説明

商品盗難検出器及び商品盗難監視装置

【課題】商品への取付けの自由度が大きく、それだけ使い易い商品盗難検出器及びそれを利用した商品盗難監視装置を提供する。
【解決手段】検出器は検出器本体を含み、検出器本体は、基板本体とこれに連設された舌片とを含む可撓性フィルム基板と、基板本体及び舌片双方の下面にわたる連続プリント配線と、通電コードが接続された舌片接続用コネクタを有するコネクタ保持部とを含んでおり、コネクタ保持部は、コネクタに舌片自由端部が接続され、それによりプリント配線が該コネクタを介して通電コードに接続された状態で基板本体上面に部分的に接着されている。商品盗難監視装置本体は、監視対象商品への検出器取付け状態異常の情報を検出器から把握すると予め定めた異常報知動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の盗難を防止、抑止するための商品盗難監視装置のための、監視対象商品に取り付けられる商品盗難検出器及び商品盗難監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
店頭に陳列などされる商品の盗難を防止、抑止するための商品盗難監視装置は種々のものが提案されている。その中に、監視対象商品に付設される商品盗難検出器と、これが接続される商品盗難監視装置本体とを含むものがある。商品盗難監視装置本体には通常、警報装置が含まれている。
【0003】
商品盗難検出器は、該検出器が商品に正常に取り付けられているか否かを検出するための検出器本体と該本体を商品盗難監視装置本体へ接続する通電コードを含んでいる。前記警報装置は、検出器が商品に正常に取り付けられていないことを示す情報に基づき警報を発する。
【0004】
商品盗難検出器として、開閉接点を有するスイッチと、押し込み可能に突出方向へバネ付勢された可動子とを含む検出器本体を備えたものが知られている。該スイッチは検出器本体が商品に正しく取り付けられている状態では可動子が押し込まれることで閉じ、検出器本体が商品から外されると可動子の押し込みが解除されることで開くスイッチである。
【0005】
このような商品盗難検出器では、該検出器本体の開閉接点を有するスイッチとしてマイクロスイッチのようなスイッチが用いられている。
【0006】
このタイプの商品盗難検出器及び該検出器を用いる商品盗難監視装置は例えば特許第3706820号公報に記載されている。
同公報の従来技術の説明中には、開閉接点を有するスイッチと、押し込み可能に突出方向へバネ付勢された可動子とを含む検出器本体が両面接着テープを用いて商品に取り付けられる検出器が記載されている。
【0007】
同公報には、さらに、商品に設けられている螺子(例えばカメラの三脚取付け用螺子)に検出器本体に設けた螺子を螺合させることで商品に取付け可能の検出器本体を含む商品盗難検出器が記載されている。
【0008】
後者の螺子を利用した商品盗難検出器は特許第4048221号公報にも記載されている。特許第4048221号公報に記載された検出器では、検出器本体のスイッチとしてタクトスイッチが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3706820号公報
【特許文献2】特許第4048221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記した従来の商品盗難検出器のうち両面接着テープ等により検出器本体の取付けを行うタイプのものでは、商品の平坦面部分に貼着することができるが、今日の多種多様な商品に対応して、商品の曲面部分に検出器本体を取り付けたいときには、それが極めて困難或いは不可能となる場合がある。
【0011】
上記した従来の商品盗難検出器のうち、螺子を利用して商品に取り付けるタイプのものでは、商品側に螺子がなければならず、また、螺子があっても、その螺子の部分にしか取付けできないので検出器本体の取付けの自由度が制限される。
【0012】
そこで本発明は、監視対象商品に付設して該商品の盗難検出を行うための商品盗難検出器であり、該検出器の商品上の取付け部分として、商品の平坦面部分は勿論のこと、曲面部分も選択範囲に入れることができ、従来の同種の検出器と比べると商品への取付けの自由度が大きく、それだけ使い易い商品盗難検出器を提供することを第1の課題とする。
【0013】
また本発明は、監視対象商品に付設される商品盗難検出器と、該検出器が接続される商品盗難監視装置本体とを含む商品盗難監視装置であって、少なくとも一つの商品盗難検出器は、該検出器の商品上の取付け部分として、商品の平坦面部分は勿論のこと曲面部分も選択範囲に入れることができ、従来の同種の検出器と比べると商品への取付けの自由度が大きく、従って、監視装置全体としてもそれだけ使い易い商品盗難監視装置を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は前記課題を解決するため、次の商品盗難検出器及び商品盗難監視装置を提供する。
【0015】
(1)商品盗難検出器
監視対象商品に付設して該商品の盗難検出を行うための商品盗難検出器であり、
検出器本体と、該検出器本体を商品盗難監視装置本体へ接続するための通電コードとを含んでおり、検出器本体は、
基板本体と該基板本体に一体的に連設されて片持ち支持された舌片とを含む可撓性フィルム基板と、
前記基板本体下面と前記舌片下面にわたり形成され、舌片自由端部の第1部位から始まり、舌片に沿って基板本体へ向かい、基板本体においてループを描いた後再び舌片に沿って舌片自由端部の第2部位へ至る連続配線と、
該配線のうち基板本体に形成されている部分を覆って基板本体に付着された、検出器本体を監視対象商品に貼着取付けするための両面接着剤層と、
前記通電コードが接続された舌片接続用コネクタを有するコネクタ保持部とを含んでおり、
該コネクタ保持部は、前記舌片接続用コネクタに前記舌片自由端部の前記第1及び第2の部位が接続されることで該第1及び第2の部位上の配線両端部が該コネクタを介して前記通電コードに電気的に接続された状態で前記基板本体の上面に部分的に接着されており、
前記商品盗難監視装置本体は、前記検出器本体が監視対象商品に正常に取り付けられるとともに該検出器本体が前記通電コードにより自身に正常に接続された検出器正常取付け状態ではない検出器取付け状態異常が発生すると、該異常を把握して予め定めた異常報知動作を行うものである商品盗難検出器。
【0016】
(2)商品盗難監視装置
本発明に係る商品盗難検出器を少なくとも一つと、
該商品盗難検出器が接続される商品盗難監視装置本体とを含んでおり、
該商品盗難監視装置本体は、自身に接続された商品盗難検出器のうち少なくとも一つにおいて、該検出器の検出器本体が監視対象商品に正常に取り付けられるとともに該検出器本体が前記通電コードにより自身に正常に接続された検出器正常取付け状態ではない検出器取付け状態異常が発生すると、該異常を把握して予め定めた異常報知動作を行うものである商品盗難監視装置。
【0017】
本発明に係る商品盗難検出器及び商品盗難監視装置によると、商品盗難検出器の検出器本体を構成している可撓性フィルム基板の基板本体及び舌片にわたる配線を覆っている両面接着剤層で基板本体を監視対象商品の所望部位に貼着するとともに検出器本体を通電コードにて商品盗難監視装置本体へ接続して用いることができる。
【0018】
このように可撓性フィルム基板の基板本体が両面接着剤層で商品の所望部位に貼着された状態では、前記舌片が基板本体の上面に接着されたコネクタ保持部における舌片接続用コネクタに接続されており、舌片自由端部の第1、第2の部位にそれぞれ位置する配線の一端部及び他端部が該コネクタを介して通電コードに電気的に接続されている。このように商品盗難検出器の検出器本体を正常に監視対象商品に取り付けることができる。
【0019】
従ってまた、通電コードを商品盗難監視装置本体に接続することで、検出器本体の配線全体が該コネクタを介して通電コードに、さらに該通電コードを介して商品盗難監視装置本体へ接続される正常な状態が得られる。
【0020】
このように、普通には、商品盗難検出器本体が監視対象商品に正常に取り付けられるとともに該検出器本体が通電コードにより商品盗難監視装置本体に正常に接続された検出器正常取付け状態が得られるのであるが、例えばつぎのような事態では検出器取付け状態は異常となる。
【0021】
(1) 検出器本体の基板本体を商品に接着している接着剤層に抗して基板本体が商品から引き剥がされ、或いは引き剥がされようとして、基板本体下面に形成されていた配線の少なくとも何処かが分断され、配線の連続性が失われる。
(2) コネクタ保持部が無理やり基板本体から引き剥がされ、或いは引き剥がされようとして、舌片がコネクタから抜けてしまったり、舌片上の配線部分が分断されたりして、配線が該コネクタに接続された通電コードから分離する結果となる。
(3) 舌片が切断される。
(4) 通電コードが切断される、又は通電コードが商品盗難監視装置本体から外される。
【0022】
商品盗難監視装置本体は、このような商品盗難検出器の取付け状態異常を把握して予め定められた異常報知動作を実行する。
かくして、上記のような異常事態を発生させる人物により監視対象商品が万引きされたり、盗まれたりしたことを、或いは万引きされようとしたり、盗まれようとしていることを知ることができる。
【0023】
本発明に係る商品盗難検出器では、検出器本体を構成しているフィルム基板は可撓性のスィルム基板である。従って、該フィルム基板における基板本体も可撓性を有している。さらに、コネクタ保持部は該基板本体上面に接着されているものの、該上面に全面的に接着されているのではなく部分的に接着されている。換言すれば、基板本体のコネクタ保持部が接着された部分を除いた部分では可撓性が維持され、撓めることができる状態である。
【0024】
従って、検出器本体を監視対象商品に取り付けるべく、基板本体をその下面側の接着剤層にて商品へ貼着するとき、貼着対象部分として、商品の平坦面部分は勿論のこと、曲面部分も選択範囲にいれることができる。それ故、商品盗難検出器は、それだけ商品への取付けの自由度が大きく、それだけ使い易い。ひいては、かかる商品盗難検出器を採用する本発明に係る商品盗難監視装置は、装置全体としてそれだけ使い易いものとなる。
【0025】
また、本発明に係る商品盗難検出器は、従来のように開閉スイッチを搭載したものではないので、小型化、軽量化でき、展示される商品へ取り付けたとき、見苦しさがそれだけ減じられるとともに顧客が該商品を手にとって見やすい、という利点もある。
【0026】
本発明に係る商品盗難検出器においては、前記配線の前記舌片下面上に形成されている部分のうち、該舌片の片持ち支持端部から前記コネクタに至るまでの部分を電気絶縁性フィルムで覆っておいてもよい。
【0027】
前記コネクタとしては、小型、軽量のものとして、前記舌片自由端部を差し込むことで該舌片自由端部の前記第1及び第2の部位上の配線両端部が前記通電コードに電気的に接続されるコネクタを例示できる。
【0028】
このタイプのコネクタを採用する場合、前記可撓性フィルム基板を、前記舌片の前記コネクタへの差し込み接続方向に長い長方形状を呈するものとし、前記コネクタ保持部は、該舌片のコネクタへの差し込み方向においてコネクタよりも前方又は後方で前記基板本体上面に接着してもよい。
【0029】
このようにすると、基板本体をその長手方向を利用して撓ませやすく、商品の検出器貼着対象面が湾曲面のとき、その面に基板本体を貼着し易い。
【0030】
本発明に係る商品盗難検出器はその検出器本体に、該検出器本体の監視対象商品への取付け状態異常において前記商品盗難監視装置本体の指示に基づいて警報動作する警報器を備えていてもよい。
【0031】
そのような警報器は、音による警報を発するブザー、光による警報を発するランプ等による様々の警報器を採用できるが、検出器の小型化、軽量化を図うえで、代表例として発光ダイオードを挙げることができる。
【0032】
前記の商品盗難監視装置本体は、自身に接続された商品盗難検出器の検出器本体の監視対象商品に対する取付け状態の異常を把握して予め定めた異常報知を行うものであるが、かかる異常報知の手段として、例えば、音、光、振動、これらのうち2異常の組み合わせを利用した警報器を挙げることができる。また、商品盗難監視装置本体は検出器の取付け状態異常を記録するための情報を発信したり、記録する部分等を含むこともできる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように本発明によると、監視対象商品に付設して該商品の盗難検出を行うための商品盗難検出器であり、該検出器の商品上の取付け部分として、商品の平坦面部分は勿論のこと、曲面部分も選択範囲に入れることができ、従来の同種の検出器と比べると商品への取付けの自由度が大きく、それだけ使い易い商品盗難検出器を提供することができる。
【0034】
また本発明によると、監視対象商品に付設される商品盗難検出器と、該検出器が接続される商品盗難監視装置本体とを含む商品盗難監視装置であって、少なくとも一つの商品盗難検出器は、該検出器の商品上の取付け部分として、商品の平坦面部分は勿論のこと曲面部分も選択範囲に入れることができ、従来の同種の検出器と比べると商品への取付けの自由度が大きく、従って、監視装置全体としてもそれだけ使い易い商品盗難監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る商品盗難監視装置の1例の使用状態例を示す図である。
【図2】図1の盗難監視装置における、本発明に係る商品盗難検出器の1例の側面図である。
【図3】図2に示す検出器の平面図である。
【図4】検出器本体の可撓性フィルム基板に配線を形成する手順を示す図である。
【図5】図4の(C)に示されるフィルム基板を上面側からみた図である。
【図6】フィルム基板の舌片をコネクタ保持部に差し込み接続する直前の状態の側面図である。
【図7】図1に示す商品盗難監視装置の回路の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に、本発明に係る商品盗難監視装置例の使用状態例を示す。
【0037】
図1に示す商品盗難監視装置100は、商品盗難監視装置本体Xと、これに接続される複数の商品盗難検出器Yとからなっている。
【0038】
図2は商品盗難検出器Yの側面図であり、図3は同検出器Yの平面図である。
各商品盗難検出器Yは、検出器本体1と、本体1を監視装置本体Xのコネクタ部cに接続する通電コード2とを含んでいる。
【0039】
図1に示す例では、監視対象商品は照明灯G1、フアンG2及び時計G3である。 照明灯G1では外周面に検出器本体1が貼着されている。
ファンG2は正面及び背面に通気孔が形成されているので、凹湾曲を呈している上面に検出器本体1が貼着されている。 時計G3は全体が球形状のもので、その外曲面の一部に検出器本体1が貼着されている。
【0040】
商品盗難監視装置100による監視対象商品はこれらに限られるものではない。
検出器本体1は商品の平坦面部分にも貼着可能である。
監視対象可能商品の数は図示のような3個に限定されるのもではない。図1に示す監視装置本体は10個の通電コード接続用のコネクタ部分cを備えているので、監視対象商品を10個まで増やせる。
【0041】
図1に示す監視装置本体Xの天井壁に設けられているBzはブザーであり、Ltは報知ライトであり、これらは、監視対象商品への後述する検知器取付け異常を報知する警報装置WAを構成している。
【0042】
図2及び図3に示すように、検出器本体1は、可撓性フィルム基板11及びコネクタ保持部12を含んでいる。
可撓性フィルム基板11は、基板本体111と該本体に一体的に連設されて片持ち支持された舌片112とを含んでいる。基板11は長方形状を呈している。舌片112は、基板11の中央部を舌片112の外輪郭に沿って、舌片の片持ち支持端112’を残して切断して形成されている。
舌片112は、これを撓めて自由端部112fを基板本体111上方へ持ち上げることができる。
【0043】
図3に示すように、基板本体111の下面と舌片112の下面にわたり連続して配線Lが形成されている。図4は配線Lを設ける手順を示している。先ず図4(A)に示すように、基板本体111の下面に予め下地インキikを塗布し、そのインキ膜の上から配線Lが導電性ペーストの塗布にて形成されている。下地インキikは、基板本体111における、舌片112を取り囲む矩形域111aを残して基板本体111下面に塗布されている。
【0044】
配線Lは、図4(A)に示すように、舌片自由端部112fの第1部位f1から始まり、舌片112に沿って基板本体111へ向かい、基板本体111において該本体外周に沿って一周するかのようにループを描いた後再び舌片112に沿って舌片自由端部112fの第2部位f2へ至っている。
【0045】
図4(B)に示すように、配線Lのうち舌片112上に形成された部分は導電性膜F1で被覆されている。さらに、図4(C)に示すように、配線Lのうち舌片112上に形成された部分のうち、舌片の片持ち支持端部112’辺りから自由端部112fに至るまでの部分が前記導電性膜F1を介して電気絶縁性膜F2で被覆されている。
【0046】
図4には示していないが、図2に示すように、配線Lのうち基板本体111に形成されている部分を覆って、基板本体111の、舌片112を囲む前記中央域111aを除く部分に全面的に両面接着剤層F3が設けられている。検出器Yが未使用状態では、接着剤層F3に剥離シートS1が被せられている。
【0047】
本例における以上説明したフィルム基板11等の材質等は以下のとおりである。
可撓性フィルム基板11:ポリエチレンテレフタレート(東レ X30)
下地インキik:帝国インキ製 インキVG/13
配線L:銀ペースト(アサヒ化学研究所 LS−415M−C)
導電性膜F1:カーボンペースト(十条ケミカル CH−10)
絶縁性膜F2:レジスト膜(十条ケミカル IN10C)
両面接着剤層F3:両面接着テープ(コニシ WF773)
【0048】
図5は図4(C)に示す、下面に配線Lを形成したフィルム基板11を上側から見た図である。図5に示すように、基板本体111上面の、舌片自由端部112fのさらに前方域に両面接着剤層F4(本例では両面接着テープ(日本ポリマー 12−541))が設けられている。
【0049】
前記コネクタ保持部12には、通電コード2が接続された舌片接続用コネクタ121を搭載してある。コネクタ保持部12には警報器として発光ダイオードLED(LED1、LED2又はLED3)も搭載してある。
【0050】
図6に示すように、コネクコ保持部12を、舌片112及び両面接着剤層F4の上方からそれらに近づけて舌片112の自由端部112fをコネクタ121の差し込み口121’へ差し込み接続するとともに保持部12を接着剤層F4にて基板本体111上面に接着することで、図2に示す商品盗難検出器Yが形成されている。
【0051】
図7は商品盗難監視装置100の回路の一部を示す図である。
図7に示すとおり、各検出器Yの通電コード2は3本のラインからなっている。そのうち2本のライン(端子21、22を有するライン)が前記コネクタ保持部12に搭載されたコネクタ121を介してフィルム基板11上の連続配線Lの両端と通電可能状態にある。発光ダイオードLED(LED1、LED2又はLED3)には共通ライン(端子22を有するライン)と残りのライン(端子23を有するライン)が接続されている。
【0052】
各検出器Yの通電コード2はその自由端部のコネクタピン210を、図1に示すように監視装置本体Xのピンコネクタ部cに差し込むことで、監視装置本体中回路に接続される。図7でも、各検出器Yの通電コード2のピン210が監視装置本体Xのコネクタ部cに差し込み接続されている状態が示されている。
通電コード2のコネクタピン210は3端子(21、22、23)を有している。監視装置本体Xのコネクタ部cは4端子有している。ピン210の端子のうち発光ダイオードからくるラインの端子23はコネクタ部cの、抵抗R3につながる端子とTr3につながる端子とに接続可能である。ピン210をコネクタ部cから抜くと、コネクタ部cの各端子は開放される。
図7の回路動作については後述する。
【0053】
以上説明した商品盗難検出器Y及び商品盗難監視装置100によると、商品盗難検出器Yの検出器本体1を構成している可撓性フィルム基板11の基板本体111及び舌片112にわたる配線Lを覆っている両面接着剤層F3で基板本体111を図1に例示するように監視対象商品(G1、G2、G3等)の所望部位に貼着するとともに検出器本体1を通電コード2にて商品盗難監視装置本体Xへ接続して用いることができる。
【0054】
このように可撓性フィルム基板本体111が両面接着剤層F3で商品の所望部位に貼着された状態では、舌片112が基板本体111上面に接着されたコネクタ保持部12における舌片接続用コネクタ121に接続されており、舌片自由端部の第1、第2の部位にそれぞれ位置する配線Lの一端部及び他端部がコネクタ121を介して通電コード2に電気的に接続されている。このように商品盗難検出器Yの検出器本体1を正常に監視対象商品に取り付けることができる。
【0055】
従ってまた、通電コード2を商品盗難監視装置本体Xに接続することで、検出器本体1の配線Lの全体がコネクタ121を介して通電コード2に、さらに該通電コード2を介して商品盗難監視装置本体Xへ接続される正常な状態が得られる。
【0056】
このように、普通には、商品盗難検出器本体1が監視対象商品に正常に取り付けられるとともに検出器本体1が通電コード2により商品盗難監視装置本体Xに正常に接続された検出器正常取付け状態が得られるのであるが、例えばつぎのような事態では検出器取付け状態は異常となる。
【0057】
(1) 検出器本体1の基板本体111を商品に接着している接着剤層F3に抗して基板本体111が商品から引き剥がされ、或いは引き剥がされようとして、基板本体下面に形成されていた配線Lの少なくとも何処かが分断され、配線Lの連続性が失われる。
(2) コネクタ保持部12が無理やり基板本体111から引き剥がされ、或いは引き剥がされようとして、舌片112がコネクタ121から抜けてしまったり、舌片112上の配線部分が分断されたりして、配線Lがコネクタ121に接続された通電コード2から分離する結果となる。
(3) 舌片112が切断される。
(4) 通電コード2が切断される、又は通電コード2が商品盗難監視装置本体Xから外される。
【0058】
なお、基板本体111を商品に接着している接着剤層F3に抗して基板本体111が商品から引き剥がされ、或いは引き剥がされようとすると、基板本体下面に形成されていた配線Lの少なくとも何処かが分断されるように、配線L及び接着剤層F3等が形成されている。
【0059】
商品盗難監視装置本体Xは、このような商品盗難検出器Yの取付け状態異常を把握して予め定められた異常報知動作を実行する。
かくして、上記のような異常事態を発生させる人物により監視対象商品が万引きされたり、盗まれたことを、或いは万引きされようとしたり、盗まれようとしていることを知ることができる。
【0060】
次に、監視装置本体Xが検出器Yの監視対象商品への取付け状態の異常の情報を検出器Yから把握すると実行する報知動作等について図7の回路図を参照して説明する。
【0061】
図7において、PWは電源、Contは全体の制御を行うコントローラ、WAは前記の警報装置、Tr1はPNP型トランジスタ、Tr2〜Tr7はいずれもNPN型トランジスタ、R1及びR2はそれぞれ抵抗である。
【0062】
図7において各商品盗難検出器Yとそれが関係する監視装置本体X中の回路部分の動作はいずれも同じであるから、ここでは、一番左側の商品盗難検出器Yとそれに関係する監視装置本体X中の回路部分CLについて説明し、他の部分の説明は省略する。
【0063】
PNP型トランジスタTr1とNPN型トランジスタTr2〜Tr7ではベースBに入る信号の極性により動作が逆になる。PNP型のTr1ではベースBに負の信号が入ったときのみオン状態になり、NPN型トランジスタTr2〜Tr7ではベースBに正の信号が入ったときのみオン状態になる。
【0064】
検出器Yが商品及び監視装置本体Xに対して正常取付け状態にあるときは、検出器Yにおける配線Lは連続して通電コード2につながっており、コード2も切断されたり、抜かれたりしていない。
【0065】
この状態でコントローラContから予め定められた一定周期で正負が切り替わる制御パルスが出力される。コントローラContからTr1のベースに正のパルス、Tr2のベースに正のパルス、Tr3のベースに負のパルスが入力されるとき、Tr1、Tr3はオフになり、Tr2はオンになる。
【0066】
このとき、LED1はオフで、点灯しておらず、回路部分CL中に符号a、bで示す部位の電位が、それぞれコントローラContに検出される。コントローラContに検出される電位が予め定めた範囲内の電位であれば、既述の正常な状態である。
【0067】
しかし、何人かが既述の異常な状態を引き起こすと、前記回路部分CL中に符号a、bで示す部位の電位が前記予め定めた範囲外の電位となり、これがコントローラContに検出され、コントローラContは、警報装置WAに異常を報知させる。
【0068】
また、このとき、コントローラContから、一定周期で正負が切り替わる制御パルスが出力されており、Tr1、Tr2のベースに負のパルスが、Tr3のベースに正のパルスがそれぞれ入力されるとき、Tr1、Tr3がオンになり、Tr2はオフになり、発光ダイオードLED1の回路に電流が流れてLED1が点滅し(但し、コード2が本体Xから外されたり、切断されたりしていない場合)、これにより異常な状態にある検出器Yを報知させる。
【0069】
このようにして、監視装置本体Xに接続された検出器Yのうちいずれかにおいて万引き等による異常が発生すると、これを検知することができ、商品盗難監視を行える。
なお、監視装置本体Xの使用していないコネクタ部cについては、コントローラContがTr1、Tr3に正のパルスを、Tr2に負のパルスを入力し、Tr1、Tr2をオフ、Tr3をオンにするとき、回路部分CL中の符号bで示す部分の電位が予め定めた範囲内にあれば、そのコネクタ部cを使用していないものとみなし、商品盗難監視動作より除外する。
【0070】
以上説明した商品盗難検出器Yにおける基板11は可撓性のフィルム基板である。従って、フィルム基板11における基板本体111も可撓性を有している。さらに、コネクタ保持部12は基板本体上面に接着剤層F4で接着されているものの、該上面に全面的に接着されているのではなく部分的に接着されている。換言すれば、基板本体111のコネクタ保持部12が接着された部分を除いた部分では可撓性が維持され、撓めることができる状態である。
【0071】
従って、検出器本体1を監視対象商品に取り付けるべく、基板本体111をその下面側の接着剤層F3にて商品へ貼着するとき、商品の平坦面部分は勿論のこと、曲面部分も選択範囲にいれることができる(図1参照)。それ故、商品盗難検出器Yは、それだけ商品への取付けの自由度が大きく、それだけ使い易い。ひいては、かかる商品盗難検出器Yを採用する商品盗難監視装置100は、装置全体としてそれだけ使い易い。
【0072】
また、商品盗難検出器Yは、従来のように開閉スイッチを搭載したものではないので、小型化、軽量化でき、展示される商品へ取り付けたとき、見苦しさがそれだけ減じられるとともに顧客が該商品を手にとって見やすい、という利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、商品への取付けの自由度が大きく、それだけ使い易い商品盗難検出器及びそれを利用した商品盗難監視装置を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0074】
100 商品盗難監視装置
X 商品盗難監視装置本体
c 通電コード接続用コネクタ部
WA 警報装置
Bz ブザー
Lt ライト

Y 商品盗難検出器
1 検出器本体
2 通電コード
21、22、23 通電コード中のライン
G1 照明灯
G2 フアン
G3 時計
11 可撓性フィルム基板
111 基板本体
111a 基板本体の舌片取り囲み矩形域
112 舌片
112f 舌片自由端部
f1 第1部位
f2 第2部位
112’ 舌片片持ち支持端部
L 連続配線
ik インキ
F1 導電性膜
F2 電気絶縁性膜
F3 両面接着剤層
S1 剥離シート

12 コネクタ保持部
121 舌片接続用コネクタ
121’舌片自由端部差し込み口
F4 両面接着剤層
LED、LED1、LED2、LED3 発光ダイオード

PW 電源
Cont コントローラ
Tr1 PNP型トランジスタ
Tr2〜Tr7 NPN型トランジスタ
E トランジスタのエミッタ
C トランジスタのコレクタ
B トランジスタのベース
R1、R2 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象商品に付設して該商品の盗難検出を行うための商品盗難検出器であり、
検出器本体と、該検出器本体を商品盗難監視装置本体へ接続するための通電コードとを含んでおり、検出器本体は、
基板本体と該基板本体に一体的に連設されて片持ち支持された舌片とを含む可撓性フィルム基板と、
前記基板本体下面と前記舌片下面にわたり形成され、舌片自由端部の第1部位から始まり、舌片に沿って基板本体へ向かい、基板本体においてループを描いた後再び舌片に沿って舌片自由端部の第2部位へ至る連続配線と、
該配線のうち基板本体に形成されている部分を覆って基板本体に付着された、検出器本体を監視対象商品に貼着取付けするための両面接着剤層と、
前記通電コードが接続された舌片接続用コネクタを有するコネクタ保持部とを含んでおり、
該コネクタ保持部は、前記舌片接続用コネクタに前記舌片自由端部の前記第1及び第2の部位が接続されることで該第1及び第2の部位上の配線両端部が該コネクタを介して前記通電コードに電気的に接続された状態で前記基板本体の上面に部分的に接着されており、
前記商品盗難監視装置本体は、前記検出器本体が監視対象商品に正常に取り付けられるとともに該検出器本体が前記通電コードにより自身に正常に接続された検出器正常取付け状態ではない検出器取付け状態異常が発生すると、該異常を把握して予め定めた異常報知動作を行うものであることを特徴とする商品盗難検出器。
【請求項2】
前記配線の前記舌片下面上に形成されている部分のうち、該舌片の片持ち支持端部から前記コネクタに至るまでの部分が電気絶縁性フィルムで覆われている請求項1記載の商品盗難検出器。
【請求項3】
前記コネクタは、前記舌片自由端部を差し込むことで該舌片自由端部の前記第1及び第2の部位上の配線両端部が前記通電コードに電気的に接続されるコネクタであり、
前記可撓性フィルム基板は、前記舌片の前記コネクタへの差し込み接続方向に長い長方形状を呈しており、前記コネクタ保持部は、該舌片のコネクタへの差し込み方向においてコネクタよりも前方又は後方で前記基板本体上面に接着されている請求項1又は2記載の商品盗難検出器。
【請求項4】
前記検出器本体は、該検出器本体の監視対象商品への取付け状態異常において前記商品盗難監視装置本体の指示に基づいて警報動作する警報器を備えている請求項1、2又は3記載の商品盗難検出器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の商品盗難検出器を少なくとも一つと、
該商品盗難検出器が接続される商品盗難監視装置本体とを含んでおり、
該商品盗難監視装置本体は、自身に接続された商品盗難検出器のうち少なくとも一つにおいて、該検出器の検出器本体が監視対象商品に正常に取り付けられるとともに該検出器本体が前記通電コードにより自身に正常に接続された検出器正常取付け状態ではない検出器取付け状態異常が発生すると、該異常を把握して予め定めた異常報知動作を行うものであることを特徴とする商品盗難監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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