呼び樋接続用治具及び呼び樋接続方法
【課題】建物本体に軒樋が取付けられた後に呼び樋と軒樋との接続作業を建物本体の内側から行う場合において、呼び樋を軒樋に適切に接続することにある。
【解決手段】(A)建物本体に取付け済みの軒樋の下方位置で、該軒樋に接続される呼び樋を支持する支持台と、(B)前記呼び樋の上端部が前記軒樋に形成された嵌合孔に臨んだ状態にある際に、前記軒樋を上方から押さえ付ける押さえ部と、(C)上下方向における前記押さえ部と前記支持台との間の距離を縮めるための距離調整機構と、(D)前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間にユーザに操作されることにより、前記距離調整機構を駆動して前記距離調整機構に前記距離を縮めさせる被操作部と、を有することを特徴とする呼び樋接続用治具。
【解決手段】(A)建物本体に取付け済みの軒樋の下方位置で、該軒樋に接続される呼び樋を支持する支持台と、(B)前記呼び樋の上端部が前記軒樋に形成された嵌合孔に臨んだ状態にある際に、前記軒樋を上方から押さえ付ける押さえ部と、(C)上下方向における前記押さえ部と前記支持台との間の距離を縮めるための距離調整機構と、(D)前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間にユーザに操作されることにより、前記距離調整機構を駆動して前記距離調整機構に前記距離を縮めさせる被操作部と、を有することを特徴とする呼び樋接続用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼び樋を軒樋に接続するための呼び樋接続用治具及び呼び樋接続方法に係り、特に、建物本体に取付け済みの軒樋に呼び樋を接続するための呼び樋接続用治具及び呼び樋接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物本体に設置される樋として軒樋、竪樋、呼び樋はよく知られている。これらの樋の設置手順としては、建物本体の軒先に軒樋を取付け、建物本体の外壁に沿わせて竪樋を取付けた後に、竪樋に予め取付けられていた呼び樋を軒樋に接続させるという手順が考えられる(例えば、特許文献1)。上記手順は、例えば、建設現場での作業量を減らす目的から、軒樋を含む軒先周りの建材が適宜ユニット化された状態で工場から出荷されるケースで採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−307036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、呼び樋は軒樋の下方に位置するため、建物本体に軒樋が取付けられた後で建物本体の内側(室内側)から呼び樋と軒樋との接続作業を行うことは難しく、軒の出(張出長さ)が長い場合には特に困難となる。一方、建物本体の外側(室外側)から呼び樋と軒樋との接続作業を行う場合、住宅密集地等のように隣接する建物が近接しており建物本体の外側に作業スペースを確保し難い環境では上記の接続作業が難航することがある。
【0005】
以上のように、建物本体に軒樋が取付けられた後で呼び樋と軒樋との接続作業を行う場合には、呼び樋が軒樋に適切に接続されないこともあり、結果として、建物の施工品質の低下につながってしまうことになる。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、建物本体に軒樋が取付けられた後に呼び樋と軒樋との接続作業を建物本体の内側から行う場合において、呼び樋を軒樋に適切に接続することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の呼び樋接続用治具によれば、(A)建物本体に取付け済みの軒樋の下方位置で、該軒樋に接続される呼び樋を支持する支持台と、(B)前記呼び樋の上端部が前記軒樋に形成された嵌合孔に臨んだ状態にある際に、前記軒樋を上方から押さえ付ける押さえ部と、(C)上下方向における前記押さえ部と前記支持台との間の距離を縮めるための距離調整機構と、(D)前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間にユーザに操作されることにより、前記距離調整機構を駆動して前記距離調整機構に前記距離を縮めさせる被操作部と、を有することにより解決される。
本発明の呼び樋接続用治具を用いれば、呼び樋の上端部が軒樋に形成された嵌合孔に臨んだ状態で呼び樋を支持しておくことが可能である。そして、かかる状態の下で被操作部を操作すると、軒樋を上方から押さえ付けている押さえ部と、呼び樋を支持している支持台と、の距離が縮まっていく。すなわち、軒樋と呼び樋との間隔が狭くなり、当該間隔が狭くなっていく分、呼び樋の上端部が軒樋の嵌合孔に嵌合されていき、最終的に呼び樋が軒樋に接続されるようになる。この結果、建物本体に軒樋が取付けられた後に呼び樋と軒樋との接続作業を建物本体の内側から行う場合や、軒の出(張出長さ)が長い建物本体の屋上で上記の接続作業を行う場合であっても、良好に呼び樋を軒樋に接続することが可能になる。
【0008】
また、上記の呼び樋接続用治具において、上下方向において前記支持台と対向する対向部を更に有し、前記距離調整機構は、下端に前記押さえ部が備えられ、かつ、前記対向部に対して上下方向に沿って相対移動可能な、前記対向部を貫通している貫通体を有し、前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間に前記被操作部がユーザに操作されることにより、前記押さえ部が前記支持台に近づくように、前記貫通体を前記対向部に対して上下方向に沿って相対移動させて前記距離を縮めることとしてもよい。
かかる構成の治具であれば、比較的簡易な構成により、軒樋と呼び樋との間隔を狭めて呼び樋の上端部を軒樋の嵌合孔に嵌合させること、すなわち、軒樋と呼び樋とを接続させることが可能になる。
【0009】
また、上記の呼び樋接続用治具において、上端面に前記支持台が固定された支持台固定部と、前記対向部と前記支持台固定部の双方に交差し、当該双方を連結する連結部とを有し、前記支持固定部と前記対向部と前記連結部とが一体化されており、前記距離調整機構は、前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間に前記被操作部がユーザに操作されることにより、一体化された前記支持固定部と前記対向部と前記連結部とが前記押さえ部に対して相対的に上昇するように、前記貫通体を前記対向部に対して上下方向に沿って相対移動させて前記距離を縮めることとしてもよい。
かかる場合、貫通体の相対移動により、押さえ部と支持台との間の距離を確実に縮めることが可能になる。
【0010】
また、上記の呼び樋接続用治具において、前記連結部は、前記対向部の一端部と前記支持台固定部の一端部とを連結し、前記被操作部は、前記対向部の他端部に取付けられたレバーであることとしてもよい。
かかる構成の治具であれば、呼び樋を軒樋の下方位置で支持しながら被操作部を操作すること(すなわち、軒樋と呼び樋との間隔を狭めるための操作)を、建物本体の内側から良好に行うことが可能になる。
【0011】
また、上記の呼び樋接続用治具において、前記軒樋には、自在ドレンが備えられており、前記自在ドレンの上部は、前記嵌合孔の周縁から立設して形成されており、前記押さえ部は、前記上端部が前記嵌合孔に嵌合する際に、前記自在ドレンの上部を包囲しつつ前記軒樋を上方から押さえ付ける枠体であることとしてもよい。
かかる構成の治具であれば、呼び樋を軒樋に接続する際に、押さえ部が自在ドレンと干渉するのを回避することができるため、接続作業がスムーズに行われるようになる。
【0012】
さらに、建物本体に取付け済みの軒樋に呼び樋を接続する呼び樋接続方法であって、(A)前記軒樋の下方位置に前記呼び樋が配置されている際に、前記呼び樋を支持する支持台と、前記軒樋を押さえ付ける押さえ部と、上下方向における前記押さえ部と前記支持台との間の距離を縮める距離調整機構と、ユーザに操作されることにより前記距離調整機構を駆動して前記距離調整機構に前記距離を縮めさせる被操作部と、を有する呼び樋接続用治具の前記支持台に前記呼び樋を支持させることと、(B)前記呼び樋の上端部が前記軒樋に形成された嵌合孔に臨むように、前記支持台に前記呼び樋が支持された状態の前記呼び樋接続用治具の位置を調整することと、(C)前記上端部が前記嵌合孔に臨んだ状態にある際に、前記押さえ部にて前記軒樋を上方から押さえ付けることと、(D)前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間に、前記被操作部を操作して前記距離調整機構に前記距離を縮めさせることにより、前記嵌合孔に前記上端部を嵌合させることと、を有する呼び樋接続方法も実現可能である。
かかる呼び樋接続方法であれば、呼び樋の上端部が軒樋の嵌合孔に臨んだ状態で呼び樋を支持しておくことが可能であり、かかる状態の下で被操作部を操作することによって、軒樋と呼び樋との間隔が狭くなっていき、最終的に呼び樋が軒樋に接続されるようになる。この結果、建物本体に軒樋が取付けられた後に呼び樋と軒樋との接続作業を建物本体の内側から行う場合や、軒の出(張出長さ)が長い建物本体の屋上で上記の接続作業を行う場合であっても、良好に呼び樋を軒樋に接続することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の呼び樋接続用治具によれば、呼び樋の上端部が軒樋の嵌合孔に臨んだ状態で呼び樋を支持しておくことが可能である。かかる状態で被操作部を操作すると、軒樋を上方から押さえ付けている押さえ部と呼び樋を支持している支持台との距離、すなわち、軒樋と呼び樋との間隔が縮まり、徐々に呼び樋の上端部が軒樋の嵌合孔に嵌合されていき、最終的に呼び樋が軒樋に接続されるようになる。このような機能により、建物本体に軒樋が取付けられた後に呼び樋と軒樋との接続作業を建物本体の内側から行う場合や、軒の出(張出長さ)が長い建物本体の屋上で上記の接続作業を行う場合であっても、良好に呼び樋を軒樋に接続することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】樋ユニット1の断面図である。
【図2】樋ユニット1の分解斜視図である。
【図3】樋ユニット1の組立て手順を示す概略図である(その1)。
【図4】樋ユニット1の組立て手順を示す概略図である(その2)。
【図5】樋ユニット1の組立て手順を示す概略図である(その3)。
【図6】呼び樋接続用治具10の外観図である。
【図7】支持台11の断面図である。
【図8】押さえ部14が軒樋2を押さえ付けている様子を示した図である。
【図9】貫通体19の外周面の拡大図である。
【図10】本実施形態に係る呼び樋接続方法の流れを示す図である。
【図11】呼び樋4と軒樋2との接続作業に関する進行状況を示した図である(その1)。
【図12】呼び樋4と軒樋2との接続作業に関する進行状況を示した図である(その2)。
【図13】呼び樋4と軒樋2との接続作業に関する進行状況を示した図である(その3)。
【図14】呼び樋4と軒樋2との接続作業に関する進行状況を示した図である(その4)。
【図15】図15A及び図15Bは、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けたままの状態でレバー15が握持操作された場合の呼び樋接続用治具10各部の位置関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<<本実施形態の樋ユニット1の構成と組立て手順>>
本実施形態に係る呼び樋接続方法を説明するにあたり、当該方法を用いて組み立てられる樋ユニット1に関して、その構成と組立て手順について図1〜図5を参照しながら概説する。図1は、樋ユニット1の断面図である。図2は、樋ユニット1の分解斜視図である。図3〜図5は、樋ユニット1の組立て手順を示す概略図である。なお、図3〜図5には、矢印にて上下方向が示されている。
【0016】
樋ユニット1は、図1に示すように、軒樋2、竪樋3、及び、呼び樋4とを有し、これらを組み立てることにより構成される。軒樋2は、側面視で略U字状に折曲加工された板金部材である。軒樋2は、建物本体Hの軒先5に沿って延出し、軒先前面5aに取付けられた軒樋吊具6を介して吊下固定されている。竪樋3は、建物本体Hの外壁7に沿って上下方向に延出するパイプ部材であり、外壁7に取付けられた竪樋保持具8に嵌合されて保持される。なお、建物本体Hとは、建物の構成要素のうち、樋ユニット1以外のものを意味する。
【0017】
呼び樋4は、軒樋2の下方位置に位置し、軒樋2と竪樋3の上端部とを接続するパイプ部材である。呼び樋4は、図1に示すように、上下方向に幾分延出してから略直角に折れ曲がった後に、軒樋2と交差する方向に延出し、その後再び略直角に折れ曲がって、再度上下方向に延出している。また、呼び樋4は、その下端部が竪樋3の上端部に嵌合することにより、竪樋3に接続される。さらに、呼び樋4は、その上端部が軒樋2に形成された嵌合孔2aに嵌合することにより、軒樋2に接続される。
【0018】
具体的に説明すると、軒樋2には自在ドレン9が備えられており、自在ドレン9は上部(以下、自在ドレン上部9a)と下部(以下、自在ドレン下部9b)とに分割可能である。自在ドレン上部9aは、嵌合孔2aの周縁から立設して形成されており、自在ドレン下部9bは、自在ドレン上部9aの間で軒樋2の本体(軒樋2のうち、自在ドレン9を除いた部分)を挟んだ形態軒樋2に備えられている(図2参照)。
また、自在ドレン上部9a及び自在ドレン下部9bは、いずれも開口を有し、当該開口が上記の嵌合孔2aと重なるように軒樋2に取付けられる。かかる状態において、嵌合孔2aの内径は呼び樋4の外径よりも僅かに大きくなっている。このため、呼び樋4の上端部が自在ドレン下部9bから自在ドレン9内に挿入されると、当該上端部が嵌合孔2aに嵌合されるようになり、最終的に、呼び樋4が軒樋2に接続されることになる。
【0019】
以上のような構成の樋ユニット1の組立て作業は、樋ユニット1を含む建物の建設現場で行われる。特に本実施形態では、樋ユニット1の組立て作業のうち、竪樋3の取付け作業以外の作業が、その建物本体Hの内側(具体的には、建設途中の建物から見て室内側)から行われる。
【0020】
本実施形態に係る樋ユニット1の組立て作業は、先ず、軒先5に軒樋2を取付けるところから始まる。詳しく説明すると、軒先前面5aに予め軒樋吊具6が取付けられており、かかる状態において軒樋2を軒先5の前方位置にセットして、軒樋吊具6に軒樋2を吊り下げて固定する。なお、上述したように、以上の作業を建物本体Hの内側から行うことが可能である。つまり、図3に示すように、作業者は、室内から手を伸ばしながら軒樋2を軒先5の前方位置にセットして軒樋吊具6に吊下固定する。
【0021】
次に、竪樋3を建物本体Hの外壁7に立て掛けて、外壁7に予め取付けられている竪樋保持具8に竪樋3を嵌合させる。これにより、竪樋3が所定位置に保持されるようになる。なお、本実施形態では、竪樋3を取付ける段階で呼び樋4が既に竪樋3の上端部に接続されている。つまり、図4に示すように、竪樋3と呼び樋4とが一体化した状態で、竪樋3の取付け作業が行われる。
【0022】
竪樋3の取付け作業が終了した後には、呼び樋4を軒樋2に接続する作業が行われる。そして、本実施形態では、後述する呼び樋接続用治具10を用いて上記の接続作業を建物本体Hの内側から行う。つまり、竪樋3の取付け作業が終了した時点で呼び樋4は軒樋2の下方位置に位置するようになるが、かかる状態であっても、本実施形態の呼び樋接続用治具10を用いることにより、呼び樋4と軒樋2との接続作業を建物本体Hの内側から良好に行うことが可能になる。
【0023】
以上の手順により樋ユニット1の組立て作業が進められ、図5に示す状態に至った時点で当該組立て作業が完了する。
【0024】
<<本実施形態に係る呼び樋接続用治具10>>
次に、本実施形態に係る呼び樋接続用治具10について、図6〜図9を参照しながら説明する。図6は、呼び樋接続用治具10の外観図であり、呼び樋接続用治具10の側面図である。図7は、後述する支持台11の断面図であり、図6におけるA−A断面図である。図8は、後述する押さえ部14が軒樋2を押さえ付けている様子を示した図である。図9は、後述する貫通体19の外周面の拡大図である。
【0025】
呼び樋接続用治具10は、呼び樋4と軒樋2との接続作業を建物本体Hの内側から行う際に用いられる治具である。呼び樋接続用治具10は、図6に示すように略コの字状の外観形状を有し、主な構成要素として、接続作業中に呼び樋4を支持する支持台11と、支持台11が固定された支持台固定部12と、支持台11と対向する対向部13と、接続作業中に軒樋2を上方から押さえ付ける押さえ部14と、ユーザ(以下、作業者とも言う)に操作されるレバー15と、上下方向における押さえ部14と支持台11との間の距離を縮める距離調整機構16と、を有する。
【0026】
支持台11は、呼び樋接続用治具10の下側に位置し、建物本体Hに取付け済みの軒樋2の下方位置で呼び樋4を支持するものである。支持台11には、図7に示すように、正面視で略U字状に折曲加工されたアルミ製の鋼板11aと、鋼板11aの上端面を覆うように設けられたウレタン製の緩衝材11bとが備えられている。支持台11の開口幅(支持台11の側片部11c間の距離)は、呼び樋4の外径よりも幾分短くなっている。そして、呼び樋4は、支持台11上に載置される際に開口幅を押し広げ、支持台11の側片部11cに狭持された状態で支持台11に支持されることになる。なお、本実施形態における支持台11の長さは、約265mmである。
【0027】
支持台固定部12は、その上端面に支持台11が固定されたアルミ製の角鋼材である。支持台固定部12は、支持台11よりも幾分長くなっており、本実施形態における長さは約300mmである。対向部13は、支持台固定部12と略平行になるように延出し、上下方向において支持台11と対向しているアルミ製の角鋼材である。上記の対向部13と支持台固定部12とは、対向部13と支持台固定部12の双方に交差(略直交)する連結部17によって連結されている。
【0028】
より詳しく説明すると、連結部17は、アルミ製の角鋼材であり、対向部13の長手方向一端部と支持台固定部12の長手方向一端部とを連結している。支持固定部12と対向部13と連結部17とは、溶接にて接合されているため、一体化されている。なお、本実施形態において、対向部13は、支持台固定部12よりも幾分短くなっている。このため、図6に示すように、支持台固定部12の長手方向他端(連結部17に固定されている側とは反対側の端)は、対向部13の長手方向他端よりも外側に位置している。また、本実施形態における連結部17の長さ(換言すると、対向部13の上端面から支持台固定部12の下端面までの距離)は、約482mmである。
【0029】
押さえ部14は、呼び樋4の上端部が軒樋2に形成された嵌合孔2aに臨んだ状態にある際に、軒樋2を上方から押さえ付けるものである。本実施形態に係る呼び樋接続用治具10では、押さえ部14が略円筒型の枠体となっている。そして、本実施形態において押さえ部14は、呼び樋4の上端部が嵌合孔2aに嵌合する際に、自在ドレン上部9aを包囲しつつ、軒樋2のうち、嵌合孔2aの周縁部分を上方から押さえ付ける(図8参照)。
【0030】
レバー15は、作業者に操作される被操作部の一例であり、対向部13の長手方向他端部(連結部17に固定されている側とは反対側の端部)に取付けられている。このレバー15は、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けている間に作業者に操作されることにより、後述する距離調整機構16を駆動して、当該距離調整機構16に、上下方向における押さえ部14と支持台11との間の距離を縮めさせる。
【0031】
本実施形態において、レバー15は、固定部15aと可動部15bとを備えており、可動部15bは、不図示の回動軸を中心にして回動可能である。この可動部15bの回動が距離調整機構16に伝達される結果、当該距離調整機構16が駆動されることになる。そして、作業者が被操作レバー15を握持すると、可動部15bが固定部15aに近づくように(すなわち、図6中、矢印に示す方向に)回動する。一方、レバー15が握持状態から解放されると、可動部15bは不図示の付勢部材に付勢されて元の位置(レバー15が握持される前の位置)まで戻る。なお、図6に示すように、本実施形態では、固定部15aの端部に落下防止用の紐18が取付けられている。
【0032】
距離調整機構16は、作業者による上記レバー15の握持操作を利用して、上下方向における押さえ部14と支持台11との間の距離を縮めるためのものである。距離調整機構16は、対向部13を貫通している貫通体19を有している。この貫通体19は、上端部19aが鉤状に折れ曲がった丸鋼であり、図6に示すように、その下端に押さえ部14を備えている。また、貫通体19は、その中心軸周りに回動自在であり、かつ、上下方向に沿って移動可能に支持されている。なお、貫通体19は、上下方向に沿って移動する際、対向部13や支持台固定部12および支持台11に対して上下方向に沿って相対移動することになる。
【0033】
さらに、図9に示すように、貫通体19の外周面は、ギア20が形成されたギア形成面19aと、ギア20が形成されていない平滑面19bとを有する。さらに、距離調整機構16は、貫通体19を下降させる不図示の下降装置を有する。この下降装置は、レバー15と貫通体19との間に介在し、レバー15の握持操作(換言すると、可動部15bの回動動作)を貫通体19に伝達して貫通体19を下降させる。また、上記の下降装置は、貫通体19の外周面の一部と対向しており、ギア形成面19aと対向している状態では、ギア20と係合して貫通体19の上下動を規制すると共に、レバー15の握持操作を受け付けて貫通体19を下降させる。一方、上記の下降装置が平滑面19bと対向している状態では、貫通体19は何ら規制されず、例えば作業者が貫通体19を自由に上下動させることができるようになる。
【0034】
以上の構成を有する距離調整機構16の動作について説明すると、貫通体19の先端部19cがレバー15側(図6にて示す先端部19cの向きとは反対側)を向いた状態にあるとき、上記の下降装置は、貫通体19の外周面のうち、平滑面19bと対向し、貫通体19は何らの規制を受けずに上下動することが可能である。
【0035】
一方、貫通体19の先端部19cがレバー15とは反対側(図6にて示す先端部19c示す向きと同じ側)を向いた状態にあるとき、上記の下降装置は、貫通体19の外周面のうち、ギア形成面19aと対向し、ギア20と係合して貫通体19の上下動を規制するようになる。さらに、かかる状態において作業者がレバー15を握持すると、下降装置は、その握持操作を貫通体19に伝達して該貫通体19を下降させる。より具体的に説明すると、下降装置は、1回の握持操作にあたり、ギア形成面19aに形成されたギア20のギアピッチ分だけ貫通体19を下降させる。
【0036】
以上のように、距離調整機構16は、レバー15が操作されることにより、貫通体19を対向部13に対して上下方向に沿って相対移動させることが可能である。そして、対向部13に対する貫通体19の相対移動により、押さえ部14と支持台11との間の距離が縮まるようになる。
【0037】
以上までに説明してきた構成を有する呼び樋接続用治具10を用いることにより、呼び樋4と軒樋2との接続作業を建物本体Hの内側から行う場合であっても、良好に呼び樋4を軒樋2に接続することが可能になる。以下、呼び樋接続用治具10を用いた呼び樋接続方法について説明する。
【0038】
<<本実施形態に係る呼び樋接続方法>>
本実施形態に係る呼び樋接続方法について、図10〜図14を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係る呼び樋接続方法の流れを示す図である。図11〜図14は、呼び樋4と軒樋2との接続作業に関する進行状況を示した図であり、図中、矢印にて上下方向が示されている。
【0039】
本実施形態に係る呼び樋接続方法を採用して上記の接続作業を開始する段階では、既に、軒樋2と竪樋3とが、それぞれ建物本体Hの所定位置に取付けられている。換言すると、本実施形態に係る呼び樋接続方法は、建物本体Hに取付け済みの軒樋2に呼び樋4を接続する場合の方法である。なお、前述したように、竪樋3が所定位置に取付けられた段階では、呼び樋4は、竪樋3の上端部に接続され、かつ、軒樋2の下方位置に配置されている状態にある。
【0040】
上記の状態にある際、すなわち、軒樋2の下方位置に呼び樋4が配置されている際に、本実施形態の呼び樋接続用治具10を用意して所定位置にセットする(S001)。この工程S001は、呼び樋接続用治具10に備えられた支持台11に呼び樋4を支持させる工程である。具体的に説明すると、先ず、支持台11が呼び樋4の下方位置に位置するように、呼び樋接続用治具10をセットする。この際、軒樋4と軒先前面5aとの隙間から呼び樋4の位置を確認しながら、呼び樋4と呼び樋接続用治具10との位置関係が図11に示す関係(すなわち、支持台11が呼び樋4の真下に位置するような位置関係)になるように呼び樋接続用治具10の位置を調整する。
【0041】
なお、呼び樋接続用治具10の位置を調整する際には、図11に示すように、貫通体19の先端部19cをレバー15側に向けておき(すなわち、前述した下降装置を貫通体19の平滑面19bに対向させておき)、貫通体19が何らの規制を受けずに上下動できるような状態にしておく。さらに、このとき、作業者は、貫通体19をその上死点位置まで上昇させ、当該位置で貫通体19を保持しておく。
【0042】
呼び樋接続用治具10を所定位置にセットして呼び樋4を支持台11に支持させた後には、支持台11に呼び樋4が支持された状態の呼び樋接続用治具10の位置を、改めて調整する(S002)。かかる再調整は、呼び樋4の上端部が軒樋2に形成された嵌合孔2aに臨むように行われる。また、この調整と併せて、呼び樋接続用治具10に備えられた押さえ部14が軒樋2の嵌合孔2aの直上位置に位置するように、呼び樋接続用治具10の姿勢が調整される。
【0043】
そして、呼び樋4の上端部が嵌合孔2aに臨み、かつ、押さえ部14が嵌合孔2aの直上位置に位置するようになったところで、図12に示すように、それまで上死点位置で保持されていた押さえ部14を解放し、当該押さえ部14にて軒樋2(具体的には、嵌合孔2aの周縁部分)を上方から押さえ付けられる位置まで下降させる(S003)。この工程S003は、呼び樋4の上端部が嵌合孔2aに臨んだ状態にある際に、押さえ部14にて軒樋2を上方から押さえ付ける工程である。さらに、上記状態にある際に、貫通体19の先端部19cをレバー15側とは反対側に向ける(すなわち、前述の下降装置を貫通体19のギア形成面19aに対向させる)。したがって、本工程S003以降の工程は、貫通体19の上下動が規制された状態で行われることになる。
【0044】
なお、貫通体19の先端部19cの向きを切り替えるにあたり、呼び樋接続用治具10の上下方向における高さを調整しておくのが望ましい。これは、以降の工程において作業者がレバー15を握持するため、レバー15が建設資材と干渉しないような高さに呼び樋接続用治具10を位置させる必要があるためである。
【0045】
その後、押さえ部14が軒樋2を上方から押さえ付けている間に、レバー15を操作して、押さえ部14の支持台11に対する相対位置を変化させる(S004)。この工程S004は、押さえ部14が支持台11に近づくように上下方向に沿って貫通体19を対向部13に対して相対移動させて、押さえ部14と支持台11との間の距離(図13中、記号dにて示す)を縮めさせる工程である。この工程S004により、呼び樋4の上端部が、徐々に嵌合孔2aに嵌合していくようになる。
【0046】
以下、本工程S004についてより詳しく説明する。本工程S004は、前述したように、距離調整機構16の下降装置が貫通体19のギア形成面19aに対向している状態で行われる。そして、かかる状態において作業者がレバー15の握持操作を行うと、距離調整機構16が当該握持操作を利用して押さえ部14を下降させようとする。
【0047】
一方、押さえ部14は、軒樋2を押さえ付けている状態にあるため、その位置より更に下降することができない。このため、距離調整機構16は、押さえ部14を含む貫通体19を下降させる代わりに、貫通体19を除く部分(すなわち、支持台11、支持固定部12、対向部13、連結部17及びレバー15)を上昇させる。換言すると、図15A及び図15Bとの対比から分かるように、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けたままの状態でレバー15が握持操作されることにより、距離調整機構16は、一体化された支持固定部12と対向部13と連結部17とが押さえ部14に対して相対的に上昇するように、貫通体19を対向部13に対して上下方向に沿って相対移動させて距離dを縮める。図15A及び図15Bは、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けたままの状態でレバー15が握持操作された場合の呼び樋接続用治具10各部の位置関係を示した図であり、図15Aが握持操作前の状態を示し、図15Bが握持操作後の状態を示す。
【0048】
以上のような機序により、本工程S004においてレバー15の握持操作が行われる都度、距離dが縮まっていく。これにより、軒樋2と呼び樋4との間隔が狭まり、呼び樋4の上端部が、先ず、自在ドレン下部9b側から自在ドレン9内に挿入されていく。そして、レバー15の握持操作が繰り返されると、最終的に呼び樋4の上端部が嵌合孔2aに嵌合していき、かかる時点で、呼び樋4が軒樋2に接続されたことになる(図14参照)。その後、呼び樋接続用治具10が取り外された時点で、呼び樋4と軒樋2との接続作業が終了する。
【0049】
上述した一連の工程により、本実施形態に係る呼び樋接続方法が実現される。そして、本実施形態においては、上述した各工程S001〜S004がいずれも建物本体Hの内側から実行される。
【0050】
<<本実施形態に係る呼び樋接続用治具10の有効性について>>
以上までに説明してきたように、本実施形態に係る呼び樋接続用治具10は、建物本体Hに取付け済みの軒樋2の下方位置で呼び樋4を支持する支持台11と、呼び樋4の上端部が軒樋2に形成された嵌合孔2aに臨んだ状態にある際に軒樋2を上方から押さえ付ける押さえ部14と、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けている間にユーザに操作されるレバー15と、レバー15が操作されることにより上下方向における押さえ部14と支持台11との間の距離dを縮める距離調整機構16と、を有する。
かかる構成により、建物本体Hに軒樋2が取付けられた後に呼び樋4と軒樋2との接続作業を建物本体Hの内側から行う場合や、軒の出(張出長さ)が長い建物本体Hの屋上で上記接続作業を行う場合であっても、良好に呼び樋4を軒樋2に接続することが可能になる。
【0051】
すなわち、発明が解決しようとする課題の項で説明したように、呼び樋4は軒樋2の下方に位置するため、建物本体Hに軒樋2が取付けられた後で建物本体Hの内側から呼び樋4と軒樋2との接続作業を行うことは難しい。特に、軒の出(張出長さ)が長い場合の接続作業はより困難となる。一方で、建物本体Hの外側で上記の接続作業を行う場合には、作業自体の困難性は解消されるものの、例えば、住宅密集地等のように隣接する建物が近接しており建物本体Hの外側に作業スペースを確保し難い環境では、作業を行い難くなってしまう。この結果、呼び樋4が軒樋2に適切に接続されず、建物の施工品質の低下を招く虞がある。
【0052】
これに対し、本実施形態の呼び樋接続用治具10、及び、これを用いた呼び樋接続方法によれば、呼び樋4の上端部が軒樋2の嵌合孔2aに臨んだ状態で呼び樋4を支持しておくことが可能である。そして、かかる状態の下でレバー15が操作されることにより、軒樋2を押さえ付けている押さえ部14と呼び樋4を支持している支持台11との間の距離dが縮まっていく。この結果、呼び樋4の上端部が軒樋2の嵌合孔2aに徐々に嵌合していき、最終的に呼び樋4が軒樋2に接続されるようになる。
【0053】
以上のような構成の呼び樋接続用治具10であれば、レバー15を建物本体Hの内側から操作可能な構造にしておくことにより、軒樋2の取付け後に、呼び樋4と軒樋2との接続作業を建物本体Hの内側、あるいは、軒の出(張出長さ)が長い建物本体Hの屋上で行う場合であっても、良好に当該接続作業を実施することができる。
【0054】
また、上記の実施形態では、呼び樋接続用治具10が、上下方向において支持台11と対向する対向部13を更に有し、距離調整機構16が、対向部13を貫通している貫通体19を有し、貫通体19は、下端に押さえ部14を備え、上下方向に沿って対向部13に対して相対移動可能であることとした。そして、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けたままの状態でレバー15が握持操作されることにより、距離調整機構16は、押さえ部14が支持台11に近づくように貫通体19を上下方向に沿って対向部13に対して相対移動させて、距離dを縮めることとした。このような構成であれば、比較的簡易な構成により距離dを縮めて、呼び樋4を軒樋2に接続させることが可能になる。
ただし、上記の構成に限定されるものではなく、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けた状態でユーザの操作を受け付けることによって距離dを縮めることができる構成であれば、制限なく利用可能である。
【0055】
また、上記の実施形態では、支持台11が固定された支持台固定部12と、対向部13と、対向部13と支持台固定部12の双方に交差し当該双方を連結する連結部17とが一体化されていることとした。そして、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けたままの状態でレバー15が操作されることにより、距離調整機構16は、一体化された支持固定部12と対向部13と連結部17とが押さえ部14に対して相対的に上昇するように、貫通体19を上下方向に沿って対向部13に対して相対移動させて、距離dを縮めることとした。このような構成であれば、貫通体19の相対移動によって距離dを確実に縮めることが可能になる。
ただし、上記の構成に限定されるものではなく、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けたままの状態でレバー15が操作されたときに、少なくとも支持固定部12が押さえ部14に対して相対的に上昇するような構成であればよい。
【0056】
また、上記の実施形態では、対向部13の長手方向一端部と支持台固定部12の長手方向一端部とが連結部17によって連結され、レバー15は、対向部13の長手方向他端部に取付けられていることとした。このような構成であれば、呼び樋4を軒樋2の下方位置で支持しながらも、距離dを縮めるための操作を建物本体Hの内側から良好に行うことが可能になる。つまり、レバー15の操作位置と呼び樋4の支持位置との位置関係を考慮すると、本実施形態に係る呼び樋接続用治具10の形状は、簡単ながらも好適なものと言える。
ただし、上記の構成に限定されるものではなく、呼び樋4を軒樋2の下方位置で支持でき、かつ、レバー15の操作を建物本体Hの内側から行うことができる限りは、呼び樋接続用治具10は如何なる形状であってもよい。
【0057】
また、上記の実施形態では、軒樋2に自在ドレン9が設けられ、その上部(自在ドレン上部9a)は嵌合孔2aの周縁から立設して形成されていることとした。一方、呼び樋接続用治具10の押さえ部14は、円筒状の枠体であり、呼び樋4を嵌合孔2aに嵌合させている間には自在ドレン上部9aを包囲しつつ軒樋2(具体的には嵌合孔2aの周縁部分)を押さえ付けることとした。このような構成であれば、呼び樋4を軒樋2に接続する際に、押さえ部14が自在ドレン9と干渉するのを回避することができる。また、呼び樋4の上端部を嵌合孔2aに嵌合させる際に、押さえ部14が嵌合孔2a周辺を確実に押さえ付けるようになる結果、接続作業がスムーズに行われるようになる。
ただし、上記の構成に限定されるものではなく、例えば、軒樋2に自在ドレン9が設けられていなくてもよく、あるいは、押さえ部14が嵌合孔2aから離れた部位を押さえ付けることとしてもよい。
【0058】
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態には、主として本発明の呼び樋接続用治具、及び、当該治具を用いた呼び樋接続方法について説明した。しかし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した材質や形状等は本発明の効果を発揮させるための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0059】
また、上記の実施形態では、呼び樋4の上端部を軒樋2に形成された嵌合孔2aに嵌合させることによって軒樋2に接続される呼び樋4について説明した。つまり、呼び樋4を軒樋2に接続させる上で呼び樋4の上端部を嵌合孔2aに嵌合させればよく、接着剤の塗布等を要しない構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、呼び樋4を軒樋2に接続させるために、呼び樋4の上端部を嵌合孔2aに嵌合させた上で更に接着剤の塗布を要する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 樋ユニット、2 軒樋、2a 嵌合孔、3 竪樋、4 呼び樋、
5 軒先、5a 軒先前面、 6 軒樋吊具、7 外壁、8 竪樋保持具、
9 自在ドレン、9a 自在ドレン上部、9b 自在ドレン下部、
10 呼び樋接続用治具、11 支持台、
11a 鋼板、11b 緩衝材、11c 側片部、12 支持台固定部、
13 対向部、14 押さえ部、15 レバー、15a 固定部、15b 可動部、
16 距離調整機構、17 連結部、18 紐、19 貫通体、19a ギア形成面、
19b 平滑面、19c 先端部、20 ギア、H 建物本体
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼び樋を軒樋に接続するための呼び樋接続用治具及び呼び樋接続方法に係り、特に、建物本体に取付け済みの軒樋に呼び樋を接続するための呼び樋接続用治具及び呼び樋接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物本体に設置される樋として軒樋、竪樋、呼び樋はよく知られている。これらの樋の設置手順としては、建物本体の軒先に軒樋を取付け、建物本体の外壁に沿わせて竪樋を取付けた後に、竪樋に予め取付けられていた呼び樋を軒樋に接続させるという手順が考えられる(例えば、特許文献1)。上記手順は、例えば、建設現場での作業量を減らす目的から、軒樋を含む軒先周りの建材が適宜ユニット化された状態で工場から出荷されるケースで採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−307036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、呼び樋は軒樋の下方に位置するため、建物本体に軒樋が取付けられた後で建物本体の内側(室内側)から呼び樋と軒樋との接続作業を行うことは難しく、軒の出(張出長さ)が長い場合には特に困難となる。一方、建物本体の外側(室外側)から呼び樋と軒樋との接続作業を行う場合、住宅密集地等のように隣接する建物が近接しており建物本体の外側に作業スペースを確保し難い環境では上記の接続作業が難航することがある。
【0005】
以上のように、建物本体に軒樋が取付けられた後で呼び樋と軒樋との接続作業を行う場合には、呼び樋が軒樋に適切に接続されないこともあり、結果として、建物の施工品質の低下につながってしまうことになる。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、建物本体に軒樋が取付けられた後に呼び樋と軒樋との接続作業を建物本体の内側から行う場合において、呼び樋を軒樋に適切に接続することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の呼び樋接続用治具によれば、(A)建物本体に取付け済みの軒樋の下方位置で、該軒樋に接続される呼び樋を支持する支持台と、(B)前記呼び樋の上端部が前記軒樋に形成された嵌合孔に臨んだ状態にある際に、前記軒樋を上方から押さえ付ける押さえ部と、(C)上下方向における前記押さえ部と前記支持台との間の距離を縮めるための距離調整機構と、(D)前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間にユーザに操作されることにより、前記距離調整機構を駆動して前記距離調整機構に前記距離を縮めさせる被操作部と、を有することにより解決される。
本発明の呼び樋接続用治具を用いれば、呼び樋の上端部が軒樋に形成された嵌合孔に臨んだ状態で呼び樋を支持しておくことが可能である。そして、かかる状態の下で被操作部を操作すると、軒樋を上方から押さえ付けている押さえ部と、呼び樋を支持している支持台と、の距離が縮まっていく。すなわち、軒樋と呼び樋との間隔が狭くなり、当該間隔が狭くなっていく分、呼び樋の上端部が軒樋の嵌合孔に嵌合されていき、最終的に呼び樋が軒樋に接続されるようになる。この結果、建物本体に軒樋が取付けられた後に呼び樋と軒樋との接続作業を建物本体の内側から行う場合や、軒の出(張出長さ)が長い建物本体の屋上で上記の接続作業を行う場合であっても、良好に呼び樋を軒樋に接続することが可能になる。
【0008】
また、上記の呼び樋接続用治具において、上下方向において前記支持台と対向する対向部を更に有し、前記距離調整機構は、下端に前記押さえ部が備えられ、かつ、前記対向部に対して上下方向に沿って相対移動可能な、前記対向部を貫通している貫通体を有し、前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間に前記被操作部がユーザに操作されることにより、前記押さえ部が前記支持台に近づくように、前記貫通体を前記対向部に対して上下方向に沿って相対移動させて前記距離を縮めることとしてもよい。
かかる構成の治具であれば、比較的簡易な構成により、軒樋と呼び樋との間隔を狭めて呼び樋の上端部を軒樋の嵌合孔に嵌合させること、すなわち、軒樋と呼び樋とを接続させることが可能になる。
【0009】
また、上記の呼び樋接続用治具において、上端面に前記支持台が固定された支持台固定部と、前記対向部と前記支持台固定部の双方に交差し、当該双方を連結する連結部とを有し、前記支持固定部と前記対向部と前記連結部とが一体化されており、前記距離調整機構は、前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間に前記被操作部がユーザに操作されることにより、一体化された前記支持固定部と前記対向部と前記連結部とが前記押さえ部に対して相対的に上昇するように、前記貫通体を前記対向部に対して上下方向に沿って相対移動させて前記距離を縮めることとしてもよい。
かかる場合、貫通体の相対移動により、押さえ部と支持台との間の距離を確実に縮めることが可能になる。
【0010】
また、上記の呼び樋接続用治具において、前記連結部は、前記対向部の一端部と前記支持台固定部の一端部とを連結し、前記被操作部は、前記対向部の他端部に取付けられたレバーであることとしてもよい。
かかる構成の治具であれば、呼び樋を軒樋の下方位置で支持しながら被操作部を操作すること(すなわち、軒樋と呼び樋との間隔を狭めるための操作)を、建物本体の内側から良好に行うことが可能になる。
【0011】
また、上記の呼び樋接続用治具において、前記軒樋には、自在ドレンが備えられており、前記自在ドレンの上部は、前記嵌合孔の周縁から立設して形成されており、前記押さえ部は、前記上端部が前記嵌合孔に嵌合する際に、前記自在ドレンの上部を包囲しつつ前記軒樋を上方から押さえ付ける枠体であることとしてもよい。
かかる構成の治具であれば、呼び樋を軒樋に接続する際に、押さえ部が自在ドレンと干渉するのを回避することができるため、接続作業がスムーズに行われるようになる。
【0012】
さらに、建物本体に取付け済みの軒樋に呼び樋を接続する呼び樋接続方法であって、(A)前記軒樋の下方位置に前記呼び樋が配置されている際に、前記呼び樋を支持する支持台と、前記軒樋を押さえ付ける押さえ部と、上下方向における前記押さえ部と前記支持台との間の距離を縮める距離調整機構と、ユーザに操作されることにより前記距離調整機構を駆動して前記距離調整機構に前記距離を縮めさせる被操作部と、を有する呼び樋接続用治具の前記支持台に前記呼び樋を支持させることと、(B)前記呼び樋の上端部が前記軒樋に形成された嵌合孔に臨むように、前記支持台に前記呼び樋が支持された状態の前記呼び樋接続用治具の位置を調整することと、(C)前記上端部が前記嵌合孔に臨んだ状態にある際に、前記押さえ部にて前記軒樋を上方から押さえ付けることと、(D)前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間に、前記被操作部を操作して前記距離調整機構に前記距離を縮めさせることにより、前記嵌合孔に前記上端部を嵌合させることと、を有する呼び樋接続方法も実現可能である。
かかる呼び樋接続方法であれば、呼び樋の上端部が軒樋の嵌合孔に臨んだ状態で呼び樋を支持しておくことが可能であり、かかる状態の下で被操作部を操作することによって、軒樋と呼び樋との間隔が狭くなっていき、最終的に呼び樋が軒樋に接続されるようになる。この結果、建物本体に軒樋が取付けられた後に呼び樋と軒樋との接続作業を建物本体の内側から行う場合や、軒の出(張出長さ)が長い建物本体の屋上で上記の接続作業を行う場合であっても、良好に呼び樋を軒樋に接続することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の呼び樋接続用治具によれば、呼び樋の上端部が軒樋の嵌合孔に臨んだ状態で呼び樋を支持しておくことが可能である。かかる状態で被操作部を操作すると、軒樋を上方から押さえ付けている押さえ部と呼び樋を支持している支持台との距離、すなわち、軒樋と呼び樋との間隔が縮まり、徐々に呼び樋の上端部が軒樋の嵌合孔に嵌合されていき、最終的に呼び樋が軒樋に接続されるようになる。このような機能により、建物本体に軒樋が取付けられた後に呼び樋と軒樋との接続作業を建物本体の内側から行う場合や、軒の出(張出長さ)が長い建物本体の屋上で上記の接続作業を行う場合であっても、良好に呼び樋を軒樋に接続することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】樋ユニット1の断面図である。
【図2】樋ユニット1の分解斜視図である。
【図3】樋ユニット1の組立て手順を示す概略図である(その1)。
【図4】樋ユニット1の組立て手順を示す概略図である(その2)。
【図5】樋ユニット1の組立て手順を示す概略図である(その3)。
【図6】呼び樋接続用治具10の外観図である。
【図7】支持台11の断面図である。
【図8】押さえ部14が軒樋2を押さえ付けている様子を示した図である。
【図9】貫通体19の外周面の拡大図である。
【図10】本実施形態に係る呼び樋接続方法の流れを示す図である。
【図11】呼び樋4と軒樋2との接続作業に関する進行状況を示した図である(その1)。
【図12】呼び樋4と軒樋2との接続作業に関する進行状況を示した図である(その2)。
【図13】呼び樋4と軒樋2との接続作業に関する進行状況を示した図である(その3)。
【図14】呼び樋4と軒樋2との接続作業に関する進行状況を示した図である(その4)。
【図15】図15A及び図15Bは、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けたままの状態でレバー15が握持操作された場合の呼び樋接続用治具10各部の位置関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<<本実施形態の樋ユニット1の構成と組立て手順>>
本実施形態に係る呼び樋接続方法を説明するにあたり、当該方法を用いて組み立てられる樋ユニット1に関して、その構成と組立て手順について図1〜図5を参照しながら概説する。図1は、樋ユニット1の断面図である。図2は、樋ユニット1の分解斜視図である。図3〜図5は、樋ユニット1の組立て手順を示す概略図である。なお、図3〜図5には、矢印にて上下方向が示されている。
【0016】
樋ユニット1は、図1に示すように、軒樋2、竪樋3、及び、呼び樋4とを有し、これらを組み立てることにより構成される。軒樋2は、側面視で略U字状に折曲加工された板金部材である。軒樋2は、建物本体Hの軒先5に沿って延出し、軒先前面5aに取付けられた軒樋吊具6を介して吊下固定されている。竪樋3は、建物本体Hの外壁7に沿って上下方向に延出するパイプ部材であり、外壁7に取付けられた竪樋保持具8に嵌合されて保持される。なお、建物本体Hとは、建物の構成要素のうち、樋ユニット1以外のものを意味する。
【0017】
呼び樋4は、軒樋2の下方位置に位置し、軒樋2と竪樋3の上端部とを接続するパイプ部材である。呼び樋4は、図1に示すように、上下方向に幾分延出してから略直角に折れ曲がった後に、軒樋2と交差する方向に延出し、その後再び略直角に折れ曲がって、再度上下方向に延出している。また、呼び樋4は、その下端部が竪樋3の上端部に嵌合することにより、竪樋3に接続される。さらに、呼び樋4は、その上端部が軒樋2に形成された嵌合孔2aに嵌合することにより、軒樋2に接続される。
【0018】
具体的に説明すると、軒樋2には自在ドレン9が備えられており、自在ドレン9は上部(以下、自在ドレン上部9a)と下部(以下、自在ドレン下部9b)とに分割可能である。自在ドレン上部9aは、嵌合孔2aの周縁から立設して形成されており、自在ドレン下部9bは、自在ドレン上部9aの間で軒樋2の本体(軒樋2のうち、自在ドレン9を除いた部分)を挟んだ形態軒樋2に備えられている(図2参照)。
また、自在ドレン上部9a及び自在ドレン下部9bは、いずれも開口を有し、当該開口が上記の嵌合孔2aと重なるように軒樋2に取付けられる。かかる状態において、嵌合孔2aの内径は呼び樋4の外径よりも僅かに大きくなっている。このため、呼び樋4の上端部が自在ドレン下部9bから自在ドレン9内に挿入されると、当該上端部が嵌合孔2aに嵌合されるようになり、最終的に、呼び樋4が軒樋2に接続されることになる。
【0019】
以上のような構成の樋ユニット1の組立て作業は、樋ユニット1を含む建物の建設現場で行われる。特に本実施形態では、樋ユニット1の組立て作業のうち、竪樋3の取付け作業以外の作業が、その建物本体Hの内側(具体的には、建設途中の建物から見て室内側)から行われる。
【0020】
本実施形態に係る樋ユニット1の組立て作業は、先ず、軒先5に軒樋2を取付けるところから始まる。詳しく説明すると、軒先前面5aに予め軒樋吊具6が取付けられており、かかる状態において軒樋2を軒先5の前方位置にセットして、軒樋吊具6に軒樋2を吊り下げて固定する。なお、上述したように、以上の作業を建物本体Hの内側から行うことが可能である。つまり、図3に示すように、作業者は、室内から手を伸ばしながら軒樋2を軒先5の前方位置にセットして軒樋吊具6に吊下固定する。
【0021】
次に、竪樋3を建物本体Hの外壁7に立て掛けて、外壁7に予め取付けられている竪樋保持具8に竪樋3を嵌合させる。これにより、竪樋3が所定位置に保持されるようになる。なお、本実施形態では、竪樋3を取付ける段階で呼び樋4が既に竪樋3の上端部に接続されている。つまり、図4に示すように、竪樋3と呼び樋4とが一体化した状態で、竪樋3の取付け作業が行われる。
【0022】
竪樋3の取付け作業が終了した後には、呼び樋4を軒樋2に接続する作業が行われる。そして、本実施形態では、後述する呼び樋接続用治具10を用いて上記の接続作業を建物本体Hの内側から行う。つまり、竪樋3の取付け作業が終了した時点で呼び樋4は軒樋2の下方位置に位置するようになるが、かかる状態であっても、本実施形態の呼び樋接続用治具10を用いることにより、呼び樋4と軒樋2との接続作業を建物本体Hの内側から良好に行うことが可能になる。
【0023】
以上の手順により樋ユニット1の組立て作業が進められ、図5に示す状態に至った時点で当該組立て作業が完了する。
【0024】
<<本実施形態に係る呼び樋接続用治具10>>
次に、本実施形態に係る呼び樋接続用治具10について、図6〜図9を参照しながら説明する。図6は、呼び樋接続用治具10の外観図であり、呼び樋接続用治具10の側面図である。図7は、後述する支持台11の断面図であり、図6におけるA−A断面図である。図8は、後述する押さえ部14が軒樋2を押さえ付けている様子を示した図である。図9は、後述する貫通体19の外周面の拡大図である。
【0025】
呼び樋接続用治具10は、呼び樋4と軒樋2との接続作業を建物本体Hの内側から行う際に用いられる治具である。呼び樋接続用治具10は、図6に示すように略コの字状の外観形状を有し、主な構成要素として、接続作業中に呼び樋4を支持する支持台11と、支持台11が固定された支持台固定部12と、支持台11と対向する対向部13と、接続作業中に軒樋2を上方から押さえ付ける押さえ部14と、ユーザ(以下、作業者とも言う)に操作されるレバー15と、上下方向における押さえ部14と支持台11との間の距離を縮める距離調整機構16と、を有する。
【0026】
支持台11は、呼び樋接続用治具10の下側に位置し、建物本体Hに取付け済みの軒樋2の下方位置で呼び樋4を支持するものである。支持台11には、図7に示すように、正面視で略U字状に折曲加工されたアルミ製の鋼板11aと、鋼板11aの上端面を覆うように設けられたウレタン製の緩衝材11bとが備えられている。支持台11の開口幅(支持台11の側片部11c間の距離)は、呼び樋4の外径よりも幾分短くなっている。そして、呼び樋4は、支持台11上に載置される際に開口幅を押し広げ、支持台11の側片部11cに狭持された状態で支持台11に支持されることになる。なお、本実施形態における支持台11の長さは、約265mmである。
【0027】
支持台固定部12は、その上端面に支持台11が固定されたアルミ製の角鋼材である。支持台固定部12は、支持台11よりも幾分長くなっており、本実施形態における長さは約300mmである。対向部13は、支持台固定部12と略平行になるように延出し、上下方向において支持台11と対向しているアルミ製の角鋼材である。上記の対向部13と支持台固定部12とは、対向部13と支持台固定部12の双方に交差(略直交)する連結部17によって連結されている。
【0028】
より詳しく説明すると、連結部17は、アルミ製の角鋼材であり、対向部13の長手方向一端部と支持台固定部12の長手方向一端部とを連結している。支持固定部12と対向部13と連結部17とは、溶接にて接合されているため、一体化されている。なお、本実施形態において、対向部13は、支持台固定部12よりも幾分短くなっている。このため、図6に示すように、支持台固定部12の長手方向他端(連結部17に固定されている側とは反対側の端)は、対向部13の長手方向他端よりも外側に位置している。また、本実施形態における連結部17の長さ(換言すると、対向部13の上端面から支持台固定部12の下端面までの距離)は、約482mmである。
【0029】
押さえ部14は、呼び樋4の上端部が軒樋2に形成された嵌合孔2aに臨んだ状態にある際に、軒樋2を上方から押さえ付けるものである。本実施形態に係る呼び樋接続用治具10では、押さえ部14が略円筒型の枠体となっている。そして、本実施形態において押さえ部14は、呼び樋4の上端部が嵌合孔2aに嵌合する際に、自在ドレン上部9aを包囲しつつ、軒樋2のうち、嵌合孔2aの周縁部分を上方から押さえ付ける(図8参照)。
【0030】
レバー15は、作業者に操作される被操作部の一例であり、対向部13の長手方向他端部(連結部17に固定されている側とは反対側の端部)に取付けられている。このレバー15は、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けている間に作業者に操作されることにより、後述する距離調整機構16を駆動して、当該距離調整機構16に、上下方向における押さえ部14と支持台11との間の距離を縮めさせる。
【0031】
本実施形態において、レバー15は、固定部15aと可動部15bとを備えており、可動部15bは、不図示の回動軸を中心にして回動可能である。この可動部15bの回動が距離調整機構16に伝達される結果、当該距離調整機構16が駆動されることになる。そして、作業者が被操作レバー15を握持すると、可動部15bが固定部15aに近づくように(すなわち、図6中、矢印に示す方向に)回動する。一方、レバー15が握持状態から解放されると、可動部15bは不図示の付勢部材に付勢されて元の位置(レバー15が握持される前の位置)まで戻る。なお、図6に示すように、本実施形態では、固定部15aの端部に落下防止用の紐18が取付けられている。
【0032】
距離調整機構16は、作業者による上記レバー15の握持操作を利用して、上下方向における押さえ部14と支持台11との間の距離を縮めるためのものである。距離調整機構16は、対向部13を貫通している貫通体19を有している。この貫通体19は、上端部19aが鉤状に折れ曲がった丸鋼であり、図6に示すように、その下端に押さえ部14を備えている。また、貫通体19は、その中心軸周りに回動自在であり、かつ、上下方向に沿って移動可能に支持されている。なお、貫通体19は、上下方向に沿って移動する際、対向部13や支持台固定部12および支持台11に対して上下方向に沿って相対移動することになる。
【0033】
さらに、図9に示すように、貫通体19の外周面は、ギア20が形成されたギア形成面19aと、ギア20が形成されていない平滑面19bとを有する。さらに、距離調整機構16は、貫通体19を下降させる不図示の下降装置を有する。この下降装置は、レバー15と貫通体19との間に介在し、レバー15の握持操作(換言すると、可動部15bの回動動作)を貫通体19に伝達して貫通体19を下降させる。また、上記の下降装置は、貫通体19の外周面の一部と対向しており、ギア形成面19aと対向している状態では、ギア20と係合して貫通体19の上下動を規制すると共に、レバー15の握持操作を受け付けて貫通体19を下降させる。一方、上記の下降装置が平滑面19bと対向している状態では、貫通体19は何ら規制されず、例えば作業者が貫通体19を自由に上下動させることができるようになる。
【0034】
以上の構成を有する距離調整機構16の動作について説明すると、貫通体19の先端部19cがレバー15側(図6にて示す先端部19cの向きとは反対側)を向いた状態にあるとき、上記の下降装置は、貫通体19の外周面のうち、平滑面19bと対向し、貫通体19は何らの規制を受けずに上下動することが可能である。
【0035】
一方、貫通体19の先端部19cがレバー15とは反対側(図6にて示す先端部19c示す向きと同じ側)を向いた状態にあるとき、上記の下降装置は、貫通体19の外周面のうち、ギア形成面19aと対向し、ギア20と係合して貫通体19の上下動を規制するようになる。さらに、かかる状態において作業者がレバー15を握持すると、下降装置は、その握持操作を貫通体19に伝達して該貫通体19を下降させる。より具体的に説明すると、下降装置は、1回の握持操作にあたり、ギア形成面19aに形成されたギア20のギアピッチ分だけ貫通体19を下降させる。
【0036】
以上のように、距離調整機構16は、レバー15が操作されることにより、貫通体19を対向部13に対して上下方向に沿って相対移動させることが可能である。そして、対向部13に対する貫通体19の相対移動により、押さえ部14と支持台11との間の距離が縮まるようになる。
【0037】
以上までに説明してきた構成を有する呼び樋接続用治具10を用いることにより、呼び樋4と軒樋2との接続作業を建物本体Hの内側から行う場合であっても、良好に呼び樋4を軒樋2に接続することが可能になる。以下、呼び樋接続用治具10を用いた呼び樋接続方法について説明する。
【0038】
<<本実施形態に係る呼び樋接続方法>>
本実施形態に係る呼び樋接続方法について、図10〜図14を参照しながら説明する。図10は、本実施形態に係る呼び樋接続方法の流れを示す図である。図11〜図14は、呼び樋4と軒樋2との接続作業に関する進行状況を示した図であり、図中、矢印にて上下方向が示されている。
【0039】
本実施形態に係る呼び樋接続方法を採用して上記の接続作業を開始する段階では、既に、軒樋2と竪樋3とが、それぞれ建物本体Hの所定位置に取付けられている。換言すると、本実施形態に係る呼び樋接続方法は、建物本体Hに取付け済みの軒樋2に呼び樋4を接続する場合の方法である。なお、前述したように、竪樋3が所定位置に取付けられた段階では、呼び樋4は、竪樋3の上端部に接続され、かつ、軒樋2の下方位置に配置されている状態にある。
【0040】
上記の状態にある際、すなわち、軒樋2の下方位置に呼び樋4が配置されている際に、本実施形態の呼び樋接続用治具10を用意して所定位置にセットする(S001)。この工程S001は、呼び樋接続用治具10に備えられた支持台11に呼び樋4を支持させる工程である。具体的に説明すると、先ず、支持台11が呼び樋4の下方位置に位置するように、呼び樋接続用治具10をセットする。この際、軒樋4と軒先前面5aとの隙間から呼び樋4の位置を確認しながら、呼び樋4と呼び樋接続用治具10との位置関係が図11に示す関係(すなわち、支持台11が呼び樋4の真下に位置するような位置関係)になるように呼び樋接続用治具10の位置を調整する。
【0041】
なお、呼び樋接続用治具10の位置を調整する際には、図11に示すように、貫通体19の先端部19cをレバー15側に向けておき(すなわち、前述した下降装置を貫通体19の平滑面19bに対向させておき)、貫通体19が何らの規制を受けずに上下動できるような状態にしておく。さらに、このとき、作業者は、貫通体19をその上死点位置まで上昇させ、当該位置で貫通体19を保持しておく。
【0042】
呼び樋接続用治具10を所定位置にセットして呼び樋4を支持台11に支持させた後には、支持台11に呼び樋4が支持された状態の呼び樋接続用治具10の位置を、改めて調整する(S002)。かかる再調整は、呼び樋4の上端部が軒樋2に形成された嵌合孔2aに臨むように行われる。また、この調整と併せて、呼び樋接続用治具10に備えられた押さえ部14が軒樋2の嵌合孔2aの直上位置に位置するように、呼び樋接続用治具10の姿勢が調整される。
【0043】
そして、呼び樋4の上端部が嵌合孔2aに臨み、かつ、押さえ部14が嵌合孔2aの直上位置に位置するようになったところで、図12に示すように、それまで上死点位置で保持されていた押さえ部14を解放し、当該押さえ部14にて軒樋2(具体的には、嵌合孔2aの周縁部分)を上方から押さえ付けられる位置まで下降させる(S003)。この工程S003は、呼び樋4の上端部が嵌合孔2aに臨んだ状態にある際に、押さえ部14にて軒樋2を上方から押さえ付ける工程である。さらに、上記状態にある際に、貫通体19の先端部19cをレバー15側とは反対側に向ける(すなわち、前述の下降装置を貫通体19のギア形成面19aに対向させる)。したがって、本工程S003以降の工程は、貫通体19の上下動が規制された状態で行われることになる。
【0044】
なお、貫通体19の先端部19cの向きを切り替えるにあたり、呼び樋接続用治具10の上下方向における高さを調整しておくのが望ましい。これは、以降の工程において作業者がレバー15を握持するため、レバー15が建設資材と干渉しないような高さに呼び樋接続用治具10を位置させる必要があるためである。
【0045】
その後、押さえ部14が軒樋2を上方から押さえ付けている間に、レバー15を操作して、押さえ部14の支持台11に対する相対位置を変化させる(S004)。この工程S004は、押さえ部14が支持台11に近づくように上下方向に沿って貫通体19を対向部13に対して相対移動させて、押さえ部14と支持台11との間の距離(図13中、記号dにて示す)を縮めさせる工程である。この工程S004により、呼び樋4の上端部が、徐々に嵌合孔2aに嵌合していくようになる。
【0046】
以下、本工程S004についてより詳しく説明する。本工程S004は、前述したように、距離調整機構16の下降装置が貫通体19のギア形成面19aに対向している状態で行われる。そして、かかる状態において作業者がレバー15の握持操作を行うと、距離調整機構16が当該握持操作を利用して押さえ部14を下降させようとする。
【0047】
一方、押さえ部14は、軒樋2を押さえ付けている状態にあるため、その位置より更に下降することができない。このため、距離調整機構16は、押さえ部14を含む貫通体19を下降させる代わりに、貫通体19を除く部分(すなわち、支持台11、支持固定部12、対向部13、連結部17及びレバー15)を上昇させる。換言すると、図15A及び図15Bとの対比から分かるように、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けたままの状態でレバー15が握持操作されることにより、距離調整機構16は、一体化された支持固定部12と対向部13と連結部17とが押さえ部14に対して相対的に上昇するように、貫通体19を対向部13に対して上下方向に沿って相対移動させて距離dを縮める。図15A及び図15Bは、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けたままの状態でレバー15が握持操作された場合の呼び樋接続用治具10各部の位置関係を示した図であり、図15Aが握持操作前の状態を示し、図15Bが握持操作後の状態を示す。
【0048】
以上のような機序により、本工程S004においてレバー15の握持操作が行われる都度、距離dが縮まっていく。これにより、軒樋2と呼び樋4との間隔が狭まり、呼び樋4の上端部が、先ず、自在ドレン下部9b側から自在ドレン9内に挿入されていく。そして、レバー15の握持操作が繰り返されると、最終的に呼び樋4の上端部が嵌合孔2aに嵌合していき、かかる時点で、呼び樋4が軒樋2に接続されたことになる(図14参照)。その後、呼び樋接続用治具10が取り外された時点で、呼び樋4と軒樋2との接続作業が終了する。
【0049】
上述した一連の工程により、本実施形態に係る呼び樋接続方法が実現される。そして、本実施形態においては、上述した各工程S001〜S004がいずれも建物本体Hの内側から実行される。
【0050】
<<本実施形態に係る呼び樋接続用治具10の有効性について>>
以上までに説明してきたように、本実施形態に係る呼び樋接続用治具10は、建物本体Hに取付け済みの軒樋2の下方位置で呼び樋4を支持する支持台11と、呼び樋4の上端部が軒樋2に形成された嵌合孔2aに臨んだ状態にある際に軒樋2を上方から押さえ付ける押さえ部14と、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けている間にユーザに操作されるレバー15と、レバー15が操作されることにより上下方向における押さえ部14と支持台11との間の距離dを縮める距離調整機構16と、を有する。
かかる構成により、建物本体Hに軒樋2が取付けられた後に呼び樋4と軒樋2との接続作業を建物本体Hの内側から行う場合や、軒の出(張出長さ)が長い建物本体Hの屋上で上記接続作業を行う場合であっても、良好に呼び樋4を軒樋2に接続することが可能になる。
【0051】
すなわち、発明が解決しようとする課題の項で説明したように、呼び樋4は軒樋2の下方に位置するため、建物本体Hに軒樋2が取付けられた後で建物本体Hの内側から呼び樋4と軒樋2との接続作業を行うことは難しい。特に、軒の出(張出長さ)が長い場合の接続作業はより困難となる。一方で、建物本体Hの外側で上記の接続作業を行う場合には、作業自体の困難性は解消されるものの、例えば、住宅密集地等のように隣接する建物が近接しており建物本体Hの外側に作業スペースを確保し難い環境では、作業を行い難くなってしまう。この結果、呼び樋4が軒樋2に適切に接続されず、建物の施工品質の低下を招く虞がある。
【0052】
これに対し、本実施形態の呼び樋接続用治具10、及び、これを用いた呼び樋接続方法によれば、呼び樋4の上端部が軒樋2の嵌合孔2aに臨んだ状態で呼び樋4を支持しておくことが可能である。そして、かかる状態の下でレバー15が操作されることにより、軒樋2を押さえ付けている押さえ部14と呼び樋4を支持している支持台11との間の距離dが縮まっていく。この結果、呼び樋4の上端部が軒樋2の嵌合孔2aに徐々に嵌合していき、最終的に呼び樋4が軒樋2に接続されるようになる。
【0053】
以上のような構成の呼び樋接続用治具10であれば、レバー15を建物本体Hの内側から操作可能な構造にしておくことにより、軒樋2の取付け後に、呼び樋4と軒樋2との接続作業を建物本体Hの内側、あるいは、軒の出(張出長さ)が長い建物本体Hの屋上で行う場合であっても、良好に当該接続作業を実施することができる。
【0054】
また、上記の実施形態では、呼び樋接続用治具10が、上下方向において支持台11と対向する対向部13を更に有し、距離調整機構16が、対向部13を貫通している貫通体19を有し、貫通体19は、下端に押さえ部14を備え、上下方向に沿って対向部13に対して相対移動可能であることとした。そして、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けたままの状態でレバー15が握持操作されることにより、距離調整機構16は、押さえ部14が支持台11に近づくように貫通体19を上下方向に沿って対向部13に対して相対移動させて、距離dを縮めることとした。このような構成であれば、比較的簡易な構成により距離dを縮めて、呼び樋4を軒樋2に接続させることが可能になる。
ただし、上記の構成に限定されるものではなく、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けた状態でユーザの操作を受け付けることによって距離dを縮めることができる構成であれば、制限なく利用可能である。
【0055】
また、上記の実施形態では、支持台11が固定された支持台固定部12と、対向部13と、対向部13と支持台固定部12の双方に交差し当該双方を連結する連結部17とが一体化されていることとした。そして、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けたままの状態でレバー15が操作されることにより、距離調整機構16は、一体化された支持固定部12と対向部13と連結部17とが押さえ部14に対して相対的に上昇するように、貫通体19を上下方向に沿って対向部13に対して相対移動させて、距離dを縮めることとした。このような構成であれば、貫通体19の相対移動によって距離dを確実に縮めることが可能になる。
ただし、上記の構成に限定されるものではなく、押さえ部14が軒樋2を押さえ付けたままの状態でレバー15が操作されたときに、少なくとも支持固定部12が押さえ部14に対して相対的に上昇するような構成であればよい。
【0056】
また、上記の実施形態では、対向部13の長手方向一端部と支持台固定部12の長手方向一端部とが連結部17によって連結され、レバー15は、対向部13の長手方向他端部に取付けられていることとした。このような構成であれば、呼び樋4を軒樋2の下方位置で支持しながらも、距離dを縮めるための操作を建物本体Hの内側から良好に行うことが可能になる。つまり、レバー15の操作位置と呼び樋4の支持位置との位置関係を考慮すると、本実施形態に係る呼び樋接続用治具10の形状は、簡単ながらも好適なものと言える。
ただし、上記の構成に限定されるものではなく、呼び樋4を軒樋2の下方位置で支持でき、かつ、レバー15の操作を建物本体Hの内側から行うことができる限りは、呼び樋接続用治具10は如何なる形状であってもよい。
【0057】
また、上記の実施形態では、軒樋2に自在ドレン9が設けられ、その上部(自在ドレン上部9a)は嵌合孔2aの周縁から立設して形成されていることとした。一方、呼び樋接続用治具10の押さえ部14は、円筒状の枠体であり、呼び樋4を嵌合孔2aに嵌合させている間には自在ドレン上部9aを包囲しつつ軒樋2(具体的には嵌合孔2aの周縁部分)を押さえ付けることとした。このような構成であれば、呼び樋4を軒樋2に接続する際に、押さえ部14が自在ドレン9と干渉するのを回避することができる。また、呼び樋4の上端部を嵌合孔2aに嵌合させる際に、押さえ部14が嵌合孔2a周辺を確実に押さえ付けるようになる結果、接続作業がスムーズに行われるようになる。
ただし、上記の構成に限定されるものではなく、例えば、軒樋2に自在ドレン9が設けられていなくてもよく、あるいは、押さえ部14が嵌合孔2aから離れた部位を押さえ付けることとしてもよい。
【0058】
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態には、主として本発明の呼び樋接続用治具、及び、当該治具を用いた呼び樋接続方法について説明した。しかし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した材質や形状等は本発明の効果を発揮させるための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0059】
また、上記の実施形態では、呼び樋4の上端部を軒樋2に形成された嵌合孔2aに嵌合させることによって軒樋2に接続される呼び樋4について説明した。つまり、呼び樋4を軒樋2に接続させる上で呼び樋4の上端部を嵌合孔2aに嵌合させればよく、接着剤の塗布等を要しない構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、呼び樋4を軒樋2に接続させるために、呼び樋4の上端部を嵌合孔2aに嵌合させた上で更に接着剤の塗布を要する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 樋ユニット、2 軒樋、2a 嵌合孔、3 竪樋、4 呼び樋、
5 軒先、5a 軒先前面、 6 軒樋吊具、7 外壁、8 竪樋保持具、
9 自在ドレン、9a 自在ドレン上部、9b 自在ドレン下部、
10 呼び樋接続用治具、11 支持台、
11a 鋼板、11b 緩衝材、11c 側片部、12 支持台固定部、
13 対向部、14 押さえ部、15 レバー、15a 固定部、15b 可動部、
16 距離調整機構、17 連結部、18 紐、19 貫通体、19a ギア形成面、
19b 平滑面、19c 先端部、20 ギア、H 建物本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物本体に取付け済みの軒樋の下方位置で、該軒樋に接続される呼び樋を支持する支持台と、
前記呼び樋の上端部が前記軒樋に形成された嵌合孔に臨んだ状態にある際に、前記軒樋を上方から押さえ付ける押さえ部と、
上下方向における前記押さえ部と前記支持台との間の距離を縮めるための距離調整機構と、
前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間にユーザに操作されることにより、前記距離調整機構を駆動して前記距離調整機構に前記距離を縮めさせる被操作部と、
を有することを特徴とする呼び樋接続用治具。
【請求項2】
上下方向において前記支持台と対向する対向部を更に有し、
前記距離調整機構は、下端に前記押さえ部が備えられ、かつ、前記対向部に対して上下方向に沿って相対移動可能な、前記対向部を貫通している貫通体を有し、前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間に前記被操作部がユーザに操作されることにより、前記押さえ部が前記支持台に近づくように、前記貫通体を前記対向部に対して上下方向に沿って相対移動させて前記距離を縮めることを特徴とする請求項1に記載の呼び樋接続用治具。
【請求項3】
上端面に前記支持台が固定された支持台固定部と、
前記対向部と前記支持台固定部の双方に交差し、当該双方を連結する連結部とを有し、
前記支持固定部と前記対向部と前記連結部とが一体化されており、
前記距離調整機構は、前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間に前記被操作部がユーザに操作されることにより、一体化された前記支持固定部と前記対向部と前記連結部とが前記押さえ部に対して相対的に上昇するように、前記貫通体を前記対向部に対して上下方向に沿って相対移動させて前記距離を縮めることを特徴とする請求項2に記載の呼び樋接続用治具。
【請求項4】
前記連結部は、前記対向部の一端部と前記支持台固定部の一端部とを連結し、
前記被操作部は、前記対向部の他端部に取付けられたレバーであることを特徴とする請求項3に記載の呼び樋接続用治具。
【請求項5】
前記軒樋には、自在ドレンが備えられており、
前記自在ドレンの上部は、前記嵌合孔の周縁から立設して形成されており、
前記押さえ部は、前記上端部が前記嵌合孔に嵌合する際に、前記自在ドレンの上部を包囲しつつ前記軒樋を上方から押さえ付ける枠体であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の呼び樋接続用治具。
【請求項6】
建物本体に取付け済みの軒樋に呼び樋を接続する呼び樋接続方法であって、
前記軒樋の下方位置に前記呼び樋が配置されている際に、
前記呼び樋を支持する支持台と、前記軒樋を押さえ付ける押さえ部と、上下方向における前記押さえ部と前記支持台との間の距離を縮める距離調整機構と、ユーザに操作されることにより前記距離調整機構を駆動して前記距離調整機構に前記距離を縮めさせる被操作部と、を有する呼び樋接続用治具の前記支持台に前記呼び樋を支持させることと、
前記呼び樋の上端部が前記軒樋に形成された嵌合孔に臨むように、前記支持台に前記呼び樋が支持された状態の前記呼び樋接続用治具の位置を調整することと、
前記上端部が前記嵌合孔に臨んだ状態にある際に、前記押さえ部にて前記軒樋を上方から押さえ付けることと、
前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間に、前記被操作部を操作して前記距離調整機構に前記距離を縮めさせることにより、前記嵌合孔に前記上端部を嵌合させることと、
を有することを特徴とする呼び樋接続方法。
【請求項1】
建物本体に取付け済みの軒樋の下方位置で、該軒樋に接続される呼び樋を支持する支持台と、
前記呼び樋の上端部が前記軒樋に形成された嵌合孔に臨んだ状態にある際に、前記軒樋を上方から押さえ付ける押さえ部と、
上下方向における前記押さえ部と前記支持台との間の距離を縮めるための距離調整機構と、
前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間にユーザに操作されることにより、前記距離調整機構を駆動して前記距離調整機構に前記距離を縮めさせる被操作部と、
を有することを特徴とする呼び樋接続用治具。
【請求項2】
上下方向において前記支持台と対向する対向部を更に有し、
前記距離調整機構は、下端に前記押さえ部が備えられ、かつ、前記対向部に対して上下方向に沿って相対移動可能な、前記対向部を貫通している貫通体を有し、前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間に前記被操作部がユーザに操作されることにより、前記押さえ部が前記支持台に近づくように、前記貫通体を前記対向部に対して上下方向に沿って相対移動させて前記距離を縮めることを特徴とする請求項1に記載の呼び樋接続用治具。
【請求項3】
上端面に前記支持台が固定された支持台固定部と、
前記対向部と前記支持台固定部の双方に交差し、当該双方を連結する連結部とを有し、
前記支持固定部と前記対向部と前記連結部とが一体化されており、
前記距離調整機構は、前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間に前記被操作部がユーザに操作されることにより、一体化された前記支持固定部と前記対向部と前記連結部とが前記押さえ部に対して相対的に上昇するように、前記貫通体を前記対向部に対して上下方向に沿って相対移動させて前記距離を縮めることを特徴とする請求項2に記載の呼び樋接続用治具。
【請求項4】
前記連結部は、前記対向部の一端部と前記支持台固定部の一端部とを連結し、
前記被操作部は、前記対向部の他端部に取付けられたレバーであることを特徴とする請求項3に記載の呼び樋接続用治具。
【請求項5】
前記軒樋には、自在ドレンが備えられており、
前記自在ドレンの上部は、前記嵌合孔の周縁から立設して形成されており、
前記押さえ部は、前記上端部が前記嵌合孔に嵌合する際に、前記自在ドレンの上部を包囲しつつ前記軒樋を上方から押さえ付ける枠体であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の呼び樋接続用治具。
【請求項6】
建物本体に取付け済みの軒樋に呼び樋を接続する呼び樋接続方法であって、
前記軒樋の下方位置に前記呼び樋が配置されている際に、
前記呼び樋を支持する支持台と、前記軒樋を押さえ付ける押さえ部と、上下方向における前記押さえ部と前記支持台との間の距離を縮める距離調整機構と、ユーザに操作されることにより前記距離調整機構を駆動して前記距離調整機構に前記距離を縮めさせる被操作部と、を有する呼び樋接続用治具の前記支持台に前記呼び樋を支持させることと、
前記呼び樋の上端部が前記軒樋に形成された嵌合孔に臨むように、前記支持台に前記呼び樋が支持された状態の前記呼び樋接続用治具の位置を調整することと、
前記上端部が前記嵌合孔に臨んだ状態にある際に、前記押さえ部にて前記軒樋を上方から押さえ付けることと、
前記押さえ部が前記軒樋を押さえ付けている間に、前記被操作部を操作して前記距離調整機構に前記距離を縮めさせることにより、前記嵌合孔に前記上端部を嵌合させることと、
を有することを特徴とする呼び樋接続方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−117269(P2012−117269A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267332(P2010−267332)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
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