吸音装置
【課題】 ランプハウスやプロジェクター等の照明、映像および音響装置に内蔵されるモーターの駆動音や空冷用ファンの風きり音による騒音を低減させること。
【解決手段】 支持部と、支持部との間に吸排気口を形成するように連結具を介して支持部と連結されるか、または内側に吸排気口を有し前記支持部と連続している天板部と、天板部の内側に取り付けられた吸音材とを有する吸音装置であって、吸音材が、目付150〜800g/m2、嵩高度0.01〜0.2g/cm3の不織布と、JIS L−1096に基づいて測定される通気量が50cc/cm2/sec以下の表皮材との少なくとも2層が積層された構造体であり、かつ表皮材が吸排気口側に配されてなる取付型の吸音装置、およびこの吸音装置を備えた照明、映像、音響等の装置、ならびに前記吸音材を装置の内壁、装置の必要部材および装置の消音部材のうちの少なくとも1箇所の表面に取り付けたそれらの装置。
【解決手段】 支持部と、支持部との間に吸排気口を形成するように連結具を介して支持部と連結されるか、または内側に吸排気口を有し前記支持部と連続している天板部と、天板部の内側に取り付けられた吸音材とを有する吸音装置であって、吸音材が、目付150〜800g/m2、嵩高度0.01〜0.2g/cm3の不織布と、JIS L−1096に基づいて測定される通気量が50cc/cm2/sec以下の表皮材との少なくとも2層が積層された構造体であり、かつ表皮材が吸排気口側に配されてなる取付型の吸音装置、およびこの吸音装置を備えた照明、映像、音響等の装置、ならびに前記吸音材を装置の内壁、装置の必要部材および装置の消音部材のうちの少なくとも1箇所の表面に取り付けたそれらの装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明、映像または音響装置等の各種装置の騒音を低減するための取り付け型の吸音装置に関する。また、本発明は、取り付け型の吸音装置や吸音材を取り付けることにより、照明、映像または音響装置等の各種装置の駆動部や吸排気ファンから発せられる騒音が低減された装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ムービングライト等の照明装置やプロジェクター、DVD等の映像装置およびアンプ等の音響装置には、内部に収容されたランプや電源等の発熱部を備えている。これらの発熱量は、通常、500〜1200W程度といわれている。装置内部の発熱が大きく、内部が高温になると部品の損傷が危惧されるため、これを冷却するために、一般に、空冷用の吸排気ファンが備えられている。吸排気ファンには駆動用モーターが付属しており、それらの装置を使用する際には吸排気ファンを駆動させるので、モーターの駆動音が騒音となりやすい。また、モーターの駆動音ばかりでなく、吸排気ファンの風切り音も騒音となることが多い。また、その他の照明装置、映像および音響装置においてもモーター音が騒音となりやすく、その低減が望まれていた。
【0003】
従来、照明装置の騒音の低減に関しては、例えば、コロナ放電を発生する電極を設けてイオン流を発生させ、ランプの発熱部を冷却することにより、モーター駆動のファンを不要にする提案(特許文献1)や、安定器で発生する騒音が漏れることを防止するために、照射開口に取り付けたルーバの外側にアクリル樹脂板等の透光性板体を設けて騒音を反射させることが提案されている(特許文献2)。
【0004】
また、照明装置には、グラスウールや発泡ウレタンを用いて消音をはかることが検討されたが、グラスウールは厚みが不十分なため吸音性が十分でないし、発塵する欠点がある。発泡ウレタンは発塵性があり、耐熱性、難燃性が不足するほか、吸音材として用いるには十分な厚みが必要であるため、小型化の要望が大きい近年において好ましい素材とは言いがたい。
【特許文献1】特開平8−293290号公報
【特許文献2】特開平5−54706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記に鑑み、騒音低減効果に優れ、断熱性、耐熱性、難燃性に優れた取り付け型の吸音装置および該吸音装置を取り付けた装置を提供することを課題とする。また、本発明は、騒音の低減された装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の吸音材を用いた吸音装置、および特定の吸音材を備えた装置が、前記課題を解決することができることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、支持部と、前記支持部との間に吸排気口を形成するように連結具を介して支持部と連結されるか、または内側に吸排気口を有し前記支持部と連続している天板部と、前記天板部の内側に取り付けられた吸音材とを有する吸音装置であって、前記吸音材が、目付が150〜800g/m2、嵩高度が0.01〜0.2g/cm3である不織布と、JIS L−1096に基づいて測定される通気量が50cc/cm2/sec以下の表皮材との少なくとも2層が積層された構造体であり、かつ前記表皮材が吸排気口側に配されてなることを特徴とする取り付け型の吸音装置を提供する。
【0008】
本発明の吸音装置においては、前記吸音材が天板の内側の略全面に取り付けられていると吸音性能が効果的に発揮され、好ましい。
【0009】
また、前記支持体部が天板部と分離している形式の場合には、その中央部に開口を有し、吸音材が少なくとも前記開口に略対応する位置に取り付けられていることが、吸音性能の点から好ましい。
【0010】
また、前記不織布が、熱可塑性短繊維及び/又はLOI値が25以上の耐熱性短繊維が交絡されてなるものであることが好ましい。熱可塑性短繊維とLOI値が25以上の耐熱性短繊維とが交絡されてなる不織布においては、前記熱可塑性繊維と耐熱性繊維との割合が、質量比で95:5〜55:45の範囲であることがより好ましい。耐熱性短繊維を用いた構成によれば、吸音性、かつ、断熱性、耐熱性、難燃性に優れた吸音材が得られる。
【0011】
また、本発明の吸音装置においては、前記表皮材が、長繊維からなるスパンボンド不織布又は短繊維からなる湿式不織布であることが好ましい。前記スパンボンド不織布又は湿式不織布が、JIS B−9923 6.2(1.2)タンブリング法により測定される粒径0.3μm以上の発塵数が500個/0.1ft3以下であることがより好ましい。本構成によれば、吸音性、断熱性、耐熱性、難燃性及び低発塵性に優れた吸音材が得られる。
【0012】
さらに、表皮材を構成する湿式不織布はマイカを含有することが吸音性、電気絶縁性に優れ、好ましい。
【0013】
本発明は、また、少なくとも発熱部(発熱量500W以上)と吸排気ファンを有し、前記吸音装置を備えたことを特徴とする装置を提供する。
【0014】
さらには、本発明は、少なくとも発熱部(発熱量500W以上)と吸排気ファンを有し、装置の内壁、装置の必要部材および装置の消音部材のうちの少なくとも1箇所の表面に吸音材を取り付けた装置であって、該吸音材が、目付が150〜800g/m2、嵩高度が0.01〜0.2g/cm3である不織布と、JIS L−1096に基づいて測定される通気量が50cc/cm2/sec以下の表皮材との少なくとも2層が積層されてなる構造体であることを特徴とする装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の取り付け型の吸音装置は、空冷用の吸排気ファンのモーターの駆動音や風切り音を吸音材により吸音するので、照明装置等の装置に取り付けることにより、装置の外部に漏れてくる騒音を低減することができる。吸音材の取り付けを天板部の内側の略全面に行うことにより、吸音性能のよい吸音装置を得ることができる。又、支持部と天板部が分離し、連結具で連結されている形式の吸音装置の場合には、吸音材を支持部の開口と略対応した位置に配置すると吸音性能のよい吸音装置を得ることができる。さらには、吸音材の素材を選ぶことにより、騒音の低減に加えて、断熱性、耐熱性、難燃性、低発塵性、電気絶縁性に優れた吸音装置を提供することができる。
【0016】
また、前記吸音装置を備えた装置は、外部に漏れてくる吸排気ファンのモーターの駆動音や風切り音のような騒音を低減することができる。吸音材を装置の内壁、装置の必要部材および装置の消音部材のうちの少なくとも1箇所の表面に取り付けることによっても、この効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の吸音装置は、支持部、天板部および吸音材から主として構成される。支持部は、吸音装置の支持を行うとともに、吸音装置を所定の装置に取り付ける際の取り付け部となる(以下、本発明の吸音装置を取り付ける装置を「取付対象装置」という)。そのため、支持部には取付対象装置に取り付けるためのビス穴等が設けられる。支持部はゴム、プラスチック、金属等から製造され、素材、形状等は限定されない。また、支持部は、後記、実施の形態で図示するように、中央部に吸排気のための開口を有する形態のもの、及び、開口を有しない形態のものの両者を包含する。
【0018】
次に、天板部は、吸音材の形状維持、保護および吸音装置の取り扱い性のために設けられる。天板部は、プラスチック、金属、ゴム等から製造され、素材に限定はない。また、天板部の形状も後記、実施の形態に図示するように、平板状、箱底状、ドーム状、トンネル状等、各種の形状を有することができる。これらの形状のなかでも、箱底状、ドーム状、トンネル状等のように、中央部が深い、別言すれば、中央部に奥行きを有する形状であることが吸音性能の点から好ましい。天板部の内側に取り付けた吸音材の表皮材表面の各点と、支持部開口とを結ぶ直線距離が異なり、また、この直線と開口とがなす角度が異なることにより、吸音性能が向上すると考えられる。
【0019】
また、天板部は、前記支持部との間に吸排気口を形成するように連結具を介して連結されていてもよいし、またはトンネル状のように、内側に吸排気口を有するように両端が前記支持部と連続している一体型のものであってもよい。支持部と天板部の間に吸排気口が形成された吸音装置の場合には、該吸排気口と支持部中央の開口は連通しているので、取付対象装置の吸排気音および取付対象装置から漏れ出る騒音等が、開口部を通過した後、天板部に取り付けられた吸音材に衝突することにより低減されて吸排気口から排出される。取付対象装置の吸排気口と支持体に開口部を有しない吸音装置の吸排気口が連通している場合も同様である。
【0020】
吸音材の構成等については、後記するが、吸音材は天板部の内側に略全面に取り付けられ、支持部が中央部に開口を有する場合には、その開口と略対応する位置に配置される。開口を通過してくる騒音が吸音材に衝突して吸音されることにより、騒音が低減される。また、吸音材は不織布と表皮材との少なくとも2層が積層されてなるが、その表皮材面が吸排気口側になるように、すなわち、通常はその不織布面が天板に当接するように取り付けられる。表皮材を吸排気口側に配することによって吸音性が向上し、取扱性も良好になる。吸音材の取り付け方法に限定はなく、例えば、接着剤を用いて貼り付ける方法などを挙げることができる。
【0021】
本発明で用いる吸音材は、不織布と表皮材との少なくとも2層が積層されてなる構造体であればよいので、不織布と表皮材との多層積層体、例えば表皮材/不織布/表皮材、表皮材/不織布/表皮材/不織布/表皮材の積層体からなる吸音材も使用することができる。これらの場合には、表皮材が天板部と当接するように取り付けられる。
【0022】
本発明において、吸音装置を取り付ける装置(取付対象装置)としては、装置内部に収容されたランプや電源等の発熱部と吸排気ファンを有しており、発熱部の発熱量(発熱部が2以上の場合は合計発熱量)が500W以上のもの、例えば、ムービングライト、ウォッシュライト、エフェクトライト、投影機、カラーチェンジャー等の照明装置、プロジェクター、DVD、映写機等の映像装置、アンプ、ミキサー、イコライザー等の音響装置、スノーマシン、スモークマシン等の発煙装置、パソコン、ドライアイスマシン、電源車等が挙げられる。
【0023】
前記装置においては、ライトの照射時などの装置の使用時または運転時に発熱するので、空冷の目的で吸排気ファンが付属しているのが一般的である。このファンの吸排気を駆動するモーターが駆動音を発し、またファンの風切り音が装置外部に漏れ、周囲に騒音を感じさせる。本発明の吸音装置は、前記各種の装置の外部に漏れる騒音を吸音して、低減させるものであるが、発熱部の発熱量が500W以上の装置では、吸排気ファンの駆動音や風切り音が騒音として感じられるようになるからである。また、吸排気ファンの流量が0.2m3/min以上の装置に適用するのが好ましく、流量が0.6m3/min以上の装置に適用するのがより好ましい。
【0024】
また、前記装置においては、(1)本発明の吸音装置を吸排気口に取り付けることにより、または、(2)吸音材を装置の内壁、必要部材および消音部材のうちの少なくとも1箇所に取り付けることにより、または(3)本発明の吸音装置を吸排気口に取り付けると同時に、吸音材を装置の内壁、必要部材および消音部材のうちの少なくとも1箇所に取り付けることにより、装置外部に漏れ出てくる騒音の低減に加えて、断熱、難燃効果も得ることができる。吸音材は、取付対象装置の内壁、その他に取り付ける場合、吸音装置の場合と同様に、不織布面(表皮材が不織布の両面に積層されている場合は表皮材面)が装置の壁面等の表面に当接するように取り付けるとよい。
【0025】
本発明において、吸音材としては、吸音性、取扱い性に優れる点から、1層の目付150〜800g/m2、嵩高度0.01〜0.2g/cm3の不織布と、JIS L−1096に基づいて測定される通気量が50cc/cm2/sec以下の表皮材との少なくとも2層が積層されてなる吸音材が使用される。
【0026】
吸音材を構成する不織布は、1層の目付が150〜800g/cm2、嵩高度が0.01〜0.2g/cm3であれば、短繊維からなる不織布、長繊維からなる不織布のいずれであってもよい。不織布の目付が小さすぎると製造時の取扱性が悪くなり、ウエブ層の形態保持性が不良となる。一方、目付が大きすぎると繊維の交絡に要するエネルギーが大きくなる、或いは、交絡が不十分となり不織布加工時に変形するなどの不都合が生じる。また、嵩高度が小さすぎると難燃性、断熱性、吸音性が低下し、大きすぎても難燃性が低下し、耐摩耗性、加工性が低下する。嵩高度は、好ましくは0.01〜0.1g/cm3、より好ましくは0.02〜0.08g/cm3、特に好ましくは0.02〜0.05g/cm3である。
【0027】
また、不織布の1層の厚さは、2〜100mmが好ましく、さらに好ましくは5〜30mmである。不織布の厚みは厚いほど吸音性が良好になるが、取扱性、吸音材としてのスペース確保等の点から、上記範囲が好ましい。
【0028】
かかる不織布としては、例えば、ニードルパンチ不織布、ウォータージェットパンチ不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布、ステッチボンド不織布などが挙げられるが、ニードルパンチ短繊維不織布が好ましい。
【0029】
不織布を構成する繊維の断面形状は特に限定されず、真円断面状であってもよいし、異形断面状であってもよい。例えば、楕円状、中空状、X断面状、Y断面状、T断面状、L断面状、星型断面状、葉形断面状(例えば三つ葉形状、四葉形状、五葉形状等)、その他の多角断面状(例えば三角状、四角状、五角状、六角状等)などの異形断面状であってもよい。
【0030】
不織布を構成する繊維は、天然繊維でも合成繊維でもよいが、耐久性の点から合成繊維が好ましく使用される。かかる繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド(例えばナイロン等)繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等を挙げることができ、前記繊維素材を例えば湿式紡糸、乾式紡糸又は溶融紡糸等の公知の方法に従って製造したものを使用することができる。これらの熱可塑性繊維は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができ、又、同種又は異種の繊維で繊度や繊維長の異なるものを混合して用いることもできる。この場合、繊維の混合比は任意であり、不織布の用途や目的に合せて適宜決定することができる。不織布として、雑フェルトを用いることもできる。
【0031】
中でも、耐久性、耐摩耗性に優れる点から、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維が好ましく、これらの繊維単独、又は任意の割合で混合されたものであってもよい。特に、使用済み不織布の熱溶融により原料ポリエステルを容易にリサイクル使用することが可能で、経済性に優れ、不織布の風合いも良く、成形加工性に優れる点より、ポリエステル繊維が最も好ましい。これらの熱可塑性繊維は、一部または全部が反毛(回収再生繊維)であってもよい。特に、一旦車装に使用された繊維を回収して再生されたリサイクル繊維は好適に使用することができる。
【0032】
上記のポリエステル繊維は、ポリエステル樹脂からなる繊維であれば特に限定されない。ポリエステル樹脂は、エステル結合を繰り返し単位に含む重合体樹脂であれば特に限定されず、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするジカルボン酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂であってもよい。また、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレアジペート、ポリエチレンサクシネート・アジペートコポリマー、ポリ乳酸、あるいはこれらを主成分として他のジカルボン酸及び/又はグリコールを共重合したポリエステル繊維などの生分解性ポリエステル繊維であってもよい。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。上記ジカルボン酸成分の一部を、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、スルホン酸、金属置換イソフタル酸などで置き換えてもよく、また、上記のグリコール成分の一部を、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリアルキレングリコールなどに置き換えてもよい。生分解性ポリエステルからなる繊維でもよい。
【0033】
上記ポリエステル繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリエチレンフタレート(PEN)繊維、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリトリメチレンナフタレート(PTN)繊維などが挙げられるが、とりわけ、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維が好ましい。これらのポリエステル繊維には、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、窒化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、ジルコニウム酸などの各種無機粒子や、架橋高分子粒子、各種金属粒子などの粒子類のほか、従来からある抗酸化剤、金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、ワックス類、シリコーンオイル、各種界面活性剤などが添加されていてもよい。
【0034】
熱可塑性繊維の繊維長及び繊度は、特に限定されないが、繊維長は10mm以上が好ましい。ステープルの場合は、繊維長10〜100mmが好ましく、特に20〜80mmが好ましい。繊維長10mm以上の短繊維を使用することにより、短繊維が不織布から脱落しにくくなる。一方、カードからの紡出性など加工性から100mm以下とすることが好ましい。繊度は0.5〜30dtex、特に1.0〜20dtexのものが好適である。
【0035】
より難燃性、断熱性に優れた不織布とするには、上記の熱可塑性短繊維に耐熱性短繊維を交絡させて一体化させることが好ましい。この耐熱性短繊維は、LOI値(限界酸素指数)が25以上のものであり、難燃レーヨン繊維や難燃ビニロン繊維、モダクリル繊維などのように難燃剤を添加して難燃化した繊維は含まれない。ここで、LOI値は5cm以上継続して燃えるのに必要な最低酸素濃度を意味するが、LOI値はJIS L 1091法により測定される値である。耐熱性短繊維のLOI値が25以上であれば、不織布に難燃性を付与できるが、より難燃性に優れた不織布にするためにはLOI値が28以上であることが望ましい。
【0036】
耐熱性短繊維の具体例としては、例えば、アラミド繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリベンズチアゾール繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリアリレート繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維及び耐炎化繊維から選ばれた有機繊維又はこれらの混合繊維を挙げることができる。これらの耐熱性繊維は、同種または異種の繊維で、繊度や繊維長の異なる繊維を混合したものであってもよい。ここで、耐炎化繊維は、主としてアクリル繊維を空気などの活性雰囲気中で200〜500℃で焼成して製造されるもので、炭素繊維の前駆体である。例えば、旭化成社製造の商品名「ラスタン」、東邦テナックス社製造の商品名「パイロメックス」などを挙げることができる。
【0037】
これらの耐熱性短繊維の中でも、アラミド繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリアリレート繊維、及び耐炎化繊維が好ましい。なかでもアラミド繊維がさらに好ましく、加熱収縮が少ない点よりパラ系アラミド繊維が特に好ましい。パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(米国デュポン株式会社、東レ・デュポン株式会社製、商品名「KEVLAR」(登録商標))、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人株式会社製、商品名「テクノーラ」(登録商標))等の市販品が挙げられる。
【0038】
上記アラミド繊維は、その繊維表面及び繊維内部にフィルムフォーマ、シランカップリング剤及び界面活性剤が付与されていてもよい。
【0039】
耐熱性繊維における繊維長及び繊度は、特に限定されないが、繊度は0.1〜50dtexが好ましく、特に0.3〜30dtexのものが好ましく、繊維長は20〜100mm、特に40〜80mmの短繊維のものが好ましい。
【0040】
耐熱性短繊維と熱可塑性短繊維を併用する場合、耐熱性短繊維/熱可塑性短繊維=5/95〜45/55(質量比)の比率で併用することが好ましい。加工性、難燃性および経済性の点より、耐熱性短繊維/熱可塑性短繊維の比率(質量比)は、より好ましくは12/88〜45/55、さらに好ましくは15/85〜45/55、最も好ましくは15/85〜35/65である。耐熱性繊維が5質量%未満では、加熱された排気に対する耐久性が不足する傾向がある。
【0041】
前記の耐熱性短繊維のみを交絡させた不織布を用いることもできる。
【0042】
不織布中には、耐摩耗性などを向上させるために、「サフメット」等の低融点繊維を含有させることができる。低融点繊維を混入して熱処理することにより、繊維同士がバラケにくくなる点で好ましい。低融点繊維としては、前述のポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、線状低密度ポリエチレン繊維、エチレン−酢酸ビニル共重合体繊維等から選ばれる一種又は二種以上の繊維を挙げることができる。
【0043】
不織布を構成する表皮材の通気量は50cc/cm2/sec以下であり、好ましくは0.01〜50cc/cm2/sec、より好ましくは0.01〜30cc/cm2/secである。通気量はJIS L−1096に基づいて測定されるものである。通気量が50cc/cm2/secを超えると吸音材の吸音性が悪くなる。
【0044】
表皮材を構成する繊維素材は特に限定されないが、上記した不織布の素材が好ましく使用される。
【0045】
表皮材は、紙、多孔性フィルム、不織布(乾式および湿式)など種々の形態であってよいが、チョップドファイバー、パルプやステープルなどを抄紙してなるペーパーやフェルトなど、短繊維からなる湿式不織布が好ましく使用される。このような不織布としては、市販の不織布、例えば、商品名「KEVLER100%ペーパー」(王子製紙社製)をそのまま用いることができる。この不織布は、耐熱性、難燃性、耐久性に優れ、発熱部を有する本発明の照明装置においては好適である。湿式不織布は難燃性素材を含むものであってもよく、マイカ(白雲母、金雲母、黒雲母、人造金雲母等)等の無機物質を添加して抄紙した短繊維不織布も好適に用いられる。マイカを添加する場合、樹脂フィラー、電気絶縁材料に用いられる白雲母、金雲母が好ましい。表皮材に対する無機物質の使用量は、5〜70質量%、好ましくは10〜40質量%である。
【0046】
長繊維からなる乾式スパンボンド不織布も、表皮材として好ましく使用される。とりわけ、サーマルボンド方式で製造されたものが好ましい。このような不織布としては、市販の不織布、例えば、商品名「アクスター」(東レ株式会社製、ポリエステルスパンボンド不織布)をそのまま用いることができる。
【0047】
表皮材として用いる上記の乾式及び湿式不織布は、後記の発塵度試験において、0.3μm以上の塵数の合計が500個/0.1ft3以下、より好ましくは100個/0.1ft3以下であることが好ましい。このような低発塵性の不織布としては、上記した商品名「KEVLER100%ペーパー」(王子製紙社製)をはじめとして、市販のクリーンペーパー、例えば、商品名「OKクリーンホワイト」(富士製紙社製)や、市販の不織布、商品名「アクスターG2260−1S」(東レ株式会社製)等をそのまま用いることができる。
【0048】
表皮材の厚みは任意であるが、1層の厚みが、好ましくは0.01〜2mm、より好ましくは0.05〜1mmである。表皮材1層の単位面積当りの質量は、軽量で強度が得られる点より、20〜400g/m2が好ましく、より好ましくは50〜300g/m2である。
【0049】
表皮材と不織布との積層方法としては、表皮材と不織布がいずれも1層である場合、表皮材を不織布の片面に積層させる、不織布の片面と両側面を包む、不織布の全面を包む、のいずれかの態様があるが、片面と両側面を包む態様又は全面を包む態様が好ましい。側面が包まれていると、不織布が外部に露出していないので、不織布を構成する短繊維の脱落を防止することができ、全面が包まれていると、難燃性素材からなる表皮材の場合には、これに加えて、難燃性をさらに向上させることができる。多層積層体の場合においても、不織布が側面等で外部に露出しないことが望ましい。
【0050】
吸音材の表皮材と不織布は、非接着状態でもよいが、好ましくは、融着、縫合、熱溶融接着剤等の接着剤による接着、さらには熱エンボス、超音波接着、接着樹脂によるシンター接着、熱接着シートによる接着、ウエルダーによる接着、樹脂鋲(例えば、(株)日本バノック社製、「バノック」等)を用いる方法などの汎用の方法により結合、積層したものが使用される。
【0051】
吸音材は染料や顔料で着色されていてもよい。着色方法としては、例えば、原着糸或いは着色繊維を用いる方法、吸音材を染料や顔料で着色する方法などが挙げられる。
【0052】
次に、本発明において用いられる吸音材の製造例を具体的に説明する。
【0053】
(吸音材の製造例1)
パラ系アラミド繊維「ケブラー(登録商標)」ステープル(東レ・デユポン株式会社製、1.7dtex×51mm、LOI値29)と、ポリエステルステープル(東レ株式会社製、1.7dtex×51mm)を混繊(質量比で30:70)してカードを経たウエブをニードルパンチ方式により、厚さ10mm(目付400g/m2、嵩高度0.04g/cm3)の不織布を作製した。この不織布に、「KEVLER(登録商標)100%ペーパー」(王子製紙株式会社製、厚さ95μm、目付72g/m2、通気量0.93cc/cm2/sec)からなる表皮材を貼り合わせた。貼り合わせは、表皮材の上に低融点パウダー(EVA 融点80℃)を75g/m2ふりかけ、その上に不織布を重ね、さらにその外側を金網で挟んだ状態で160℃×3分間熱処理して、不織布の側面および底面を表皮材で覆った吸音材を得た(吸音材−a)。
【0054】
(吸音材の製造例2)
車装に用いられたポリエステル繊維を再生して得られたステープル(1.7dtex×51mm)ウエブをニードルパンチして、厚さ10mm(目付400g/m2、嵩高度0.04g/cm3)の不織布を作製した。この不織布に、長繊維ポリエステルスパンボンド不織布「アクスター(登録商標)G2150−1SBKO」(東レ株式会社製、厚さ450μm、目付150g/m2、通気量30cc/cm2/sec)からなる表皮材を貼り合せた。表皮材と不織布を、製造例1と同様にして貼り合わせ、吸音材を得た(吸音材−b)。
【0055】
(吸音材の製造例3)
パラ系アラミド繊維「ケブラー(登録商標)」ステープル(東レ・デユポン株式会社製、1.7dtex×51mm、LOI値29)と、ポリエステルステープル(東レ株式会社製、1.7dtex×51mm)を混繊(質量比で30:70)してカードを経たウエブをニードルパンチ方式により、厚さ10mm(目付400g/m2、嵩高度0.04g/cm3)の不織布を作製した。一方、表皮材として、パラ系アラミド繊維「ケブラー(登録商標)」3mmチョップドファイバー糸(東レ・デユポン株式会社製)と、メタ系アラミド繊維「ノーメックス(登録商標)」パルプ(デュポン社製)を混合(質量比で90:10)し、さらに、繊維:白雲母が70:30(質量比)となるように白雲母を混合してスラリーをとなし、これを抄紙し、カレンダー加工してアラミドペーパー(厚さ82μm、目付90g/m2、通気量0cc/cm2/sec)を得た。この表皮材の上に低融点パウダー(EVA 融点80℃)を75g/m2ふりかけ、その上に不織布を重ね、さらにその外側を金網で挟んだ状態で160℃×3分間熱処理して、不織布の側面および底面を表皮材で覆った吸音材を得た(吸音材−c)。
【0056】
(吸音材の製造例4)
パラ系アラミド繊維「ケブラー(登録商標)」ステープル(東レ・デユポン株式会社製、1.7dtex×51mm、LOI値29)を用い、カードを経たウエブをニードルパンチ方式により、厚さ20mm(目付400g/m2、嵩高度0.02g/cm3)の不織布を作製した。この不織布に製造例1で使用したケブラー100%ペーパーを、製造例1と同じ方法で貼り合わせて吸音材を得た(吸音材−d)。
【0057】
上記製造例で使用した表皮材の発塵度は、JIS B 9923 タンブリング法に準じて試験した。まず、クリーンルーム中に設置したタンブリング法発塵性試験装置を空運転し、試験機内が無塵状態であることを確認した後、クリーン洗濯なしの表皮材(20cm×28.5cm)をタンブリング式発塵試験機(CW−HDT101)に投入し、発塵ドラム回転数46回転/分で運転し、運転1分経過後からの塵の数を0.1ft3/分の速度で、1分間づつ計10回連続して測定し、1分間の平均値を発塵数とした。なお、ダストカウンターは、82−3200N、吸引空気量はフィルター使用時の最大値が2.2L/分である。サンプルは20cm×28.5cmを5枚使用し、1×1cm角のサンプルの面積から発生したものと換算した。以下に示すように、粒径0.3μm以上の塵数の合計により等級を定め、4級以上の発塵度のペーパーをクリーンペーパーとした。
【0058】
等級:合計塵数(個)/0.1ft3
5級:100以下
4級:101〜500
3級:501〜1000
2級:1001〜5000
1級:5000以上
【0059】
製造例1〜4で得た吸音材の特性を表1にまとめて示した。
【表1】
【0060】
次に、前記製造例で製造された吸音材を用いた本発明の好ましい実施形態について、図面を用いて説明する。
【0061】
図1〜4は本発明の吸音装置の好ましい一実施形態を示す外観斜視図である。図1〜4において、1は吸音装置、2は吸音材、21は不織布、22は表皮材、3は天板部、4は支持部、5は連結棒、7は吸排気のための開口(吸排気口ということもある)、6はビス穴である。
【0062】
(吸音装置−1)
図1は、天板部3が平板状の形態の一例である。図1において、支持部4は、円盤状で中央部に大きな開口7を有する。円板状の天板部3と同心円形状の支持部4は、両者の間に吸排気口7を有するように設計され、この吸排気口7を横断する連結棒(図示せず)を介して連結されている。天板部3の内側に不織布21と表皮材22とが積層されてなる吸音材2が、表皮材22が支持部4の開口7側になるように開口7と対応して天板部3の内側のほぼ全面に接着剤を用いて貼り付けられている。支持部4の開口7を通過してくる騒音が衝突するように吸音材2が配置されているため、衝突した騒音が吸音されることにより、騒音が低減される。支持部4には、他の装置に取り付けるためのビス穴6が設けられている。図1の吸音装置においては、天板部3、支持部4および連結棒は樹脂製とし、連結棒の両端が熱硬化性樹脂接着剤を用いて天板部3および支持部4に連結されている。
【0063】
図1に示す吸音装置において、吸音材2としては前記した吸音材であれば特に限定なく取り付けることができるが、図例では、前記吸音材−aが取り付けられた形態を示す。すなわち、パラ系アラミド繊維ステープルとポリエステルステープルとの混繊(質量比で30:70)ウエブをニードルパンチして製造された不織布21の側面および底面が、「KEVLER(登録商標)100%ペーパー」からなる表皮材22で覆われている形態の吸音材が使用されている。
【0064】
(吸音装置−2)
図2は、天板部3が箱底型の形状を有する吸音装置の例である。図2においては、箱底型の天板部3の内側のほぼ全面に、吸音材2が不織布面21を天板部に当接するようにして取り付けられている。天板部3は中央部が深くなっているので、吸音性能がよい。吸音材2が天板3の形状に沿って中央部が深くなるような形態を有するので、吸音効果が優れるものと考えられる。吸音材2は、図1の吸音装置と同様に、支持部4の中央部の開口7と対応して取り付けられ、天板部3と支持部4の間には吸排気口7があり、天板部3と支持部4は4本の連結棒5により連結されている。図2において、支持部4の形状は四角形を示したが、取り付ける装置のファン用のカバーの形状に応じて、他の形状、例えば円形でもよい。天板部3も同じである。また、連結棒4の本数は図例は4本であるが、3本、6本など本数は任意である(以下同様である)。
【0065】
図2に示す吸音装置においては、吸音材2として、吸音材−cを取り付けた形態を示す。すなわち、パラ系アラミド繊維ステープルとポリエステルステープルとの混繊(質量比で30:70)ウエブをニードルパンチして製造された不織布21の側面および底面が、「KEVLER(登録商標)」ファイバー糸と「ノーメックス(登録商標)」パルプ(質量比で90:10)からなり、マイカを含有する表皮材22で覆われている形態の吸音材が使用されている。
【0066】
(吸音装置−3)
図3には、天板部3がフランジ3aを有するドーム型の形状を有する吸音装置を示す。ドーム部分の内側の全面に吸音材2が、不織布面21を天板部3の内面に当接するように貼り付けられている。また、吸音材2は支持部4の中央部の開口7にほぼ対応して設けられている。図3においても、図2の形態と同様に、天板部3と支持部4の間には吸排気口7があり、天板部3と支持部4は4本の連結棒5により連結されている。支持部4は吸音装置−2と同様に、円形であってもよい。
【0067】
図3に示す吸音装置においては、吸音材2として、吸音材−dが取り付けられている。
【0068】
(吸音装置−4)
図4には、天板部3が断面コの字型のトンネル型の形状をした実施形態の吸音装置を示す。天板部3が形成するトンネル内部のほぼ全面に、吸音材2が不織布21面を天板部に向けて当接するように取り付けられている。天板部3のトンネル内部の空間部分がトンネル両側の解放部と連通して開口部を形成しており、吸排気口7となっている。そして、支持部4は、天板部3と連続しており、天板部3の両端に配置され、両者は一体になっている。支持部4には、図1〜3の形態と同様にビス穴6が設けられている。
【0069】
図4に示す吸音装置においては、吸音材2として、吸音材−bが取り付けられている。すなわち、再生ポリエステル繊維ステープルウエブをニードルパンチして製造された不織布21の側面および底面が、長繊維ポリエステルスパンボンド不織布からなる表皮材22で覆われている形態の吸音材が使用されている。なお、図4において、吸音材2はその断面がわかるように、描かれており、側面の表皮材は図示されていない。
【0070】
図1〜図4において、吸音装置−1には吸音材−aを、吸音装置−2には吸音材−cを、吸音装置−3には吸音材−dを、吸音装置−4には吸音材−bをそれぞれ取り付けた形態を示したが、本発明の吸音装置においては、それらの組み合わせに限定されるものではなく、本発明において使用できる吸音材であればいずれも取り付けることができる。
【0071】
以下、吸音装置および/または吸音材の照明装置への取り付け例を示す。
【0072】
(照明装置−1)
図5〜6には、本発明の吸音装置を取付対象装置に取り付けた実施形態を示す。図5は前記吸音装置−1を備えたムービングライト10の外観斜視図である。図5において、10Aはムービングライト10を構成するランプを収容したランプハウス部、10Bは同吸排気ファンを収容した吸排気ファン収容部を示す。
【0073】
図示したムービングライトはランプハウス部と吸排気ファンが別体になった型式である。ランプハウス部は、側面および吸排気ファンケースの上に設けられた回転つまみにより、360度、自在に回転し、所望の方向を照射できるようになっている。吸排気ファンケースの外側に吸音装置−1がビスにより取り付けられている。
【0074】
図6は、図5に示すムービングライトに吸音装置−1を取り付けた状態の断面模式図である。図6において、11はムービングライト10の吸排気ファンケースの壁、矢印は排気の流れを示す。吸音装置−1の支持部4と吸音材2との間には吸排気口7が形成されているため、排気はこの吸排気口を通じて行われる。支持部4と吸音材の表皮材22との間隔は、任意であるが、間隔が狭すぎると吸排気が困難になり、広すぎると吸音効果が低下することから、例えば2mm〜30mm程度(好ましくは5mm〜20mm)とする。図1では図示を省略しているが、支持部4と天板部3との間には連結棒5がある。
【0075】
図7には、従来のムービングライトの外観斜視図を示す。図7に示すように、ムービングライト10のファンケース壁11には、吸排気ファン用のカバー19が取り付けられている。したがって、従来のファンカバー取り付け位置を利用して、本発明の吸音装置を取り付けることにより、容易にモーター駆動音等の騒音を低減することができる。なお、この実施形態においては、吸音装置−1を取り付けた形態を示したが、同様にして吸音装置−2〜4のいずれを取り付けてもよい。
【0076】
(照明装置−2)
図8に、図5に示すムービングライト10のランプハウス部10A部分の内壁に吸音材2を取り付けた状態の断面模式図を示す。この実施形態においては、ランプハウス壁31の内壁を吸音材2で内張りしている。このムービングライトのランプハウス部には、ランプと吸排気ファンが同じケース内に収められている。図8において、31はランプハウス壁、32はランプ、33は吸排気ファン、34は断熱板、37は吸排気用開口部、2は吸音材である。
【0077】
装置の内壁に取り付ける吸音材としては、前記した吸音材であれば限定されないが、例えば、吸音材−bを取り付けた例を示す。吸音材は接着剤を用いて内壁に取り付けられている。内壁に接合された再生ポリエステル不織布21の側面および非接合面が、長繊維ポリエステルスパンボンド不織布からなる表皮材22で覆われている。この吸音材2は耐久性、吸音性に優れ、吸排気ファンケースから漏れ出る吸排気ファンの風きり音やモーターの駆動音を低減させる効果が大である。このように発熱部32及び吸排気ファン33を有する照明装置の内壁に吸音材を取り付けることにより、騒音を低減し、装置外壁の温度上昇を抑制することができる。
【0078】
図8に示す実施形態においては、ケースの床部を残して吸音材を内張りした形態を示したが、床部まで取り付ければさらに騒音の低減性は向上する。また、吸音材をランプ32の架台38の表面に取り付けることもできる。さらに、装置に消音部材が備えられている場合は、該消音部材の表面に吸音材を取り付けることもでき、このような形態で吸音材を使用することにより、さらに騒音低減性を向上させることができる。また、吸排気ファンの無いムービングライトのランプハウスに吸音材を取り付ける場合も、上記の実施形態と同様である。
【0079】
(照明装置−3)
図9はカラーチェンジャー40の外観斜視図である。図9において、40Aはランプハウス部、40Bは吸排気ファン収容部である。図10に、図9に示すカラーチェンジャー40のランプハウス部40Aの内壁に吸音材2を取り付けた状態の断面模式図を示す。このカラーチェンジャーは、ランプハウス部40Aに収容されたライトを内蔵しており、ライトはその照射角度を90度程度の範囲で、自在に変更できるように、上部ランプハウス部が回転する回転手段を有している。図9において、40Bはカラーチェンジャー40の吸排気ファン収容部である。
【0080】
この実施形態においては、ランプハウス壁41の内壁を吸音材2で内張りしている。このカラーチェンジャーのランプハウスには、ランプと吸排気ファンが同じケース内に収められている。図10において、41はランプハウスの壁、42はランプ、43は吸排気ファン、44は断熱板、47は吸排気用開口部、2は吸音材である。
【0081】
この実施形態では、吸音材2として、前記吸音材−cを取り付けた形態を示す。吸音材は接着剤を用いて内壁に取り付けられている。内壁に接合されたパラ系アラミド繊維ステープルとポリエステルステープルとの混繊(質量比で30:70)不織布21の側面および非接合面が、マイカ入り混合アラミド繊維湿式不織布からなる表皮材22で覆われている。この吸音材2は耐久性、吸音性、及び断熱性に優れ、吸排気ファンケースから漏れ出る吸排気ファンの風きり音やモーターの駆動音を低減させる効果が大である。このように発熱部42及び吸排気ファン43を有する照明装置の内壁に吸音材を取り付けることにより、騒音を低減し、装置外壁の温度上昇を抑制することができる。
【0082】
図10に示す実施形態においては、ケースの床部を残して内張りした形態を示したが、床部まで取り付ければさらに騒音の低減性は向上する。また、吸音材をランプ42の架台48の表面に取り付けることもできる。さらに、装置に消音部材が備えられている場合は、該消音部材の表面に吸音材を取り付けることもでき、このような形態で吸音材を使用することにより、さらに騒音低減性を向上させることができる。
【0083】
(照明装置−4)
図11には、図5に示すムービングライト10の吸排気ファン収容部10B部分の内壁に吸音材2を取り付けた状態の断面模式図を示す。この実施形態においては、吸排気ファン収容部10Bの内壁を吸音材で内張りし、電源ケースの表面にも吸音材2を取り付けている。このムービングライトの吸排気ファン収容部は、電源から発生する熱を吸排気するための吸排気ファンが収められた型式のものである。図11において、11は吸排気ファンケース壁、13は吸排気ファン、14は断熱板、17は吸排気用開口部、18は電源、2は吸音材である。
【0084】
この実施形態では、吸音材2として、吸音材−aを取り付けた例を示している。吸音材2は接着剤を用いて内壁に取り付けられている。この吸音材2は耐久性、吸音性、及び断熱性に優れ、吸排気ファンケースから漏れ出る吸排気ファンの風きり音やモーターの駆動音を低減させる効果が大である。このように発熱部となる電源18及び吸排気ファン17を有する照明装置の内壁に吸音材を取り付けることにより、騒音を低減し、装置外壁の温度上昇を抑制することができる。
【0085】
また、この実施形態においては、ケースの床部を残して内張りした態様を示したが、床部まで取り付ければさらに騒音の低減性は向上する。装置に消音部材が備えられている場合は、該消音部材の表面に吸音材を取り付けることもでき、このような形態で吸音材を使用することにより、さらに騒音低減性を向上させることができる。
【0086】
(照明装置−5)
照明装置の内壁、その他の箇所に吸音材を取り付け、さらに外壁に本発明の吸音装置を取り付けることもできる。例えば、図5に示したムービングライト10のランプハウス10A部分の内壁に吸音材−dを内張りしたムービングライト(照明装置−2)の吸排気ファン収容部の外壁に、図5〜図6に示すと同様な形態で、本発明の吸音装置、例えば、吸音装置−3をビスで取り付けることもできる。このように、装置の内部に吸音材を取り付け、さらに外壁にも吸音装置を取り付けることにより、装置外壁の温度の上昇を抑制するとともに、騒音低減効果をさらに向上させることができる。
【0087】
(照明装置−6)
プロジェクターの吸気ファン、排気ファン等の周辺に吸音材を取り付けることもできる。例えば、ランプ、吸気ファン及び排気ファン周辺の内壁を、接着剤を用いて吸音材−aで内張りする。内壁に接合されたパラ系アラミド繊維ステープルとポリエステルステープルとの混繊(質量比で30:70)不織布の側面および非接合面が、アラミド繊維湿式不織布からなる表皮材で覆われた態様となる。この吸音材は耐久性、吸音性、及び断熱性に優れ、吸排気ファンの風きり音やモーターの駆動音を低減させる効果が大である。このように発熱部及び吸排気ファンを有する照明装置の内壁に吸音材を取り付けることにより、騒音を低減し、装置外壁の温度上昇を抑制することができる。
【0088】
また、プロジェクターの床部や空隙部にも取り付ければ、さらに騒音の低減性は向上する。また、吸音材をランプの架台の表面や、ランプハウス壁の外壁に取り付けることもできる。さらに、装置に消音部材が備えられている場合は、該消音部材の表面に吸音材を取り付けることもでき、このような形態で吸音材を使用することにより、さらに騒音低減性を向上させることができる。
【0089】
表2に上記の実施形態をまとめて示す。
【0090】
【表2】
【0091】
上記の実施形態においては、例えば照明装置−2ではムービングライトに吸音材−b等を取り付けた例を示したが、吸音材あるいは吸音装置を取り付け可能な照明装置であれば上記の例に限定されず、また取り付ける吸音材や吸音装置も、上記の例に限定されるものではない。
【0092】
また、上記の実施形態においては、照明装置についての実施形態を示したが、照明装置以外の映像、音響等の種々の装置においても同様に、吸音装置または吸音材を装置内部に取り付けることができ、又、可能ならば外部に取り付けることもできる。これにより、装置外部に漏れてくるモーターの駆動音等の騒音を低減し、装置外壁の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の一実施形態である吸音装置−1の外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態である吸音装置−2の外観斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態である吸音装置−3の外観斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態である吸音装置−4の外観斜視図である。
【図5】吸音装置を備えたムービングライトの外観斜視図である(照明装置−1)。
【図6】図5に示したムービングライトに本発明の吸音装置を取り付けた状態の断面模式図である(照明装置−1)。
【図7】従来のムービングライトの外観斜視図である。
【図8】図5に示したムービングライトのランプハウス部の内壁に吸音材を取り付けた形態を示す断面模式図である(照明装置−2)。
【図9】カラーチェンジャーの外観斜視図である(照明装置−3)。
【図10】カラーチェンジャーのランプハウス部の断面模式図である(照明装置−3)。
【図11】ムービングライトの吸排気ファン収容部の断面模式図である(照明装置−4)。
【符号の説明】
【0094】
1:吸音装置
2:吸音材
3:天板部
4:支持部
5:連結具
7:吸排気口、開口
10:ムービングライト
10A:ランプハウス
10B:吸排気ファン収容部
11:ファンケース壁
13:吸排気ファン
17:吸排気用開口部
18:電源ケース
19:吸排気ファン用カバー
21:不織布
22:表皮材
40:カラーチェンジャー
40A:ランプハウス部
40B:吸排気ファン収容部
31,41:ランプハウス壁
32,42:ランプ
33,43:吸排気ファン
34,44:断熱板
37,47:吸排気用開口部
38,48:架台
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明、映像または音響装置等の各種装置の騒音を低減するための取り付け型の吸音装置に関する。また、本発明は、取り付け型の吸音装置や吸音材を取り付けることにより、照明、映像または音響装置等の各種装置の駆動部や吸排気ファンから発せられる騒音が低減された装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ムービングライト等の照明装置やプロジェクター、DVD等の映像装置およびアンプ等の音響装置には、内部に収容されたランプや電源等の発熱部を備えている。これらの発熱量は、通常、500〜1200W程度といわれている。装置内部の発熱が大きく、内部が高温になると部品の損傷が危惧されるため、これを冷却するために、一般に、空冷用の吸排気ファンが備えられている。吸排気ファンには駆動用モーターが付属しており、それらの装置を使用する際には吸排気ファンを駆動させるので、モーターの駆動音が騒音となりやすい。また、モーターの駆動音ばかりでなく、吸排気ファンの風切り音も騒音となることが多い。また、その他の照明装置、映像および音響装置においてもモーター音が騒音となりやすく、その低減が望まれていた。
【0003】
従来、照明装置の騒音の低減に関しては、例えば、コロナ放電を発生する電極を設けてイオン流を発生させ、ランプの発熱部を冷却することにより、モーター駆動のファンを不要にする提案(特許文献1)や、安定器で発生する騒音が漏れることを防止するために、照射開口に取り付けたルーバの外側にアクリル樹脂板等の透光性板体を設けて騒音を反射させることが提案されている(特許文献2)。
【0004】
また、照明装置には、グラスウールや発泡ウレタンを用いて消音をはかることが検討されたが、グラスウールは厚みが不十分なため吸音性が十分でないし、発塵する欠点がある。発泡ウレタンは発塵性があり、耐熱性、難燃性が不足するほか、吸音材として用いるには十分な厚みが必要であるため、小型化の要望が大きい近年において好ましい素材とは言いがたい。
【特許文献1】特開平8−293290号公報
【特許文献2】特開平5−54706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記に鑑み、騒音低減効果に優れ、断熱性、耐熱性、難燃性に優れた取り付け型の吸音装置および該吸音装置を取り付けた装置を提供することを課題とする。また、本発明は、騒音の低減された装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の吸音材を用いた吸音装置、および特定の吸音材を備えた装置が、前記課題を解決することができることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、支持部と、前記支持部との間に吸排気口を形成するように連結具を介して支持部と連結されるか、または内側に吸排気口を有し前記支持部と連続している天板部と、前記天板部の内側に取り付けられた吸音材とを有する吸音装置であって、前記吸音材が、目付が150〜800g/m2、嵩高度が0.01〜0.2g/cm3である不織布と、JIS L−1096に基づいて測定される通気量が50cc/cm2/sec以下の表皮材との少なくとも2層が積層された構造体であり、かつ前記表皮材が吸排気口側に配されてなることを特徴とする取り付け型の吸音装置を提供する。
【0008】
本発明の吸音装置においては、前記吸音材が天板の内側の略全面に取り付けられていると吸音性能が効果的に発揮され、好ましい。
【0009】
また、前記支持体部が天板部と分離している形式の場合には、その中央部に開口を有し、吸音材が少なくとも前記開口に略対応する位置に取り付けられていることが、吸音性能の点から好ましい。
【0010】
また、前記不織布が、熱可塑性短繊維及び/又はLOI値が25以上の耐熱性短繊維が交絡されてなるものであることが好ましい。熱可塑性短繊維とLOI値が25以上の耐熱性短繊維とが交絡されてなる不織布においては、前記熱可塑性繊維と耐熱性繊維との割合が、質量比で95:5〜55:45の範囲であることがより好ましい。耐熱性短繊維を用いた構成によれば、吸音性、かつ、断熱性、耐熱性、難燃性に優れた吸音材が得られる。
【0011】
また、本発明の吸音装置においては、前記表皮材が、長繊維からなるスパンボンド不織布又は短繊維からなる湿式不織布であることが好ましい。前記スパンボンド不織布又は湿式不織布が、JIS B−9923 6.2(1.2)タンブリング法により測定される粒径0.3μm以上の発塵数が500個/0.1ft3以下であることがより好ましい。本構成によれば、吸音性、断熱性、耐熱性、難燃性及び低発塵性に優れた吸音材が得られる。
【0012】
さらに、表皮材を構成する湿式不織布はマイカを含有することが吸音性、電気絶縁性に優れ、好ましい。
【0013】
本発明は、また、少なくとも発熱部(発熱量500W以上)と吸排気ファンを有し、前記吸音装置を備えたことを特徴とする装置を提供する。
【0014】
さらには、本発明は、少なくとも発熱部(発熱量500W以上)と吸排気ファンを有し、装置の内壁、装置の必要部材および装置の消音部材のうちの少なくとも1箇所の表面に吸音材を取り付けた装置であって、該吸音材が、目付が150〜800g/m2、嵩高度が0.01〜0.2g/cm3である不織布と、JIS L−1096に基づいて測定される通気量が50cc/cm2/sec以下の表皮材との少なくとも2層が積層されてなる構造体であることを特徴とする装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の取り付け型の吸音装置は、空冷用の吸排気ファンのモーターの駆動音や風切り音を吸音材により吸音するので、照明装置等の装置に取り付けることにより、装置の外部に漏れてくる騒音を低減することができる。吸音材の取り付けを天板部の内側の略全面に行うことにより、吸音性能のよい吸音装置を得ることができる。又、支持部と天板部が分離し、連結具で連結されている形式の吸音装置の場合には、吸音材を支持部の開口と略対応した位置に配置すると吸音性能のよい吸音装置を得ることができる。さらには、吸音材の素材を選ぶことにより、騒音の低減に加えて、断熱性、耐熱性、難燃性、低発塵性、電気絶縁性に優れた吸音装置を提供することができる。
【0016】
また、前記吸音装置を備えた装置は、外部に漏れてくる吸排気ファンのモーターの駆動音や風切り音のような騒音を低減することができる。吸音材を装置の内壁、装置の必要部材および装置の消音部材のうちの少なくとも1箇所の表面に取り付けることによっても、この効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の吸音装置は、支持部、天板部および吸音材から主として構成される。支持部は、吸音装置の支持を行うとともに、吸音装置を所定の装置に取り付ける際の取り付け部となる(以下、本発明の吸音装置を取り付ける装置を「取付対象装置」という)。そのため、支持部には取付対象装置に取り付けるためのビス穴等が設けられる。支持部はゴム、プラスチック、金属等から製造され、素材、形状等は限定されない。また、支持部は、後記、実施の形態で図示するように、中央部に吸排気のための開口を有する形態のもの、及び、開口を有しない形態のものの両者を包含する。
【0018】
次に、天板部は、吸音材の形状維持、保護および吸音装置の取り扱い性のために設けられる。天板部は、プラスチック、金属、ゴム等から製造され、素材に限定はない。また、天板部の形状も後記、実施の形態に図示するように、平板状、箱底状、ドーム状、トンネル状等、各種の形状を有することができる。これらの形状のなかでも、箱底状、ドーム状、トンネル状等のように、中央部が深い、別言すれば、中央部に奥行きを有する形状であることが吸音性能の点から好ましい。天板部の内側に取り付けた吸音材の表皮材表面の各点と、支持部開口とを結ぶ直線距離が異なり、また、この直線と開口とがなす角度が異なることにより、吸音性能が向上すると考えられる。
【0019】
また、天板部は、前記支持部との間に吸排気口を形成するように連結具を介して連結されていてもよいし、またはトンネル状のように、内側に吸排気口を有するように両端が前記支持部と連続している一体型のものであってもよい。支持部と天板部の間に吸排気口が形成された吸音装置の場合には、該吸排気口と支持部中央の開口は連通しているので、取付対象装置の吸排気音および取付対象装置から漏れ出る騒音等が、開口部を通過した後、天板部に取り付けられた吸音材に衝突することにより低減されて吸排気口から排出される。取付対象装置の吸排気口と支持体に開口部を有しない吸音装置の吸排気口が連通している場合も同様である。
【0020】
吸音材の構成等については、後記するが、吸音材は天板部の内側に略全面に取り付けられ、支持部が中央部に開口を有する場合には、その開口と略対応する位置に配置される。開口を通過してくる騒音が吸音材に衝突して吸音されることにより、騒音が低減される。また、吸音材は不織布と表皮材との少なくとも2層が積層されてなるが、その表皮材面が吸排気口側になるように、すなわち、通常はその不織布面が天板に当接するように取り付けられる。表皮材を吸排気口側に配することによって吸音性が向上し、取扱性も良好になる。吸音材の取り付け方法に限定はなく、例えば、接着剤を用いて貼り付ける方法などを挙げることができる。
【0021】
本発明で用いる吸音材は、不織布と表皮材との少なくとも2層が積層されてなる構造体であればよいので、不織布と表皮材との多層積層体、例えば表皮材/不織布/表皮材、表皮材/不織布/表皮材/不織布/表皮材の積層体からなる吸音材も使用することができる。これらの場合には、表皮材が天板部と当接するように取り付けられる。
【0022】
本発明において、吸音装置を取り付ける装置(取付対象装置)としては、装置内部に収容されたランプや電源等の発熱部と吸排気ファンを有しており、発熱部の発熱量(発熱部が2以上の場合は合計発熱量)が500W以上のもの、例えば、ムービングライト、ウォッシュライト、エフェクトライト、投影機、カラーチェンジャー等の照明装置、プロジェクター、DVD、映写機等の映像装置、アンプ、ミキサー、イコライザー等の音響装置、スノーマシン、スモークマシン等の発煙装置、パソコン、ドライアイスマシン、電源車等が挙げられる。
【0023】
前記装置においては、ライトの照射時などの装置の使用時または運転時に発熱するので、空冷の目的で吸排気ファンが付属しているのが一般的である。このファンの吸排気を駆動するモーターが駆動音を発し、またファンの風切り音が装置外部に漏れ、周囲に騒音を感じさせる。本発明の吸音装置は、前記各種の装置の外部に漏れる騒音を吸音して、低減させるものであるが、発熱部の発熱量が500W以上の装置では、吸排気ファンの駆動音や風切り音が騒音として感じられるようになるからである。また、吸排気ファンの流量が0.2m3/min以上の装置に適用するのが好ましく、流量が0.6m3/min以上の装置に適用するのがより好ましい。
【0024】
また、前記装置においては、(1)本発明の吸音装置を吸排気口に取り付けることにより、または、(2)吸音材を装置の内壁、必要部材および消音部材のうちの少なくとも1箇所に取り付けることにより、または(3)本発明の吸音装置を吸排気口に取り付けると同時に、吸音材を装置の内壁、必要部材および消音部材のうちの少なくとも1箇所に取り付けることにより、装置外部に漏れ出てくる騒音の低減に加えて、断熱、難燃効果も得ることができる。吸音材は、取付対象装置の内壁、その他に取り付ける場合、吸音装置の場合と同様に、不織布面(表皮材が不織布の両面に積層されている場合は表皮材面)が装置の壁面等の表面に当接するように取り付けるとよい。
【0025】
本発明において、吸音材としては、吸音性、取扱い性に優れる点から、1層の目付150〜800g/m2、嵩高度0.01〜0.2g/cm3の不織布と、JIS L−1096に基づいて測定される通気量が50cc/cm2/sec以下の表皮材との少なくとも2層が積層されてなる吸音材が使用される。
【0026】
吸音材を構成する不織布は、1層の目付が150〜800g/cm2、嵩高度が0.01〜0.2g/cm3であれば、短繊維からなる不織布、長繊維からなる不織布のいずれであってもよい。不織布の目付が小さすぎると製造時の取扱性が悪くなり、ウエブ層の形態保持性が不良となる。一方、目付が大きすぎると繊維の交絡に要するエネルギーが大きくなる、或いは、交絡が不十分となり不織布加工時に変形するなどの不都合が生じる。また、嵩高度が小さすぎると難燃性、断熱性、吸音性が低下し、大きすぎても難燃性が低下し、耐摩耗性、加工性が低下する。嵩高度は、好ましくは0.01〜0.1g/cm3、より好ましくは0.02〜0.08g/cm3、特に好ましくは0.02〜0.05g/cm3である。
【0027】
また、不織布の1層の厚さは、2〜100mmが好ましく、さらに好ましくは5〜30mmである。不織布の厚みは厚いほど吸音性が良好になるが、取扱性、吸音材としてのスペース確保等の点から、上記範囲が好ましい。
【0028】
かかる不織布としては、例えば、ニードルパンチ不織布、ウォータージェットパンチ不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布、ステッチボンド不織布などが挙げられるが、ニードルパンチ短繊維不織布が好ましい。
【0029】
不織布を構成する繊維の断面形状は特に限定されず、真円断面状であってもよいし、異形断面状であってもよい。例えば、楕円状、中空状、X断面状、Y断面状、T断面状、L断面状、星型断面状、葉形断面状(例えば三つ葉形状、四葉形状、五葉形状等)、その他の多角断面状(例えば三角状、四角状、五角状、六角状等)などの異形断面状であってもよい。
【0030】
不織布を構成する繊維は、天然繊維でも合成繊維でもよいが、耐久性の点から合成繊維が好ましく使用される。かかる繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド(例えばナイロン等)繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等を挙げることができ、前記繊維素材を例えば湿式紡糸、乾式紡糸又は溶融紡糸等の公知の方法に従って製造したものを使用することができる。これらの熱可塑性繊維は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができ、又、同種又は異種の繊維で繊度や繊維長の異なるものを混合して用いることもできる。この場合、繊維の混合比は任意であり、不織布の用途や目的に合せて適宜決定することができる。不織布として、雑フェルトを用いることもできる。
【0031】
中でも、耐久性、耐摩耗性に優れる点から、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維が好ましく、これらの繊維単独、又は任意の割合で混合されたものであってもよい。特に、使用済み不織布の熱溶融により原料ポリエステルを容易にリサイクル使用することが可能で、経済性に優れ、不織布の風合いも良く、成形加工性に優れる点より、ポリエステル繊維が最も好ましい。これらの熱可塑性繊維は、一部または全部が反毛(回収再生繊維)であってもよい。特に、一旦車装に使用された繊維を回収して再生されたリサイクル繊維は好適に使用することができる。
【0032】
上記のポリエステル繊維は、ポリエステル樹脂からなる繊維であれば特に限定されない。ポリエステル樹脂は、エステル結合を繰り返し単位に含む重合体樹脂であれば特に限定されず、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするジカルボン酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂であってもよい。また、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレアジペート、ポリエチレンサクシネート・アジペートコポリマー、ポリ乳酸、あるいはこれらを主成分として他のジカルボン酸及び/又はグリコールを共重合したポリエステル繊維などの生分解性ポリエステル繊維であってもよい。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。上記ジカルボン酸成分の一部を、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、スルホン酸、金属置換イソフタル酸などで置き換えてもよく、また、上記のグリコール成分の一部を、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリアルキレングリコールなどに置き換えてもよい。生分解性ポリエステルからなる繊維でもよい。
【0033】
上記ポリエステル繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリエチレンフタレート(PEN)繊維、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリトリメチレンナフタレート(PTN)繊維などが挙げられるが、とりわけ、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維が好ましい。これらのポリエステル繊維には、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、窒化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、ジルコニウム酸などの各種無機粒子や、架橋高分子粒子、各種金属粒子などの粒子類のほか、従来からある抗酸化剤、金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、ワックス類、シリコーンオイル、各種界面活性剤などが添加されていてもよい。
【0034】
熱可塑性繊維の繊維長及び繊度は、特に限定されないが、繊維長は10mm以上が好ましい。ステープルの場合は、繊維長10〜100mmが好ましく、特に20〜80mmが好ましい。繊維長10mm以上の短繊維を使用することにより、短繊維が不織布から脱落しにくくなる。一方、カードからの紡出性など加工性から100mm以下とすることが好ましい。繊度は0.5〜30dtex、特に1.0〜20dtexのものが好適である。
【0035】
より難燃性、断熱性に優れた不織布とするには、上記の熱可塑性短繊維に耐熱性短繊維を交絡させて一体化させることが好ましい。この耐熱性短繊維は、LOI値(限界酸素指数)が25以上のものであり、難燃レーヨン繊維や難燃ビニロン繊維、モダクリル繊維などのように難燃剤を添加して難燃化した繊維は含まれない。ここで、LOI値は5cm以上継続して燃えるのに必要な最低酸素濃度を意味するが、LOI値はJIS L 1091法により測定される値である。耐熱性短繊維のLOI値が25以上であれば、不織布に難燃性を付与できるが、より難燃性に優れた不織布にするためにはLOI値が28以上であることが望ましい。
【0036】
耐熱性短繊維の具体例としては、例えば、アラミド繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリベンズチアゾール繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリアリレート繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維及び耐炎化繊維から選ばれた有機繊維又はこれらの混合繊維を挙げることができる。これらの耐熱性繊維は、同種または異種の繊維で、繊度や繊維長の異なる繊維を混合したものであってもよい。ここで、耐炎化繊維は、主としてアクリル繊維を空気などの活性雰囲気中で200〜500℃で焼成して製造されるもので、炭素繊維の前駆体である。例えば、旭化成社製造の商品名「ラスタン」、東邦テナックス社製造の商品名「パイロメックス」などを挙げることができる。
【0037】
これらの耐熱性短繊維の中でも、アラミド繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリアリレート繊維、及び耐炎化繊維が好ましい。なかでもアラミド繊維がさらに好ましく、加熱収縮が少ない点よりパラ系アラミド繊維が特に好ましい。パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(米国デュポン株式会社、東レ・デュポン株式会社製、商品名「KEVLAR」(登録商標))、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人株式会社製、商品名「テクノーラ」(登録商標))等の市販品が挙げられる。
【0038】
上記アラミド繊維は、その繊維表面及び繊維内部にフィルムフォーマ、シランカップリング剤及び界面活性剤が付与されていてもよい。
【0039】
耐熱性繊維における繊維長及び繊度は、特に限定されないが、繊度は0.1〜50dtexが好ましく、特に0.3〜30dtexのものが好ましく、繊維長は20〜100mm、特に40〜80mmの短繊維のものが好ましい。
【0040】
耐熱性短繊維と熱可塑性短繊維を併用する場合、耐熱性短繊維/熱可塑性短繊維=5/95〜45/55(質量比)の比率で併用することが好ましい。加工性、難燃性および経済性の点より、耐熱性短繊維/熱可塑性短繊維の比率(質量比)は、より好ましくは12/88〜45/55、さらに好ましくは15/85〜45/55、最も好ましくは15/85〜35/65である。耐熱性繊維が5質量%未満では、加熱された排気に対する耐久性が不足する傾向がある。
【0041】
前記の耐熱性短繊維のみを交絡させた不織布を用いることもできる。
【0042】
不織布中には、耐摩耗性などを向上させるために、「サフメット」等の低融点繊維を含有させることができる。低融点繊維を混入して熱処理することにより、繊維同士がバラケにくくなる点で好ましい。低融点繊維としては、前述のポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、線状低密度ポリエチレン繊維、エチレン−酢酸ビニル共重合体繊維等から選ばれる一種又は二種以上の繊維を挙げることができる。
【0043】
不織布を構成する表皮材の通気量は50cc/cm2/sec以下であり、好ましくは0.01〜50cc/cm2/sec、より好ましくは0.01〜30cc/cm2/secである。通気量はJIS L−1096に基づいて測定されるものである。通気量が50cc/cm2/secを超えると吸音材の吸音性が悪くなる。
【0044】
表皮材を構成する繊維素材は特に限定されないが、上記した不織布の素材が好ましく使用される。
【0045】
表皮材は、紙、多孔性フィルム、不織布(乾式および湿式)など種々の形態であってよいが、チョップドファイバー、パルプやステープルなどを抄紙してなるペーパーやフェルトなど、短繊維からなる湿式不織布が好ましく使用される。このような不織布としては、市販の不織布、例えば、商品名「KEVLER100%ペーパー」(王子製紙社製)をそのまま用いることができる。この不織布は、耐熱性、難燃性、耐久性に優れ、発熱部を有する本発明の照明装置においては好適である。湿式不織布は難燃性素材を含むものであってもよく、マイカ(白雲母、金雲母、黒雲母、人造金雲母等)等の無機物質を添加して抄紙した短繊維不織布も好適に用いられる。マイカを添加する場合、樹脂フィラー、電気絶縁材料に用いられる白雲母、金雲母が好ましい。表皮材に対する無機物質の使用量は、5〜70質量%、好ましくは10〜40質量%である。
【0046】
長繊維からなる乾式スパンボンド不織布も、表皮材として好ましく使用される。とりわけ、サーマルボンド方式で製造されたものが好ましい。このような不織布としては、市販の不織布、例えば、商品名「アクスター」(東レ株式会社製、ポリエステルスパンボンド不織布)をそのまま用いることができる。
【0047】
表皮材として用いる上記の乾式及び湿式不織布は、後記の発塵度試験において、0.3μm以上の塵数の合計が500個/0.1ft3以下、より好ましくは100個/0.1ft3以下であることが好ましい。このような低発塵性の不織布としては、上記した商品名「KEVLER100%ペーパー」(王子製紙社製)をはじめとして、市販のクリーンペーパー、例えば、商品名「OKクリーンホワイト」(富士製紙社製)や、市販の不織布、商品名「アクスターG2260−1S」(東レ株式会社製)等をそのまま用いることができる。
【0048】
表皮材の厚みは任意であるが、1層の厚みが、好ましくは0.01〜2mm、より好ましくは0.05〜1mmである。表皮材1層の単位面積当りの質量は、軽量で強度が得られる点より、20〜400g/m2が好ましく、より好ましくは50〜300g/m2である。
【0049】
表皮材と不織布との積層方法としては、表皮材と不織布がいずれも1層である場合、表皮材を不織布の片面に積層させる、不織布の片面と両側面を包む、不織布の全面を包む、のいずれかの態様があるが、片面と両側面を包む態様又は全面を包む態様が好ましい。側面が包まれていると、不織布が外部に露出していないので、不織布を構成する短繊維の脱落を防止することができ、全面が包まれていると、難燃性素材からなる表皮材の場合には、これに加えて、難燃性をさらに向上させることができる。多層積層体の場合においても、不織布が側面等で外部に露出しないことが望ましい。
【0050】
吸音材の表皮材と不織布は、非接着状態でもよいが、好ましくは、融着、縫合、熱溶融接着剤等の接着剤による接着、さらには熱エンボス、超音波接着、接着樹脂によるシンター接着、熱接着シートによる接着、ウエルダーによる接着、樹脂鋲(例えば、(株)日本バノック社製、「バノック」等)を用いる方法などの汎用の方法により結合、積層したものが使用される。
【0051】
吸音材は染料や顔料で着色されていてもよい。着色方法としては、例えば、原着糸或いは着色繊維を用いる方法、吸音材を染料や顔料で着色する方法などが挙げられる。
【0052】
次に、本発明において用いられる吸音材の製造例を具体的に説明する。
【0053】
(吸音材の製造例1)
パラ系アラミド繊維「ケブラー(登録商標)」ステープル(東レ・デユポン株式会社製、1.7dtex×51mm、LOI値29)と、ポリエステルステープル(東レ株式会社製、1.7dtex×51mm)を混繊(質量比で30:70)してカードを経たウエブをニードルパンチ方式により、厚さ10mm(目付400g/m2、嵩高度0.04g/cm3)の不織布を作製した。この不織布に、「KEVLER(登録商標)100%ペーパー」(王子製紙株式会社製、厚さ95μm、目付72g/m2、通気量0.93cc/cm2/sec)からなる表皮材を貼り合わせた。貼り合わせは、表皮材の上に低融点パウダー(EVA 融点80℃)を75g/m2ふりかけ、その上に不織布を重ね、さらにその外側を金網で挟んだ状態で160℃×3分間熱処理して、不織布の側面および底面を表皮材で覆った吸音材を得た(吸音材−a)。
【0054】
(吸音材の製造例2)
車装に用いられたポリエステル繊維を再生して得られたステープル(1.7dtex×51mm)ウエブをニードルパンチして、厚さ10mm(目付400g/m2、嵩高度0.04g/cm3)の不織布を作製した。この不織布に、長繊維ポリエステルスパンボンド不織布「アクスター(登録商標)G2150−1SBKO」(東レ株式会社製、厚さ450μm、目付150g/m2、通気量30cc/cm2/sec)からなる表皮材を貼り合せた。表皮材と不織布を、製造例1と同様にして貼り合わせ、吸音材を得た(吸音材−b)。
【0055】
(吸音材の製造例3)
パラ系アラミド繊維「ケブラー(登録商標)」ステープル(東レ・デユポン株式会社製、1.7dtex×51mm、LOI値29)と、ポリエステルステープル(東レ株式会社製、1.7dtex×51mm)を混繊(質量比で30:70)してカードを経たウエブをニードルパンチ方式により、厚さ10mm(目付400g/m2、嵩高度0.04g/cm3)の不織布を作製した。一方、表皮材として、パラ系アラミド繊維「ケブラー(登録商標)」3mmチョップドファイバー糸(東レ・デユポン株式会社製)と、メタ系アラミド繊維「ノーメックス(登録商標)」パルプ(デュポン社製)を混合(質量比で90:10)し、さらに、繊維:白雲母が70:30(質量比)となるように白雲母を混合してスラリーをとなし、これを抄紙し、カレンダー加工してアラミドペーパー(厚さ82μm、目付90g/m2、通気量0cc/cm2/sec)を得た。この表皮材の上に低融点パウダー(EVA 融点80℃)を75g/m2ふりかけ、その上に不織布を重ね、さらにその外側を金網で挟んだ状態で160℃×3分間熱処理して、不織布の側面および底面を表皮材で覆った吸音材を得た(吸音材−c)。
【0056】
(吸音材の製造例4)
パラ系アラミド繊維「ケブラー(登録商標)」ステープル(東レ・デユポン株式会社製、1.7dtex×51mm、LOI値29)を用い、カードを経たウエブをニードルパンチ方式により、厚さ20mm(目付400g/m2、嵩高度0.02g/cm3)の不織布を作製した。この不織布に製造例1で使用したケブラー100%ペーパーを、製造例1と同じ方法で貼り合わせて吸音材を得た(吸音材−d)。
【0057】
上記製造例で使用した表皮材の発塵度は、JIS B 9923 タンブリング法に準じて試験した。まず、クリーンルーム中に設置したタンブリング法発塵性試験装置を空運転し、試験機内が無塵状態であることを確認した後、クリーン洗濯なしの表皮材(20cm×28.5cm)をタンブリング式発塵試験機(CW−HDT101)に投入し、発塵ドラム回転数46回転/分で運転し、運転1分経過後からの塵の数を0.1ft3/分の速度で、1分間づつ計10回連続して測定し、1分間の平均値を発塵数とした。なお、ダストカウンターは、82−3200N、吸引空気量はフィルター使用時の最大値が2.2L/分である。サンプルは20cm×28.5cmを5枚使用し、1×1cm角のサンプルの面積から発生したものと換算した。以下に示すように、粒径0.3μm以上の塵数の合計により等級を定め、4級以上の発塵度のペーパーをクリーンペーパーとした。
【0058】
等級:合計塵数(個)/0.1ft3
5級:100以下
4級:101〜500
3級:501〜1000
2級:1001〜5000
1級:5000以上
【0059】
製造例1〜4で得た吸音材の特性を表1にまとめて示した。
【表1】
【0060】
次に、前記製造例で製造された吸音材を用いた本発明の好ましい実施形態について、図面を用いて説明する。
【0061】
図1〜4は本発明の吸音装置の好ましい一実施形態を示す外観斜視図である。図1〜4において、1は吸音装置、2は吸音材、21は不織布、22は表皮材、3は天板部、4は支持部、5は連結棒、7は吸排気のための開口(吸排気口ということもある)、6はビス穴である。
【0062】
(吸音装置−1)
図1は、天板部3が平板状の形態の一例である。図1において、支持部4は、円盤状で中央部に大きな開口7を有する。円板状の天板部3と同心円形状の支持部4は、両者の間に吸排気口7を有するように設計され、この吸排気口7を横断する連結棒(図示せず)を介して連結されている。天板部3の内側に不織布21と表皮材22とが積層されてなる吸音材2が、表皮材22が支持部4の開口7側になるように開口7と対応して天板部3の内側のほぼ全面に接着剤を用いて貼り付けられている。支持部4の開口7を通過してくる騒音が衝突するように吸音材2が配置されているため、衝突した騒音が吸音されることにより、騒音が低減される。支持部4には、他の装置に取り付けるためのビス穴6が設けられている。図1の吸音装置においては、天板部3、支持部4および連結棒は樹脂製とし、連結棒の両端が熱硬化性樹脂接着剤を用いて天板部3および支持部4に連結されている。
【0063】
図1に示す吸音装置において、吸音材2としては前記した吸音材であれば特に限定なく取り付けることができるが、図例では、前記吸音材−aが取り付けられた形態を示す。すなわち、パラ系アラミド繊維ステープルとポリエステルステープルとの混繊(質量比で30:70)ウエブをニードルパンチして製造された不織布21の側面および底面が、「KEVLER(登録商標)100%ペーパー」からなる表皮材22で覆われている形態の吸音材が使用されている。
【0064】
(吸音装置−2)
図2は、天板部3が箱底型の形状を有する吸音装置の例である。図2においては、箱底型の天板部3の内側のほぼ全面に、吸音材2が不織布面21を天板部に当接するようにして取り付けられている。天板部3は中央部が深くなっているので、吸音性能がよい。吸音材2が天板3の形状に沿って中央部が深くなるような形態を有するので、吸音効果が優れるものと考えられる。吸音材2は、図1の吸音装置と同様に、支持部4の中央部の開口7と対応して取り付けられ、天板部3と支持部4の間には吸排気口7があり、天板部3と支持部4は4本の連結棒5により連結されている。図2において、支持部4の形状は四角形を示したが、取り付ける装置のファン用のカバーの形状に応じて、他の形状、例えば円形でもよい。天板部3も同じである。また、連結棒4の本数は図例は4本であるが、3本、6本など本数は任意である(以下同様である)。
【0065】
図2に示す吸音装置においては、吸音材2として、吸音材−cを取り付けた形態を示す。すなわち、パラ系アラミド繊維ステープルとポリエステルステープルとの混繊(質量比で30:70)ウエブをニードルパンチして製造された不織布21の側面および底面が、「KEVLER(登録商標)」ファイバー糸と「ノーメックス(登録商標)」パルプ(質量比で90:10)からなり、マイカを含有する表皮材22で覆われている形態の吸音材が使用されている。
【0066】
(吸音装置−3)
図3には、天板部3がフランジ3aを有するドーム型の形状を有する吸音装置を示す。ドーム部分の内側の全面に吸音材2が、不織布面21を天板部3の内面に当接するように貼り付けられている。また、吸音材2は支持部4の中央部の開口7にほぼ対応して設けられている。図3においても、図2の形態と同様に、天板部3と支持部4の間には吸排気口7があり、天板部3と支持部4は4本の連結棒5により連結されている。支持部4は吸音装置−2と同様に、円形であってもよい。
【0067】
図3に示す吸音装置においては、吸音材2として、吸音材−dが取り付けられている。
【0068】
(吸音装置−4)
図4には、天板部3が断面コの字型のトンネル型の形状をした実施形態の吸音装置を示す。天板部3が形成するトンネル内部のほぼ全面に、吸音材2が不織布21面を天板部に向けて当接するように取り付けられている。天板部3のトンネル内部の空間部分がトンネル両側の解放部と連通して開口部を形成しており、吸排気口7となっている。そして、支持部4は、天板部3と連続しており、天板部3の両端に配置され、両者は一体になっている。支持部4には、図1〜3の形態と同様にビス穴6が設けられている。
【0069】
図4に示す吸音装置においては、吸音材2として、吸音材−bが取り付けられている。すなわち、再生ポリエステル繊維ステープルウエブをニードルパンチして製造された不織布21の側面および底面が、長繊維ポリエステルスパンボンド不織布からなる表皮材22で覆われている形態の吸音材が使用されている。なお、図4において、吸音材2はその断面がわかるように、描かれており、側面の表皮材は図示されていない。
【0070】
図1〜図4において、吸音装置−1には吸音材−aを、吸音装置−2には吸音材−cを、吸音装置−3には吸音材−dを、吸音装置−4には吸音材−bをそれぞれ取り付けた形態を示したが、本発明の吸音装置においては、それらの組み合わせに限定されるものではなく、本発明において使用できる吸音材であればいずれも取り付けることができる。
【0071】
以下、吸音装置および/または吸音材の照明装置への取り付け例を示す。
【0072】
(照明装置−1)
図5〜6には、本発明の吸音装置を取付対象装置に取り付けた実施形態を示す。図5は前記吸音装置−1を備えたムービングライト10の外観斜視図である。図5において、10Aはムービングライト10を構成するランプを収容したランプハウス部、10Bは同吸排気ファンを収容した吸排気ファン収容部を示す。
【0073】
図示したムービングライトはランプハウス部と吸排気ファンが別体になった型式である。ランプハウス部は、側面および吸排気ファンケースの上に設けられた回転つまみにより、360度、自在に回転し、所望の方向を照射できるようになっている。吸排気ファンケースの外側に吸音装置−1がビスにより取り付けられている。
【0074】
図6は、図5に示すムービングライトに吸音装置−1を取り付けた状態の断面模式図である。図6において、11はムービングライト10の吸排気ファンケースの壁、矢印は排気の流れを示す。吸音装置−1の支持部4と吸音材2との間には吸排気口7が形成されているため、排気はこの吸排気口を通じて行われる。支持部4と吸音材の表皮材22との間隔は、任意であるが、間隔が狭すぎると吸排気が困難になり、広すぎると吸音効果が低下することから、例えば2mm〜30mm程度(好ましくは5mm〜20mm)とする。図1では図示を省略しているが、支持部4と天板部3との間には連結棒5がある。
【0075】
図7には、従来のムービングライトの外観斜視図を示す。図7に示すように、ムービングライト10のファンケース壁11には、吸排気ファン用のカバー19が取り付けられている。したがって、従来のファンカバー取り付け位置を利用して、本発明の吸音装置を取り付けることにより、容易にモーター駆動音等の騒音を低減することができる。なお、この実施形態においては、吸音装置−1を取り付けた形態を示したが、同様にして吸音装置−2〜4のいずれを取り付けてもよい。
【0076】
(照明装置−2)
図8に、図5に示すムービングライト10のランプハウス部10A部分の内壁に吸音材2を取り付けた状態の断面模式図を示す。この実施形態においては、ランプハウス壁31の内壁を吸音材2で内張りしている。このムービングライトのランプハウス部には、ランプと吸排気ファンが同じケース内に収められている。図8において、31はランプハウス壁、32はランプ、33は吸排気ファン、34は断熱板、37は吸排気用開口部、2は吸音材である。
【0077】
装置の内壁に取り付ける吸音材としては、前記した吸音材であれば限定されないが、例えば、吸音材−bを取り付けた例を示す。吸音材は接着剤を用いて内壁に取り付けられている。内壁に接合された再生ポリエステル不織布21の側面および非接合面が、長繊維ポリエステルスパンボンド不織布からなる表皮材22で覆われている。この吸音材2は耐久性、吸音性に優れ、吸排気ファンケースから漏れ出る吸排気ファンの風きり音やモーターの駆動音を低減させる効果が大である。このように発熱部32及び吸排気ファン33を有する照明装置の内壁に吸音材を取り付けることにより、騒音を低減し、装置外壁の温度上昇を抑制することができる。
【0078】
図8に示す実施形態においては、ケースの床部を残して吸音材を内張りした形態を示したが、床部まで取り付ければさらに騒音の低減性は向上する。また、吸音材をランプ32の架台38の表面に取り付けることもできる。さらに、装置に消音部材が備えられている場合は、該消音部材の表面に吸音材を取り付けることもでき、このような形態で吸音材を使用することにより、さらに騒音低減性を向上させることができる。また、吸排気ファンの無いムービングライトのランプハウスに吸音材を取り付ける場合も、上記の実施形態と同様である。
【0079】
(照明装置−3)
図9はカラーチェンジャー40の外観斜視図である。図9において、40Aはランプハウス部、40Bは吸排気ファン収容部である。図10に、図9に示すカラーチェンジャー40のランプハウス部40Aの内壁に吸音材2を取り付けた状態の断面模式図を示す。このカラーチェンジャーは、ランプハウス部40Aに収容されたライトを内蔵しており、ライトはその照射角度を90度程度の範囲で、自在に変更できるように、上部ランプハウス部が回転する回転手段を有している。図9において、40Bはカラーチェンジャー40の吸排気ファン収容部である。
【0080】
この実施形態においては、ランプハウス壁41の内壁を吸音材2で内張りしている。このカラーチェンジャーのランプハウスには、ランプと吸排気ファンが同じケース内に収められている。図10において、41はランプハウスの壁、42はランプ、43は吸排気ファン、44は断熱板、47は吸排気用開口部、2は吸音材である。
【0081】
この実施形態では、吸音材2として、前記吸音材−cを取り付けた形態を示す。吸音材は接着剤を用いて内壁に取り付けられている。内壁に接合されたパラ系アラミド繊維ステープルとポリエステルステープルとの混繊(質量比で30:70)不織布21の側面および非接合面が、マイカ入り混合アラミド繊維湿式不織布からなる表皮材22で覆われている。この吸音材2は耐久性、吸音性、及び断熱性に優れ、吸排気ファンケースから漏れ出る吸排気ファンの風きり音やモーターの駆動音を低減させる効果が大である。このように発熱部42及び吸排気ファン43を有する照明装置の内壁に吸音材を取り付けることにより、騒音を低減し、装置外壁の温度上昇を抑制することができる。
【0082】
図10に示す実施形態においては、ケースの床部を残して内張りした形態を示したが、床部まで取り付ければさらに騒音の低減性は向上する。また、吸音材をランプ42の架台48の表面に取り付けることもできる。さらに、装置に消音部材が備えられている場合は、該消音部材の表面に吸音材を取り付けることもでき、このような形態で吸音材を使用することにより、さらに騒音低減性を向上させることができる。
【0083】
(照明装置−4)
図11には、図5に示すムービングライト10の吸排気ファン収容部10B部分の内壁に吸音材2を取り付けた状態の断面模式図を示す。この実施形態においては、吸排気ファン収容部10Bの内壁を吸音材で内張りし、電源ケースの表面にも吸音材2を取り付けている。このムービングライトの吸排気ファン収容部は、電源から発生する熱を吸排気するための吸排気ファンが収められた型式のものである。図11において、11は吸排気ファンケース壁、13は吸排気ファン、14は断熱板、17は吸排気用開口部、18は電源、2は吸音材である。
【0084】
この実施形態では、吸音材2として、吸音材−aを取り付けた例を示している。吸音材2は接着剤を用いて内壁に取り付けられている。この吸音材2は耐久性、吸音性、及び断熱性に優れ、吸排気ファンケースから漏れ出る吸排気ファンの風きり音やモーターの駆動音を低減させる効果が大である。このように発熱部となる電源18及び吸排気ファン17を有する照明装置の内壁に吸音材を取り付けることにより、騒音を低減し、装置外壁の温度上昇を抑制することができる。
【0085】
また、この実施形態においては、ケースの床部を残して内張りした態様を示したが、床部まで取り付ければさらに騒音の低減性は向上する。装置に消音部材が備えられている場合は、該消音部材の表面に吸音材を取り付けることもでき、このような形態で吸音材を使用することにより、さらに騒音低減性を向上させることができる。
【0086】
(照明装置−5)
照明装置の内壁、その他の箇所に吸音材を取り付け、さらに外壁に本発明の吸音装置を取り付けることもできる。例えば、図5に示したムービングライト10のランプハウス10A部分の内壁に吸音材−dを内張りしたムービングライト(照明装置−2)の吸排気ファン収容部の外壁に、図5〜図6に示すと同様な形態で、本発明の吸音装置、例えば、吸音装置−3をビスで取り付けることもできる。このように、装置の内部に吸音材を取り付け、さらに外壁にも吸音装置を取り付けることにより、装置外壁の温度の上昇を抑制するとともに、騒音低減効果をさらに向上させることができる。
【0087】
(照明装置−6)
プロジェクターの吸気ファン、排気ファン等の周辺に吸音材を取り付けることもできる。例えば、ランプ、吸気ファン及び排気ファン周辺の内壁を、接着剤を用いて吸音材−aで内張りする。内壁に接合されたパラ系アラミド繊維ステープルとポリエステルステープルとの混繊(質量比で30:70)不織布の側面および非接合面が、アラミド繊維湿式不織布からなる表皮材で覆われた態様となる。この吸音材は耐久性、吸音性、及び断熱性に優れ、吸排気ファンの風きり音やモーターの駆動音を低減させる効果が大である。このように発熱部及び吸排気ファンを有する照明装置の内壁に吸音材を取り付けることにより、騒音を低減し、装置外壁の温度上昇を抑制することができる。
【0088】
また、プロジェクターの床部や空隙部にも取り付ければ、さらに騒音の低減性は向上する。また、吸音材をランプの架台の表面や、ランプハウス壁の外壁に取り付けることもできる。さらに、装置に消音部材が備えられている場合は、該消音部材の表面に吸音材を取り付けることもでき、このような形態で吸音材を使用することにより、さらに騒音低減性を向上させることができる。
【0089】
表2に上記の実施形態をまとめて示す。
【0090】
【表2】
【0091】
上記の実施形態においては、例えば照明装置−2ではムービングライトに吸音材−b等を取り付けた例を示したが、吸音材あるいは吸音装置を取り付け可能な照明装置であれば上記の例に限定されず、また取り付ける吸音材や吸音装置も、上記の例に限定されるものではない。
【0092】
また、上記の実施形態においては、照明装置についての実施形態を示したが、照明装置以外の映像、音響等の種々の装置においても同様に、吸音装置または吸音材を装置内部に取り付けることができ、又、可能ならば外部に取り付けることもできる。これにより、装置外部に漏れてくるモーターの駆動音等の騒音を低減し、装置外壁の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の一実施形態である吸音装置−1の外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態である吸音装置−2の外観斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態である吸音装置−3の外観斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態である吸音装置−4の外観斜視図である。
【図5】吸音装置を備えたムービングライトの外観斜視図である(照明装置−1)。
【図6】図5に示したムービングライトに本発明の吸音装置を取り付けた状態の断面模式図である(照明装置−1)。
【図7】従来のムービングライトの外観斜視図である。
【図8】図5に示したムービングライトのランプハウス部の内壁に吸音材を取り付けた形態を示す断面模式図である(照明装置−2)。
【図9】カラーチェンジャーの外観斜視図である(照明装置−3)。
【図10】カラーチェンジャーのランプハウス部の断面模式図である(照明装置−3)。
【図11】ムービングライトの吸排気ファン収容部の断面模式図である(照明装置−4)。
【符号の説明】
【0094】
1:吸音装置
2:吸音材
3:天板部
4:支持部
5:連結具
7:吸排気口、開口
10:ムービングライト
10A:ランプハウス
10B:吸排気ファン収容部
11:ファンケース壁
13:吸排気ファン
17:吸排気用開口部
18:電源ケース
19:吸排気ファン用カバー
21:不織布
22:表皮材
40:カラーチェンジャー
40A:ランプハウス部
40B:吸排気ファン収容部
31,41:ランプハウス壁
32,42:ランプ
33,43:吸排気ファン
34,44:断熱板
37,47:吸排気用開口部
38,48:架台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部と、
前記支持部との間に吸排気口を形成するように連結具を介して支持部と連結されるか、または内側に吸排気口を有し前記支持部と連続している天板部と、
前記天板部の内側に取り付けられた吸音材と
を有する吸音装置であって、
前記吸音材が、目付が150〜800g/m2、嵩高度が0.01〜0.2g/cm3である不織布と、JIS L−1096に基づいて測定される通気量が50cc/cm2/sec以下の表皮材との少なくとも2層が積層された構造体であり、かつ前記表皮材が吸排気口側に配されてなることを特徴とする取り付け型の吸音装置。
【請求項2】
前記吸音材が天板部の内側の略全面に取り付けられている請求項1に記載の吸音装置。
【請求項3】
前記支持部がその中央部に開口を有し、吸音材が少なくとも前記開口に略対応する位置に取り付けられている請求項1に記載の吸音装置。
【請求項4】
前記不織布が、熱可塑性短繊維及び/又はLOI値が25以上の耐熱性短繊維が交絡されてなる請求項1に記載の吸音装置。
【請求項5】
前記表皮材が、長繊維からなるスパンボンド不織布又は短繊維からなる湿式不織布である請求項1に記載の吸音装置。
【請求項6】
前記スパンボンド不織布又は湿式不織布が、JIS B−9923 6.2(1.2)タンブリング法により測定される粒径0.3μm以上の発塵数が500個/0.1ft3以下である請求項5に記載の吸音装置。
【請求項7】
前記湿式不織布が、マイカを含有する請求項5又は6に記載の吸音装置。
【請求項8】
少なくとも発熱部(発熱量500W以上)と吸排気ファンを有し、請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸音装置を備えたことを特徴とする装置。
【請求項9】
少なくとも発熱部(発熱量500W以上)と吸排気ファンを有し、装置の内壁、装置の必要部材および装置の消音部材のうちの少なくとも1箇所の表面に吸音材を取り付けた装置であって、
該吸音材が、目付が150〜800g/m2、嵩高度が0.01〜0.2g/cm3である不織布と、JIS L−1096に基づいて測定される通気量が50cc/cm2/sec以下の表皮材との少なくとも2層が積層されてなる構造体であることを特徴とする装置。
【請求項1】
支持部と、
前記支持部との間に吸排気口を形成するように連結具を介して支持部と連結されるか、または内側に吸排気口を有し前記支持部と連続している天板部と、
前記天板部の内側に取り付けられた吸音材と
を有する吸音装置であって、
前記吸音材が、目付が150〜800g/m2、嵩高度が0.01〜0.2g/cm3である不織布と、JIS L−1096に基づいて測定される通気量が50cc/cm2/sec以下の表皮材との少なくとも2層が積層された構造体であり、かつ前記表皮材が吸排気口側に配されてなることを特徴とする取り付け型の吸音装置。
【請求項2】
前記吸音材が天板部の内側の略全面に取り付けられている請求項1に記載の吸音装置。
【請求項3】
前記支持部がその中央部に開口を有し、吸音材が少なくとも前記開口に略対応する位置に取り付けられている請求項1に記載の吸音装置。
【請求項4】
前記不織布が、熱可塑性短繊維及び/又はLOI値が25以上の耐熱性短繊維が交絡されてなる請求項1に記載の吸音装置。
【請求項5】
前記表皮材が、長繊維からなるスパンボンド不織布又は短繊維からなる湿式不織布である請求項1に記載の吸音装置。
【請求項6】
前記スパンボンド不織布又は湿式不織布が、JIS B−9923 6.2(1.2)タンブリング法により測定される粒径0.3μm以上の発塵数が500個/0.1ft3以下である請求項5に記載の吸音装置。
【請求項7】
前記湿式不織布が、マイカを含有する請求項5又は6に記載の吸音装置。
【請求項8】
少なくとも発熱部(発熱量500W以上)と吸排気ファンを有し、請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸音装置を備えたことを特徴とする装置。
【請求項9】
少なくとも発熱部(発熱量500W以上)と吸排気ファンを有し、装置の内壁、装置の必要部材および装置の消音部材のうちの少なくとも1箇所の表面に吸音材を取り付けた装置であって、
該吸音材が、目付が150〜800g/m2、嵩高度が0.01〜0.2g/cm3である不織布と、JIS L−1096に基づいて測定される通気量が50cc/cm2/sec以下の表皮材との少なくとも2層が積層されてなる構造体であることを特徴とする装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−32035(P2006−32035A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206808(P2004−206808)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(504271445)
【出願人】(000219266)東レ・デュポン株式会社 (288)
【出願人】(593049431)高安株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(504271445)
【出願人】(000219266)東レ・デュポン株式会社 (288)
【出願人】(593049431)高安株式会社 (15)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]