説明

呼制御装置

【課題】IPネットワークに接続された呼制御装置において、着信先のユーザがたとえ着信先の電話端末の近傍にいない場合でも、着信先のユーザが着信の認識できる確率を向上させる。
【解決手段】発呼側の呼制御装置100から送信されたINVITEメッセージに基づいて、着呼側の呼制御装置100が発呼元および着信先の称呼情報を特定し、特定された称呼情報を含む着呼を知らせる音声データを生成し、音声データをスピーカ部70により音声出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPネットワークに接続され、電話端末間の呼制御をSIP(Session Initiation Protocol)に従って行うSIP呼制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電話交換システムにおいて、着信時の利便性の向上や構内放送設備との連携を考慮した技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、着信先の名前の入力に対応して、入力された名前に対応する呼出番号により相手電話端末を呼び出し、呼び出された電話端末は、予め記憶されている前記呼出番号に対応する名前の音素データを読み出し、内蔵されたスピーカを介して前記音素データを出力することで着信先に対して名前と電話が掛かっていることを通報する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、交換システムに着信端末における着信者の名前情報とダイヤル情報を記憶手段に予め記憶しておき、発信端末からのダイヤル情報に基づいて記憶手段に記憶されている名前情報を選択し、選択された名前情報を着信端末に送出し、着信端末が送出された名前情報に基づいて音声により名前を通報する技術が開示されている。
【0005】
ところで、近年、インターネットの急速な普及に伴い、IPネットワークを利用したIP電話システムが注目されている。このようなIP電話システムにおいて、特許文献1や特許文献2のような技術を適用することで、IP電話システムにおいても、着信先の電話端末において、着信先の名前を通報することができる。
【特許文献1】特開昭62−24753号公報
【特許文献2】特開平6−14111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1や特許文献2に開示された技術のように、着信先の電話端末に内蔵されたスピーカにより着信先の名前を音声で通報する場合、着信先のユーザがその電話端末の近傍にいないと、着信の認識が困難な場合がある。
【0007】
本発明は、IPネットワークに接続された呼制御装置において、着信先のユーザがたとえ着信先の電話端末の近傍にいない場合でも、着信先のユーザが着信の認識をより容易に行うことができることを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る呼制御装置は、少なくとも一の電話端末を収容し、収容された電話端末に対する呼処理をSIPに従って行う呼制御装置であって、収容された電話端末への着信の際に、当該電話端末に着信表示させる着信手段と、前記着信の際に受信したSIPメッセージの一部を音声変換し、スピーカより出力する音声出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る呼制御装置によれば、SIPメッセージの一つであるセッション確立要求(INVITEメッセージ受信)のテキストデータを読み上げることで、着信時に誰宛の着信かを音声で簡単に通知することが可能となる。
【0010】
本発明に係る呼制御装置は、少なくとも一の電話端末を収容し、収容された電話端末に対する呼処理をSIPに従って行う呼制御装置であって、発呼側からのINVITEメッセージ内に着信先として記述されたアドレス情報に基づいて着信先の電話端末に対して呼処理を実行する呼処理部と、前記INVITEメッセージ内に着信先のアドレス情報に関連付けて記述された着信先の称呼情報を取得し、当該着信先の称呼情報を含んだ着信の通報を示す音声データを生成する音声データ生成部と、前記音声データを音声出力するスピーカ部と、を備えることを特徴する。
【0011】
本発明に係る呼制御装置によれば、音声データ生成部がINVITEメッセージ内に着信先のアドレス情報に関連付けて記述された着信先の称呼情報を取得し、当該着信先の称呼情報を含んだ着信の通報を示す音声データを生成し、スピーカ部が生成された音声データを音声出力する。よって、例えばスピーカ部を着呼側の呼制御装置が収容する電話端末と隣接せず離れたエリア(例えば、電話端末が設置されたエリアとは異なるエリア)に設置することで、着呼先のユーザがたとえ着信先の電話端末の近傍にいない場合でも、ユーザは容易に自身に着信があったことを把握することができる。
【0012】
本発明に係る呼制御装置の一つの態様では、前記音声データ生成部は、前記INVITEメッセージ内に発信元のアドレス情報に関連付けて記述された称呼情報を取得し、当該発信元の称呼情報を含む前記音声データを生成する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る呼制御装置の一つの態様によれば、音声データに発信元の称呼情報も含まれるため、着信先の他に発信元についても容易に把握することができる。
【0014】
本発明に係る呼制御装置の一つの態様では、アドレス情報に関連付けた少なくとも一つのサブアドレス情報と、各サブアドレス情報のそれぞれに関連付けられた各称呼情報とを記憶する称呼情報記憶部を備え、前記音声データ生成部は、前記INVITEメッセージ内に発呼元或いは着信先のサブアドレスとしてサブアドレス情報が記述されている場合には、当該サブアドレス情報に対応する称呼情報を前記称呼情報記憶部から取得し、当該発呼元或いは着信先のサブアドレスに対応する称呼情報を含む前記音声データを生成する、
ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る呼制御装置の一つの態様によれば、音声データに発呼元或いは着信先のサブアドレス情報に対応する称呼情報も含まれるため、発呼元或いは着信先をさらに詳細に把握することができる。
【0016】
本発明に係る呼制御装置の一つの態様によれば、呼処理が実行された電話端末の端末識別情報と機能ボタンのボタン識別情報を加えた音声データが生成され、音声出力されるため、ユーザが自身への着信に応答する際にどの電話端末のどの機能ボタンを操作すればよいか容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、INVITEメッセージに基づいて少なくとも発信元の称呼情報を含む着呼を知らせる音声データがスピーカ部から音声出力される。よって、例えば、スピーカ部を着呼側の呼制御装置が収容する電話端末と隣接せず離れたエリアに設置することで、着呼先のユーザがたとえ着信先の電話端末の近傍にいない場合でも、そのユーザは自身に対して着呼があったことを容易に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」と称す)について、以下図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る呼制御システムのシステム構成を示す図である。
【0020】
図1に示すように、電話端末200を収容し、電話端末間の接続、切断などの呼制御を行う呼制御装置100がインターネットなどのIPネットワーク300を介して接続されている。
【0021】
本実施形態において、呼制御装置(例えば、呼制御サーバ、交換装置(PBX、ビジネスホン、ボタン電話装置含む)、ゲートウェイ、ホームゲートウェイ等)100は、SIP(Session Initiation Protocol)に従って、他の呼制御装置100と通信を行い、収容している複数の電話端末200間の呼制御を行う。発呼側の呼制御装置100は、発呼元および着信先のアドレス情報と称呼情報を含むINVITEメッセージを生成し、着信側の呼制御装置100が発呼側から送出されたINVITEメッセージに記述された着信先のアドレス情報に基づいて、着信側の電話端末に対して着呼処理を実行するとともに、スピーカ端子を介して施設内の天井等に設けられたスピーカより、INVTEメッセージに基づいて特定された着信先や発呼元を示す称呼情報を含む音声データをユーザに通報する。
【0022】
呼制御装置は、テキストデータ形式のSIPメッセージ(INVITEメッセージ)を認識し音声変換するテキスト読み上げ手段(機能)を備えている。
【0023】
図1の一方の呼制御装置を呼制御装置(1)とし、他方の呼制御装置を呼制御装置(2)とする。呼制御装置(1)には2台の電話端末200(TEL5及びTEL6)と、外部スピーカ70(SP3)が接続されている。また、呼制御装置(2)には4台の電話端末200(TEL1〜TEL4)と、2台の外部スピーカ70(SP1及びSP2)が接続されている。
【0024】
スピーカ70は、呼制御装置100に内蔵されたものを使用してもよいが、本実施形態の場合、電話端末200より遠隔の話者を呼び出すために外部スピーカ(放送設備でもよい)を接続している。
【0025】
また、呼制御装置(2)に収容されている電話端末は、TEL1とTEL2が第1グループ、TEL3とTEL4が第2グループというようにグループ化されている。グループ化とは、一般的にテナント分け機能と称されることが多く、例えば所定番号での着信があった場合に、グループ化された電話端末全てを呼び出すような機能である。グループ分けの設定は、呼制御装置に行われている。
【0026】
ここで、INVITEメッセージとは、SIPに従って電話端末間で呼の確立を行う場合に発呼側の呼制御装置100において生成され、着呼側の呼制御装置100に送信される呼制御用のテキストデータである。図2は、INVITEメッセージの一部分を抜粋した一例を示す。図2(a)において、INVITEヘッダ100Fは、メッセージがINVITEメッセージであること、つまり、着信側の呼制御装置100に対する呼の設定要求であることを示す。Toヘッダ102Fには、着信先を特定する識別情報が示され、具体的には、「tel:」に着信先のアドレスに相当する回線番号(例えばダイヤルイン番号)が示され、「isub:」に着信先のサブアドレスに相当する内線番号が示される。さらに、図2(b)に「tel:」の前段のディスプレイネーム部位に着信先のアドレスに関連づけて着信先の称呼情報を格納させた例を示す。。Fromヘッダ104Fには、発呼元を特定する識別情報が示され、具体的には、「tel:」に発呼元のアドレスに相当するダイヤルイン番号が示され、「isub:」に発呼元のサブアドレスに相当する内線番号が示される。なお、本実施形態では、発呼元或いは着信先を特定する方式として、所謂「TEL URL方式」を採用する例について説明するが、その他の方式、例えば「SIP URL方式」などを採用しても構わない。
【0027】
図3は、電話端末200の外観の一例を示す図である。図3において、電話端末200は、操作者の音声を受け付ける受話器202と、電話番号等を受け付けるテンキー204と、回線の接続状態を示す点灯ランプ(不図示)を有し、押下することで発呼時や発呼時に電話端末200を回線に接続する複数の機能ボタン206と、発呼元の電話番号(ダイヤルイン番号)等を表示する液晶ディスプレイ等で構成される表示部208とを備える。なお、図3に示す電話端末200は、一般的な電話端末の一例にすぎず、本実施形態において採用可能な電話端末は図7に示す電話端末200には限定されない。
【0028】
本実施形態の電話端末200は、多機能電話機(個々に表示用ランプを備えた複数の機能ボタンを備えた電話機)の例であり、呼制御装置100に電話端末200として収容されている。この種の電話端末200では、個々の機能ボタンの押下により、その機能ボタンに対応したボタン情報が呼制御装置100に送出されるようになっている。呼制御装置100の記憶装置には、個々の機能ボタンに割付けられた機能を情報として登録しておく。呼制御装置100は、受信したボタン情報に基づいての登録情報を抽出することで、押下ボタンに割付けられている機能を認識する。そしてその機能に応じたプログラムを実行することにより、その機能に応じた回線の接続や保留、それに表示用ランプ制御等を行っている。そして、各機能ボタンに特定の回線を割付けて、それらに回線ボタンの機能を持たせるようにしている。即ち、或る電話端末200の或る回線対応の機能ボタンが押下されたならば、その回線と電話端末とが接続されると共に、その機能ボタンに対応した表示用ランプが、その回線の状態を表示するようになる。
【0029】
電話端末200の機能ボタンは、個々の回線に対応して設定され発着信時に回線を選択する回線ボタンと、その回線の使用状態を表示する回線ボタンごとのランプ(表示灯)、それに保留ボタン等の機能を行えるように設定され、使用者自身がそれらのボタンを操作することにより直接、回線の選択や保留等ができる。
【0030】
以下に、一般的な通話操作の例について説明する。
【0031】
発信:ランプが点灯していない任意の回線ボタン機能を設定された機能ボタン(対応回線が空き状態の回線ボタン)を押下することにより、その電話端末200と回線とが接続されて発信可能となる。
【0032】
着信:回線からの着信を呼制御装置100の着信回路が検出したならば、全ての電話端末200において、その着信回線に対応したランプが点滅し呼び出しが行われる。任意の電話端末200でランプ点滅中の回線ボタン(機能ボタン)を押下すると、この着信回線がその電話端末200に接続されて応答となる。また、それと同時に、全電話端末200のこの回線に対応したランプの状態が点滅から点灯へ変わる。なお、グループ化に対応した番号での着信の場合は、グループ化された電話端末200のみ、その着信回線に対応したランプが点滅し呼び出しが行われる。
【0033】
図4は、呼制御装置100の機能ブロックを示す図である。図4において、CPU10は、ROM12に記憶されたBIOSプログラムなどの基本的な制御プログラムをRAM14に展開して、バス90を介して各部を制御し、呼制御などを行う。さらに、CPU10は、記憶装置30に記憶されたプログラム40をRAM14に展開して、必要に応じてデータベース50に格納された各種データを参照して、各種機能を実現する。
【0034】
また、スピーカ部70は、内蔵スピーカと外部のスピーカを接続するためのスピーカ端子より構成されている。電話端末やユーザ等の近傍に呼制御装置100が設置してある場合には、内蔵スピーカを用い、電話端末やユーザ等の遠隔に呼制御装置100を設置する場合はスピーカ端子に外部スピーカを接続し、通知や通報に使用する形態が考えられる。
【0035】
ボタン状態記憶部56は、図5に示すような電話端末に設けられた各機能ボタンの回線空き状態或いは接続状態を示すボタン状態テーブルを電話端末毎或いは同一のダイヤルイン番号が割り当てられた電話端末群毎に記憶する。
【0036】
図5において、ボタン状態テーブルには、呼制御装置100が収容する電話端末200に設けられた機能ボタンごとに、回線接続状態が登録されている。図5では、回線空き状態の機能ボタンに対して、「−」が関連付けて登録されており、回線接続状態の機能ボタンに対して、使用している回線番号(例えば、「100」、「200」などのダイヤルイン番号)が関連付けて登録されている。
【0037】
呼処理部42は、IPネットワーク300を介して発呼側の呼制御装置100から送出されたINVITEメッセージを通信インタフェース80を介して受信して、受信したINVITEメッセージを参照して、Toヘッダに記述された着信先を特定し、空き状態の回線を選択して、選択された回線を介して着信先の電話端末200に着信処理を行う。電話端末200は、接続された回線に対応する機能ボタン206の点灯ランプを点灯させながら、着信があった旨を示す着信音を鳴らし、ユーザに応答を促す。
【0038】
呼処理部42は、INVITEメッセージを受信すると、ボタン状態記憶部56に記憶された着信先の電話端末に対応する各機能ボタンの状態を示すボタン状態テーブルを参照して、空き状態の機能ボタンを選択し、選択された機能ボタンに割り付けられた回線を介して、INVITEメッセージのToヘッダに記述された着信先の電話端末200に対して着信処理を実行する。電話端末200は、接続された回線に対応する機能ボタン206の点灯ランプを点灯させながら、着信があった旨を示す着信音を鳴らし、ユーザに応答を促す。呼処理部42は、さらに、ボタン状態記憶部56に記憶された着信先の電話端末に対するボタン状態テーブルの更新を行う。つまり、呼処理部42は、今回着信処理を行った回線に対応する機能ボタンの状態を、回線接続状態に変更するために、ボタン状態テーブルにダイヤルイン番号(電話番号)を登録する。
【0039】
称呼情報記憶部52は、ダイヤルイン番号に対する称呼情報と、ダイヤルイン番号に対して割り当てられた内線番号に対する称呼情報とが示される称呼情報テーブルを記憶する。称呼情報テーブルは、後述のように音声データ生成部44が称呼情報を含む音声データを生成する場合に参照される。また、発呼側の呼処理部42がINVITEメッセージを生成する場合にも参照され、発呼側の呼処理部42はユーザにより設定された着信先のアドレス(ダイヤルイン番号)に対応する称呼情報を特定して、特定した称呼情報をToヘッダの所定の位置に記述したINVITEメッセージを生成し、着信側の呼制御装置に送信することで発呼処理を実行する。
【0040】
図6は、称呼情報テーブルの一例を示す。まず、呼制御装置(1)は、ネットワーク事業者との契約によりダイヤルイン番号「500」が付与され、呼制御装置(2)は同じくダイヤルイン番号「100」と「200」が付与されているものとする。
【0041】
一般的なダイヤルイン契約とは、契約者回線番号とは別に複数の番号(追加番号)が付与され、着信時に、着信番号(契約者回線番号または追加番号)が網から送出されるものであるが、本実施形態でいうダイヤルイン番号とは、網もしくは相手より通知される発信者がダイヤルした番号をいう。
【0042】
図6に示す呼制御装置(2)の称呼情報テーブルでは、例えば、ダイヤルイン番号「100」に対して「X:(例えば部門名)」が称呼情報として登録され、ダイヤルイン番号「100」に対して電話端末200(TEL1とTEL2)、内線番号「10」、「20」、「30」、「40」、「50」とが割り当てられ、内線番号「10」、「20」、20」、「30」、「40」、「50」に対する称呼情報として、「G:(例えば個人名)」、「H」、「I」、「J」、「K」が登録されている。
【0043】
また、ダイヤルイン番号「200」に対して「Y:(例えば部門名)」が称呼情報として登録され、ダイヤルイン番号「200」に対して電話端末200(TEL3とTEL4)、内線番号「a」、「b」、「c」とが割り当てられ、内線番号「a」、「b」、「c」に対する称呼情報として、「A:(例えば個人名)」、「B」、「C」が登録されている。
【0044】
この称呼情報テーブルからもわかるとおり、ダイヤルイン番号「100」のみでの着信の場合及び、ダイヤルイン番号「100」+内線番号「10」又は「20」又は「30」又は「40」又は「50」での着信の場合には、電話端末200(TEL1)と(TEL2)の両方の電話端末が呼び出されるように設定されている(1つの電話端末に複数の内線番号が付与され、その複数の内線番号のいづれかで着信を可能としている)。
【0045】
また、ダイヤルイン番号「200」のみでの着信の場合及び、ダイヤルイン番号「200」+内線番号「a」又は「b」又は「c」での着信の場合には、電話端末200(TEL3)と(TEL4)の両方の電話端末が呼び出されるように設定されている。
【0046】
本実施形態においては、TEL1及びTEL2を第1グループ、TEL3及びTEL4を第2グループとした2つのグループ分けで説明するが、グループが1つ以上あればよく、当然3つ以上のグループ化あってもよい。また、1つのグループには電話端末が1台以上あればよく、3台以上でもなんら問題ない。
【0047】
音声データ生成部44は、INVITEメッセージのToヘッダやFromヘッダより発信元の番号及び着信先の番号を特定し、その特定した番号に応じた称呼を用いて着信者を音声呼出しするようにしている。図2(a)の場合は、Toヘッダに「100」のダイヤル情報が格納されているため、称呼情報テーブルより「X(部門名)」への着信であることを認識し、さらに、内線番号表記である「isub」に「10」のダイヤル情報が格納されているので、「X(部門名)」の「G(個人名)」宛ての着信であることを認識する。
【0048】
そして、認識した宛先情報を音声データ記憶部54に記憶された音声データのテンプレート(テキストデータ)に基づいて、音声データ生成部(テキスト読み上げ手段)44が着信先の称呼を示す音声データを生成する。内線番号表記は、「isub」のほかに、「extension」を用いてもよい。本実施形態においては、「isub」、「extension」を含めサブアドレスと称する。
【0049】
ここでの音声データのテンプレートは、例えば「(着信先の回線(ダイヤルイン)番号の称呼情報)の(着信先の内線番号の称呼情報)さん宛に電話が入っています。」というような着信先を特定することが可能なメッセージを示すテンプレートが考えられる。
【0050】
すなわち、この場合「X(部門名)のG(個人名)さん宛に電話が入っています。」とスピーカ部70(SP1)より出力されるようになる。
【0051】
本実施形態においては、ダイヤルイン番号「100」に関する着信の場合はSP1、ダイヤルイン番号「200」に関する着信の場合はSP2を用いて音声呼び出しするよう回線番号とスピーカを対応づけたが、全スピーカより一斉に音声呼び出しするようにしてもよいし、着信毎にスピーカを指定するような情報をSIPメッセージ(INVITEメッセージ、MESSAGEメッセージ等)にて受信し、それに従い制御するようにしてもよい。
【0052】
さらに、本実施形態の場合、ダイヤルイン番号「100」+内線番号「10」での着信は、電話端末200(TEL1及びTEL2)を一緒に呼び出すグループ化を行っているので、着信させている電話端末と着信させている機能ボタン情報も合わせて通知するようにしている。
【0053】
例えば、TEL1とTEL2の機能ボタン5に着信表示を行っているような場合は、「X(部門名)のG(個人名)さん宛に電話が入っています。TEL1又はTEL2の5番で電話を受けてください。」との呼び出しとなる。この場合のテンプレートは、「(着信先の回線番号の称呼情報)の(着信先の内線番号の称呼情報)さん宛に電話が入っています。(着信中の電話端末名称)の(着信表示中の機能ボタン番号)番で電話を受けてください。」となる。
【0054】
呼制御装置100は、電話端末毎の通話での空き塞がり状態と、電話端末毎の機能ボタンの使用状態を管理しており、グループ化された電話端末の一方(TEL1)が通話中で塞がっている場合には、空いている他方(TEL2)電話端末へ着信を行い、「X(部門名)のG(個人名)さん宛に電話が入っています。TEL2の6番(5番の機能ボタン塞がりの場合)で電話を受けてください。」等のきめ細かい呼び出しを可能としている。
【0055】
また、発信元の情報をも音声呼び出しに用いることも可能であり、図2(a)のFromヘッダのダイヤル情報「500」を抽出し、電話帳等の相手先情報テーブルに登録されているダイヤル情報と比較し、一致するダイヤル情報に対応する称呼情報を用いて、着信先に誰からの着信なのかを追加して通知するようにしてもよい。
【0056】
また、前記実施形態においては、着信側に称呼情報テーブルを設け、INVITEメッセージのToヘッダやFromヘッダに記載されているダイヤル情報を抽出し、それに対応する称呼データを用いて音声呼び出しを行っているが、発信側の呼制御装置100がINVITEメッセージに称呼情報を格納して送信するようにして、そのINVITEメッセージ(テキストベース)中の特定の情報を使用して音声呼び出しを行うようにしてもよい。
【0057】
発信側呼制御装置で称呼情報を付与したINVITEメッセージの例を図2(b)に示す。
【0058】
図2(b)のToヘッダには、Tel−URIの前にディスプレイネームとして「X(例えば部門名、氏名でもよい)」が格納されており、このディスプレイネームを認識し、このテキストデータを音声呼び出しに用いればよい。
【0059】
また、INVITEのボディに特定の識別子(相互に認識可能な)を設け、テキストデータを送信し、そのテキストデータを音声変換して読上げるようにしてもよい。図2(b)では、特別な識別子を「h」として、「X BUNO G SANE DENWADESU.(X部のGさんへ電話です。)」というテキストデータを格納したものである。この場合、発信側の呼制御装置が、相手のダイヤルイン番号「100」が「X」部のものであり、内線番号「10」が「G」さんのものであることを管理する情報テーブルを備えていることはいうまでもない。
【0060】
図7は、音声データ生成部44がINVITEメッセージを取得した際に実行する音声データ生成の手順を示すフローチャートである。
【0061】
図7において、音声データ生成部44は、発呼側の呼制御装置100から送信されたINVITEメッセージを着呼側の呼制御装置100が受信した際に、そのINVITEメッセージを取得し(S100)、INVITEメッセージ内に記述されたToヘッダおよびFromヘッダからそれぞれ回線番号(例えば、ダイヤルイン番号)の称呼情報を取得する(S102)。次いで、音声データ生成部44は、INVITEメッセージのToヘッダおよびFromヘッダに内線番号(「isub」、「extension」等)が記述されているか否かを判定する(S104)。判定の結果、記述されている場合には(ステップS104の判定結果が、肯定「Y」)、音声データ生成部44は、称呼情報記憶部52に記憶された称呼情報テーブルを参照して、各内線番号に対応する称呼情報を取得する(S106)。その後、或いはステップS104での判定の結果、記述された内線番号が存在しない場合(ステップS104の判定結果が、否定「N」)、続いて、音声データ生成部44は、それぞれ取得した称呼情報に基づいて、着信先および発呼元の称呼情報を含む着信の通報を示す音声データを生成し(S106)、スピーカ部70を介して音声データを音声出力して、ユーザに通報する(S108)。
【0062】
以上、本実施形態によれば、発呼側の呼制御装置100から送信されたINVITEメッセージに基づいて、着呼側の呼制御装置100が発呼元および着信先の称呼情報を特定し、特定された称呼情報に基づいた着呼を知らせる音声データを生成し、音声データをスピーカ部70により音声出力する。よって、例えば、スピーカ部70を着呼側の呼制御装置100が収容する電話端末200と隣接せず離れたエリア(例えば、電話端末200が設置されたエリアとは異なるエリア)に設置することで、着呼先のユーザがたとえ着信先の電話端末200の近傍にいない場合でも、そのユーザは自身に対して着呼があったことを容易に把握することができる。
【0063】
図8は、音声データ生成部44が発呼元と、着信先と、着信先の機能ボタンとを含む音声データを生成して音声出力する手順を示すフローチャートである。
【0064】
図8において、音声データ生成部44は、発呼側の呼制御装置100から送信されたINVITEメッセージを着呼側の呼制御装置100が受信した際に、そのINVITEメッセージを取得し(S200)、INVITEメッセージ内に記述されたToヘッダおよびFromヘッダからそれぞれ回線番号(例えばダイヤルイン番号)の称呼情報を取得する(S202)。次いで、音声データ生成部44は、INVITEメッセージのToヘッダおよびFromヘッダに内線番号(「isub」、「extension」等)が記述されているか否かを判定する(S204)。判定の結果、記述されている場合には(ステップS104の判定結果が、肯定「Y」)、音声データ生成部44は、称呼情報記憶部52に記憶された称呼情報テーブルを参照して、各内線番号に対応する称呼情報を取得する(S206)。
【0065】
その後、或いはステップS204での判定の結果、記述された内線番号が存在しない場合(ステップS204の判定結果が、否定「N」)、続いて、音声データ生成部44は、ボタン状態記憶部56に記憶された着呼先の電話端末に対するボタン状態テーブルを参照して、ステップS200で取得したINVITEメッセージ内のFromヘッダに記述されたダイヤルイン着信で使用する機能ボタンを特定する(S208)。続いて、音声データ生成部44は、取得したそれぞれの称呼情報と、着信先の電話端末を特定する端末識別情報と、特定された機能ボタンを識別するボタン識別情報(例えば、「機能ボタン1」)を含む音声データを生成する(S210)。音声データ生成部44は、例えば、「Y社のAさんから電話端末1の機能ボタン1にX部のGさん宛に電話が入っています。」というような音声データを生成し、スピーカ部70を介して音声データを音声出力して、ユーザに通報する(S212)。
【0066】
以上、上記によれば、発呼元および着信先の称呼情報の他に、着呼が割り当てられた電話端末の機能ボタンを特定するボタン識別情報を加えた音声データが通報されるため、ユーザは、その通報に基づいて、自身への着信に応答する際にどの電話端末のどの機能ボタンを押下すればよいか容易に把握することができる。
【0067】
また、呼制御装置100に複数のスピーカ部70を設けて、各スピーカ部70に対して少なくとも一つの内線番号を関連付けておくことで、音声データ生成部44が、着信先の内線番号に応じて、音声出力するスピーカ部70を変更しても構わない。このように、内線番号ごとに適当なスピーカ部70を関連付けておくことで、着信先のユーザとは直接関係ない場所に設置されたスピーカ部70に対して不要な音声が出力されることを防止することができる。
【0068】
さらに、上記の実施形態では、発呼側の呼制御装置100が、INVITEメッセージのToヘッダおよびFromヘッダに着信先或いは発呼元の称呼情報としてダイヤルイン番号に対応する称呼情報を記述する例(ディスプレイネーム)について説明した。しかし、ダイヤルイン番号ではなく内線番号に対応する称呼情報をINVITEメッセージのボディ部(通話に関する情報を伝達するためのエリア)に記述しても構わない。
【0069】
また、上記の実施形態では、発呼側の呼制御装置100がINVITEメッセージを作成する例について説明したが、INVITEメッセージの作成は、発呼側の呼制御装置100以外にも、例えば、発呼側の電話端末などで実行しても構わない。
【0070】
加えて、上記の実施形態では、INVITEメッセージのToヘッダおよびFromヘッダの予め定められた位置に記述された着呼先或いは発呼元の称呼情報を取得して、音声出力する例について説明した。しかし、INVITEメッセージのToヘッダやFromヘッダ以外の所定ヘッダ部分の所定の位置に、予め着呼側に通報させた所望の伝言メッセージをテキスト情報として記述しておき、そのテキスト情報を含む音声データを着呼側の音声データ生成部44において生成して、発呼元や着信先の称呼情報以外のメッセージをスピーカ部70より音声出力してもよい。なお、伝言メッセージは、例えば、発呼側の電話端末200から発呼時に発呼側の呼制御装置100に伝言メッセージを示すテキストデータを送信し、発呼側の呼制御装置100において、INVITEメッセージを生成する際にそのテキストデータを伝言メッセージとして特定のボディ部分に記述すればよい。
【0071】
さらに、読み上げるテキスト情報をINVITEメッセージで送信するのではなく、INVITEメッセージを送信した後に、インスタントメッセージ送信用のMESSAGEメッセージを用いて伝達するようにしてもよい。
【0072】
電話の音声呼び出しのみならずこのMESSAGEメッセージを用いると、電話端末200が待機中、通話中にかかわらず、スピーカ部70よりMESSAGEメッセージ内のテキストデータを音声出力することが可能となるので、構内放送等での呼制御装置の運用機会が増し、今まで以上に放送設備の連携強化が図れるようになる。
【0073】
具体的には、PC(パーソナルコンピュータ)等よりMESSAGEメッセージを用いて、スピーカの指定と音声出力させたい文書を呼制御装置に送信する。そのMESSAGEメッセージを受信した呼制御装置は、テキスト文書を音声変換し、指定されたスピーカより出力するというものである。この機能を用いれば、訓示、注意喚起、その他諸々の通達がテキストデータ入力(送信)という、しごく簡単な操作により音声伝達(通知)されるようになる。
【0074】
以上のように、本実施形態によれば、発呼側の呼制御装置100から送信されたINVITEメッセージに基づいて、着呼側の呼制御装置100が発呼元および着信先の称呼情報を特定し、さらには着呼が割り当てられた電話端末の機能ボタンを特定し、特定された称呼情報、端末識別情報、ボタン識別情報を含む音声データを生成し、音声データをスピーカ部70により音声出力する。よって、例えば、スピーカ部70を着呼側の呼制御装置100が収容する電話端末200と隣接せず離れたエリア(例えば、電話端末200が設置されたエリア(部屋など)とは異なるエリア)に設置することで、着呼先のユーザがたとえ着信先の電話端末200の近傍にいない場合でも、そのユーザは自身に対してどこからどの機能ボタンに対して着呼があったことを容易に把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明によれば、例えば、スピーカ部を着呼側の呼制御装置が収容する電話端末と隣接せず離れたエリアに設置することで、着呼先のユーザがたとえ着信先の電話端末の近傍にいない場合でも、そのユーザは自身に対して着呼があったことを容易に把握することができるので、IPネットワークに接続され、電話端末間の呼制御をSIPに従って行うSIP呼制御装置等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施形態に係る呼制御システムのシステム構成を示す図である。
【図2】INVITEメッセージの一例を示す図である。
【図3】電話端末の外観を示す図である。
【図4】呼制御装置の機能ブロックを示す図である。
【図5】ボタン状態記憶部に記憶されるボタン状態テーブルの一例を示す図である。
【図6】称呼情報記憶部に記憶された称呼情報テーブルの一例を示す図である。
【図7】音声データ生成部がINVITEメッセージを取得した際に実行する音声データ生成の手順を示すフローチャートである。
【図8】音声データ生成部が発呼元と着信先と、着信先の電話端末の端末識別情報と機能ボタンのボタン識別情報とを含む音声データを生成して音声出力する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
10 CPU
12 ROM
14 RAM
30 記憶装置
40 プログラム
42 呼処理部
44 音声データ生成部
52 称呼情報記憶部
54 音声データ記憶部
56 ボタン状態記憶部
70 スピーカ部
80 通信インタフェース
90 バス
100 呼制御装置
200 電話端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一の電話端末を収容し、収容された電話端末に対する呼処理をSIPに従って行う呼制御装置であって、
収容された電話端末への着信の際に、当該電話端末に着信表示させる着信手段と、
前記着信の際に受信したSIPメッセージの一部を音声変換し、スピーカより出力する音声出力手段と、
を備えたことを特徴とする呼制御装置。
【請求項2】
少なくとも一の電話端末を収容し、収容された電話端末に対する呼処理をSIPに従って行う呼制御装置であって、
発呼側からのINVITEメッセージ内に着信先として記述されたアドレス情報に基づいて着信先の電話端末に対して呼処理を実行する呼処理部と、
前記INVITEメッセージ内に着信先のアドレス情報に関連付けて記述された着信先の称呼情報を取得し、当該着信先の称呼情報を含んだ着信の通報を示す音声データを生成する音声データ生成部と、
前記音声データを音声出力するスピーカ部と、
を備える呼制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の呼制御装置において、
前記音声データ生成部は、前記INVITEメッセージ内に発信元のアドレス情報に関連付けて記述された称呼情報を取得し、当該発信元の称呼情報を含む前記音声データを生成する、
ことを特徴とする呼制御装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の呼制御装置において、
アドレス情報に関連付けた少なくとも一つのサブアドレス情報と、各サブアドレス情報のそれぞれに関連付けられた各称呼情報とを記憶する称呼情報記憶部を備え、
前記音声データ生成部は、前記INVITEメッセージ内に発呼元或いは着信先のサブアドレスとしてサブアドレス情報が記述されている場合には、当該サブアドレス情報に対応する称呼情報を前記称呼情報記憶部から取得し、当該発呼元或いは着信先のサブアドレスに対応する称呼情報を含む前記音声データを生成する、
ことを特徴とする呼制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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