説明

吹き矢道具

【課題】 吹き矢を行う際にプレイヤーが操作しやすく、また、矢筒が軽量で丈夫な吹き矢道具を提供する。
【解決手段】 軽金属からなる中空円筒状のパイプ3の全外周に軸方向に一定間隔で形成した溝5と前記パイプ3の一端開口に設けた吹き口4とからなる矢筒2と、該矢筒2の外周に外嵌されて軸方向にスライド自在な生木を切り抜いた中空状の把持部6と、を具備してなり、吹き矢を行う際にプレイヤーがグリップしやすい位置で把持でき、また、操作時の矢筒の垂平度が保ちやすく、且つ強度の高い吹き矢道具を提供することを目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具として、あるいはレジャー及びスポーツ分野において使用される吹き矢道具に関する。
【背景技術】
【0002】
吹き矢は、中空円筒状の矢筒内に円錐状である矢を該矢の尖端部から入れ、矢筒の後端にあるマウスピースを口にくわえて息を吹き込み、矢を矢筒の先端から発射して標的に命中させるゲームである。近年、矢を発射する際の息吹きが腹式呼吸であり健康によいということもありスポーツとしての吹き矢が普及しており、それに伴い従来の性能に加えより正確な射的性が要求され、矢筒や矢等の吹き矢道具の性能も重要視されている。また、吹き矢はメンタル面や息吹きの微妙な変化が命中率に影響を及ぼす繊細なスポーツであるため、吹き矢道具は矢筒や矢の性能はもちろんのこと、プレイヤーが操作しやすいものが望まれている。
【0003】
従来の吹き矢道具は、矢筒においては繊維強化プラスチックで製造されたものがあり、これは中空円筒状のパイプからなる矢筒が少なくとも内外2層の繊維強化プラスチック層からなり、該繊維強化プラスチック層がフィラメントワインディング法で形成されてなるものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−108396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
矢筒は通常、中空円筒状のパイプと吹き口であるマウスピースとからなるものが使用されているが、該パイプが円筒状であるため水平を保つのが容易でなく、金属管の場合は軽量化のため薄肉とせざるを得ず、そのために少しの衝撃で凹みやすく、また、塩化ビニル管の場合は剛性が弱いため長手方向に反りが生じやすい。また、吹き矢の命中率はメンタル的なものが大きく影響するため、プレイヤーにとって正確に標的を狙うには、無理な姿勢をせず最適な状態で使用できる道具が望ましい。しかし、従来の矢筒は中空円筒状のパイプとマウスピースとからのみでなり、プレイヤーがパイプの一部を直接把持し操作を行うため、操作する際に集中して手に汗をかくと手が滑って安定してグリップできなくなり、最適な状態で操作できなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、これらの点に鑑みてなされたものであり、吹き矢を行う際にプレイヤーがグリップしやすい位置でしっかり把持でき、また、操作時の矢筒の水平度が保ちやすく、且つ強度の高い吹き矢道具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る吹き矢道具は、軽金属からなる中空円筒状のパイプの全外周に軸方向に一定間隔で形成した溝と前記パイプの一端開口に設けたマウスピースとからなる矢筒と、前記パイプの外周に外嵌されて軸方向にスライド自在な生木を切り抜いた中空状の把持部と、前記矢筒の内部へ挿入する矢と、を具備してなることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、吹き矢道具において、前記矢が先端部に吸盤を付設されたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る吹き矢道具によれば、生木を切り抜いた中空状の前記把持部が前記パイプに外嵌され、軸方向にスライド自在であることより、プレイヤーがグリップしやすい位置において把持でき、無理のない姿勢で操作ができることにより吹き矢に用いる矢の標的への命中率を向上できる。
【0009】
また、矢筒に使用するパイプが軽金属からなることより、軽量で且つ長持ちする。また、パイプの全外周に軸方向一定間隔で溝を形成することによって、パイプの水平度が保ちやすく、強度もアップし、凹んだり反りかえったりすることを軽減できる。更に、把持部を軸方向にスライドさせる際には溝によって直線方向への移動が確保され、且つ、使用時に回転しにくいので、標的への命中率がより向上する。
【0010】
また、矢の先端を吸盤としたことにより息吹きの力の弱い高齢者や子供でも簡単に矢を標的に吸着させることができ、更には、矢の先端が先細りになっていないため、手元が狂い矢が標的の方向とは別方向に向かった際においても危険性が少なく、安心してプレイすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態ついて詳細に説明する。
図1は、吹き矢道具1の構成を示すものである。吹き矢道具1は、中空円筒状のパイプ3の全外周に軸方向に一定間隔で形成した溝5と前記パイプ3の一端開口に設けたマウスピース4とからなる矢筒2と、前記パイプ3の外周に外嵌されて軸方向にスライド自在な生木を切り抜いた中空状の把持部6と、前記矢筒2の内部に挿入する矢7とからなる。
【0012】
パイプ3は、図1,2に示すような中空円筒状のものであり、アルミ等の比重の小さい軽金属からなる。パイプ3の内径r1は通常10〜14mm程度であるため既製の軽金属パイプで同程度の内径を有するものを用いることができる。パイプ3の軸方向長さも通常500〜1200mm程度であるため既製の軽金属パイプを用途に合わせ同程度に切断して用いることができる。パイプ3の軸方向長さの目安としては通常、射程8mで1200mm程度のパイプを用い、病院等で体力回復のため使用する場合や、初心者、高齢者、子供や車椅子利用者等が射程5,6m程度で使用する場合は500〜600mm程度の長さを用いる。また、パイプ3は全外周に軸方向に一定間隔で形成された溝5を有する。該溝5は幅及び深さが0.5mm程度でよいが、これに限定されるものではない。このような溝5を形成することにより、把持した際にパイプ3の水平度が保ちやすくなり、更にたわみに対する強度も増加するという効果がある。該溝5の形成方法は公知且つ任意の手法を採用できる。パイプ3の素材に関してはビニールパイプに金メッキ等を施したものを用いてもよい。
【0013】
マウスピース4は、パイプ3の内径r1に合わせてパイプ3の一端に設けられている。形状、設置手法に関しては公知のものを使用できる。
【0014】
把持部6は、図3,5に示すように、矢筒2のパイプ3の外周に外嵌され軸方向にスライド自在であり、プレイヤーMがグリップしやすい位置で把持できるものである。該把持部6の内径r3は、前記パイプ3の外径r2と略同径であるか、若しくは前記パイプ3の外径r2より若干大きくしてもよい。いずれの場合においても把持部6をパイプ3に外嵌した際に把持部6がスムーズにスライドすればよい。なお、図3には把持部6の内径r3とパイプ3の外径r2がほぼ同径である場合を示している。また、把持部6の軸方向長さは特には限定されないが、把持しやすいように手の幅程度であれば十分である。該把持部6は適当な太さの間伐材の生木を切り抜いたものを用いると低コストで製作することができる。また、生木を用いることにより外観に関しては把持部6に木目が表れ見た目に美しく、ぬくもりを感じさせることができ、実際に把持する際には手触りがよく、木独特の感触になり、優れた吸湿性で汗を吸収することができ、更には木の独特の香りにより心地よくさわやかな気分になり、リラックスして操作することができる。このような生木のもつ様々な効果により、メンタル的な要素が標的への命中率に大きく影響する吹き矢において、標的への命中率の向上が期待できる。
【0015】
矢7は図4に示すように、細長い円錐状に形成されたものであり、薄い剛性樹脂フィルムを巻いて矢7の先端側に錘8が固着してあるものが通常用いられている。前記矢7はパイプ3に付設されたマウスピース4の開口部から矢7の尖端部が発射された際に先頭になるように挿入する。また、矢7は後端部の外径r4とパイプ3の内径r1が適合すれば現存する矢を用いることが可能であり、テーパーのジグに薄い剛性樹脂フィルム等を巻いて中空で円錐状の矢を公知且つ任意の手法で製作して用いることも可能である。また、図6に矢7の変形例である矢9を示す。該矢9は中空状の筒10と該筒10の先端に付設された吸盤11を有し、前記筒10の先端には蓋がされており、該筒10の先端の内側には錘12が固着されているものである。筒10は矢7と同様に薄い剛性樹脂フィルムを巻いて細長い円柱状に形成されたものであり、筒10の外径r5と矢7の外径r4が略同径になるように形成する。また、吸盤11の素材、形状等に関しては公知のものを使用でき、前記筒10への設置方法についても特に限定はしない。図に示すように、矢9が標的13に命中すると吸盤11の先端が広がり、前記標的13に吸着する。このような矢9を使うことによって、矢7のように先端が先細りになっているものを使用して該矢7を標的13に突き刺さす場合と比べて、息吹きの力が弱いために矢7が突き刺さらないということがなく、息吹きの力が弱くても矢9を簡単に標的13に吸着させることができて、高齢者や子供等のように息吹きの力が弱いプレイヤーにとっても容易に楽しむことができる。また、矢9を吹いた際に手元が狂い、該矢9が標的13の方向とは別方向に向かっても先端が先細りになっていないので矢7を使用する場合に比べて危険性が少なく、特に高齢者や子供等にとっては安心してプレイすることができる。
【0016】
以下、本吹き矢道具の使用方法について説明する。
図5は吹き矢道具1の実施例を示すものである。吹き矢道具1は、あらかじめ矢筒2に矢7を前記のように挿入し、プレイヤーMが図に示すように、把持部6をグリップしやすい位置にスライドさせて把持し、マウスピース4から息を吹き込み、矢7を発射させ標的13に命中させるためのものである。そして吹き矢は矢7が命中した標的13に記載した点数や、標的13の中心から命中した矢7までの距離を競って楽しむのもである。
【0017】
吹き矢を行う際の標的に関しては公知且つ任意の標的を用いてもよい。図7に示すようにダンボールに標的を描いた紙を貼り付けて製作した標的14を使用してもよい。遊び方に関しては、例えば、点数だけを標記するのではなく、図7に示すように全国各地の温泉の名前を点数の標記された欄に明記し、中心に的中すれば200点、中央の標的を外しても、標的の枠外の左上の温泉マークに当たれば100点というふうにして使用することができる。この時、標的の標記の仕方は温泉の名前ではなく、関取りの名前、プロ野球球団の名前等、様々にアレンジした標的を作成して楽しむことができる。
【0018】
この様にすれば、吹き矢道具1を把持しやすい位置でグリップし、最適な状態で操作することにより標的への命中率が向上し、競技としてのスポーツ用吹き矢として楽しめ、また、標的に様々なアレンジを加えたり、矢の種類をプレイヤーにあったものに自由に選択できることにより高齢者、初心者や子供の娯楽としての吹き矢としても飽きずに簡単に、また安全に楽しめる吹き矢道具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】吹き矢道具1の構成を示す正面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1のB−B断面図。
【図4】矢7を示す正面図。
【図5】吹き矢道具1を使用した吹き矢の実施例。
【図6】変形例の矢9が標的13に的中した状態を示す模式図。
【図7】変形例である矢9と標的14を用いた実施例。
【符号の説明】
【0020】
1 吹き矢道具
2 矢筒
3 パイプ
4 マウスピース
5 溝
6 把持部
7 矢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽金属からなる中空円筒状のパイプの全外周に軸方向に一定間隔で形成した溝と前記パイプの一端開口に設けたマウスピースとを有する矢筒と、前記パイプの外周に外嵌されて軸方向にスライド自在な生木を切り抜いた中空状の把持部と、前記矢筒の内部へ挿入する矢とを具備してなる吹き矢道具。
【請求項2】
前記矢が先端部に吸盤を付設されたものであることを特徴とする請求項1に記載の吹き矢道具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−46820(P2006−46820A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−229428(P2004−229428)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(392002930)有限会社松村精機 (5)
【出願人】(504300114)有限会社U.C.Mセンター (1)
【Fターム(参考)】