説明

周辺機器起動プログラムおよび周辺機器起動装置

【課題】複数の処理系列を受け持つ周辺機器の特定の処理系列を起動するためにユーザに要求される操作を軽減する。
【解決手段】周辺機器起動プログラムは、複数の処理系列を受け持つ予め決められた周辺機器に対応するアイコンを表示するアイコン表示手段と、前記アイコンが表示される領域を終点とするファイルのドラッグが発生すると、前記複数の処理系列のメニューを表示するメニュー表示手段と、前記ファイルを処理対象として、選択された前記複数の処理系列の1つを起動する起動手段と、してコンピュータを機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は周辺機器の起動に関し、特に複数の処理系列を受け持つ周辺機器を起動するためのGUI(Graphical User Interface)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周辺機器が受け持つ処理系列を起動するためにユーザに要求される操作を軽減するGUIとして、プリンターに対応するアイコンの表示領域においてファイルがドロップされると、ドロップされたファイルを処理対象としてプリンターを起動するGUIが知られている(例えば特許文献1参照)。従来知られているこのGUIにおいて、1つのアイコンの表示領域におけるドロップの発生によって起動される処理系列は1つに限られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−337765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、印刷、ファクシミリ送信、リムーバブルメディアへのファイルコピーなど複数の処理系列を受け持つ周辺機器には上記GUIをそのまま適用することができない。
【0005】
本発明は、複数の処理系列を受け持つ周辺機器の特定の処理系列を起動するためにユーザに要求される操作を軽減することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するための周辺機器起動プログラムは、複数の処理系列を受け持つ予め決められた周辺機器に対応するアイコンを表示するアイコン表示手段と、前記アイコンが表示される領域を終点とするファイルのドラッグが発生すると、前記複数の処理系列のメニューを表示するメニュー表示手段と、前記ファイルを処理対象として、選択された前記複数の処理系列の1つ以上を起動する起動手段と、してコンピュータを機能させる。
本発明によると、ユーザはアイコンが表示された領域を終点としてファイルをドラッグするとともにそのアイコンに対応づけられた周辺機器が受け持つ複数の処理系列の1つ以上をメニューから選択するだけで特定の処理系列を起動できる。したがって本発明によると、複数の処理系列を受け持つ周辺機器の特定の処理系列を起動するためにユーザに要求される操作を軽減することができる。
【0007】
(2)上記目的を達成するための周辺機器起動プログラムにおいて、前記起動手段は、前記メニューが表示される領域において前記ファイルのドロップが発生すると、ドロップされた前記ファイルを処理対象として、ドロップ位置に表示された前記複数の処理系列の1つを起動してもよい。
これにより、ユーザはファイルをドラッグしてドロップするだけで特定の処理系列を起動できる。したがって本発明によると、複数の処理系列を受け持つ周辺機器の特定の処理系列を起動するためにユーザに要求される操作をさらに軽減することができる。
【0008】
(3)上記目的を達成するための周辺機器起動プログラムにおいて、前記メニューは、前記複数の処理系列のそれぞれに対応する互いに異なる複数の部分が前記複数の処理系列のそれぞれを選択するための標識として機能する前記周辺機器の外観図形であってもよい。
これにより、識字能力が低いユーザにとっても扱いやすいGUIを実現できる。
【0009】
なお、本発明は周辺機器起動プログラムの記録媒体としても、周辺機器起動方法としても、周辺機器起動装置としても成立する。むろん、その記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態にかかるブロック図。
【図2】図2Aおよび図2Bは本発明の実施形態にかかる画面図。
【図3】図3Aは本発明の実施形態にかかるメニューを示す図。図3Bおよび図3Cは画面図。
【図4】図4Aおよび図4Bは本発明の実施形態にかかる画面図。
【図5】本発明の実施形態にかかるフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
1.周辺機器起動プログラムの構成
図1および図2は本発明による周辺機器起動プログラムの一実施形態としての起動プログラムと起動プログラムを実行するPC(Personal Computer)1と周辺機器としてのコピー機2とを示すブロック図である。
【0012】
コピー機2は、スキャナー22とプリンター23とリムーバブルメモリコントローラ24と通信部25と、これらを制御するための制御部21とを備えている。スキャナー22は原稿媒体からラスター画像を読み取るためのフラットベッド型イメージスキャナーである。PCによって制御されている状態のスキャナー22は読み取ったラスター画像をPC1に送信する。プリンター23は印刷媒体にインクを吹き付けることにより画像を形成するインクジェットプリンターである。プリンター23によって印刷される対象はPC1から受信する印刷制御データとリムーバブルメモリ3に記憶されているラスター画像ファイルとスキャナー22が読み取ったラスター画像である。リムーバブルメモリコントローラ24はリムーバブルメモリコントローラ24に接続されるリムーバブルメモリ3にPC1から受け取るデータファイルを書き込み、プリンター23によって印刷されるラスター画像ファイルをリムーバブルメモリ3から読み取るための電子回路である。通信部25はPC1に記憶されている文書を宛先番号に接続されているファクシミリに送信するための電子回路である。通信部25によって送信される対象は、PC1から受信する送信データとスキャナー22が読み取ったラスター画像である。制御部21は、図示しないRAM,CPU,ROMおよび入出力機構を備えるマイクロコンピュータである。スキャナー22、プリンター23、リムーバブルメモリコントローラ24および通信部25は制御部21の入出力機構に接続される。制御部21はPC1から受信する制御信号に基づいてスキャナー22、プリンター23、リムーバブルメモリコントローラ24および通信部25を制御する。
【0013】
PC1はRAM11、CPU12、ROM13、入出力機構(I/O)15およびハードディスク装置(HDD)14、ディスプレイ16、キーボード17、マウス18を備えている。入出力機構(I/O)15にはコピー機2等の周辺機器を接続可能である。PC1のハードディスク装置14には、オペレーティングシステム(Operating System)P3、アプリケーションプログラムP3、起動プログラムP1、読取制御プログラムP21、印刷制御プログラムP22、ファイルコピー制御プログラムP23、ファクシミリ制御プログラムP24等の各種のコンピュータプログラムが記憶されている。これらのコンピュータプログラムがRAM11にロードされ、CPU12によって実行されることによってPC1において様々な機能が実現される。オペレーティングシステムP3は図2Aに示すようにタスクバー52および背景54を含むデスクトップをディスプレイ16の画面に表示する機能を実現する。起動プログラムP1、読取制御プログラムP21、印刷制御プログラムP22、ファイルコピー制御プログラムP23およびファクシミリ制御プログラムP24はコピー機2を制御するためのコピー機制御プログラム群を構成している。
【0014】
読取制御プログラムP21は、スキャナー22に制御信号を送信することによってスキャナー22に原稿媒体からラスター画像を読み取らせ、スキャナー22によって読み取られたラスター画像をRAM11に格納する機能を実現する。印刷制御プログラムP22は、オペレーティングシステムP2と協働することによって対象ファイルからラスター画像を生成し、ラスター画像を印刷制御データに変換し、印刷制御データをコピー機2に送信し、コピー機において対象ファイルを印刷させる機能を実現する。すなわち印刷制御プログラムP22はコピー機2が受け持つ印刷処理系列を制御するためのプログラムである。ファイルコピー制御プログラムP23は対象ファイルをコピー機2に送信し、コピー機2においてリムーバブルメモリ3に対象ファイルを書き込ませる機能を実現する。すなわちファイルコピー制御プログラムP23はコピー機2が受け持つファイルコピー処理系列を制御するためのプログラムである。ファクシミリ制御プログラムP24は、オペレーティングシステムP2と協働することによって対象ファイルからラスター画像を生成し、ラスター画像を送信データに変換し、送信データをコピー機2に送信し、コピー機2から宛先番号のファクシミリに送信データを送信させる機能を実現する。すなわちファクシミリ制御プログラムP24はコピー機2が受け持つファックス処理系列を制御するためのプログラムである。
【0015】
起動プログラムP1はコピー機2が受け持つこれらの処理系列を起動するためのプログラムである。起動プログラムP1はオペレーティングシステムP3とともに起動する所謂常駐プログラムである。起動プログラムP1は、アイコンリソースファイルP11等の各種のリソースファイルとメニュー表示モジュールP12、起動モジュールP13等のプログラムモジュール群とを含む。
【0016】
アイコンリソースファイルP11は、起動プログラムP1が図2Aに示すようにアイコン53を表示するためのビットマップデータである。アイコン53は、コピー機2の外観や機能を想起させる図形として構成される。アイコン53は、起動プログラムP1が常駐プログラムとしてインストールされると、アイコンリソースファイルP11に基づいてデスクトップを構成しているタスクバー52の上に表示される。すなわち、アイコンリソースファイルP11は、PC1をアイコン表示手段として機能させる。
【0017】
メニュー表示モジュールP12は、図2Bに示すようにアイコン53が表示される領域を終点とするファイルのドラッグが発生すると、図3Aに示すようにコピー機2が受け持つ複数の処理系列のメニュー55を表示する機能を実現する。ディスプレイ16の画面にはアイコン50がドラッグされていることを示す図形50aがドラッグ終点の近傍に表示される。具体的には、メニュー表示モジュールP12は、特定のファイルへのショートカットであるアイコン50を始点とし、コピー機2に対応するアイコン53を終点とするドラッグが発生すると、コピー機2が受け持つ処理系列のうちPC1に記憶されている文書を対象とする処理系列である印刷処理系列とファイルコピー処理系列とファックス処理系列とを選択肢としてユーザに提示するとともにユーザによるいずれかの処理系列の選択を受け付けるためのメニュー55を表示する機能を実現する。
【0018】
メニュー55は図3Aに示すようにコピー機2の外観図形を構成している。具体的には、コピー機2の本体の外形を示す矩形55cと本体に形成されている排紙スロットを示す矩形55dと印刷媒体を示す矩形55eと本体に形成されているメモリスロットを示す矩形55bと本体に揺動可能に結合されスキャナー22によって読み取られる原稿媒体を覆うカバーを示す矩形55aとがメニュー55に配置される。メニュー55の表示領域は上部のファックス領域551と中間部のファイルコピー領域552と下部の印刷領域553とに区分されている。
【0019】
メニュー55はメニュー表示モジュールP12が含む3つのメニューリソースに基づいて表示される。メニューリソースの1つは、図3Bに示すようにドラッグの終点が印刷領域553に位置しているときに、印刷処理系列を想起させる印刷媒体55eが強調されたメニュー56を表示するためのビットマップデータである。メニューリソースの他の1つは、図3Cに示すようにドラッグの終点がファイルコピー領域552に位置しているときに、ファイルコピー処理系列を想起させるメモリスロット55bが強調されたメニュー57を表示するためのビットマップデータである。メニューリソースの残りの1つは、図4Aに示すようにドラッグの終点がファックス領域551に位置しているときに、ファックス処理系列を想起させるカバー55aが強調されたメニュー58を表示するためのビットマップデータである。このように文字を使わずにコピー機2が受け持つ複数の処理系列をコピー機2の外観の一部を標識として表すことにより識字能力が低いユーザにとっても扱いやすいGUIを実現できる。
【0020】
起動モジュールP13は、メニュー56、57、58が表示される領域においてファイルのドロップが発生すると、ドロップされたファイルを処理対象として、選択された複数の処理系列の1つを起動する機能を実現する。すなわち、印刷領域553においてファイルのドロップが発生すると印刷処理系列を起動し、ファイルコピー領域552においてファイルのドロップが発生するとファイルコピー処理系列を起動し、ファックス領域551においてファイルのドロップが発生するとファックス処理系列を起動する機能を起動モジュールP13は実現する。
PC1は、このような起動プログラムP1を実行することにより周辺機器起動装置として機能する。
【0021】
2.周辺機器起動処理
図5は、周辺機器制御処理を示すフローチャートである。図5に示す処理のうち、S10からS15の処理は起動プログラムP1のメニュー表示モジュールP12によって制御され、その他の処理は起動モジュールP13によって制御される。
【0022】
はじめに、ドラッグの終点がコピー機2に対応するアイコン53の表示領域内にあるかが判定される(S10)。ドラッグの終点がコピー機2に対応するアイコン53の表示領域内に入るまで、この判定が繰り返される。具体的にはドラッグの終点を微小時間間隔(例えば10ミリ秒間隔)でオペレーティングシステムP3にメニュー表示モジュールP12が問い合わせ、オペレーティングシステムP3からの戻り値に基づいてドラッグの終点がコピー機2に対応するアイコン53の表示領域内にあるかが判定される。
【0023】
ドラッグの終点がコピー機2に対応するアイコン53の表示領域内にある場合、メニュー56、57、58のいずれかがディスプレイ16の画面に表示される(S11)。すなわち、ドラッグの終点が図3Bに示すように印刷領域553に位置しているときには印刷媒体55eが印刷処理系列の標識として強調されたメニュー56が画面に表示される。またドラッグの終点が図3Cに示すようにファイルコピー領域552に位置しているときにはメモリスロット55bがファイルコピー処理系列の標識として強調されたメニュー57が画面に表示される。またドラッグの終点が図4Aに示すようにファックス領域551に位置しているときにはカバー55aがファックス処理系列の標識として強調されたメニュー57が画面に表示される。
【0024】
次に印刷領域553内にファイルがドロップされたかが判定される(S12)。具体的にはオペレーティングシステムP3にメニュー表示モジュールP12がドロップ位置を問い合わせ、オペレーティングシステムP3の戻り値に基づいて、ファイルのショートカットであるアイコン50が印刷領域553内にドロップされたかが判定される。
【0025】
印刷領域553内にファイルがドロップされていない場合、ファイルコピー領域552内にファイルがドロップされたかが判定される(S13)。具体的にはオペレーティングシステムP3にメニュー表示モジュールP12がドロップ位置を問い合わせ、オペレーティングシステムP3の戻り値に基づいて、アイコン50がファイルコピー領域552内にドロップされたかが判定される。
【0026】
ファイルコピー領域552内にファイルがドロップされていない場合、ファックス領域551内にファイルがドロップされたかが判定される(S14)。具体的にはオペレーティングシステムP3にメニュー表示モジュールP12がドロップ位置を問い合わせ、オペレーティングシステムP3の戻り値に基づいて、アイコン50がファックス領域551内にドロップされたかが判定される。
【0027】
ファックス領域551内にファイルがドロップされていない場合、ドラッグ終点がメニュー表示領域内にあるかが判定される(S15)。具体的にはオペレーティングシステムP3にメニュー表示モジュールP12がドラッグの終点を問い合わせ、オペレーティングシステムP3の戻り値に基づいて、ドラッグの終点が印刷領域553、ファイルコピー領域552、ファックス領域551のいずれかに位置しているかが判定される。ドラッグの終点がメニュー表示領域内にない場合、S10から上述の処理が繰り返される。ドラッグの終点がメニュー表示領域内にある場合、S11から上述の処理が繰り返される。
【0028】
印刷領域553内にファイルがドロップされた場合、ドロップされたファイルのパスが取得される(S20)。具体的には、ドロップされたアイコン50のリンク先ファイルのパスをオペレーティングシステムP3に起動モジュールP13が問い合わせて取得する。
【0029】
次にドロップされたファイルが印刷可能であるかが判定される(S21)。具体的には、ドロップされたファイルがアプリケーションプログラムP3を起動することなく印刷制御データに変換できるフォーマット(ビットマップデータフォーマットなど)であるかがファイルの拡張子に基づいて判定される。ドロップされたファイルが印刷可能でない場合、S10から上述の処理が繰り返される。
【0030】
ドロップされたファイルが印刷可能である場合、ドロップされたファイルを対象とする印刷処理系列が起動される(S22)。具体的には、ドロップされたファイルが印刷対象ファイルとして印刷制御プログラムP22に継承され、印刷部数等の印刷条件が予め決められた値に設定され、印刷制御プログラムP22に対して印刷開始が要求される。その結果、ドロップされたファイルの印刷が印刷制御プログラムP22の制御によって実行される。
【0031】
ファイルコピー領域552内にファイルがドロップされた場合も同様に、ドロップされたファイルのパスが取得される(S30)。
【0032】
次にドロップされたファイルのリムーバブルメモリ3へのコピー処理系列が起動される(S31)。具体的には、ドロップされたファイルがコピー対象ファイルとしてファイルコピー制御プログラムP23に継承され、コピー先フォルダ、ファイル名等のコピー条件が予め決められた値に設定され、コピー制御プログラムP23に対してコピー開始が要求される。その結果、ドロップされたファイルのリムーバブルメモリ3へのコピーがコピー制御プログラムP23の制御によって実行される。
【0033】
ファックス領域551内にファイルがドロップされた場合も同様に、ドロップされたファイルのパスが取得される(S40)。
【0034】
次にドロップされたファイルがファックス可能であるかが判定される(S41)。具体的には、ドロップされたファイルがアプリケーションプログラムP3を起動することなく送信データに変換できるフォーマット(ビットマップデータフォーマットなど)であるかがファイルの拡張子に基づいて判定される。ドロップされたファイルがファックス可能でない場合、S10から上述の処理が繰り返される。
【0035】
ドロップされたファイルがファックス可能である場合、ドロップされたファイルを対象とするファックス処理系列が起動される(S42)。具体的には、ドロップされたファイルが送信対象ファイルとしてファクシミリ制御プログラムP24に継承され、ファクシミリ制御プログラムP24に対して送信開始が要求される。その結果、ドロップされたファイルのファックス送信がファクシミリ制御プログラムP24の制御によって実行される。ファクシミリ制御プログラムP24は、図4Bに示すように宛先番号をユーザに入力させるためのダイアログウィンドウ59をディスプレイ16の画面に表示する。ダイアログウィンドウ59には宛先番号の入力を受け付けるためのテキストボックス59a、ファックス送信開始指示を受け付けるための開始ボタン59b、取消指示を受け付けるための取消ボタン59c等のウィジェットが配置される。開始ボタン59bがクリックされると、ドロップされたファイルがRAM11にロードされ、ロードされたファイルから送信データが生成され、宛先番号に接続されたファクシミリに送信データがコピー機2から送信される。
【0036】
以上説明した本発明の実施形態によると、ユーザはアイコン53が表示された領域を終点としてファイルをドラッグするとともに、ファイルを印刷領域553、ファイルコピー領域552、ファックス領域551のいずれかにドロップすることによりコピー機2が受け持つ複数の処理系列の1つを起動できる。したがって本発明の実施形態によると、複数の処理系列を受け持つコピー機2の特定の処理系列を起動するためにユーザに要求される操作を軽減することができる。
【0037】
3.他の実施形態
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0038】
例えばコピー機2に対応するアイコンをサイドバーなどデスクトップのタスクバー以外の領域に配置しても良い。またアプリケーションプログラムによって表示されるウィンドウの領域にコピー機2に対応するアイコンを配置しても良い。また、起動プログラムP1は所謂常駐プログラムでなくても良い。常駐プログラムでない場合には、コピー機2に対応するアイコンは起動プログラムP1を起動するためのショートカットアイコンとしてデスクトップの背景54上に配置される。そして、そのショートカットアイコンにファイルがドロップされたときに周辺機器起動処理を起動すればよい。
【0039】
また例えば、ドラッグやドロップを操作するためにマウス18以外のどのようなポインティングデバイスを用いても良い。
【0040】
また例えば、対象ファイルとしてドラッグされるファイルは、アプリケーションプログラムP3によってディスプレイ16の画面に表示されていても良い。具体的には、写真画像データを管理するアプリケーションプログラムP3によってサムネイルがディスプレイ16の画面に表示されている場合に、そのサムネイルを始点としアイコン53を終点とするドラッグが発生したときにメニュー55をディスプレイ16の画面に表示しても良い。
【0041】
また例えば、印刷条件を予め決められた値に設定する代わりに、ユーザによる印刷条件の設定操作を受け付けるダイアログウィンドウを表示してもよい。また例えば、ファイルのコピー条件を予め決められた値に設定する代わりに、ユーザによるコピー条件の設定操作を受け付けるダイアログウィンドウを表示しても良い。
【0042】
また例えば、アイコン53を終点とするドラッグが発生した場合に、メニュー55を表示する代わりに、印刷処理系列、ファイルコピー処理系列、ファックス処理系列を示す文字列を選択肢として表示するメニューをディスプレイ16の画面に表示しても良い。
【0043】
またこれまでアイコン53を終点とするドラッグの発生によって表示されるメニューからは、起動対象の処理系列として1つの選択肢だけが選択される例について説明してきたが、複数の選択肢を同時に選択することを可能とし、複数の処理系列を同時に起動してもよい。例えば、メニュー55のファックス領域551、ファイルコピー領域552、印刷領域553のうち、ドラッグの軌跡が通る領域を全て選択されたものとみなしてもよい。具体的には、ドラッグの軌跡がファックス領域551、ファイルコピー領域552、印刷領域553を順に通り、ファックス領域551、ファイルコピー領域552、印刷領域553のいずれかにアイコン50がドロップされた場合、アイコン50に対応するファイルを処理対象として、リムーバブルメモリ3にコピーする処理系列と、印刷する処理系列と、ファックス送信する処理系列をそれぞれ起動しても良い。また、ドラッグの軌跡が通過したことによって選択された処理系列の選択状態をドラッグ軌跡の再通過によって解除できるようにしてもよい。例えば、アイコン50のドラッグの軌跡がファックス領域551、ファイルコピー領域552、印刷領域553を順に通過してアイコン53の表示領域の外側に至り、再びファックス領域551を通過してから再びアイコン53の表示領域の外側に至り、最後にファイルコピー領域552においてアイコン50がドロップされたとする。この場合には、2回ドラッグの軌跡が通過したファックス領域551に対応するファックス処理系列は選択されなかったとみなし、ファイルコピー領域552に対応するファイルコピー処理系列と印刷領域553に対応する印刷処理系列を起動する。そして、各領域の選択状態は、印刷媒体55e、カバー55a、メモリスロット55bの1つ以上を強調表示することによってユーザに報知すればよい。
【0044】
またこれまで周辺機器としてコピー機を例示して本発明を説明してきたが、印刷処理系列とファイルコピー処理系列のみを受け持つプリンター等、2以上の処理系列を受け持つ周辺機器であればどのような周辺機器であっても本発明を適用できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0045】
1:PC、2:コピー機、3:リムーバブルメモリ、11:RAM、12:CPU、13:ROM、14:ハードディスク装置、16:ディスプレイ、17:キーボード、18:マウス、21:制御部、22:スキャナー、23:プリンター、24:リムーバブルメモリコントローラ、25:通信部、50:アイコン、52:タスクバー、53:アイコン、54:背景、55:メニュー、55a:カバー、55b:メモリスロット、55e:印刷媒体、56:メニュー、57:メニュー、58:メニュー、59:ダイアログウィンドウ、59a:テキストボックス、59b:開始ボタン、59c:取消ボタン、551:ファックス領域、552:ファイルコピー領域、553:印刷領域、P1:起動プログラム、P11:アイコンリソースファイル、P12:メニュー表示モジュール、P13:起動モジュール、P2:アプリケーションプログラム、P21:読取制御プログラム、P22:印刷制御プログラム、P23:コピー制御プログラム、P23:ファイルコピー制御プログラム、P24:ファクシミリ制御プログラム、P3:オペレーティングシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理系列を受け持つ予め決められた周辺機器に対応するアイコンを表示するアイコン表示手段と、
前記アイコンが表示される領域を終点とするファイルのドラッグが発生すると、前記複数の処理系列のメニューを表示するメニュー表示手段と、
前記ファイルを処理対象として、選択された前記複数の処理系列の1つ以上を起動する起動手段と、
してコンピュータを機能させる周辺機器起動プログラム。
【請求項2】
前記起動手段は、前記メニューが表示される領域において前記ファイルのドロップが発生すると、ドロップされた前記ファイルを処理対象として、ドロップ位置に表示された前記複数の処理系列の1つを起動する、
請求項1に記載の周辺機器起動プログラム。
【請求項3】
前記メニューは、前記複数の処理系列のそれぞれに対応する互いに異なる複数の部分が前記複数の処理系列のそれぞれを選択するための標識として機能する前記周辺機器の外観図形である、
請求項1又は2に記載の周辺機器起動プログラム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の周辺機器起動プログラムが記憶された記憶媒体。
【請求項5】
複数の処理系列を受け持つ予め決められた周辺機器に対応するアイコンを表示するアイコン表示手段と、
前記アイコンが表示される領域を終点とするファイルのドラッグが発生すると、前記複数の処理系列のメニューを表示するメニュー表示手段と、
前記ファイルを処理対象として、選択された前記複数の処理系列の1つ以上を起動する起動手段と、
を備える周辺機器起動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−244099(P2010−244099A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88720(P2009−88720)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】