説明

呼吸機能検査装置

【課題】安静呼吸状態等の呼吸努力を要しない状態で呼吸機能検査を行うことができる簡易な呼吸機能検査装置を提供する。
【解決手段】被験者が呼気を行うと、呼気は一方弁81を通過し、抵抗体71の孔を通過し、呼気経路61を通過してフローセンサ5に到達する。一方、被験者が吸気を行うと、吸気はフローセンサ5から吸気経路62を通過し、一方弁82を通過してマウスピース50に到達する。被験者に安静呼吸を行わせて抵抗体71を接続しないときの無負荷時フロー・ボリューム曲線及び口腔内圧を取得し、抵抗体71を接続したときの有負荷時フロー・ボリューム曲線及び口腔内圧を取得する。COPD患者は負荷抵抗による影響を受けにくいため両者を対比することでCOPD診断に役立てることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の呼吸流量及び呼吸容量を測定する呼吸機能検査装置に関する。特に被験者が最大呼気及び最大吸気を行うことなく呼吸機能の検査を行うことが可能な呼吸機能検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に示すように、被験者にゆっくりとした呼吸で最大呼気及び最大吸気を行わせて「肺活量」を測定する呼吸機能検査装置が提案されている。吸気肺活量は、これ以上息を吐き出すことができない状態の最大呼気位から、次に息を吸い続けてこれ以上吸うことができない状態の最大吸気位までの容量の差分であり、呼気肺活量は、最大吸気位から、次に息を吐き続けてこれ以上吐くことができない状態の最大呼気位までの容量の差分である。通常は、数回行った検査結果の中で、吸気肺活量又は呼気肺活量に関係なく最も大きな検査結果を肺活量とする。また「努力性肺活量」は、最大吸気位から一気に呼出させて最大呼気位に達したときの容量の差分である。さらにこのとき最初の1秒間に呼出された容量が「1秒量」として定義される。この1秒量は慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease(以下「COPD」と称する))の検査に用いられる重要な項目である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−229101号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】株式会社メディカル・サイエンス・インターナショナル「肺機能検査」第21頁,図1−19
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている呼吸機能検査装置は、被験者に最大呼気及び最大吸気を行うよう促す音声ガイド機能を備えているので、被験者に確実に最大呼気及び最大吸気を行わせて、信頼性の高い肺活量、1秒量の測定を行うことができる。しかしながら、このような呼吸機能の検査において、最大呼気及び最大吸気を強いることが被験者にとって大きな負担となっている事実がある。特に高齢者や幼児に対して確実に最大呼気・最大吸気を行わせることは容易ではなく、また、重度のCOPD患者が最大呼気・最大吸気を行うには多大な苦痛を伴う。さらに健常者であっても、最大呼気・最大吸気には相応の努力を要するため、COPD等の呼吸器疾患の予防のための検査を阻害する要因ともなっていた。
【0006】
一方、非特許文献1に示すように安静呼吸時の呼吸流量及び呼吸容量の変化量を測定することによって呼吸機能の検査を行う方法も提案されている。この方法はNegative Expiratory Pressure(以下「NEP」と称する)法と呼ばれ、わずかな呼気陰圧(通常−5cmH0)を安静呼気時に口元で負荷する方法である。即ち、呼出気流の駆動圧を5cmHO増加させたときに、健常者であれば呼吸流量及び呼吸容量の変化量が大きくなり、COPD患者は呼吸流量及び呼吸容量の変化量が少なくなるという特性に基づいて呼吸機能を検査する方法である。このNEP法の問題点は、呼気陰圧、即ち呼気を促すような圧力の負荷するときの圧力変化を急峻にさせなければならず、設備が大規模になってしまうことにある。
【0007】
本発明は、このような背景のもとになされたものであり、その目的は、被験者に最大呼気及び最大吸気を行わせることなく、且つ簡易な装置で呼吸機能の検査を行うことができる呼吸機能検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[COPD患者の呼吸特徴]
COPD患者は、気道(肺の中の空気が通る道)に気流閉塞を起こす部位(呼吸を妨げる抵抗)があるので、呼吸困難が起こりやすくなる。この気流閉塞は、吸気より呼気に影響を及ぼす場合が多い。この傾向はCOPDの症状が重症になるほど顕著になり、階段上りや歩行にも支障がでる。
【0009】
このようにCOPD患者は潜在的な呼気抵抗が大きいことになる。本発明者は、この点に着目し、意図的な負荷抵抗、即ち呼気を抑制する抵抗を負荷した状態で呼吸流量及び呼吸容量を測定することを試みた。健常者であれば、潜在的な呼気抵抗が小さいため負荷抵抗による呼吸流量及び呼吸容量への影響が大きく、COPD患者であれば、潜在的な呼気抵抗が大きいため負荷抵抗による呼吸流量及び呼吸容量への影響が比較的小さいという事象に基づいて、上記課題を解決すべく以下の手段を採った。なお後述する発明を実施するための最良の形態の説明及び図面で使用した符号を参考のために括弧書きで付記するが、本発明の構成要素は該付記したものには限定されない。
【0010】
[本発明の手段]
本発明1に係る呼吸機能検査装置は、被験者の呼吸流量及び呼吸容量を測定する呼吸機能検査装置(1)であって、前記被験者の呼吸が通過する呼吸経路(呼吸経路60,呼気経路61)に、前記被験者が呼気を行うときに呼気を抑制する抵抗を負荷する抵抗負荷手段(ニードル弁70,70’,抵抗体71)を設けたことを特徴とする。
【0011】
本発明2に係る呼吸機能検査装置は、本発明1の呼吸機能検査装置(1)であって、前記呼吸経路は、前記被験者の呼気が通過する呼気経路(61)と、当該被験者の吸気が通過する吸気経路(62)とを別個に有し、前記呼気経路には前記被験者の呼気方向にのみ気体を通過させる一方弁(81)を設け、前記吸気経路には前記被験者の吸気方向にのみ気体を通過させる一方弁(82)を設けることにより、前記被験者が呼気を行ったときにはその呼気が前記呼気経路のみを通過し、吸気を行ったときにはその吸気が前記吸気経路のみを通過するように制御し、前記呼気経路にのみ前記抵抗負荷手段(抵抗体71,ニードル弁70’)を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明3に係る呼吸機能検査装置は、本発明1又は2の呼吸機能検査装置(1)であって、前記抵抗負荷手段(ニードル弁70,70’,抵抗体71)の抵抗を負荷するか否かを適宜設定可能であることを特徴とする。
【0013】
本発明4に係る呼吸機能検査装置は、本発明1又は2の呼吸機能検査装置(1)であって、前記抵抗負荷手段(ニードル弁70,70’,抵抗体71)の抵抗の増減を適宜設定可能であることを特徴とする。
【0014】
本発明5に係る呼吸機能検査装置は、本発明3の呼吸機能検査装置(1)であって、前記抵抗負荷手段(ニードル弁70,70’,抵抗体71)の抵抗を負荷していない状態における呼吸流量と、前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷している状態における呼吸流量とを比較可能な態様(無負荷時フロー及び有負荷時フロー,無負荷時呼吸流量と有負荷時呼吸流量との比,無負荷時フロー・ボリューム曲線及び有負荷時フロー・ボリューム曲線)で表示する表示手段(ディスプレイ7)をさらに設けたことを特徴とする。
【0015】
本発明6に係る呼吸機能検査装置は、本発明3の呼吸機能検査装置(1)であって、前記抵抗負荷手段(ニードル弁70,70’,抵抗体71)の抵抗を負荷していない状態における呼吸容量と、前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷している状態における呼吸容量とを比較可能な態様(無負荷時ボリューム及び有負荷時ボリューム,無負荷時呼吸容量と有負荷時呼吸容量との比,無負荷時フロー・ボリューム曲線及び有負荷時フロー・ボリューム曲線)で表示する表示手段(ディスプレイ7)をさらに設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明7に係る呼吸機能検査装置は、本発明5又は6の呼吸機能検査装置(1)であって、前記表示手段(ディスプレイ7)は、前記抵抗負荷手段(ニードル弁70,70’,抵抗体71)の抵抗を負荷していない状態における呼吸流量と呼吸容量との関係を示す無負荷時フロー・ボリューム曲線と、前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷している状態における呼吸流量と呼吸容量との関係を示す有負荷時フロー・ボリューム曲線とを比較可能な態様で表示することを特徴とする。
【0017】
本発明8に係る呼吸機能検査装置は、本発明3の呼吸機能検査装置(1)であって、前記抵抗負荷手段(ニードル弁70,70’,抵抗体71)の抵抗を負荷していない状態における口腔内圧と、前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷している状態における口腔内圧とを比較可能な態様(無負荷時口腔内圧の時間変動及び有負荷時口腔内圧の時間変動,無負荷時口腔内圧と有負荷時口腔内圧との比)で表示する表示手段(ディスプレイ7)をさらに設けたことを特徴とする。
【0018】
本発明9に係る呼吸機能検査装置は、本発明8の呼吸機能検査装置(1)であって、前記表示手段(ディスプレイ7)は、前記抵抗負荷手段(ニードル弁70,70’,抵抗体71)の抵抗を負荷していない状態における口腔内圧の時間変動と、前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷している状態における口腔内圧の時間変動とを比較可能な態様で表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明では呼気に抵抗を意図的に負荷するようにしている。このようにすることで、被験者が最大呼気及び最大吸気を行うことなく、呼吸努力を要しない状態、例えば安静呼吸状態で呼吸機能を検査することができる。この際、大規模な設備は不要であり、簡易な装置で呼吸機能の検査を行うことができる。健常者であれば、無負荷時には潜在的な呼気抵抗が小さいため、有負荷時において呼吸流量及び呼吸容量は負荷抵抗の影響を受けやすく、例えばフロー・ボリューム曲線が構成する弧の径が無負荷時と比較して明らかに小さくなるという特徴がある。一方、COPD患者は、潜在的な呼気抵抗が大きいので、意図的な負荷抵抗、即ち呼吸を抑制する抵抗が負荷されても、この負荷抵抗が所定値以下であれば、通常、呼吸流量及び呼吸容量はその影響を受け難く、例えばフロー・ボリューム曲線が構成する弧の径は無負荷時と比較して大きく変化しない特徴がある。これらの特徴に基づいて、被験者の呼吸機能を診断することができる。
【0020】
さらに、COPD患者が有する潜在的な呼気抵抗に応じて、この負荷抵抗が所定値を超えたときには、COPD患者の呼吸流量及び呼吸容量に影響を及ぼす。この事象に基づいて、負荷抵抗を増減させて、その増減に伴う呼吸流量及び呼吸容量の変動を見ることでCOPDの進行度を測ることも可能である。例えば負荷抵抗が比較的小さい段階でフロー・ボリューム曲線が構成する弧の径が無負荷時より小さくなれば軽症、負荷抵抗が大きくなった段階でもフロー・ボリューム曲線が構成する弧の径が無負荷時とほぼ同等であれば重症というように、COPDの症状を診断することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は第1実施形態に係る呼吸機能検査装置の機能ブロック図である。
【図2】図2は第1実施形態に係る呼吸機能検査装置のフローセンサ並びに呼吸経路、ニードル弁、フィルタ、及びマウスピースの接続態様を示す図である。
【図3】図3は第1実施形態に係る呼吸機能検査装置のフローセンサ並びに呼吸経路、ニードル弁、フィルタ、及びマウスピースの他の接続態様を示す図である。
【図4】図4はニードル弁の回転数毎の流量と差圧の関係を示すグラフである。
【図5】図5はニードル弁の回転数と各被験者のパーセント1秒量の関係を示すグラフである。
【図6】図6は第2実施形態に係る呼吸機能検査装置の機能ブロック図である。
【図7】図7は第2実施形態に係る呼吸機能検査装置のフローセンサ並びに呼気経路、吸気経路、負荷抵抗、及び二方向弁アセンブリの接続態様を示す図である。
【図8】図8は第2実施形態に係る呼吸機能検査装置の抵抗体の斜視図である。
【図9】図9は第2実施形態に係る呼吸機能検査装置のディスプレイに表示される無負荷時フロー・ボリューム曲線及び有負荷時フロー・ボリューム曲線の一例(健常者の例)を示す図である。
【図10】図10は第2実施形態に係る呼吸機能検査装置のディスプレイに表示される無負荷時口腔内圧力推移及び有負荷時口腔内圧力推移の一例(健常者の例)を示す図である。
【図11】図11は第2実施形態に係る呼吸機能検査装置のディスプレイに表示される無負荷時のフロー・ボリューム曲線及び有負荷時フロー・ボリューム曲線の他の例(COPD患者の例)を示す図である。
【図12】図12は第2実施形態に係る呼吸機能検査装置のディスプレイに表示される無負荷時口腔内圧力推移及び有負荷時口腔内圧力推移の他の例(COPD患者の例)を示す図である。
【図13】図13は第3実施形態に係る呼吸機能検査装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の具体的態様として、以下に示す第1実施形態に係る呼吸機能検査装置、第2実施形態に係る呼吸機能検査装置、及び第3実施形態に係る呼吸機能検査装置を例示するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0023】
[1.第1実施形態に係る呼吸機能検査装置]
まず図1〜図5を用いて第1実施形態に係る呼吸機能検査装置について説明する。図1に示すように本例における呼吸機能検査装置1は、本体部15及びフローセンサ5、並びにフローセンサ5に接続される呼吸経路60及びニードル弁70等からなる。本体部15は、電源スイッチ3、操作キー4、ディスプレイ7、スピーカ20、プリンタ8、圧力センサ10、A/D変換器11、CPU12、EEPROM13、RAM14、及びRS232Cコネクタ9等を備えている。本体部15及びフローセンサ5は差圧チューブ16によって接続されており、これらの外観は、例えば特許文献1に示される呼吸機能検査装置と同様である。
【0024】
フローセンサ5は、本体部15に着脱自在に搭載されており、呼吸流量に比例した差圧を発生させるものである。フローセンサ5は、フィルタ51及びマウスピース50を接続するための接続口17を備えている。図2に示すように、被検者が接続口17にニードル弁70、フィルタ51、及びマウスピース50を接続し、マウスピースを介して呼吸を行うことにより、フローセンサ5内に差圧が生じ、この差圧が2本のチューブから構成される差圧チューブ16を介して本体部15内の圧力センサ10に伝達される。
【0025】
電源スイッチ3は、DC電圧を本体内部の各電機部品に供給するためのスイッチであり、これをONとすることで、電源基板においてAC電圧から変換されたDC電圧が本体内部の各電気部品に供給される。この際、各電気部品の駆動電圧に応じた電圧値にするためにDC/DCコンバータを介している。
【0026】
操作キー4は、測定項目の選択や測定期間の設定の際等に使用される。例えば0〜9の10個の数値キーや、測定項目を選択するための方向キー等からなる。またディスプレイ7に出力されるデータをプリントアウトする際に操作する印刷キーも含まれる。フローセンサ5は、図1に示すように本体外部に設けられており、2本のチューブからなる差圧チューブ16の一端が接続され、他端が本体部15の差圧チューブ接続口(図示せず)に接続されている。被検者がこのフローセンサ5を把持した状態で、接続口17に接続されたマウスピースを口に含み、呼吸を行うことで後述するように各種の計測が行われる。
【0027】
圧力センサ10は、検出される差圧に比例したアナログ信号を出力するものである。本例では、半導体の差圧センサであり、チューブ接続口間の差圧を検出するための差圧検出部と、該差圧検出部により検出される差圧に比例した電圧を出力するための出力端子を備える。なお、本例ではアナログ信号として電圧を出力しているが、これに限らず、アナログ信号として検出された差圧に比例する電流を出力しても良い。
【0028】
A/D変換器11は、アナログ電子信号をディジタル信号に変換するためのものである。本例では、半導体のA/Dコンバータであり、圧力センサ10の出力端子から出力されるアナログ信号を、後述するCPU12において処理可能なディジタル信号に変換して、ディジタル出力端子から出力する。
【0029】
CPU12は、EEPROM13に記憶されている測定用プログラムをRAM14を作業領域として実行することにより、接続される各構成要素の動作を制御して、あるいは各構成要素からの信号を受信して各種の処理を行うものである。本例では、A/D変換器11からの出力であり前記差圧に比例した値を示すディジタル信号に基づいて呼吸流量を算出する処理を行う。この算出は、予め記憶している差圧と呼吸流量との間の関係式に基づいて行う。即ちディジタル信号から差圧を特定し、該特定した差圧を関係式に入力して呼吸流量を算出する。また、本例ではこの呼吸流量の積分を行うことによって呼吸容量が算出される。ここで測定されたデータはRAM14に蓄積され、測定が終了するとRAM14に蓄積されたデータがEEPROM13に記憶される。
【0030】
不揮発性のメモリであるEEPROM13は、上記のように測定データを記憶する他、呼吸流量及び呼吸容量測定用プログラム等の呼吸機能測定用プログラムも記憶している。このEEPROM13には、ガイド用の音声データも記憶されており、この音声データはスピーカ20によって再生される。ディスプレイ7はLCDのディスプレイであり、本体部15の上面に設けられ、CPU12からLCDドライバ回路(図示せず)を介して出力制御が行われることで所定のデータを画面に出力するものである。プリンタ8は例えばサーマル式のプリンタであって、CPU12からサーマルヘッドのドライバを介して印字制御が行われることで所定のデータを視認可能に紙上に出力するものであり、例えばディスプレイ7に表示されているデータの印刷を行う。スピーカ20は音声ガイドによって被検者に呼気や吸気を促すための音声出力手段であり、予めEEPROM13に記憶されている音声データに基づいた音声が出力される。
【0031】
RS232Cコネクタ9は、呼吸機能検査装置1の外部の情報端末と、RS232C用のケーブルを介してデータを送受するための端子である。例えば、測定データを外部のPCに送信する際に、当該RS232Cコネクタ9とPC側のRS232CコネクタとをRS232C用のケーブルで接続して、操作キー4で所定の操作を行うことにより測定データをPCに送信する。なお、本例では外部PCとのインターフェイスをRS232Cコネクタとしているが、これに限らずUSBコネクタ等の他のインターフェイスであってもよい。
【0032】
フローセンサ5の周辺について図2を用いて詳述する。フローセンサ5は筐体となるフローセンサケース5aによって覆われており、このフローセンサケース5aの側面にはフローセンサ5にフィルタ等を接続するための接続口17が設けられている。従来型の呼吸機能検査装置においては、この接続口17にフィルタ51の一端を接続し、そのフィルタ51の他端にマウスピース50を接続する。しかし本実施形態においては、図2に示すように、接続口17に呼吸経路60を介してニードル弁70の一端を接続し、このニードル弁70の他端(被験者側)に呼吸経路60を介してフィルタ51及びマウスピース50を接続している。なおフローセンサケース5aの下部にはフローセンサケース5aを把持するためのハンドル5bが設けられている。被検者がこのハンドル5bを把持した状態で、フローセンサ5の接続口17にニードル弁70及びフィルタ51を介して取り付けられたマウスピース50を口に含み、呼吸を行うことで呼吸流量及び呼吸容量の測定が行われる。
【0033】
ここで図2の例では、接続口17に呼吸経路60を介してニードル弁70を接続しているが、これに限らず、ニードル弁70等の抵抗は図3に示すように、フローセンサ5の呼気出口側(被験者と反対側)に接続しても良い。呼気はフローセンサ5の呼気出口側から抜ける構成となっているため、呼気出口側に抵抗を接続することで呼気経路に抵抗を配置したことになる。これによりフローセンサ5とニードル弁70等の抵抗がしっかりと固定され、フローセンサ周りの構成をコンパクト化することができる。被験者にとってもハンドル5bを把持して測定を行いやすいというメリットがある。さらに図3の例では、接続口17には呼吸経路60を介してフィルタ51が接続されているが、呼吸経路60を介さずに接続口17とフィルタ51を直結するようにしても良い。これにより、フローセンサ周りの構成をさらにコンパクト化することができる。
【0034】
このフローセンサ5の流管内には抵抗体が配置されている。この抵抗体は、例えば膜状の抵抗体が流管内の気体の流れを遮るように配置されており、この流管内に気体の流れが生じると抵抗体の前後に差圧が発生する。この抵抗体の前後の圧力は、該抵抗体の前後に配される圧力ポート、及び該圧力ポートの各々と接続される差圧チューブ16を介して、本体の差圧チューブ接続口(図示せず)に伝達される構成となっている。即ち差圧チューブ16を構成する2本のチューブのうち一方が抵抗体前の圧力を当該チューブと接続される一方のチューブ接続口に伝達し、他方が抵抗体後の圧力を当該チューブと接続される他方のチューブ接続口に伝達する。本体部15側ではこれら2つのチューブ接続口間の差圧を検出することにより、流管内を流れる気体の流量、即ち呼吸流量を計測することができる。この呼吸流量は、呼吸流速とも呼ばれる。なお、この方式のフローセンサは、いわゆる差圧式と呼ばれるものであり、広く使用されている。
【0035】
図1及び図2(図3)に示すように、本実施形態においては、フローセンサ5にニードル弁70が接続される。このニードル弁70は、その回転数によって流量を制御することが可能なものであり、所謂スピードコントローラと称されるものである。本例では、SMC株式会社の「AS600」を使用した。このニードル弁70は、図2に示すようにフィルタ51と接続口17の間を結ぶ呼吸経路60の中間に配置されており、被験者がマウスピース50を口に含んだ状態で呼気を行ったときは、呼気が呼吸経路60及びスピードコントローラを通過し、吸気を行ったときは、吸気は呼吸経路60及びスピードコントローラを通過する。即ち、本実施形態において呼気経路と吸気経路は同一である。呼吸経路60に配置されたニードル弁70の回転数を制御することで、被験者に所定の負荷抵抗を負荷することが可能である。
【0036】
図4は、ニードル弁の回転数が「0」,「7」,「9」,「10」,「11」,「11.5」,「12」であるときの各々について、流量とニードル弁の前後に生じる差圧の関係をしたグラフである。ニードル弁の回転数が多い程、同一流量でニードル弁の前後に生じる差圧は大きくなる。従って、負荷抵抗を大きくするにはニードル弁の回転数を増加させ、小さくするにはニードル弁の回転数を減少させれば良い。また、ニードル弁の回転数が「0」のときには、流量によらず差圧が殆ど0であるから、負荷抵抗も0とすることができる。即ち、ニードル弁の回転数制御によって抵抗を負荷するか否かを適宜設定可能であり、また、負荷抵抗の増減を適宜調整可能である。
【0037】
図5に示すように、被験者P01〜P07、P10、及びP11の合計9名に対して、本実施形態の呼吸機能検査装置1を使用してパーセント1秒量(%FEV1)の測定を行った。ここでパーセント1秒量とは予測1秒量に対する実際に測定された1秒量の割合である。予測1秒量とは、被験者の性別、年齢、及び身長から算出される1秒量の予測値である。操作キー4によって被験者の性別、年齢、及び身長を入力して、1秒量の測定を行うことによってパーセント1秒量が算出される。ここで、ニードル弁の回転数を「0.0」,「7.0」,「8.0」,「9.0」,「10.0」,「10.5」,「11.0」,「11.5」,「12.0」,「12.3」,「12.5」としたときの各々についてパーセント1秒量(%FEV1)を測定した。
【0038】
図5に示す実験結果において、被験者P01〜P07は呼吸器疾患を有しない健常者である。P10は喘息患者であり、P11はCOPD患者である。健常者は回転数が比較的低い段階(概ね9前後)で%FEV1が下降するが、呼吸器に疾患を持つ被験者P10、P11は回転数が12以上になるまで%FEV1が下降していない。これは、意図的に負荷された負荷抵抗によって健常者はその影響を受けやすく、COPD患者等の呼吸機能に疾患を有する者はその影響を受けにくいことを示している。また、本実験によって、COPD患者は回転数12を超えるまで呼気時において通常よりも負荷抵抗が大きい感覚(呼気が困難になる感覚)を抱いていないことも確認された。これは、COPD患者が有している潜在的な呼気抵抗が大きく、負荷抵抗が小さい段階では呼吸流量への影響が少ないことを示す結果である。但し、この負荷抵抗が所定値以上となり、COPD患者の潜在的な呼気抵抗を上回るようになると、回転数が12を超えて%FEV1が低下したように、呼吸流量への影響が大きくなると考えられる。
【0039】
本実施形態では%FEV1を測定したが、COPD患者が潜在的に有する呼気抵抗は、最大呼気時及び最大吸気時に限らず安静呼吸時にも存在しているものである。従って、本実施形態に係る呼吸機能検査装置1によって、呼吸努力を要しない状態、例えば安静呼吸時の呼吸流量及び呼吸容量を測定することで、呼吸機能の検査を行うことができる。例えば、被験者に安静呼吸を行わせている状態で、ニードル弁の回転数を0として無負荷時フロー・ボリューム曲線を取得し、次いでニードル弁の回転数を11として有負荷時フロー・ボリューム曲線を取得する。このとき無負荷時フロー・ボリューム曲線と有負荷時フロー・ボリューム曲線とを比較して、両者の違い(例えば曲線が構成する弧の径の大小)が大きければ健常者、小さければCOPDのおそれありと診断することが可能である。さらに、例えば回転数11で無負荷時と有負荷時のフロー・ボリューム曲線に明確な違いが出たため比較的軽症、回転数12.5となっても無負荷時と有負荷時のフロー・ボリューム曲線に明確な違いが出ないため重症というように、負荷抵抗を調整することで、COPDの症状の判断にも役立てることができる。
【0040】
[2.第2実施形態に係る呼吸機能検査装置]
次に図6〜図12を用いて第2実施形態に係る呼吸機能検査装置について説明する。本実施形態に係る呼吸機能検査装置1は、図6に示すように、本体部15及びフローセンサ5、並びにローセンサ5に接続される呼気経路61、抵抗体71、一方弁81、吸気経路62、及び一方弁82等からなる。本体部15及びフローセンサ5の機能は第1実施形態の呼吸機能検査装置と同様であるため、説明を省略する。本実施形態では、図6に示すようにフローセンサ5とフィルタ51の間の呼吸経路が、呼気経路61と吸気経路62に分岐されている。呼気経路61には、呼気方向、即ち被験者側からフローセンサ側へのみ空気を通過させる方向弁81が設けられている。吸気経路62には、吸気方向、即ちフローセンサ側から被験者側へのみ空気を通過させる方向弁82が設けられている。従って、被験者が呼気を行ったときには、その呼気は呼気経路61のみを通過し、吸気を行ったときには、その吸気は吸気経路62のみを通過する。
【0041】
本実施形態では、呼気経路61に抵抗体71を配置しており、これによって被験者に負荷抵抗を提供する。一方、吸気経路62には吸気を阻害する抵抗が配置されていないため、被験者は吸気の際には抵抗を感じることはなく、スムーズに安静吸気を行うことができる。さらに本実施形態では、被験者の口腔内圧を測定するための口腔内圧測定部90が、フィルタと分岐点(呼気経路61と吸気経路62の分岐点)の中間に接続されている。
【0042】
図7は第2実施形態に係る呼吸機能検査装置のフローセンサ5に接続される各部品の接続態様を示す図である。フローセンサ5の接続口17には、呼気経路61と吸気経路62とを分岐するためのT字状の分岐部材85が接続される。分岐部材85の支部は接続口17に接続され、2つの分岐部のうち一方(呼気側分岐部)は呼気経路61の一端、他方(吸気側分岐部)は吸気経路62の一端に接続され、各々呼気経路、吸気経路の一部を構成している。
【0043】
一方、フィルタ51は図7に示すように、二方向弁アセンブリ80を構成する分岐部材83の支部に接続される。この二方向弁アセンブリ80は、呼気経路61と吸気経路62を分岐するためのT字状の分岐部材83と、その管内に設けられた一方弁81及び82からなる。分岐部材83の支部は、フィルタ51に接続される。分岐部材83の2つの分岐部のうち一方(呼気側分岐部)は呼気経路61の他端、他方(吸気側分岐部)は吸気経路62の他端に接続され、各々呼気経路、吸気経路の一部を構成している。呼気経路61に接続される呼気側分岐部の管内には一方弁81が設けられ、呼気方向(マウスピース50からフローセンサ5へ向かう方向)にのみ空気を流すようにしている。一方、吸気経路62に接続される吸気側分岐部の管内には一方弁82が設けられ、吸気方向(フローセンサ5からマウスピース50へ向かう方向)にのみ空気を流すようにしている。このように、分岐部材83と、その管内に設けられた一方弁81及び82からなる二方向弁アセンブリ80として、例えばハンス・ルドルフ社(米国)の「T-Shape2700/112079」 を使用することができる。
【0044】
本実施形態においては、図7に示すように呼気経路61に抵抗体71を設けている。抵抗体71は、呼気経路の一部を構成する筒状の筐体の管内に、図8に示す円板状物71aを設けたものである。この円板状物71aの中央には貫通孔が設けられており、ここを呼気が通過するようになっている。この貫通孔は呼気経路の径よりも小さいため、呼気の通過に伴って抵抗が生じる。なお、本実施形態においては、図6及び図7に示すように、分岐部材83に、支部の内圧(=被験者の口腔内圧)を測定するための口腔内圧測定部90を接続している。
【0045】
被験者がマウスピース50から呼気を行うと、呼気はフィルター51及び分岐部材83の支部及び呼気側分岐部を通過した後、一方弁81を通過し、円板状物71aの孔を通過し、呼気経路61を通過し、さらに分岐部材85の呼気側分岐部及び支部を通過してフローセンサ5に到達する。一方、被験者がマウスピース50から吸気を行うと、吸気はフローセンサ5から分岐部材85の支部及び吸気側分岐部を通過した後、吸気経路62を通過し、一方弁82を通過し、さらに分岐部材83の吸気側分岐部及び支部を通過して、フィルター51及びマウスピース50に到達する。従って、被験者が呼気を行うときにのみ抵抗が負荷され、吸気を行うときには抵抗は生じないため、マウスピース50を口に含んだ状態で呼吸をスムーズに行うことができる。
【0046】
ここで抵抗体71は呼気経路61から着脱可能であり、抵抗体71を負荷しないときには抵抗体71を呼気経路61から取り外して、呼気経路61を分岐部材83の呼気側分岐部に直結して測定を行えば良い。抵抗体71を負荷するときには、図7に示すように抵抗体71の一端を分岐部材83の呼気側分岐部に接続し、他端を呼気経路61に接続して測定を行えば良い。このようにして、抵抗体71を負荷するか否かを適宜設定可能である。また、図8に示した円板状物71aの孔の径を大きくすれば抵抗が減少し、小さくすると抵抗が増大する。このようにして孔の径が異なる複数の抵抗体71を用意しておき、適宜交換することで負荷抵抗の増減を調整することも可能である。
【0047】
本実施形態の呼吸機能検査装置1を用いて、呼吸器系に疾患を有しない健常者のフロー・ボリューム曲線を取得した。まず最初に、抵抗体71を呼吸機能検査装置1から取り外した状態で被験者に呼吸努力を行わない通常の呼吸(本例では安静呼吸)を行わせて無負荷時フロー・ボリューム曲線を取得し、次に、抵抗体71を呼吸機能検査装置1に接続した状態で被験者に呼吸努力を行わない通常の呼吸(本例では安静呼吸)を行わせて有負荷時フロー・ボリューム曲線を取得した。そして図9に示すように、これらのフロー・ボリューム曲線を左右に並べてディスプレイ7に表示させた。ディスプレイ左部分には無負荷時フロー・ボリューム曲線が表示され、ディスプレイ右部分には有負荷時フロー・ボリューム曲線が表示されている。無負荷時は、曲線が構成する弧の径が大きいが、有負荷時は、曲線が構成する弧の径が明かに小さくなっている。従って、呼吸流量及び呼吸容量が負荷抵抗の影響を大きく受けていることになる。この結果は、被験者の呼吸機能が正常であることを示唆している。
【0048】
図10には、口腔内圧力測定部90によって呼出時における口腔内圧力を測定した結果を示す。左のグラフが無負荷時の口腔内圧力の時間変動であり、右のグラフが有負荷時の口腔内圧力の時間変動をあらわしている。有負荷時における口腔内圧力のピーク値は有負荷時の数倍に増加しており、口腔内圧力に関しては負荷抵抗の影響を受けていることは明白である。
【0049】
次に、疑似COPD患者を対象として健常者と同様の検査を行った。疑似COPD患者とは、図7に示した分岐部材83の支部とフィルタ51との間に図8に示したものと同様の抵抗体を別途接続し、この状態で健常者がマウスピース50から呼吸を行うようにしたものである。即ち、このとき接続した抵抗体の抵抗をCOPD患者が潜在的に有する呼気抵抗とみなしており、COPD患者が呼吸を行っている状況を擬似的に作り出した。健常者の呼気経路に分岐部材83の支部とフィルタ51との間に介在させた人工的な呼気抵抗を含めることによって、COPD患者が呼吸を行っているときと同じ状況を作り出した。
【0050】
まず、抵抗体71を呼吸機能検査装置1から取り外した状態で被験者に呼吸努力を行わない通常の呼吸(本例では安静呼吸)を行わせて無負荷時フロー・ボリューム曲線を取得し、次に、抵抗体71を呼吸機能検査装置1に接続した状態で被験者に呼吸努力を行わない通常の呼吸(本例では安静呼吸)を行わせて有負荷時フロー・ボリューム曲線を取得した。そして図11に示すように、これらのフロー・ボリューム曲線を左右に並べてディスプレイ7に表示させた。ディスプレイ左部分には無負荷時フロー・ボリューム曲線が表示され、ディスプレイ右部分には有負荷時フロー・ボリューム曲線が表示されている。無負荷時と有負荷時において、曲線が構成する弧の大きさに明確な違いは確認されない。従って、被験者の呼吸流量及び呼吸容量は、負荷抵抗の影響をさほど受けていないことになる。この結果は、被験者がCOPDである可能性が高いことを示している。
【0051】
図12には、口腔内圧力測定手段90によって呼出時における口腔内圧力を測定した結果を示す。口腔内圧力は、実際の口腔内部で測定されるものではなく、あくまで分岐部材83の支部において測定されているため、この場合にもCOPD患者が呼吸を行っているときと同じ状況である。左のグラフが無負荷時の口腔内圧力の時間変動であり、右のグラフが有負荷時の口腔内圧力の時間変動をあらわしている。
【0052】
ここで本例では、被験者の無負荷時フロー・ボリューム曲線及び有負荷時フロー・ボリューム曲線をディスプレイ7に表示するようにしているが、無負荷時の呼吸流量の時間変動である無負荷時フローと、有負荷時の呼吸流量の時間変動である有負荷時フローを比較可能に表示するようにしても良い。また、ディスプレイ7に無負荷時の呼吸流量と有負荷時の呼吸流量との比を表示するようにしても良い。両者の比は数値として提示されるため定量的な比較、診察が可能となり、COPDの判断に役立てることができる。同様に、無負荷時の呼吸容量の時間変動である無負荷時ボリュームと、有負荷時の呼吸流量の時間変動である有負荷時ボリュームを比較可能に表示するようにしても良い。また、ディスプレイ7に無負荷時の呼吸容量と有負荷時の呼吸容量との比を表示するようにしても良い。
【0053】
また、本例では、被験者の無負荷時における口腔内圧の時間変動及び有負荷時における口腔内圧の時間変動をディスプレイ7に表示するようにしているが、無負荷時における口腔内圧と有負荷時における口腔内圧との比を表示するようにしても良い。両者の比は数値として提示されるため定量的な比較、診察が可能となり、COPDの判断に役立てることができる。特に、口腔内圧の比と、前述した呼吸流量の比の両者の傾向を分析することによって、COPDの判断を信頼性の高いものにすることが可能である。
【0054】
[3.第3実施形態に係る呼吸機能検査装置]
最後に図13を用いて第3実施形態に係る呼吸機能検査装置について説明する。本実施形態に係る呼吸機能検査装置1は、図13に示すように、第2実施形態における呼吸機能検査装置の抵抗体71を、第1実施形態に係るニードル弁70と同様のニードル弁70’に置き換えて構成したものである。これにより、負荷抵抗を負荷するか否かをニードル弁の回転数を0にするか否かによって容易に設定可能であり、また、負荷抵抗の増減を回転数を制御することによって容易に調整可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…呼吸機能検査装置
5…フローセンサ
7…ディスプレイ
15…本体部
60…呼吸経路
61…呼気経路
62…吸気経路
70…ニードル弁
71…抵抗体
81…一方弁
82…一方弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の呼吸流量及び呼吸容量を測定する呼吸機能検査装置であって、
前記被験者の呼吸が通過する呼吸経路に、前記被験者が呼気を行うときに呼気を抑制する抵抗を負荷する抵抗負荷手段を設けたことを特徴とする。
【請求項2】
請求項1に記載した呼吸機能検査装置であって、
前記呼吸経路は、前記被験者の呼気が通過する呼気経路と、当該被験者の吸気が通過する吸気経路とを別個に有し、
前記呼気経路には前記被験者の呼気方向にのみ気体を通過させる一方弁を設け、前記吸気経路には前記被験者の吸気方向にのみ気体を通過させる一方弁を設けることにより、前記被験者が呼気を行ったときにはその呼気が前記呼気経路のみを通過し、吸気を行ったときにはその吸気が前記吸気経路のみを通過するように制御し、
前記呼気経路にのみ前記抵抗負荷手段を設けたことを特徴とする呼吸機能検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した呼吸機能検査装置であって、
前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷するか否かを適宜設定可能であることを特徴とする呼吸機能検査装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載した呼吸機能検査装置であって、
前記抵抗負荷手段の抵抗の増減を適宜調整可能であることを特徴とする呼吸機能検査装置。
【請求項5】
請求項3に記載した呼吸機能検査装置であって、
前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷していない状態における呼吸流量と、前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷している状態における呼吸流量とを比較可能な態様で表示する表示手段をさらに設けたことを特徴とする呼吸機能検査装置。
【請求項6】
請求項3に記載した呼吸機能検査装置であって、
前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷していない状態における呼吸容量と、前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷している状態における呼吸容量とを比較可能な態様で表示する表示手段をさらに設けたことを特徴とする呼吸機能検査装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載した呼吸機能検査装置であって、
前記表示手段は、前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷していない状態における呼吸流量と呼吸容量との関係を示す無負荷時フロー・ボリューム曲線と、前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷している状態における呼吸流量と呼吸容量との関係を示す有負荷時フロー・ボリューム曲線とを比較可能な態様で表示することを特徴とする呼吸機能検査装置。
【請求項8】
請求項3に記載した呼吸機能検査装置であって、
前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷していない状態における口腔内圧と、前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷している状態における口腔内圧とを比較可能な態様で表示する表示手段をさらに設けたことを特徴とする呼吸機能検査装置。
【請求項9】
請求項8に記載した呼吸機能検査装置であって、
前記表示手段は、前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷していない状態における口腔内圧の時間変動と、前記抵抗負荷手段の抵抗を負荷している状態における口腔内圧の時間変動とを比較可能な態様で表示することを特徴とする呼吸機能検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−187292(P2012−187292A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54054(P2011−54054)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(597009275)株式会社フクダ産業 (4)
【Fターム(参考)】