呼気中の二酸化炭素(CO2)濃度に関する、画像ベースの低侵襲性の決定
【課題】呼気中の二酸化炭素(CO2)濃度の画像ベースの決定のためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】関心のある被検体の呼気流の画像が受信される。画像はCO2の赤外線吸収帯域に変えられた光フィルタを有する中波赤外線カメラシステムを使用して捕捉される。画像は呼気流を含む画素の領域を隔離するために前処理され、識別された領域における画素の強度値は、被検体の鼻または顔の放射輝度の値などの既知の放射輝度の値によって正規化される。画像はCO2濃度と画素強度を関連付ける較正曲線を使用して呼気流のCO2濃度レベルを決定するために解析される。較正曲線は物理学ベースのパラメータ化されたモデルを使用して導き出される。CO2濃度レベルが決定され、コンピュータワークステーション1328に通信される。様々な実施形態が開示される。
【解決手段】関心のある被検体の呼気流の画像が受信される。画像はCO2の赤外線吸収帯域に変えられた光フィルタを有する中波赤外線カメラシステムを使用して捕捉される。画像は呼気流を含む画素の領域を隔離するために前処理され、識別された領域における画素の強度値は、被検体の鼻または顔の放射輝度の値などの既知の放射輝度の値によって正規化される。画像はCO2濃度と画素強度を関連付ける較正曲線を使用して呼気流のCO2濃度レベルを決定するために解析される。較正曲線は物理学ベースのパラメータ化されたモデルを使用して導き出される。CO2濃度レベルが決定され、コンピュータワークステーション1328に通信される。様々な実施形態が開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像ベースで患者の呼吸機能をモニタリングためのシステムおよび方法に関し、これにより、呼気中の二酸化炭素(CO2)濃度および呼吸速度を、接触しない低侵襲性の環境において決定できる。
【背景技術】
【0002】
ヒトの呼吸機能をモニタリングするための方法は、数例列挙すると、医薬、睡眠の研究、ポリグラフテストにおいて多くの用途を有する。そのようなシステムは、ワイヤ、および電極、または被検体に接触するので被検体の回復期を妨げ得る物理的に侵襲性の他の装置を使用する。モニタリングされることが所望される1つの重要な呼吸機能は、CO2の濃度である。CO2の欠乏は、数例列挙すると、倦怠感、衰弱、疲労、吐き気、および意識不明を含む、息切れ、胸の痛み、窒息感、しびれ、不整脈などの病状を引き起こすか、または悪化させ得る。CO2濃度および呼吸速度の評価は、ヒトが呼吸亢進(過呼吸もしくは低炭酸症)または低換気(減呼吸もしくは高炭酸症)にかかっているか否かを医療専門家がより良く診断するのを助ける。呼吸評価に関する1つの問題は、患者が呼吸をモニタリングされていることを気づくと、患者は通常の呼吸パターンを無意識で変える傾向があるということである。時には、これが、患者の呼吸機能に関して信頼性のある評価を得ることを困難にする。患者が参加することなく、または患者が知ることさえなく、患者の呼吸機能の評価を容易にすることが出来る目立たない測定システムが非常に望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
開示されるものは、呼気の画像中の二酸化炭素濃度を決定するための新たなシステムおよび方法、ならびに患者の呼吸速度を決定するための新たなシステムおよび方法である。本システムおよび本方法は、CO2のIR吸収波長に設定された狭帯域フィルタを利用して、患者の呼気流の画像を捕捉するために中波赤外線カメラを利用する。本明細書においてさらに完全に開示されるように、アルゴリズムおよび較正方法が提供される。本明細書の教示は、接触しない低侵襲性の方式で患者の呼吸機能の評価を実現する。
【0004】
例示的な一実施形態において、呼気中の二酸化炭素(CO2)濃度に関する画像ベースの決定のための本方法は、以下を含む。第1に、関心のある被検体の呼気流の画像が受信される。CO2の赤外線吸収帯域に変えられた少なくとも1つの光フィルタを有する中波赤外線カメラシステムを使用して画像が捕捉される。この光フィルタは、背景の黒体の放射に対するCO2のコントラストを増加させる狭帯域フィルタである。受信された画像のそれぞれが、少なくとも部分的には、CO2の所望の吸収帯域において取得されるそれぞれの強度値を有する画素のアレイを備える。画像は呼気流を含む画素の領域を隔離するために前処理され、識別された領域における画素の強度値が、既知の放射輝度の値、例えば、被検体の鼻または顔の放射輝度の値によって正規化される。本明細書においてさらに完全に開示される方式においては、CO2濃度に画素の強度値を関連付ける較正曲線を使用して、呼気流のCO2濃度レベルを決定するために、画像が解析される。較正曲線は、mmHg単位でCO2濃度に対して画素の強度を関連付ける物理学ベースのパラメータ化されたモデルを使用して導かれる。CO2濃度レベルが決定されると、メモリ、ストレージデバイス、グラフィカルディスプレイ、および/またはコンピュータワークステーションに通信される。
【0005】
上記の方法に関する多くの特徴と多くの利点とが、以下の詳細な記載と添付の図面とから容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、CO2のIRスペクトル(4.0kPaの全圧)を示す図である。
【図2】図2は、CO2の気体状サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図3】図3は、CO2の分子の様々な振動モデル(図3A〜図3D)と、エタンの分子のねじれモデル(図3E)とを説明する図である。
【図4】図4は、呼吸中のCO2濃度の画像ベースの決定のための本方法の例示的な一実施形態を説明する流れ図である。
【図5A】図5Aは、顔領域を説明する図である。
【図5B】図5Bは、呼気の噴霧を含む領域を説明する図である。
【図5C】図5Cは、関心のあるCO2領域に対するデジタル計数の時系列データを説明する図である。
【図6】図6は、カメラによって検知された観察可能な異なる放射輝度経路を説明する図である。
【図7】図7は、34℃における鼻または顔による黒体の輝度を示す図である。
【図8】図8は、関連する表のパラメータに従った、被検体1と被検体2とに対する伝達関数を描く図である。
【図9】図9は、RCO2をmmHgに変換するための、被検体1に対する伝達関数を示す図である。
【図10A】図10Aは、第1の被検体を示す図である。
【図10B】図10Bは、第1の被検体の測定の条件のために計算された呼気中のCO2の分圧を示す図である。
【図10C】図10Cは、図10Bの時系列データのパワースペクトルを示す図である。
【図11A】図11Aは、第2の被検体を閉めず図である。
【図11B】図11Bは、第2の被検体の測定の条件のために計算された、呼気中のCO2の分圧を示す図である。
【図11C】図11Cは、図11Bの時系列データのパワースペクトルを示す図である。
【図12】図12は、呼吸速度(Y軸)に対する、呼気中のCO2レベル(X軸)を描く図である。
【図13】図13は、図4の流れ図に関して記載されたような本方法の様々な局面を実装することが出来る例示的なネットワーク化された呼吸モニタリングシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
「関心のある被検体」は、本明細書において使用されるように、呼吸機能が本明細書の教示に従った呼吸機能評価のためにモニタリングされることを意図されるヒトを指す。「ヒト」、「人間」、または「患者」という用語は、この文章全体を通して使用され得るが、呼吸機能に対してモニタリングされることを意図された関心のある被検体は、動物、爬虫類、またはさらに昆虫や植物などの、ヒト以外の何かであってもよい。従って、「人間」または「患者」という用語の説明のための使用は、添付の特許請求の範囲の領域を人類に限定すると考えられるべきではない。
【0008】
「呼吸器系」は、臓器の内部に呼吸気体を導入し、気体の交換を行い、そして、周囲の環境に戻すように排泄気体を吐き出す解剖学的な生物の部分である。哺乳類においては、哺乳類の呼吸器系の解剖学的な特徴は、気道と、肺と、呼吸筋とを含む。昆虫、爬虫類、および両生類などの他の種は、単純な解剖学的な特徴を有する呼吸器系を有する。一部のものにおいては、それらの皮膚が呼吸の役割を果たす。植物もまた、気孔として知られる、葉の裏側の孔などの解剖学的な特徴を含む呼吸器系を有するが、気体交換の方向性は、動物における気体交換の方向性とは反対である傾向がある。呼吸の間、酸素の分子と二酸化炭素の分子とが、気体状の外部環境と臓器との間で拡散によって受動的に交換される。ヒトにおいては、二酸化炭素は血液供給の自己調節のメディエータのうちの1つである。すなわち、CO2レベルが高い場合には、組織の周りの毛細血管が、その組織への血流をさらに多くすることを可能にするために拡張する。呼吸中枢は40mmHgの動脈CO2圧を維持しようとする。体は代謝のために酸素を必要とするが、低い酸素レベルは、通常、呼吸を刺激しない。むしろ、呼吸は高い二酸化炭素濃度によって刺激される。結果として、酸素を全く伴わない圧力の低い空気または気体混合物(例えば、純粋な窒素)を呼吸することは、体が高い二酸化炭素濃度を検知しないので、空気飢餓感を経験することさえなく意識消失を引き起こし得る。呼吸亢進を伴うと、動脈血のCO2含有量は、10mmHg〜20mmHgまで低下され得、呼吸刺激が小さくされる。これが、人が呼吸亢進を伴わないよりも呼吸亢進の後に呼吸をより長く止めることが出来る理由であるが、これが、人が再び呼吸をする必要を感じる前に生じる気絶の危険性を伴う。これが、呼吸亢進がフリーダイビングの前に特に危険な理由である。
【0009】
「呼吸機能」は、吸入と、気体交換と、呼気とからなる。吸入は横隔膜筋と支持された肋膜筋との動きによって開始される。通常の条件下では、横隔膜が吸入の一次駆動体である。横隔膜が収縮した時に、胸郭が拡張し、腹部の内容物が下方向に動かされる。これが、胸腔の内側において、より大きな胸部容積と、(大気圧に対する)負圧とをもたらす。胸部の圧力が下落すると、空気が伝導区域の中へと動き、そこで、入ってくる空気が温められて加湿される。気体交換は、呼吸器系の主要な機能である。気体の分子が外部環境と生物組織との間で交換される。この交換が、血液の酸素化と、血液からの二酸化炭素および他の代謝排泄物の除去とを容易にする。ガス交換が生じると、体の酸ベースのバランスが維持される。細胞機構の気体交換が圧力差という単純な減少によって行われる。大気圧が外側で低い時には、肺からの空気が環境へと流れ出る。空気圧が肺の中で低い時には、反対のことが生じる。呼気は、概して、肺組織の自然な弾性による受動的なプロセスであり、肺組織は吸入の伸張から肺を跳ね返らせることにより、胸部の圧力と外側の大気の圧力とが平衡に到達するまで空気を外に押しやる。ロウソクを吹き消す時のような、強制された呼気の間、腹筋や内肋間筋を含む呼吸筋が、肺から空気を押しやる腹圧と胸圧とを生成する。深呼吸をする時のような、強制された吸入の間、外肋間筋と副筋とが胸腔を拡張させるのを補助する。(毎分35回の呼吸を超える速度での)強制的な吸入の間、または迫り来る呼吸器不全において、首の胸鎖乳突筋、広頸筋、中斜角筋などの副筋だけでなく、呼吸運動に関する胸筋および広背筋が支持のために採用される。
【0010】
「呼吸速度」は、特定の時間に被検体が行う呼吸の数(典型的には1分当たりの呼吸数)である。正常な呼吸呼気は、人間1人当たり一日に約2.3ポンド(1kg)の二酸化炭素を生成する。速度を増して体が酸素化を必要とする時の身体運動の間に、呼吸速度は増加する。呼吸速度は、例えば発熱または他の医学的条件により身体活動を伴うことなく増加し得る。
【0011】
「IR画像」はIRカメラを使用して取得される関心のある被検体の赤外線画像である。完全実装IR画像は画素からなり、各画素は所望のスペクトル帯域における強度値を有する。IR画像は、被検体の呼気流が画像中で捕捉されて、本明細書の教示に従って処理されることが出来るように、被検体の頭および顔の先端に狙いを定められた中波赤外線カメラを使用して、中間赤外線(IIR)領域とも呼ばれる、赤外線スペクトルの中波領域(約3μm〜8μm)で捕捉される。
【0012】
「中波赤外線(MWIR)カメラ」はIR画像を捕捉することが出来る画像化システムである。そのようなカメラは様々な商業の流れにおいて購入することが出来る。製造供給元はXenicsやFLIRを含む。多くのMWIRビデオカメラは、高い温度感度と、短い積分時間と、高い空間分解能とを提供する。一部のカメラは、数例を列挙すると、高分解能トラッキングと、放射計データ収集と、高速画像化とを含む広い範囲の様々な用途を可能にする密封された筐体に統合された高感度640x512方式HgCdTe赤外線検知器を組み込む。本明細書において使用される、赤外線カメラシステムとフィルタとは、回転振動放射によって放射される光をCO2分子から収集するように設計される。二酸化炭素は4.1μmと4.4μmとの間で非常に吸収するので、これが関心のある帯域である。IRカメラは背景の黒体の放射に対するCO2放射のコントラストを増加させるためにスペクトル帯域通過フィルタを含む。本発明者らは回転振動放射からCO2放射を検知しているので、照明源は必要とされない。そういうものとして、画像は完全に暗く低温の部屋で取得されることが出来る。
【0013】
「画像を前処理すること」は、画像中の呼気流の位置を隔離することを意味する。呼吸機能と関連付けられる顔の特徴を識別する1つの方法は、Xu et alによる、上で組み込まれた参考文献「Monitoring Respiration With A Thermal Imaging System」に開示される。
【0014】
「呼吸と関連付けられる顔の特徴」は、被検体の呼吸器系が、吸入の間には酸素化された空気を肺の中に受け入れると共に、呼気の間にはCO2が豊富な空気を肺から吐き出す空気通路を指す。ヒトにおいては、呼吸と関連付けられる顔の特徴は鼻と口とである。
【0015】
「二酸化炭素(化学式はCO2、単にCO2とも記載される)」は、炭素原子に共有結合された2つの酸素原子から構成される化合物である。二酸化炭素は、標準温度と標準気圧とにおいて単位体積当たり約0.039%の濃度で地球の大気に存在する自然発生の気体である。CO2は高濃度では有毒である。1%の濃度(10,000ppm)は、人々を眠くさせたり、疲労させたり、気分を悪くさせたりする。7%〜10%の濃度は、さらされる程度に応じて数分以内で、めまい、頭痛、視覚や聴覚の機能障害、および意識喪失を引き起こす。CO2は赤外部において非常に吸収する。CO2のIRスペクトル(4.0kPaの全圧)が図1に示される。圧力=1気圧、温度=400°K、距離L=10cm、およびVMR=0.1に対する、二酸化炭素(CO2)吸収線(401における上部区画)と、放射輝度スペクトル(402における下部区画)。VMRは体積混合比である。VMR=0.1は、関心のある気体のうちの10%の分子と等しく、気体のうちの残りの分子は、計算の目的のために光学的に不活性である。各分子のIRスペクトルは一意であるので、そのIRスペクトルは分子を識別するための特徴またはフィンガープリントとして働くことが出来る。図2は二酸化炭素のサンプルの別の赤外線スペクトルを示す。伝達される光の強度は、サンプルが2349cm−1(4.26μm)および667cm−1(15.00μm)において吸収する場合を除いていずれの場合においても100%に近いことを留意されたい。
【0016】
CO2は3つ以上の原子を有するので、CO2は異なる方法で振動することが出来る。これらの異なる種類の運動は異なる周波数で生じる。これらの回転振動運動の周波数は、含まれる原子の質量と、それらの結合の強さとに基づいて計算されてもよい。CO2は線形の分子であるので、(3x3)−5=4振動を有する。図3において、これらの振動モデルは、矢印が運動の方向を示す条件で示される。振動(図3A)および(図3B)は、結合の伸縮を表し、一方は、両方のC=O結合が(同相で)共に伸びたり縮んだりする対称的な方法(図3A)であり、他方は、一方の結合が短くなるが他方が伸びる非対称的な方法(図3B)である。非対称的な伸縮は赤外活性である。なぜならば、振動の間に分子双極子モーメントの変化が存在するからである。「活性」であることは、振動を励起する光子の吸収が量子力学の法則によって可能にされることを意味する。赤外線選択法則は、赤外線スペクトルにおいて(活性であると)観察される特定の振動モードに関して、そのモードは分子の双極子モーメントの変化を含まなければならないことを提示する。2349cm−1(4.26μm)における赤外線放射は、この特定の振動を励起する。対称的な伸縮は赤外活性ではないので、この振動はCO2の赤外線スペクトルにおいては観察されない。CO2における2つの等エネルギー屈曲振動(図3C)および(図3D)は同一であるが、1つの屈曲モードが図面の平面上にあり、1つが図面の平面から外に延伸する点で異なる。667cm−1(15.00μm)における赤外線放射は、これらの振動を励起する。
【0017】
結合伸縮と結合屈曲とに加えて、揺動やよじれなどの回転振動が、分子の隣接する部分の間で生じる。ねじれは2面角の変化を含む。結合は伸縮されず、結合角は変化しないが、隣接する2つの原子のそれぞれに付着された原子間の空間的な関係が変化させられる。エタンの分子に対するねじれモードが(図3E)において例として説明される。本質的に、結合が強くなると、さらなるエネルギーが伸縮振動を励起するために必要とされる。これは、3重結合に対する伸縮が2重結合(C=C、C=N、C=O)に対する伸縮よりも高い周波数で生じる有機化合物で見られ、その2重結合は、同様に、単結合(C−C、C−N、C−H、O−H、またはN−H)よりも周波数が高い。概して、原子が重いほど、その原子を含む振動に対する周波数は低い。
【0018】
1つの例示的な実施形態の流れ図
ここで図4の流れ図を参照すると、図4は、呼気中の二酸化炭素(CO2)濃度の画像ベースの決定のための本方法の1つの例示的な実施形態を説明する。流れの処理はステップ400において開始し、直ぐにステップ402に進む。
【0019】
ステップ402において、CO2の赤外線吸収帯域に変化させられた少なくとも1つの光フィルタを有する中波赤外線カメラシステムを使用して捕捉された関心のある被検体の呼気流のIR画像を受信する。先に考察されたように、カメラシステムはCO2分子中の原子の振動によってもたらされる放射の放射率を収集するように設計される。受信された画像のそれぞれは、少なくとも部分的には、CO2の吸収帯域において取得されたそれぞれの強度値を有する画素のアレイを備える。IR画像は呼気流を含む領域を隔離するために前処理され、この領域における画素の強度値は、(図5の502において例として示された)関心のある被検体の鼻または顔の識別された領域の放射輝度の値などの既知の放射輝度の値によって正規化される。捕捉された画像は、時系列データが保持されるように、フレームごとに処理される。前処理に関する一実施形態において、呼吸と関連付けられる顔の特徴を位置決めする画素が識別される。識別された顔の特徴の位置から、被検体の呼気流(図5の503)を画定する範囲の画素が隔離されて処理されることが出来る。識別された呼気流の範囲における画素強度のヒストグラムが、CO2が放射された放射輝度が最も高い値である領域を選択するために解析される。この画素強度の最大値は、呼気気体の濃度が最も高い、呼気流の中心部または中核部に対応する。吸入処理が起こるフレームにおいて、CO2の放射輝度は背景の放射輝度に等しい。なぜならば、吸入の間には呼気流が存在しないからである。これは、被検体が息を吸ったり吐いたりするにつれてフレームごとに観察される画素強度のヒストグラムの解析によって容易に確認される。呼吸と関連付けられる被検体の顔の特徴の大きさおよび形状と、呼気噴霧の領域とは、感度解析を行なった後に固定されることが出来るので、これらの領域が、捕捉されたビデオシーケンスにおいて容易に隔離され、背景および顔の特徴の検知を介して自動的に抽出され、そして、画素がそれに応じて処理されることが出来る。図5Cは、本明細書において以下でさらに詳細に述べられるように、CO2呼気に対するデジタル計数の時系列データ(その例においては、鼻の平均値は193.42である)を描く。
【0020】
ステップ404において、CO2濃度に画素の強度値を関連付ける較正曲線を使用して、呼気流におけるCO2濃度レベルを決定する。較正曲線は、mmHg単位のCO2濃度と画素の強度を関連付ける物理学ベースのパラメータ化されたモデルを使用して導き出される。あるいは、較正は実験的な方法によって導き出される。時系列画像のビデオストリームが受信される例において、呼吸速度がまた関心のある被検体に対して決定される。
【0021】
ステップ406において、コンピュータシステムにCO2濃度レベルを通信する。他の実施形態において、CO2濃度レベルは、メモリ、ストレージデバイス、グラフィカルディスプレイ、メッセージングシステム、セル方式デバイスに通信されるか、または格納もしくはさらなる処理のためにネットワークによって遠隔デバイスに通信される。その後、図4の実施形態においては、さらなる処理は停止する。
【0022】
本明細書の流れ図は例示であることを理解されたい。流れ図において説明された動作ステップのうちの1つ以上が、異なる順序で行なわれてもよい。例えば、他の動作が、追加、改変、強化、簡略化、統合されたり、それらのステップと併合されたりしてもよい。そのような変化形は添付の特許請求の範囲の領域に該当することを意図される。流れ図の全部または一部が、機械で実行可能な命令と共に部分的にまたは完全にハードウェアに実装されてもよい。
【0023】
CO2濃度の決定
観察のスペクトル窓におけるCO2の放射輝度は、いくつかの要因に依存する。大気圧(P)、温度(ケルビン度でのT)、体積混合比(vmr)、およびサンプルの深度(L)である。分子の放射輝度は圧力による背景の分子との衝突により大きくされるので、大気圧は明らかにされる必要がある。大気圧は海面において1バール(1013.25ミリバール)である。温度は分子振動の大きさを決定する。熱エネルギーは、(図3における例によって示される)様々な分子回転振動方式を駆動し、それらが蛍光を発することを可能にして、カメラを用いて観察されることが出来る放射輝度を発する。体積混合比(vmr)は、体積中のある種の分子の分数である。実際には、vmrは、対応する係数で単に乗算することによって、ppmまたはmmHgなどの、分容積に関するその他任意の単位に変換されることが出来る、関心のある気体の割合である。個々のvmrと、それらの合計とは、0と1との間でなければならない。vmrの合計が1未満である場合には、セル中の気体の残りは、光学的に透明であると考えられる。vmrが1未満の分子に対する線の形状は空気で広げられる。例示的なサンプルの深度は、L2(図6の614)で示される。より深い深度で呼気噴霧が検知されると、呼気噴霧が自己吸収によって飽和する限界まで、より高い放射輝度を呼気噴霧が発する。CO2の絶対測定に対しては、深度が高い精度で測定されることを必要とする。
【0024】
ここで図6を参照すると、図6は、4.2μm〜4.4μmの帯域通過フィルタを有するIRカメラ601によって検知された観察可能な異なる放射輝度経路を説明する。被検体が呼吸サイクルを続けると、異なる強度レベルが観察されることが出来る。
【0025】
部屋600は関心のある被検体602の顔または鼻の輪郭のIR画像を捕捉するように配置されたカメラ601を有する。被検体はカメラの視野604内の壁603の前に立っている。放射輝度経路605、606、および607に沿った放射輝度は、被検体602の鼻/顔、呼気流608、および壁603のそれぞれからのものである。放射輝度経路は例示であることを理解されたい。部屋600内の、いくつかの異なる領域609、610、および611が、概略的に識別されることが出来る。領域612は被検体602によって遮られる。放射輝度経路605に沿った放射輝度ROは、被検体602の鼻/顔の側面からのものである。被検体の鼻は放射率(eskin)を有する。皮膚の放射率は人のあらゆる種類の皮膚とほぼ同じである(≒0.97)。被検体の鼻は、カメラ615までの距離に関して補正された時の、黒体の放射輝度RBBと、周囲のCO2濃度と、周囲の大気圧と、周囲の温度とを与える温度(Tnose)を有する。放射輝度経路606に沿った放射輝度RCO2は、呼気流噴霧608からのものである。空気が肺から吐き出されているのではなく肺に引き込まれので、呼気噴霧608が存在しない時である吸入の間に、放射輝度経路607に沿った放射輝度ROは、壁603と背景に存在する他の物体とから発せられる。ROは、カメラに対する距離613、614、615と、周囲のCO2濃度と、周囲の大気圧と、周囲の温度とに関して既に補正された値である。壁は、放射率(ewall)と温度(Twall)とを有する。デジタル強度IO、IBB、およびICO2は、(散乱光とカメラのノイズの他の供給源とによる画像ノイズに加えて)それらが表す物体によって発せられるそれらそれぞれの放射輝度(RO、RBB、RCO2)によるものである。壁の温度(Twall)と鼻の温度(Tnose)とは、CO2測定のために使用された同じカメラの検温機能によって測定されることが出来る。画像におけるデジタル強度は放射輝度に対して較正されないので、既知の放射輝度が、局所的な放射輝度に対するカメラのデジタル強度を較正するための基準として使用される。較正のための1つの基準は被検体の鼻の温度である。なぜならば、鼻の温度は、Kで表された時には狭い温度範囲(307°K+/−3°K)を有するほぼ一定の温度(34℃+/−3℃)であるからである。
【0026】
放射輝度は、Atomic and Molecular Physics Division of the Harvard−Smithsonian Center for Astrophysicsによって維持されるHigh−Resolution Transmission Molecular Absorption Database (HITRAN)から取得される分子スペクトル情報を使用して容易に計算されることが出来る。HITRANは、大気中の光の伝達および放出を予測および刺激するために様々なコンピュータコードが使用する分光パラメータの編集物である。データベースはHarvardのウェブサイト[http://www.cfa.harvard.edu/hitran/]からダウンロード可能である。図7は34℃において鼻または顔の皮膚から発せられた黒体の放射輝度701を示す。領域702は帯域通過フィルタによってカメラに伝達されるスペクトル領域を画定する。被検体の後ろの壁は同様な黒体放射パターンを有する。ノイズのレベルNは、図6の領域609、610、および611のそれぞれに共通であることを想定すると、強度と、計算された/実際の放射輝度との間の関係は、以下によって表されることが出来る。
【数1】
【数2】
【数3】
ここで、αはカメラの利得である。未知のものは、α、N、およびRCO2である。
【0027】
CO2濃度の計算
吐き出されたCO2領域に対応する、カメラにおける強度ICO2の認識は、本発明者らが呼吸のCO2濃度RCO2を計算することを可能にする。RCO2は、RCO2に関して方程式(1)〜方程式(3)を解くことによって決定されることが出来、それが、以下を生成する。
【数4】
【0028】
ROとRBBとはHITRANデータベースを使用して既知のパラメータから計算される。
【数5】
【数6】
【0029】
ここで、上記のパラメータは、呼吸CO2濃度レベルの認識を伴うことなく理解され、RCO2は、
【数7】
によって与えられる伝達関数を介して呼吸のCO2濃度(VMRCO2−breath)を決定するために使用される。
【0030】
ここで、(VMRCO2−breath)は未知であり、RCO2は、方程式(7)の括弧の内側に列挙された既知のパラメータと、VMRCO2−breathとの関数である。方程式(7)は、mmHgで(または割合の点で)記載されることが出来るVMRCO2−breathにRCO2を関連付ける伝達関数を与える。
【0031】
図8は、関連付けられる表のパラメータに従って、被検体1と被検体2とに対する伝達関数を描く。被検体1と被検体2とに対する伝達関数は異なる。なぜならば、測定に含まれる、距離、温度および様々な特質が異なるからである。例えば、被検体2が口(4cm)を介して呼吸していた一方で被検体1が鼻(3cm)を介して呼吸していた。カメラまでの距離と壁までの距離ともまた異なった。図8のデータは伝達関数を作成するためにmmHgに変換されることが出来る。
【0032】
図9は、RCO2をmmHgに変換するための、被検体1に対する伝達関数を描く。RCO2は、デジタル画像と既知のパラメータとからの情報を使用して計算された、CO2呼気ガスの放射輝度である。例えば、被検体1に関して、前処理されたデジタル計数が図8Cから引き出され、ここで、表中の点のうちの1つが表であることに関して、
【数8】
であり、図8Aの識別された領域802から、本発明者らは強度
【数9】
を取得する。
【0033】
この例におけるパラメータは図8の表に従う。これらの値は他の手段によって正確に測定されることが出来ることを理解されたい。
【0034】
図8の表の入力を有する分光モデル(例えば、Spectra Calc)を使用して、以下が容易に決定されることが出来る。
【数10】
【数11】
【0035】
方程式(8)、(9)、(10)、および(11)の値を方程式(4)に入力することが、
【数12】
を生成する。
【0036】
(方程式(12)において導き出された)RCO2の値は、方程式(8)、(9)、(10)、および(11)の値を使用して、mmHgでの呼気におけるCO2の割合、すなわち32.56mmHgを決定するために(図8において作成された)伝達関数において使用される。
【0037】
呼吸速度の決定
高速フーリエ変換(FFT)ベースの方法が、RR時系列データを使用してヒトの呼吸速度を評価するために使用されることが出来る。時系列データのパワースペクトルは優位周波数を示す。図10において、第1の被検体(図10A)は、図5に示された同じデータを使用して、第1の被検体の測定の条件に対して計算された呼気中のCO2分圧(図10B)を有する。図10Cは、図10Bの時系列データのパワースペクトル(優位周波数:12.3cpm)を示す。
【0038】
図11において、第2の被検体(図11A)は、第2の被検体の測定の条件に対して計算された呼気におけるCO2分圧(図11B)を有する。図11Cは(図11B)の時系列データのパワースペクトル(優位周波数15.5cpm)を示す。表Aは結果を示す。
【表1】
【0039】
表Aの結果は文字データと比較されることが出来る。図12において、呼気中のCO2レベル(X軸)が呼吸速度(Y軸)に対して描かれる。図12の調査は、取得された値(すなわち、32.56mgHg)は、正常な範囲と矛盾がないことを示す。
【0040】
例示的な画像処理システム
ここで図13を参照すると、図13は、図4の流れ図に関して記載されたような本方法の様々な局面を実装するための1つの例示的な呼吸モニタリングシステムのブロック図である。
【0041】
図13において、中波赤外線カメラ1302は、頭と顔とがカメラの視野1303内にある関心のある被検体に関する1つ以上のIR画像を捕捉する。捕捉された画像は、処理するために受信された画像を待ち行列に入れるためのバッファ1306を備えて示される画像処理システム1304に通信される。バッファ1306はさらに、データと、数式と、本発明の様々な実施形態に従って画像を処理するために必要であるような表示とを格納する。信号プロセッサ1308は、カメラ1302から画像信号を受信し、画素の強度値を処理することにより、これらの値が所定の範囲内にあることを確実にし、所与の画像フレーム内の画像範囲と画素強度を関連付ける。画像スタビライザ1310は、カメラの動きまたは被検体の動きのいずれかからの、ビデオシーケンスにおけるノイズが、例えば画像セグメンテーションおよび点特徴トラッキングを使用するために補償される必要があるシステムに提供される。そのような技術は画像処理技術において周知である。処理された画像データが、被検体の頭および顔の先端を識別する先端ロケータ1312に提供される。顔特徴位置モジュール1316は、先端ロケータモジュール1312からの識別された頭および顔の先端を受信し、位置関係がデータベース1314から引き出され、呼吸と関連付けられる被検体の顔特徴、例えば、被検体の鼻および口の位置を決定するために使用される。CO2濃度モジュール1318は、本明細書の教示に従って、被検体の呼気のCO2濃度を決定する。呼吸速度プロセッサ1322は、本明細書の教示に従って、被検体の呼吸速度を決定する。生成された値はメモリ1320に格納される。警告信号発生器1324は、呼吸速度または決定されたCO2濃度のいずれかが、所定のしきい値レベルから外れた場合には、信号1326を出力する。
【0042】
中波赤外線カメラ1302によって捕捉されたIR画像の様々な部分は、メモリ1320および/またはストレージデバイス1314に格納されてもよく、または格納もしくは処理のためにワークステーション1328に通信されてもよい。システム1304のモジュールまたは処理ユニットのいずれかによって行われる機能のうちの一部または全部が、全体的に、または部分的にワークステーション1328によって行われることが出来ることを理解されたい。ワークステーション1328は、通信インタフェース(図示せず)を介してネットワーク1330と通信する。ワークステーション1328は、情報を表示するための、そして、ユーザの入力または選択を実行するためのディスプレイモニタ1332を備えて示される。プロセッサシステム1304および/またはカメラシステム1302によって取得された画像がモニタディスプレイで見られることが出来るように、ディスプレイ1332は画像プロセッサシステム1304および/またはカメラシステム1302と通信するように配置されてもよい。図13のシステムのユーザまたは技術者は、関心のある領域を識別し、パラメータを設定し、画素、フレーム、画像、および/または処理するための画像の領域を選択するために、例えばキーボード1334やマウス1336などのワークステーション1328のグラフィカル・ユーザ・インタフェースを使用してもよい。画素、フレーム、画像、および/または処理するための画像の領域は、コンピュータ読取り可能な媒体1340に格納されてもよく、および/または格納媒体1338から引き出されてもよい。媒体1340に格納された情報は、コンピュータケース1342の内側に位置決めされた、例えばCD−ROMドライブなどの媒体リーダによって引き出されることが出来る。図13のモジュールおよび処理ユニットのうちの任意のものが、データベース1338と通信して配置されることが出来、そして、それらの意図された機能を行うために必要とされる、データ、変数、記録、パラメータ、機能、機械読取り可能なプログラム命令/機械実行可能なプログラム命令をそこに格納してもよく、それらをそこから引き出してもよい。さらに、システム1304のモジュールのそれぞれが、ネットワーク1330によって、1つ以上のデバイスと通信して配置されてもよい。
【0043】
様々なモジュールが、意図された機能を行うように設計されたソフトウェアおよび/またはハードウェアを同様に備えてもよい1つ以上のコンポーネントを示してもよいこともまた理解されたい。複数のモジュールが全体的に1つの機能を行なってもよい。各モジュールが、機械読み取り可能なプログラム命令を実行することが出来る専門のプロセッサを有してもよい。モジュールは、ASIC、電子回路、または専用プロセッサなどの単一のハードウェアを備えてもよい。複数のモジュールが、単一の専用コンピュータシステム、または並列で動作する複数の専用コンピュータシステムのいずれかによって実行されてもよい。モジュール間の接続は、物理接続と論理接続との両方を含む。モジュールはさらに、オペレーティングシステム、ドライバ、デバイスコントローラ、および他の装置をさらに備えてもよい1つ以上のソフトウェア/ハードウェアのモジュールをさらに含んでもよく、それらのうちの一部または全部が、ネットワークを介して接続されてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像ベースで患者の呼吸機能をモニタリングためのシステムおよび方法に関し、これにより、呼気中の二酸化炭素(CO2)濃度および呼吸速度を、接触しない低侵襲性の環境において決定できる。
【背景技術】
【0002】
ヒトの呼吸機能をモニタリングするための方法は、数例列挙すると、医薬、睡眠の研究、ポリグラフテストにおいて多くの用途を有する。そのようなシステムは、ワイヤ、および電極、または被検体に接触するので被検体の回復期を妨げ得る物理的に侵襲性の他の装置を使用する。モニタリングされることが所望される1つの重要な呼吸機能は、CO2の濃度である。CO2の欠乏は、数例列挙すると、倦怠感、衰弱、疲労、吐き気、および意識不明を含む、息切れ、胸の痛み、窒息感、しびれ、不整脈などの病状を引き起こすか、または悪化させ得る。CO2濃度および呼吸速度の評価は、ヒトが呼吸亢進(過呼吸もしくは低炭酸症)または低換気(減呼吸もしくは高炭酸症)にかかっているか否かを医療専門家がより良く診断するのを助ける。呼吸評価に関する1つの問題は、患者が呼吸をモニタリングされていることを気づくと、患者は通常の呼吸パターンを無意識で変える傾向があるということである。時には、これが、患者の呼吸機能に関して信頼性のある評価を得ることを困難にする。患者が参加することなく、または患者が知ることさえなく、患者の呼吸機能の評価を容易にすることが出来る目立たない測定システムが非常に望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
開示されるものは、呼気の画像中の二酸化炭素濃度を決定するための新たなシステムおよび方法、ならびに患者の呼吸速度を決定するための新たなシステムおよび方法である。本システムおよび本方法は、CO2のIR吸収波長に設定された狭帯域フィルタを利用して、患者の呼気流の画像を捕捉するために中波赤外線カメラを利用する。本明細書においてさらに完全に開示されるように、アルゴリズムおよび較正方法が提供される。本明細書の教示は、接触しない低侵襲性の方式で患者の呼吸機能の評価を実現する。
【0004】
例示的な一実施形態において、呼気中の二酸化炭素(CO2)濃度に関する画像ベースの決定のための本方法は、以下を含む。第1に、関心のある被検体の呼気流の画像が受信される。CO2の赤外線吸収帯域に変えられた少なくとも1つの光フィルタを有する中波赤外線カメラシステムを使用して画像が捕捉される。この光フィルタは、背景の黒体の放射に対するCO2のコントラストを増加させる狭帯域フィルタである。受信された画像のそれぞれが、少なくとも部分的には、CO2の所望の吸収帯域において取得されるそれぞれの強度値を有する画素のアレイを備える。画像は呼気流を含む画素の領域を隔離するために前処理され、識別された領域における画素の強度値が、既知の放射輝度の値、例えば、被検体の鼻または顔の放射輝度の値によって正規化される。本明細書においてさらに完全に開示される方式においては、CO2濃度に画素の強度値を関連付ける較正曲線を使用して、呼気流のCO2濃度レベルを決定するために、画像が解析される。較正曲線は、mmHg単位でCO2濃度に対して画素の強度を関連付ける物理学ベースのパラメータ化されたモデルを使用して導かれる。CO2濃度レベルが決定されると、メモリ、ストレージデバイス、グラフィカルディスプレイ、および/またはコンピュータワークステーションに通信される。
【0005】
上記の方法に関する多くの特徴と多くの利点とが、以下の詳細な記載と添付の図面とから容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、CO2のIRスペクトル(4.0kPaの全圧)を示す図である。
【図2】図2は、CO2の気体状サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図3】図3は、CO2の分子の様々な振動モデル(図3A〜図3D)と、エタンの分子のねじれモデル(図3E)とを説明する図である。
【図4】図4は、呼吸中のCO2濃度の画像ベースの決定のための本方法の例示的な一実施形態を説明する流れ図である。
【図5A】図5Aは、顔領域を説明する図である。
【図5B】図5Bは、呼気の噴霧を含む領域を説明する図である。
【図5C】図5Cは、関心のあるCO2領域に対するデジタル計数の時系列データを説明する図である。
【図6】図6は、カメラによって検知された観察可能な異なる放射輝度経路を説明する図である。
【図7】図7は、34℃における鼻または顔による黒体の輝度を示す図である。
【図8】図8は、関連する表のパラメータに従った、被検体1と被検体2とに対する伝達関数を描く図である。
【図9】図9は、RCO2をmmHgに変換するための、被検体1に対する伝達関数を示す図である。
【図10A】図10Aは、第1の被検体を示す図である。
【図10B】図10Bは、第1の被検体の測定の条件のために計算された呼気中のCO2の分圧を示す図である。
【図10C】図10Cは、図10Bの時系列データのパワースペクトルを示す図である。
【図11A】図11Aは、第2の被検体を閉めず図である。
【図11B】図11Bは、第2の被検体の測定の条件のために計算された、呼気中のCO2の分圧を示す図である。
【図11C】図11Cは、図11Bの時系列データのパワースペクトルを示す図である。
【図12】図12は、呼吸速度(Y軸)に対する、呼気中のCO2レベル(X軸)を描く図である。
【図13】図13は、図4の流れ図に関して記載されたような本方法の様々な局面を実装することが出来る例示的なネットワーク化された呼吸モニタリングシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
「関心のある被検体」は、本明細書において使用されるように、呼吸機能が本明細書の教示に従った呼吸機能評価のためにモニタリングされることを意図されるヒトを指す。「ヒト」、「人間」、または「患者」という用語は、この文章全体を通して使用され得るが、呼吸機能に対してモニタリングされることを意図された関心のある被検体は、動物、爬虫類、またはさらに昆虫や植物などの、ヒト以外の何かであってもよい。従って、「人間」または「患者」という用語の説明のための使用は、添付の特許請求の範囲の領域を人類に限定すると考えられるべきではない。
【0008】
「呼吸器系」は、臓器の内部に呼吸気体を導入し、気体の交換を行い、そして、周囲の環境に戻すように排泄気体を吐き出す解剖学的な生物の部分である。哺乳類においては、哺乳類の呼吸器系の解剖学的な特徴は、気道と、肺と、呼吸筋とを含む。昆虫、爬虫類、および両生類などの他の種は、単純な解剖学的な特徴を有する呼吸器系を有する。一部のものにおいては、それらの皮膚が呼吸の役割を果たす。植物もまた、気孔として知られる、葉の裏側の孔などの解剖学的な特徴を含む呼吸器系を有するが、気体交換の方向性は、動物における気体交換の方向性とは反対である傾向がある。呼吸の間、酸素の分子と二酸化炭素の分子とが、気体状の外部環境と臓器との間で拡散によって受動的に交換される。ヒトにおいては、二酸化炭素は血液供給の自己調節のメディエータのうちの1つである。すなわち、CO2レベルが高い場合には、組織の周りの毛細血管が、その組織への血流をさらに多くすることを可能にするために拡張する。呼吸中枢は40mmHgの動脈CO2圧を維持しようとする。体は代謝のために酸素を必要とするが、低い酸素レベルは、通常、呼吸を刺激しない。むしろ、呼吸は高い二酸化炭素濃度によって刺激される。結果として、酸素を全く伴わない圧力の低い空気または気体混合物(例えば、純粋な窒素)を呼吸することは、体が高い二酸化炭素濃度を検知しないので、空気飢餓感を経験することさえなく意識消失を引き起こし得る。呼吸亢進を伴うと、動脈血のCO2含有量は、10mmHg〜20mmHgまで低下され得、呼吸刺激が小さくされる。これが、人が呼吸亢進を伴わないよりも呼吸亢進の後に呼吸をより長く止めることが出来る理由であるが、これが、人が再び呼吸をする必要を感じる前に生じる気絶の危険性を伴う。これが、呼吸亢進がフリーダイビングの前に特に危険な理由である。
【0009】
「呼吸機能」は、吸入と、気体交換と、呼気とからなる。吸入は横隔膜筋と支持された肋膜筋との動きによって開始される。通常の条件下では、横隔膜が吸入の一次駆動体である。横隔膜が収縮した時に、胸郭が拡張し、腹部の内容物が下方向に動かされる。これが、胸腔の内側において、より大きな胸部容積と、(大気圧に対する)負圧とをもたらす。胸部の圧力が下落すると、空気が伝導区域の中へと動き、そこで、入ってくる空気が温められて加湿される。気体交換は、呼吸器系の主要な機能である。気体の分子が外部環境と生物組織との間で交換される。この交換が、血液の酸素化と、血液からの二酸化炭素および他の代謝排泄物の除去とを容易にする。ガス交換が生じると、体の酸ベースのバランスが維持される。細胞機構の気体交換が圧力差という単純な減少によって行われる。大気圧が外側で低い時には、肺からの空気が環境へと流れ出る。空気圧が肺の中で低い時には、反対のことが生じる。呼気は、概して、肺組織の自然な弾性による受動的なプロセスであり、肺組織は吸入の伸張から肺を跳ね返らせることにより、胸部の圧力と外側の大気の圧力とが平衡に到達するまで空気を外に押しやる。ロウソクを吹き消す時のような、強制された呼気の間、腹筋や内肋間筋を含む呼吸筋が、肺から空気を押しやる腹圧と胸圧とを生成する。深呼吸をする時のような、強制された吸入の間、外肋間筋と副筋とが胸腔を拡張させるのを補助する。(毎分35回の呼吸を超える速度での)強制的な吸入の間、または迫り来る呼吸器不全において、首の胸鎖乳突筋、広頸筋、中斜角筋などの副筋だけでなく、呼吸運動に関する胸筋および広背筋が支持のために採用される。
【0010】
「呼吸速度」は、特定の時間に被検体が行う呼吸の数(典型的には1分当たりの呼吸数)である。正常な呼吸呼気は、人間1人当たり一日に約2.3ポンド(1kg)の二酸化炭素を生成する。速度を増して体が酸素化を必要とする時の身体運動の間に、呼吸速度は増加する。呼吸速度は、例えば発熱または他の医学的条件により身体活動を伴うことなく増加し得る。
【0011】
「IR画像」はIRカメラを使用して取得される関心のある被検体の赤外線画像である。完全実装IR画像は画素からなり、各画素は所望のスペクトル帯域における強度値を有する。IR画像は、被検体の呼気流が画像中で捕捉されて、本明細書の教示に従って処理されることが出来るように、被検体の頭および顔の先端に狙いを定められた中波赤外線カメラを使用して、中間赤外線(IIR)領域とも呼ばれる、赤外線スペクトルの中波領域(約3μm〜8μm)で捕捉される。
【0012】
「中波赤外線(MWIR)カメラ」はIR画像を捕捉することが出来る画像化システムである。そのようなカメラは様々な商業の流れにおいて購入することが出来る。製造供給元はXenicsやFLIRを含む。多くのMWIRビデオカメラは、高い温度感度と、短い積分時間と、高い空間分解能とを提供する。一部のカメラは、数例を列挙すると、高分解能トラッキングと、放射計データ収集と、高速画像化とを含む広い範囲の様々な用途を可能にする密封された筐体に統合された高感度640x512方式HgCdTe赤外線検知器を組み込む。本明細書において使用される、赤外線カメラシステムとフィルタとは、回転振動放射によって放射される光をCO2分子から収集するように設計される。二酸化炭素は4.1μmと4.4μmとの間で非常に吸収するので、これが関心のある帯域である。IRカメラは背景の黒体の放射に対するCO2放射のコントラストを増加させるためにスペクトル帯域通過フィルタを含む。本発明者らは回転振動放射からCO2放射を検知しているので、照明源は必要とされない。そういうものとして、画像は完全に暗く低温の部屋で取得されることが出来る。
【0013】
「画像を前処理すること」は、画像中の呼気流の位置を隔離することを意味する。呼吸機能と関連付けられる顔の特徴を識別する1つの方法は、Xu et alによる、上で組み込まれた参考文献「Monitoring Respiration With A Thermal Imaging System」に開示される。
【0014】
「呼吸と関連付けられる顔の特徴」は、被検体の呼吸器系が、吸入の間には酸素化された空気を肺の中に受け入れると共に、呼気の間にはCO2が豊富な空気を肺から吐き出す空気通路を指す。ヒトにおいては、呼吸と関連付けられる顔の特徴は鼻と口とである。
【0015】
「二酸化炭素(化学式はCO2、単にCO2とも記載される)」は、炭素原子に共有結合された2つの酸素原子から構成される化合物である。二酸化炭素は、標準温度と標準気圧とにおいて単位体積当たり約0.039%の濃度で地球の大気に存在する自然発生の気体である。CO2は高濃度では有毒である。1%の濃度(10,000ppm)は、人々を眠くさせたり、疲労させたり、気分を悪くさせたりする。7%〜10%の濃度は、さらされる程度に応じて数分以内で、めまい、頭痛、視覚や聴覚の機能障害、および意識喪失を引き起こす。CO2は赤外部において非常に吸収する。CO2のIRスペクトル(4.0kPaの全圧)が図1に示される。圧力=1気圧、温度=400°K、距離L=10cm、およびVMR=0.1に対する、二酸化炭素(CO2)吸収線(401における上部区画)と、放射輝度スペクトル(402における下部区画)。VMRは体積混合比である。VMR=0.1は、関心のある気体のうちの10%の分子と等しく、気体のうちの残りの分子は、計算の目的のために光学的に不活性である。各分子のIRスペクトルは一意であるので、そのIRスペクトルは分子を識別するための特徴またはフィンガープリントとして働くことが出来る。図2は二酸化炭素のサンプルの別の赤外線スペクトルを示す。伝達される光の強度は、サンプルが2349cm−1(4.26μm)および667cm−1(15.00μm)において吸収する場合を除いていずれの場合においても100%に近いことを留意されたい。
【0016】
CO2は3つ以上の原子を有するので、CO2は異なる方法で振動することが出来る。これらの異なる種類の運動は異なる周波数で生じる。これらの回転振動運動の周波数は、含まれる原子の質量と、それらの結合の強さとに基づいて計算されてもよい。CO2は線形の分子であるので、(3x3)−5=4振動を有する。図3において、これらの振動モデルは、矢印が運動の方向を示す条件で示される。振動(図3A)および(図3B)は、結合の伸縮を表し、一方は、両方のC=O結合が(同相で)共に伸びたり縮んだりする対称的な方法(図3A)であり、他方は、一方の結合が短くなるが他方が伸びる非対称的な方法(図3B)である。非対称的な伸縮は赤外活性である。なぜならば、振動の間に分子双極子モーメントの変化が存在するからである。「活性」であることは、振動を励起する光子の吸収が量子力学の法則によって可能にされることを意味する。赤外線選択法則は、赤外線スペクトルにおいて(活性であると)観察される特定の振動モードに関して、そのモードは分子の双極子モーメントの変化を含まなければならないことを提示する。2349cm−1(4.26μm)における赤外線放射は、この特定の振動を励起する。対称的な伸縮は赤外活性ではないので、この振動はCO2の赤外線スペクトルにおいては観察されない。CO2における2つの等エネルギー屈曲振動(図3C)および(図3D)は同一であるが、1つの屈曲モードが図面の平面上にあり、1つが図面の平面から外に延伸する点で異なる。667cm−1(15.00μm)における赤外線放射は、これらの振動を励起する。
【0017】
結合伸縮と結合屈曲とに加えて、揺動やよじれなどの回転振動が、分子の隣接する部分の間で生じる。ねじれは2面角の変化を含む。結合は伸縮されず、結合角は変化しないが、隣接する2つの原子のそれぞれに付着された原子間の空間的な関係が変化させられる。エタンの分子に対するねじれモードが(図3E)において例として説明される。本質的に、結合が強くなると、さらなるエネルギーが伸縮振動を励起するために必要とされる。これは、3重結合に対する伸縮が2重結合(C=C、C=N、C=O)に対する伸縮よりも高い周波数で生じる有機化合物で見られ、その2重結合は、同様に、単結合(C−C、C−N、C−H、O−H、またはN−H)よりも周波数が高い。概して、原子が重いほど、その原子を含む振動に対する周波数は低い。
【0018】
1つの例示的な実施形態の流れ図
ここで図4の流れ図を参照すると、図4は、呼気中の二酸化炭素(CO2)濃度の画像ベースの決定のための本方法の1つの例示的な実施形態を説明する。流れの処理はステップ400において開始し、直ぐにステップ402に進む。
【0019】
ステップ402において、CO2の赤外線吸収帯域に変化させられた少なくとも1つの光フィルタを有する中波赤外線カメラシステムを使用して捕捉された関心のある被検体の呼気流のIR画像を受信する。先に考察されたように、カメラシステムはCO2分子中の原子の振動によってもたらされる放射の放射率を収集するように設計される。受信された画像のそれぞれは、少なくとも部分的には、CO2の吸収帯域において取得されたそれぞれの強度値を有する画素のアレイを備える。IR画像は呼気流を含む領域を隔離するために前処理され、この領域における画素の強度値は、(図5の502において例として示された)関心のある被検体の鼻または顔の識別された領域の放射輝度の値などの既知の放射輝度の値によって正規化される。捕捉された画像は、時系列データが保持されるように、フレームごとに処理される。前処理に関する一実施形態において、呼吸と関連付けられる顔の特徴を位置決めする画素が識別される。識別された顔の特徴の位置から、被検体の呼気流(図5の503)を画定する範囲の画素が隔離されて処理されることが出来る。識別された呼気流の範囲における画素強度のヒストグラムが、CO2が放射された放射輝度が最も高い値である領域を選択するために解析される。この画素強度の最大値は、呼気気体の濃度が最も高い、呼気流の中心部または中核部に対応する。吸入処理が起こるフレームにおいて、CO2の放射輝度は背景の放射輝度に等しい。なぜならば、吸入の間には呼気流が存在しないからである。これは、被検体が息を吸ったり吐いたりするにつれてフレームごとに観察される画素強度のヒストグラムの解析によって容易に確認される。呼吸と関連付けられる被検体の顔の特徴の大きさおよび形状と、呼気噴霧の領域とは、感度解析を行なった後に固定されることが出来るので、これらの領域が、捕捉されたビデオシーケンスにおいて容易に隔離され、背景および顔の特徴の検知を介して自動的に抽出され、そして、画素がそれに応じて処理されることが出来る。図5Cは、本明細書において以下でさらに詳細に述べられるように、CO2呼気に対するデジタル計数の時系列データ(その例においては、鼻の平均値は193.42である)を描く。
【0020】
ステップ404において、CO2濃度に画素の強度値を関連付ける較正曲線を使用して、呼気流におけるCO2濃度レベルを決定する。較正曲線は、mmHg単位のCO2濃度と画素の強度を関連付ける物理学ベースのパラメータ化されたモデルを使用して導き出される。あるいは、較正は実験的な方法によって導き出される。時系列画像のビデオストリームが受信される例において、呼吸速度がまた関心のある被検体に対して決定される。
【0021】
ステップ406において、コンピュータシステムにCO2濃度レベルを通信する。他の実施形態において、CO2濃度レベルは、メモリ、ストレージデバイス、グラフィカルディスプレイ、メッセージングシステム、セル方式デバイスに通信されるか、または格納もしくはさらなる処理のためにネットワークによって遠隔デバイスに通信される。その後、図4の実施形態においては、さらなる処理は停止する。
【0022】
本明細書の流れ図は例示であることを理解されたい。流れ図において説明された動作ステップのうちの1つ以上が、異なる順序で行なわれてもよい。例えば、他の動作が、追加、改変、強化、簡略化、統合されたり、それらのステップと併合されたりしてもよい。そのような変化形は添付の特許請求の範囲の領域に該当することを意図される。流れ図の全部または一部が、機械で実行可能な命令と共に部分的にまたは完全にハードウェアに実装されてもよい。
【0023】
CO2濃度の決定
観察のスペクトル窓におけるCO2の放射輝度は、いくつかの要因に依存する。大気圧(P)、温度(ケルビン度でのT)、体積混合比(vmr)、およびサンプルの深度(L)である。分子の放射輝度は圧力による背景の分子との衝突により大きくされるので、大気圧は明らかにされる必要がある。大気圧は海面において1バール(1013.25ミリバール)である。温度は分子振動の大きさを決定する。熱エネルギーは、(図3における例によって示される)様々な分子回転振動方式を駆動し、それらが蛍光を発することを可能にして、カメラを用いて観察されることが出来る放射輝度を発する。体積混合比(vmr)は、体積中のある種の分子の分数である。実際には、vmrは、対応する係数で単に乗算することによって、ppmまたはmmHgなどの、分容積に関するその他任意の単位に変換されることが出来る、関心のある気体の割合である。個々のvmrと、それらの合計とは、0と1との間でなければならない。vmrの合計が1未満である場合には、セル中の気体の残りは、光学的に透明であると考えられる。vmrが1未満の分子に対する線の形状は空気で広げられる。例示的なサンプルの深度は、L2(図6の614)で示される。より深い深度で呼気噴霧が検知されると、呼気噴霧が自己吸収によって飽和する限界まで、より高い放射輝度を呼気噴霧が発する。CO2の絶対測定に対しては、深度が高い精度で測定されることを必要とする。
【0024】
ここで図6を参照すると、図6は、4.2μm〜4.4μmの帯域通過フィルタを有するIRカメラ601によって検知された観察可能な異なる放射輝度経路を説明する。被検体が呼吸サイクルを続けると、異なる強度レベルが観察されることが出来る。
【0025】
部屋600は関心のある被検体602の顔または鼻の輪郭のIR画像を捕捉するように配置されたカメラ601を有する。被検体はカメラの視野604内の壁603の前に立っている。放射輝度経路605、606、および607に沿った放射輝度は、被検体602の鼻/顔、呼気流608、および壁603のそれぞれからのものである。放射輝度経路は例示であることを理解されたい。部屋600内の、いくつかの異なる領域609、610、および611が、概略的に識別されることが出来る。領域612は被検体602によって遮られる。放射輝度経路605に沿った放射輝度ROは、被検体602の鼻/顔の側面からのものである。被検体の鼻は放射率(eskin)を有する。皮膚の放射率は人のあらゆる種類の皮膚とほぼ同じである(≒0.97)。被検体の鼻は、カメラ615までの距離に関して補正された時の、黒体の放射輝度RBBと、周囲のCO2濃度と、周囲の大気圧と、周囲の温度とを与える温度(Tnose)を有する。放射輝度経路606に沿った放射輝度RCO2は、呼気流噴霧608からのものである。空気が肺から吐き出されているのではなく肺に引き込まれので、呼気噴霧608が存在しない時である吸入の間に、放射輝度経路607に沿った放射輝度ROは、壁603と背景に存在する他の物体とから発せられる。ROは、カメラに対する距離613、614、615と、周囲のCO2濃度と、周囲の大気圧と、周囲の温度とに関して既に補正された値である。壁は、放射率(ewall)と温度(Twall)とを有する。デジタル強度IO、IBB、およびICO2は、(散乱光とカメラのノイズの他の供給源とによる画像ノイズに加えて)それらが表す物体によって発せられるそれらそれぞれの放射輝度(RO、RBB、RCO2)によるものである。壁の温度(Twall)と鼻の温度(Tnose)とは、CO2測定のために使用された同じカメラの検温機能によって測定されることが出来る。画像におけるデジタル強度は放射輝度に対して較正されないので、既知の放射輝度が、局所的な放射輝度に対するカメラのデジタル強度を較正するための基準として使用される。較正のための1つの基準は被検体の鼻の温度である。なぜならば、鼻の温度は、Kで表された時には狭い温度範囲(307°K+/−3°K)を有するほぼ一定の温度(34℃+/−3℃)であるからである。
【0026】
放射輝度は、Atomic and Molecular Physics Division of the Harvard−Smithsonian Center for Astrophysicsによって維持されるHigh−Resolution Transmission Molecular Absorption Database (HITRAN)から取得される分子スペクトル情報を使用して容易に計算されることが出来る。HITRANは、大気中の光の伝達および放出を予測および刺激するために様々なコンピュータコードが使用する分光パラメータの編集物である。データベースはHarvardのウェブサイト[http://www.cfa.harvard.edu/hitran/]からダウンロード可能である。図7は34℃において鼻または顔の皮膚から発せられた黒体の放射輝度701を示す。領域702は帯域通過フィルタによってカメラに伝達されるスペクトル領域を画定する。被検体の後ろの壁は同様な黒体放射パターンを有する。ノイズのレベルNは、図6の領域609、610、および611のそれぞれに共通であることを想定すると、強度と、計算された/実際の放射輝度との間の関係は、以下によって表されることが出来る。
【数1】
【数2】
【数3】
ここで、αはカメラの利得である。未知のものは、α、N、およびRCO2である。
【0027】
CO2濃度の計算
吐き出されたCO2領域に対応する、カメラにおける強度ICO2の認識は、本発明者らが呼吸のCO2濃度RCO2を計算することを可能にする。RCO2は、RCO2に関して方程式(1)〜方程式(3)を解くことによって決定されることが出来、それが、以下を生成する。
【数4】
【0028】
ROとRBBとはHITRANデータベースを使用して既知のパラメータから計算される。
【数5】
【数6】
【0029】
ここで、上記のパラメータは、呼吸CO2濃度レベルの認識を伴うことなく理解され、RCO2は、
【数7】
によって与えられる伝達関数を介して呼吸のCO2濃度(VMRCO2−breath)を決定するために使用される。
【0030】
ここで、(VMRCO2−breath)は未知であり、RCO2は、方程式(7)の括弧の内側に列挙された既知のパラメータと、VMRCO2−breathとの関数である。方程式(7)は、mmHgで(または割合の点で)記載されることが出来るVMRCO2−breathにRCO2を関連付ける伝達関数を与える。
【0031】
図8は、関連付けられる表のパラメータに従って、被検体1と被検体2とに対する伝達関数を描く。被検体1と被検体2とに対する伝達関数は異なる。なぜならば、測定に含まれる、距離、温度および様々な特質が異なるからである。例えば、被検体2が口(4cm)を介して呼吸していた一方で被検体1が鼻(3cm)を介して呼吸していた。カメラまでの距離と壁までの距離ともまた異なった。図8のデータは伝達関数を作成するためにmmHgに変換されることが出来る。
【0032】
図9は、RCO2をmmHgに変換するための、被検体1に対する伝達関数を描く。RCO2は、デジタル画像と既知のパラメータとからの情報を使用して計算された、CO2呼気ガスの放射輝度である。例えば、被検体1に関して、前処理されたデジタル計数が図8Cから引き出され、ここで、表中の点のうちの1つが表であることに関して、
【数8】
であり、図8Aの識別された領域802から、本発明者らは強度
【数9】
を取得する。
【0033】
この例におけるパラメータは図8の表に従う。これらの値は他の手段によって正確に測定されることが出来ることを理解されたい。
【0034】
図8の表の入力を有する分光モデル(例えば、Spectra Calc)を使用して、以下が容易に決定されることが出来る。
【数10】
【数11】
【0035】
方程式(8)、(9)、(10)、および(11)の値を方程式(4)に入力することが、
【数12】
を生成する。
【0036】
(方程式(12)において導き出された)RCO2の値は、方程式(8)、(9)、(10)、および(11)の値を使用して、mmHgでの呼気におけるCO2の割合、すなわち32.56mmHgを決定するために(図8において作成された)伝達関数において使用される。
【0037】
呼吸速度の決定
高速フーリエ変換(FFT)ベースの方法が、RR時系列データを使用してヒトの呼吸速度を評価するために使用されることが出来る。時系列データのパワースペクトルは優位周波数を示す。図10において、第1の被検体(図10A)は、図5に示された同じデータを使用して、第1の被検体の測定の条件に対して計算された呼気中のCO2分圧(図10B)を有する。図10Cは、図10Bの時系列データのパワースペクトル(優位周波数:12.3cpm)を示す。
【0038】
図11において、第2の被検体(図11A)は、第2の被検体の測定の条件に対して計算された呼気におけるCO2分圧(図11B)を有する。図11Cは(図11B)の時系列データのパワースペクトル(優位周波数15.5cpm)を示す。表Aは結果を示す。
【表1】
【0039】
表Aの結果は文字データと比較されることが出来る。図12において、呼気中のCO2レベル(X軸)が呼吸速度(Y軸)に対して描かれる。図12の調査は、取得された値(すなわち、32.56mgHg)は、正常な範囲と矛盾がないことを示す。
【0040】
例示的な画像処理システム
ここで図13を参照すると、図13は、図4の流れ図に関して記載されたような本方法の様々な局面を実装するための1つの例示的な呼吸モニタリングシステムのブロック図である。
【0041】
図13において、中波赤外線カメラ1302は、頭と顔とがカメラの視野1303内にある関心のある被検体に関する1つ以上のIR画像を捕捉する。捕捉された画像は、処理するために受信された画像を待ち行列に入れるためのバッファ1306を備えて示される画像処理システム1304に通信される。バッファ1306はさらに、データと、数式と、本発明の様々な実施形態に従って画像を処理するために必要であるような表示とを格納する。信号プロセッサ1308は、カメラ1302から画像信号を受信し、画素の強度値を処理することにより、これらの値が所定の範囲内にあることを確実にし、所与の画像フレーム内の画像範囲と画素強度を関連付ける。画像スタビライザ1310は、カメラの動きまたは被検体の動きのいずれかからの、ビデオシーケンスにおけるノイズが、例えば画像セグメンテーションおよび点特徴トラッキングを使用するために補償される必要があるシステムに提供される。そのような技術は画像処理技術において周知である。処理された画像データが、被検体の頭および顔の先端を識別する先端ロケータ1312に提供される。顔特徴位置モジュール1316は、先端ロケータモジュール1312からの識別された頭および顔の先端を受信し、位置関係がデータベース1314から引き出され、呼吸と関連付けられる被検体の顔特徴、例えば、被検体の鼻および口の位置を決定するために使用される。CO2濃度モジュール1318は、本明細書の教示に従って、被検体の呼気のCO2濃度を決定する。呼吸速度プロセッサ1322は、本明細書の教示に従って、被検体の呼吸速度を決定する。生成された値はメモリ1320に格納される。警告信号発生器1324は、呼吸速度または決定されたCO2濃度のいずれかが、所定のしきい値レベルから外れた場合には、信号1326を出力する。
【0042】
中波赤外線カメラ1302によって捕捉されたIR画像の様々な部分は、メモリ1320および/またはストレージデバイス1314に格納されてもよく、または格納もしくは処理のためにワークステーション1328に通信されてもよい。システム1304のモジュールまたは処理ユニットのいずれかによって行われる機能のうちの一部または全部が、全体的に、または部分的にワークステーション1328によって行われることが出来ることを理解されたい。ワークステーション1328は、通信インタフェース(図示せず)を介してネットワーク1330と通信する。ワークステーション1328は、情報を表示するための、そして、ユーザの入力または選択を実行するためのディスプレイモニタ1332を備えて示される。プロセッサシステム1304および/またはカメラシステム1302によって取得された画像がモニタディスプレイで見られることが出来るように、ディスプレイ1332は画像プロセッサシステム1304および/またはカメラシステム1302と通信するように配置されてもよい。図13のシステムのユーザまたは技術者は、関心のある領域を識別し、パラメータを設定し、画素、フレーム、画像、および/または処理するための画像の領域を選択するために、例えばキーボード1334やマウス1336などのワークステーション1328のグラフィカル・ユーザ・インタフェースを使用してもよい。画素、フレーム、画像、および/または処理するための画像の領域は、コンピュータ読取り可能な媒体1340に格納されてもよく、および/または格納媒体1338から引き出されてもよい。媒体1340に格納された情報は、コンピュータケース1342の内側に位置決めされた、例えばCD−ROMドライブなどの媒体リーダによって引き出されることが出来る。図13のモジュールおよび処理ユニットのうちの任意のものが、データベース1338と通信して配置されることが出来、そして、それらの意図された機能を行うために必要とされる、データ、変数、記録、パラメータ、機能、機械読取り可能なプログラム命令/機械実行可能なプログラム命令をそこに格納してもよく、それらをそこから引き出してもよい。さらに、システム1304のモジュールのそれぞれが、ネットワーク1330によって、1つ以上のデバイスと通信して配置されてもよい。
【0043】
様々なモジュールが、意図された機能を行うように設計されたソフトウェアおよび/またはハードウェアを同様に備えてもよい1つ以上のコンポーネントを示してもよいこともまた理解されたい。複数のモジュールが全体的に1つの機能を行なってもよい。各モジュールが、機械読み取り可能なプログラム命令を実行することが出来る専門のプロセッサを有してもよい。モジュールは、ASIC、電子回路、または専用プロセッサなどの単一のハードウェアを備えてもよい。複数のモジュールが、単一の専用コンピュータシステム、または並列で動作する複数の専用コンピュータシステムのいずれかによって実行されてもよい。モジュール間の接続は、物理接続と論理接続との両方を含む。モジュールはさらに、オペレーティングシステム、ドライバ、デバイスコントローラ、および他の装置をさらに備えてもよい1つ以上のソフトウェア/ハードウェアのモジュールをさらに含んでもよく、それらのうちの一部または全部が、ネットワークを介して接続されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触しない低侵襲性の呼吸測定環境における呼気中の二酸化炭素(CO2)濃度の画像ベースの決定のための方法であって、前記方法は、
関心のある被検体の呼気流の少なくとも1つのIR画像を受信することであって、前記画像はCO2の赤外線吸収帯域に変えられた少なくとも1つの光フィルタを有する中波赤外線カメラシステムを使用して捕捉され、前記受信された画像のそれぞれが、部分的には、前記CO2の吸収帯域において取得されるそれぞれの強度値を有する画素のアレイを備える、受信することと、
CO2濃度に画素の強度値を関連付ける較正曲線を使用して前記呼気流のCO2濃度レベルを決定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記呼気流を含む画素の領域を隔離するために前記画像を処理することと、
前記識別された領域における画素の強度値を正規化することであって、前記画素は既知の放射輝度の値によって正規化される、正規化することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カメラシステムが、回転振動放射によってCO2分子から発せられた光を収集するように設計され、前記システムは、4.0μm〜4.5μmを含む感度帯域を有する赤外線カメラと、CO2排出光が前記カメラのレンズに入ることを可能にするスペクトル帯域通過フィルタとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
呼気中の二酸化炭素(CO2)濃度の画像ベースの決定のためのシステムであって、前記システムは、
CO2の赤外線吸収帯域に変えられた少なくとも1つの光フィルタを有する中波赤外線(MWIR)カメラシステムと、
前記カメラシステムと通信するプロセッサであって、前記プロセッサは、
関心のある被検体の呼気流の少なくとも1つのIR画像を受信することであって、前記画像は、前記中波赤外線カメラシステムを使用して捕捉され、前記受信された画像のそれぞれは、部分的には、前記CO2の吸収帯域において取得されたそれぞれの強度値を有する画素のアレイを備える、受信することと、
CO2濃度に画素の強度値を関連付ける較正曲線を使用して前記呼気流のCO2濃度レベルを決定することと、
メモリ、ストレージデバイス、グラフィカルディスプレイ、電話システム、およびコンピュータワークステーションのうちのいずれかに前記CO2濃度レベルを通信することと、
の方法を行うための機械読取り可能な命令を実行する、システム。
【請求項5】
前記呼気流を含む画素の領域を隔離するために前記画像を前処理することと、
前記識別された領域における画素の強度値を正規化することであって、前記画素は、既知の放射輝度の値によって正規化される、正規化することと、
をさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記カメラシステムが、回転振動放射によってCO2分子から発せられた光を収集するように設計され、前記システムは、4.0μm〜4.5μmを含む感度帯域を有する赤外線カメラと、CO2排出光が前記カメラのレンズに入ることを可能にするスペクトル帯域通過フィルタとを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項1】
接触しない低侵襲性の呼吸測定環境における呼気中の二酸化炭素(CO2)濃度の画像ベースの決定のための方法であって、前記方法は、
関心のある被検体の呼気流の少なくとも1つのIR画像を受信することであって、前記画像はCO2の赤外線吸収帯域に変えられた少なくとも1つの光フィルタを有する中波赤外線カメラシステムを使用して捕捉され、前記受信された画像のそれぞれが、部分的には、前記CO2の吸収帯域において取得されるそれぞれの強度値を有する画素のアレイを備える、受信することと、
CO2濃度に画素の強度値を関連付ける較正曲線を使用して前記呼気流のCO2濃度レベルを決定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記呼気流を含む画素の領域を隔離するために前記画像を処理することと、
前記識別された領域における画素の強度値を正規化することであって、前記画素は既知の放射輝度の値によって正規化される、正規化することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カメラシステムが、回転振動放射によってCO2分子から発せられた光を収集するように設計され、前記システムは、4.0μm〜4.5μmを含む感度帯域を有する赤外線カメラと、CO2排出光が前記カメラのレンズに入ることを可能にするスペクトル帯域通過フィルタとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
呼気中の二酸化炭素(CO2)濃度の画像ベースの決定のためのシステムであって、前記システムは、
CO2の赤外線吸収帯域に変えられた少なくとも1つの光フィルタを有する中波赤外線(MWIR)カメラシステムと、
前記カメラシステムと通信するプロセッサであって、前記プロセッサは、
関心のある被検体の呼気流の少なくとも1つのIR画像を受信することであって、前記画像は、前記中波赤外線カメラシステムを使用して捕捉され、前記受信された画像のそれぞれは、部分的には、前記CO2の吸収帯域において取得されたそれぞれの強度値を有する画素のアレイを備える、受信することと、
CO2濃度に画素の強度値を関連付ける較正曲線を使用して前記呼気流のCO2濃度レベルを決定することと、
メモリ、ストレージデバイス、グラフィカルディスプレイ、電話システム、およびコンピュータワークステーションのうちのいずれかに前記CO2濃度レベルを通信することと、
の方法を行うための機械読取り可能な命令を実行する、システム。
【請求項5】
前記呼気流を含む画素の領域を隔離するために前記画像を前処理することと、
前記識別された領域における画素の強度値を正規化することであって、前記画素は、既知の放射輝度の値によって正規化される、正規化することと、
をさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記カメラシステムが、回転振動放射によってCO2分子から発せられた光を収集するように設計され、前記システムは、4.0μm〜4.5μmを含む感度帯域を有する赤外線カメラと、CO2排出光が前記カメラのレンズに入ることを可能にするスペクトル帯域通過フィルタとを含む、請求項4に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10B】
【図10C】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13】
【図5A】
【図5B】
【図10A】
【図11A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10B】
【図10C】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13】
【図5A】
【図5B】
【図10A】
【図11A】
【公開番号】特開2013−70997(P2013−70997A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−205230(P2012−205230)
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
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