商品按分管理装置,商品按分管理プログラム
【課題】 複数店舗用の商品一括仕入において,各店舗の仕入計画と仕入れた商品の按分を管理することを目的とする。
【解決手段】 商品按分管理装置1は,イベントと商品の販売量の増減の相関を示すイベント相関テーブルを保持して(13),各店舗に関連するイベント情報を収集し(101),イベント相関テーブルを参照して各商品の通常仕入量を示す仕入値を増減させ(103),各商品の仕入要求量(仕入計画情報)を出力する(104)。商品按分管理装置1は,各商品の仕入が確定した量(確定仕入量)を得て(105),按分係数値を増加した商品カテゴリの利益幅の大きい商品を特売品に設定し(106),確定仕入量の按分係数値を算出し,仕入量が不足した商品の按分係数値を調整する(107)。さらに,各店舗の商品の販売実績を得て,イベント相関テーブルを更新する(108)。
【解決手段】 商品按分管理装置1は,イベントと商品の販売量の増減の相関を示すイベント相関テーブルを保持して(13),各店舗に関連するイベント情報を収集し(101),イベント相関テーブルを参照して各商品の通常仕入量を示す仕入値を増減させ(103),各商品の仕入要求量(仕入計画情報)を出力する(104)。商品按分管理装置1は,各商品の仕入が確定した量(確定仕入量)を得て(105),按分係数値を増加した商品カテゴリの利益幅の大きい商品を特売品に設定し(106),確定仕入量の按分係数値を算出し,仕入量が不足した商品の按分係数値を調整する(107)。さらに,各店舗の商品の販売実績を得て,イベント相関テーブルを更新する(108)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,多店舗で販売される商品の一括仕入における,仕入計画および仕入商品の按分を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数店舗を展開する小売業態(チェーンストア業態)では,各複数の店舗で販売する商品の調達コストを軽減するため,本部による一括仕入を行っている。したがって,各店舗の販売状況に合わせて仕入を計画し,仕入れた商品を按分して配送する。
【0003】
仕入計画において,商品需要に応じて商品カテゴリや商品の仕入量を決定して,売上機会を逃すことなく収益増加を図ることが求められている。
【0004】
例えば,オンラインショップにおいて,天気や祝日等の情報をもとに,売上増加が見込める特売品を決定するシステムが知られている(例えば,特許文献1)。
【0005】
また,天気・気温,催事情報等をもとに,売上増減を見込んで商品毎の販売計画を決定するシステムが知られている(例えば,特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−7875号公報
【特許文献2】特開2002−24350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数店舗展で扱う商品の一括仕入では,店舗毎の販売環境が異なることから,各店舗の販売環境に応じて商品の仕入量を決定する必要がある。
【0008】
ところで,イベントの開催によって需要が喚起または抑制され,特定カテゴリの商品の売上量が増加または減少するという相関関係が存在することが経験的に知られている。
【0009】
したがって,イベントの開催に応じて売上が増加するカテゴリの商品は,予め仕入量を増やして売上機会を活用し,また,売上が減少するカテゴリの商品は,予め仕入量を少なくして売れ残りを防ぐ必要がある。
【0010】
しかし,複数の店舗各々について,関連するイベントを考慮して仕入量を見積もる作業を人手によって行うことは,作業負担が大きかった。
【0011】
さらに,店舗に関連するイベントを考慮した仕入量を見積もって仕入計画にもとづいて発注を行ったとしても,仕入量の増加が急な発注で通常の数倍の量となるケースでも,一時的なものであるため,発注した全数量を仕入れることができない場合がある。
【0012】
このような場合には,仕入計画に従って各店舗に商品を按分することができず,商品の按分を調整する必要があり,この按分の調整を人手で行うことも作業負担が大きかった。
【0013】
本発明の目的は,複数の店舗の各々について,売上増減に影響するイベントを考慮して売上増加の機会を利用できる仕入計画を行うとともに,仕入れた商品による収益を,店舗全体でより効率的に増加するような,店舗間の商品按分を管理する商品按分管理装置を提供することである。
【0014】
また,本発明の別の目的は,前記商品按分管理装置の各手段が実行する処理を,コンピュータに実行させるための商品按分管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的に鑑みて,本願発明の一態様として開示する商品按分管理装置は,複数の店舗で販売する商品の一括仕入において,前記商品の仕入計画および前記各店舗への商品の按分を管理する装置であって,以下の記憶部と処理部とを備える。すなわち,商品按分管理装置は,1)店舗毎に,関連する施設を示す施設テーブルを記憶する関連施設記憶部と,2)前記店舗毎に,前記関連する施設で開催予定のイベントを示すイベント情報を記憶するイベント情報記憶部と,3)前記店舗毎に,所定の商品カテゴリの販売実績量の増減とイベントとの相関を示すイベント調整係数が設定されたイベント相関テーブルを記憶するイベント相関情報記憶部とを備える。
【0016】
さらに,商品按分決定は,仕入量が要求量を下回る場合に,イベント店舗分の要求量を確保するために,非イベント店舗分の要求量から融通して按分する機能を備える。
【0017】
さらに,前記の商品按分管理装置は,4)前記店舗毎に,該店舗に関連する施設で開催される各イベントの開催日程およびイベント内容を含むイベント情報を取得して前記イベント情報記憶部に格納するイベント情報取得部と,5)前記店舗毎の各商品の在庫量を示す在庫情報を取得する在庫情報取得部と,6)前記店舗毎に,前記在庫情報をもとに,所定の期間の各営業日における商品カテゴリ毎の通常仕入量を示す仕入値を設定した各店仕入テーブルを作成して,前記イベント情報をもとに,該各店仕入テーブルの営業日に開催されるイベントを関連付け,前記イベント相関テーブルの該当するイベント調整係数を用いて該各店仕入テーブルの該イベントが関連付けられた営業日の商品カテゴリの仕入値を増加または減少させる仕入調整部と,7)前記店舗の各店仕入テーブルの仕入値をもとに,前記店舗全体での各営業日の商品カテゴリの商品毎の仕入要求量を算出して,該算出した仕入要求量を示す仕入計画情報を作成する仕入計画作成部と,8)前記仕入計画情報にもとづいて,前記商品カテゴリの商品毎の確定仕入量を示す確定仕入情報を取得する確定仕入情報取得部と,9)前記仕入計画情報および前記確定仕入情報をもとに,前記店舗毎に,前記イベントにより前記仕入要求量が前記通常仕入量より増加した商品カテゴリの商品のうち利益幅が最大となる商品を特売品に設定し,前記店舗毎の各店仕入テーブルの該イベントが関連付けられた営業日または該営業日を含む期間に該特売品の特売を設定した特売テーブルを作成する特売設定部と,10)前記商品毎に各営業日における前記店舗への按分係数値を設定する商品按分係数テーブルを作成し,前記仕入計画情報および前記確定仕入情報をもとに,前記商品毎に前記確定仕入量が前記仕入要求量以上であるかを判定して,前記確定仕入量が前記仕入要求量以上である商品について,前記各店舗の各店仕入テーブルの該当する商品の仕入値を,該店舗の按分係数値として前記商品按分係数テーブルに設定し,前記確定仕入量が前記仕入要求量を超えない商品について,前記店舗毎の該商品の按分係数値を,前記仕入要求量および前記確定仕入量の差分を用いて計算し,該計算した按分係数値を前記商品按分係数テーブルに設定して,前記全ての商品の按分係数値を設定した商品按分係数テーブルを出力する商品按分決定部とを備える。
【0018】
前記の商品按分管理装置によれば,店舗毎に関連する施設のイベントを把握して,そのイベント需要によって売上の増減が生じうる商品カテゴリの商品の仕入量を,増加および減少の両面から調整して仕入計画を行うことができる。
【0019】
また,店舗毎にイベント需要を掘り起こすことができるため,売上増加の機会を作り出して,収益増加を図ることができる。
【0020】
特に,イベントに対応する店舗へ,そのイベント需要に対応する商品を特売品として他店舗より数多く按分することができるため,全体として効率的に売上増加を図ることができる。
【0021】
また,前記の商品按分管理装置は,さらに,前記店舗毎の各商品の実際の販売量を示す販売実績情報を取得する処理と,前記仕入計画情報および前記販売実績情報をもとに,前記店舗毎に前記商品カテゴリの仕入要求量と実際販売量との差を解析し,当該解析の結果をもとに前記イベント相関情報のイベント調整係数を更新する処理とを行うイベント相関情報管理部を備える。
【0022】
これにより,前記商品按分管理装置が記憶するイベント相関テーブルのイベント調整係数の精度を,販売実績情報を用いた解析結果をもとに向上させることができる。
【0023】
また,本願発明の別の態様である商品按分管理プログラムは,前記の商品按分管理装置の各処理部が実行する処理を,コンピュータに処理させるためのものである。
【発明の効果】
【0024】
前記の商品按分管理装置によれば,複数の店舗毎に関連するイベントを把握して,イベントにより売上増減が予測されるカテゴリの商品について,その仕入量を増減して調整することができるため,売上機会逸失と売れ残りとを回避して,効率的に収益増加を図ることができる。
【0025】
また,前記の商品按分管理装置によれば,イベント需要のあるカテゴリの商品を特売として設定することができるため,イベントを販売促進の機会として利用して,効率的に収益増加を図ることができる。
【0026】
さらに,前記の商品按分管理装置によれば,イベント需要により特売に設定した商品を,そのイベントに関連する店舗に対してより多く按分することができるため,全体として効率的に収益増加を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】商品按分管理装置の一実施形態における構成例を示す図である。
【図2】商品按分管理装置の一実施形態における内部構成例を示す図である。
【図3】施設テーブルのデータ構成例を示す図である。
【図4】イベント情報のデータ構成例を示す図である。
【図5】イベント相関テーブルのデータ構成例を示す図である。
【図6】関連施設のイベント情報取得を説明するための図である。
【図7】在庫情報のデータ構成例を示す図である。
【図8】各店仕入テーブルのデータ構成例を示す図である。
【図9】特売テーブルの例を示す図である。
【図10】商品按分係数テーブルの例を示す図である。
【図11】商品按分係数テーブルの例を示す図である。
【図12】店舗間の関連性を示す情報の例を示す図である。
【図13】商品按分管理装置の処理の流れの概要を示す図である。
【図14】ステップS1の処理の詳細処理フロー図である。
【図15】ステップS2の処理の詳細処理フロー図である。
【図16】ステップS3の処理の詳細処理フロー図である。
【図17】ステップS5の処理の詳細処理フロー図である。
【図18】ステップS6の処理の詳細処理フロー図である。
【図19】ステップS7の処理の詳細処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下,本発明の一実施形態として開示する商品按分管理装置を説明する。
【0029】
図1は,商品按分管理装置の一実施形態における構成例を示す図である。
【0030】
図1に示す商品按分管理装置1は,複数の店舗2(2w,2x,2y,…)に対する商品の一括仕入の仕入計画と商品の按分とを管理する装置である。
【0031】
商品按分管理装置1は,店舗2における商品の販売量,在庫量等の販売管理を行う販売管理システム(POSシステム)3,および,店舗2で販売する商品の一括仕入を管理する仕入管理システム4とネットワークNaを介して接続している。
【0032】
なお,販売管理システム3と各店舗2(2w,2x,2y,…)は,ネットワークNbを介して接続している。
【0033】
商品按分管理装置1は,さらに,インターネットI上の種々の情報提供サーバにアクセスして,必要な情報を収集することができる。
【0034】
情報提供サーバには,店舗2(2w,2x,2y,…)に関連する各施設の情報を提供するサーバの他,天気,気温等の天候情報を提供する天気予報サーバ,カレンダ,祝日,季節の歳時の情報を提供するカレンダ情報サーバ等が含まれる。
【0035】
例えば,情報提供サーバは,店舗2xに関連する施設であるB小学校,Z中学校等の行事予定を通知するホームページや,店舗2yに関連する施設であるT展示場,S公民館,P競技場等の行事や催事の予定を通知するホームページを提供する。
【0036】
図2は,商品按分管理装置1の一実施形態における内部構成例を示す図である。
【0037】
商品按分管理装置1は,関連施設記憶部11,イベント情報記憶部12,イベント相関情報記憶部13,イベント情報取得部101,在庫情報取得部102,仕入調整部103,仕入計画作成部104,確定仕入情報取得部105,特売設定部106,商品按分決定部107,イベント相関情報管理部108,およびデータ通信部110を備える。
【0038】
関連施設記憶部11は,店舗2各々に関連する施設を示す施設テーブルを記憶する。
【0039】
図3は,施設テーブルのデータ構成例を示す図である。
【0040】
施設テーブルは,店舗2(2w,2x,2y,…)毎に,関連する施設の施設名,施設のイベント情報の取得先(アクセス先)等が登録された情報テーブルである。
【0041】
本実施形態では,関連する施設は,店舗2から所定の範囲内(例えば500メートル以内)に位置する施設であって,店舗2の売上に影響を与えうるイベントを行う施設とする。
【0042】
図3に示す例では,店舗2xの関連する施設として,B小学校,Z中学校等の施設が登録されている。
【0043】
イベント情報記憶部12は,店舗2毎に,各施設で開催予定のイベントを示すイベント情報を記憶する。
【0044】
図4はイベント情報のデータ構成例を示す図である。
【0045】
イベント情報は,各店舗2に関連する施設の情報取得先(ホームページ等)から収集したイベントの予定等の情報である。イベント情報には,施設で開催されるイベントの内容と開催日程等の情報が登録されている。
【0046】
図4に示す例では,店舗2xの施設テーブルに登録されているB小学校について,9月11日の運動会,Z中学校について,9月28日の演奏会が,それぞれ登録されている。また,店舗2yの施設テーブルに登録されているT展示場について,9月11日〜13日の展示会が登録されている。
【0047】
イベント相関情報記憶部13は,店舗2毎に,所定の商品カテゴリの販売実績における売上の増減とイベントとの相関を示すイベント相関テーブルを記憶する。
【0048】
図5は,イベント相関テーブルのデータ構成例を示す図である。
【0049】
イベント相関テーブルには,店舗2毎に,施設およびイベント内容と,イベントが開催された期間(当日,前日,前々日)の販売量の変化(増減)との関係を示すイベント調整係数が設定されている。
【0050】
イベント調整係数の正の値は,イベントにより販売量が増加する関係を,負の値は,イベントにより販売量が減少する関係を示す。イベント調整係数の標準値(0)は,イベントによる販売量の増減がないことを示す。
【0051】
図5に示す例では,店舗2xに関連するB小学校の「運動会」の場合に,商品カテゴリBの商品の販売量が,通常時の販売量に比べて,前々日には係数0.3で,前日には係数0.5で,当日には係数1.8で,それぞれ増加する関係があることを表す。また,商品カテゴリEの商品の販売量について,通常時の販売量に比べて,前々日には係数−0.2で,前日には係数−0.5で,当日には係数−0.8で,それぞれ減少する関係があることを表す。また,商品カテゴリA,D等の商品は,販売量の増減に影響がないことを表す。
標準値が設定されて,通常仕入量の調整が不要であることを表す。
【0052】
イベント相関テーブルのイベント調整係数は,後述する仕入調整部103の処理において,各商品カテゴリの仕入量を調整する係数(仕入値)として機能し,店舗2毎の各店仕入テーブルでは,イベント調整係数をもとに,商品カテゴリ毎の通常仕入量に対する増減量を示す仕入値が決定される。
【0053】
イベント情報取得部101は,店舗2毎に,所定の対象期間内に関連する施設で開催される各イベントの日程(開催日),イベント内容を含むイベント情報を取得して,イベント情報記憶部12に格納する。イベント情報取得部101は,データ通信部110を介して,インターネットI上の情報提供サーバから,店舗2毎に関連する施設のイベント情報を検索して取得する。
【0054】
図6は,店舗に関連する施設のイベント情報取得を説明するための図である。
【0055】
図6に示すホームページは,店舗2xに関連する施設であるB小学校のホームページである。イベント情報取得部101は,店舗2xの施設テーブルを参照して,B小学校のホームページにアクセスして「お知らせ」から対象期間内のイベント情報(9月11日の運動会)を取得する。さらに,イベント情報取得部101は,Z中学校のホームページにアクセスして,同様に,「行事予定」から対象期間内のイベント情報(9月28日の演奏会)を取得する。
【0056】
在庫情報取得部102は,販売管理システム3から,店舗2毎の各商品の在庫量を示す在庫情報を取得する。在庫情報は,販売管理システム3が管理する販売管理情報の全部または一部である。
【0057】
図7は,在庫情報のデータ構成例を示す図である。
【0058】
在庫情報は,各店舗の日単位(mm月dd日)の在庫状況として,各商品カテゴリ内の各商品について,商品のメーカ,仕入価格,仕入年月日,仕入量,在庫量が記録されている。
【0059】
仕入調整部103は,在庫情報取得部102が取得した在庫情報をもとに,店舗2毎に,対象期間の各商品カテゴリの通常仕入量を示す仕入値(初期値=0)を設定した各店仕入テーブルを作成し,イベント情報記憶部12のイベント情報をもとに,この各店仕入テーブルの対象期間の営業日に開催されるイベントを関連付ける。
【0060】
さらに,仕入調整部103は,イベント相関情報記憶部13のイベント相関テーブルを参照して,関連付けたイベントのイベント調整係数を用いて,各店仕入テーブルの該当する営業日の商品カテゴリ毎に,通常仕入量から増加または減少させる度合いを示す仕入増減係数を設定して,設定した仕入増減係数を用いて仕入値(初期値は通常仕入量)を計算する。
【0061】
なお,仕入調整部103は,イベント調整係数が設定されていない商品カテゴリについては,仕入値を初期値(0)のままとして,調整を行わない。
【0062】
さらに,仕入調整部103は,予め,天気,気温,祝日,時節に応じて仕入値を調整する天候調整係数を示す天候調整情報を保持しておき,データ通信部110を介して,所定の天気予報サーバ,カレンダ情報サーバから,店舗2毎の対象期間の天候情報やカレンダ情報を取得する。そして,仕入調整部103は,各店仕入テーブルの仕入値を,天候調整係数にもとづいて修正することができる。
【0063】
図8は,各店仕入テーブルのデータ構成例を示す図である。
【0064】
図8に示す各店仕入テーブルは,店舗2xの各店仕入テーブルであって,9月9日〜9月28日を含む対象期間の係数を示すものとする。
【0065】
仕入調整部103は,図8の店舗2xの各店仕入テーブルの営業日に,店舗2xの関連施設のイベントを関連付ける。
【0066】
例えば,イベント相関テーブルを参照して,B小学校の運動会について前々日〜当日の3日間に標準値以外のイベント調整係数が設定されているので(図5参照),仕入調整部103は,各店仕入テーブルの9月9日〜11日にB小学校の運動会を関連付け,このイベントに対応するイベント調整係数を,仕入量の増加または減少の程度を示す係数(仕入増減係数)として設定する。
【0067】
同様に,仕入調整部103は,各店仕入テーブルの9月27日28日にZ中学校の演奏会を関連付け,対応するイベント調整係数を,仕入増減係数として設定する。
【0068】
仕入計画作成部104は,各商品カテゴリの商品から,所定の仕入決定手法にもとづいて,1または複数の商品を選択する。
【0069】
仕入決定手法は,商品カテゴリ内に複数の商品がある場合に,どの商品を優先的に仕入れるかを決定する手法である。仕入計画作成部104は,既知の手法,例えば,ミニマム在庫監視方法,売れ筋監視法,仕入価格重視法等の手法のいずれかの手法を用いて,商品カテゴリ毎に仕入れる商品を選択する。
【0070】
そして,仕入計画作成部104は,店舗2の全ての各店仕入テーブルの仕入値を集計して,商品カテゴリ毎に選択した商品の仕入要求量を計算して仕入計画情報を作成し,出力する。仕入計画情報は,仕入管理システム4へ出力される。
【0071】
確定仕入情報取得部105は,仕入管理システム4から,対象期間の各商品の確定した仕入量を示す確定仕入情報を取得する。
【0072】
確定仕入情報は,対象期間について,確定できた各商品の仕入量を示す情報である。
【0073】
特売設定部106は,仕入計画作成部104が作成した仕入計画情報をもとに,店舗2毎に,仕入増減係数により仕入要求量を増加させた商品カテゴリから,利益幅が最大となる商品(売値に対して仕入値が最安値の商品)を特売品に設定する。
【0074】
さらに,特売設定部106は,店舗2毎の各店仕入テーブルでイベントが関連付けられた期間(当日,前日,前々日等)に特売品の特売を設定する。
【0075】
特売設定部106は,特売および特売品を示す特売テーブルを作成する。
【0076】
図9は,特売テーブルの例を示す図である。
【0077】
特売テーブルで,対象期間の営業日に設定された特売品が登録される。また,特売品毎に,特売が設定された店舗2への按分係数が設定される。
【0078】
例えば,図8に示す各店仕入テーブルでは,商品カテゴリBに仕入増減係数(イベント調整係数)が設定されているので,特売設定部106は,商品カテゴリBの商品のうち,売値と仕入値との差(利益幅)が大きい商品b1,b4,b6を特売品として特売テーブルに設定する。さらに,イベント情報をもとに,イベントが関連付けられた店舗2および期間に特売を設定する。
【0079】
商品按分決定部107は,確定仕入情報および仕入計画情報から,各店舗2への商品の按分係数を計算する。
【0080】
商品按分決定部107は,仕入計画情報と確定仕入情報とをもとに,商品の確定仕入量が仕入要求量を満たすかを判定する。そして,商品の確定仕入量が仕入要求量を満たす場合(確定仕入量≧仕入要求量)に,各店仕入テーブルの商品の仕入値を,商品の按分係数値として商品按分係数テーブルに設定する。
【0081】
一方,商品の確定仕入量が仕入要求量を満たさない場合(確定仕入量<仕入要求量)に,商品按分決定部107は,商品の仕入値を調整して按分係数値を求め,商品按分係数テーブルに設定する。
【0082】
図10および図11は,商品按分係数テーブルの例を示す図である。
【0083】
図10に示す商品按分係数テーブルは,商品カテゴリの商品毎に各店舗2(2w,2x,2y,2z,…)への按分係数値,および,特売品に設定された商品であることを示す特売品設定の項目を有する。
【0084】
図10および図11に示す商品按分係数テーブルでは,特売品に設定された商品を示すフラグの設定を「丸印(○)」で表し,特に特売品設定に設定フラグがある商品(特売品)に対して設定された按分計数値のみを表して,通常商品の按分係数値を省略している。
【0085】
商品按分決定部107は,確定仕入量が仕入要求量に満たない商品の按分係数値の設定において,以下のように按分係数値を調整する。
【0086】
商品按分決定部107は,商品の確定仕入量から仕入要求量の差分である仕入不足量を求めて,求めた仕入不足量を所定の数に分けて単位量を決定し,さらに,その商品の仕入値が増加していない店舗,すなわち通常仕入量が不変または減少調整された店舗を特定する。
【0087】
そして,商品按分決定部107は,特定したこれら店舗から,商品の仕入値の減少率が大きい順に店舗を取り出して,取り出した店舗の按分係数値から,決定した単位量を示す換算値を減算して按分係数値とする。
【0088】
または,商品按分決定部107は,商品の確定仕入量から仕入要求量の差分である仕入不足量を求めて,求めた仕入不足量を,イベントにより通常仕入量を増加調整しなかった店舗数で除算した量に相当する換算値を,通常仕入量を増加調整しなかった店舗の按分係数値からそれぞれ減算して按分係数値とする。
【0089】
これにより,仕入要求量を確保できなかった商品について,イベントにより通常仕入量を増加調整した店舗に対して増加調整した仕入量を確保して按分し,増加調整しなかった店舗のうち,イベントによって商品需要が抑制される傾向にある店舗への減量(融通)按分で仕入不足量を調整する。そのため,イベント需要による売上機会逸失を回避して,仕入不足分の影響を最小限に抑えることができる。
【0090】
さらに,商品按分決定部107は,確定仕入量が仕入要求量に満たない商品の按分係数値の設定において,店舗同士の関連性を示す情報にもとづいて,通常仕入量を最も多く増加調整した店舗との関連性が低い店舗から順に,仕入不足量による按分係数値の調整を行う対象店舗としてもよい。
【0091】
図10および図11により,イベント需要により特売品となった商品a2,a5,b3,c1の確定仕入量が仕入要求量に満たない場合の商品按分決定部107の処理による,特売商品の按分係数値の変化を説明する。ここで,図10の商品按分係数テーブルは,商品按分決定部107の処理前の例であり,図11は,処理後の結果例であるとする。
【0092】
また,店舗2wが,イベント対象の店舗であり,店舗2xが店舗2wと売上実績の変動についての相関が比較的高い関係にあり,店舗2y,2zは,売上実績の変動についての比較的低い関係にあるとする。
【0093】
図10に示すように,商品a2の店舗2w,2x,2y,2zの按分係数値が,仕入要求量にもとづいて,それぞれ,「2.0」,「1.1」,「1.0」,「1.0」と計算されていたとする。この場合に,商品a2の確定仕入量が仕入要求量に満たない場合には,確定仕入量と仕入要求量との差(不足量)を,相関が低い店舗2y,2zの按分係数値を下げて,商品a2の按分量を減量すなわち店舗2x,2wへの融通量を確保する。商品按分決定部107は,不足量に対応する按分係数値が「0.6」である場合には,図11に示すように,イベント需要による売上の相関が低い店舗2y,2zの按分係数値をそれぞれ「0.3」減少させて,「0.7」,「0.7」に変更する。
【0094】
このように,商品按分決定部107は,イベント需要があまり見込めない店舗の按分係数値を下げ,確実に売上が見込める店舗への按分係数値を維持するという調整をして,一括仕入の確定仕入量における最大売上を図る。
【0095】
図12は,店舗の関連性を示す情報の例を示す図である。
【0096】
図12(A)は,店舗間の距離を示す情報テーブルであり,図12(B)は,過去の売上実績の変動の連動性を示す情報テーブルである。
【0097】
図12(A)の情報テーブルでは,数値は店舗間の距離(単位キロメートル)を表している。数値が小さいほど店舗間の距離が近くなり,店舗間の関連性が高いことを示す。
【0098】
図12(B)の情報テーブルでは,数値は店舗間の売上の増減の連動性を表している。数値=0を標準として,正の値が大きいほど売上増減の傾向が連動し,店舗間の関連性が高く,負の値が大きいほど売上増減の傾向が連動せず,店舗間の関連性が低いことを示す。
【0099】
さらに,商品按分決定部107は,商品の不足仕入量を全店舗数で除算した量に相当する値を求めて,全店舗の按分係数値から求めた値を減算して,按分係数値を調整してもよい。
【0100】
イベント相関情報管理部108は,販売管理システム3から,店舗2毎の各商品の実際の販売量を示す販売実績情報を取得して,販売実績情報の販売量と,各店仕入テーブルの仕入増減係数にもとづく商品の仕入要求量との相違を解析して,解析の結果をもとにイベント相関情報記憶部13に記憶されているイベント相関情報のイベント調整係数を更新する。
【0101】
データ通信部110は,ネットワークNaを介して販売管理システム3または仕入管理システム4とデータ通信を行い,インターネットI上の種々の情報提供サーバとデータ通信を行う。
【0102】
以下に,一実施形態における商品按分管理装置1の処理の流れを説明する。
【0103】
図13は,商品按分管理装置1の処理の流れの概要を示す図である。
【0104】
ステップS1:在庫情報等の取得
図14は,ステップS1の処理の詳細処理フロー図である。
【0105】
前処理として,在庫情報取得部102は,販売管理システム3から,処理当日の各店舗2の商品カテゴリおよび商品毎の在庫量を取得する(ステップS11)。さらに,仕入調整部103は,各店舗2の商品カテゴリおよび商品毎の通常仕入量を取得する(ステップS12)。
【0106】
ステップS2: 店舗毎のイベント情報の作成
図15は,ステップS2の処理の詳細処理フロー図である。
【0107】
イベント情報取得部101は,関連施設記憶部11から施設テーブルを読み込む(ステップS21)。そして,イベント情報取得部101は,施設テーブルに登録されている関連施設について,インターネット上の各種情報提供サーバからイベント情報を検索する(ステップS22)。検索した情報から,所定の期間内にイベントがあるかを判定して(ステップS23),イベントがある場合のみ(ステップS23のY),イベント情報(開催日,イベント内容)を取得する(ステップS24)。
【0108】
施設テーブルの全施設について検索処理が終了するまで,ステップS22の処理へ戻り(ステップS25のN),全施設について検索処理が終了していたら(ステップS25のY),全店舗について検索処理が終了するまでステップS21の処理へ戻り(ステップS26のN),全店舗について検索処理が終了したら(ステップS26のY),イベント情報をイベント情報記憶部12に格納して,処理を終了する。
【0109】
ステップS3: 仕入の調整と仕入計画の作成
図16は,ステップS3の処理の詳細処理フロー図である。
【0110】
仕入調整部103は,イベント相関情報記憶部13から,イベント相関テーブルを読み込み(ステップS31),店舗毎に各店仕入テーブルを作成して初期値(通常仕入量を示す仕入値)を設定する(ステップS32)。
【0111】
さらに,仕入調整部103は,イベント情報にイベントが登録されている店舗2について,イベント相関テーブルのイベント調整係数をもとに,商品カテゴリの仕入値を調整して各店仕入テーブルに設定する(ステップS33)。
【0112】
仕入調整部103は,さらに,インターネット上の所定の情報提供サーバにアクセスして,カレンダ情報,天候情報を取得し,各店仕入テーブルの仕入値を修正する(ステップS34)。
【0113】
仕入計画作成部104は,各店仕入テーブルの商品カテゴリ毎に,仕入値が初期値であるか調べて(ステップS35),仕入値が初期値ではない場合に(ステップS35のN),商品カテゴリの仕入値が正であれば(ステップS36のY),その商品カテゴリ中で利幅(売値−仕入値)が最大の商品を選択する(ステップS37)。また,商品カテゴリの仕入値が負であれば(ステップS36のN),その商品カテゴリ中で利幅(売値−仕入値)が最小の商品を選択する(ステップS38)。そして,選択した商品の仕入要求量を,その商品カテゴリの通常仕入量とイベント調整係数により設定した仕入値をもとに算出する(ステップS39)。
【0114】
一方,仕入計画作成部104は,仕入増減係数が標準値である場合に(ステップS35のY),通常仕入量を算出する(ステップS310)。
【0115】
仕入計画作成部104は,算出した各商品の仕入要求量を示す仕入計画情報を作成して出力する(ステップS311)。仕入計画情報は,仕入管理システム4へ送信される。
【0116】
ステップS4: 確定仕入情報の取得
確定仕入情報取得部105は,仕入管理システム4から,各商品カテゴリおよび商品の確定した仕入量を示す確定仕入情報を取得する。
【0117】
ステップS5: 特売の設定
図17は,ステップS5の処理の詳細処理フロー図である。
【0118】
特売設定部106は,確定仕入情報をもとに,増加調整された商品カテゴリ中で,仕入値が最低の商品を特売品に設定する(ステップS51)。さらに,特売テーブルを作成して,イベント情報をもとに,イベントが関連づけられた期間に,特売品を設定する(ステップS52)。
【0119】
ステップS6: 商品按分の決定
図18は,ステップS6の処理の詳細処理フロー図である。
【0120】
商品按分決定部107は,各商品の確定仕入量が仕入要求量を満たすかを調べて(ステップS61),商品の確定仕入量が仕入要求量を満たしていない(不足している)場合に(ステップS61のN),按分係数の調整を行う(ステップS62)。
【0121】
商品按分決定部107は,全商品について按分調整が終了するまで,ステップS61へ戻り(ステップS63のN),全商品の按分係数値の調整が終了したら(ステップS63のY),調整した按分係数を設定した商品按分係数テーブルを作成する(ステップS64)。
【0122】
なお,商品按分決定部107は,商品按分係数テーブルの按分係数をもとに,各店舗へ発送する商品の数量を決定してもよい。
【0123】
ステップS7:イベント相関情報の管理
図19は,ステップS7の処理の詳細処理フロー図である。
【0124】
イベント相関情報管理部108は,販売管理システム3から,各店舗の商品カテゴリおよび商品毎の売上実績(売上数量)を取得して(ステップS71),イベントテーブルをもとに,イベント内容と売上数量との相関関係を解析して(ステップS72),解析結果をもとに,イベント相関テーブルのイベント調整係数を更新する(ステップS73)。
【0125】
以上の実施の形態では,本願発明を,チェーンストア業態の一括仕入に適用した場合について説明したが,本願発明は説明した実施の形態に限定されるものではなく,その記述の主旨の範囲において種々の変形が可能である。
【0126】
また,商品按分管理装置1は,入出力装置および外部記憶装置を備えるコンピュータがプログラムを読み取り実行することにより商品按分管理装置1が有する各処理部が実現されることによって,構築することができる。このプログラムは,コンピュータが読み取り可能な,可搬媒体メモリ,半導体メモリ,ハードディスクなどの適当な記録媒体に格納することができ,これらの記録媒体に記録して提供される。または,このプログラムは,通信インタフェースを介して種々の通信網を利用した送受信により提供される。
【符号の説明】
【0127】
1 商品按分管理装置
11 関連施設記憶部
12 イベント情報記憶部
13 イベント相関情報記憶部
101 イベント情報取得部
102 在庫情報取得部
103 仕入調整部
104 仕入計画作成部
105 確定仕入情報取得部
106 特売設定部
107 商品按分決定部
108 イベント相関情報管理部
110 データ通信部
2(2w,2x,2y,…) 店舗
3 販売管理システム
4 仕入管理システム
【技術分野】
【0001】
本発明は,多店舗で販売される商品の一括仕入における,仕入計画および仕入商品の按分を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数店舗を展開する小売業態(チェーンストア業態)では,各複数の店舗で販売する商品の調達コストを軽減するため,本部による一括仕入を行っている。したがって,各店舗の販売状況に合わせて仕入を計画し,仕入れた商品を按分して配送する。
【0003】
仕入計画において,商品需要に応じて商品カテゴリや商品の仕入量を決定して,売上機会を逃すことなく収益増加を図ることが求められている。
【0004】
例えば,オンラインショップにおいて,天気や祝日等の情報をもとに,売上増加が見込める特売品を決定するシステムが知られている(例えば,特許文献1)。
【0005】
また,天気・気温,催事情報等をもとに,売上増減を見込んで商品毎の販売計画を決定するシステムが知られている(例えば,特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−7875号公報
【特許文献2】特開2002−24350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数店舗展で扱う商品の一括仕入では,店舗毎の販売環境が異なることから,各店舗の販売環境に応じて商品の仕入量を決定する必要がある。
【0008】
ところで,イベントの開催によって需要が喚起または抑制され,特定カテゴリの商品の売上量が増加または減少するという相関関係が存在することが経験的に知られている。
【0009】
したがって,イベントの開催に応じて売上が増加するカテゴリの商品は,予め仕入量を増やして売上機会を活用し,また,売上が減少するカテゴリの商品は,予め仕入量を少なくして売れ残りを防ぐ必要がある。
【0010】
しかし,複数の店舗各々について,関連するイベントを考慮して仕入量を見積もる作業を人手によって行うことは,作業負担が大きかった。
【0011】
さらに,店舗に関連するイベントを考慮した仕入量を見積もって仕入計画にもとづいて発注を行ったとしても,仕入量の増加が急な発注で通常の数倍の量となるケースでも,一時的なものであるため,発注した全数量を仕入れることができない場合がある。
【0012】
このような場合には,仕入計画に従って各店舗に商品を按分することができず,商品の按分を調整する必要があり,この按分の調整を人手で行うことも作業負担が大きかった。
【0013】
本発明の目的は,複数の店舗の各々について,売上増減に影響するイベントを考慮して売上増加の機会を利用できる仕入計画を行うとともに,仕入れた商品による収益を,店舗全体でより効率的に増加するような,店舗間の商品按分を管理する商品按分管理装置を提供することである。
【0014】
また,本発明の別の目的は,前記商品按分管理装置の各手段が実行する処理を,コンピュータに実行させるための商品按分管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的に鑑みて,本願発明の一態様として開示する商品按分管理装置は,複数の店舗で販売する商品の一括仕入において,前記商品の仕入計画および前記各店舗への商品の按分を管理する装置であって,以下の記憶部と処理部とを備える。すなわち,商品按分管理装置は,1)店舗毎に,関連する施設を示す施設テーブルを記憶する関連施設記憶部と,2)前記店舗毎に,前記関連する施設で開催予定のイベントを示すイベント情報を記憶するイベント情報記憶部と,3)前記店舗毎に,所定の商品カテゴリの販売実績量の増減とイベントとの相関を示すイベント調整係数が設定されたイベント相関テーブルを記憶するイベント相関情報記憶部とを備える。
【0016】
さらに,商品按分決定は,仕入量が要求量を下回る場合に,イベント店舗分の要求量を確保するために,非イベント店舗分の要求量から融通して按分する機能を備える。
【0017】
さらに,前記の商品按分管理装置は,4)前記店舗毎に,該店舗に関連する施設で開催される各イベントの開催日程およびイベント内容を含むイベント情報を取得して前記イベント情報記憶部に格納するイベント情報取得部と,5)前記店舗毎の各商品の在庫量を示す在庫情報を取得する在庫情報取得部と,6)前記店舗毎に,前記在庫情報をもとに,所定の期間の各営業日における商品カテゴリ毎の通常仕入量を示す仕入値を設定した各店仕入テーブルを作成して,前記イベント情報をもとに,該各店仕入テーブルの営業日に開催されるイベントを関連付け,前記イベント相関テーブルの該当するイベント調整係数を用いて該各店仕入テーブルの該イベントが関連付けられた営業日の商品カテゴリの仕入値を増加または減少させる仕入調整部と,7)前記店舗の各店仕入テーブルの仕入値をもとに,前記店舗全体での各営業日の商品カテゴリの商品毎の仕入要求量を算出して,該算出した仕入要求量を示す仕入計画情報を作成する仕入計画作成部と,8)前記仕入計画情報にもとづいて,前記商品カテゴリの商品毎の確定仕入量を示す確定仕入情報を取得する確定仕入情報取得部と,9)前記仕入計画情報および前記確定仕入情報をもとに,前記店舗毎に,前記イベントにより前記仕入要求量が前記通常仕入量より増加した商品カテゴリの商品のうち利益幅が最大となる商品を特売品に設定し,前記店舗毎の各店仕入テーブルの該イベントが関連付けられた営業日または該営業日を含む期間に該特売品の特売を設定した特売テーブルを作成する特売設定部と,10)前記商品毎に各営業日における前記店舗への按分係数値を設定する商品按分係数テーブルを作成し,前記仕入計画情報および前記確定仕入情報をもとに,前記商品毎に前記確定仕入量が前記仕入要求量以上であるかを判定して,前記確定仕入量が前記仕入要求量以上である商品について,前記各店舗の各店仕入テーブルの該当する商品の仕入値を,該店舗の按分係数値として前記商品按分係数テーブルに設定し,前記確定仕入量が前記仕入要求量を超えない商品について,前記店舗毎の該商品の按分係数値を,前記仕入要求量および前記確定仕入量の差分を用いて計算し,該計算した按分係数値を前記商品按分係数テーブルに設定して,前記全ての商品の按分係数値を設定した商品按分係数テーブルを出力する商品按分決定部とを備える。
【0018】
前記の商品按分管理装置によれば,店舗毎に関連する施設のイベントを把握して,そのイベント需要によって売上の増減が生じうる商品カテゴリの商品の仕入量を,増加および減少の両面から調整して仕入計画を行うことができる。
【0019】
また,店舗毎にイベント需要を掘り起こすことができるため,売上増加の機会を作り出して,収益増加を図ることができる。
【0020】
特に,イベントに対応する店舗へ,そのイベント需要に対応する商品を特売品として他店舗より数多く按分することができるため,全体として効率的に売上増加を図ることができる。
【0021】
また,前記の商品按分管理装置は,さらに,前記店舗毎の各商品の実際の販売量を示す販売実績情報を取得する処理と,前記仕入計画情報および前記販売実績情報をもとに,前記店舗毎に前記商品カテゴリの仕入要求量と実際販売量との差を解析し,当該解析の結果をもとに前記イベント相関情報のイベント調整係数を更新する処理とを行うイベント相関情報管理部を備える。
【0022】
これにより,前記商品按分管理装置が記憶するイベント相関テーブルのイベント調整係数の精度を,販売実績情報を用いた解析結果をもとに向上させることができる。
【0023】
また,本願発明の別の態様である商品按分管理プログラムは,前記の商品按分管理装置の各処理部が実行する処理を,コンピュータに処理させるためのものである。
【発明の効果】
【0024】
前記の商品按分管理装置によれば,複数の店舗毎に関連するイベントを把握して,イベントにより売上増減が予測されるカテゴリの商品について,その仕入量を増減して調整することができるため,売上機会逸失と売れ残りとを回避して,効率的に収益増加を図ることができる。
【0025】
また,前記の商品按分管理装置によれば,イベント需要のあるカテゴリの商品を特売として設定することができるため,イベントを販売促進の機会として利用して,効率的に収益増加を図ることができる。
【0026】
さらに,前記の商品按分管理装置によれば,イベント需要により特売に設定した商品を,そのイベントに関連する店舗に対してより多く按分することができるため,全体として効率的に収益増加を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】商品按分管理装置の一実施形態における構成例を示す図である。
【図2】商品按分管理装置の一実施形態における内部構成例を示す図である。
【図3】施設テーブルのデータ構成例を示す図である。
【図4】イベント情報のデータ構成例を示す図である。
【図5】イベント相関テーブルのデータ構成例を示す図である。
【図6】関連施設のイベント情報取得を説明するための図である。
【図7】在庫情報のデータ構成例を示す図である。
【図8】各店仕入テーブルのデータ構成例を示す図である。
【図9】特売テーブルの例を示す図である。
【図10】商品按分係数テーブルの例を示す図である。
【図11】商品按分係数テーブルの例を示す図である。
【図12】店舗間の関連性を示す情報の例を示す図である。
【図13】商品按分管理装置の処理の流れの概要を示す図である。
【図14】ステップS1の処理の詳細処理フロー図である。
【図15】ステップS2の処理の詳細処理フロー図である。
【図16】ステップS3の処理の詳細処理フロー図である。
【図17】ステップS5の処理の詳細処理フロー図である。
【図18】ステップS6の処理の詳細処理フロー図である。
【図19】ステップS7の処理の詳細処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下,本発明の一実施形態として開示する商品按分管理装置を説明する。
【0029】
図1は,商品按分管理装置の一実施形態における構成例を示す図である。
【0030】
図1に示す商品按分管理装置1は,複数の店舗2(2w,2x,2y,…)に対する商品の一括仕入の仕入計画と商品の按分とを管理する装置である。
【0031】
商品按分管理装置1は,店舗2における商品の販売量,在庫量等の販売管理を行う販売管理システム(POSシステム)3,および,店舗2で販売する商品の一括仕入を管理する仕入管理システム4とネットワークNaを介して接続している。
【0032】
なお,販売管理システム3と各店舗2(2w,2x,2y,…)は,ネットワークNbを介して接続している。
【0033】
商品按分管理装置1は,さらに,インターネットI上の種々の情報提供サーバにアクセスして,必要な情報を収集することができる。
【0034】
情報提供サーバには,店舗2(2w,2x,2y,…)に関連する各施設の情報を提供するサーバの他,天気,気温等の天候情報を提供する天気予報サーバ,カレンダ,祝日,季節の歳時の情報を提供するカレンダ情報サーバ等が含まれる。
【0035】
例えば,情報提供サーバは,店舗2xに関連する施設であるB小学校,Z中学校等の行事予定を通知するホームページや,店舗2yに関連する施設であるT展示場,S公民館,P競技場等の行事や催事の予定を通知するホームページを提供する。
【0036】
図2は,商品按分管理装置1の一実施形態における内部構成例を示す図である。
【0037】
商品按分管理装置1は,関連施設記憶部11,イベント情報記憶部12,イベント相関情報記憶部13,イベント情報取得部101,在庫情報取得部102,仕入調整部103,仕入計画作成部104,確定仕入情報取得部105,特売設定部106,商品按分決定部107,イベント相関情報管理部108,およびデータ通信部110を備える。
【0038】
関連施設記憶部11は,店舗2各々に関連する施設を示す施設テーブルを記憶する。
【0039】
図3は,施設テーブルのデータ構成例を示す図である。
【0040】
施設テーブルは,店舗2(2w,2x,2y,…)毎に,関連する施設の施設名,施設のイベント情報の取得先(アクセス先)等が登録された情報テーブルである。
【0041】
本実施形態では,関連する施設は,店舗2から所定の範囲内(例えば500メートル以内)に位置する施設であって,店舗2の売上に影響を与えうるイベントを行う施設とする。
【0042】
図3に示す例では,店舗2xの関連する施設として,B小学校,Z中学校等の施設が登録されている。
【0043】
イベント情報記憶部12は,店舗2毎に,各施設で開催予定のイベントを示すイベント情報を記憶する。
【0044】
図4はイベント情報のデータ構成例を示す図である。
【0045】
イベント情報は,各店舗2に関連する施設の情報取得先(ホームページ等)から収集したイベントの予定等の情報である。イベント情報には,施設で開催されるイベントの内容と開催日程等の情報が登録されている。
【0046】
図4に示す例では,店舗2xの施設テーブルに登録されているB小学校について,9月11日の運動会,Z中学校について,9月28日の演奏会が,それぞれ登録されている。また,店舗2yの施設テーブルに登録されているT展示場について,9月11日〜13日の展示会が登録されている。
【0047】
イベント相関情報記憶部13は,店舗2毎に,所定の商品カテゴリの販売実績における売上の増減とイベントとの相関を示すイベント相関テーブルを記憶する。
【0048】
図5は,イベント相関テーブルのデータ構成例を示す図である。
【0049】
イベント相関テーブルには,店舗2毎に,施設およびイベント内容と,イベントが開催された期間(当日,前日,前々日)の販売量の変化(増減)との関係を示すイベント調整係数が設定されている。
【0050】
イベント調整係数の正の値は,イベントにより販売量が増加する関係を,負の値は,イベントにより販売量が減少する関係を示す。イベント調整係数の標準値(0)は,イベントによる販売量の増減がないことを示す。
【0051】
図5に示す例では,店舗2xに関連するB小学校の「運動会」の場合に,商品カテゴリBの商品の販売量が,通常時の販売量に比べて,前々日には係数0.3で,前日には係数0.5で,当日には係数1.8で,それぞれ増加する関係があることを表す。また,商品カテゴリEの商品の販売量について,通常時の販売量に比べて,前々日には係数−0.2で,前日には係数−0.5で,当日には係数−0.8で,それぞれ減少する関係があることを表す。また,商品カテゴリA,D等の商品は,販売量の増減に影響がないことを表す。
標準値が設定されて,通常仕入量の調整が不要であることを表す。
【0052】
イベント相関テーブルのイベント調整係数は,後述する仕入調整部103の処理において,各商品カテゴリの仕入量を調整する係数(仕入値)として機能し,店舗2毎の各店仕入テーブルでは,イベント調整係数をもとに,商品カテゴリ毎の通常仕入量に対する増減量を示す仕入値が決定される。
【0053】
イベント情報取得部101は,店舗2毎に,所定の対象期間内に関連する施設で開催される各イベントの日程(開催日),イベント内容を含むイベント情報を取得して,イベント情報記憶部12に格納する。イベント情報取得部101は,データ通信部110を介して,インターネットI上の情報提供サーバから,店舗2毎に関連する施設のイベント情報を検索して取得する。
【0054】
図6は,店舗に関連する施設のイベント情報取得を説明するための図である。
【0055】
図6に示すホームページは,店舗2xに関連する施設であるB小学校のホームページである。イベント情報取得部101は,店舗2xの施設テーブルを参照して,B小学校のホームページにアクセスして「お知らせ」から対象期間内のイベント情報(9月11日の運動会)を取得する。さらに,イベント情報取得部101は,Z中学校のホームページにアクセスして,同様に,「行事予定」から対象期間内のイベント情報(9月28日の演奏会)を取得する。
【0056】
在庫情報取得部102は,販売管理システム3から,店舗2毎の各商品の在庫量を示す在庫情報を取得する。在庫情報は,販売管理システム3が管理する販売管理情報の全部または一部である。
【0057】
図7は,在庫情報のデータ構成例を示す図である。
【0058】
在庫情報は,各店舗の日単位(mm月dd日)の在庫状況として,各商品カテゴリ内の各商品について,商品のメーカ,仕入価格,仕入年月日,仕入量,在庫量が記録されている。
【0059】
仕入調整部103は,在庫情報取得部102が取得した在庫情報をもとに,店舗2毎に,対象期間の各商品カテゴリの通常仕入量を示す仕入値(初期値=0)を設定した各店仕入テーブルを作成し,イベント情報記憶部12のイベント情報をもとに,この各店仕入テーブルの対象期間の営業日に開催されるイベントを関連付ける。
【0060】
さらに,仕入調整部103は,イベント相関情報記憶部13のイベント相関テーブルを参照して,関連付けたイベントのイベント調整係数を用いて,各店仕入テーブルの該当する営業日の商品カテゴリ毎に,通常仕入量から増加または減少させる度合いを示す仕入増減係数を設定して,設定した仕入増減係数を用いて仕入値(初期値は通常仕入量)を計算する。
【0061】
なお,仕入調整部103は,イベント調整係数が設定されていない商品カテゴリについては,仕入値を初期値(0)のままとして,調整を行わない。
【0062】
さらに,仕入調整部103は,予め,天気,気温,祝日,時節に応じて仕入値を調整する天候調整係数を示す天候調整情報を保持しておき,データ通信部110を介して,所定の天気予報サーバ,カレンダ情報サーバから,店舗2毎の対象期間の天候情報やカレンダ情報を取得する。そして,仕入調整部103は,各店仕入テーブルの仕入値を,天候調整係数にもとづいて修正することができる。
【0063】
図8は,各店仕入テーブルのデータ構成例を示す図である。
【0064】
図8に示す各店仕入テーブルは,店舗2xの各店仕入テーブルであって,9月9日〜9月28日を含む対象期間の係数を示すものとする。
【0065】
仕入調整部103は,図8の店舗2xの各店仕入テーブルの営業日に,店舗2xの関連施設のイベントを関連付ける。
【0066】
例えば,イベント相関テーブルを参照して,B小学校の運動会について前々日〜当日の3日間に標準値以外のイベント調整係数が設定されているので(図5参照),仕入調整部103は,各店仕入テーブルの9月9日〜11日にB小学校の運動会を関連付け,このイベントに対応するイベント調整係数を,仕入量の増加または減少の程度を示す係数(仕入増減係数)として設定する。
【0067】
同様に,仕入調整部103は,各店仕入テーブルの9月27日28日にZ中学校の演奏会を関連付け,対応するイベント調整係数を,仕入増減係数として設定する。
【0068】
仕入計画作成部104は,各商品カテゴリの商品から,所定の仕入決定手法にもとづいて,1または複数の商品を選択する。
【0069】
仕入決定手法は,商品カテゴリ内に複数の商品がある場合に,どの商品を優先的に仕入れるかを決定する手法である。仕入計画作成部104は,既知の手法,例えば,ミニマム在庫監視方法,売れ筋監視法,仕入価格重視法等の手法のいずれかの手法を用いて,商品カテゴリ毎に仕入れる商品を選択する。
【0070】
そして,仕入計画作成部104は,店舗2の全ての各店仕入テーブルの仕入値を集計して,商品カテゴリ毎に選択した商品の仕入要求量を計算して仕入計画情報を作成し,出力する。仕入計画情報は,仕入管理システム4へ出力される。
【0071】
確定仕入情報取得部105は,仕入管理システム4から,対象期間の各商品の確定した仕入量を示す確定仕入情報を取得する。
【0072】
確定仕入情報は,対象期間について,確定できた各商品の仕入量を示す情報である。
【0073】
特売設定部106は,仕入計画作成部104が作成した仕入計画情報をもとに,店舗2毎に,仕入増減係数により仕入要求量を増加させた商品カテゴリから,利益幅が最大となる商品(売値に対して仕入値が最安値の商品)を特売品に設定する。
【0074】
さらに,特売設定部106は,店舗2毎の各店仕入テーブルでイベントが関連付けられた期間(当日,前日,前々日等)に特売品の特売を設定する。
【0075】
特売設定部106は,特売および特売品を示す特売テーブルを作成する。
【0076】
図9は,特売テーブルの例を示す図である。
【0077】
特売テーブルで,対象期間の営業日に設定された特売品が登録される。また,特売品毎に,特売が設定された店舗2への按分係数が設定される。
【0078】
例えば,図8に示す各店仕入テーブルでは,商品カテゴリBに仕入増減係数(イベント調整係数)が設定されているので,特売設定部106は,商品カテゴリBの商品のうち,売値と仕入値との差(利益幅)が大きい商品b1,b4,b6を特売品として特売テーブルに設定する。さらに,イベント情報をもとに,イベントが関連付けられた店舗2および期間に特売を設定する。
【0079】
商品按分決定部107は,確定仕入情報および仕入計画情報から,各店舗2への商品の按分係数を計算する。
【0080】
商品按分決定部107は,仕入計画情報と確定仕入情報とをもとに,商品の確定仕入量が仕入要求量を満たすかを判定する。そして,商品の確定仕入量が仕入要求量を満たす場合(確定仕入量≧仕入要求量)に,各店仕入テーブルの商品の仕入値を,商品の按分係数値として商品按分係数テーブルに設定する。
【0081】
一方,商品の確定仕入量が仕入要求量を満たさない場合(確定仕入量<仕入要求量)に,商品按分決定部107は,商品の仕入値を調整して按分係数値を求め,商品按分係数テーブルに設定する。
【0082】
図10および図11は,商品按分係数テーブルの例を示す図である。
【0083】
図10に示す商品按分係数テーブルは,商品カテゴリの商品毎に各店舗2(2w,2x,2y,2z,…)への按分係数値,および,特売品に設定された商品であることを示す特売品設定の項目を有する。
【0084】
図10および図11に示す商品按分係数テーブルでは,特売品に設定された商品を示すフラグの設定を「丸印(○)」で表し,特に特売品設定に設定フラグがある商品(特売品)に対して設定された按分計数値のみを表して,通常商品の按分係数値を省略している。
【0085】
商品按分決定部107は,確定仕入量が仕入要求量に満たない商品の按分係数値の設定において,以下のように按分係数値を調整する。
【0086】
商品按分決定部107は,商品の確定仕入量から仕入要求量の差分である仕入不足量を求めて,求めた仕入不足量を所定の数に分けて単位量を決定し,さらに,その商品の仕入値が増加していない店舗,すなわち通常仕入量が不変または減少調整された店舗を特定する。
【0087】
そして,商品按分決定部107は,特定したこれら店舗から,商品の仕入値の減少率が大きい順に店舗を取り出して,取り出した店舗の按分係数値から,決定した単位量を示す換算値を減算して按分係数値とする。
【0088】
または,商品按分決定部107は,商品の確定仕入量から仕入要求量の差分である仕入不足量を求めて,求めた仕入不足量を,イベントにより通常仕入量を増加調整しなかった店舗数で除算した量に相当する換算値を,通常仕入量を増加調整しなかった店舗の按分係数値からそれぞれ減算して按分係数値とする。
【0089】
これにより,仕入要求量を確保できなかった商品について,イベントにより通常仕入量を増加調整した店舗に対して増加調整した仕入量を確保して按分し,増加調整しなかった店舗のうち,イベントによって商品需要が抑制される傾向にある店舗への減量(融通)按分で仕入不足量を調整する。そのため,イベント需要による売上機会逸失を回避して,仕入不足分の影響を最小限に抑えることができる。
【0090】
さらに,商品按分決定部107は,確定仕入量が仕入要求量に満たない商品の按分係数値の設定において,店舗同士の関連性を示す情報にもとづいて,通常仕入量を最も多く増加調整した店舗との関連性が低い店舗から順に,仕入不足量による按分係数値の調整を行う対象店舗としてもよい。
【0091】
図10および図11により,イベント需要により特売品となった商品a2,a5,b3,c1の確定仕入量が仕入要求量に満たない場合の商品按分決定部107の処理による,特売商品の按分係数値の変化を説明する。ここで,図10の商品按分係数テーブルは,商品按分決定部107の処理前の例であり,図11は,処理後の結果例であるとする。
【0092】
また,店舗2wが,イベント対象の店舗であり,店舗2xが店舗2wと売上実績の変動についての相関が比較的高い関係にあり,店舗2y,2zは,売上実績の変動についての比較的低い関係にあるとする。
【0093】
図10に示すように,商品a2の店舗2w,2x,2y,2zの按分係数値が,仕入要求量にもとづいて,それぞれ,「2.0」,「1.1」,「1.0」,「1.0」と計算されていたとする。この場合に,商品a2の確定仕入量が仕入要求量に満たない場合には,確定仕入量と仕入要求量との差(不足量)を,相関が低い店舗2y,2zの按分係数値を下げて,商品a2の按分量を減量すなわち店舗2x,2wへの融通量を確保する。商品按分決定部107は,不足量に対応する按分係数値が「0.6」である場合には,図11に示すように,イベント需要による売上の相関が低い店舗2y,2zの按分係数値をそれぞれ「0.3」減少させて,「0.7」,「0.7」に変更する。
【0094】
このように,商品按分決定部107は,イベント需要があまり見込めない店舗の按分係数値を下げ,確実に売上が見込める店舗への按分係数値を維持するという調整をして,一括仕入の確定仕入量における最大売上を図る。
【0095】
図12は,店舗の関連性を示す情報の例を示す図である。
【0096】
図12(A)は,店舗間の距離を示す情報テーブルであり,図12(B)は,過去の売上実績の変動の連動性を示す情報テーブルである。
【0097】
図12(A)の情報テーブルでは,数値は店舗間の距離(単位キロメートル)を表している。数値が小さいほど店舗間の距離が近くなり,店舗間の関連性が高いことを示す。
【0098】
図12(B)の情報テーブルでは,数値は店舗間の売上の増減の連動性を表している。数値=0を標準として,正の値が大きいほど売上増減の傾向が連動し,店舗間の関連性が高く,負の値が大きいほど売上増減の傾向が連動せず,店舗間の関連性が低いことを示す。
【0099】
さらに,商品按分決定部107は,商品の不足仕入量を全店舗数で除算した量に相当する値を求めて,全店舗の按分係数値から求めた値を減算して,按分係数値を調整してもよい。
【0100】
イベント相関情報管理部108は,販売管理システム3から,店舗2毎の各商品の実際の販売量を示す販売実績情報を取得して,販売実績情報の販売量と,各店仕入テーブルの仕入増減係数にもとづく商品の仕入要求量との相違を解析して,解析の結果をもとにイベント相関情報記憶部13に記憶されているイベント相関情報のイベント調整係数を更新する。
【0101】
データ通信部110は,ネットワークNaを介して販売管理システム3または仕入管理システム4とデータ通信を行い,インターネットI上の種々の情報提供サーバとデータ通信を行う。
【0102】
以下に,一実施形態における商品按分管理装置1の処理の流れを説明する。
【0103】
図13は,商品按分管理装置1の処理の流れの概要を示す図である。
【0104】
ステップS1:在庫情報等の取得
図14は,ステップS1の処理の詳細処理フロー図である。
【0105】
前処理として,在庫情報取得部102は,販売管理システム3から,処理当日の各店舗2の商品カテゴリおよび商品毎の在庫量を取得する(ステップS11)。さらに,仕入調整部103は,各店舗2の商品カテゴリおよび商品毎の通常仕入量を取得する(ステップS12)。
【0106】
ステップS2: 店舗毎のイベント情報の作成
図15は,ステップS2の処理の詳細処理フロー図である。
【0107】
イベント情報取得部101は,関連施設記憶部11から施設テーブルを読み込む(ステップS21)。そして,イベント情報取得部101は,施設テーブルに登録されている関連施設について,インターネット上の各種情報提供サーバからイベント情報を検索する(ステップS22)。検索した情報から,所定の期間内にイベントがあるかを判定して(ステップS23),イベントがある場合のみ(ステップS23のY),イベント情報(開催日,イベント内容)を取得する(ステップS24)。
【0108】
施設テーブルの全施設について検索処理が終了するまで,ステップS22の処理へ戻り(ステップS25のN),全施設について検索処理が終了していたら(ステップS25のY),全店舗について検索処理が終了するまでステップS21の処理へ戻り(ステップS26のN),全店舗について検索処理が終了したら(ステップS26のY),イベント情報をイベント情報記憶部12に格納して,処理を終了する。
【0109】
ステップS3: 仕入の調整と仕入計画の作成
図16は,ステップS3の処理の詳細処理フロー図である。
【0110】
仕入調整部103は,イベント相関情報記憶部13から,イベント相関テーブルを読み込み(ステップS31),店舗毎に各店仕入テーブルを作成して初期値(通常仕入量を示す仕入値)を設定する(ステップS32)。
【0111】
さらに,仕入調整部103は,イベント情報にイベントが登録されている店舗2について,イベント相関テーブルのイベント調整係数をもとに,商品カテゴリの仕入値を調整して各店仕入テーブルに設定する(ステップS33)。
【0112】
仕入調整部103は,さらに,インターネット上の所定の情報提供サーバにアクセスして,カレンダ情報,天候情報を取得し,各店仕入テーブルの仕入値を修正する(ステップS34)。
【0113】
仕入計画作成部104は,各店仕入テーブルの商品カテゴリ毎に,仕入値が初期値であるか調べて(ステップS35),仕入値が初期値ではない場合に(ステップS35のN),商品カテゴリの仕入値が正であれば(ステップS36のY),その商品カテゴリ中で利幅(売値−仕入値)が最大の商品を選択する(ステップS37)。また,商品カテゴリの仕入値が負であれば(ステップS36のN),その商品カテゴリ中で利幅(売値−仕入値)が最小の商品を選択する(ステップS38)。そして,選択した商品の仕入要求量を,その商品カテゴリの通常仕入量とイベント調整係数により設定した仕入値をもとに算出する(ステップS39)。
【0114】
一方,仕入計画作成部104は,仕入増減係数が標準値である場合に(ステップS35のY),通常仕入量を算出する(ステップS310)。
【0115】
仕入計画作成部104は,算出した各商品の仕入要求量を示す仕入計画情報を作成して出力する(ステップS311)。仕入計画情報は,仕入管理システム4へ送信される。
【0116】
ステップS4: 確定仕入情報の取得
確定仕入情報取得部105は,仕入管理システム4から,各商品カテゴリおよび商品の確定した仕入量を示す確定仕入情報を取得する。
【0117】
ステップS5: 特売の設定
図17は,ステップS5の処理の詳細処理フロー図である。
【0118】
特売設定部106は,確定仕入情報をもとに,増加調整された商品カテゴリ中で,仕入値が最低の商品を特売品に設定する(ステップS51)。さらに,特売テーブルを作成して,イベント情報をもとに,イベントが関連づけられた期間に,特売品を設定する(ステップS52)。
【0119】
ステップS6: 商品按分の決定
図18は,ステップS6の処理の詳細処理フロー図である。
【0120】
商品按分決定部107は,各商品の確定仕入量が仕入要求量を満たすかを調べて(ステップS61),商品の確定仕入量が仕入要求量を満たしていない(不足している)場合に(ステップS61のN),按分係数の調整を行う(ステップS62)。
【0121】
商品按分決定部107は,全商品について按分調整が終了するまで,ステップS61へ戻り(ステップS63のN),全商品の按分係数値の調整が終了したら(ステップS63のY),調整した按分係数を設定した商品按分係数テーブルを作成する(ステップS64)。
【0122】
なお,商品按分決定部107は,商品按分係数テーブルの按分係数をもとに,各店舗へ発送する商品の数量を決定してもよい。
【0123】
ステップS7:イベント相関情報の管理
図19は,ステップS7の処理の詳細処理フロー図である。
【0124】
イベント相関情報管理部108は,販売管理システム3から,各店舗の商品カテゴリおよび商品毎の売上実績(売上数量)を取得して(ステップS71),イベントテーブルをもとに,イベント内容と売上数量との相関関係を解析して(ステップS72),解析結果をもとに,イベント相関テーブルのイベント調整係数を更新する(ステップS73)。
【0125】
以上の実施の形態では,本願発明を,チェーンストア業態の一括仕入に適用した場合について説明したが,本願発明は説明した実施の形態に限定されるものではなく,その記述の主旨の範囲において種々の変形が可能である。
【0126】
また,商品按分管理装置1は,入出力装置および外部記憶装置を備えるコンピュータがプログラムを読み取り実行することにより商品按分管理装置1が有する各処理部が実現されることによって,構築することができる。このプログラムは,コンピュータが読み取り可能な,可搬媒体メモリ,半導体メモリ,ハードディスクなどの適当な記録媒体に格納することができ,これらの記録媒体に記録して提供される。または,このプログラムは,通信インタフェースを介して種々の通信網を利用した送受信により提供される。
【符号の説明】
【0127】
1 商品按分管理装置
11 関連施設記憶部
12 イベント情報記憶部
13 イベント相関情報記憶部
101 イベント情報取得部
102 在庫情報取得部
103 仕入調整部
104 仕入計画作成部
105 確定仕入情報取得部
106 特売設定部
107 商品按分決定部
108 イベント相関情報管理部
110 データ通信部
2(2w,2x,2y,…) 店舗
3 販売管理システム
4 仕入管理システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の店舗で販売する商品の一括仕入において,前記商品の仕入計画および前記各店舗への商品の按分を管理する商品按分管理装置であって,
店舗毎に,関連する施設を示す施設テーブルを記憶する関連施設記憶部と,
前記店舗毎に,前記関連する施設で開催予定のイベントを示すイベント情報を記憶するイベント情報記憶部と,
前記店舗毎に,所定の商品カテゴリの販売実績量の増減とイベントとの相関を示すイベント調整係数が設定されたイベント相関テーブルを記憶するイベント相関情報記憶部と,
前記店舗毎に,該店舗に関連する施設で開催される各イベントの開催日程およびイベント内容を含むイベント情報を取得して前記イベント情報記憶部に格納するイベント情報取得部と,
前記店舗毎の各商品の在庫量を示す在庫情報を取得する在庫情報取得部と,
前記店舗毎に,前記在庫情報をもとに,所定の期間の各営業日における商品カテゴリ毎の通常仕入量を示す仕入値を設定した各店仕入テーブルを作成して,前記イベント情報をもとに,該各店仕入テーブルの営業日に開催されるイベントを関連付け,前記イベント相関テーブルの該当するイベント調整係数を用いて該各店仕入テーブルの該イベントが関連付けられた営業日の商品カテゴリの仕入値を増加または減少させる仕入調整部と,
前記店舗の各店仕入テーブルの仕入値をもとに,前記店舗全体での各営業日の商品カテゴリの商品毎の仕入要求量を算出して,該算出した仕入要求量を示す仕入計画情報を作成する仕入計画作成部と,
前記仕入計画情報にもとづいて,前記商品カテゴリの商品毎の確定仕入量を示す確定仕入情報を取得する確定仕入情報取得部と,
前記仕入計画情報および前記確定仕入情報をもとに,前記店舗毎に,前記イベントにより前記仕入要求量が前記通常仕入量より増加した商品カテゴリの商品のうち利益幅が最大となる商品を特売品に設定し,前記店舗毎の各店仕入テーブルの該イベントが関連付けられた営業日または該営業日を含む期間に該特売品の特売を設定した特売テーブルを作成する特売設定部と,
前記商品毎に各営業日における前記店舗への按分係数値を設定する商品按分係数テーブルを作成し,前記仕入計画情報および前記確定仕入情報をもとに,前記商品毎に前記確定仕入量が前記仕入要求量以上であるかを判定して,前記確定仕入量が前記仕入要求量以上である商品について,前記各店舗の各店仕入テーブルの該当する商品の仕入値を,該店舗の按分係数値として前記商品按分係数テーブルに設定し,前記確定仕入量が前記仕入要求量を超えない商品について,前記店舗毎の該商品の按分係数値を,前記仕入要求量および前記確定仕入量の差分を用いて計算し,該計算した按分係数値を前記商品按分係数テーブルに設定して,前記全ての商品の按分係数値を設定した商品按分係数テーブルを出力する商品按分決定部とを備える
ことを特徴とする商品按分管理装置。
【請求項2】
前記商品按分決定部は,前記確定仕入量が前記仕入要求量に満たない商品の按分係数値の設定において,前記商品の確定仕入量から仕入要求量の差分である仕入不足量を求めて,該仕入不足量の所定の区分単位量に相当する値を決定し,該商品の仕入値を増加させなかった店舗のうち該商品の仕入値の減少率が大きい順に店舗を取り出して,該取り出した店舗の按分係数値から該決定した値を減算して按分係数値とする
ことを特徴とする請求項1に記載の商品按分管理装置。
【請求項3】
前記商品按分決定部は,前記確定仕入量が前記仕入要求量に満たない商品の按分係数値の設定において,
前記商品の確定仕入量から仕入要求量の差分である仕入不足量を求めて,該仕入不足量を該商品の仕入値を増加させなかった店舗数で除算した量に相当する値を,該商品の仕入値を増加させなかった店舗の按分係数値からそれぞれ減算して按分係数値とする
ことを特徴とする請求項1に記載の商品按分管理装置。
【請求項4】
前記イベント情報取得部は,インターネット上の情報提供サーバから,前記店舗毎の関連施設のイベント情報を取得する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の商品按分管理装置。
【請求項5】
前記仕入調整部は,前記店舗毎の前記対象期間の天候,祝日,時節を示す環境情報を取得する処理と,
予め,天候,祝日,時節に応じて仕入値を調整する天候調整係数を示す天候調整情報を保持しておき,前記店舗の各店仕入テーブルの仕入値を前記天候調整係数にもとづいて修正する処理とを行う
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の商品按分管理装置。
【請求項6】
前記店舗毎の各商品の実際の販売量を示す販売実績情報を取得する処理と,
前記仕入計画情報および前記販売実績情報をもとに,前記店舗毎に前記商品カテゴリの仕入要求量と実際販売量との差を解析し,当該解析の結果をもとに前記イベント相関情報のイベント調整係数を更新する処理とを行うイベント相関情報管理部を備える
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の商品按分管理装置。
【請求項7】
複数の店舗で販売する商品の一括仕入における前記商品の仕入計画および前記各店舗への商品の按分を管理するために,
店舗毎に,関連する施設を示す施設テーブルを記憶する関連施設記憶部と,
前記店舗毎に,前記関連する施設で開催予定のイベントを示すイベント情報を記憶するイベント情報記憶部と,
前記店舗毎に,所定の商品カテゴリの販売実績量の増減とイベントとの相関を示すイベント調整係数が設定されたイベント相関テーブルを記憶するイベント相関情報記憶部とを備えるコンピュータに,
前記店舗毎に,該店舗に関連する施設で開催される各イベントの開催日程およびイベント内容を含むイベント情報を取得して前記イベント情報記憶部に格納する処理と,
前記店舗毎の各商品の在庫量を示す在庫情報を取得する処理と,
前記店舗毎に,前記在庫情報をもとに,所定の期間の各営業日における商品カテゴリ毎の通常仕入量を示す仕入値を設定した各店仕入テーブルを作成して,前記イベント情報をもとに,該各店仕入テーブルの営業日に開催されるイベントを関連付ける処理と,
前記イベント相関テーブルの該当するイベント調整係数を用いて前記各店仕入テーブルの該イベントが関連付けられた営業日の商品カテゴリの仕入値を増加または減少させる処理と,
前記店舗の各店仕入テーブルの仕入値をもとに,前記店舗全体での各営業日の商品カテゴリの商品毎の仕入要求量を算出して,該算出した仕入要求量を示す仕入計画情報を作成する処理と,
前記仕入計画情報にもとづいて,前記商品カテゴリの商品毎の確定仕入量を示す確定仕入情報を取得する処理と,
前記仕入計画情報および前記確定仕入情報をもとに,前記店舗毎に,前記イベントにより前記仕入要求量が前記通常仕入量より増加した商品カテゴリの商品のうち利益幅が最大となる商品を特売品に設定し,前記店舗毎の各店仕入テーブルの該イベントが関連付けられた営業日または該営業日を含む期間に該特売品の特売を設定した特売テーブルを作成する処理と,
前記商品毎に各営業日における前記店舗への按分係数値を設定する商品按分係数テーブルを作成する処理と,
前記仕入計画情報および前記確定仕入情報をもとに,前記商品毎に前記確定仕入量が前記仕入要求量以上であるかを判定する処理と,
前記確定仕入量が前記仕入要求量以上である商品について,前記各店舗の各店仕入テーブルの該当する商品の仕入値を,該店舗の按分係数値として前記商品按分係数テーブルに設定し,前記確定仕入量が前記仕入要求量を超えない商品について,前記店舗毎の該商品の按分係数値を,前記仕入要求量および前記確定仕入量の差分を用いて計算し,該計算した按分係数値を前記商品按分係数テーブルに設定して,前記全ての商品の按分係数値を設定した商品按分係数テーブルを出力する処理とを,
実行させるための商品按分管理プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに,
前記店舗毎の各商品の実際の販売量を示す販売実績情報を取得する処理と,
前記仕入計画情報および前記販売実績情報をもとに,前記店舗毎に前記商品カテゴリの仕入要求量と実際販売量との差を解析し,当該解析の結果をもとに前記イベント相関情報のイベント調整係数を更新する処理とを,
実行させるための請求項7に記載の商品按分管理プログラム。
【請求項1】
複数の店舗で販売する商品の一括仕入において,前記商品の仕入計画および前記各店舗への商品の按分を管理する商品按分管理装置であって,
店舗毎に,関連する施設を示す施設テーブルを記憶する関連施設記憶部と,
前記店舗毎に,前記関連する施設で開催予定のイベントを示すイベント情報を記憶するイベント情報記憶部と,
前記店舗毎に,所定の商品カテゴリの販売実績量の増減とイベントとの相関を示すイベント調整係数が設定されたイベント相関テーブルを記憶するイベント相関情報記憶部と,
前記店舗毎に,該店舗に関連する施設で開催される各イベントの開催日程およびイベント内容を含むイベント情報を取得して前記イベント情報記憶部に格納するイベント情報取得部と,
前記店舗毎の各商品の在庫量を示す在庫情報を取得する在庫情報取得部と,
前記店舗毎に,前記在庫情報をもとに,所定の期間の各営業日における商品カテゴリ毎の通常仕入量を示す仕入値を設定した各店仕入テーブルを作成して,前記イベント情報をもとに,該各店仕入テーブルの営業日に開催されるイベントを関連付け,前記イベント相関テーブルの該当するイベント調整係数を用いて該各店仕入テーブルの該イベントが関連付けられた営業日の商品カテゴリの仕入値を増加または減少させる仕入調整部と,
前記店舗の各店仕入テーブルの仕入値をもとに,前記店舗全体での各営業日の商品カテゴリの商品毎の仕入要求量を算出して,該算出した仕入要求量を示す仕入計画情報を作成する仕入計画作成部と,
前記仕入計画情報にもとづいて,前記商品カテゴリの商品毎の確定仕入量を示す確定仕入情報を取得する確定仕入情報取得部と,
前記仕入計画情報および前記確定仕入情報をもとに,前記店舗毎に,前記イベントにより前記仕入要求量が前記通常仕入量より増加した商品カテゴリの商品のうち利益幅が最大となる商品を特売品に設定し,前記店舗毎の各店仕入テーブルの該イベントが関連付けられた営業日または該営業日を含む期間に該特売品の特売を設定した特売テーブルを作成する特売設定部と,
前記商品毎に各営業日における前記店舗への按分係数値を設定する商品按分係数テーブルを作成し,前記仕入計画情報および前記確定仕入情報をもとに,前記商品毎に前記確定仕入量が前記仕入要求量以上であるかを判定して,前記確定仕入量が前記仕入要求量以上である商品について,前記各店舗の各店仕入テーブルの該当する商品の仕入値を,該店舗の按分係数値として前記商品按分係数テーブルに設定し,前記確定仕入量が前記仕入要求量を超えない商品について,前記店舗毎の該商品の按分係数値を,前記仕入要求量および前記確定仕入量の差分を用いて計算し,該計算した按分係数値を前記商品按分係数テーブルに設定して,前記全ての商品の按分係数値を設定した商品按分係数テーブルを出力する商品按分決定部とを備える
ことを特徴とする商品按分管理装置。
【請求項2】
前記商品按分決定部は,前記確定仕入量が前記仕入要求量に満たない商品の按分係数値の設定において,前記商品の確定仕入量から仕入要求量の差分である仕入不足量を求めて,該仕入不足量の所定の区分単位量に相当する値を決定し,該商品の仕入値を増加させなかった店舗のうち該商品の仕入値の減少率が大きい順に店舗を取り出して,該取り出した店舗の按分係数値から該決定した値を減算して按分係数値とする
ことを特徴とする請求項1に記載の商品按分管理装置。
【請求項3】
前記商品按分決定部は,前記確定仕入量が前記仕入要求量に満たない商品の按分係数値の設定において,
前記商品の確定仕入量から仕入要求量の差分である仕入不足量を求めて,該仕入不足量を該商品の仕入値を増加させなかった店舗数で除算した量に相当する値を,該商品の仕入値を増加させなかった店舗の按分係数値からそれぞれ減算して按分係数値とする
ことを特徴とする請求項1に記載の商品按分管理装置。
【請求項4】
前記イベント情報取得部は,インターネット上の情報提供サーバから,前記店舗毎の関連施設のイベント情報を取得する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の商品按分管理装置。
【請求項5】
前記仕入調整部は,前記店舗毎の前記対象期間の天候,祝日,時節を示す環境情報を取得する処理と,
予め,天候,祝日,時節に応じて仕入値を調整する天候調整係数を示す天候調整情報を保持しておき,前記店舗の各店仕入テーブルの仕入値を前記天候調整係数にもとづいて修正する処理とを行う
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の商品按分管理装置。
【請求項6】
前記店舗毎の各商品の実際の販売量を示す販売実績情報を取得する処理と,
前記仕入計画情報および前記販売実績情報をもとに,前記店舗毎に前記商品カテゴリの仕入要求量と実際販売量との差を解析し,当該解析の結果をもとに前記イベント相関情報のイベント調整係数を更新する処理とを行うイベント相関情報管理部を備える
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の商品按分管理装置。
【請求項7】
複数の店舗で販売する商品の一括仕入における前記商品の仕入計画および前記各店舗への商品の按分を管理するために,
店舗毎に,関連する施設を示す施設テーブルを記憶する関連施設記憶部と,
前記店舗毎に,前記関連する施設で開催予定のイベントを示すイベント情報を記憶するイベント情報記憶部と,
前記店舗毎に,所定の商品カテゴリの販売実績量の増減とイベントとの相関を示すイベント調整係数が設定されたイベント相関テーブルを記憶するイベント相関情報記憶部とを備えるコンピュータに,
前記店舗毎に,該店舗に関連する施設で開催される各イベントの開催日程およびイベント内容を含むイベント情報を取得して前記イベント情報記憶部に格納する処理と,
前記店舗毎の各商品の在庫量を示す在庫情報を取得する処理と,
前記店舗毎に,前記在庫情報をもとに,所定の期間の各営業日における商品カテゴリ毎の通常仕入量を示す仕入値を設定した各店仕入テーブルを作成して,前記イベント情報をもとに,該各店仕入テーブルの営業日に開催されるイベントを関連付ける処理と,
前記イベント相関テーブルの該当するイベント調整係数を用いて前記各店仕入テーブルの該イベントが関連付けられた営業日の商品カテゴリの仕入値を増加または減少させる処理と,
前記店舗の各店仕入テーブルの仕入値をもとに,前記店舗全体での各営業日の商品カテゴリの商品毎の仕入要求量を算出して,該算出した仕入要求量を示す仕入計画情報を作成する処理と,
前記仕入計画情報にもとづいて,前記商品カテゴリの商品毎の確定仕入量を示す確定仕入情報を取得する処理と,
前記仕入計画情報および前記確定仕入情報をもとに,前記店舗毎に,前記イベントにより前記仕入要求量が前記通常仕入量より増加した商品カテゴリの商品のうち利益幅が最大となる商品を特売品に設定し,前記店舗毎の各店仕入テーブルの該イベントが関連付けられた営業日または該営業日を含む期間に該特売品の特売を設定した特売テーブルを作成する処理と,
前記商品毎に各営業日における前記店舗への按分係数値を設定する商品按分係数テーブルを作成する処理と,
前記仕入計画情報および前記確定仕入情報をもとに,前記商品毎に前記確定仕入量が前記仕入要求量以上であるかを判定する処理と,
前記確定仕入量が前記仕入要求量以上である商品について,前記各店舗の各店仕入テーブルの該当する商品の仕入値を,該店舗の按分係数値として前記商品按分係数テーブルに設定し,前記確定仕入量が前記仕入要求量を超えない商品について,前記店舗毎の該商品の按分係数値を,前記仕入要求量および前記確定仕入量の差分を用いて計算し,該計算した按分係数値を前記商品按分係数テーブルに設定して,前記全ての商品の按分係数値を設定した商品按分係数テーブルを出力する処理とを,
実行させるための商品按分管理プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに,
前記店舗毎の各商品の実際の販売量を示す販売実績情報を取得する処理と,
前記仕入計画情報および前記販売実績情報をもとに,前記店舗毎に前記商品カテゴリの仕入要求量と実際販売量との差を解析し,当該解析の結果をもとに前記イベント相関情報のイベント調整係数を更新する処理とを,
実行させるための請求項7に記載の商品按分管理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−145960(P2011−145960A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7661(P2010−7661)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(598057291)株式会社富士通エフサス (147)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(598057291)株式会社富士通エフサス (147)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]