説明

呼吸気流量測定装置

【課題】管体1を交換しても可動部材13と検出部20が正確な位置関係になり、且つ管体1の着脱作業が容易である呼吸気流量測定装置を提供すること。
【解決手段】管体1が保持部材2に対して装着された際に可動部材13と検出部20が所定の位置関係になるよう管体1を位置決めする管体位置決め手段を呼吸気流量測定装置に設ける。具体的には管体1の凹部11とプランジャー部23を嵌合させる。このようにすることによって、管体1を交換しても可動部材13と検出部20が正確な位置関係になり、また管体1の着脱動作が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の呼吸気の流量を測定する呼吸気流量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の肺機能を検査する装置として、被験者の呼吸気の流量を測定する呼吸気流量測定装置(以下、「スパイロメータ」という。)が知られている。
【0003】
このスパイロメータは多種のものがあり、例えば、気体が流通する通路中の層流抵抗体の前後の差圧を検出する差圧センサを用いた気体計測用流量計(特許文献1参照)や、偏向部材により呼吸気を渦流にし、その渦流により回転する回転体を流路中に設け、その回転に応じて回転体に遮断される発光器からの光を受光器により受光してその受光量から回転体の回転を検出する回転センサを用いた呼吸流量計測装置がある(特許文献2参照)。
【0004】
しかし、特許文献1に記載のように、通路中の層流抵抗体の前後の差圧を検出する流量計は、比較的安価に構成することが可能であるが、流体の流路中に圧力センサを備える必要があった。そのため、流体の主流路をディスポーザブルにした場合でも、圧力センサを備えた部分の流路については交換せずに使用することとなり、毒性や感染性のある流体を測定する場合には問題があった。
【0005】
そこで本出願人は、流体が流れる管体の内部に可動部材を配置し、流体の流量に応じて変化する可動部材の物理変化量を検出手段で検出し、流体の流量を算出する流量測定装置を提案した(特願2004−356890又は特願2005−161130)。当該流量測定装置によれば、検出手段が管体の外部に配置されているので、測定する毎に管体を消毒又は交換することが容易で、毒性や感染性のある流体を扱う場合に安全性を確保することができる。
【特許文献1】特開平7−83713号公報
【特許文献2】特開2000−298043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本出願人が提案した上記流量測定装置は、可動部材の物理変化量を非接触の検出手段により検出することで流体の流量を算出するものであるため、可動部材と検出手段は正確な位置に配置させなければならない。そこで可動部材と検出手段を固設することが考えられるが、衛生上の観点で可動部材を内部に有する管体を測定する毎に交換する必要があるため固設することはできない。従って、管体を交換する毎に可動部材と検出手段が所定の位置関係になるよう考慮しなければならない。
【0007】
一方で、管体を交換する毎に螺旋止め等を行い可動部材と検出手段を所定の位置関係にしようとしても、交換する毎に螺旋止め等を行っていたのでは手間がかかってしまい効率良く流量を測定することができない。
【0008】
従って、本発明の目的は、流体が流れる管体の内部に可動部材を配置し、流体の流量に応じて変化する可動部材の物理変化量を検出手段で検出する装置で、管体を交換しても可動部材と検出手段が正確な位置関係になり、且つ管体の着脱作業が容易である呼吸気流量測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では、管体の交換に際しても可動部材と検出手段が所定位置になり正確に検出できるように工夫した。
【0010】
即ち、本発明に係る呼吸気流量測定装置は、
呼吸気が流れる流路を形成する管体と、
前記管体内に配置され、呼吸気が流れることによって可動する可動部材と、
前記可動部材の物理的変化を検出する検出手段と、
前記検出手段を保持すると共に前記管体を着脱可能に保持する保持部材と、
前記管体が前記保持部材に対して装着された際に前記可動部材と前記検出手段が所定の位置関係になるよう前記管体を位置決めする管体位置決め手段と、
を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る呼吸気流量測定装置によれば、管体を交換しても可動部材と検出手段が正確な位置関係になり、且つ管体の着脱作業が容易である
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
〈第1の実施形態〉
図1は本発明に係る呼吸気流量測定装置(スパイロメータ)100の概要を説明する全体構成図である。
【0013】
1は呼吸気流量測定用の管体であり、2は管体1が挿入され管体1を保持する保持部材であり、3は保持部材2に接続された流量換算部である。
【0014】
管体1には、管体1が保持部材2に位置決めされるための凹部11と、呼吸気が流れる流路12を形成する流路部120と、被験者が口を付けるマウスピース部14が設けられている。
【0015】
保持部材2には、呼吸気の流量を測定するための検出部(検出手段)20と、管体1を位置決めするためのプランジャー部(管体位置決め手段)23が設けられている。
【0016】
管体1は図1に示す矢印方向に沿って保持部材2に挿入され、測定可能な所定の位置で保持部材2に装着される構造になっている。この装着される構造については後ほど詳細に説明する。
【0017】
検出部20の構成について説明する。検出部20は、例えば光源部21と受光部22とで構成されている。光源部21は、例えば、冷陰極管により構成される線発光光源により構成され、流路部120に設けられた透過部15を介して、図2に示す照射範囲Rg内の可動部材13を照射し、管体1を中心に受光部22と対向する位置に配置されている。光源部21には、例えばEL(Electro Luminescene)等の広領域を照射して面発光する光源や、LED(Light Emitting Diode)のような点発光する光源からの光を拡散板で拡散させて照射する光源等を適宜採用可能である。
【0018】
受光部22は、CCD(Charge Coupled Device)エリアセンサ、CCDラインセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)エリアセンサ、CMOSラインセンサ等の光学検知素子により構成される。受光部22は、光源部21が照射する照射範囲Rg内の可動部材13の光学像を電気信号に変換(光電変換)する機能部であり、流量換算部3に光電変換した電気信号をケーブルCBを介して出力する。なお、受光部22と流量換算部3とは、例えば、有線LAN、無線LAN及びWAN等のネットワークを介して接続可能であってもよいし、光ファイバーによって光学的な通信接続を行うこととしてもよい。
【0019】
また、本実施の形態では検出部20は、光源部21と受光部22とで可動部材13の物理的変化を光学的に検出しているが、磁気センサや電波センサ等の非接触センサとすることも可能である。
【0020】
呼吸気の流量測定方法について図2〜図4を用いて詳しく説明する。
【0021】
図2に管体1を軸方向に切断した縦断面図を、図3に管体1の径方向に可動部材13の接合部分を切断した縦断面図を、図4(a)に管体1の軸方向に切断した横断面図を示す。
【0022】
図2〜図4に示すように、流路12の内壁には、呼吸気の流れの一部を遮断する方向に可動部材13が配置されている。可動部材13の一端は流路12の内壁に接合固定され、もう一端は、光源部21と受光部22とを結ぶ直線P上に固定される。
【0023】
可動部材13は、着色料の含有等により遮光性を有し、且つ可撓性を有する樹脂等の薄板上の弾性体により構成され、呼吸気の流量に応じて図2のようにb又はdの方向に変形する。この変形の度合い(例えば、可動部材13の下端131の移動量)は可動部材13の弾性力、変形による流路の開口度、気流の流れの変化等により決められる。弾性力は可動部材13の厚みや形状、素材材質等により決まる。
【0024】
例えば、呼気の流量を測定する場合には、管体1に被験者が呼気を吹き込むことにより、図2の矢印a方向に気流が生じる。この気流により、可動部材13が矢印b方向に変形する(撓む)。また、吸気の流量を測定する場合には、管体1から吸気を吸い込むことにより、図2の矢印c方向に気流が生じる。この気流により、可動部材13が矢印d方向に変形する(撓む)。スパイロメータ100は、可動部材13の物理的変化としての変形の度合いを受光部22において撮像された光学像に基づいて検出することにより、呼吸流量の測定を行う。尚、物理的変化とは、物体の形状の変形だけでなく、物体の移動又は回転等の変移も含むこととする。
【0025】
受光部22は、この呼吸気に応じて撓む可動部材13の照射範囲Rgの光学像を走査、露光することで読み取る。そして、その読み取った光学像を電気信号(電圧)に変換し、流量換算部3のデータ入力部33に出力する。
【0026】
このとき、図4(a)の断面図のように、光源部21の照射光が伝搬する方向に沿って、可動部材13と受光部22とが順に並ぶように配置されるため、光源部21の照射光は、その一部が非透過性の可動部材13によって遮断されて受光部22に透過する。このため、可動部材13の暗影を含む光学像、即ち透過像が形成されて受光部22に受像される。
【0027】
図4(b)に、可動部材13の光学像を読み取って受光部22が生成した電気信号のグラフを示し、そのx軸が管体1の軸方向の位置座標、y軸が受光部22が変換する電気信号の信号値(電圧値)を表す。
【0028】
図4(b)のグラフに示すように、受光部22が変換した電気信号の信号値は、可動部材13の厚さに相当する像検出範囲R1の信号値Sbが、可動部材13に遮られることなく透過した照射光を受光して得られた信号値Saよりも低い値をとる。このように、光源部21からの照射光により、可動部材13の光学像(透過像)は、当該可動部材13の暗影が明瞭な電気信号に変換される。このため、電気信号から可動部材13のx軸方向の座標位置を正確に読み取ることができる。
【0029】
例えば、上述した呼吸気の流れにより、可動部材13が変形して、照射範囲Rg内で矢印bの方向に変形すると、像検出範囲R1がその変形に伴ってx軸の+方向に移動する。また、照射範囲Rg内の可動部材13が矢印dの方向に変形すると、像検出範囲R1がその変形に伴って−方向に移動する。従って、呼吸気が流れていないときの可動部材13の初期座標Xaと、像検出範囲R1の中心位置の座標位置との差分から可動部材13がどの程度変形したかを表す変移量(単位:mm)を算出することができる。
【0030】
ここで、流路部120の光学的な透過率が低いと、呼吸気により変化する可動部材13の状態を受光部22において正確に測定できない。また、流路部120を透過率が高い部材ですべて作ってしまうと、管体1を支持する保持部材2の外部から光が受光部22領域に混入してしまい、正確な測定ができないこととなる。そこで、流路部120の検出部20と対向する部位に透過部15を設けられている。透過部15では全光線透過率が80%以上100%以下であることが好ましい。また、透過部15以外の流路部16では、全光線透過率が0%以上30%以下であることが望ましい。この全光線透過率は、JIS K7361−1により規定されたものである。具体的な材料としては全光線透過率が異なるアクリル樹脂等が考えられる。このように流路部120に透過部16を設けることにより、呼吸気の流量を正確に測定することが可能となる。
【0031】
なお、可動部材13の下端121に金属片や無線発振器等を設けることにより、検出部20を磁気センサや電波センサとすることができる。この場合、流路部120の光学的な透過は必要なく、透過部16を省略できる。
【0032】
図5は、流量換算部3の機能構成の一例を示すブロック図である。図5によれば、流量換算部3は、CPU(Central Processing Unit)30、操作部31、表示部32、データ入力部33、ROM(Read Only Memory)34、RAM(Random Access Memory)35、記憶部36を備えて構成される。尚、流量換算部3は、一般的なパーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機等の各種電子機器で構成することとしてもよい。
【0033】
CPU30は、流量換算部3を構成する各機能部に対する指示やデータの入出力を行う機能部である。より具体的に、CPU30は、操作部31から入力される操作信号に応じてROM34及び記憶部36に格納されたプログラムを読み出し、当該プログラムに従って処理を実行する。そして、処理結果を表示出力するための表示データを表示部32に出力し、当該表示データに従った画面を表示部32に表示させる。
【0034】
操作部31は、数字や仮名、アルファベット等の文字入力や機能選択等に必要なキー群と、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、押下されたキーの押下信号や、ポインティングデバイスの位置情報等をCPU30に出力する。表示部32は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の表示パネルを備えて構成され、CPU30から入力される表示データに基づいた各種画面を当該表示パネルに表示させる。
【0035】
データ入力部33は、D/A変換器を備えて構成され、受光部22から入力された電気信号をD/A変換してCPU30に出力する。
【0036】
ROM34は、不揮発性の半導体メモリで構成され、各種初期設定、ハードウェアの検査、又は必要なプログラムのロード等を行うための初期プログラムを格納している。RAM35は、書き換え可能な半導体素子で構成され、CPU30が実行する各種プログラムやこれらのプログラムの実行に係るデータ等を一時的に保持する。
【0037】
記憶部36は、磁気的、光学的な記憶媒体にデータの読み書きを行う機能部であり、HDD(Hard Disk Drive)等により構成される。本実施形態における記憶部36は、図8に示す流量換算テーブル37を記憶する。
【0038】
流量換算テーブル37は、図6に示すデータ構成の一例のように、可動部材13の変移量371と、気流量情報372とを対応付けて記憶するデータテーブルである。CPU30は、この流量換算テーブル37を用いて次のようにして呼吸流量を換算する。
【0039】
先ずCPU30は、データ入力部33を介して入力される受光部22の電気信号から像検出範囲R1を検出する。そして、予め定められた初期座標Xaと、像検出範囲R1の中心座標とを比較して、可動部材13の変移量を算出する。次いで、算出した可動部材13の変移量に対応する気流量情報を流量換算テーブル37から読み出し、この気流情報を呼吸流量として決定する。
【0040】
例えば、可動部材13の変移量を0.3mmとして算出した場合、その変移量に対応する気流量情報「0.6」を流量換算テーブル37から読み出して、呼吸流量として決定する。このようにして、可動部材13の変移量を呼吸流量に換算する。CPU30は、この換算した呼吸流量や、呼吸流量の推移を積分して計算した呼吸気量を表示部32に表示させる。
【0041】
以上説明したように、光源部21からの照射光により可動部材13の透過像が形成され、当該透過像が受光部22により受像されることにより、簡易な方法で呼吸気の流量が測定できる。また、可動部材13の光学像を受光部22により撮像して、その光学像に基づいて呼吸流量を換算するため、受光部22は、管体1内を通る呼吸気に接触しない。従って、呼吸流量の測定する毎に、受光部22等を消毒・洗浄しなくてよく、手間が省ける。
【0042】
図7は管体1と保持部材2の断面形状を示した図である。
【0043】
管体1は保持部材2に装着される構造になっているが、装着動作を円滑に行うため、管体1には被案内部17が設けられており、保持部材2には案内部24が設けられている。管体1を保持部材2に装着する場合、被案内部17が案内部24と嵌合することによって管体1が円滑に装着可能となる。本実施形態では管体側が凹形状、保持部材側が凸形状となっているが、凹凸を相互に変えた態様であっても全く同様の効果が得られる。
【0044】
前述した呼吸気流量測定装置(スパイロメータ)100は、可動部材13の物理変化量を非接触の検出部20により検出することで流体の流量を算出するものであるため、可動部材13と検出部20は正確な位置に配置させなければならない。そこで、管体1を装着する際に可動部材13と検出部30が所定の位置関係になるよう考慮しなければならない。そこで、以下に管体1が保持部材2に装着され所定位置で位置決めされる構造を図8を用いて説明する。
【0045】
図8で示すように、管体1には凹部11が設けられており、保持部材2には凹部11と嵌合するプランジャー部(管体位置決め手段)23が設けられている。プランジャー部23には一定の負荷がかかると負荷方向に移動する球形部(突出部材)232があり、バネ(図示せず)によって付勢されている。図8におけるX方向に一定の負荷がかかると球形部232は移動し、バネの付勢力に抗して円筒部231の内部に移動する構造になっている。
【0046】
管体1が保持部材2に装着される動作を説明する。図8(a)で示す矢印方向に管体1が移動すると、管体1の先頭部A(図8(b)参照)がプランジャー部23の球形部232に接触し、球形部232がバネの付勢力に抗して円筒部231の内部に移動する。そうすると図8(b)で示すように、管体1の先頭部Aがプランジャー部23を通過することとなる。さらに管体1を移動させ管体1の凹部11がプランジャー部23周辺に差し掛かると、球形部232がバネの付勢力によって円筒部231から表に出て、図8(c)に示すように凹部11とプランジャー部23が嵌合し、管体1が保持部材2の所定位置で装着されることになる。このように管体1が保持部材2における所定位置で位置決めされることによって、管体1を交換しても可動部材13と検出部20が正確な位置関係になり、呼吸気の流量を測定するための可動部材13の物理的変化が光源部21と受光部22によって正確に検出されることとなる。また管体1を螺旋止め等により保持部材2に位置決めするわけではなく、管体1を保持部材に挿入する動作のみで、プランジャー部23により位置決めされるため、着脱動作が容易となる。
【0047】
図9に図8(c)におけるA−A断面図を示す。
【0048】
プランジャー部23は管体1の外周面を介して管体1を位置決めする構造となっている。管体1の内部には流路12や可動部材13等が設けられており、また管体1が交換が可能となっているため、管体1の内周面を介して管体1を位置決めすることは複雑な構成となりえる。そこで管体1の外周面を介して位置決めを行えば、管体1の装着動作に支障がなく、管体1の内周面を介して位置決めするよりも簡易な構成により強固な位置決めが可能となる。
【0049】
また、プランジャー部23は上下に2つずつ設けられている。複数のプランジャー部23により管体1が位置決めされることによって、保持部材2で管体1が強固に位置決めされ、正確な位置で管体1を保持することができる。
【0050】
保持部材2の変形例を第10図に示す。
【0051】
第10図(a)に示す変形例は保持部材2が水平方向に分割されている構造である。第1の保持部材25をY1方向に移動し、第2の保持部材26をY2方向に移動することによって第1の保持部材25と第2の保持部材26を嵌合させて、管体1を保持する構造となっている。また、第10図(b)に示す変形例は保持部材2が垂直方向に分割されている構造である。第1の保持部材25をZ1方向に移動し、第2の保持部材26をZ2方向に移動することによって第1の保持部材25と第2の保持部材26を嵌合させて、管体1を保持する構造となっている。
〈第2の実施形態〉
管体1を保持部材2に装着する第2の実施形態について図11を用いて説明する。
【0052】
保持部材2の上面は図で示す矢印方向に開放される構造になっており、開放した状態で管体1が保持部材2に装着される。管体1の左右側面には複数の被案内部17が設けられており、保持部材2の内部には複数の案内部24が設けられている。管体1を保持部材2に装着する場合、被案内部17が案内24と嵌合することによって管体1が円滑に装着可能となる。また、被案内部17と案内24が管体位置決め手段としての機能を発揮し、被案内部17が案内部24と嵌合することによって管体1を交換しても可動部材13と検出部20が正確な位置関係になり、呼吸気の流量を測定するための可動部材13の物理的変化が光源部21と受光部22によって正確に検出されることとなる。また、管体1を螺旋止め等により保持部材2に位置決めするわけではなく、管体1を保持部材2に挿入する動作のみで管体1と保持部材2が位置決めされるため、着脱動作が容易となる。本実施形態では管体側が凹形状、保持部材側が凸形状となっているが、凹凸を相互に変えた態様であっても全く同様の効果が得られる。
【0053】
本発明に係る呼吸気流量測定装置は、以上説明したような形態であるが、本発明に係る呼吸気流量測定装置は本実施形態に限定されることはなく、本発明の思想の範疇であれば他の実施形態も考えられることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す呼吸気流量測定装置(スパイロメータ)100の概要を説明する全体構成図である。
【図2】管体1を軸方向に切断した縦断面図である。
【図3】管体1の径方向に可動部材13の接合部分を切断した縦断面図である。
【図4】管体1の軸方向の横断面図と、受光部22が出力する電気信号を表した図である。
【図5】流量換算部3の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図6】流量換算テーブル37のデータ構成を示す図である。
【図7】管体1と保持部材2の断面形状を示した図である。
【図8】管体1が保持部材2に挿入され所定位置で係止される構造を説明した図である。
【図9】管体1の径方向にプランジャー部23の接合部分を切断した縦断面図である。
【図10】保持部材2を水平方向又は垂直方向に分割した構造を説明した図である。
【図11】本発明の第2の実施形態を示す管体1及び保持部材2の概要を説明する図である。
【符号の説明】
【0055】
100 呼吸気流量測定装置(スパイロメータ)
1 呼吸気流量測定用の管体
11 凹部
12 流路
120 流路部
13 可動部材
14 マウスピース部
15 透過部
17 被案内部
2 保持部材
20 検出部(検出手段)
21 光源部
22 受光部
23 プランジャー部(管体位置決め手段)
24 案内部
231 円筒部
232 球形部(突出部材)
3 流量換算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸気が流れる流路を形成する管体と、
前記管体内に配置され、呼吸気が流れることによって可動する可動部材と、
前記可動部材の物理的変化を検出する検出手段と、
前記検出手段を保持すると共に前記管体を着脱可能に保持する保持部材と、
前記管体が前記保持部材に対して装着された際に前記可動部材と前記検出手段が所定の位置関係になるよう前記管体を位置決めする管体位置決め手段と、
を有することを特徴とする呼吸気流量測定装置。
【請求項2】
前記管体位置決め手段は、前記管体の外周面を介して前記管体を位置決めすることを特徴とする請求項1に記載の呼吸気流量測定装置。
【請求項3】
前記管体位置決め手段は、一定の負荷が加わると負荷方向に移動する突出部材を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の呼吸気流量測定装置。
【請求項4】
前記保持部材に前記突出部材が設けられており、前記管体に前記突出部材と嵌合する凹部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の呼吸気流量測定装置。
【請求項5】
前記突出部材と前記凹部は複数設けられていることを特徴とする請求項4に記載の呼吸気流量測定装置。
【請求項6】
前記管体を前記保持部材に装着する際の案内部が前記保持部材に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の呼吸気流量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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