説明

商品販売データ処理装置、入出金システムおよびプログラム

【課題】取引に掛かる時間の短縮を図ることができる環境を提供する。
【解決手段】実施形態の商品販売データ処理装置は、第1操作部と、合計金額算出手段と、送受信手段と、入金額算出手段と、決済手段と、を備える。前記合計金額算出手段は、一取引にかかる商品の合計金額を算出する。前記送受信手段は、前記第1操作部が操作されたことを条件に、自動釣銭機に在高要求コマンドを送信して、前記自動釣銭機が収納している貨幣の在高に関する在高情報を前記自動釣銭機から受信する。前記入金額算出手段は、記憶部が記憶している前回の取引の終了後の前記自動釣銭機内の貨幣の在高情報である前回在高情報と、前記在高情報と、を用いて今回の取引での前記自動釣銭機への入金額を算出する。前記決済手段は、前記入金額にて一取引の決済をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、商品販売データ処理装置、入出金システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、POS端末と自動釣銭機とを備え、一取引の商品の預かり金の金額を自動釣銭機で計数し、その預かり金額をPOS端末での決済処理に用いる入出金システムが知られている。
【0003】
このような入出金システムでは、まず、POS端末が、スキャナ等の操作によって商品コードが入力された商品の合計金額を算出する。その後、POS端末は、計数開始キーの操作を受け付けると、自動釣銭機に対して、貨幣の計数開始を指示する計数開始コマンドを送信する。自動釣銭機は、計数開始コマンドを受信した後に、入金される貨幣の入金枚数の計数を開始する。自動釣銭機は、計数結果に基づいて入金額を算出して、算出した入金額をPOS端末に送信する。そして、POS端末は、受信した入金額を用いて決済を行う。このような入出金システムは、一取引の商品の預かり金を自動釣銭機が計数するので、店員が計数する場合に比べて、正確に計数できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、POS端末で全ての商品コードが入力されて商品の合計金額が算出された後に自動釣銭機に入金された貨幣を、入金額として用いるため、取引に掛かる時間が長くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の商品販売データ処理装置は、収納している貨幣の在高に関する在高情報を在高要求コマンドに応じて送信する自動釣銭機に、通信可能に接続される。実施形態の商品販売データ処理装置は、操作を受ける第1操作部と、受付手段と、合計金額算出手段と、送受信手段と、入金額算出手段と、決済手段と、更新手段と、を備える。前記受付手段は、一取引にかかる商品の識別情報の入力を受け付ける。前記合計金額算出手段は、前記識別情報の入力が受け付けられた一取引にかかる商品の合計金額を、算出する。前記送受信手段は、前記第1操作部が操作されたことを条件に、前記自動釣銭機に前記在高要求コマンドを送信して前記在高情報を受信する。前記入金額算出手段は、前回の取引の終了後の前記自動釣銭機内の貨幣の在高情報である前回在高情報を記憶した記憶部が記憶している前記前回在高情報と、前記送受信手段が受信した前記在高情報と、を用いて今回の取引での前記自動釣銭機への入金額を算出する。前記決済手段は、前記入金額が前記合計金額以上であるか否かを判定し、前記入金額が前記合計金額以上であるとき、前記入金額にて一取引の決済をする。前記更新手段は、今回の取引終了時での前記自動釣銭機の前記在高情報を得て、当該在高情報を前記前回在高情報として前記記憶部に記憶させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態にかかる入出金システムを示す外観斜視図である。
【図2】図2は、実施形態にかかるPOS端末を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施形態にかかるPOS端末のRAMの前回在高情報記憶エリアを示す模式図である。
【図4】図4は、実施形態にかかるPOS端末のキーボードを示す図である。
【図5】図5は、実施形態にかかる自動釣銭機の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、実施形態にかかる自動釣銭機が実行する入出金処理のフローチャートである。
【図7】図7は、実施形態にかかる会計処理におけるPOS端末の機能構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、実施形態にかかるPOS端末が実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる商品販売データ処理装置、入出金システムおよびプログラムを詳細に説明する。
【0008】
図1に示すように、入出金システム1は、商品販売データ処理装置であるPOS(Point of Sales:販売時点管理)端末10と、このPOS端末10に通信ケーブル(図示せず)を介して接続された自動釣銭機100と、を備えている。
【0009】
POS端末10は、キーボード32、モードスイッチ33、操作者用表示器34、客用表示器35、コードスキャナ36およびサーマルプリンタ37等を備えている。操作者用表示器34には、入力装置としてのタッチパネル43が積層して取り付けられている。また、POS端末10は、上記各部を制御するコンピュータとしての制御部31(図2参照)を備えている。
【0010】
図2に示すように、制御部31は、CPU(Central Processing Unit)38と、ROM(Read Only Memory)40と、記憶部としてのRAM(Random Access Memory)41と、タイマ42と、を有している。ROM40、RAM41およびタイマ42は、アドレスバス、データバス等のバスライン39を介してCPU38に接続されている。CPU38は、POS端末10の各部を集中的に制御する。ROM40は、各種プログラムや各種データを記憶している。RAM41は、売上バッファや印字バッファ等の各種バッファを構成して各種データを書き換え自在に記憶する。タイマ42は、日時等を計時する。
【0011】
また、RAM41は、図3に示すように、前回在高情報記憶エリア41aを有する。前回在高情報記憶エリア41aは、前回の取引の終了後の自動釣銭機100内の貨幣の在高情報である前回在高情報を記憶している。在高情報は、本実施形態では、自動釣銭機100内の貨幣の金種別の枚数である。POS端末10の起動時には、POS端末10の起動時の自動釣銭機100の在高情報が前回在高情報記憶エリア41aに格納されるようになっている。なお、在高情報は、自動釣銭機100内の貨幣の合計金額であっても良い。
【0012】
次に、制御部31によって駆動制御される各部を説明する。
【0013】
キーボード32は、図4に示すように、操作を受ける各種の操作キーを有している。各種の操作キーとしては、例えば、置数キー32a、一取引の代金を現金決済することを宣言する預/現計キー32b、在高要求コマンドの送信を指示する入金確定キー32d等がある。本実施形態では、入金確定キー32dが第1操作部に相当し、預/現計キー32bが第2操作部に相当する。キーボード32は、キーボードコントローラ68を介してバスライン39に接続され、操作された操作キーに応じた信号をキーボードコントローラ68の動作によって制御部31に入力する。
【0014】
モードスイッチ33は、モードスイッチコントローラ69を介してバスライン39に接続され、モードスイッチコントローラ69の動作によって切り替え位置に応じた信号を制御部31に入力する。制御部31は、モードスイッチ33からの出力信号に応じて、POS端末10の動作モードを登録モード、設定モード、精算モード、点検モード等の各業務モードに設定する。なお、POS端末10の動作モードの切り替えは、モードスイッチ33というハードウェアの切り替え位置に応じた出力信号によって制御するものに限るものではなく、マウス等のポインティングデバイスによる画面上に表示されている各動作モードを示すボタンの操作に応じて制御するようなソフトウェアでも良い。
【0015】
操作者用表示器34および客用表示器35は、表示コントローラ70,71を介してバスライン39に接続され、制御部31からの表示データが表示コントローラ70,71に入力されると、表示コントローラ70,71に駆動されて所定事項を表示する。
【0016】
タッチパネル43は、操作者によってタッチされたパネル上のXY座標の位置を認識して座標データを取得する。タッチパネル43は、パネルコントローラ44を介してバスライン39に接続され、取得した座標データに応じた信号をパネルコントローラ44の動作によって制御部31に入力する。
【0017】
コードスキャナ36は、商品に付されたバーコード等の商品コードを光学的に読み取るもので、スキャナコントローラ72を介してバスライン39に接続され、読み取った商品コードのデータをスキャナコントローラ72の動作によって制御部31に送信する。
【0018】
サーマルプリンタ37は、プリンタコントローラ73を介してバスライン39に接続され、制御部31によって駆動制御される。このサーマルプリンタ37は、カッタ部(図示せず)を有している。サーマルプリンタ37は、制御部31によって駆動制御されて、図示しない長尺紙であるレシート用紙にレシートとしての必要事項を印字し、これを切断してレシートとして発行する。
【0019】
また、CPU38には、通信ケーブルを介して自動釣銭機100に接続され自動釣銭機100との間のデータ通信を司る通信インタフェース74が、バスライン39に接続されており、通信インタフェース74は制御部31によって駆動制御される。
【0020】
CPU38に接続されたバスライン39には、HDD(Hard Disk Drive)55がHDDコントローラ56を介して接続されている。HDD55は、制御部31を動作させるコンピュータプログラムの他に、商品マスタファイル、売上データ等を記憶する売上ファイル等を記憶している。商品マスタファイルは、商品毎に商品名や単価等を記憶するファイルであり、詳細には、商品識別コードに対応付けして商品名や単価等を記憶する。なお、上述のコンピュータプログラム、商品マスタファイル、売上データ等を記憶する記憶装置としては、HDD55に限るものではなく、例えばCF(Compact Flash:コンパクトフラッシュ(登録商標))やSSD(Solid State Drive)等であっても良い。また、この記憶装置は、POS端末10が備えるものであっても良いし、POS端末10の外部に設置された外部記憶装置であっても良い。
【0021】
HDD55に格納されたコンピュータプログラムは、POS端末10の起動時に商品マスタファイル等の各種ファイルとともにHDDコントローラ56の動作によってRAM41に書き込まれ、これによって制御部31による各部の駆動制御が可能な状態となる。
【0022】
自動釣銭機100は、図5に示すように、硬貨を入出金する硬貨入出金部101と、紙幣を入出金する紙幣入出金部102と、制御部103と、を備えている。
【0023】
硬貨入出金部101は、硬貨入金口111と、硬貨選別機構112と、硬貨収納部113、硬貨出金機構114と、硬貨出金口115と、を備えている。
【0024】
硬貨入金口111は、硬貨を受け入れる。硬貨選別機構112は、硬貨入金口111が受け入れた硬貨を、金種別に選別する。硬貨収納部113は、硬貨選別機構112が選別した硬貨を、金種別に収納する。硬貨出金機構114は、硬貨収納部113に収納された硬貨を、金種別に一枚ずつ出金する。硬貨出金口115は、硬貨収納部113から出金された硬貨を受ける。硬貨入金口111および硬貨出金口115は、図1に示すように、自動釣銭機100の筐体104の前部(正面部)に設けられている。
【0025】
また、硬貨入出金部101は、硬貨入金センサ116、硬貨収納センサ117、硬貨出金センサ118と、を備えている。硬貨入金センサ116は、硬貨入金口111に硬貨が入金されたことを検出する。硬貨収納センサ117は、硬貨収納部113に収納される硬貨を金種別に一枚ずつ検出する。硬貨出金センサ118は、硬貨収納部113から出金される硬貨を金種別に一枚ずつ検出する。
【0026】
紙幣入出金部102は、紙幣入金口131と、紙幣選別機構132と、紙幣収納部133、紙幣出金機構134と、紙幣出金口135と、を備えている。
【0027】
紙幣入金口131は、紙幣を受け入れる。紙幣選別機構132は、紙幣入金口131が受け入れた紙幣を、金種別に選別する。紙幣収納部133は、紙幣選別機構132が選別した紙幣を、金種別に収納する。紙幣出金機構134は、紙幣収納部133に収納された紙幣を、金種別に一枚ずつ出金する。紙幣出金口135は、紙幣収納部133から出金された紙幣を受ける。紙幣入金口131および紙幣出金口135は、図1に示すように、自動釣銭機100の筐体104の前部(正面部)に設けられている。
【0028】
また、紙幣入出金部102は、紙幣入金センサ136、紙幣収納センサ137、紙幣出金センサ138と、を備えている。紙幣入金センサ136は、紙幣入金口131に紙幣が入金されたことを検出する。紙幣収納センサ137は、紙幣収納部133に収納される紙幣を金種別に一枚ずつ検出する。紙幣出金センサ138は、紙幣収納部133から出金される硬貨を金種別に一枚ずつ検出する。
【0029】
制御部103は、CPU、ROM、RAM等を備えている。制御部103には、上述した、硬貨選別機構112、硬貨出金機構114、硬貨入金センサ116、硬貨収納センサ117、硬貨出金センサ118、紙幣選別機構132、紙幣出金機構134、紙幣入金センサ136、紙幣収納センサ137および紙幣出金センサ138等が接続されている。また、制御部103には、各種データを書き換え可能に記憶する不揮発性の記憶部151や、POS端末10とデータ通信を行う通信インタフェース152が接続されている。記憶部151は、自動釣銭機100が収納している貨幣の在高に関する在高情報を書き換え可能に記憶する。貨幣の在高情報は、本実施形態では、硬貨収納部113および紙幣収納部133内の金種毎の貨幣収納枚数である。
【0030】
制御部103は、硬貨入金センサ116、硬貨収納センサ117、硬貨出金センサ118、紙幣入金センサ136、紙幣収納センサ137および紙幣出金センサ138の検出結果を用いて、記憶部151に記憶されている在高情報を更新する。
【0031】
次に、自動釣銭機100が行う入出金処理について説明する。図6に示すように、自動釣銭機100の制御部103のCPUは、貨幣の入金や出金コマンドの受信、在高要求コマンドの受信を待つ(ステップS101のNo、ステップS103のNo、ステップS105のNo)。自動釣銭機100のCPUは、硬貨入金センサ116や紙幣入金センサ136の検出結果から入金があったと判定した場合(ステップS101のYes)、入金処理を実行する(ステップS102)。入金処理では、自動釣銭機100のCPUは、硬貨入金センサ116の検出結果から硬貨入金口111に入金があったと判定した場合、硬貨選別機構112を規定時間だけ駆動する。この規定時間は、当該規定時間だけ硬貨選別機構112が動作することで、硬貨入金口111の硬貨が硬貨選別機構112の動作によって硬貨収納部113に収納されるのに十分な時間として設定されている。また、自動釣銭機100のCPUは、紙幣入金センサ136の検出結果から紙幣入金口131に入金があったと判定した場合には、紙幣選別機構132を規定時間だけ駆動する。この規定時間は、当該規定時間だけ紙幣選別機構132が動作することで、紙幣入金口131の紙幣が紙幣選別機構132の動作によって紙幣収納部133に収納されるのに十分な時間として設定されている。
【0032】
自動釣銭機100のCPUは、POS端末10から出金コマンドを受信した場合(ステップS103のYes)、出金処理を実行する(ステップS104)。出金処理では、自動釣銭機100のCPUは、出金コマンドに含まれている金種別の出金枚数に応じて、硬貨出金機構114や紙幣出金機構134を駆動して、硬貨出金機構114や紙幣出金機構134に貨幣を出金させる。この際、自動釣銭機100のCPUは、硬貨出金センサ118や紙幣出金センサ138の検出結果を計数し、出金コマンドに含まれている金種別の出金枚数分だけ出金するまで硬貨出金機構114や紙幣出金機構134の駆動を続け、出金コマンドに含まれている金種別の出金枚数分だけ出金したと判断した場合、硬貨出金機構114や紙幣出金機構134の駆動を停止する。
【0033】
自動釣銭機100のCPUは、在高要求コマンドを受信した場合(ステップS105のYes)、入出金動作中でなければ(ステップS106のNo)、在高情報を在高要求コマンドに応じて送信する(ステップS107)。詳細には、記憶部151に記憶されている在高情報(金種毎の収納枚数)を読み出し、その読み出した在高情報を、現時点における自動釣銭機100内の在高情報として通信インタフェース152を介してPOS端末10に送信する。一方、自動釣銭機100のCPUは、在高要求コマンドを受信した場合(ステップS105のYes)であっても、入出金動作中のときには(ステップS106のYes)、在高情報を送信しない。
【0034】
次に、以上説明した構成の入出金システムが、百貨店等の店舗において、商品の売り場から離れた会計場所に設置された場合について説明する。この場合、当該店舗では、以下の運用を実施するものとする。まず、店員が、商品の売り場において、客が購入を希望する商品の合計金額を電卓等で計算しその合計金額を客に示し、客から代金を預かる。次に、店員が、会計場所に移動して、客からの預かり金を全て自動釣銭機100に入金する。そして、店員が、自動釣銭機100の入金動作と並行して、POS端末10で商品の登録作業を行う。
【0035】
この際のPOS端末10のCPU38がプログラムに従って実行する販売登録処理を説明する。POS端末10のCPU38は、プログラムに従うことにより、図7に示すように、受付手段81と、登録手段82、合計金額算出手段83と、送受信手段84と、入金額算出手段85と、決済手段86と、釣銭金額算出手段87と、出金コマンド送信手段88と、更新手段90と、を機能部として実現する。
【0036】
次に、販売登録処理を図8を参照して説明する。CPU38は、まず、受付手段81として動作して、コードスキャナ36やキーボード32からの一取引にかかる商品の識別情報である商品コードの入力を待つ(ステップS201のNo)。CPU38は、受付手段81として動作して、一取引にかかる商品の商品コードの入力を受け付けると(ステップS201のYes)、次に、登録手段82として動作して、商品コードを受け付けた商品を登録する(ステップS202)。詳細には、CPU38は、商品コードを受け付けた商品の商品情報を、商品マスタファイルから読み出す。商品情報には、商品名、単価等が含まれる。そして、CPU38は、読み出した商品情報を用いて当該商品の販売データを作成し、この販売データをRAM41に記憶させることで当該商品の販売登録を行う。販売データには、商品名や単価が含まれる。また、CPU38は、商品の商品情報のうち単価等を操作者用表示器34および客用表示器35に表示させる。CPU38は、入金確定キー32dcおよび預/現計キー32bが操作されない場合(ステップS203のNo、ステップS209のNo)、新たに商品コードが入力される毎にステップS202の処理を繰り返し行う。
【0037】
CPU38は、入金確定キー32dが操作された場合(ステップS203のYes)、合計金額算出手段83として動作して、受付手段81が商品コードの入力を受け付けた一取引にかかる商品(販売登録した商品)の合計金額を、算出する(ステップS204)。そして、CPU38は、算出した合計金額をRAM41に記憶させるとともに、操作者用表示器34および客用表示器35に表示させる。
【0038】
次に、CPU38は、送受信手段84として動作して、在高要求コマンドを自動釣銭機100に送信し(ステップS205)、自動釣銭機100から在高情報を受信するのを待つ(ステップS206のNo)。CPU38は、在高情報を受信する(ステップS206のYes)まで、規定間隔で在高要求コマンドを繰り返し送信する。このように、送受信手段84としてのCPU38は、第1操作部である入金確定キー32dが操作されたのを条件に、自動釣銭機100に在高要求コマンドを送信して在高情報を受信する。また、第2操作部である預/現計キー32bが操作を受ける前は、第1操作部である入金確定キー32dが操作される毎に、CPU38が、送受信手段84として動作して、自動釣銭機100に在高要求コマンドを送信して在高情報を受信する。
【0039】
CPU38は、自動釣銭機100から在高情報を受信したならば(ステップS206のYes)、入金額算出手段85として動作して、今回の取引での自動釣銭機100への入金額を算出する(ステップS207)。詳細には、CPU38は、RAM41が記憶している前回在高情報と、送受信手段84として動作して受信した在高情報と、を用いて今回の取引での自動釣銭機100への入金額を算出する。より、詳細には、CPU38は、受信した在高情報を用いて現在の自動釣銭機100内の貨幣の合計金額を算出するとともに、RAM41に記憶されている前回在高情報に基づいて前回取引終了時の自動釣銭機100内の貨幣の合計金額を算出する。そして、現在の自動釣銭機100内の貨幣の合計金額から前回取引終了時の自動釣銭機100内の貨幣の合計金額を引くことで、今回の取引での自動釣銭機100への入金額を求める。CPU38は、算出した入金額を、RAM41に記憶させるとともに、操作者用表示器34および客用表示器35に表示させる。
【0040】
次に、CPU38は、入金確定キー32dや預/現計キー32bが操作されるのを待つ(ステップS208のNo、ステップS209のNo)。CPU38は、再び、入金確定キー32dが操作された場合(ステップS208のYes)、ステップS205からステップS207までの処理を繰り返し行う。この場合、CPU38は、ステップS207において、RAM41に記憶させた入金額を更新する。即ち、第2操作部である預/現計キー32bが操作を受ける前は、第1操作部である入金確定キー32dが操作される毎に、送受信手段84として動作するCPU38が、自動釣銭機100に在高要求コマンドを送信し、在高情報を自動釣銭機100から受信する。
【0041】
CPU38は、ステップS207の後、預/現計キー32bが操作された場合(ステップS209のYes)、決済手段86として動作して、ステップS207で算出した入金額が代金として足りているか否かを判定し、足りていれば(ステップS210のYes)、ステップS212に進み、当該入金願にて一取引の決済を行う。代金が足りているか否かの判定では、CPU38は、ステップS207で算出した入金額がステップS204で算出した合計金額以上であるか否かを判定する。CPU38は、入金額が合計金額以上である場合には、入金額が代金として足りていると判定し、入金額が合計金額未満である場合には、入金額が代金として足りていないと判定する。ここで、決済における処理は、以降の処理での釣銭金額の算出およびレシートの発行を含む。このように、決済手段86としてのCPU38は、第2操作部である預/現計キー32bが操作されたことを条件に、決済を行う。CPU38は、入金額が代金として足りていなければ(ステップS210のNo)、ステップS211に進む。
【0042】
ステップS211では、CPU38は、操作者用表示器34に入金額が不足している旨を表示させる。
【0043】
一方、CPU38は、ステップS212に進んだ場合、釣銭金額算出手段87として動作して、入金額と合計金額とを用いて釣銭金額を算出する(ステップS212)。CPU38は、ステップS207でRAM41に記憶させた入金額から、ステップS204で算出してRAM41に記憶させた今回の取引の商品の合計金額を引くことで、釣銭金額を求める。
【0044】
CPU38は、釣銭がある場合(ステップS213のYes)、出金コマンド送信手段88として動作して、算出した釣銭金額分の貨幣の出金を指令する出金コマンドを自動釣銭機100に送信し(ステップS214)、ステップS215に進む。一方、CPU38は、釣銭が無い場合(ステップS213のNo)、出金コマンドを送信することなく、ステップS215に進む。
【0045】
ステップS215では、CPU38は、更新手段90として動作して、在高要求コマンドを、自動釣銭機100に送信し、自動釣銭機100から在高情報を受信するのを待つ(ステップS216のNo)。CPU38は、在高情報を受信する(ステップS216のYes)まで、規定間隔で、在高要求コマンドを繰り返し送信する。
【0046】
更新手段90としてのCPU38は、自動釣銭機100から在高情報を受信したならば(ステップS216のYes)、受信した在高情報を前回在高情報としてRAM41の前回在高情報記憶エリア41aに上書きして記憶させることで、前回在高情報を更新する(ステップS217)。このように、更新手段90としてのCPU38は、今回の取引終了時での自動釣銭機100の在高情報を得て、当該在高情報を前回在高情報として記憶部としてのRAM41に記憶させる。また、更新手段90としてのCPU38は、出金コマンド送信手段88として動作して自動釣銭機100に出金コマンドを送信した後に、在高要求コマンドを送信して前記在高情報を受信する。なお、釣銭が無い場合には、ステップS205での在高要求コマンドの送信によってステップS206で受信した在高情報が今回の取引終了時での自動釣銭機100の在高情報と同じであるので、ステップS206で受信した在高情報を、前回在高情報として記憶部としてのRAM41に記憶させるようにしても良い。この場合、釣銭が無いときには、ステップS215,S216の処理を行わなくて良い。
【0047】
そして、CPU38は、サーマルプリンタ37に、レシートを印字発行させる(ステップS218)。レシートには、一取引にかかる商品の名称や、単価、合計金額、預かり金額(入金額)、釣銭金額等が印字されている。
【0048】
以上、説明したとおり、本実施形態のPOS端末10によれば、一取引において、自動釣銭機100の入金動作と並行して、店員が商品コードの入力作業を行うことができる。即ち、本実施形態のPOS端末10によれば、一取引に掛かる時間の短縮を図ることができる環境を提供することができる。
【0049】
なお、本発明は、本実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、商品販売データ処理装置を、ECR(Electric Cash Register)に適用しても良い。
【0050】
また、本実施形態のPOS端末10や自動釣銭機100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されても良い。
【0051】
また、本実施形態のPOS端末10や自動釣銭機100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のPOS端末10や自動釣銭機100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0052】
以上説明したとおり、実施形態によれば、取引に掛かる時間の短縮を図ることができる環境を提供することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…入出金システム
10…POS端末(商品販売データ処理装置)
32b…預/現計キー(第2操作部)
32d…入金確定キー(第1操作部)
41…RAM(記憶部)
81…受付手段
83…合計金額算出手段
84…送受信手段
85…入金額算出手段
86…決済手段
87…釣銭金額算出手段
88…出金コマンド送信手段
90…更新手段
100…自動釣銭機
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特許第4128244号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納している貨幣の在高に関する在高情報を在高要求コマンドに応じて送信する自動釣銭機に、通信可能に接続される商品販売データ処理装置であって、
操作を受ける第1操作部と、
一取引にかかる商品の識別情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記識別情報の入力が受け付けられた一取引にかかる商品の合計金額を、算出する合計金額算出手段と、
前記第1操作部が操作されたことを条件に、前記自動釣銭機に前記在高要求コマンドを送信して前記在高情報を受信する送受信手段と、
前回の取引の終了後の前記自動釣銭機内の貨幣の在高情報である前回在高情報を記憶した記憶部が記憶している前記前回在高情報と、前記送受信手段が受信した前記在高情報と、を用いて今回の取引での前記自動釣銭機への入金額を算出する入金額算出手段と、
前記入金額が前記合計金額以上であるか否かを判定し、前記入金額が前記合計金額以上であるとき、前記入金額にて一取引の決済をする決済手段と、
今回の取引終了時での前記自動釣銭機の前記在高情報を得て、当該在高情報を前記前回在高情報として前記記憶部に記憶させる更新手段と、
を備えることを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記入金額と前記合計金額とを用いて釣銭金額を算出する釣銭金額算出手段と、
前記釣銭金額分の貨幣の出金を指令する出金コマンドを前記自動釣銭機に送信する出金コマンド送信手段と、
を備え、
前記更新手段は、前記出金コマンド送信手段が前記自動釣銭機に前記出金コマンドを送信した後に、前記在高要求コマンドを送信して前記在高情報を受信し、当該在高情報を前回在高情報として前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
操作を受ける第2操作部を備え、
前記決済手段は、前記第2操作部が操作されたことを条件に、前記決済を行い、
前記第2操作部が操作を受ける前は、前記第1操作部が操作される毎に、前記送受信手段が、前記自動釣銭機に前記在高要求コマンドを送信して前記在高情報を受信することを特徴とする請求項1または2に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
自動釣銭機と、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の商品販売データ処理装置と、
を備えることを特徴とする入出金システム。
【請求項5】
収納している貨幣の在高に関する在高情報を在高要求コマンドに応じて送信する自動釣銭機に、通信可能に接続された商品販売データ処理装置のコンピュータを、
一取引にかかる商品の識別情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記識別情報の入力が受け付けられた一取引にかかる商品の合計金額を、算出する合計金額算出手段と、
第1操作部が操作されたことを条件に、前記自動釣銭機に前記在高要求コマンドを送信して前記在高情報を受信する送受信手段と、
前回の取引の終了後の前記自動釣銭機内の貨幣の在高情報である前回在高情報を記憶した記憶部が記憶している前記前回在高情報と、前記送受信手段が受信した前記在高情報と、を用いて今回の取引での前記自動釣銭機への入金額を算出する入金額算出手段と、
前記入金額が前記合計金額以上であるか否かを判定し、前記入金額が前記合計金額以上であるとき、前記入金額にて一取引の決済をする決済手段と、
今回の取引終了時での前記自動釣銭機の前記在高情報を得て、当該在高情報を前記前回在高情報として前記記憶部に記憶させる更新手段と、
として機能させるプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、
前記入金額と前記合計金額とを用いて釣銭金額を算出する釣銭金額算出手段と、
前記釣銭金額分の貨幣の出金を指令する出金コマンドを前記自動釣銭機に送信する出金コマンド送信手段と、
として機能させ、
前記更新手段は、前記出金コマンド送信手段が前記自動釣銭機に前記出金コマンドを送信した後に、前記在高要求コマンドを送信して前記在高情報を受信し、当該在高情報を前回在高情報として前記記憶部に記憶させる、請求項5に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−53695(P2012−53695A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196144(P2010−196144)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】