説明

呼制御装置、および運用情報の登録方法

【課題】追加・変更後の誤った運用情報で呼制御装置が稼動してサービスに支障をきたす可能性を低減する。
【解決手段】呼制御装置1は、スレーブ端末2から受け付けた運用情報のセグメント130が自装置1に新規登録もしくは更新された場合に、この運用情報のセグメント130の登録もしくは更新内容を、この運用情報のセグメント130の送信元であるスレーブ端末2の端末ID151とともにマスタ端末2に通知する。このため、マスタ端末2の操作者である上級保守者は、スレーブ端末2の操作者である通常保守者が呼制御装置1に対して行った運用情報の追加・変更等を監視することができる。したがって、通常保守者が、更新内容に誤りがあることに気づかないまま、呼制御装置1に登録されている運用情報を追加・変更等してしまった場合、上級保守者がその事実に気づくことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼制御装置に関し、特に呼制御装置へ運用情報を登録する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ネットワーク上で不要なトラヒックを発生させることなく、現用系呼制御装置および予備系呼制御装置間でより確実に運用情報の同期をとることが可能な電話システムが開示されている。
【0003】
この電話システムにおいて、現用系呼制御装置は、運用情報登録端末から運用情報セグメントを受信した場合に、この運用情報セグメントを自装置に登録するとともに、予備系呼制御装置に転送する。これを受けて、予備系呼制御装置は、現用系呼制御装置から受信した運用情報セグメントを自装置に登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−244570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような電話システムに運用情報登録端末が複数ある場合、ある運用情報登録端末(第一の端末と呼ぶ)から呼制御装置に登録された運用情報セグメントが、他の運用情報登録端末(第二の端末と呼ぶ)により更新されることがある。ここで、第二の端末の操作者が、内容に誤りがあることに気づかないまま、呼制御装置に登録されている運用情報セグメントを更新してしまった場合、第一の端末の操作者もその事実に気づくことができず、更新後の誤った運用情報セグメントで呼制御装置が稼動してしまうと、電話システムが提供するサービスに支障をきたす可能性がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、追加・変更後の誤った運用情報で呼制御装置が稼動してサービスに支障をきたす可能性を低減する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明において、呼制御装置は、所定の運用情報登録端末以外の運用情報登録端末から受け付けた運用情報が自装置に新規登録もしくは更新された場合に、この運用情報の登録もしくは更新内容を、この運用情報の送信元の情報とともに、所定の運用情報登録端末に通知する。
【0008】
ここで、所定の運用情報登録端末によって新規登録もしくは更新された運用情報を、所定の運用情報登録端末以外の運用情報登録端末が更新しようとしている場合に、この運用情報登録端末に、更新対象の運用情報が所定の運用情報登録端末によって登録もしくは更新されたものであることを通知して、更新を実行するかそれとも中止するかを問い合わせ、更新実行の返答を受け付けた場合にのみ運用情報を更新するようにしてもよい。
【0009】
例えば、本発明は、運用情報に従い、自装置が収容する電話端末の呼制御を実施する呼制御装置であって、
前記運用情報を記憶する記憶手段と、
運用情報登録端末から運用情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた運用情報の、前記記憶手段への登録および更新を制御する登録制御手段と、
所定の運用情報登録端末以外の運用情報登録端末から受け付けた運用情報が前記記憶手段に登録もしくは更新された場合に、当該運用情報の登録もしくは更新内容を、当該運用情報の送信元の情報とともに前記所定の運用情報登録端末に通知する通知手段と、を有する。
【0010】
ここで、前記登録制御手段は、前記所定の運用情報登録端末以外の運用情報登録端末から受け付けた運用情報が、前記所定の運用情報登録端末から受け付けて前記記憶手段に登録あるいは更新された運用情報を更新するものである場合に、前記所定の運用情報登録端末以外の当該運用情報登録端末に、更新対象の運用情報が前記所定の運用情報登録端末によって登録もしくは更新されたものであることを通知して、更新を実行するかそれとも中止するかを問い合わせ、問合せ先の運用情報登録端末から更新実行の返答を受信した場合にのみ、当該問合せ先の運用情報登録端末から受け付けた運用情報で前記記憶手段を更新してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、所定の運用情報登録端末以外の運用情報登録端末によって呼制御装置に登録もしくは更新される運用情報を、所定の運用情報登録端末で監視することが可能となる。これにより、追加・変更後の誤った運用情報で呼制御装置が稼動してサービスに支障をきたす可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るIP電話システムの概略図である。
【図2】図2は、呼制御装置1の概略構成図である。
【図3】図3は、呼制御装置1の動作を説明するためのフロー図である。
【図4】図4(A)は、スレーブ端末2によって新たな運用情報セグメントが呼制御装置1に新規登録される場合のシーケンス図であり、図4(B)は、スレーブ端末2によって呼制御装置1に新規登録あるいは更新された運用情報セグメントが他のスレーブ端末2によって更新される場合のシーケンス図である。
【図5】図5(A)は、マスタ端末2によって呼制御装置1に新規登録あるいは更新された運用情報セグメントをスレーブ端末2が更新しようとする場合の第一の動作例(更新実行)を示すシーケンス図であり、図5(B)は、マスタ端末2によって呼制御装置1に新規登録あるいは更新された運用情報セグメントをスレーブ端末2が更新しようとする場合の第二の動作例(更新破棄)を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態が適用されたIP電話システムの概略図である。
【0015】
図示するように、本実施の形態のIP電話システムは、呼制御装置1と、複数の運用情報登録端末2と、複数のIP電話端末3と、を有する。呼制御装置1およびIP電話端末3は、LAN等のネットワーク4を介して相互接続されている。
【0016】
呼制御装置1は、自装置1に登録されている運用情報に従い、IP電話端末3間の呼制御を行う。
【0017】
運用情報登録端末2は、呼制御装置1に運用情報を登録するのに用いられる端末である。運用情報登録端末2は、ネットワーク4を介して呼制御装置1に接続されるもの(例えばIP電話端末等)でもよいし、あるいは、RS−232C等のシリアル通信により呼制御装置1に直接接続されるものでもよい。
【0018】
IP電話端末3は、呼制御装置1の呼制御により、相手端末3との間に通話路を確立し、この通話路を用いて音声通信を行う。
【0019】
次に、呼制御装置1の詳細を説明する。なお、運用情報登録端末2およびIP電話端末3には既存のものを利用できるので、それらの詳細な説明を省略する。
【0020】
図2は、呼制御装置1の概略図である。
【0021】
図示するように、呼制御装置1は、ネットワークインターフェース部11と、シリアル通信インターフェース部12と、運用情報記憶部13と、呼制御部14と、端末情報記憶部15と、更新端末情報記憶部16と、登録制御部17と、通知部18と、を有する。
【0022】
ネットワークインターフェース部11は、ネットワーク4と接続するためのインターフェースである。
【0023】
シリアル通信インターフェース部12は、シリアル通信端末と接続するためのインターフェースである。なお、運用情報登録端末2がシリアル通信端末でない場合、シリアル通信インターフェース部12を省略してもよい。
【0024】
運用情報記憶部13は、IP電話端末3の呼制御に必要な運用情報を記憶する。運用情報は、セグメント130単位でセグメントID131とともに運用情報記憶部13に登録される。
【0025】
ここで、セグメント130とは、運用情報登録端末2が、一つの登録操作(コマンドラインからコマンドを入力する、運用情報の登録ボタンを押す等)で操作者から受け付けることが可能な運用情報の単位(登録最小単位)である。また、セグメントID131とは、セグメント130に格納されている運用情報(登録最小単位)を特定するための識別情報である。運用情報登録端末2は、ユーザから登録操作を受け付ける毎に、登録対象となる運用情報を格納したセグメント130を、この運用情報に対応するセグメントID131とともに呼制御装置1に送信する。
【0026】
呼制御部14は、運用情報記憶部13に記憶されている運用情報に基づいてIP電話端末3間の呼制御を行う。
【0027】
端末情報記憶部15は、運用情報登録端末2毎に端末情報150が登録されている。端末情報150は、運用情報登録端末2の識別情報である端末ID151、運用情報登録端末2のアドレス152、および運用情報登録端末2の端末種別153を含む。
【0028】
ここで、運用情報登録端末2がネットワーク端末の場合は、ネットワークアドレスがアドレス152に設定されており、シリアル通信端末の場合は、このシリアル通信端末が接続されているシリアル通信インターフェース部12のポート番号がアドレス152に設定されている。また、運用情報登録端末2が、所定の操作者(例えば複数人いる保守者のなかで最も権限のある保守者である上級保守者)が使用する端末である場合は、端末種別153が「マスタ」に設定されており、所定の操作者以外の操作者(例えば上級保守者以外の保守者である通常保守者)が使用する端末である場合は、端末種別153が「スレーブ」に設定されている。
【0029】
更新端末情報記憶部16は、運用情報記憶部13に記憶されているセグメント130毎に更新端末情報160が登録される。更新端末情報160は、セグメントID131、およびこのセグメントID131が付与されたセグメント130を最後に更新した運用情報登録端末2(一度も更新されていない場合はこのセグメント130を登録した運用情報登録端末2)の端末ID151を含む。
【0030】
登録制御部17は、ネットワークインターフェース部11あるいはシリアル通信インターフェース部12を介して運用情報登録端末2から受け取った運用情報(セグメント130)およびセグメントID131を用いて、運用情報記憶部13および端末情報記憶部15の登録内容を更新する。
【0031】
通知部18は、端末種別153が「スレーブ」の運用情報登録端末2から受け取った運用情報によって運用情報記憶部13の登録内容が更新された場合に、ネットワークインターフェース部11あるいはシリアル通信インターフェース部12を介して、端末種別153が「マスタ」の運用情報登録端末2に、その登録内容を通知する。
【0032】
図3は、呼制御装置1の動作を説明するためのフロー図である。
【0033】
呼制御部14は、ネットワークインターフェース部11を介してIP電話端末3から呼制御メッセージを受信すると(S101でYES)、運用情報記憶部13に記憶されている運用情報に従い、このIP電話端末3の呼制御を行う(S102)。
【0034】
また、登録制御部17は、ネットワークインターフェース部11あるいはシリアル通信インターフェース部12を介して、運用情報登録端末2から運用情報のセグメント130をセグメントID131とともに受信すると(S103でYES)、送信元の運用情報登録端末2(送信元端末2と呼ぶ)のアドレス152をキーにして、端末情報記憶部15から、送信元端末2に対応する端末情報150を検索し、この端末情報150の端末種別153を調べる(S104)。
【0035】
送信元端末2に対応する端末情報150の端末種別153が「マスタ」である場合(S104で「マスタ」)、登録制御部17は、運用情報のセグメント130とともに送信元端末2から受信したセグメントID131が運用情報記憶部13に登録されていないならば、送信元端末2から受信した運用情報のセグメント130およびセグメントID131を運用情報記憶部13に新規登録するとともに、このセグメントID131および送信元端末2の端末ID151を含む更新端末情報160を更新端末情報記憶部16に新規登録する。一方、送信元端末2から受信したセグメントID131が運用情報記憶部13に登録されているならば、このセグメントID131に対応付けられて運用情報記憶部13に記憶されているセグメント130を、送信元端末2から受信した運用情報のセグメント130に更新するとともに、このセグメントID131をキーにして更新端末情報記憶部16から更新端末情報160を検索し、検索した更新端末情報160の端末ID151を送信元端末2の端末ID151に更新する(S105)。
【0036】
また、送信元端末2に対応する端末情報150の端末種別153が「スレーブ」である場合(S104で「スレーブ」)、登録制御部17は、送信元端末2から運用情報のセグメント130とともに受信したセグメントID131が運用情報記憶部13に登録されているか否かを調べる(S106)。
【0037】
送信元端末2から運用情報のセグメント130とともに受信したセグメントID131が運用情報記憶部13に登録されていない場合(S106で「新規登録」)、登録制御部17は、送信元端末2から受信した運用情報のセグメント130およびセグメントID131を運用情報記憶部13に新規登録するとともに、このセグメントID131および送信元端末2の端末ID151を含む更新端末情報160を更新端末情報記憶部16に新規登録する(S110)。それから、通知部18は、送信元端末2から受信した運用情報のセグメント130およびセグメントID131と、送信元端末2の端末ID151と、を含む登録内容通知を生成し、ネットワークインターフェース部11あるいはシリアル通信インターフェース部12を介して、端末情報記憶部15において端末種別153が「マスタ」に設定されている端末情報150に対応する運用情報登録端末2に、この登録内容通知を送信する(S111)。
【0038】
また、送信元端末2から運用情報のセグメント130とともに受信したセグメントID131が運用情報記憶部13に登録されている場合(S106で「更新」)、登録制御部17は、このセグメントID131をキーにして更新端末情報記憶部16から更新端末情報160を検索し、さらに、検索した更新端末情報160の端末ID151をキーにして端末情報記憶部15から、このセグメント130を最終更新した運用情報登録端末2(最終更新端末2と呼ぶ)の端末情報150を検索する。そして、検索した端末情報150の端末種別153を調べる(S107)。
【0039】
最終更新端末2に対応する端末情報150の端末種別153が「スレーブ」である場合(S107で「スレーブ」)、登録制御部17は、送信元端末2から受信したセグメントID131に対応付けられて運用情報記憶部13に記憶されているセグメント130を、このセグメントID131とともに送信元端末2から受信した運用情報のセグメント130に更新するとともに、このセグメントID131をキーにして更新端末情報記憶部16から更新端末情報160を検索し、検索した更新端末情報160の端末ID151を送信元端末2の端末ID151に更新する(S110)。それから、通知部18は、送信元端末2から受信した運用情報のセグメント130およびセグメントID131と、送信元端末2の端末ID151と、を含む更新内容通知を生成し、ネットワークインターフェース部11あるいはシリアル通信インターフェース部12を介して、端末情報記憶部15において端末種別153が「マスタ」に設定されている端末情報150に対応する運用情報登録端末2に、この更新内容通知を送信する(S111)。
【0040】
また、最終更新端末2に対応する端末情報150の端末種別153が「マスタ」である場合(S107で「マスタ」)、登録制御部17は、更新対象の運用情報が上級保守者などの所定の保守者(端末種別153が「マスタ」の運用情報登録端末2)によって最終更新されたものである旨のメッセージを含む、更新実行・中止の問合せ通知を生成する。そして、ネットワークインターフェース部11あるいはシリアル通信インターフェース部12を介して送信元端末2にこの問合せ通知を送信して、送信元端末2から応答を受信する(S108)。
【0041】
そして、送信元端末2から受信した応答が更新の実行である場合にのみ(S108で「実行」)、登録制御部17は、送信元端末2から受信したセグメントID131に対応付けられて運用情報記憶部13に記憶されているセグメント130を、このセグメントID131とともに送信元端末2から受信した運用情報のセグメント130に更新するとともに、このセグメントID131をキーにして更新端末情報記憶部16から更新端末情報160を検索し、検索した更新端末情報160の端末ID151を、送信元端末2の端末ID151に更新する(S110)。それから、通知部18は、送信元端末2から受信した運用情報のセグメント130およびセグメントID131と、送信元端末2の端末ID151と、を含む更新内容通知を生成し、ネットワークインターフェース部11あるいはシリアル端末インターフェース部12を介して、端末情報記憶部15において端末種別153が「マスタ」に設定されている端末情報150に対応する運用情報登録端末2に、この更新内容通知を送信する(S111)。
【0042】
次に、図1に示すIP電話システムの動作例を説明する。
【0043】
なお、以下の説明において、端末種別153が「マスタ」に設定されている端末情報150に対応する運用情報登録端末2をマスタ端末2と呼び、端末種別153が「スレーブ」に設定されている端末情報150に対応する運用情報登録端末2をスレーブ端末2と呼ぶこととする。
【0044】
図4(A)は、スレーブ端末2によって新たな運用情報セグメントが呼制御装置1に新規登録される場合のシーケンス図である。
【0045】
スレーブ端末2は、通常保守者から運用情報のセグメント130およびセグメントID131が入力され、その登録操作を受け付けると(S301)、入力された運用情報のセグメント130およびセグメントID131を呼制御装置1に送信する(S302)。
【0046】
呼制御装置1は、スレーブ端末2から受け取ったセグメントID131が運用情報記憶部13に記憶されていないことを確認し、セグメントID131とともにスレーブ端末2から受け取った運用情報のセグメント130をこのセグメントID131とともに運用情報記憶部13に新規登録する(S303)。それから、呼制御装置1は、このセグメント130およびセグメントID131と、スレーブ端末2の端末ID151とを含む登録内容通知を生成し、この登録内容通知をマスタ端末2に通知する(S304)。これを受けて、マスタ端末2は、受信した登録内容通知をディスプレイに表示するなどして、その登録内容を上級保守者に知らせる(S305)。
【0047】
図4(B)は、スレーブ端末2によって呼制御装置1に新規登録あるいは更新された運用情報セグメントが他のスレーブ端末2によって更新される場合のシーケンス図である。
【0048】
スレーブ端末2は、通常保守者から運用情報のセグメント130およびセグメントID131が入力され、その登録操作を受け付けると(S311)、入力された運用情報のセグメント130およびセグメントID131を呼制御装置1に送信する(S312)。
【0049】
呼制御装置1は、スレーブ端末2から受け取ったセグメントID131が運用情報記憶部13に記憶されており、かつそのセグメントID131に対応するセグメント130の最終更新端末がスレーブ端末2であることを確認すると、このセグメントID131に対応付けられて運用情報記憶部13に記憶されているセグメント130を、このセグメントID131とともにスレーブ端末2から受け取った運用情報のセグメント130に更新する(S313)。それから、呼制御装置1は、このセグメント130およびセグメントID131と、スレーブ端末2の端末ID151とを含む更新内容通知を生成し、この更新内容通知をマスタ端末2に通知する(S314)。
【0050】
これを受けて、マスタ端末2は、受信した更新内容通知をディスプレイに表示するなどして、その更新内容を上級保守者に知らせる(S315)。
【0051】
図5(A)は、マスタ端末2によって呼制御装置1に新規登録あるいは更新された運用情報セグメントをスレーブ端末2が更新しようとする場合の第一の動作例を示すシーケンス図である。
【0052】
スレーブ端末2は、通常保守者から運用情報のセグメント130およびセグメントID131が入力され、その登録操作を受け付けると(S321)、入力された運用情報のセグメント130およびセグメントID131を呼制御装置1に送信する(S322)。呼制御装置1は、スレーブ端末2から受け取ったセグメントID131が運用情報記憶部13に記憶されており、かつそのセグメントID131に対応するセグメント130の最終更新端末がマスタ端末2であることを確認すると、更新対象の運用情報が上級保守者(マスタ端末2)によって最終更新されたものである旨のメッセージを含む、更新実行・中止の問合せ通知を生成する。そして、送信元のスレーブ端末2に、この問合せ通知を送信する(S323)。
【0053】
これを受けて、スレーブ端末2は、受信した問合せ通知をディスプレイに表示するなどして、通常保守者から更新の実行または中止の指示を受け付ける(S324)。ここでは、更新実行の指示を受け付けたとする。スレーブ端末2は、呼制御装置1に更新実行の指示を送信する(S325)。
【0054】
呼制御装置1は、スレーブ端末2から更新実行の指示を受け付けると、スレーブ端末2から受け取ったセグメントID131に対応付けられて運用情報記憶部13に記憶されているセグメント130を、このセグメントID131とともにスレーブ端末2から受け取った運用情報のセグメント130に更新する(S326)。それから、呼制御装置1は、このセグメント130およびセグメントID131と、スレーブ端末2の端末ID151とを含む更新内容通知を生成し、この更新内容通知をマスタ端末2に通知する(S327)。これを受けて、マスタ端末2は、受信した更新内容通知をディスプレイに表示するなどして、その更新内容を上級保守者に知らせる(S328)。
【0055】
図5(B)は、マスタ端末2によって呼制御装置1に新規登録あるいは更新された運用情報セグメントをスレーブ端末2が更新しようとする場合の第二の動作例を示すシーケンス図である。
【0056】
スレーブ端末2は、通常保守者から運用情報のセグメント130およびセグメントID131が入力され、その登録操作を受け付けると(S331)、入力された運用情報のセグメント130およびセグメントID131を呼制御装置1に送信する(S332)。呼制御装置1は、スレーブ端末2から受け取ったセグメントID131が運用情報記憶部13に記憶されており、かつそのセグメントID131に対応するセグメント130の最終更新端末がマスタ端末2であることを確認すると、更新対象の運用情報が上級保守者(マスタ端末2)によって最終更新されたものである旨のメッセージを含む、更新実行・中止の問合せ通知を生成する。そして、送信元のスレーブ端末2に、この問合せ通知を送信する(S333)。
【0057】
これを受けて、スレーブ端末2は、受信した問合せ通知をディスプレイに表示するなどして、通常保守者から更新の実行または中止の指示を受け付ける(S334)。ここでは、更新中止の指示を受け付けたとする。スレーブ端末2は、呼制御装置1に更新中止の指示を送信する(S335)。
【0058】
呼制御装置1は、スレーブ端末2から更新中止の指示を受け付けると、スレーブ端末2から受け取った運用情報のセグメント130およびセグメントID131を破棄する(S336)。
【0059】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0060】
本実施の形態において、呼制御装置1は、スレーブ端末2から受け付けた運用情報のセグメント130が自装置1に新規登録もしくは更新された場合に、この運用情報のセグメント130の登録もしくは更新内容を、この運用情報のセグメント130の送信元であるスレーブ端末2の端末ID151とともにマスタ端末2に通知する。
【0061】
このため、マスタ端末2の操作者である上級保守者は、スレーブ端末2の操作者である通常保守者が呼制御装置1に対して行った運用情報の追加・変更等を監視することができきる。したがって、本実施の形態によれば、通常保守者が、内容に誤りがあることに気づかないまま、呼制御装置1に登録されている運用情報を追加・変更等してしまった場合、上級保守者がその事実に気づくことができる。これにより、追加・変更後の誤った運用情報で呼制御装置1が稼動してIP電話サービスに支障をきたす可能性を低減できる。
【0062】
また、本実施の形態において、呼制御装置1は、マスタ端末2によって呼制御装置1に新規登録もしくは更新された運用情報のセグメント130をスレーブ端末2が更新しようとしている場合に、このスレーブ端末2に、更新対象の運用情報がマスタ端末2によって新規登録もしくは更新されたものであることを通知して、更新を実行するかそれとも中止するかを問い合わせている。したがって、本実施の形態によれば、上級保守者が追加・変更した運用情報を通常保守者が変更しようとする場合に、通常保守者に注意を喚起することができる。
【0063】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0064】
例えば、上記実施の形態において、更新端末情報記憶部16には、運用情報記憶部13に記憶されているセグメントID131毎に、セグメントID131に対応するセグメント130を最終更新した運用情報登録端末2の端末ID151が登録されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、更新端末情報記憶部16には、運用情報登録端末2毎に、運用情報記憶部13に記憶されたセグメント130の更新履歴(セグメントID131、登録・更新日時)を記憶するようにしてもよい。そして、登録制御部17が、運用情報記憶部13に記憶されているセグメントID131毎に、更新端末情報記憶部16に記憶されている各運用情報登録端末2の履歴を用いて最終更新端末2を特定するようにしてもよい。
【0065】
また、端末情報記憶部15および更新端末情報記憶部16に代えて、操作者情報記憶部および更新者情報記憶部を呼制御装置1に設けてもよい。ここで、操作者情報記憶部には、運用情報登録端末2の操作者毎に、操作者の識別情報である操作者ID、アカウント情報、操作者種別(上級保守者を「マスタ」とし、通常保守者を「スレーブ」とする)、および連絡先(たとえばメールアドレス)を含む操作者情報を記憶させ、更新者情報記憶部には、運用情報記憶部13に記憶されているセグメントID131毎に、セグメントID131に対応するセグメント130を最終更新した操作者の操作者IDを登録する。そして、登録制御部17に、運用情報のセグメント130、セグメントID131の受付に先立って、運用情報登録端末2からアカウント情報を取得させる。この場合、操作者ID、アカウント情報、および操作者種別が、それぞれ端末ID151、アドレス152、端末種別153の代わりとなる。また、登録および更新内容通知は、操作者種別「マスタ」の操作者情報により特定される連絡先に送信される。
【0066】
また、呼制御装置1のネットワークインターフェース部11は、LAN等の有線ネットワークとのインターフェースに限定されるものではない。無線LAN等の無線ネットワークとのインターフェースでもよい。
【0067】
また、Bluetooth等の近距離無線通信機能を備えた運用情報登録端末2が存在する場合には、呼制御装置1に近距離無線通信インターフェースを設け、この運用情報登録端末2と近距離無線通信により通信するようにしてもよい。
【0068】
また、図2に示す呼制御装置1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPU、メモリ、HDD、DVD−ROM等の補助記憶装置、NIC(Network Interface Card)等の通信インターフェース、LCD、CRT等の表示装置、およびキーボード、マウス等の入力装置を備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【符号の説明】
【0069】
1:呼制御装置、2:運用情報登録端末、3:IP電話端末、4:ネットワーク、11:ネットワークインターフェース部、12:シリアル通信インターフェース部、13:運用情報記憶部、14:呼制御部、15:端末情報記憶部、16:更新端末情報記憶部、17:登録制御部、18:通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運用情報に従い、自装置が収容する電話端末の呼制御を実施する呼制御装置であって、
前記運用情報を記憶する記憶手段と、
運用情報登録端末から運用情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた運用情報の、前記記憶手段への登録および更新を制御する登録制御手段と、
所定の運用情報登録端末以外の運用情報登録端末から受け付けた運用情報が前記記憶手段に登録もしくは更新された場合に、当該運用情報の登録もしくは更新内容を、当該運用情報の送信元の情報とともに前記所定の運用情報登録端末に通知する通知手段と、を有する
ことを特徴とする呼制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の呼制御装置であって、
前記登録制御手段は、
前記所定の運用情報登録端末以外の運用情報登録端末から受け付けた運用情報が、前記所定の運用情報登録端末から受け付けて前記記憶手段に登録あるいは更新された運用情報を更新するものである場合に、前記所定の運用情報登録端末以外の当該運用情報登録端末に、更新対象の運用情報が前記所定の運用情報登録端末によって登録もしくは更新されたものであることを通知して、更新を実行するかそれとも中止するかを問い合わせ、問合せ先の運用情報登録端末から更新実行の指示を受信した場合にのみ、当該問合せ先の運用情報登録端末から受け付けた運用情報で前記記憶手段を更新する
ことを特徴とする呼制御装置。
【請求項3】
呼制御装置への運用情報の登録方法であって、
前記呼制御装置が、所定の運用情報登録端末以外の運用情報登録端末から受け付けた運用情報が自装置に新規登録もしくは更新された場合に、当該運用情報の登録もしくは更新内容を、当該運用情報の送信元の情報とともに前記所定の運用情報登録端末に通知する
ことを特徴とするを運用情報の登録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−278938(P2010−278938A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131716(P2009−131716)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】