説明

商品撮影装置

【課題】回転台を用いて商品を種々の方向から撮影できるようにした商品撮影装置において、可能な限り影や背景を消せるようにした商品撮影装置を提供する。
【解決手段】ショッピングサイトに掲載される商品6を載置した状態で回転させる回転台2と、前記商品6を撮影するカメラ7に対して回転台2の中心から奥方に設けられる背面材4とを備えてなり、当該背面材4を前記カメラ7側に向かうように湾曲させるようにする。また、このような背面材4や回転台2として、光透過性を有する粗面材で構成し、その後方から光を照射させる。これにより、正面側からの光は背面材4によって商品6側へ反射させ、また、背面側や底面側からの光を背面材4や回転台2を拡散透過させて影を消すようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を回転台に載せて回転させながら任意の角度で撮影できるようにした商品撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のインターネットにおけるショッピングサイトでは、販売される商品の画像を掲載しておき、ユーザーにその商品を選択させることによってその商品を販売できるようなシステムになっている。ところで、このような商品の画像をショッピングサイトに掲載する場合、その商品が立体的なものである場合は、種々の方向から商品を撮影して掲載することが好ましい。
【0003】
このような種々の方向から商品を撮影する場合、一般的には、背景が映らないような場所に商品を設置し、正面画像などのような代表的な画像を撮影するとともに、その商品の角度を変えて撮影する場合は、商品を置き変えて異なる方向から側面や背面の画像などを撮影するようにしている。
【0004】
しかしながら、このような方法では、サイト上に多くの商品を掲載する場合、各商品ごとに角度変えて撮影しなければならず、その作業に時間がかかってしまう。
【0005】
このため、従来では、回転台の上に商品を載置して、その回転台を回転させながら商品を撮影する方法も提案されている。(特許文献1、特許文献2など)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−90233号公報(図6など)
【特許文献2】特表2003−502956号公報(図2など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような回転台に載置して商品の画像を撮影する場合においても、次のような問題を生じる。
【0008】
すなわち、商品の画像を撮影する場合、可能な限り影や背景などを消すようにするのが好ましいが、商品を回転させる場合は、その商品の形状によっては、床面に影が映ってしまう。このため、影の位置が変わるたびに、影が映らないように照明の位置を変えなければならず、照明の位置を変更するのに時間がかかってしまう。
【0009】
また、このような影をなくすために、回転台の中心方向に向かって種々の方向から光を照射させることも考えられるが、このように種々の方向から光を照射させたとしても、不連続に配置された照明からの光を照射させると、その光の延長方向上に薄い影が形成されてしまう。
【0010】
そこで、本発明は、回転台を用いて商品を種々の方向から撮影できるようにした商品撮影装置において、可能な限り影や背景を消せるようにした商品撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、上記課題を解決するために、被写体を載置した状態で回転させる回転台と、前記被写体を撮影するカメラに対して回転台の奥方に設けられる背面材とを備えてなり、当該背面材を前記カメラ側に向かうように湾曲させるようにしたものである。
【0012】
このようにすれば、正面から照明やカメラのフラッシュなどを用いて撮影する場合、正面側からはその照明などによって光を照射することができるとともに、背面側からは、湾曲する背面材によって光を反射させて、可能な限り影を消すことができるようになる。しかも、その背面材によって背景の画像を消すこともできるようになる。
【0013】
また、このような発明において、前記背面材を、光透過性を有する粗面材で構成する。
【0014】
このようにすれば、背面材の後方から光を照射した場合、粗面材で構成された背面材によって光が均一に拡散され、その拡散された状態で商品側に光を透過させることによって商品の影を消すことができるようになる。
【0015】
さらには、前記回転台を、光透過性を有する粗面材で構成することもできる。
【0016】
このようにした場合は、粗面材の下側から照射する光によって回転台にできる影を消すことができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被写体を載置した状態で回転させる回転台と、前記被写体を撮影するカメラに対して回転台の中心から奥方に設けられる背面材とを備えてなり、当該背面材を前記カメラ側に向かうように湾曲させるようにしたので、正面から照明やカメラのフラッシュなどを用いて撮影する場合、正面側からはその照明などによって光を照射することができる。また、背面側からは、湾曲する背面材によって光を反射させて、可能な限り影を消すことができるようになる。しかも、その背面材によって背景の画像を消すこともできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態における商品撮影装置の概略図
【図2】同実施の形態における平面図
【図3】同実施の形態における光を照射させた状態を示す平面図
【図4】同実施の形態における底面から光を照射させた状態を示す正面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。この実施の形態における商品撮影装置1は、図1に示すように、商品6を載置させた状態で回転させる回転台2と、その回転台2を回転可能に支持するベース3と、その回転台2における奥方で回転台2の中心方向に向かって湾曲する背面材4とを備えて構成される。以下、本実施の形態における商品撮影装置1の構成について詳細に説明する。
【0020】
まず、回転台2は、中心部分に商品6を載置することが可能な円板状に構成されている。この回転台2は、光を全く透過させない不透明な素材によって形成することもできるが、この実施の形態では、白色系の半透明な板材として、例えば、紙材、プラスチック素材、ガラス素材などで構成し、さらには、その表面を粗面状態としておく。このように表面を粗面状態としておくと、表面側から光を照射させた場合に、その光を乱反射させることができ、商品6に影ができるのを防止することができる。また、この回転台2を半透明な素材で構成すると、回転台2の下側から光を照射させる場合、粗面によって光を均一に拡散させることができ、その拡散された光を透過させることによって、表面側にできる影を消すことができる。このような光を照射させる場合、図2や図4に示すように、回転台2の下側に小型の電球やLEDなどの照明装置5を配置しておき、図示しない複数枚の拡散板などを用いて回転台2の下側から光を照射させる。なお、ここで回転台2の光の透過率としては、表面側から下方のベース3などを視認することができず、かつ、下方からの光を透過させるような透過率としておくことが望ましく、例えば、照明装置5から商品6側への全体としての光の透過率を10%以下としておく。
【0021】
この回転台2を回転可能に支持するベース3は、回転台2の中心部分を軸部材31で支持するものであって、適宜、回転台2に商品6を載置した場合に回転台2が撓まないような手段を講じて構成される。このベース3としては、例えば、モーターなどによって回転台2を回転可能に支持することもできるが、コストが高くなる場合は、駆動手段を備えずに手動で回転させるようにすることもできる。ただし、手動で回転させる場合は、任意の角度で回転台2を固定して撮影させるようにしておく必要があるため、一定の切れ角をもって回転させるか、あるいは、図示しないストッパーなどを用いて所定の回転角で回転台2を固定できるようにしておく。
【0022】
このベース3部材の後端側には、背面材4を保持するための保持部32が設けられる。この保持部32は、背面材4を回転台2の縁に沿って湾曲するように保持できるようにしたものであって、この実施の形態では、ベース3の後方を回転台2から延出させておき、そこに背面材4を湾曲させた状態で差し込めるようにした溝33を設けて構成されている。なお、この実施の形態では溝33によって保持部32を構成しているが、このように溝33を設けるのではなく、ベース3部材の一端側を回転台2から延出させておき、その外側に背面材4を湾曲させた状態で取り付けて、マグネットなどで固定できるようにすることもできる。
【0023】
この保持部32に保持される背面材4は、回転台2の中心側に向かって湾曲するように設けられるものであって、回転台2と同様に、白色系の半透明な紙材、プラスチック素材、ガラス素材などで構成され、かつ、その表面を粗面状態に構成されている。そして、回転台2の外側縁部に接触するように湾曲した状態で起立され、これによって回転台2の中心に置いた商品6を撮影する場合に、回転台2と背面材4との隙間や背景が映らないようにしている。なお、ここでは、回転台2の外側縁部に沿うように湾曲させているが、背面材4の曲率が回転台2よりも大きくなるように湾曲させておき、回転台2と背面材4との隙間を他の半透明の素材で埋めるようにしてもよい。
【0024】
次に、このように構成された商品撮影装置1の使用方法について説明する。
【0025】
まず、サイトに掲載される商品6を回転台2の中心部に載置するとともに、その前方にカメラ7を設置する。また、回転台2の下方に設けられた電球やLEDなどの照明装置5を点灯させるとともに、背面材4の後方にも電球やLED、蛍光灯などの照明装置5を点灯させる。すると、図3に示すように、これらの照明装置5から照射された光は、回転台2や背面材4を透過し、拡散された状態で商品6側へと拡散した状態で透過する。このとき、背面材4を透過した拡散光は、湾曲した背面材4側から商品6側へと向かい、例えば、カメラ7側から照射されたフラッシュなどによって生じた商品6の裏側領域S1の影を消すことができる。また、商品6の背面材4からの光によって商品6の前方側の領域S2にできた影については、カメラ7のフラッシュなどによって消すことができる。一方、回転台2の下方側から上方へ向けて照射した光については、図4に示すように、回転台2によって拡散され、これによって回転台2上に生じた影を消すことができるようになる。このとき、背面材4を設けるようにしているため、カメラ7で商品6を撮影した場合に、背景が映るようなことがなくなる。
【0026】
このように上記実施の形態によれば、被写体を載置した状態で回転させる回転台2と、前記被写体を撮影するカメラ7に対して回転台2の中心から奥方に設けられる背面材4とを備えてなり、当該背面材4を前記カメラ7側に向かうように湾曲させるようにしたので、正面から照明やカメラ7のフラッシュなどを用いて撮影する場合、正面側からはその照明などによって光を照射することができるとともに、背面側からは、湾曲する背面材4によって光を反射させて、可能な限り影を消すことができるようになる。しかも、その背面材4によって背景の画像を消すこともできるようになる。
【0027】
また、背面材4を、光透過性を有する粗面材で構成すれば、背面材4の後方から光を照射した場合、粗面材で構成された背面材4によって光が均一に拡散され、その拡散された状態で商品6側に光を透過させることによって商品6の影を消すことができるようになる。
【0028】
さらには、回転台2についても、光透過性を有する粗面材で構成すれば回転台2にできる影を粗面材の下側から照射する光で消すことができるようになる。
【0029】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0030】
例えば、上記実施の形態では、回転台2を半透明の素材で構成するようにしたが、不透明な存在で構成することもできる。
【0031】
また、上記実施の形態では、背面材4をベース3に保持させるようにしたが、背面材4については、ベース3に保持させることなく、独自に湾曲させた状態で起立させるようにしてもよい。
【0032】
さらには、上記実施の形態では、背面材4として、円筒状の部材を縦に切断したような形状で構成したが、その上端部分については、商品6側へと湾曲させるような部分を設けるようにしてもよい。このようにすれば、商品6の上部側へも拡散させた光を照射させることができるため、より商品6の影を消すことができるようになる。
加えて、上記実施の形態では、背面材4として白色系の半透明拡散板を用いたが、商品の色が白系である場合は、回転台2や背面材4を取り外し、黒色系の回転台2や背面材4に付け替えるようにすることもできる。このとき、回転台2や背面材4が黒色系である場合は、影ができたとしてもその回転台2や背面材4によって吸収することができるため、必ずしも半透明の拡散板を用いる必要はない。なお、ここで回転台2を付け替える場合、軸部材31から回転台2を取り外すのが面倒な場合は、回転台2の上に、背面材4と同色系のカバーを載置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1・・・商品撮影装置
2・・・回転台
3・・・ベース
31・・・軸部材
32・・・保持部
33・・・溝
4・・・背面材
5・・・照明装置
6・・・商品
7・・・カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を載置した状態で回転させる回転台と、
前記被写体を撮影するカメラに対して回転台の奥方に設けられる背面材とを備えてなり、
当該背面材を前記カメラ側に向かうように湾曲させたことを特徴とする商品撮影装置。
【請求項2】
前記背面材を、光透過性を有する粗面材で構成した請求項1に記載の商品撮影装置。
【請求項3】
前記回転台を、光透過性を有する粗面材で構成した請求項1に記載の商品撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−7803(P2013−7803A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139016(P2011−139016)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(511153884)有限会社アクセス (1)
【Fターム(参考)】