説明

商品情報表示システム及び電子棚札

【課題】電子棚札に顧客単位の商品価格等の顧客情報を表示できるようにする。
【解決手段】電子棚札8に、個人に固有の身体的特徴である指紋を検出する指紋読取部24を設ける。表示制御装置は、各顧客の指紋データがデータベース化されている顧客データベースを有する。電子棚札8の指紋読取部24により検出された指紋データで顧客データベースを参照して顧客を特定する。そして、指紋データを検出した電子棚札8が対応する商品に対する当該顧客のユーザ価格を取得する。電子棚札8の売価表示部23にユーザ価格を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の陳列棚に配置される電子棚札及びこの電子棚札を用いた商品情報表示ステムに関する。
【背景技術】
【0002】
棚札の商品情報を遠隔から電子的に書き換えることができる電子棚札を用いた商品情報表示システムにおいて、従来、ある商品について特定の時間帯に販売価格を安くして販売する特売を行うときには、その特定の時間帯の開始時に電子棚札の価格表示を自動的に特売価格に変更するようにした技術はすでに知られている。また、棚札の価格変更のみでは顧客に対するアピールが弱いため、特売する商品が陳列されている陳列棚の近傍に情報表示装置を設け、価格変更に連動して情報表示装置に商品特売情報を大きく表示することによって、強くアピールする技術もすでに知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−271862号公報([0053]〜[0058])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで近年、多くの流通小売業では、消費者の囲い込みを目的にポイントサービス制度が導入されている。この制度は、ポイント会員として契約をした顧客に対し、例えば買上金額に応じてポイントを付与する制度である。付与されたポイントは、顧客毎に累計される。累計ポイントは、例えば1ポイント当たり1円に換算されて、商品代金の支払いに使用することができる。つまり、累計ポイント分の値引きが行われることになる。
【0004】
このため、累計ポイントを使用して商品を購入しようとする場合、棚札に表示されている商品の価格が実際にはいくらになるのか知りたいという要望が顧客からあった。しかしながら、従来の技術では、電子棚札に時間に応じて特売価格を表示させることはできたものの、顧客単位の商品価格を表示させることはできなかった。
【0005】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、顧客単位の商品価格等の顧客情報を表示させることができ、顧客サービスの向上を図ることができる電子棚札及びこの棚札を用いた商品情報表示システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、商品陳列棚に陳列されている商品に対応して設けられその対応する商品の少なくとも価格情報を表示する電子棚札と、この電子棚札の表示情報を制御する表示制御装置とを備えた商品情報表示システムである。電子棚札は、個人に固有の身体的特徴、例えば指紋,掌紋,虹彩,静脈,顔等を検出する身体的特徴検出手段を有する。表示制御装置は、各顧客の身体的特徴がデータベース化されている顧客データベースと、電子棚札の身体的特徴検出手段により検出された身体的特徴で顧客データベースを参照して顧客を特定する顧客特定手段と、身体的特徴を検出した身体的特徴検出手段を有する電子棚札が対応する商品の顧客特定手段により特定された顧客に対する情報、例えばユーザ価格を取得する顧客情報取得手段と、身体的特徴を検出した身体的特徴検出手段を有する電子棚札に顧客情報取得手段により得られた顧客情報、例えばユーザ価格を表示させる顧客情報表示手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子棚札に顧客単位の商品価格等の顧客情報を表示させることができ、顧客サービスの向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
【0009】
[第1の実施の形態]
はじめに、ポイントサービス制度を導入し、ポイント会員は累計ポイントを1ポイント当たり1円に換算して商品代金の支払いに利用できる販売店に、本発明の電子棚札と、この棚札を用いた商品情報表示システムを適用した第1の実施の形態について説明する。
【0010】
図1は本実施の形態の販売店に構築されるシステム構成図である。同図において、ストアコントローラ1は、店舗情報管理の中枢を担うコンピュータである。ストアコントローラ1は、例えば店の管理事務所等に設置されている。そしてこのストアコントローラ1に、商品販売データの売上登録等を行う複数台のPOS(Point Of Sales)端末2が通信回線3を介して接続されている。各POS端末2は、現状のポイントサービス制度に対応した一般的なもので、店の会計場所等にそれぞれ設置されている。
【0011】
またストアコントローラ1に、複数台の無線送受信器4が通信回線5を介して接続されている。各無線送受信器4は、店内売場の例えば天井部に分散して取り付けられている。
【0012】
各無線送受信器4は、それぞれ設定された1乃至複数台の中継器6と、電磁波または赤外線等を利用した無線通信によりデータの送受信を行うものとなっている。各中継器6には、それぞれ表示制御装置7が1対1で接続されている。各表示制御装置7は、それぞれ1乃至複数の商品陳列棚(不図示)に対応して設けられている。1つの商品陳列棚は複数の区画に区分されており、通常は、1区画に1種類の商品が陳列される。この商品が陳列される各区画にそれぞれ1対1で対応して電子棚札8が取り付けられている。1つの商品陳列棚に対応した表示制御装置7と、その商品陳列棚の各区画にそれぞれ設けられた電子棚札8とは、通信回線9で接続されている。
なお、通信回線3,5及び9は、有線方式でもよいし、電磁波,赤外線等を利用した無線方式でもよい。
【0013】
ストアコントローラ1には、図2に示すように、各商品を識別するための商品コード,商品名,単価,棚札ID等の商品情報が商品コードをキーにデータベース化されている商品マスタテーブル10と、図3に示すように、ポイント会員として契約をした顧客を識別するための顧客コード,顧客名,指紋データ,累計ポイント等の顧客情報が顧客コードをキーにデータベース化されている顧客マスタテーブル11とが備えられている。
【0014】
ここで棚札IDは、対応する商品コードによって識別される商品の陳列場所(商品陳列棚の1区画)に設けられた電子棚札8を特定する情報である。各商品陳列棚の各区画にそれぞれ設けられている全ての電子棚札8には、予め固有の棚札IDが割り当てられている。また、指紋データは、対応する顧客コードによって識別される顧客(ポイント会員)の身体的特徴である指紋のデータであり、各顧客は、ポイント会員として契約をする際に、例えば右手人差し指の指紋を登録し、この登録した指紋データが顧客マスタテーブル11で記憶管理される。
【0015】
累計ポイントは、POS端末2で売上登録された商品の買上金額等に応じて付与されるデータであり、顧客別に累計される。また、買上げ商品の代金支払いとして使用可能であり、使用された分は減算される。
【0016】
なお、商品マスタテーブル10と顧客マスタテーブル11は、ストアコントローラ1の内部に設けられたHDD(Hard Disk Drive)装置等の記憶装置上に形成されていてもよいし、外部に接続された外付けHDD装置等の記憶装置上に形成されていてもよい。
【0017】
図4は前記電子棚札8の正面図である。電子棚札8の正面には、液晶表示器からなる商品名表示部21と、セグメント表示器からなる定価表示部22及びポイント使用時の売価表示部23と、個人に固有の身体的特徴である指紋を読取るための指紋読取部24が設けられている。指紋読取部24は、領域24aに押し当てられた指の指紋面を撮影装置で撮影し、その画像データを処理して指紋データを読取るものである。ここに、指紋読取部24は、身体的特徴検出手段を構成する。
【0018】
電子棚札8は、駆動源として内部に一次電池を内蔵しており、各表示部21〜23の表示や指紋読取部24の動作を行わせる。なお、各表示部21〜23は、液晶表示器またはセグメント表示器に限定されるものではなく、LED表示器やEL表示器などであってもよい。また、指紋読取部24は撮影装置を用いたものに限定されるものではなく、例えば光拡散方式の半導体指紋読取センサで指紋データを読取るものであってもよい。また、電子棚札8の駆動源は、一次電池の代わりに太陽電池やスーパキャパシタ等を使用してもよい。
【0019】
図5は表示制御装置7の要部構成を示すブロック図である。なお、各表示制御装置7は同一構成を有している。
表示制御装置7は、制御部本体としてCPU(Central Processing Unit)31を搭載している。そして、このCPU31に、アドレスバス,データバス等のバスライン32を介して、ROM(Read Only Memory)32,RAM(Random Access Memory)33及びタイマ35と、中継器6とのインターフェイス36と、各電子棚札8とのインターフェイス37とが接続されている。各棚札インターフェイス37は、それぞれ対応する電子棚札8の商品名表示部21,定価表示部22及び売価表示部23に対する表示データの出力と、指紋読取部24で読取られた指紋データの入力とを行う。
【0020】
RAM34には、図6に示すように、各棚札インターフェイス37にそれぞれ接続されている電子棚札8の棚札IDに対応して、当該電子棚札8を接続している棚札インターフェイス37に対して設定されたインターフェイス番号を固定的に記憶するとともに、当該電子棚札8に表示させる商品名,定価及び売価の各表示データを可変的に記憶する棚札表示管理テーブル41と、同じく電子棚札8の棚札IDに対応して、その電子棚札8の指紋読取部24で読取られた指紋データにより認証された顧客の累計ポイントデータと売価データの表示時間カウントデータとを可変的に記憶する売価表示管理テーブル42とが形成されている。インターフェイス番号は、1つの表示制御装置7の中では重複しないように連続番号で設定されている。
【0021】
かかる構成の本実施の形態において、ストアコントローラ1は、毎営業日の開店前業務として、棚札データ配信業務を実行するものとなっている。すなわちストアコントローラ1は、商品マスタテーブル10に保存されている各商品の少なくとも商品名,単価及び棚札IDのデータを読出し、棚札データ送信ファイルを作成する。そしてこの棚札データ送信ファイルを、各送受信器4を介して各表示制御装置7に送信する。
【0022】
各送受信器4から送信された棚札データ送信ファイルは、それぞれ対応する中継器6を介して各表示制御装置7に入力される。これにより、各表示制御装置7のCPU31は、それぞれ棚札データ送信ファイルから棚札表示管理テーブル41に記憶されている棚札IDを有する棚札データ(商品名,単価及び棚札ID)を全て抽出する。そして、抽出した棚札データの商品名と単価を、棚札表示管理テーブル41の同一棚札IDに対応した商品名エリア及び定価エリアにセットする。これにより、各電子棚札8の商品名表示部21と定価表示部22には、当該棚札8が設けられた商品陳列棚に陳列されている商品の商品名と単価が表示される。
【0023】
その後、各表示制御装置7のCPU31は、ストアコントローラ1から閉店信号が送られてくるまで、図7のユーザ価格表示制御処理を実行するものとなっている。すなわちCPU31は、ST(ステップ)1としてタイマ35から例えば10秒が計時される毎に出力されるタイマ信号が入力されるのを待機する。
【0024】
そしてこの待機期間中に、ST2として何れかの電子棚札8の指紋読取部24にて読取られた指紋データが棚札インターフェイス37を介して入力されると、CPU31は、ST3としてこの指紋を読取った電子棚札8が接続されている棚札インターフェイス37のインターフェイス番号を取得する。そして、ST4として棚札表示管理テーブル41を検索して、当該インターフェイス番号に対応して設定されている棚札IDを読出し、RAM34のワークエリアに記憶する。
【0025】
次に、CPU31は、ST5として電子棚札8から入力された指紋データを含むポイント問合せデータを作成し、この問合せデータを中継器インターフェイス36を介して中継器6に出力する。これにより、ポイント問合せデータは中継器6から無線送信され、送受信器4を介してストアコントローラ1に取り込まれる。すると、ストアコントローラ1では、問合せデータ中の指紋データと顧客マスタテーブル11に保存されている指紋データとの照合が行われる。そして、一致する指紋データが検出されたならば、この指紋データとともに保存されている累計ポイントデータが顧客マスタテーブル11から読み出され、この累計ポイントデータを含むポイント応答データが作成される。そして、このポイント応答データが問い合せ元の表示制御装置7宛に送信される(顧客特定手段)。
【0026】
そこでCPU31は、ポイント問合せデータを送信後、ST6としてポイント応答データを待機する。そして中継器6を介してポイント応答データを受信したならば、CPU31は、ST7としてワークエリアに記憶している棚札IDに対応する売価表示管理テーブル42の累計ポイントエリアにポイント応答データ中のポイントデータをセットする。また、ST8として当該棚札IDに対応する売価表示管理テーブル42の表示時間エリアに、予め初期値として設定されている売価表示時間データTをセットする。なお、売価表示時間データTは、前述したようにタイマ信号が10秒間隔で出力される場合には、実際の表示時間の1/10の値とする。
【0027】
次に、CPU31は、ST9として売価表示管理テーブル42の累計ポイントエリアにセットされたポイントデータを使用して、当該累計ポイントエリアに対応する棚札IDの電子棚札8に表示されている商品の代金を支払った場合の残額,つまりポイント使用時売価を算出する。本実施の形態では、1ポイントを1円で換算するので、棚札表示管理テーブル41に当該棚札IDに対応して記憶されている定価データから当該ポイントデータを減算し、その商をポイント使用時売価とする。このポイント使用時売価は、ポイント会員であるユーザによって異なるユーザ価格である(ユーザ価格取得手段)。
【0028】
しかしてCPU31は、ST10として棚札表示管理テーブル41の当該棚札IDに対応する売価エリアに、ST9の処理で算出されたポイント使用時売価をセットする。これにより、当該棚札IDが割り当てられた電子棚札8の売価表示部23に、ポイント使用時売価、つまりは当該電子棚札8の指紋読取部24で読取られた指紋により特定されるポイント会員が累計ポイントを使用して当該電子棚札8に表示されている商品名の商品を購入した場合の残額(ユーザ価格)が表示される(ユーザ価格表示手段)。
【0029】
一方、ST1にてタイマ信号が入力されたことを検知した場合には、CPU31は、ST11として何れかの電子棚札8の売価表示部23でユーザ価格の表示中か否かを判断する。すなわち、売価表示管理テーブル42を参照して、表示時間データtが“0”より大きいレコードの有無を判断する。そして、表示時間データtが“0”より大きいレコードが1つでもある場合には、ユーザ価格の表示中であると判断する。そして、この場合には、ST12としてこのレコードの表示時間データtを“1”だけカウントダウンする。
【0030】
このとき、ST13として当該表示時間データtがカウントダウンにより“0”になったか否かを判断し、“0”になった場合には、ST14としてこの表示時間データtが“0”になったレコードの棚札IDを取得する。そして、ST15として棚札表示管理テーブル41の当該棚札IDに対応する売価データをクリアする。これにより、当該電子棚札8の売価表示部23に表示されていたユーザ価格(ポイント使用時売価)が消去される。
【0031】
このように本実施の形態においては、商品陳列棚の各商品陳列区画にそれぞれ対応して設けられている電子棚札8に、その区画に陳列されている商品の商品名及び定価が表示される商品名表示部21及び定価表示部22に加えて、売価表示部23が設けられている。また、この電子棚札8に、ユーザの身体的特徴である指紋を読取ることが可能な指紋読取部24が設けられている。
【0032】
そして、いずれかの電子棚札8の指紋読取部24にて予めポイント会員として指紋データ等が登録されている顧客の指紋データが読取られると、この指紋データによって顧客の個人認証が行われる。その結果、承認されると、この顧客の現時点の累計ポイントが顧客マスタテーブル11から読み出される。そして、この累計ポイントで当該電子棚札8に表示されている商品の代金を支払った場合の残額、つまりはポイント使用時売価がユーザ価格として算出され、当該電子棚札8の売価表示部23に表示される。
【0033】
図8は、売価表示部23にユーザ価格が表示された電子棚札8の一例である。この例は、指紋読取部24で読取られた指紋データにより認証されたユーザ(ポイント会員)の累計ポイントが2500ポイントであったため、定価298,000円に対してポイント使用時の売価が295,500円になった例である。
【0034】
このように、ポイント会員である顧客は、自身が購入を希望する商品に対応した電子棚札8の指紋読取部24にて自身の予め登録しておいた指の指紋を読取らせるだけで、現時点までの累計ポイントを使用して当該商品を購入した場合の価格を容易に知ることができる。また、定価とポイント使用時価格とが並べて表示されるので、顧客にポイントサービスの価値を強くアピールできる利点もある。
【0035】
ところで、個人認証の一般的な方法として会員カードを用いる方法が知られており、電子棚札8にカードリーダを設けて個人認証を行う手法も考えられる。しかし、この場合には、顧客はポイント使用時売価を確認する都度、カードを出し入れしなければならないという面倒がある。これに対して、本実施の形態では、指紋という身体的特徴を利用してユーザを認証するようにしたので、カードを出し入れするような煩わしさがなく、実用的である。
【0036】
なお、本実施の形態では、電子棚札8に定価とポイント使用時価格とを並べて表示させたが、図9に示すように、売価表示部23にポイント使用時売価を表示させる際には、定価表示部22に当該ポイント会員の現時点の累計ポイントを表示させるようにしてもよい。これは、棚札表示管理テーブル41の該当する棚札IDに対応する定価エリアに記憶されている定価データを一時的に退避メモリに退避させ、当該定価エリアに、売価表示管理テーブル42の同一棚札IDに対応する累計ポイントをセットすることにより実現できる。こうすることにより、ポイント使用時売価を確認しようとする顧客に現時点の累計ポイントを知らせることができる。
【0037】
また、図9の例において、売価表示部23に顧客情報としてポイント使用時の売価を表示させるのでなく、当該電子棚札8によって価格が示されている商品をポイントを使用せずに購入した場合の累計ポイントを表示させるようにしてもよい。これは、通常のPOS端末2が有しているポイント計算機能を表示制御装置7に持たせ、棚札表示管理テーブル41の該当する棚札IDに対応する定価エリアに記憶されている定価データに基づいてポイントを算出する。そして、このポイントを売価表示管理テーブル42の同一棚札IDに対応する累計ポイントに加算し、加算後のポイントデータを棚札表示管理テーブル41の該当する棚札IDに対応する売価エリアにセットすることにより実現できる。こうすることにより、商品を購入した場合の累計ポイントを事前に顧客に知らせることができる。
【0038】
[第2の実施の形態]
次に、購買実績等の店への貢献度に基づいて顧客をランク分けし、ランクに応じて割引サービスを行う販売店に、本発明の電子棚札と、この棚札を用いた商品情報表示システムを適用した第2の実施の形態について説明する。
【0039】
なお、この第2の実施の形態においても、販売店に構築されるシステム構成,電子棚札8の構成及び表示制御装置7のハードウェア構成は第1の実施の形態と同様であるので、図1,4,5を参照し、同一符号を使用して、詳しい説明は省略する。
【0040】
この第2の実施の形態においては、顧客マスタテーブル11に記憶される顧客情報の一部が異なる。すなわち、図10に示すように、累計ポイントデータに代えて、顧客ランクデータが記憶されている。この顧客ランクデータは、対応する顧客コードによって識別される顧客の購買実績等により適宜ランクアップ/ダウンされる。
【0041】
また、この第2の実施の形態においては、表示制御装置7のRAM34に、前記棚札表示管理テーブル41と売価表示管理テーブル42に加えて、図11に示すように、各顧客ランクにそれぞれ対応して任意の割引率が設定されたランク別割引率テーブル43が設けられている。また、売価表示管理テーブル42は、累計ポイントエリアが顧客ランクエリアとして使用される。
【0042】
しかして、各表示制御装置7のCPU31は、ストアコントローラ1から閉店信号が送られてくるまで、図12のユーザ価格表示制御処理を実行するものとなっている。なお、この第2の実施の形態におけるユーザ価格表示制御処理は、図7に示した第1の実施の形態のユーザ価格表示制御処理とほぼ同じであり、異なる点はST5〜ST9の処理なので、この部分についてのみ説明する。
【0043】
すなわちCPU31は、ST4の処理で指紋データが読取られた電子棚札8の棚札IDをワークエリアに記憶した後、ST5′として電子棚札8から入力された指紋データを含むランク問合せデータを作成し、この問合せデータを中継器インターフェイス36を介して中継器6に出力する。これにより、ランク問合せデータは中継器6から無線送信され、送受信器4を介してストアコントローラ1に取り込まれる。すると、ストアコントローラ1では、問合せデータ中の指紋データと顧客マスタテーブル11に保存されている指紋データとの照合が行われる。そして、一致する指紋データが検出されたならば、この指紋データとともに保存されている顧客ランクデータが顧客マスタテーブル11から読み出され、この顧客ランクデータを含むランク応答データが作成される。そして、このランク応答データが問い合せ元の表示制御装置7宛に送信される(顧客特定手段)。
【0044】
そこでCPU31は、ランク問合せデータを送信後、ST6′としてランク応答データを待機する。そして中継器6を介してランク応答データを受信したならば、CPU31は、ST7′としてワークエリアに記憶している棚札IDに対応する売価表示管理テーブル42の顧客ランクエリアにランク応答データ中の顧客ランクデータをセットする。また、ST8′として当該棚札IDに対応する売価表示管理テーブル42の表示時間エリアに、予め初期値として設定されている売価表示時間データTをセットする。
【0045】
次に、CPU31は、ST9′として売価表示管理テーブル42の顧客ランクエリアにセットされた顧客ランクデータを使用して、当該顧客ランクエリアに対応する棚札IDの電子棚札8に表示されている商品のランク割引後の価格を算出する。すなわち、ランク別割引率テーブル43を参照して当該顧客ランクデータに対応する割引率データを取得し、この割引率で棚札表示管理テーブル41に当該棚札IDに対応して記憶されている定価データを割引演算することにより、ランク割引後の価格を算出する。ランク割引後の価格は、ランクが設定されたユーザ(顧客)によって異なるユーザ価格である(ユーザ価格取得手段)。
【0046】
しかしてCPU31は、ST10として棚札表示管理テーブル41の当該棚札IDに対応する売価エリアに、ST9の処理で算出されたランク割引後価格をセットする。これにより、当該棚札IDが割り当てられた電子棚札8の売価表示部23に、ランク割引後価格、つまりは当該電子棚札8の指紋読取部24で読取られた指紋により特定される顧客が当該電子棚札8に表示されている商品名の商品を購入した場合のランク割引後価格(ユーザ価格)が表示される(ユーザ価格表示手段)。
【0047】
このように第2の実施の形態においても、顧客は自身が購入を希望する商品に対応した電子棚札8の指紋読取部24にて自身の予め登録しておいた指の指紋を読取らせるだけで、現時点の顧客ランクによって設定される割引率で割引された後の商品価格を容易に知ることができる。
【0048】
なお、この発明は前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0049】
例えば、前記実施の形態では、身体的特徴を利用する認証方法いわゆるバイオメトロにクス認証の方法として指紋を用いたが、認証方法は指紋に限定されるものではなく、掌紋,手形,静脈,虹彩,顔等であってもよい。
【0050】
また、前記実施の形態では、顧客マスタテーブル11を表示制御装置7の外部に設けたが、全ての電子棚札8の表示を1つの表示制御装置7で制御するシステムにおいては、表示制御装置7にHDD装置等の大容量記憶媒体を設けて、顧客マスタテーブル11を記憶するようにしてもよい。こうすることにより、身体的特徴データが検出された顧客の認証処理を表示制御装置の内部で行えるようになるので、処理時間の短縮,ストアコントローラ1の負荷軽減等の効果を奏することができる。
【0051】
また、前記実施の形態では、電子棚札8に定価表示部22とともに売価表示部23を設けたが、売価表示部23を省略し、ユーザ価格を定価表示部22に表示させてもよい。
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態である店舗システムの一構成例を示すブロック図。
【図2】同実施の形態における商品マスタテーブルの主要なデータ構造を示す模式図。
【図3】同実施の形態における顧客マスタテーブルの主要なデータ構造を示す模式図。
【図4】同実施の形態における電子棚札の正面構成を示す平面図。
【図5】同実施の形態における表示制御装置の要部構成を示すブロック図。
【図6】同実施の形態において表示制御装置のRAMに形成される棚札表示管理テーブル及び売価表示管理テーブルのデータ構造を示す模式図。
【図7】同実施の形態において表示制御装置のCPUが実行するユーザ価格表示制御処理の要部手順を示す流れ図。
【図8】同実施の形態において電子棚札の一表示例を示す平面図。
【図9】同実施の形態において電子棚札の他の表示例を示す平面図。
【図10】本発明の第2の実施の形態における顧客マスタテーブルの主要なデータ構造を示す模式図。
【図11】同第2の実施の形態において表示制御装置のRAMに形成されるランク別割引率テーブルのデータ構造を示す模式図。
【図12】同第2の実施の形態において表示制御装置のCPUが実行するユーザ価格表示制御処理の要部手順を示す流れ図。
【符号の説明】
【0053】
1…ストアコントローラ、4…送受信器、6…中継器、7…表示制御装置、8…電子棚札、10…商品マスタテーブル、11…顧客マスタテーブル、22…定価表示部、23…売価表示部、24…指紋読取部、31…CPU、35…タイマ、36…中継器インターフェイス、37…棚札インターフェイス、41…棚札表示管理テーブル、42…売価表示管理テーブル、43…ランク別割引率テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品陳列棚に陳列されている商品に対応して設けられその対応する商品の少なくとも価格情報を表示する電子棚札と、この電子棚札の表示情報を制御する表示制御装置とを具備した商品情報表示システムにおいて、
前記電子棚札は、
個人に固有の身体的特徴を検出する身体的特徴検出手段を有し、
前記表示制御装置は、
各顧客の身体的特徴がデータベース化されている顧客データベースと、
前記電子棚札の前記身体的特徴検出手段により検出された身体的特徴で前記顧客データベースを参照して顧客を特定する顧客特定手段と、
身体的特徴を検出した前記身体的特徴検出手段を有する前記電子棚札が対応する商品の前記顧客特定手段により特定された顧客に対する情報を取得する顧客情報取得手段と、
身体的特徴を検出した前記身体的特徴検出手段を有する前記電子棚札に前記顧客情報取得手段により得られた情報を表示させる顧客情報表示手段と、
を具備したことを特徴とする商品情報表示システム。
【請求項2】
商品陳列棚に陳列されている商品に対応して設けられその対応する商品の少なくとも価格情報を表示する電子棚札と、この電子棚札の表示情報を制御する表示制御装置とを具備した商品情報表示システムにおいて、
前記電子棚札は、
個人に固有の身体的特徴を検出する身体的特徴検出手段を有し、
前記表示制御装置は、
各顧客の身体的特徴がデータベース化されている顧客データベースと、
前記電子棚札の前記身体的特徴検出手段により検出された身体的特徴で前記顧客データベースを参照して顧客を特定する顧客特定手段と、
身体的特徴を検出した前記身体的特徴検出手段を有する前記電子棚札が対応する商品の前記顧客特定手段により特定された顧客に対するユーザ価格を取得するユーザ価格取得手段と、
身体的特徴を検出した前記身体的特徴検出手段を有する前記電子棚札に前記ユーザ価格取得手段により得られたユーザ価格を表示させるユーザ価格表示手段と、
を具備したことを特徴とする商品情報表示システム。
【請求項3】
商品陳列棚に陳列されている商品に対応して設けられその対応する商品の少なくとも価格情報を表示する電子棚札と、この電子棚札の表示情報を制御する表示制御装置とを具備した商品情報表示システムにおいて、
前記電子棚札は、
個人に固有の身体的特徴を検出する身体的特徴検出手段を有し、
前記表示制御装置は、
各顧客の身体的特徴と当該顧客に対して付与されたサービスポイントがデータベース化されている顧客データベースと、
前記電子棚札の前記身体的特徴検出手段により検出された身体的特徴で前記顧客データベースを参照して顧客を特定する顧客特定手段と、
身体的特徴を検出した前記身体的特徴検出手段を有する前記電子棚札が対応する商品の価格と前記顧客特定手段により特定された顧客に対して付与されている前記サービスポイントとに基づいて当該サービスポイントを使用したときの当該商品の価格を取得するユーザ価格取得手段と、
身体的特徴を検出した前記身体的特徴検出手段を有する前記電子棚札に前記ユーザ価格取得手段により得られたユーザ価格を表示させるユーザ価格表示手段と、
を具備したことを特徴とする商品情報表示システム。
【請求項4】
商品陳列棚に陳列されている商品に対応して設けられその対応する商品の少なくとも価格情報を表示する電子棚札において、
個人に固有の身体的特徴を検出する身体的特徴検出手段を有し、
この身体的特徴検出手段により検出された身体的特徴により特定される顧客単位の情報を表示することを特徴とする電子棚札。
【請求項5】
商品陳列棚に陳列されている商品に対応して設けられその対応する商品の少なくとも価格情報を表示する電子棚札において、
個人に固有の身体的特徴を検出する身体的特徴検出手段を有し、
この身体的特徴検出手段により検出された身体的特徴により特定される顧客単位の価格情報を表示することを特徴とする電子棚札。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−350637(P2006−350637A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−175239(P2005−175239)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】