説明

呼制御装置、コンサルティングサービスシステム、コンピュータプログラムおよび呼制御方法

【課題】拡張性に優れ、きめの細かいサービスがユーザに提供可能なコンサルティングサービスシステムを安価に実現することのできる呼制御装置を提供する。
【解決手段】ともに公衆通信回線網に接続された、ユーザ端末10と、窓口端末20と、回答者端末30との間に、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いてそれぞれセッションを確立する呼制御装置40であって、ユーザ端末10からその識別情報を含む第一メッセージを受信し、これを窓口端末20に送信して、ユーザ端末10と窓口端末20との間に第一セッションを確立し、窓口端末20から上記識別情報を含む第二メッセージを受信し、これを回答者端末30に送信するとともに、回答者端末30から受信した呼接続要求をユーザ端末10に送信して、回答者端末30とユーザ端末10との間に第二セッションを確立することを特徴とする呼制御装置40。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼制御装置、コンサルティングサービスシステム、コンピュータプログラムおよび呼制御方法に関し、詳しくは、互いに公衆通信回線網にて接続されたユーザ端末と回答者端末との間にセッションを確立し、専門家等の回答者によるコンサルティングサービスをユーザに提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の発明に関し、ユーザと専門家とが1対1で接続されるTV電話を利用した従来のコンサルティングサービスシステムでは、相談する分野ごとにどの専門家に相談したらよいかをユーザが事前に調査してからTV電話を接続する必要があり、ユーザの利用負担が大きかった。
また、ユーザ専任の相談窓口が設けられている場合でも、従来のコンサルティングサービスシステムでは、相談窓口から専門家の紹介を受けたユーザは、あらためてその専門家へ接続しなおす必要があり、やはり利用負担が大きかった。
【0003】
これに対し、下記特許文献1には、オペレータ端末装置と顧客端末装置との間の接続を、MCU(Multipoint Communication Unit:多地点接続装置)を用いて切り替えることにより、顧客端末装置との接続を維持したままでスペシャリスト端末に振り分ける装置間通信方法の発明が記載されている。
また、下記特許文献2には、顧客通信端末と1次オペレータ(コールセンタ)端末との接続を、CTI(Computer Telephony Integration)サーバを用いて切り替えることにより、顧客通信端末との接続を維持したままで2次オペレータ(スペシャリスト)端末に振り分けるスペシャリスト・コールセンタシステムの発明が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−177813号公報
【特許文献2】特開2002−149873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の通信方法においては、一般にベンダーごとに異なる専用装置および独自プロトコルが用いられるMCUを用いて顧客端末装置との接続が切り替えられる。したがって、かかる拡張性に乏しい通信方法を用いた場合、コンサルティングサービスシステムの提供者にとっては、ユーザの要望等に応じたきめの細かいサービスを柔軟に提供することが困難であった。
また、上記特許文献2に記載のシステムにおいては、コールセンタやスペシャリストセンタの構内にそれぞれ配置されたCTIサーバを用いて顧客通信端末の切り替えを行っている。したがって、かかるシステムを用いた場合、コンサルティングサービスシステムの提供者にとっては、専門家用の端末ごとにCTIサーバを配置する必要があり、遠隔地に散在する多数の専門家によるコンサルティングサービスシステムを提供することが困難であった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ユーザの依頼事項に対して専門家等の回答者から回答を受けるためのシステムであって、拡張性に優れ、きめの細かいサービスがユーザに提供可能なコンサルティングサービスシステム、およびこれを安価に実現することのできる呼制御装置、そのためのコンピュータプログラムならびに呼制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の呼制御装置は、ともに公衆通信回線網に接続された、ユーザ端末と、窓口端末と、回答者端末との間に、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いてそれぞれセッションを確立する呼制御装置であって、
前記ユーザ端末から該ユーザ端末の識別情報を含む第一メッセージを受信し、受信した前記第一メッセージを前記窓口端末に送信して、前記ユーザ端末と前記窓口端末との間に第一セッションを確立し、
前記窓口端末から前記識別情報を含む第二メッセージを受信し、受信した前記第二メッセージを前記回答者端末に送信するとともに、前記回答者端末から受信した呼接続要求を前記ユーザ端末に送信して、前記回答者端末と前記ユーザ端末との間に第二セッションを確立する
ことを特徴とする。
【0008】
ここで、ユーザ端末、窓口端末および回答者端末は、それぞれ、電話発信(発呼)および着信(着呼)機能を有する固定端末、または携帯端末を意味する。
【0009】
ユーザ端末の識別情報とは、電話番号のほか、IP(Internet Protocol)アドレスや、URI(Uniform Resource Identifier:統一資源識別子)などを意味するものである。
また、メッセージが識別情報を含むとは、端末間で送受信されるメッセージの本文またはヘッダの一部または全部に、ユーザ端末の識別情報が、平文、または復元可能に置換された状態で含まれている状態を意味する。
【0010】
呼制御装置が一の端末(例えばユーザ端末)から受信したメッセージ(例えば第一メッセージ)を他の端末(例えば窓口端末)に送信するとは、受信したメッセージに対応する呼接続要求などの情報伝達を、該当する上記他の端末に対して行うことを意味する。したがって、呼制御装置が受信するメッセージと、呼制御装置が送信するメッセージとは同一であっても、互いに相違してもよい。同様に、呼制御装置が受信するメッセージに含まれるユーザ端末の識別情報と、呼制御装置が送信するメッセージに含まれるユーザ端末の識別情報とは、同一のユーザ端末に対応するものである限り、その形式は同一であってもよく、または一方が暗号化されるなどして互いに相違するものであってもよい。
【0011】
本発明のコンサルティングサービスシステムは、互いに公衆通信回線網を介して接続されたユーザ端末、窓口端末および回答者端末と、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いてこれらの端末の間にセッションを確立する呼制御装置と、を含み、前記ユーザ端末からの呼接続要求に基づいて前記ユーザ端末と前記回答者端末との間にセッションが確立されるコンサルティングサービスシステムであって、
前記呼制御装置が、少なくとも前記ユーザ端末および前記回答者端末と、前記公衆通信回線網を介して接続されるとともに、
前記呼制御装置が、
前記ユーザ端末から該ユーザ端末の識別情報を含む第一メッセージを受信し、受信した前記第一メッセージを前記窓口端末に送信して、前記ユーザ端末と前記窓口端末との間に第一セッションを確立し、
前記窓口端末から前記識別情報を含む第二メッセージを受信し、受信した前記第二メッセージを前記回答者端末に送信するとともに、前記回答者端末から受信した呼接続要求を前記ユーザ端末に送信して、前記回答者端末と前記ユーザ端末との間に第二セッションを確立する
ことを特徴とする。
【0012】
ここで、呼制御装置は、上記のようにユーザ端末や回答者端末に対して、公衆通信回線網を介して隔てて配置されている。なお、呼制御装置と窓口端末とは、公衆通信回線網を介して隔てて配置されてもよく、LAN(Local Area Network)を介して同一の構内に配置されてもよい。
【0013】
本発明のコンピュータプログラムは、互いに公衆通信回線網を介して接続された、ユーザ端末と、窓口端末と、回答者端末との間に、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いてセッションを確立する呼制御装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記ユーザ端末から該ユーザ端末の識別情報を含む第一メッセージを受信し、受信した前記第一メッセージを前記窓口端末に送信して、前記ユーザ端末と前記窓口端末との間に第一セッションを確立する第一接続処理と、
前記窓口端末から前記識別情報を含む第二メッセージを受信し、受信した前記第二メッセージを前記回答者端末に送信するとともに、前記回答者端末から受信した呼接続要求を前記ユーザ端末に送信して、前記回答者端末と前記ユーザ端末との間に第二セッションを確立する第二接続処理と、
を前記呼制御装置に実行させる。
【0014】
本発明の呼制御方法は、互いに公衆通信回線網を介して接続された、ユーザ端末と、窓口端末と、回答者端末との間に、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いてセッションを確立する呼制御方法であって、
前記ユーザ端末から該ユーザ端末の識別情報を含む第一メッセージを受信し、受信した前記第一メッセージを前記窓口端末に送信して、前記ユーザ端末と前記窓口端末との間に第一セッションを確立する第一接続ステップと、
前記窓口端末から前記識別情報を含む第二メッセージを受信し、受信した前記第二メッセージを前記回答者端末に送信するとともに、前記回答者端末から受信した呼接続要求を前記ユーザ端末に送信して、前記回答者端末と前記ユーザ端末との間に第二セッションを確立する第二接続ステップと、
を含む。
【0015】
なお、本発明の各種の構成要素は、その機能を実現するように形成されていればよく、例えば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与された呼制御装置、コンピュータプログラムにより呼制御装置に実現された所定の機能、これらの任意の組み合わせ、等として実現することができる。
【0016】
また、本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個のデバイスとして形成されていること、一つの構成要素が複数のデバイスで形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でよい。
【0017】
また、本発明の呼制御方法には複数のステップを順番に記載してあるが、その記載の順番は複数のステップを実行する順番を必ずしも限定するものではない。このため、本発明の方法を実施するときには、その複数の工程の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0018】
さらに、本発明の呼制御方法の複数のステップは、個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、あるステップの実行中に他のステップが発生すること、あるステップの実行タイミングと他のステップの実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
【0019】
また、本発明で云う呼制御装置は、コンピュータプログラムを読み取って対応する情報処理およびアプリケーション処理を実行できるように、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/F(Interface)ユニット、等の汎用デバイスで構築されたハードウェア、所定の情報処理やアプリケーション処理を実行するように構築された専用の論理回路、これらの組み合わせ、等として実施することができる。
【0020】
なお、本発明でコンピュータプログラムに対応した各種動作を呼制御装置に実行させることは、各種デバイスを呼制御装置に動作制御させることなども意味している。
【0021】
例えば、呼制御装置に各種情報やデータを登録、格納、記憶、保持または保存させることは、呼制御装置に固定されているHDD(Hard Disc Drive)やRAM等の情報記憶媒体にCPUが各種情報やデータを格納すること、呼制御装置に交換自在に装填されているCD−R(Compact Disc-Recordable)等の情報記憶媒体にCPUがCDドライブで各種情報やデータを格納すること、等でよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の呼制御装置によれば、これを公衆通信回線網に接続することにより、回答者端末からユーザ端末に向けてコンサルティングサービスを提供することができる。このコンサルティングサービスを受けるにあたり、ユーザ端末は呼接続要求を窓口端末に発呼するだけで、回答者端末とのセッションが確立されるため、ユーザの利用負担が低い。
また、本発明の呼制御装置および呼制御方法では、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いて端末間にセッションが確立される。したがって、呼接続の拡張性が向上し、ユーザの要望等に応じたきめの細かいサービスをユーザに提供することが可能になる。
また、本発明のコンサルティングサービスシステムにおいては、呼制御装置が公衆通信回線網を介してユーザ端末や回答者端末と接続されている。換言すると、本発明においては、回答者端末ごとに呼制御装置を配置することなく、公衆通信回線網にネットワーク接続された呼制御装置によって、窓口端末に発呼したユーザ端末と、回答者端末との間にセッションを確立することができる。これにより、本発明によれば、回答者端末が遠隔地に多数散在して配置される場合も、安価にコンサルティングサービスシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態の一例について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1は、本実施形態のコンサルティングサービスシステム200の構成を示すブロック図である。
【0024】
はじめに、本実施形態のコンサルティングサービスシステム200の概要について説明する。
コンサルティングサービスシステム200は、互いに公衆通信回線網(IPネットワーク150)を介して接続されたユーザ端末10、窓口端末20および回答者端末30,31と、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いてこれらの端末の間にセッションを確立する呼制御装置40と、を含んで構成される。そして、ユーザ端末10からの呼接続要求に基づいて、ユーザ端末10と回答者端末30または31との間にセッションが確立される。
また、呼制御装置40は、少なくともユーザ端末10および回答者端末30,31と、公衆通信回線網(IPネットワーク150)を介して接続されている。
【0025】
つぎに、本実施形態の呼制御装置40の概要について説明する。
呼制御装置40は、ともに公衆通信回線網(IPネットワーク150)に接続された、ユーザ端末10と、窓口端末20と、回答者端末30,31との間に、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いてセッションを確立する。
そして、呼制御装置40は、ユーザ端末10から該ユーザ端末10の識別情報を含む第一メッセージを受信し、受信した第一メッセージを窓口端末20に送信して、ユーザ端末10と窓口端末20との間に第一セッションを確立する。
つぎに、呼制御装置40は、窓口端末20から上記識別情報を含む第二メッセージを受信し、受信した第二メッセージを回答者端末30または31に送信するとともに、回答者端末30または31から受信した呼接続要求をユーザ端末10に送信して、回答者端末30または31とユーザ端末10との間に第二セッションを確立する。
【0026】
つぎに、本実施形態の呼制御装置40およびコンサルティングサービスシステム200について、より詳細に説明する。
図1を参照すると、コンサルティングサービスシステム200は、いずれもインターネット等のIPネットワーク150に接続された、ユーザ端末10、窓口端末20、回答者端末30,31、呼制御装置40およびWEBサーバ50を備えている。
これらのユーザ端末10、窓口端末20、回答者端末30、呼制御装置40およびWEBサーバ50は、それぞれプログラム制御により動作する。
【0027】
ユーザ端末10、窓口端末20、回答者端末30,31は、それぞれ、接続された端末からの映像および音声出力が可能なモニタ60,90,120,121と、端末使用者の映像を取得するカメラ70,100,130,131と、端末使用者の音声を取得するマイク80,110,140,141と、を備えて構成されている。
ユーザ端末10とモニタ60、窓口端末20とモニタ90、回答者端末30とモニタ120は、映像および音声の送受信を行うためにそれぞれ1対1で接続されている。
【0028】
ユーザ端末10は、セットトップボックス等の情報処理端末であり、本実施形態のコンサルティングサービスシステム200によるコンサルティングサービスを利用するユーザが使用する端末である。
本実施形態のコンサルティングサービスシステム200は、IPネットワーク150に接続された多数のユーザ端末10からのアクセスを受け付ける。
【0029】
ユーザ端末10は、IPネットワーク150を介してWEBサーバ50から配信されるコンテンツを受信し、モニタ60へ送信する機能を備えている。
また、ユーザ端末10はIPネットワーク150および呼制御装置40を介して、窓口端末20や回答者端末30,31とIP電話による呼接続を行う機能を備えている。
【0030】
ユーザ端末10は、カメラ70から入力される映像やマイク80から入力される音声のデータを、IPネットワーク150を介して窓口端末20や回答者端末30,31に送信する機能、および、窓口端末20や回答者端末30,31からの映像・音声のデータを受信してモニタ60に出力するテレビ電話機能を備えている。
【0031】
窓口端末20は、セットトップボックス等の情報処理端末であり、本実施形態のコンサルティングサービスシステム200におけるオペレータが使用する端末である。
図1では、窓口端末20は一台のみが図示されているが、これに代えて、LAN等に接続された複数台の窓口端末20を設けてもよい。
【0032】
窓口端末20は、IPネットワーク150および呼制御装置40を介して、ユーザ端末10や回答者端末30,31とIP電話による呼接続を行う機能を備えている。
また、窓口端末20は、カメラ100から入力される映像とマイク110から入力される音声のデータを、IPネットワーク150を介してユーザ端末10や回答者端末30,31に送信する機能、および、ユーザ端末10や回答者端末30,31からの映像・音声のデータを受信してモニタ90に出力するテレビ電話機能を備えている。
【0033】
回答者端末30,31は、セットトップボックス等の情報処理端末であり、本実施形態のコンサルティングサービスシステム200においてユーザに対するコンサルティングを行う回答者が使用する端末である。なお、本発明においてコンサルティングを行う回答者としては、経営、法律、技術または金融などに関する専門の資格保持者のほか、アンケート回答に応じる一般回答者も含む。
【0034】
図1では、二台の回答者端末30,31が図示されているが、一台のみ、または三台以上の回答者端末を設けてもよい。
コンサルティング内容は特に限定されず、回答者端末30,31は、IPネットワーク150に対して広域に分散して配置されている。ただし、複数台の回答者端末を設ける場合、その一部については互いにLANで接続された同一の構内に接続されてもよい。
【0035】
回答者端末30,31は、IPネットワーク150および呼制御装置40を介して、ユーザ端末10や窓口端末20とIP電話による呼接続を行う機能をそれぞれ備えている。
また、回答者端末30は、カメラ130から入力される映像とマイク140から入力される音声のデータを、IPネットワーク150を介してユーザ端末10や窓口端末20に送信する機能、および、ユーザ端末10や窓口端末20からの映像・音声のデータを受信してモニタ120に出力するテレビ電話機能を備えている。
【0036】
呼制御装置40は、呼制御サーバによって構成されている。そして本実施形態の呼制御装置40は、SIP(Session Initiation Protocol:セッション開始プロトコル)サーバの機能を備えている。すなわち、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルであるSIPを用いて、ユーザ端末10、窓口端末20および回答者端末30,31との間にセッションを確立する。
呼接続の管理および実際の接続をする呼制御装置40は、マルチセッションを有効にしており、例えば複数台のユーザ端末10から二つ以上の呼接続要求があった場合でも接続を許可する。
【0037】
呼制御装置40は、一の端末(例えばユーザ端末10)から他の端末(例えば窓口端末20)に対するINVITEメッセージ(呼接続要求)を中継することで、これらの端末の間に1対1のセッションを確立する。
より具体的には、呼制御装置40は、一の端末からのINVITEメッセージを他の端末に転送し、次に、当該他の端末からのACKメッセージ(呼接続応答)を当該一の端末に転送することで、これらの端末の間にセッションを確立する。
また、後述のように呼制御装置40は、転送先を第三の端末とするREFERメッセージを一の端末から他の端末に送信することにより、当該他の端末と第三の端末との間にセッションを確立することができる。
【0038】
本実施形態の場合、具体的には、ユーザ端末10から窓口端末20に対して送信されるINVITEメッセージに基づいて、両端末の間に第一セッションが確立される。INVITEメッセージには、呼接続の要求元であるユーザ端末10の識別情報にあたるURIと、要求先である窓口端末20の識別情報にあたるURIが記載されている。
第一セッションでは、ユーザは、ユーザ端末10、IPネットワーク150、呼制御装置40および窓口端末20を介して、事務的な事項や、希望するコンサルティングサービスの概要をオペレータに伝える。第一セッションは、映像および音声を用いて行われる。
【0039】
本実施形態のコンサルティングサービスシステム200では、複数の回答者端末30,31がIPネットワーク150に接続されるとともに、呼制御装置40が、窓口端末20より指定された、いずれかの回答者端末に対して第二メッセージを送信し、これに基づいて回答者端末30または31とユーザ端末10との間に第二セッションを確立する。
【0040】
すなわち、窓口端末20を使用するオペレータは、ユーザの希望に応じて適切な回答者を選択する。そして、窓口端末20は、ユーザ端末10との第一セッションを維持した状態で、選択された回答者が使用する回答者端末30または31(以下、回答者端末30とする。)とユーザ端末10の間に第二セッションを確立すべく、第二メッセージを回答者端末30に向けて送信する。
【0041】
第二メッセージには、送信元である窓口端末20の識別情報にあたるURIと、送信先である回答者端末30のURIのほか、第二セッションの確立先であるユーザ端末10のURIが記載されている。
【0042】
これにより、第二メッセージを受信した回答者端末30は、コンサルティングサービスの提供先であるユーザ端末10の識別情報(URI)に向けて呼接続要求を発信することが可能になる。
【0043】
本実施形態の場合、具体的には、転送先をユーザ端末10とするREFERメッセージを、窓口端末20は第二メッセージとして呼制御装置40に送信し、呼制御装置40はこれを回答者端末30に転送する。
そして、回答者端末30がREFERメッセージを受け取ってこれに応答することで、REFERメッセージに識別情報が記載されたユーザ端末10に対して、回答者端末から呼接続要求が発信される。
かかる呼接続要求は、まず呼制御装置40に送信され、呼制御装置40はこれをユーザ端末10に転送する。そしてユーザ端末10が呼接続要求に応答することで、回答者端末30とユーザ端末10との間に第二セッションが確立される。
【0044】
第二セッションにおいては、ユーザ端末10と回答者端末30との間で映像および音声のデータを交換することで、コンサルティング内容に関する専門的な事項が伝達される。
そして、所定のコンサルティングが終了した時点で、ユーザ端末10または回答者端末30から呼制御装置40に対して、第二セッションの呼切断要求を送信し、コンサルティングサービスを終了する。
【0045】
なお、REFERメッセージを用いる上記態様に代えて、回答者端末30からユーザ端末10への呼接続要求の発信は、回答者端末30から呼制御装置40を介してユーザ端末10に対してINVITEメッセージを送信して行ってもよい。
【0046】
また、本実施形態においては、第一セッションと第二セッションとの間に、他のセッションを確立してもよい。
一例としては、ユーザからの依頼内容を第一セッションで知得したオペレータから、選択された回答者に対し、第二セッションに先立って概要説明を行うためのセッションを別途確立するとよい。
【0047】
具体的には、ユーザ端末10と窓口端末20との間に第一セッションを維持したまま、窓口端末20から回答者端末30に対してINVITEメッセージを送信することで、第二セッションに先立って第三セッションを確立する。したがって、本実施形態において、第一から第三の呼称は、セッションが確立される時系列を意味するものではない。
【0048】
第三セッションでは、所定時間にわたってユーザからの依頼内容をオペレータから回答者に伝達した上で、これを呼切断するとよい。第三セッションの呼切断要求は、窓口端末20または回答者端末30のいずれから呼制御装置40に発信してもよい。
第三セッションの呼切断の後、あらためて窓口端末20から回答者端末30に対して第二メッセージ(REFERメッセージ)を送信することで、上記の第二セッションが回答者端末30とユーザ端末10との間で確立される。
この間、ユーザ端末10と窓口端末20との第一セッションは、継続して維持しておくことができる。
【0049】
図2は、本実施形態の呼制御装置40による呼制御方法を示すフローチャートである。同図を用いて、呼制御装置40にて行われる呼制御方法を説明する。
【0050】
はじめに、本実施形態の呼制御方法の概要について説明する。
本実施形態の呼制御方法は、互いに公衆通信回線網(IPネットワーク150)を介して接続された、ユーザ端末10と、窓口端末20と、回答者端末30,31(以下、回答者端末30とする。)との間に、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いてセッションを確立する方法であり、第一および第二の接続ステップを含む。
第一接続ステップ(ステップ:T10)では、WEBサーバ50にアクセスしてコンサルティングサービスシステム200のTV電話接続画面を取得したユーザ端末10から該ユーザ端末10の識別情報を含む第一メッセージを受信し、受信した第一メッセージを窓口端末20に送信して、ユーザ端末10と窓口端末20との間に第一セッションを確立する。
第二接続ステップ(ステップ:T40〜50)では、窓口端末20から上記識別情報を含む第二メッセージを受信し、受信した第二メッセージを回答者端末30に送信するとともに、回答者端末30から受信した呼接続要求をユーザ端末10に送信して、回答者端末30とユーザ端末10との間に第二セッションを確立する。
【0051】
つぎに、本実施形態の呼制御方法について、より詳細に説明する。
第一接続ステップ(ステップ:T10)では、呼制御装置40は、ユーザ端末10から受信した呼接続要求であるINVITEメッセージを窓口端末20に送信する。そして、窓口端末20からの呼接続応答をユーザ端末10に送信することで、第一セッションが確立する。
【0052】
第二接続ステップ(ステップ:T40〜50)では、呼制御装置40は、窓口端末20から受信したREFERメッセージを回答者端末30に送信する。かかるREFERメッセージには、ユーザ端末10の識別情報(URI)が、転送先として記載されている。したがって、回答者端末30がこれに応答することで、回答者端末30からユーザ端末10に向けて、呼制御装置40を介して呼接続要求が送信される(ステップ:T40)。
そして、かかるREFERメッセージに対してユーザ端末10が応答することで、回答者端末30とユーザ端末10との間には第二セッションが確立される(ステップ:T50)。
【0053】
本実施形態の呼制御方法においては、図2に示すように、第一接続ステップと第二接続ステップとの間に、窓口端末20と回答者端末30との間で他の呼接続(上記した第三セッション)の確立(ステップ:T20)および切断(ステップ:T30)を行う。かかる呼接続の確立は、窓口端末20から回答者端末30に向けて送信されるINVITEメッセージにより、呼接続の切断は、窓口端末20または回答者端末30から呼制御装置40に送信されるBYEメッセージにより行うことができる。
【0054】
また、第二セッションを終了するにあたっては、ユーザ端末10または回答者端末30から呼制御装置40に対して、同様にBYEメッセージを送信することで呼切断される(ステップ:T60)。
【0055】
次に、図3、図4、図5を参照して本実施形態のコンサルティングサービスシステム200における処理について詳細に説明する。
【0056】
<第一セッションについて>
図3は、第一セッションを確立するシーケンス図である。まず、ユーザは専任相談窓口である窓口端末20へTV電話接続するため、ユーザ端末10よりWEBサーバ50にアクセスし、WEBサーバ50にTV電話接続画面の取得要求を送信する(ステップ:S01)。WEBサーバ50はユーザ端末10の取得要求に対して、TV電話接続画面をユーザ端末10に送信する(ステップ:S02)。TV電話接続画面には、窓口端末20の電話番号等の識別情報が、呼接続情報として含まれている。
【0057】
ユーザ端末10は、呼接続情報を参照し、窓口端末20への呼接続要求である第一メッセージを、IPネットワーク150を介して呼制御装置40に送信する(ステップ:S03)。
呼制御装置40は、ユーザ端末10からの呼接続要求を、IPネットワーク150を介して窓口端末20に中継する(ステップ:S04)。
【0058】
呼接続要求を受信した窓口端末20は、モニタ90にユーザ端末10からの呼接続要求を表示する(ステップ:S05)。
オペレータは、モニタ90でユーザ端末10からの呼接続要求表示を確認し、窓口端末20でユーザ端末10からの呼接続を許可する(ステップ:S06)。
窓口端末20は、ユーザ端末10への呼接続応答を、IPネットワーク150を介して呼制御装置40に送信する(ステップ:S07)。
呼制御装置40は、窓口端末20からの呼接続応答を、IPネットワーク150を介してユーザ端末10に中継する(ステップ:S08)。
ユーザ端末10は窓口端末20からの呼接続応答を受信し、呼接続(第一セッション)が確立する。
【0059】
そして、窓口端末20は、カメラ100からの映像およびマイク110からの音声のデータを受信し、圧縮処理を行う(ステップ:S09)。
窓口端末20は、圧縮された映像と音声のデータを、ユーザ端末10にIPネットワーク150を介して送信する(ステップ:S10)。
ユーザ端末10は、窓口端末20から送信された映像と音声のデータを受信する(ステップ:S11)。
ユーザ端末10は、受信された映像と音声のデータの解凍処理を行い(ステップ:S12)、モニタ60に表示する(ステップ:S13)。
また、ユーザ端末10は、カメラ70からの映像データ、マイク80からの音声データを受信し、圧縮処理を行う(ステップ:S14)。
ユーザ端末10は、圧縮された映像と音声のデータを、窓口端末20にIPネットワーク150を介して送信する(ステップ:S15)。
【0060】
一方、窓口端末20は、ユーザ端末10から送信された映像と音声のデータを受信する(ステップ:S16)。
窓口端末20は、受信された映像と音声のデータの解凍処理を行い(ステップ:S17)、モニタ90に表示する(ステップ:S18)
これにより、双方向のテレビ電話接続が確立される(ステップ:S19)。
【0061】
このときの、各端末のモニタ60,90,120の表示画面は、図6の通りとなる。
ユーザ端末10のモニタ60の表示ウィンドウW1には、窓口端末20の映像が表示される。そして、表示ウィンドウW2には、ユーザ端末10(自画像)が表示される。
窓口端末20のモニタ90の表示ウィンドウW3には、ユーザ端末10の映像が表示される。そして、表示ウィンドウW4には、窓口端末20(自画像)が表示される。
回答者端末30は未通信状態であるため、そのモニタ120には映像は何も表示されない。
【0062】
<第三セッションについて>
図4は、第一セッションと第二セッションとの間に行われる第三セッションを確立するシーケンス図である。すなわち、本実施形態では、ユーザとオペレータとの間の第一セッションと、回答者とユーザとの間の第二セッションとの間に、オペレータから回答者に対してユーザの依頼内容の概要を説明する第三セッションを行う。
【0063】
ユーザ端末10と窓口端末20との通話において、回答者によるコンサルティングサービスをユーザが受けることとなった場合に、窓口端末20は、既に登録済みの電話帳から選択した、いずれかの回答者端末(回答者端末30)への呼接続要求である第三メッセージを、IPネットワーク150を介して呼制御装置40に送信する(ステップ:S20)。
かかる第三メッセージは、INVITEメッセージである。
【0064】
呼制御装置40は、ユーザ端末10からの呼接続要求を、IPネットワーク150を介して回答者端末30に中継する(ステップ:S21)。
【0065】
呼接続要求を受信した回答者端末30は、そのモニタ120に窓口端末20からの呼接続要求(第三メッセージ)を表示する(ステップ:S22)。
回答者は、モニタ120で窓口端末20からの呼接続要求表示を確認し、回答者端末30で窓口端末20からの呼接続を許可する(ステップ:S23)。
【0066】
つぎに、回答者端末30は、窓口端末20への呼接続応答を、IPネットワーク150を介して呼制御装置40に送信する(ステップ:S24)。
呼制御装置40は、回答者端末30からの呼接続応答を、IPネットワーク150を介して窓口端末20に中継する(ステップ:S25)。
窓口端末20は、回答者端末30からの呼接続応答を受信し、呼接続(第三セッション)が確立する。
【0067】
そして、回答者端末30は、カメラ130からの映像データやマイク140からの音声データを受信し、圧縮処理を行う(ステップ:S26)。
回答者端末30は、圧縮された映像と音声のデータを、窓口端末20にIPネットワーク150を介して送信する(ステップ:S27)。
窓口端末20は、回答者端末30から送信された映像と音声のデータを受信する(ステップ:S28)。
窓口端末20は、受信された映像と音声のデータの解凍処理を行い(ステップ:S29)、モニタ90に表示する(ステップ:S30)。
窓口端末20は、カメラ100からの映像データや、マイク110からの音声データを受信し、圧縮処理を行う(ステップ:S31)。
窓口端末20は、圧縮された映像と音声のデータを、回答者端末30にIPネットワーク150を介して送信する(ステップ:S32)。
【0068】
一方、回答者端末30は、窓口端末20から送信された映像と音声のデータを受信する(ステップ:S33)。
回答者端末30は、受信された映像と音声のデータの解凍処理を行い(ステップ:S34)、モニタ120に表示する(ステップ:S35)
これにより、双方向のテレビ電話接続が確立される(ステップ:S36)。
【0069】
このときのモニタの表示画面の状態を図7に示す。ユーザ端末10のモニタ60の表示ウィンドウW1には、窓口端末20の映像が表示される。そして、表示ウィンドウW2には、ユーザ端末10(自画像)が表示される。
窓口端末20のモニタ90の表示ウィンドウW3には、ユーザ端末10の映像が表示される。そして、表示ウィンドウW4には、回答者端末30の映像が表示され、表示ウィンドウW5には窓口端末20(自画像)が表示される。
回答者端末30のモニタ120の表示ウィンドウW6には、窓口端末20の映像が表示され、表示ウィンドウW7には、回答者端末30(自画像)が表示される。
つまり、窓口端末20は、ユーザ端末10と回答者端末30との二者通話状態であり、ユーザ端末10と回答者端末30は、窓口端末20のみと接続された状態にある。
【0070】
<第二セッションについて>
図5は、第二セッションを確立するシーケンス図である。コンサルティングサービスを提供する第二セッションは、オペレータから回答者への概要説明を行う第三セッションの後に行われる。
【0071】
回答者とユーザがTV電話で話すため、第三セッションをまず切断する。したがって、窓口端末20からIPネットワーク150を介して呼制御装置40に呼切断要求(BYEメッセージ)を送信する(ステップ:S37)。
呼制御装置40は、窓口端末20からの呼切断要求を、IPネットワーク150を介して回答者端末30に送信する(ステップ:S38)。
【0072】
その後、窓口端末20から回答者端末30に対し、REFERメソッドを用いた呼接続要求ための第二メッセージ(REFERメッセージ)を、IPネットワーク150を介して呼制御装置40に送信する(ステップ:S39)。
呼制御装置40は、窓口端末20からのREFERメッセージを、IPネットワーク150を介して回答者端末30に送信する(ステップ:S40)。
【0073】
REFERメッセージには、回答者端末30からユーザ端末10に呼接続させるため、ユーザ端末10の識別情報が記述されている。このため、回答者端末30はREFERメッセージを受信すると、ユーザ端末10への呼接続要求を、IPネットワーク150を介して呼制御装置40に送信する(ステップ:S41)。
【0074】
ここで、本実施形態においては、第二メッセージに含まれるユーザ端末10の識別情報は、回答者端末30のモニタ120に対しては表示出力されない。
【0075】
上記した第一セッションにおいては、窓口端末20のモニタ90にユーザ端末10の識別情報を表示出力させることで、ユーザの認証や確認を行う。一方、本実施形態においては、回答者端末30,31のモニタ120,121にはユーザ端末10の識別情報が表示出力されない。
これにより、回答者は、これからコンサルティングサービスを提供するユーザの識別情報を知ることなく、REFERメッセージに応答することで回答者端末30とユーザ端末10とのセッションが確立される。
このように、ユーザ端末10の識別情報をどの端末で表示し、どの端末に対して秘匿するかについては、端末にインストールするソフトウェア上で設計が可能である。かかる柔軟な設計は、コンサルティングサービスシステム200において、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いてセッションを確立していることによって可能となる。
【0076】
そして、呼制御装置40は、回答者端末30からの呼接続要求を、IPネットワーク150を介してユーザ端末10に中継する(ステップ:S42)。
【0077】
呼接続要求を受信したユーザ端末10は、そのモニタ60に回答者端末30からの呼接続要求(第二メッセージ)を表示する(ステップ:S43)。
ユーザは、モニタ60で回答者端末30からの呼接続要求表示を確認し、ユーザ端末10で回答者端末30からの呼接続を許可する(ステップ:S44)。
そして、ユーザ端末10は、回答者端末30への呼接続応答を、IPネットワーク150を介して呼制御装置40に送信する(ステップ:S45)。
呼制御装置40は、ユーザ端末10からの呼接続応答を、IPネットワーク150を介して回答者端末30に中継する(ステップ:S47)。
これにより、ユーザ端末10は回答者端末30からの呼接続応答を受信し、呼接続(第二セッション)が確立する。
【0078】
そして、ユーザ端末10は、カメラ70からの映像データや、マイク80からの音声データを受信して圧縮処理を行う(ステップ:S48)。
ユーザ端末10は、圧縮された映像と音声のデータを、回答者端末30にIPネットワーク150を介して送信する(ステップ:S49)。
【0079】
回答者端末30は、ユーザ端末10から送信された映像と音声のデータを受信する(ステップ:S50)。
回答者端末30は、受信された映像と音声のデータの解凍処理を行い(ステップ:S51)、モニタ120に表示する(ステップ:S52)。
回答者端末30は、カメラ130からの映像データや、マイク140からの音声データを受信し、圧縮処理を行う(ステップ:S53)。
そして、回答者端末30は、圧縮された映像と音声をユーザ端末10にIPネットワーク150を介して送信する(ステップ:S54)。
【0080】
一方、ユーザ端末10は、回答者端末30から送信された映像と音声のデータを受信する(ステップ:S55)。
ユーザ端末10は、受信された映像と音声の解凍処理を行い(ステップ:S56)、モニタ60に表示して(ステップ:S57)、テレビ電話接続を確立する(ステップ:S58)。
【0081】
このときのモニタの表示画面の状態を図8に示す。ユーザ端末10のモニタ60の表示ウィンドウW1には窓口端末20の映像が表示され、表示ウィンドウW2には回答者端末30の映像が表示され、表示ウィンドウW3にはユーザ端末10(自画像)が表示される。
窓口端末20のモニタ90の表示ウィンドウW4にはユーザ端末10の映像が表示され、表示ウィンドウW5には、窓口端末20(自画像)が表示される。
回答者端末30のモニタ120の表示ウィンドウW6にはユーザ端末10の映像が表示され、表示ウィンドウW7には回答者端末30(自画像)が表示される。
このように、第二セッションでは、ユーザ端末10は窓口端末20と回答者端末30との二者通話状態であり、窓口端末20と回答者端末30は、ユーザ端末10のみと接続された状態である。
【0082】
本実施形態の呼制御装置40およびこれを備えるコンサルティングサービスシステム200によれば、以下の作用効果を得ることができる。
【0083】
まず、端末間のセッションの確立に、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いたことで、呼接続要求の発信者の選択や、ユーザ端末10の識別情報の取り扱いなどに関し、ユーザの要望等に応じたきめの細かいサービスをユーザに提供することが可能になる。
そして、呼制御装置40は、ユーザ端末10から当該ユーザ端末10の識別情報を含む第一メッセージを受信し、受信した第一メッセージを窓口端末20に送信して、ユーザ端末10と窓口端末20との間に第一セッションを確立する。これにより、ユーザは、専門家などの回答者の識別情報を調べることなく、一本化された窓口端末20に対して発呼することでコンサルティングサービスシステム200にアクセスすることができる。
つぎに、呼制御装置40は、窓口端末20から、上記識別情報を含む第二メッセージを受信し、受信した第二メッセージを回答者端末30または31に送信するとともに、回答者端末30または31から受信した呼接続要求をユーザ端末10に送信して、回答者端末30または31とユーザ端末10との間に第二セッションを確立する。これにより、ユーザは回答者端末に対して自ら発呼する必要がなく、窓口端末20への第一セッションの呼接続要求を発呼するだけで、回答者端末30または31とのセッションが確立され、利用負担が低い。
【0084】
また、本実施形態では、第二セッションが、第一セッションを維持した状態で確立される。これにより、少なくとも回答者端末30または31からユーザ端末10に対する第二セッションが確立されるまで、ユーザ端末10は呼接続が切断されることがない。仮に、第一セッションを切断してからあらためて第二セッションを確立する場合、ユーザは所定時間の間、呼接続なしの状態で待たされることになる。そして、この間、回答者端末30,31からの呼接続要求がユーザ端末10にて正常に受信されるかどうかをユーザは懸念しつづけなければならない。これに対し、本実施形態の場合、ユーザ端末10と窓口端末20との呼接続は、回答者端末30,31からの呼接続要求が到達するまで維持されていることから、上記懸念をユーザに与えるおそれがない。
【0085】
本実施形態の呼制御装置40では、呼制御のための標準プロトコルとしてセッション開始プロトコル(SIP)を用いている。また、第二メッセージには、転送先をユーザ端末10とするREFERメッセージを用いている。これにより、一般にオペレータに比して端末の操作に熟達していない回答者が、窓口端末20からの呼接続要求に応答するだけで、ユーザ端末10との間に第二セッションを開始することができる。したがって、回答者端末30,31ではユーザ端末10の識別情報を入力する必要がなく、回答者にとって端末の操作が容易となる。
【0086】
また、本実施形態のコンサルティングサービスシステム200では、呼制御装置40が、少なくともユーザ端末10および回答者端末30,31と、公衆通信回線網(IPネットワーク150)を介して接続されている。これにより、回答者端末30,31が遠隔地に多数散在して配置される場合であっても、それぞれの構内に呼制御装置40を配置する必要がなく、安価にコンサルティングサービスを提供することができる。
【0087】
また、本実施形態のコンサルティングサービスシステム200では、第二メッセージに含まれるユーザ端末10の識別情報が、回答者端末30,31にて表示出力されることがない。これにより、ユーザは、ユーザ端末10の電話番号などの識別情報を回答者に知られることがない。このため、ユーザ端末10の識別情報が回答者端末30,31を通じて外部に漏洩したり、セッション終了後に回答者からユーザに不要な連絡が通知されたりすることがない。
特に、ユーザが多数の一般回答者からアンケート結果を募る目的で本実施形態のコンサルティングサービスシステム200にアクセスする場合には、ユーザ端末10の識別番号を回答者端末30,31に対して秘匿することをユーザが強く希望する場合がある。すなわち、テレビ会議システムのように識別情報が既知の相手先とのみセッションを確立する場合とは異なり、本実施形態のようにコンサルティングサービスを提供する場合については、ユーザ、オペレータおよび回答者の間で、必要に応じて識別情報を相手先に秘匿することが好ましい。これに対し、本実施形態によれば、回答者端末30,31に対してユーザ端末10の識別番号を知られることがないというメリットが提供される。
【0088】
また、本実施形態のコンサルティングサービスシステム200では、複数の回答者端末30,31が公衆通信回線網(IPネットワーク150)に接続されるとともに、呼制御装置40が、窓口端末20より指定された、いずれかの回答者端末30または31に対して第二メッセージを送信する。これにより、ユーザからの依頼内容に応じて適切な回答者を選択してコンサルティングサービスを提供することができる。
【0089】
また、本実施形態のコンピュータプログラムおよび呼制御方法によれば、上記の呼制御装置40およびコンサルティングサービスシステム200が実現される。
【0090】
また、本実施形態の呼制御装置40は、第一メッセージに含まれるユーザ端末10の識別情報を含む第三メッセージを窓口端末20から受信し、受信した第三メッセージを回答者端末30または31に送信して、窓口端末20と回答者端末30または31との間に第三セッションを確立する。これにより、ユーザの希望内容に応じた適切な回答者がオペレータによって選択されるとともに、コンサルティングサービスの開始に先立ってユーザの希望内容を回答者が事前に知得しておくことができる。
【0091】
さらに、本実施形態では、窓口端末20と回答者端末30との間の概要説明に関する第三セッションが切断されたのちに、ユーザ端末10と回答者端末30との間の専門的なコンサルティング内容に関する第二セッションが確立される。このため、回答者端末30,31が二者通話をすることはなく、回答者端末30,31とIPネットワーク150との間の接続回線に過剰な負荷を与えることがない。したがって、様々なネットワーク接続環境下にある回答者にとって、コンサルティングサービスシステム200への接続が可能となる。
【0092】
なお本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。
例えば上記実施形態では、ユーザ端末10と窓口端末20との間の第一セッションは、コンサルティングサービスの終了、すなわち第二セッションの呼切断までの間、常に維持されている。本発明については、これに代えて、第二セッションの開始とともに第一セッションの呼接続を切断してもよい。
【0093】
また、本実施形態では、回答者端末30,31に送信されるメッセージに含まれるユーザ端末10の識別番号(URI)が、回答者端末30,31のモニタ120,121にて表示出力されない。これを実現する方法としては、回答者端末30,31に実装されるソフトウェアによって、ユーザ端末10の識別情報をモニタ120,121上に表示させないこととしている。本発明については、これに代えて、第二メッセージに含まれるユーザ端末10の識別情報を、呼制御装置40において他の情報に置換することとしてもよい。
例えば、第二メッセージを受信した呼制御装置40が、第二メッセージのヘッダ部分に記載された転送先に関する情報を、復号可能に暗号化するなどして、回答者端末30,31に対してユーザ端末10の識別情報を秘匿する方法が例示される。
【0094】
TV電話を用いたコンサルティングサービスは、新たなビジネスとして注目され始めている。例えば銀行については、銀行を訪ねることができない、または銀行側から出向くことができない顧客に対し、従来の音声のみでは実現し得なかった文字や写真、資料を見せることによってその満足度を向上させることができるようなサービスのニーズが増加している。
本発明によれば、ユーザからみて相談窓口を一本化でき、手軽に多種多様なコンサルティングを受けられる、よろず相談サービスを提供することが可能となる。
また、コンサルティング窓口となるオペレータは、専門的な知識を持つ必要がなく、適切な専門家などの回答者にユーザを紹介すればよい。したがって、本発明によれば、コンサルティングサービスを手軽に提供できる事業を開始することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態のコンサルティングサービスシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の呼制御装置による呼制御方法を示すフローチャートである。
【図3】第一セッションを確立するシーケンス図である。
【図4】第三セッションを確立するシーケンス図である。
【図5】第二セッションを確立するシーケンス図である。
【図6】第一セッションにおけるモニタの表示画面の状態を示す図である。
【図7】第三セッションにおけるモニタの表示画面の状態を示す図である。
【図8】第二セッションにおけるモニタの表示画面の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
10 ユーザ端末
20 窓口端末
30,31 回答者端末
40 呼制御装置
50 WEBサーバ
60,90,120,121 モニタ
70,100,130,131 カメラ
80,110,140,141 マイク
150 IPネットワーク
200 コンサルティングサービスシステム
W1〜W7 表示ウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ともに公衆通信回線網に接続された、ユーザ端末と、窓口端末と、回答者端末との間に、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いてそれぞれセッションを確立する呼制御装置であって、
前記ユーザ端末から該ユーザ端末の識別情報を含む第一メッセージを受信し、受信した前記第一メッセージを前記窓口端末に送信して、前記ユーザ端末と前記窓口端末との間に第一セッションを確立し、
前記窓口端末から前記識別情報を含む第二メッセージを受信し、受信した前記第二メッセージを前記回答者端末に送信するとともに、前記回答者端末から受信した呼接続要求を前記ユーザ端末に送信して、前記回答者端末と前記ユーザ端末との間に第二セッションを確立する
ことを特徴とする呼制御装置。
【請求項2】
前記第二セッションが、前記第一セッションを維持した状態で確立される請求項1に記載の呼制御装置。
【請求項3】
前記標準プロトコルが、セッション開始プロトコル(SIP)である請求項1または2に記載の呼制御装置。
【請求項4】
前記窓口端末から前記回答者端末に送信される前記第二メッセージが、転送先を前記ユーザ端末とするREFERメッセージである請求項3に記載の呼制御装置。
【請求項5】
互いに公衆通信回線網を介して接続されたユーザ端末、窓口端末および回答者端末と、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いてこれらの端末の間にセッションを確立する呼制御装置と、を含み、前記ユーザ端末からの呼接続要求に基づいて前記ユーザ端末と前記回答者端末との間にセッションが確立されるコンサルティングサービスシステムであって、
前記呼制御装置が、少なくとも前記ユーザ端末および前記回答者端末と、前記公衆通信回線網を介して接続されるとともに、
前記呼制御装置が、
前記ユーザ端末から該ユーザ端末の識別情報を含む第一メッセージを受信し、受信した前記第一メッセージを前記窓口端末に送信して、前記ユーザ端末と前記窓口端末との間に第一セッションを確立し、
前記窓口端末から前記識別情報を含む第二メッセージを受信し、受信した前記第二メッセージを前記回答者端末に送信するとともに、前記回答者端末から受信した呼接続要求を前記ユーザ端末に送信して、前記回答者端末と前記ユーザ端末との間に第二セッションを確立する
ことを特徴とするコンサルティングサービスシステム。
【請求項6】
前記第二メッセージに含まれる前記識別情報が、前記回答者端末にて表示出力されないことを特徴とする請求項5に記載のコンサルティングサービスシステム。
【請求項7】
複数の前記回答者端末が前記公衆通信回線網に接続されるとともに、
前記呼制御装置が、前記窓口端末より指定された、いずれかの前記回答者端末に対して前記第二メッセージを送信する請求項5または6に記載のコンサルティングサービスシステム。
【請求項8】
互いに公衆通信回線網を介して接続された、ユーザ端末と、窓口端末と、回答者端末との間に、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いてセッションを確立する呼制御装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記ユーザ端末から該ユーザ端末の識別情報を含む第一メッセージを受信し、受信した前記第一メッセージを前記窓口端末に送信して、前記ユーザ端末と前記窓口端末との間に第一セッションを確立する第一接続処理と、
前記窓口端末から前記識別情報を含む第二メッセージを受信し、受信した前記第二メッセージを前記回答者端末に送信するとともに、前記回答者端末から受信した呼接続要求を前記ユーザ端末に送信して、前記回答者端末と前記ユーザ端末との間に第二セッションを確立する第二接続処理と、
を前記呼制御装置に実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
互いに公衆通信回線網を介して接続された、ユーザ端末と、窓口端末と、回答者端末との間に、テキスト形式で記述された呼制御のための標準プロトコルを用いてセッションを確立する呼制御方法であって、
前記ユーザ端末から該ユーザ端末の識別情報を含む第一メッセージを受信し、受信した前記第一メッセージを前記窓口端末に送信して、前記ユーザ端末と前記窓口端末との間に第一セッションを確立する第一接続ステップと、
前記窓口端末から前記識別情報を含む第二メッセージを受信し、受信した前記第二メッセージを前記回答者端末に送信するとともに、前記回答者端末から受信した呼接続要求を前記ユーザ端末に送信して、前記回答者端末と前記ユーザ端末との間に第二セッションを確立する第二接続ステップと、
を含む呼制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−213072(P2009−213072A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56591(P2008−56591)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】