説明

和装・洋装兼用女性用長襦袢

【課題】本発明は、長襦袢として使用でき、半衿と付け袖と裾除けを取り外せば洋装用Tシャツ単体として着用もるでき、裾除けも洋装用巻きスカートにした、洋装と和装の両方に活用できる女性用長襦袢を提供する。
【解決手段】着脱可能なTシャツ、半衿、付け袖、巻きスカートから構成する和装・洋装両面で使用可能な女性用長襦袢において、Tシャツは伸縮性の薄手ジャージー生地を使用し、Tシャツの衿と袖に前記半衿と付け袖を取り付けるためのレース様細紐を縫い付け、半衿は芯カバーと芯及びTシャツに設けたレース様細紐のボタン穴に装着するための複数のボタンから構成し、前記付け袖は前記Tシャツの袖部のレース様細紐のボタン穴に接合する複数のボタンを肩口に設け、巻きスカートは上部に胴に巻き付けるための腰紐と内側布を設けて構成し、付け袖と巻きスカートはセルロース繊維の生地を用いたことを特徴とする和装洋装兼用長襦袢。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能なTシャツ、半衿、付け袖及び巻きスカートから構成する和装・洋装兼用女性用長襦袢に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の女性用着物としては、肌襦袢と裾除けを着用した上に長襦袢に半衿を付けたものを着て、その上に長着を着ることになる。このような、半衿を縫合し数枚の肌着類を重ね合わせて伊達締めや胸紐で止めるなどの着付けの煩雑さから、これまでにも簡便に着つけられる方法が試みられてきた。例えば、特許文献1には半衿について、特許文献2には長襦袢について、特許文献3には襦袢の袖について、簡便な着用のための試みが記載されている。
【0003】
【特許文献1】 特開平09−31702号公報
【特許文献2】 特開平08−325803号公報
【特許文献3】 特開平11−302901号公報
【発明の開示】

【発明が解決しようとしている課題】
【0004】
簡便な着用のための従来技術は、いずれも止め付けテープあるいはファスナー等を用い、旧来の半衿や長襦袢を改良しようとするもので、それのみでは外出することのできない肌着としての用途に限られていた。
【0005】
また、長襦袢は長着の裏の汚れ防止と保温の役目で着用され、その下に着る肌襦袢や裾除けも同様であるが、主生地に正絹を用いたものは家庭での洗濯が困難であり、また化繊のものは静電気が発生し易いため、滑りが悪く着難い欠点があった。
【0006】
生活様式の変化とともに女性の服装は大半が洋風化しているが、和の文化が再認識されつつある中、それに伴って和装も見直されつつある。しかし、紐類を多用する着付けは初心者には難しく、着装法を知る人でもその煩雑さから日常的な着用には敬遠され勝ちである。着物といえども、現在生活に適した、より着易く、日常生活の中でより活動し易く、かつ手入れが簡単でおしゃれであることが求められている。
【0007】
本発明は、上記のような技術の現状に鑑みてなされたものであり、洋装用外出着としても使え、家庭での洗濯が容易で、静電気が発生し難く、より着易く、動き易く、かつ手入れが簡単な和装・洋装兼用女性用長襦袢を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の和装・洋装兼用可能な女性用長襦袢は、着脱可能なTシャツ、半衿、付け袖、巻きスカートから構成する。前記Tシャツは、伸縮性のある薄手ジャージー生地を使用し、深めの後ろ衿ぐりと、袖を有した身体にフィットした形状で、胸部の切り換え線の上部は通常の襦袢の衿と同様に右前身頃の上に左前身頃を重ね合わせ、胸部切り換え線から下部は両脇で前後身頃を縫い合わせた胴部をなす。衿ぐりに1列、袖には数列の装飾を兼ねたレース様の細紐を縫い付けて、単体でも洋装として使用できる。
【0009】
前記半衿は、芯カバーとプラスチックなどの芯及び複数のボタンから構成する。芯カバーは長方向に2つ折りにした生地を数ヶ所縫い止まりにして開きを設けながら筒縫いにし、この筒穴に、例えば帯状の長辺の一方に複数のボタンを取り付けた芯を通す。そして新カバーの各縫い止まりの開きからボタンを取出し、前記Tシャツの衿ぐりに縫い付けた細紐レース穴に通し接合することにより、取替えが簡便でかつ着崩れしない衿元を構成する。上記では複数のボタンを芯に取り付けた例を示したが、これらのボタンは芯カバーに直接取り付けてもよい。
【0010】
前記付け袖は、滑りの良い繊維の生地を使用し、肩口に複数のボタンを取り付け、前記Tシャツの袖の細紐レースの一列の穴にボタンを通して接合する。このとき使用する細紐レースの列を違えることにより、裄の長さを好みに調整することができる。
【0011】
前記巻きスカートは、滑りの良い繊維の生地を使用し、胴部にあたる上辺にスカート紐を縫い付けたスカート主生地に内側布を挟んで筒状に縫った形状で、内側布を挟んで主生地の左右をZ字状に重ね合わせた胴部にスカート紐を巻きつけて結び装着する。巻きスカート単体で洋装用スカート、あるいは前記Tシャツと組み合わせることにより洋装用スーツとして使用でき、また前記Tシャツと前記半衿及び前記付け袖と組み合わせることにより和装長襦袢を構成することができる。
【0012】
このように和装洋装を兼用するために前記Tシャツと前記付け袖及び前記巻きスカートは、全体としてコーディネートしたプリントなどの色柄を配し、前記Tシャツは前述した生地で身体にフィットし、前記付け袖と前記巻きスカートは滑りの良いセルロース繊維の生地を用いる。
【発明の効果】
【0013】
前記Tシャツ単体、または前記Tシャツと前記巻きスカートのセットで洋装として着用できるとともに、前記Tシャツに前記半衿と前記付け袖を装着して、更に前記巻きスカートを裾除けとして着用すれば、和装用長襦袢としても使うことができる。
【0014】
長襦袢としての着用時には胸紐、伊達締め等を用いずに端整な着姿を保持し着崩れがないため、初心者でも着易く、日常的な使用にも煩雑さを解消できる。また、肌着が省略でき手軽に着用できるとともに、身動きもしやすい。
【0015】
また、前記Tシャツ、前記半衿、前記付け袖、及び前記巻きスカートは、パーツごとに洗濯することができ、干しやすく、手入れが簡単になる。例えば、特に汗で汚れやすいTシャツや半衿を個別に手入れできる。
【0016】
前記巻きスカートは、キュプラなどのセルロースからなる繊維を用いているため、静電気が発生せず滑りが良く着易い。また従来の和装用裾除けでは、主生地の上部に汗対策として綿やさらし布からなる腰布を用いているが、本発明の巻きスカートは植物セルロースからなる繊維を主生地に用いているため腰布は不用で構造が簡単である。従来の洋装用巻きスカートでは着用する人の体型、即ち腰まわりや裾丈の寸法にフィットしたものが必要であったが、本発明の巻きスカートでは構造的に体型への自由度があり、着る人の体型の変化に余り左右されることなく着用することができる。
【0017】
前記Tシャツ、前記付け袖、及び前記巻きスカートの色柄は全体としてコーディネートしており、おしゃれが楽しめる。もちろん、Tシャツと巻きスカートをセットにして外出着としておしゃれを楽しむこともできる。また、長着に合わせた色柄の交換もできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係わるTシャツの実施例を図1に示す。図1(a)は薄手ジャージー生地を用いたTシャツ1の全体図であり、図1(b)は衿元の点線で囲まれた部分の拡大図を示し、図1(c)は袖の点線で囲まれた部分の拡大図を示す。図1(a)の形状は後ろ衿ぐりを深めとし、胸部切り替え線25から上方は長襦袢の衿の形状と同様に右前身頃2の上に左前身頃3を重ね合わせるとともに、胸部切り替え線25から下方のTシャツ胴部4は前後身頃を縫あわせた構成とする。この胸部切り替え線25より上方の左右身頃は各々薄手の生地との二枚重ねで構成し補正用のパッドが装着できる形状とする。かつ、Tシャツ1に色柄を入れて、単体でも洋装用Tシャツとして使えるようにする。また、このTシャツ1の衿ぐり5と袖6には、レース様の細紐7,8を縫い付ける。このレース様細紐の透かし模様は、点線で囲まれた部分図1(b)の衿の拡大図、図1(c)の袖の拡大図に示すように後述する半衿と付け袖を接合する際のボタン穴9,10となる。その為衿ぐりには1列、袖には数列を配する。このレース様細紐は半衿と付け袖を取り付ける機能だけでなく、洋装時の装飾デザインも兼ねる。
【0019】
本発明に係わる半衿11の実施例を図2に示す。図2(a)は芯カバー12と半衿芯13との斜視図であり、図2(b)は芯カバー12内に半衿芯13を挿入した状態を示す要部拡大斜視図である。半衿11は長方向に二つ折りにした生地に数箇所の縫い止まり14を施し 開きを設けながら筒縫いした芯カバー12に、帯状のプラスチックなどの半衿芯13を通した構造とする。帯状の半衿芯13の長辺の一方には芯カバー12の縫い止り14に対応する複数の半衿ボタン15を取り付ける。縫い止り14の開きよりボタン15をそれぞれ取り出し、点線で囲まれた部分図1(d)の拡大図のように前記Tシャツ1の衿に縫い付けたレース様細紐7のボタン穴9にボタンを通し 半衿11を前記Tシャツ1に接合する。あるいは芯カバー12にボタン15を直接取り付けても良い。こうして体にフィットした衿ぐりを有する前記Tシャツ1に半衿11が固定される為、衿の重なりが保持され着崩れることがない。又、半衿の交換が容易で長着にあわせて簡便にコーディネートできる。
【0020】
本発明に係わる付け袖16の実施例を図3に示す。図3(a)はキュプラなどのセルロース繊維の生地を用いた付け袖16の全体図であり、図3(b)は付け袖肩口17の点線で囲まれた部分において 付け袖ボタン18を用いてTシャツ1の図1(c)に示すボタン穴10に接合した状態を示す要部拡大斜視図である。付け袖16の付け袖肩口17には、Tシャツ1の袖6のレース様細紐7,8に接合できるように 付け袖肩口17の裏側に複数のボタン18を取り付ける。こうして裏側から図3(b)のようにレース様細紐7のボタン穴10に接合する為 接合部分が付け袖肩口17の裏側に隠れ目立たない。又、取り付けるレース様細紐の列を変えることにより 裄の長さが好みに調節できる。
【0021】
本発明に係わる巻きスカート19の実施例を図4に示す。図4(a)はキュプラなどのセルロース繊維の生地を用いた巻きスカート19の全体図であり、図4(b)は着用状態を示す正面図である。巻きスカート19はスカート主生地20と内側布21とスカート紐22で構成し、主生地20の胴部にあたる上辺にスカート紐22を縫い付け、内側布21のa、a’を主生地20の右縦辺に、b、b’を左縦辺に縫い付け筒状とする。内側布21を挟んで主生地20の左右をうち合わせZ字状に重ねた胴部にスカート紐22を巻付けて結び装着する。内側布21により歩行時に裾のはだけるのを防ぎ洋装時の着装を端整にする。スカート主生地20と内側布21には静電気が発生せず滑りの良いキュプラなどのセルロース繊維の生地を用い、色柄を配して単体あるいは前記Tシャツ1との組み合わせにより洋装用として使用できる。又、前記Tシャツ1、前記半衿11、前記付け袖16と合わせて着用することにより 和装用長襦袢として使用できる。スカート紐22を胴に巻く位置を調節することにより身長に合わせた着丈で着装でき、また、主生地20のうち合わせの深さにより着用者の胴回りに合ったサイズで着装できる自由度がある。
【0022】
上記のTシャツ1、付け袖16、巻きスカート19の色柄については、Tシャツ単体、巻きスカート単体、あるいはTシャツと巻きスカートのセットでスーツとして利用できるように 全体としてコーディネートする。
【0023】
本発明に係わる長襦袢の実施例を図5に示す。長襦袢23はTシャツ1、半衿11、付け袖16、巻きスカート19で構成する。このTシャツ1の図1(d)に示す衿ぐり5に付けたレース様細紐7のボタン穴9に半衿ボタン15を嵌めるとともに、図3(b)に示すTシャツ1の袖6に付けたレース様細紐8のボタン穴10に付け袖ボタン18を嵌めてTシャツ1に半衿11と付け袖16をそれぞれ接合して一体とし、更に巻きスカート19を着用することにより 長襦袢として着ることができる。
【0024】
本発明に係わる洋装時の実施例を図6に示す。Tシャツ1と巻きスカート19のセットでスーツ24として着用する。また、洋装用として使用できる色柄を有している為、図1(a)のようにTシャツ1単体でも、図4(b)のように巻きスカート19単体でも洋装用の他の品目と組み合わせての着用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】Tシャツの全体図と部分拡大図
【図2】半衿となる芯カバーと半衿芯との部分拡大図
【図3】付け袖の全体図と部分拡大図
【図4】巻きスカートの全体図と着用正面図
【図5】長襦袢の全体図
【図6】洋装用スーツの全体図
【符号の説明】
【0026】
1 Tシャツ
2 右身頃
3 左身頃
4 Tシャツ胴部
5 Tシャツ衿ぐり
6 Tシャツ袖
7,8 レース様細紐
9,10 ボタン穴
11 半衿
12 芯カバー
13 半衿芯
14 半衿ボタン取り出し用縫い止まり
15 半衿ボタン
16 付け袖
17 付け袖肩口
18 付け袖ボタン
19 巻きスカート
20 スカート主生地
21 内側布
22 スカート紐
23 長襦袢
24 洋装用スーツ
25 胸部切り替え線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能なTシャツ、半衿、付け袖、巻きスカートから構成する和装・洋装両面で使用可能な女性用長襦袢において、前記Tシャツは伸縮性のある薄手ジャージー生地を使用し、Tシャツの衿と袖に前記半衿と付け袖を取り付けるためのレース様細紐を縫い付け、前記半衿は芯カバーと芯及び前記Tシャツに設けた細紐レースのボタン穴に装着するための複数のボタンから構成し、前記付け袖は前記Tシャツの袖部のボタン穴に接合する複数のボタンを肩口に設けて構成し、前記巻きスカートは上部に胴に巻き付けるための腰紐を設けて構成し、前記の付け袖と巻きスカートはセルロース繊維の生地を用い、前記Tシャツと付け袖及び巻きスカートは色柄を配することを特徴とする女性用和装洋装兼用長襦袢。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−312801(P2006−312801A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163244(P2005−163244)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(505185617)
【Fターム(参考)】