説明

吸着搬送構造

【課題】全体として簡単な構成で安定してワークを搬送できる吸着搬送構造を提供する。
【解決手段】搬送手段1にて搬送される吸着ステージ2を備える。真空引用連結部材20を、吸着ステージ2の吸引口9に連結した状態で、エアを吸引して吸着ステージ2の吸着面2aにワークWを吸着させる。第1栓部材12が吸引口9に付設されて、真空引用連結部材20の吸引口9からの開放状態でエアの流入を規制する。真空引き状態で、規制部材33が吸着ステージ2の開放口10を塞ぐ。第2栓部材13で、規制部材33の開放状態でエアの流入を規制する。真空開放機構35が開放口に連結されて、第2栓部材13の規制力に抗してエアを流入させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着搬送構造に関し、特に平板状のワークを搬送するための吸着搬送構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来においてワークを吸着させて搬送する装置としては、吸着搬送コンベアがある(特許文献1)。この吸着搬送コンベアは、コンベアベルトに吸着用の孔を設け、この孔から空気を吸い込ませることによりワークをコンべアベルト上に吸着させて搬送するものである。
【0003】
すなわち、図6と図7に示すように、この吸着搬送コンベアは、フレーム51と、このフレーム51上を走行するエンドレス状のスチールベルト52とを備える。そして、フレーム51は図外の排気手段(真空発生器)に接続される排出口53を有する導気室54と、この導気室54に連通されてフレーム51の上面(吸着面)に開口する複数列の吸入溝55とを備える。また、スチールベルト52には吸着孔56が設けられている。
【0004】
このため、排気手段にて導気室54の空気を外部に排出することによって、吸入溝55及び吸着孔56を介して、スチールベルト52上のワークWはスチールベルト52に吸着される。これによって、スチールベルト52が走行することによって、ワークWが搬送される。
【特許文献1】特許第3644269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、スチールベルト52にはその長手方向に沿って多数の吸着孔56が設けられている。このため、ワークWが対応しない吸着孔56からの吸引(真空引き)は不要である。そこで、例えば、導気室54を複数個に分割し、各室において、真空制御を行うようにすることになる。
【0006】
しかしながら、スチールベルト52の走行とともに、ワークWも移動する。このため、排気する室が変化し、これに応じて、排気のオン・オフ制御を行う必要があり、その制御が極めて複雑である。しかも、各室において、真空制御を行うために多数の真空発生が必要であり、エネルギー消費が大きいとともに、コスト高となる。また、スチールベルト52がフレーム51上を走行するので、スチールベルト52及びフレーム51が摩耗し易く、摩耗すれば、リークしやすく安定した吸着を行うことができなくなる。
【0007】
さらに、ワークWの下面をスチールベルト52が受けているので、このワークWに対してのアクセス(製品検査等)を行うことができない欠点もある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みて、全体として簡単な構成で安定してワークを搬送できる吸着搬送構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の吸着搬送構造は、搬送手段にて搬送されるとともに、ワーク吸着孔と、吸引口と、開放口と、ワーク吸着孔と吸引口と開放口とを連通する連通路とを有する吸着ステージと、前記吸引口に連結された状態で、真空発生器の駆動によって前記連通路内のエアを吸引して、ワーク吸着孔を介して前記吸着ステージの吸着面にワークを吸着させる真空引用連結部材と、前記吸引口に付設されて、真空引用連結部材の吸引口からの開放状態で前記連通路内へのエアの流入を規制してワーク吸着状態を維持する第1栓部材と、真空引用連結部材が吸引口に連結された真空引き状態で、前記開放口を塞いで連通路内へのエアの流入を規制する規制部材と、前記開放口に付設されて、規制部材の開放状態で前記連通路内へのエアの流入を規制する第2栓部材と、前記規制部材の開放状態で前記開放口に連結されて、前記第2栓部材の規制力に抗して連通路内へエアを流入させる真空開放機構とを備えたものである。
【0010】
本発明の吸着搬送構造によれば、真空引用連結部材を吸着ステージの吸引口に連結して、真空発生器を駆動(作動)させれば、この吸着ステージの吸着面にワークを吸着させることができる。この吸着作業時には、開放口が規制部材にて塞がれているので、連通路内へのエアに流入がなく、吸着作業の妨げにならない。真空引用連結部材を吸引口から開放すれば、第1栓部材によって、吸引口からの連通路内へのエアの流入がなく、また、開放口から規制部材が開放されても、第2栓部材によって、開放口からの連通路内へのエアの流入が規制される。このため、一旦、吸着ステージの吸着面にワークを吸着させる状態となれば、この吸着状態が維持される。そして、真空開放機構を開放口に連結することによって、開放口からエアを連通路内に流入させることができる。これによって、ワークは吸着状態が解除される。
【0011】
前記吸着ステージに、このステージに吸着されたワークの吸着面側へのアクセスを許容する孔部を設けるのが好ましい。このように孔部を設けることによって、この孔部を介してワークに対して仕事(例えば、検査試験や測定等)を行うことができる。
【0012】
前記搬送手段が、駆動輪と従動輪とに掛け回されるエンドレスベルトを備えたものとしたり、第1栓部材及び第2栓部材を逆止弁にて構成したりすることができる。
【0013】
そして、前記真空引用連結部材が、基板と、この基板に付設されて前記吸引口に嵌合して前記逆止弁のバネ部材の弾発力に抗して前記連通路のエアを吸引するためのノズルと、前記基板を前記吸引口に対して接近離間する方向に移動させる駆動機構とを備えたものであってもよい。また、規制部材が前記真空引用連結部材の基板に付設されて、前記ノズルが吸引口に連結された状態で開放口に嵌合する蓋体であってもよい。さらに、真空開放機構は、前記開放口に連結された状態で前記第2栓部材を構成する逆止弁のバネの弾発力に抗して逆止弁を開状態とする押圧体にて構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吸着搬送構造では、吸着ステージの吸着面にワークを吸着させることができ、しかも、真空引用連結部材を吸引口から開放しても、第1栓部材によって吸引口からエアの流入が規制されるとともに、第2栓部材によって開放口からのエアの流入が規制される。このため、吸着面にワークを吸着させた状態の吸着ステージを搬送手段によって搬送することができ、搬送手段をして種々のものを使用することができ、作業部位に応じた搬送手段の選択が可能となって、汎用性に優れる。
【0015】
また、吸着ステージの吸着面にワークを一旦吸着させれば、ワークの搬送が可能となり、真空発生器に対する種々の制御を行う必要がなく、しかも複数の真空発生器を必要としない。このため、装置全体のコンパクト化及びコスト低減化を図ることができる。
【0016】
真空開放機構を開放口に連結することによって、開放口からエアを連通路内に流入させて吸着状態を解除することができる。これによって、吸着ステージからワークを取り出すことができ、ワークを他の部位に搬送して、ワークに対して次の工程を行ったりすることができる。
【0017】
吸着ステージに孔部を設けることによって、この孔部を介してワークに対して仕事(例えば、検査試験等)を行うことができるので、ワークに対して上面(表面)及び下面(裏面)に対して、検査や加工等の作業を行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0018】
前記搬送手段を、駆動輪と従動輪とに掛け回されるエンドレスベルトを備えたものとすることができて、搬送手段として既存(既設)のベルトを使用した搬送機構を使用することができ、イニシャルコストの低減を図ることができる。また、第1栓部材及び第2栓部材を逆止弁にて構成することができ、構成の簡略化を図るとともに、各栓部材の機能を安定して発揮できる。
【0019】
そして、前記真空引用連結部材を、基板とノズルと駆動機構とを備えたもので構成することができ、また、規制部材を真空引用連結部材の基板に付設される蓋体で構成することができるので、各部材の機能を安定して発揮できる。さらに、真空開放機構は、開放口に連結された状態で前記第2栓部材を構成する逆止弁のバネの弾発力に抗して逆止弁を開状態とする押圧体にて構成することができるので、開放口の開放(吸着解除)を確実に行うことができ、ワークの吸着ステージからの取り外し作業の簡略化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
【0021】
吸着搬送構造は、図1に示すように、搬送手段1にて搬送される吸着ステージ2を備える。搬送手段1は、駆動輪3と従動輪4とに掛け回されるエンドレス状のベルト5を備え、図示省略のモータ等の駆動源によって、駆動輪3が回転駆動することによって、ベルト5が走行し、このベルト5に配設される吸着ステージ2が搬送される。この場合、複数個の吸着ステージ2がベルト5の表面に所定ピッチで配置(固定)されている。
【0022】
吸着ステージ2は、図2に示すように、ワーク吸着孔8と吸引口9と開放口10と連通路11とを有する矩形平板体からなる。連通路11はワーク吸着孔8と吸引口9と開放口10とを連通する。そして、図5に示すように、吸引口9には、第1栓部材12を構成する逆止弁12aが配置されるとともに、開放口10には、第2栓部材13を構成する逆止弁13aが配置されている。
【0023】
逆止弁12aは、図5に示すように、バネ部材14と、このバネ部材14の弾発力にて吸着ステージ2側へ押圧されるボール15と、このボール15を受ける弁座16とを備える。このため、通常は、バネ部材14の弾発力にて押圧されるボール15が弁座に受けられて、吸引口9が閉状態となっている。しかしながら、バネ部材14の弾発力に抗してボール15が矢印A方向に引っ張られて、ボール15が弁座16から離間すれば、この吸引口9が開状態となる。
【0024】
逆止弁13aは、バネ部材17と、このバネ部材17の弾発力にて反吸着ステージ側へ押圧されるボール18と、このボール18を受ける弁座19とを備える。このため、通常は、バネ部材14の弾発力にて押圧されるボール15が弁座に受けられて、開放口10が閉状態となっている。しかしながら、バネ部材17の弾発力に抗してボール18が矢印B方向に引っ張られて、ボール18が弁座19から離間すれば、この開放口10が開状態となる。
【0025】
また、吸引口9には、真空引用連結部材20が連結され、真空発生器21の駆動によって連通路11内のエアを吸引して、ワーク吸着孔8を介して吸着ステージ2の吸着面2aにワークWを吸着させることになる。
【0026】
真空引用連結部材20は、図2に示すように、基板22と、この基板22に付設されるノズル23と、基板を吸引口9に対して接近離間する方向に移動させる駆動機構24とを備える。ノズル23は例えば図3に示すように、三角錐体からなり、その外周面には弾性材からなるシール体25が付設されている。このため、ノズル23が吸引口9に嵌合した際には、シール体25が吸引口9の開口端周縁に当接して、吸引口9が密封される。
【0027】
また、ノズル23に孔部26が形成され、基板22に設けられた吸引孔27にこの孔部26が連通され、吸引孔27と真空発生器21とが配管28を介して連通されている。図3(a)に示すように、ノズル23が吸引口9に嵌合した連結状態で、真空発生器21が駆動すれば、その吸引力によって、逆止弁12aのボール15が矢印A方向に引っ張られ、吸引口9が開状態となる。このため、連通路11内のエアが吸引され、ワーク吸着孔8を介して吸着ステージ2の吸着面2aにワークWを吸着させることができる。
【0028】
ところで、真空発生器は、エジェクタ式の真空発生装置であっても、モータでポンプを駆動させる機械的運動による真空発生装置であってもよい。駆動機構24はシリンダ機構30によって構成される。すなわち、シリンダ機構30のピストンロッド31が基板22に連結され、このピストンロッド31が伸縮することによって、基板22延いてはノズル23を吸引口9に対して接近離間する方向に移動させることができる。なお、シリンダ機構30のシリンダ本体32は図示省略の固定側に固定される。
【0029】
また、基板22には、真空引用連結部材20が吸引口9に連結された真空引き状態で、開放口10を塞いで連通路11内へのエアの流入を規制する規制部材33が付設されている。この規制部材33は、図3に示すように、前記ノズル23と同様の三角錐体からなる蓋体34にて構成される。
【0030】
すなわち、ノズル23が吸引口9に嵌合した状態で、蓋体34が開放口10に嵌合し、この状態では、開放口10の開口端周縁に蓋体34の外周面が当接して、開放口10を塞ぐ。また、基板22が吸引口9から離間して、ノズル23の吸引口9への嵌合が解除された際には、この蓋体34の開放口10への嵌合が解除される。
【0031】
ところで、開放口10に付設される逆止弁13aは、そのバネ部材17の弾発力を、吸引口9に連結された真空引き状態で、その連通路11内の負圧よりも大である。このため、ワークWの吸着状態で、バネ部材17の弾発力が吸引力に打ち勝って、ボール18が弁座19に受けられた状態であって、開放口10が塞がれ、この開放口10を介してエアが連通路11内に流入しない。
【0032】
このように、ワークWが吸着状態となれば、この開放口10から空気が流入せず、しかも、吸引口9側では、連通路11内の負圧によって、ボール15が吸着ステージ2側に引っ張られ、吸引口9が開状態とならない。このため、一旦、ワークWが吸着状態となれば、この吸着状態を維持できる。
【0033】
また、この装置は、規制部材33の開放状態で開放口10に連結されて、第2栓部材13の規制力に抗して連通路1内へエアを流入させる真空開放機構35を備える。真空開放機構35は、開放口10に連結された状態で第2栓部材13を構成する逆止弁13aのバネ部材17の弾発力に抗して逆止弁13aを開状態とする押圧体36、つまりシリンダ機構37にて構成することができる。
【0034】
すなわち、開放口10を開状態とする場合には、シリンダ機構37のピストンロッド37aを伸ばして、ボール18をバネ部材17の弾発力に抗して吸着ステージ2側へ押圧すれば、ボール18が弁座19から離間して、開放口10が開状態になる。これによって、開放口10から連通路11内にエアが流入して、吸着状態が解除される。
【0035】
この装置においては、搬送手段1のベルト5は図1の矢印C方向に間欠的に走行する。このため、真空引用連結部材20が上流側に配置され、押圧体36が下流側に配置されている。ここで、上流側および下流側とは、水平方向に沿って走行しているベルト5の上流側および下流側である。
【0036】
次に前記吸着搬送構造によるワークWの搬送方法を説明する。まず、真空引用連結部材20よりも上流側に吸着ステージ2の吸着面2a上にワークWを図4(a)に示すように載置する。なお、吸着面2aにはワークWを受ける複数個の受け体(ゴムパット)38が配置され、この受け体38を介してワークWが吸着ステージ2の吸着面2aに載置される。また、受け体38の数、大きさ、形状等は、ワークWの大きさや吸着面2aに対応する面の形状によって変更でき、ワークWに対してクッション材として機能するとともに、吸着時のシール材として機能すればよい。
【0037】
そして、ワークWが載置された吸着ステージ2が真空引用連結部材20の真下に搬送されたときに、真空引用連結部材20の基板22が下降して、図3(a)に示すように、ノズル23が吸引口9に嵌合するともに、蓋体34が開放口10に嵌合する。
【0038】
この状態で、真空発生器21が駆動(作動)することによって、吸引口9側から連通路11のエアが吸引され(いわゆる真空引きされ)、吸着孔8を介してワークWが吸着面2aに吸着される。この際、開放口10は規制部材33である蓋体34にて塞がれているので、この開放口10からのエアの連通路11への流入が防止される。
【0039】
このように、ワークWが吸着された状態で、図3(b)に示すように、真空引用連結部材20の基板22を上昇させる。この状態では、前記したように、逆止弁12aによって吸引口9からのエアの流入が防止されるとともに、逆止弁13aによって開放口10からのエアの流入が防止される。
【0040】
そして、ワークWが吸着された状態で、吸着ステージ2を順次下流側に搬送していくことができる。ワークWが吸着された吸着ステージ2が押圧体36であるシリンダ機構37の真下に位置したときに、シリンダ機構37のピストンロッド37aを伸ばし、開放口10の逆止弁12aのボール18を吸着ステージ2側へ押圧して、開放口10を開状態とする。これによって、ワークWの吸着状態が解除され、ワークWは吸着ステージ2から自由状態となる。
【0041】
本発明では、吸着ステージ2の吸着面2aにワークWを吸着させることができ、しかも、真空引用連結部材20を吸引口9から開放しても、第1栓部材12によって吸引口9からのエアの流入が規制されるとともに、第2栓部材13によって開放口10からのエアの流入が規制される。このため、吸着面2aにワークWを吸着させた状態の吸着ステージ2を搬送手段1によって搬送することができ、搬送手段1として種々のものを使用することができ、作業部位に応じた搬送手段1の選択が可能となって、汎用性に優れる。
【0042】
また、吸着ステージ2の吸着面2aにワークWを一旦吸着させれば、ワークWの搬送が可能となり、真空発生器20に対する種々の制御を行う必要がなく、しかも複数の真空発生器を必要としない。このため、装置全体のコンパクト化及びコスト低減化を図ることができる。
【0043】
真空開放機構35を開放口10に連結することによって、開放口10からエアを連通路11内に流入させて吸着状態を解除することができる。これによって、吸着ステージ2からワークWを取り出すことができ、ワークWを他の部位に搬送して、ワークWに対して次の工程を行ったりすることができる。
【0044】
前記搬送手段1を、駆動輪3と従動輪4とに掛け回されるエンドレスベルト5を備えたものとすることができて、搬送手段1として既存(既設)のベルト5を使用した搬送機構を使用することができ、イニシャルコストの低減を図ることができる。また、第1栓部材12及び第2栓部材13を逆止弁12a、13aにて構成することができ、構成の簡略化を図るとともに、各栓部材12、13の機能を安定して発揮できる。
【0045】
そして、前記真空引用連結部材20を、基板22とノズル23と駆動機構24とを備えたもので構成することができ、また、規制部材33を真空引用連結部材20の基板22に付設される蓋体34で構成することができるので、各部材20、33の機能を安定して発揮できる。さらに、真空開放機構35は、開放口10に連結された状態で第2栓部材13を構成する逆止弁13aのバネ部材17の弾発力に抗して逆止弁13aを開状態とする押圧体36にて構成することができるので、開放口10の開放(吸着解除)を確実に行うことができ、ワークWの吸着ステージ2からの取り外し作業の簡略化を図ることができる。
【0046】
ところで、図4(b)に示すように、吸着ステージ2に、このステージ2に吸着されたワークWの吸着面側へのアクセスを許容する孔部40を設けることも可能である。このように孔部40を設けることによって、この孔部40を介してワークに対して仕事を行うことができる。これによって、ワークWに対して上面(表面)及び下面(裏面)から検査や加工等の作業を行うことができ、作業効率の向上を図ることができる。仕事として、例えば、ワークWの厚さ寸法を測る場合、ワークWを基準ブロックにて下面側から受け、リニア ゲージを上面側から当て測ることになる。
【0047】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、搬送手段1としては、ベルト5を有するベルトコンベア式搬送機構に限るものではなく、揺動アームを備えたロボット機構を用いたもの等であってもよい。また、真空引用連結部材20の駆動機構や真空開放機構の押圧体等として、シリンダ機構に限るものではなく、ボールねじ機構を用いたもの、リニアモータを用いたもの等であってもよい。
【0048】
ステージ2の大きさ、形状、肉厚等は、吸着するワークWの大きさ、形状、肉厚、材質等に応じて種々変更することができる。また、ステージ2の材質も金属であっても、樹脂であってもよい。吸着孔8の数、大きさ、形状、配置位置等としても、ワークWや真空発生器の吸引力等に応じて種々変更できる。
【0049】
また、吸着するワークWとしては、平面状の吸着面2aに吸着できるものであれば、種々のワークを選択することができる。
【0050】
規制部材33として、真空引用連結部材20に対して独立したものであってもよく、ノズル23や蓋体34としても円錐体に限るものではない。さらに、真空開放機構35として、前記実施形態ではシリンダ機構37のピストンロッド37aを使用し、このピストンロッド37aの押圧によって開放口10を開状態としたが、このようなピストンロッド37aを使用することなく、空気圧を付与するものであってもよい。また、第1栓部材12及び第2栓部位材13として逆止弁12a、13aに限るものではない。すなわち、第1栓部材12としては、ワーク吸着時にエアの吸引を許容するとともに、ワーク吸着後はエアの流入を規制できるものであればよく、第2栓部材13としては、ワーク吸着後にエアの流入を規制するとともに、シリンダ機構37からなる押圧体36による規制解除が可能なものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態を示す吸着搬送構造の簡略図である。
【図2】前記吸着搬送構造の要部簡略図である。
【図3】前記吸着搬送構造の要部を示し、(a)はエアを吸引している状態の拡大図であり、(b)は吸着作業完了状態の拡大図である。
【図4】前記吸着搬送構造によるワーク搬送状態を示し、(a)は簡略平面図であり、(b)は吸着搬送構造の他の実施形態の簡略平面図である。
【図5】前記吸着搬送構造の吸引口と開放口の断面図である。
【図6】従来の吸着搬送構造の要部断面図である。
【図7】従来の吸着搬送構造の要部平面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 搬送手段
2 吸着ステージ
2a 吸着面
3 駆動輪
4 従動輪
5 ベルト
8 ワーク吸着孔
9 開放口
11 連通路
12 第1栓部材
12a 逆止弁
13 第2栓部材
13a 逆止弁
14 バネ部材
17 バネ部材
20 基板
20 真空引用連結部材
21 真空発生器
22 基板
23 ノズル
24 駆動機構
33 規制部材
34 蓋体
35 真空開放機構
36 押圧体
40 孔部
51 フレーム
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段にて搬送されるとともに、ワーク吸着孔と、吸引口と、開放口と、ワーク吸着孔と吸引口と開放口とを連通する連通路とを有する吸着ステージと、
前記吸引口に連結された状態で、真空発生器の駆動によって前記連通路内のエアを吸引して、ワーク吸着孔を介して前記吸着ステージの吸着面にワークを吸着させる真空引用連結部材と、
前記吸引口に付設されて、真空引用連結部材の吸引口からの開放状態で前記連通路内へのエアの流入を規制してワーク吸着状態を維持する第1栓部材と、
真空引用連結部材が吸引口に連結された真空引き状態で、前記開放口を塞いで連通路内へのエアの流入を規制する規制部材と、
前記開放口に付設されて、規制部材の開放状態で前記連通路内へのエアの流入を規制する第2栓部材と、
前記規制部材の開放状態で前記開放口に連結されて、前記第2栓部材の規制力に抗して連通路内へエアを流入させる真空開放機構とを備えたことを特徴とする吸着搬送構造。
【請求項2】
前記吸着ステージに、このステージに吸着されたワークの吸着面側へのアクセスを許容する孔部を設けたことを特徴とする請求項1の吸着搬送構造。
【請求項3】
前記搬送手段が、駆動輪と従動輪とに掛け回されるエンドレスベルトを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2の吸着搬送構造。
【請求項4】
前記第1栓部材及び第2栓部材を逆止弁にて構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかの吸着搬送構造。
【請求項5】
前記真空引用連結部材が、基板と、この基板に付設されて前記吸引口に嵌合して前記逆止弁のバネ部材の弾発力に抗して前記連通路内のエアを吸引するためのノズルと、前記基板を前記吸引口に対して接近離間する方向に移動させる駆動機構とを備えたことを特徴とする請求項4の吸着搬送構造。
【請求項6】
規制部材が前記真空引用連結部材の基板に付設されて、前記ノズルが吸引口に連結された状態で開放口に嵌合する蓋体であることを特徴とする請求項5の吸着搬送構造。
【請求項7】
真空開放機構は、前記開放口に連結された状態で前記第2栓部材を構成する逆止弁のバネの弾発力に抗して逆止弁を開状態とする押圧体にて構成したことを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれかの吸着搬送構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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