説明

商品のマーキング及び認証するための方法及びインクセット

【課題】貨幣引受機、チケット検証機、または携帯用認証機などの機械によって、紙幣、書類、切符、ホイル、糸、ラベル、カードまたは商品などの機密物品を認証するために、これらをマーキングし且つ適正に認証する方法を提供する。
【解決手段】本方法により、機密物品にはユーザー認証デザインの形状のマーキングが付与される。前記マーキングは、市販の四色デスクトップ再現装置によって再現できない広い(expanded)、または濃色(hyperchromic)色空間に属する染料または顔料を含む。前記マーキングの認証は、ありのままのスペクトル情報を統計的に独立したハイパーカラー座標に数学的に転換させること、及び選択したハイパーカラー座標と対応する参照値とを比較することを含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、紙幣引受機、加工機、チケット検証機、携帯用認証機などの固定または携帯電気機器によって容易に認証し得る機密文書及び物品、すなわち紙幣、重要書類、証明書、カード、切符、ラベル、機密保持ホイル(security foil)、機密保持糸(security thread)など、並びに特異的なスペクトル吸収を示す染料または顔料を適用することによってそのような機密文書または物品を製造及び認証する方法に関する。
【0002】
カラー・コンピューター・プリンター、カラースキャナー及びカラーコピー機などのデスクトップ・カラー印刷及び複写機(reproduction equipment)が一般大衆にも広く普及
して、書類の機密保持がますます脅かされるようになっている。特に、現在使用されている機密保持機能(security feature)は、認証にもっぱら電気的手段が用いられる自動紙
幣引受機において偽札に対し十分に効力を発揮していない。
【0003】
電気的手段を用いる認証に適した公知の機密保持機能は、欧州特許第EP-B-0 053 124号及び同第EP-B-0 053 183号、同第EP-B-0 053 125号、同第EP-B-0 024 053号、EP-B-0 340 898号、またはEP-B-0 537 431号に記載されている。これらの機能は、発光(ルミネセンス)、磁気特性または、電磁スペクトルの非可視範囲での吸収をベースとしている。しかしながら、これらの物理的特性の幾つかの利用には欠点を伴う。たとえば、発光の場合には、測定すべき光の強度は一般的に低いので、他の潜在的に攪乱作用(perturbing effect)や周囲の光の遮蔽体を含む高度な技術が必要である。磁気特性は機密保持機能としてはあまり適していない。というのも、これらは一般的に紙幣と磁気センサー装置(読み取りヘッド)との間の機械的接触が必要だからである。このため、読み取り装置で紙幣が「ひどい形に」紙詰まりするのがエラーの主因となっている。
【0004】
欧州特許出願第EP-A-0 024 053号に開示のような「従来の」UVまたはIR-吸収装置を
ベースとする紙幣機密保持機能の欠点は、これらがスペクトルの可視範囲外の転換機密保持素子(convert security element)として単一の吸収剤化合物の使用に依存していることは特筆すべき点である。転換機密保持素子の存在は、一般的に利用可能な、安価なCCD
カメラ(たとえば、波長300〜1,100nmの感知範囲のドアの監視カメラ)、及び写真屋で入手可能な一般的に利用可能な通常のUV及びIRフィルターを利用して見えるようにできる。一般的なUV-及びIR-吸収性化合物はさらに、特定の電子写真トナーの現在の技術の多くの分野で用いられ、同じく市販されている。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記従来技術の欠点を克服し、且つ紙幣引受機、チケット検証機などの機械により前記物品を容易に認証できる、機密保持物品の偽造防御を提供する。
【0006】
記載された問題点は、独立クレームに定義されたように、特に印刷用インク及び/または印刷用インクのセット及び/または物品をマーキング及び/または認証するためのそれらの使用によって解決される。
【0007】
本発明は、人の目によって正確に気づくことができない染料または顔料の選択、特に人の目によってその全体として気づくことができない色空間を構成するそのような染料または顔料のセットの選択をもとにする。
【0008】
人の目の色の識別力は、一つは長波長(600nm;赤)、一つは中間波長(550nm;緑)そして一つは短波長(450nm;青)の光のたった三種類の受容体のシグナルをベースとする。これ
らに加えて、約550nmの最大感度をもつ一般的な白色光受容体もある。目の関連する光色
素のスペクトルの吸収曲線に対応するこの三つの光受容体の相対感度曲線は、Commission
Internationale d’Eclairage(C.I.E.)により定義されているように「Color Matching Functions:色合わせ機能」として公知であり且つ実験的に決定されている。これらは全ての人の色再現技術をベースとする。どの可視色(visible color)も三つの色座標:X(赤)、Y(緑)及びZ(青)によってこのCIEXYZ-系内で表され、ヒトの色覚を三次元色空間に限定する。ヒトの目は、電磁スペクトルの紫外(UV、波長400nm未満)と赤外(IR、700nmを超
える)範囲では色を識別することができない。
【0009】
従来、ヒトの目によって上記の如くできるだけ「正確に」色を再現させるために、染料、顔料及び他の装置の開発及び選択には多大な努力と研究とが捧げられてきた。今日の色再現技術は、実際、狭い選択範囲の特別に適合させた印刷用顔料、注意深く選択したブラウン管蛍光体、並びにカラーカメラ(color camera)及び走査素子用の高度な光学フィル
ターに依存する。
【0010】
しかしながら、機密用途における色は全く別の目的をもつ。物体は「本来の」色で表す必要がないが、連続貨幣の異なる種類を識別するためなどに色は単なる機能的な意味をもつことが多い。
【0011】
その複製が望ましくない、貨幣、重要書類及び他の物品に対する一般的に利用可能で且つこれまで以上に高度な色再現装置の現代の脅威に対応するために、本発明は、選択された染料または顔料をベースとして、マーキング及び/または認証の新規方法を開示する。本発明は、三次元CIEXYZ-系色空間の基調色から意図的に逸脱することをベースとする。
本発明に従って重要書類または物品上のマーキングは、i)通常の色再生または印刷では使用されない可視色、ii)パステル調の色合いだけを生み出す狭周波帯吸収剤、及びiii)紫
外(400nm未満)または赤外範囲(700nmを超える)のいずれかの、電磁スペクトルの可視範囲(400〜700nm)外の吸収に相当する不可視「色」を含む。
【0012】
かくして、本発明は、CIEXYZ-系の基調色の吸収最大とは実質的に異なるか、またはス
ペクトルの可視範囲外である電磁スペクトルの可視範囲に少なくとも一つの吸収最大をもち、及び/またはその半値幅が2400cm-1より狭く、好ましくは2000cm-1より狭く、最も好ましくは1500cm-1よりも狭い電磁スペクトルの可視光範囲内に吸収帯をもつ、少なくとも一種の染料または顔料を含む印刷用インクに関する。
【0013】
さらに、本発明は上記の少なくとも二つの印刷用インクを含む、印刷用インクのセットに関する。特に、本発明は、(追加の基調色、赤、緑、青;または減法的基調色の黄色、
マゼンタ及びシアンをそれぞれ含む)CIEXYZ-系の基調色の吸収最大とは実質的に異なる少なくとも一つの吸収最大をもつように選択された少なくとも三つ、好ましくは少なくとも四つの基調色を含み、染料または顔料の対応するセット及び/または対応するインクセットによって表される「濃色系:hyperchromic color system」の使用を開示する。本発
明に従った表色系(color system)は、対応する染料または顔料によって表される選択的UV、可視及びIR吸収成分を含むことができる。対応する顔料によって表される、選択的UV
、可視及びIR反射性成分も含むことができる。好ましくは、可視染料または顔料は、450nm(青)、550nm(緑)及び600nm(赤)に位置する「CIEXYZ-最大」とは異なるスペクトル透過または反射最大をもつように選択される。好ましくは、本発明に従った表色系は、電磁スペクトルのUVまたはIR領域で吸収する少なくとも一つの染料または顔料を含み、より好ましくは、本表色系は、電磁スペクトルのIR領域で吸収する少なくとも二つの染料または顔料を含む。
【0014】
本発明との関連で特に重要なものは、狭周波数帯吸収性染料または顔料(narrow-band
absorbing dye or pigments)である。というのも、これらが(300nm〜1100nm範囲など)所定の利用可能なスペクトル範囲内によりスペクトル的に多様性を導入できるからである。この可視スペクトル範囲内では、好ましい染料または顔料は、目のCIEXYZ-色合わせ機
能よりも実質的に狭い吸収帯をもつ。四種以上の前記染料または顔料で可視スペクトルドメインさえもカバーして、濃色系可視色空間を作り出すことができる。
【0015】
目の色合わせ機能は、以下の様な顕著な特徴をもつ。
【0016】
【表1】

【0017】
表示の最初の数字は波長(nm)を、二番目の数字はエネルギー(cm-1)をそれぞれ表す。
1000cm-1への変換:10,000/wl。
1000cm-1での帯幅:10,000*bw/wl2
(wl=波長、nm;bw=帯幅、nm)。
【0018】
前記色合わせ機能よりも実質的に狭い吸収帯とは、本発明との関連では、2,400cm-1
りも狭い半値幅(a band width at half intensity)をもつ吸収を意味するものとす
る。特に、本発明に従った染料または顔料は、好ましくは2000cm-1より狭く、最も好ましくは1500cm-1よりも狭い帯幅をもつ。しかしながら、前記染料または顔料の帯幅は希土類ベースの極端に狭周波数帯吸収剤を除いて、100cm-1よりも大きくなければならない。
【0019】
狭周波数帯吸収性染料または顔料は、紫外(300〜400nm)及び赤外、特に700nm〜1,100nmの波長範囲でも重要であり、これは、光ダイオード、CMOS-及びCCD-カメラなどの市販の
シリコン光検出器(silicon photodetector)により検出可能である。前記IR波長範囲で一対の狭周波数帯吸収性化合物を使用すると、一つ以上の不可視「赤外線色:infrared color」を含む、グラフィックの「マルチカラー」セキュリティー・デザイン(“multicolor“ security design)を導入することができる。特定の態様では、それぞれ700〜800nm
、800〜900nm及び900〜1,000nmの範囲で吸収する三種類のIR-顔料を使用して、肉眼では
見ることができない電磁スペクトルの赤外範囲で三色の画像(trichromic picture)を印
刷することができる。この画像は、一種以上のIR-透過性可視色でこの上に重ね刷りする
ことによってカモフラージュすることができる。得られた三色のIR-画像は、対応する電
子「IR-カラー」カメラ及び可視カラーディスプレイを使用して可視化または検査するこ
とができる。
【0020】
本発明に従って使用すべき染料または顔料は、通常、有機分子化合物、有機ポリマー化合物または無機化合物の中から選択することができる。本発明に関連する一般的な原理として、濃色系の「色」は、300〜1,100nmのスペクトル領域に一つまたは幾つかの吸収帯をもっていてもよい、対応する単一の化学化合物によって表される。かくして少なくとも三つ、好ましくは少なくとも四つの基調色を含む濃色系は、少なくとも三つ、好ましくは少なくとも四つの異なる色素化合物、すなわち300〜1,100nmの波長範囲で実質的に互いに異なる吸収スペクトルをもつ、インクまたはインクのセットで表される。本発明に従った「実質的に異なる」とは、標準化スカラ積:
【0021】
【数1】

【0022】
によって表されるように二つのベクトルs1とs2とによって表される二つのスペクトルの統計上の相関関係が0.95を超えないことを意味する。s1とs2のベクトルは以下に説明する。
【0023】
本発明に従った染料または顔料は、全て色が大きく異なっている必要はない;濃色系は、たとえば二つの異なる黄色、二つの異なる青、及び二つの異なる赤の染料または顔料を種々の割合で含むことができる。写真複写機(photocopying machine)は、単一の黄色、
単一の青及び単一の赤の染料を使用して、これらの色を再現しなければならないだろう。対応する検出器は対照的に、二種の異なる黄、二種の異なる青及び二種の異なる赤チャネルに依存し、オリジナルとコピーとを識別することができる。
【0024】
本発明に従った印刷用インクまたはコーティング組成物の製造法を実施するのに有用な染料及び顔料は、幾つかの物質の分類に知見することができる。好ましい態様では、これらはシアニン類(ポリメチン類)及び関連するシアニンタイプの発色団;キノン類及び関連するキノンタイプの発色団;ポルフィン類、フタロシアニン類及び関連する大環状発色団;並びにヘテロ置換多環式炭化水素発色団を含む群から選択される。本発明に関連する発色団とは、「色を発生させる」化学基であり、300nm〜2,500nmの波長範囲のどこかに吸収を示す。この発色団は、ある分子構造またはポリマー構造をとることができ;さらに全ての種類の化学置換基を保持することができるか、及び/またはポリマー鎖内に結合若しくはその上にグラフト化させることができる。
【0025】
シアニン(ポリメチン)染料は公知であり、写真用の増感剤として使用されている(D.M.Sturmer,The Chemistry of Heterocyclic Compounds,30巻、John Wiley、New York、1977年、441〜587頁;Eastman Kodak)。より最近の出願では、クマリン及びローダミン類から選択されたこの化合物の種類の安定な代表例がレーザー染料としても使用された(J.B.Marling、J.H.Hawley、E.M.Liston、W.B.Grant、Applied Optics、13(10)巻、2317頁、1974年)。
【0026】
ポルフィン類及び関連する分子は、特にMg2+他などの配位金属イオンの存在下で、その環式特徴によってコンフォメーション的に硬直した、大環式シアニン構造として考えることができる。結果としてこれらの長波長吸収帯は非常にシャープで、これらは本発明に従った狭周波数帯吸収性染料のほぼ理想的な例である。クロロフィル-a(660nmでの吸収帯;吸光率εは85,000)は、この種類の染料である(K.Sauerら、J.Am.Chem.Soc.88巻、1966年
、2681〜88頁)。ポリフィン類及び関連分子は合成がやや難しいので、その工業的利用は
自然界で利用可能な化合物に制限されている。
【0027】
フタロシアニン類及び関連分子は、ポリフィン類の「工業的変異形:industrial variant」である。これらは通常、可視スペクトルの長波長端部で吸収し、その吸収帯の広さ
は、その結晶の充填(凝集)に大きく依存する。狭周波数帯吸収は、通常、そのような染料の希薄溶液及び、特に顔料の発色団基の積み重ねが存在しない場合には、固体状態の特定の顔料に関して知見される。あまねくフタロシアニン類の種類は、高度に共役した類似体、たとえばナフタロシアニン類も含み、これはフタロシアニン類のヘテロ置換(heterosubstituted)類似体と同様にIRで吸収し;この種類の化合物を定義する共通点は、その構成
員の全てが芳香族オルト-ジカルボン酸から、またはその誘導体から誘導されるというこ
とである。
【0028】
キノン染料は、当業界で公知であり、且つテキスタイル及び関連する染料用途(たとえ
ばインジゴイド染料、アントラキノン染料など)で使用される。負に帯電した基または原
子は、キノン骨格と一緒に存在して、吸収帯の強度を高めたり、これを長波長側へシフトさせたりすることができる。この種の染料の幾つか、特にNHもOH基も持たないものは、狭い吸収帯を示す。そのような染料の例としては、チオインジゴ、N,N’-ジアルキルインジゴ、N,N’-アルキレン-インジゴなどがある。
【0029】
ヘテロ置換多環式炭化水素染料は、適当な置換基を保持する、グラファイト格子のイメージで、剛直で平面的な分子構造である。ペリレンイミド類、キナクリドン類、ジオキサジン類などは、これらの染料の例である。
【0030】
狭周波数帯吸収性顔料を考察する際の重要な側面は、個々の染料分子の間の凝集を避けることである;ほとんどの有機的多環式化合物に固有の傾向は、水素結合を受ける分子の能力の場合にはさらに強められる。殆どの場合、凝集によってスペクトル吸収帯が広がる;かくしてこれは、本発明に関しては好ましくない特徴であるとみなされる。この問題を解決するには幾つかの方法がある。
【0031】
・前記吸収帯を広げる凝集物を形成しない染料分子を使用すること。
・不活性ポリマーキャリヤ化合物に溶解性の染料分子を使用すること:それに応じて得られた塊で着色し、且つ粉砕ポリマーを印刷用顔料として使用することができる。
【0032】
・確立されたポリマーマトリックス、たとえばポリスチレンに共重合可能であるか、または現存のポリマー上にグラフト可能な染料分子を使用すること;それに応じて得られた塊で着色し、且つ粉砕ポリマーを印刷用顔料として、または上塗り添加剤として使用することができる。
【0033】
本発明を具現化するための非常に多くの適切な顔料及び染料は、既に文献に記載されている。しかしながら、ありふれた市販の着色剤を目的をもって設計して、人の目の多種多様な(broad-line)色合わせ機能に適合させる。公知の少品種(narrow-line)の吸収性分子
または組成物は、この理由から、ヒトの目によって読み取られるように「色強度の欠如」または、光依存性の光の変化(虚偽の色:untrue colors)のどちらかの原因により、顔料または染料としては工業的には利用されていない。やや広い吸収帯が必要な場合、光学記録材料で使用するために設計された、同様のことが市販の赤外線吸収性染料または顔料についても適用できる。
【0034】
本発明に関連して有用な染料または顔料の殆どに関して市場が存在しないことにより、開示の方法及びその態様の安全面での重要性が高まる。機密保持印刷の分野で市販されていない染料または顔料を適用することは、それ専用に生産することが必要であり、ゆえに材料の供給源を効果的に制御することができる;機密保持を保証するには非常に重要な必要条件である。
【0035】
本発明に従った好ましい染料は、図2に示されている。図2aは、780nmの領域で吸収するヘキサデカ-(3-エトキシ-1-チオフェノラト)-フタロシアナト-亜鉛(II)である。図2bは、850nmの領域で吸収するデカ-(3-エトキシ-1-チオフェノラト)-ヘキサ-(3-メチル-1-
チオフェノラト)-フタロシアナト-亜鉛(II)である。図2bの式は、工業製品用であり、
置換基の特定の分散を超えた統計的平均を表す。
【0036】
本明細書中に示した認証方法では、認証すべき書類の測定済みのスペクトル反射強度値はそのまま直接使用されず、むしろ実際の適用において高度な堅牢性を与えるために、文書上に顔料及び/または染料組成物に結びつけられる。
【0037】
以下において、その光反射特性を評価することによって書類を認証することを前提とする。自動販売機の特定のタイプで実施されたような、その光透過特性を評価することによって、本方法及び装置を書面の認証にも同様に適用することができる。反射の場合、及び慣用の減法混色顔料を使用する場合、強力な光が最初に顔料の中を通り、白い背景で散乱して戻り、次いで二度目に顔料を通るため、観察された反射の色は、顔料のスペクトル吸収による。正味の効果は、対応する透過の場合と比較して、見かけの色強度の丁度倍増である。
【0038】
評価に関しては、反射または透過強度値そのものではなくて、光学密度OD=log(I0/Ireflected)またはLog(I0/Itransmitted)を使用する。所定の波長λに関しては、光学密度は
顔料濃度c、層の厚さd、及び顔料の具体的な吸収ε(λ)に比例する。
【0039】
【数2】

【0040】
濃色系では、上記定義の如く、前記基調色が実質的に異なる吸収または反射スペクトルをもつという条件下では、基調色の選択は自由である。個々の発色団化合物の濃度または「光学密度」を示す、選択した濃色系での測定した吸収または反射スペクトルS(λ)及び
対応する「ハイパーカラー座標:hypercolor coordinate」x1、x2、x3、x4....の間の相関は、線形代数を使用して確立することができる。セットの染料または顔料の吸収スペクトルが部分的に重複する場合、「ハイパーカラー座標」を誘導することにより、濃色系のそれぞれの染料または顔料に統計的に独立した値を割り当てることができる。この方法は、行列代数の一般的に公知の形式主義(formalism)を使用して、以下のように概説される

【0041】
本方法に従って、染料または顔料の標準吸収スペクトルS(λ)は、ベクトルs=(s1,s2,s3,・・・sn)によって表され、ここで、s1,s2,s3,・・・snはn個の種々の波長λ1,λ2,λ3,・・・λnで測定したスペクトル吸収値(当業界で定義した光学密度OD=log(I0/Ireflected))である。前記波長は自由に選択することができるが、これらは使用した染料または顔料に関連していなければならず、濃色系の種々の成分を識別可能である。
【0042】
この濃色系はさらに、m種の種々の着色剤を含むことができ、これによってmは、種々の照明「波長」に関して測定した強度値の数、nより小さいか、通常nの半分であるか、またはそれ未満である。かくして染料または顔料の吸収または反射スペクトルを示す、前記ベクトルsがm個ある。前記m個のベクトルは、それぞれn成分のm列を含む、矩形行列に配列される。選択された濃色系内の着色剤の任意の一次結合(linear combination)
によって、行列式:
【0043】
【数3】

【0044】
{式中、Aは前記行列の寸法(n×m)であり;xは、ハイパーカラー座標に相当するm
個の線形因子のベクトルであり、yは得られたn個のスペクトルの吸収または反射値のベクトルである}によって表される、吸収または反射スペクトルy=(y1,y2,y3,・・・yn)となるだろう。
【0045】
他方、行列Aは公知なので、測定した吸収または反射スペクトルy1は、線形代数の従来
の「最小二乗法」の式:
【0046】
【数4】

【0047】
{式中、A’は、行列Aの転置行列を示し、(A’*A)-1は逆行列を示す}を使用してハイ
パーカラー座標xに関して表すことができる。近似の適合度は、二乗した偏差(y−y1)’*(y−y1)の合計などの統計的基準または当業界で公知の他のものによって評価することが
できる。そのような基準は、さらなる認証ツールとして役立つ。
【0048】
適合度は、好ましくは残差(residual)またはR-数によって評価され、これは、
【0049】
【数5】

【0050】
として定義され、ここでy=A*xは、測定されたハイパーカラー座標xに対応する逆算した理論スペクトルであり、y1は、試験用試料の測定スペクトルである。このR-値は、完全一致の場合(y=y1)には0であり、一致しない場合(y=0)には1である。これはさらに、測
定したスペクトルy1に作用するランダム変動(random fluctuation)(統計的ノイズ)に対
して比較的感受性でないが、系統的偏差(systematic deviation)、すなわちコーティン
グ組成物中に悪い、または追加の予想外の着色剤または顔料が存在することに対しては非常に感受性である。
【0051】
他の、線形代数の同様のアルゴリズムは、同じ目的の、方程式解法(equation-solving)の問題及び「最小二乗法」の方法に関連する、特異値分解(Singular-Value-Decomposition:SVD)のアルゴリズムと同様に使用することができる。
【0052】
上記は、簡単な数学的変換により対応する色空間の「ハイパーカラー座標」xに測定したスペクトルyを関連づける(m x n)行列Mが存在することを意味する。
【0053】
【数6】

【0054】
前記行列M=(A’*A)-1*A’は、濃色系の基調色の吸収スペクトルから計算することが
できる。
印刷用インク若しくはコーティング組成物に配合されたか、または印刷用インク若しくはコーティング組成物のセットに配合された濃色系の前記染料若しくは顔料は、上記定義のごとき少なくとも一種の印刷用インク若しくはコーティング組成物、または印刷用インク若しくはコーティング組成物のセットを使用して適用する、たとえば証印またはユーザー定義のデザインの形態で、前記品物上にマーキングを適用するための段階を含む、紙幣、書類、切符、ホイル、糸、ラベル、カードまたは商品などの物品をマーキングする方法において、本発明に従って使用する。
【0055】
さらに、印刷用インク若しくはコーティング組成物、または印刷用インク若しくはコーティング組成物のセットに配合され、物品に適用された前記染料または顔料は、
a)電磁スペクトルのUV及び/または可視及び/またはIR波長ドメインに、上記定義のごとき方法によりマークした物品の吸収、反射または透過スペクトルを測定し;
b)それから誘導したスペクトル及び/または情報と、真正アイテムの対応するスペクトル及び/またはそれから誘導された情報とを比較する、各段階を含む、紙幣、書類、切符
、ホイル、糸、ラベル、カードまたは商品などの物品を認証する方法において、本発明に従って使用する。
【0056】
本方法のマーキング及び認証部分は、同一または異なるデバイスを使用して、同一または別々の場所で、同一または別々のオペレーターによって、一緒にまたは別個に実施することができる。
【0057】
マーキングを付与するのに有用なインク及びコーティング組成物は、凹版インク、凸版インク及びオフセットインクを含む糊状インクの群から、スクリーン印刷インク、ヘリオ-フレキソインク(helio-flexo ink)、及びグラビアインクを含む液体インクの群から
、またはドロップ・オン・デマンドインクジェットインク、及び連続インクジェットインクの群から選択することができる。マーキングを付与するのに有用なコーティング組成物は、さらに、静電(ドライ)または電気泳動(ウェット)光印刷プロセス用のトナーをさらに含む。
【0058】
前記ユーザー定義のマーキングデザインの適用は、広い濃色色空間の選択した基調色のそれぞれに対するインクを含むインクまたはインクセットにより実施する。個々のインクは、前記基調色を具現化する二つ以上の染料または顔料も含むことができる。
【0059】
印刷デザインのスペクトルは、広周波数帯放出光源と複数の狭周波数帯感受性光検出器との組合せ;広周波数帯感受性光検出器と複数の狭周波数帯放出光源との組み合わせ;または広周波数帯放出光源と分散的若しくは回折的分光計デバイスとの組合せのいずれかを使用して、当業界で公知の如く測定することができる。LEDなどの複数の狭周波数帯放出
光源と、CCD-またはCMOS-カメラなどの広周波数帯感受性画像デバイスとの組み合わせを
使用して印刷したデザインのスペクトルまたはハイパースペクトル(hyperspectral)画像
化を実施する。
【0060】
粗なスペクトル吸収、反射または透過値ではなくハイパーカラー座標を誘導及び比較する段階は、堅牢性という好都合な点をもたらす。ハイパーカラー色空間は、機密保持の目的に関して第二の顔料と一緒に、装飾的目的に関して第一の顔料を含むように選択することができ、ここで前記装飾的顔料及び機密保持顔料は、部分的に重複する吸収スペクトルをもつ。そのような場合、スペクトル情報をハイパーカラー座標の統計的に独立した量に転換せずに、マーキングで機密保持顔料の量及び存在を識別するのは困難であろう。
【0061】
本発明の方法に従った書類保護方法及び得られた機密保持書類または物品は、自動紙幣引受機、出納機(teller machine)、高速選別機、チケット検証機などで使用されるよう
な、機械による認証に非常に適している。機械による認証は、その検出が本来迅速であり、且つ閉塞の危険性(目詰まり:jamming)のため、書類と読み取り器との間の密接な接
触が不要であるという、幾つかの機密保持特徴のチェック基準(checking)に限定される。従って、光学的方法は、機械認証用の好ましいものに入る。放出ではなく選択的吸収を使用するため、書類から反射されたままの利用可能な光は十二分であるので、非常に迅速な測定サイクルを可能にし、そして認証デバイスを高速操作することが可能である。
【0062】
本発明を図面並びに実施例の後援のもとにさらに説明する。
最初に、図1に示されている図表例、広い濃色色空間は、1〜10の10種類の狭周波数帯吸収性染料または顔料により構築されている。これらは、300〜1,000nm波長スペクトル範囲内に吸収最大をもつ。染料1は、UVで吸収最大(350nm)をもつ。染料2、3、4、
5は、可視範囲で吸収最大(425、500、575、650nm)をもち、染料6、7、8、9、10は、IRで吸収最大(725、800、875、950及び1,025nm)をもつ。特に、可視範囲は、ヒトの目
の受容体に対応する三種類の代わりに、四種類によってカバーされる。可視染料(visible
dye)3及び4は、青(450nm)と緑(550nm)との間の最大吸収500nmと、人の目の緑(550nm)と赤(600nm)光受容体の間の575nmのそれぞれをもつように選択される。純粋な青(425nm)
と純粋な赤(650nm)染料と組み合わせると、そのような色は、四つの制約が三つの変数に
よって調節できないので、標準的な三原色(trichromy)プロセスカラーによって再現する
ことが不可能になる。
【0063】
前記狭周波数帯吸収性染料または顔料の一種以上を含むインクまたはインクセットを使用して、物品にマーキングする。前記物品上に含まれる色の情報は、ヒトだけが見ることができ、且つ三次元の色知覚によって記述することができるので、10次元の構成要素(ten-dimensional manifold)から効果的に選択する。機密保持物品の色の人の目の印象は
、かくして三次元の色認知システムの前記物品の実際の色情報の投射に相当する。この投射は、書面を見るために使用する照射源の光のもとで実施する。前記照射源の光の性質を変化させると、投射が異なり、従って異なる色が認識される。可視狭周波数帯吸収性染料または顔料をコーティングで使用すると、陰影(「不正確な:untrue」色)の照射依存性の変化がかならず発生する。
【0064】
前記物品、たとえば紙幣または書類がカラーコピーによって再生されたり、カラースキャナーによってスキャンされたりすると、可視ドメインにおけるそのスペクトル情報は、三つの基調色、赤、緑及び青に対応する光学フィルターによって伝達される。
【0065】
これらの三つのカラーチャネル上の前記書面に含まれ広い色情報の投射(projection)は、コピー機またはスキャナーの特定の光のもとで実施される。スキャンした色情報が印刷によってその後再生される場合、ヒトの目の三次元的色認識に対応する標準的な染料または顔料が、元の狭周波数帯吸収性着色剤の代わりに紙の上に付着される。オリジナルをスキャンするのに使用した同一光のもとで見ると、得られた再生物は殆ど同一に見えるだろう。しかしながら、オリジナルをスキャンするのに使用したのと異なる光のもとで見ると、得られた再生物はかなり違って見えるだろう。
【0066】
特に、可視範囲外の光学的特徴、すなわちUVに配置されたもの(UV-染料1)とIRに配置
されたもの(IR-染料6〜10)は、一般的な再生装置によっては再現されないので、コ
ピーされたものの上にはない。染料2〜5による可視特徴は再生されるだろうが、正確ではない。オリジナルと偽造品との間の「色の違い」は、少なくとも二つの異なる可視光源の元で、及び光検出器または分光器によって、スペクトルの完全UV〜IR範囲において両方を比べることによって人の目にはっきりと解る。
【0067】
以下において、本発明に従ったインクセットの製造を、インク配合物の三種類のタイプの例で示す。
配合物1:
【0068】
【表2】

【0069】
染料及び顔料:
【0070】
【表3】

【0071】
この成分を一緒に混合し、この混合物をトリプルロールミルに2回通すことによって均質化した。
配合物2:
【0072】
【表4】

【0073】
染料及び顔料:
【0074】
【表5】

【0075】
この成分を一緒に混合し、この混合物をトリプルロールミルに2階通すことによって均質化した。
配合物3:
【0076】
【表6】

【0077】
染料及び顔料:
【0078】
【表7】

【0079】
この樹脂は、ラボラトリー用分散装置を使用して、15分間、溶媒と一緒に分散させた。続いて染料を添加し、この配合物をさらに15分間分散させた。得られた配合物の粘度を酢酸エチル/エタノールの1:1ブレンドで調節して、必要な印刷密度にした(15〜25''カップDIN4、用途による)。
【0080】
所定の配合物の態様に従ってインクセットを使用して得ることができる反射特徴を説明するために、四つの印刷サンプルを製造した。
実施例1:
1:1の割合で(上記)配合物1のインク1とインク2とを混合し、8g/m2で紙に印刷
することによって得られる凹版インク。反射率スペクトルを図3に示す。
【0081】
実施例2:
1:1:1の割合で(上記)配合物1のインク3、インク4とインク5とを混合し、8g/m2で紙に印刷することによって得られる凹版インク。反射率スペクトルを図4に示す。
【0082】
実施例3:
1:1:1の割合で(上記)配合物2のインク1、インク2とインク3とを混合し、1g/m2で紙に印刷することによって得られるドライオフセットUVインク。反射率スペクトル
を図5に示す。
【0083】
実施例4:
1:1:1:1の割合で(上記)配合物3のインク1、インク2、インク3とインク4とを混合し、4μm(理論上の湿潤フィルム)で、ハンドコーターで紙の上に適用することに
よって得られるグラビアインク。反射率スペクトルを図6に示す。
【0084】
「ハイパーカラー座標」を誘導する方法は、以下の表1に示されている図式的に実施した実施例を用いてさらに説明する。読み取り装置はそれぞれ、400、450、500、550、600
、650、700、750、800、850、900及び950nm波長を中心とする12本のスペクトルチャネ
ルを有する。種々の波長の値で種々の数のチャネルを同様に選択することができる。このチャネルは規則正しく配置する必要はないが、「チャネル」は一より多い「波長」または「スペクトル・バンド」を含むかもしれない。
【0085】
六つの基調色を含む濃色色空間は、実質的に六つの異なる吸収スペクトルをもつ染料または顔料により具現化される。これらの染料または顔料は、前記読み取り装置と共にそれぞれ、「Spec1」、「Spec2」、「Spec3」、「Spec4」、「Spec5」及び「Spec6」の「光学密度」応答を生み出す;これらの値の集合体(ensemble)は、濃色色空間の数学的基礎を画定する行列Aを構成する。
【0086】
測定した未知のスペクトル、「Specy」は、積:
【0087】
【数7】

【0088】
を取ることによって濃色色空間のハイパーカラー座標xに関して表すことができる。実施例で、六つの基調色に関し、得られたyの色座標(CCRD)は、0.35、0.10,0.00、0.40、0.00、0.15である。これは、この図式的実施例でyを構築するために使用した一次結合(linear combination)である。
【0089】
この実施例はさらに、式:x=M*yに従った色座標xに測定したスペクトルyを変換さ
せるために使用する、行列:
【0090】
【数8】

【0091】
でアルゴリズムの異なる行列を説明する。所定の基調色システム及び所定のタイプの読み
取り装置に関しては、行列Mは、たった1回しか計算してはならず、次いで認証アルゴリ
ズムの一部として、読み取り装置に貯蔵することができる。より豊富なスペクトル情報から関連する色座標を抽出することができる、一種のキーとして解釈することができる。
【0092】
認証の図式的実施例、及び以下の表2を参照して、ハイパーカラーシステムは、行列A
を形成するスペクトル(スペクトル1、・・・スペクトル6)をもつ6種類の染料または顔料が広がるものと想定される。反射強度は、波長400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900及び950nmを中心とした12の照度帯域(illumination bands)に関して測定するものと想定される。
【0093】
第一の「測定」ベクトル「Spec y1」は、6つの基調色に関して0.35、0.10、0.00、0.40、0.00、0.15の「濃度比」を仮定し、次いで12の照射帯域に関して対応する理論上の反射光学密度値を計算することによって構築する。ベクトル「Spec y1」をハイパーカラー座標、CCRD1に転換させた後、入力濃度比はうまく再現されて、残差値(residual value)Rは0.000045であり、すなわち0に近い。
【0094】
実際の用途をシミュレートするために、ベクトル「Spec y1」は、中程度の振幅のランダムなシグナルをこれに添加することによって乱し、「測定済み」ベクトル「Spec y2」とする。ハイパーカラー座標、CCRD2への転換後、この値はオリジナルの値から徐々に逸
脱するが、大きな線(big line)で再生する。残差値R0.015は全く許容可能であり、反射
スペクトル「Spec y2」をもつ試験片はその用途の画定した、濃色色空間の中にあるので真正品であるとして許容可能であるが、いくらか汚れている。
【0095】
偽造品を真似るために、ベクトル「Spec y1」を単一の点(700nm;ハイライト)で実質
的に変性させて、「測定済み」ベクトル「Spec y3」とした。誘導したハイパーカラー座標、CCRD3は、驚くほどオリジナルを再現する;しかしながら、この高い残差値R0.212は
、「Spec y3」をもつ試験片が用途の画定した濃色色空間の範囲外であり、偽造品として排除すべきであることをはっきりと示している。
【0096】
結びとして、対応する濃色系のハイパーカラー座標へその測定した反射光学密度スペクトルの転換が残差値0.10を超える場合、または得られたハイパーカラー座標のひとつがその初期の「あるべき」値の範囲外、すなわち対応する、所定の濃度分岐点(concentration
fork)外である場合、当該被験書類は拒絶されよう。ありのままのスペクトル吸収、反
射または透過値ではなく、ハイパーカラー座標とR-値とを誘導し、且つ比較する段階により、殆ど100%で偽造品を排除する実現可能性と堅牢性(robustness)という好都合な点をもたらし、これらはすべて書類に印刷された顧客仕様の材料ベースの機密素子と組み合わせた、低コスト、万能性、非接触、光学的且つ高速操作可能な認証装置で実現可能である。
【0097】
【表8】

【0098】
【表9】

【0099】
【表10】

【0100】
【表11】

【0101】
【数9】

【0102】
【表12】

【0103】
【表13】

【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1は、本発明に従った広大な色空間の略図であって、スペクトルの可視光範囲の内外での狭周波帯吸収性顔料または染料の使用を示す。
【図2】図2は、本発明に関して有用な二種類のIR-吸収性化合物の式を示す。
【図3】図3は、実施例1のインクを使用して印刷した作品のスペクトル反射率特徴を示す。
【図4】図4は、実施例2のインクを使用して印刷した作品のスペクトル反射率特徴を示す。
【図5】図5は、実施例3のインクを使用して印刷した作品のスペクトル反射率特徴を示す。
【図6】図6は、実施例4のインクを使用して印刷した作品のスペクトル反射率特徴を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的にCIEXYZ系の基調色の吸収最大と異なる電磁スペクトルの可視光範囲に少なくとも一つの吸収最大をもつか、及び/またはその半値幅が2400cm-1より狭く、好ましくは2000cm-1より狭く、最も好ましくは1500cm-1よりも狭い電磁スペクトルの可視光範囲内に吸収帯をもつ、少なくとも一種の染料または顔料を含む印刷用インク。
【請求項2】
電磁スペクトルの紫外線領域または赤外線領域、好ましくは近赤外線領域に少なくとも一つの吸収最大をもつ少なくとも一種の他の染料または顔料をさらに含む、請求項1に記載の印刷用インク。
【請求項3】
互いに実質的に異なる吸収スペクトルを持つ少なくとも三種、好ましくは少なくとも四種の異なる染料または顔料を含む、請求項1または2のいずれか一つに記載の印刷用インク。
【請求項4】
電磁スペクトルの赤外線領域、好ましくは近赤外線領域に少なくとも一つの吸収最大を持つ少なくとも二種、好ましくは少なくとも三種の染料または顔料を含む、請求項1〜3のいずれか一つに記載の印刷用インク。
【請求項5】
電磁スペクトルの可視光領域に少なくとも一つの吸収最大をもつ少なくとも四種の異なる染料または顔料を含む、請求項1〜4のいずれか一つに記載の印刷用インク。
【請求項6】
反射性顔料をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一つに記載の印刷用インク。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の少なくとも二種の印刷用インクを含む、印刷用インクのセット。
【請求項8】
他の印刷用インクの染料または顔料とは異なる染料または顔料をそれぞれ含む請求項1〜5のいずれか一つに記載の少なくとも三種、好ましくは少なくとも四種の異なる印刷用インクを含む、請求項7に記載の印刷用インクのセット。
【請求項9】
前記異なる染料または顔料が、電磁スペクトルの可視光領域で少なくとも一つの吸収最大をもつ、請求項8に記載の印刷用インクのセット。
【請求項10】
少なくとも一種の印刷用インク、好ましくは少なくとも二種、より好ましくは少なくとも三種の印刷用インクが、電磁スペクトルの紫外線領域または赤外線領域、好ましくは近赤外線領域に少なくとも一つの吸収最大をもつ染料または顔料を含む、請求項6〜9のいずれか一つに記載の印刷用インクのセット。
【請求項11】
少なくとも一種の印刷用インクが反射性顔料を含む、請求項6〜10のいずれか一つに記載の印刷用インクのセット。
【請求項12】
紙幣、書類、切符、ホイル、糸、ラベル、カードまたは商品などの物品をマーキングする方法であって、前記物品上にマーキングを提供する段階を含み、このマーキングは、請求項1〜6のいずれか一つに記載の少なくとも一種の印刷用インク若しくは請求項7〜11のいずれか一つに記載の印刷用インクのセットを使用することにより、または請求項1〜6のいずれか一つに記載の少なくとも一種の印刷用インク若しくは請求項7〜11のいずれか一つに記載の印刷用インクのセットを含む少なくとも一種のコーティング組成物を使用することにより施される、前記方法。
【請求項13】
前記少なくとも一種のコーティング組成物が、凹版インク、凸版インク及びオフセットインクを含む糊状インクからなる群、スクリーン印刷インク、ヘリオ-フレキソインク、
及びグラビアインクを含む液体インクからなる群、静電若しくは電気泳動印刷用のトナーからなる群、またはドロップ・オン・デマンドインクジェットインク及び連続インクジェットインクを含むインクジェットインクからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
紙幣、書類、切符、ホイル、糸、ラベル、カードまたは商品などの物品を認証する方法であって、
a)電磁スペクトルのUV及び/または可視及び/またはIR波長ドメインで、請求項12または13のいずれか一つに記載の方法によりマークした物品の吸収、反射または透過スペクトルを測定し;
b)a)のもとで測定したスペクトル及び/またはそれから誘導された情報と、真正アイテムの対応するスペクトル及び/またはそれから誘導された情報とを比較する、各段階を含む前記方法。
【請求項15】
前記方法を、貨幣引受機、チケット検証機、または携帯用認証機などの機械で実施する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
段階a)で前記スペクトルを、選択した数の波長または選択した数の波長ドメインにわたって前記マーキングの吸収及び/または反射及び/または透過を表すデジタル価のベクトルとして測定する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
段階b)を段階a)で測定したデジタル値のベクトルから前記マーキングの統計的に独立のハイパーカラー座標を誘導することによって実施し、次いで前記ハイパーカラー座標の少なくとも一つを真正アイテムの対応する参照値と比較し、次いで所定の決定基準を用いて比較結果から真偽表示を誘導することにより実施する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項18】
前記スペクトルを、広周波数帯放射光供給源と複数の狭周波数帯高感度光検出器との組み合わせを使用して、または広周波数帯高感度光検出器と複数の狭周波数帯放射光供給源との組合せを使用して、または広周波数帯放射光供給源と回折若しくは分散分光計装置との組合せを使用して測定する、請求項14〜17のいずれか一つに記載の物品の認証方法。
【請求項19】
前記スペクトルを、LEDなどの複数の狭周波数帯放射光供給源と、CCD-若しくはCMOS-カメラなどの広周波数帯高感度画像装置との組み合わせを用いて測定し、スペクトルまたはハイパースペクトル画像情報を得る、請求項14〜17のいずれか一つに記載の物品の認証方法。
【請求項20】
前記統計的に独立したハイパーカラー座標が、数学的最小二乗アルゴリズムによって測定したスペクトルから誘導される、請求項14〜19のいずれか一つに記載の物品の認証方法。
【請求項21】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の少なくとも一種の印刷用インク及び/または請求項7〜11のいずれか一つに記載の少なくとも1セットの印刷用インクを含む、マーキング。
【請求項22】
請求項21に記載の少なくとも一つのマーキングを含む、紙幣、書類、切符、ホイル、糸、ラベル、カードまたは商品などの物品。
【請求項23】
紙幣、書類、切符、ホイル、糸、ラベル、カードまたは商品などの物品にマーキングする及び/またはこれらを認証するための、CIEXYZ系の基調色の吸収最大と実質的に異なる電磁スペクトルの可視光範囲で少なくとも一つの吸収最大をもつか、及び/またはその半値幅が2400cm-1より狭く、好ましくは2000cm-1より狭く、最も好ましくは1500cm-1よりも狭い電磁スペクトルの可視光範囲内に吸収帯をもつ、染料または顔料の使用。
【請求項24】
紙幣、書類、切符、ホイル、糸、ラベル、カードまたは商品などの物品にマーキングする及び/またはこれらを認証するための、請求項1〜6のいずれか一つに記載の印刷用インクの使用。
【請求項25】
紙幣、書類、切符、ホイル、糸、ラベル、カードまたは商品などの物品にマーキングする及び/またはこれらを認証するための、請求項7〜11のいずれか一つに記載の印刷用インクのセットの使用。
【請求項26】
紙幣、書類、切符、ホイル、糸、ラベル、カードまたは商品などの物品を認証するための、請求項21に記載のマーキングの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−235947(P2010−235947A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105934(P2010−105934)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【分割の表示】特願2004−538865(P2004−538865)の分割
【原出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【出願人】(500269417)シクパ・ホールディング・ソシエテ・アノニム (23)
【Fターム(参考)】