〜2の範囲、より好ましいパージ率は1.2〜1.5の範囲である。
ここでパージガスの使用量Gpは、第1式で表される。
Gp=k ・G ・Pd/Pa (第1式)
Gp:パージガスとして使用する乾燥空気量(mN/h)、k: 向流パージ率k>1.2、
:入口ガス量 (mN/h)、Pd:再生圧力(kPa)、Pa:吸着圧力(kPa)
【0038】
なお、回収酸素に空気の混入を防ぐために、無声放電オゾン発生装置3の前段に酸素濃縮用のPSA装置1を付設するように記載した。この酸素濃縮用のPSA装置1は、乾燥空気を原料としたオゾン製造に比べ、オゾン発生の効率化及び高性能化を図る上で有効である。
【0039】
オゾン、酸素2成分ガス分離PSA装置4に関連して、吸着工程の吸着塔5aから流出する酸素は、導管12を介して無声放電オゾン発生装置3の酸素原料供給用導管に戻して酸素濃縮ガスの有効利用を図ることができる。さらに、高圧仕様の無声放電オゾン発生装置を用いると、PSA装置へのオゾン含有ガスの供給用のコンプレッサーの負担を低減することができるので、装置全体の効率化及び高性能化を図る上で有効である。
【0040】
本発明の吸着剤は、それぞれ使用目的に応じて単独又は混合物の形で、粒状、ペレット状、ラシヒリング状、ハニカム状など任意の形状に成形して使用できる。
【0041】
吸着オゾンの脱着用パージガスとして乾燥空気を使用したため、脱着工程終了後の吸着塔5bには空気が残留しており、このまま昇圧に移行すると回収酸素に空気が混入して回収酸素の酸素濃度が低下する。本発明では酸素濃度の低下を回避するため表1に示したように向流パージ工程終了後、バルブ18を閉、バルブ19を開として、流路20から回収酸素の一部を分岐して、吸着塔5bにバルブ10bから供給して、バルブ9bから空気を真空ポンプ13、流路17から空気をパージして塔5bの空気/酸素置換を行う。
【0042】
同じく、回収酸素に空気の混入を防ぐために、本発明では、図2に示すように、塔後方に一時酸素貯留槽21を設けて、脱着工程終了後の流路20バルブ19、減圧弁16を通じて酸素を供給して、残留空気を酸素と置換してから、脱着工程から吸着工程への移行を行うことでも空気の混入を回避することが出来る。
【実施例】
【0043】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0044】
製造例(1):ペンタシル型ゼオライト
アルミン酸1.16kgを22.5質量%テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド水溶液75.3kgに溶解し、これをテトラエチルオルトシリケート173.6kgに加え、70℃で約4時間攪拌し、テトラエチルオルトシリケートを加水分解した。得られた粉末を80℃の乾燥器に入れて約3時間保持し、加水分解を完全に終了させた。この粉末を室温で水蒸気飽和させて、9〜15質量%の水分を含むゲルを得た後に、これをねじ栓密封容器に詰めて、電気炉に入れ140℃で72時間保持して水熱合成した。水熱合成終了後、密封容器から取り出した粉末を再度電気炉に入れ、空気雰囲気中昇温速度100℃/時で昇温して500℃で20時間保持してテンプレートを除去し、ペンタシル型ゼオライト(SiO/Al=200、BET比表面積528m/g)約50kgを調製した。上記の合成法と同様にして、SiO/Alモル比が20、75、100、200、500又は1000であるペンタシル型ゼオライトを得た。
【0045】
製造例(2):リン酸含有ペンタシル型ゼオライト
85%リン酸(HPO)1.86kgを精製水65リットルに溶解し、これに製造例(1)で得られた50kgのペンタシル型ゼオライトを加えて室温で2時間攪拌してスラリーを得た。このスラリーをエバポレーターで水分を吸引除去して粉末を得た。この粉末を空気雰囲気中110℃で7時間乾燥した後、昇温速度100℃/時間で昇温して450℃で3時間熱処理して、リン素含有ペンタシル型ゼオライト(リン素含量1wt%)約50kgを調製した。必要な量になるまで上記操作を数回も繰り返した。
リン酸使用量を変えること以外は上記と同様にして、リン素含有量の異なるリン酸含有ペンタシル型ゼオライトを得た。
得られた吸着材料をモノリス基材に嵩比重が0.4以上になるように担持して直径0.5m、高さ10cmのモノリス形に成形した。
【0046】
製造例(3):ホウ酸含有ペンタシル型ゼオライト
ホウ酸(HBO)2.86kgを精製水65リットルに溶解し、これに製造例(1)で得られた50kgのペンタシル型ゼオライトを加えて室温で2時間攪拌してスラリーを得た。このスラリーをエバポレーターで水分を吸引除去して粉末を得た。この粉末を空気雰囲気中110℃で7時間乾燥した後、昇温速度100℃/時間で昇温して450℃で3時間熱処理して、ホウ素含有ペンタシル型ゼオライト(ホウ素含量1wt%)約50kgを調製した。必要な量になるまで上記操作を数回も繰り返した。
ホウ酸使用量を変えること以外は上記と同様にして、ホウ素含有量の異なるホウ酸含有ペンタシル型ゼオライトを得た。(ホウ酸の室温での溶解度は約6g/100g HOであるので、ホウ酸の使用量に応じて、ホウ酸を溶解させる水の量を増やした場合もある。)
得られた吸着材料をモノリス基材に嵩比重が0.4以上になるように担持して直径0.5m、高さ10cmのモノリス形に成形した。
【0047】
製造例(4):塩素含有ペンタシル型ゼオライト
塩化ナトリウム(NaCl)824gを精製水65リットルに溶解させ、これに製造例(1)で得られた50kgのペンタシル型ゼオライトを加えて室温で2時間攪拌してスラリーを得た。このスラリーをエバポレーターで水分を吸引除去して粉末を得た。この粉末を空気雰囲気中110℃で7時間乾燥した後、昇温速度100℃/時間で昇温して450℃で3時間熱処理して、塩素含有ペンタシル型ゼオライト(塩素含量1wt%)約50kgを調製した。必要な量になるまで上記操作を数回も繰り返した。
塩化ナトリウム使用量を変えること以外は上記と同様にして、塩素含有量の異なる塩素含有ペンタシル型ゼオライトを得た。
得られた吸着材料をモノリス基材に嵩比重が0.4以上になるように担持して直径0.5m、高さ10cmのモノリス形に成形した。
【実施例1】
【0048】
図1の高濃度オゾンガス製造装置の吸着塔を用いて、オゾン吸着塔吸着工程出口オゾン流過率とオゾン回収率を計測してPSAによるオゾンと酸素の分離性能を比較した。使用した吸着剤は、(1)リン酸含有ペンタシル型ゼオライト、(2)ホウ酸含有ペンタシル型ゼオライト、(3)塩素含有ペンタシル型ゼオライトの3種類である。比較用に従来最もオゾン吸着量が多く且つオゾンの分解が抑制されているペンタシル型ゼオライト(R−1)を使用した。なお全サンプルともゼオライトの添加無機物であるリン酸、ホウ酸、塩素の添加量をそれぞれリン(P)、ホウ素(B)、塩素(Cl)換算で重量比を1w%として、SiO/Al比を25〜3,000の間で変更し、参照にSiO/Al比200の無添加のペンタシル型ゼオライトを用いて評価している。各吸着剤は、吸着塔にそれぞれ0.4mずつ充填した。
【0049】
無声放電オゾン発生装置1では、オゾン3容積%を含有するオゾン含有ガスを発生させコンプレッサー9で1.1atmに加圧し、20mN/hのガス流量で吸着塔に供給してオゾンを吸着させた。オゾン吸着剤として(1)リン酸含有ペンタシル型ゼオライト(リン素担持率1w%)、(2)ホウ酸含有ペンタシル型ゼオライト(ホウ素担持率1w%)、(3)塩素含有ペンタシル型ゼオライト(塩素担持率1w%)を使用して、SiO/Al比を25〜3,000の間で変更し、参照にSiO/Al比200の無添加のペンタシル型ゼオライトを用いて、オゾン濃縮試験を実施した。吸着工程に於いては吸着塔出口からオゾンの流過が開始された時点で、吸着が完了したとして吸着操作を終了した。他方、脱着工程の吸着塔は減圧ポンプで0.1atmに減圧し、パージは行わずにオゾンを脱着回収した。脱着時の吸着塔圧力が0.1atmになった時点で、脱着が完了したとして脱着操作を終了した。吸着温度は25℃で、それぞれの回収オゾン濃度とオゾン回収率とを計測した。吸着工程と脱着工程の切替時間すなわちサイクルタイムは3分に設定した。上記操作条件と、評価に使用した吸着剤サンプル一覧を表2−1に示す。
【0050】
【表2−1】

【0051】
表2−1に基づく操作条件と、オゾン吸着剤でPSAにより酸素とオゾンを分離した結果を表2−2に示す。
【0052】
【表2−2】

【0053】
(1)リン酸含有ペンタシル型ゼオライト(リン担持率1wt%)のSiO/Al比が20〜3,000の範囲内では、25程度では吸着工程出口流過率は2%程度と低値を示すが、オゾン回収率は60%程度にとどまり、吸着されたオゾンの40%程度はオゾン吸着剤層で分解されていることがわかる。しかし75を超えると吸着工程出口オゾン流過率は4.5%を超えるが、オゾン回収率は89%を超えてオゾンの分解が抑制されていることがわかる。このことからリン酸含有ペンタシル型ゼオライト(リン担持率1wt%)のSiO/Al比は75を超えると未処理ペンタシル型ゼオライトの性能を上回り、SiO/Al比は大きいほど好ましい事となる。ただし工業的にはSiO/Al比3,000程度が上限である。
(2)ホウ酸含有ペンタシル型ゼオライト(ホウ素担持率1wt%)のSiO/Al比が20〜3,000の範囲内では、25程度では吸着工程出口流過率は1.8%程度と低値を示すが、オゾン回収率は56%程度にとどまり、吸着されたオゾンの44%程度はオゾン吸着剤層で分解されていることがわかる。しかし75を超えると吸着工程出口オゾン流過率は4.4%を超えるが、オゾン回収率は84%を超えてオゾンの分解が抑制されていることがわかる。このことからホウ酸含有ペンタシル型ゼオライト(ホウ素担持率1wt%)のSiO/Al比は75を超えると未処理ペンタシル型ゼオライトの性能を上回り、SiO/Al比は大きいほど好ましい事となる。ただし工業的にはSiO/Al比3,000程度が上限である。
(3)塩素含有ペンタシル型ゼオライト(塩素担持率1wt%)のSiO/Al比が20〜3,000の範囲内では、25程度では吸着工程出口流過率は1.8%程度と低値を示すが、オゾン回収率は51%程度にとどまり、吸着されたオゾンの49%程度はオゾン吸着剤層で分解されていることがわかる。しかし75を超えると吸着工程出口オゾン流過率は4.4%を超えるが、オゾン回収率は84%を超えてオゾンの分解が抑制されていることがわかる。このことから塩素含有ペンタシル型ゼオライト(塩素担持率1wt%)のSiO/Al比は75を超えると未処理ペンタシル型ゼオライトの性能を上回り、SiO/Al比は大きいほど好ましい事となる。ただし工業的にはSiO/Al比3,000程度が上限である。
【実施例2】
【0054】
また、第1図の高濃度オゾンガス製造装置の吸着塔を用いて、下記の条件での、オゾン吸着塔吸着工程出口オゾン流過率とオゾン回収率を計測してPSAによるオゾンと酸素の分離性能を比較した。使用した吸着剤は、(1)リン酸含有ペンタシル型ゼオライト、(2)ホウ酸含有ペンタシル型ゼオライト、(3)塩素含有ペンタシル型ゼオライトの3種類である。比較用に従来最もオゾン吸着量が多く且つ分解が抑制されているペンタシル型ゼオライト(4)を使用した。なお全サンプルともゼオライトの添加無機物であるリン酸、ホウ酸、塩素の添加量をそれぞれリン(P)、ホウ素(B)、塩素(Cl)換算で重量比を0.25〜5w%として、SiO/Al比に200に設定し、参照にSiO/Al比200の無添加のペンタシル型ゼオライトを用いて評価している。各吸着剤は、吸着塔にそれぞれ0.4mずつ充填した。上記操作条件と、評価に使用した吸着剤サンプル一覧を表3−1に示す。
【0055】
【表3−1】

【0056】
表3−1に基づく操作条件と、オゾン吸着剤でPSAにより酸素とオゾンを分離した結果を表3−2に示す。
【0057】
【表3−2】

【0058】
(1)リン酸含有ペンタシル型ゼオライトのSiO/Al比が200に設定し、リン担持率を0.25〜5wt%に変更したとき、リン担持率0.25wt%では未処理のものと同一であるが、リン担持率0.5〜1.25wt%では未処理のものに比べ、オゾン回収率89%を超えてオゾンの分解が抑制されていることがわかる。しかし、リン担持率が2.5wt%を超えるとオゾン流過率が30%をこえリン酸の担持によりオゾン吸着量が著しく減少していることがわかる。このことからリン酸含有ペンタシル型ゼオライトのリン担持率は0.5〜1.25wt%の範囲が好ましい事となる。
(2)ホウ酸含有ペンタシル型ゼオライトのSiO/Al比が200に設定し、ホウ素担持率0.25〜5wt%に変更したときホウ素担持率0.25wt%では未処理のものと同一であるが、ホウ素担持率0.5〜1.25wt%では未処理のものに比べ、オゾン回収率84%を超えてオゾンの分解が抑制されていることがわかる。しかしホウ素担持率が2.5wt%を超えるとオゾン流過率が30%をこえホウ酸の担持によりオゾン吸着量が著しく減少していることがわかる。このことからホウ酸含有ペンタシル型ゼオライトのリン担持率は0.5〜1.25wt%の範囲が好ましい事となる。
(3)塩素含有ペンタシル型ゼオライトのSiO/Al比が200に設定し、塩素担持率0.25〜5wt%に変更したとき塩素担持率0.25wt%では未処理のものと同一であるが、塩素担持率0.5〜1.25wt%では未処理のものに比べ、オゾン回収率84%を超えてオゾンの分解が抑制されていることがわかる。しかし塩素担持率が2.5wt%を超えるとオゾン流過率が30%をこえ塩素の担持によりオゾン吸着量が著しく減少していることがわかる。このことから塩素含有ペンタシル型ゼオライトの塩素担持率は0.5〜1.25wt%の範囲が好ましい事となる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
オゾンを高濃度で含有するガスを利用することができるので、工業分野では、製紙産業のようなパルプの漂白剤として高濃度のオゾン含有ガスを必要とする分野において用いることができる。また、半導体の洗浄に、RCA洗浄の代替としてオゾンガスを溶媒させたオゾン水は排水処理の面で環境負荷が低く、半導体の基板表面の有機物や金属の除去、洗浄に用いることができる。更に、オゾンの強力な酸化作用を利用して、水道水、その他の飲料水を殺菌するのに用いることができる。その他に、医療、介護、食品、酪農を主とする農業などの分野で殺菌、消毒、排気処理目的で使用することができる。その上に、本発明の方法及び装置は、簡易に設置して使用製造することができるので、養魚場や生魚貯蔵槽に簡易に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 PSA酸素製造装置
2、12、15 配管
3 無声放電オゾン発生装置
4 オゾン、酸素2成分ガス分離PSA装置
5a オゾン吸着塔(左側)
5b オゾン吸着塔(右側)
6 オゾン吸着剤
7a、7b、8a、8b、9a、9b、10a、10b、18、19 バルブ
11 ブロワー
13 真空ポンプ
14 乾燥空気
16 減圧弁
【0061】
1 PSA酸素製造装置
2、12、15、20 配管
3 無声放電オゾン発生装置
4 オゾン、酸素2成分ガス分離PSA装置
5a オゾン吸着塔(左側)
5b オゾン吸着塔(右側)
6 オゾン吸着剤
7a、7b、8a、8b、9a、9b、10a、10b、18、19 バルブ
11 ブロワー
13 真空ポンプ
14 乾燥空気
16 減圧弁
21 一時酸素貯留槽
【0062】
第1図と第2図の同一付番は同一部品を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素を原料とするオゾン製造装置で製造したオゾン、酸素2成分含有ガスを、オゾン吸着剤床を収容した吸着塔に導入して吸着剤にオゾンを吸着させて、流過する酸素を回収して酸素原料として再使用し、オゾン吸着が完了したらオゾン含有ガスの導入を停止し、塔後方からパージガスとして乾燥空気を第1式に従って、大気圧もしくは圧力を下げて吸着剤床に導いて、オゾンを脱着させてオゾン、空気2成分ガスとして回収するオゾンガスの製造方法であって、前記オゾン吸着剤として、(1)リン酸をリン原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(2)ホウ酸をホウ素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(3)塩素を塩素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライトから選ばれた少なくとも一種を用いるオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
Gp=k ・G0 ・Pd/Pa (第1式)
Gp:パージガスとして使用する乾燥空気量(mN/h)、k: 向流パージ率k>1.2、
:入口ガス量 (mN/h)、Pd:再生圧力(kPa)、Pa:吸着圧力(kPa)
【請求項2】
吸着剤床を収容した吸着塔が並列に2以上存在し、1つの吸着塔にオゾン、酸素2成分含有ガスを導入して吸着剤にオゾンを吸着させて流過する酸素を回収してオゾン製造装置原料として再使用する吸着工程に在る間に、吸着工程を完了した別の吸着塔の後方から乾燥空気を大気圧又は減圧条件下パージガスとして向流に供給し、吸着剤床からオゾンを脱着させてオゾン、空気2成分としてオゾンガスを回収する脱着工程を施し、次いでオゾン含有ガスの導入を、吸着工程を完了した吸着塔から、脱着工程を完了した吸着塔に切り換え、上記の工程を繰り返す、オゾン、空気2成分ガスの製造であって、前記オゾン吸着剤として、(1)リン酸をリン原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(2)ホウ酸をホウ素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(3)塩素を塩素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライトから選ばれた少なくとも一種を用いるオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
【請求項3】
吸着剤床を収容した吸着塔が並列に2以上存在し、1つの吸着塔にオゾン、酸素2成分含有ガスを導入して吸着剤にオゾンを吸着させて流過する酸素を回収してオゾン製造装置原料として再使用する吸着工程に在る間に、吸着工程を完了した別の吸着塔の後方から乾燥空気を大気圧又は減圧条件下パージガスとして向流に供給し、吸着剤床からオゾンを脱着させてオゾン、空気2成分としてオゾンガスを回収する脱着工程を施し、脱着工程に残留する空気を、吸着工程にある他塔から流過する酸素を分岐して向流に供給して空気と置換し、回収酸素への空気の混入を抑制し、次いでオゾン含有ガスの導入を、吸着工程を完了した吸着塔から、脱着工程を完了した吸着塔に切り換え、上記の工程を繰り返す、オゾン、空気2成分ガスの製造であって、前記オゾン吸着剤として、(1)リン酸をリン原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(2)ホウ酸をホウ素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(3)塩素を塩素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライトから選ばれた少なくとも一種を用いるオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
【請求項4】
請求項3の脱着工程に残留する空気の酸素との置換に別に設置した酸素貯留槽から供給して空気と置換し、回収酸素への空気の混入を抑制し、次いでオゾン含有ガスの導入を、吸着工程を完了した吸着塔から、脱着工程を完了した吸着塔に切り換え、上記の工程を繰り返す、オゾン、空気2成分ガスの製造であって、前記オゾン吸着剤として、(1)リン酸をリン原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(2)ホウ酸をホウ素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライト、(3)塩素を塩素原子重量比で0.5wt%から1.25wt%含有するペンタシル型ゼオライトから選ばれた少なくとも一種を用いるオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
【請求項5】
前記ペンタシル型ゼオライトが、SiO/Alモル比70〜3000のペンタシル型ゼオライトである請求項1又は2に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。
【請求項6】
オゾン含有ガスを、無声放電オゾン発生装置によって発生させる請求項1〜4のいずれか1に記載のオゾン、空気2成分ガスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−40077(P2013−40077A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178329(P2011−178329)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(506233117)吸着技術工業株式会社 (24)
【Fターム(参考)】