商品販売データ処理装置および商品販売データ処理システム
【課題】 商品販売データ処理システム全体で効率的に電力を使用して電力制御を行う。
【解決手段】 商品販売データ処理システム100で、任意の時間帯ごとの利用客数またはPLU取得に要する時間に基づいて決定された商品販売データ処理装置200のCPUのクロック周波数と任意の時間帯ごとに予め定められた商品販売データ処理装置200のCPUのクロック周波数とを比較し、より高い方のクロック周波数を採用して商品販売データ処理装置200のCPUのクロック周波数とした。
【解決手段】 商品販売データ処理システム100で、任意の時間帯ごとの利用客数またはPLU取得に要する時間に基づいて決定された商品販売データ処理装置200のCPUのクロック周波数と任意の時間帯ごとに予め定められた商品販売データ処理装置200のCPUのクロック周波数とを比較し、より高い方のクロック周波数を採用して商品販売データ処理装置200のCPUのクロック周波数とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどにおいて使用されるPOS(販売時点管理)端末などの商品販売データ処理装置、および複数台のPOS端末がストアコンピュータなどの上位装置と接続して構成されるPOSシステムなどの商品販売データ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近のPOS端末などの商品販売データ処理装置は、一般のパーソナルコンピュータと同様にほとんどが汎用OSの上にアプリケーションを実装するという形態を採用しているため、電力制御もパーソナルコンピュータと同様の技術が使用されている。POS端末単体としては、POS端末の未使用時にモニタなどの表示器の電源をオフにしたり、CPU(中央演算処理装置)の電圧を低く設定したり、CPUのクロック周波数を落としたりすることが行われている。また、POSシステム全体としては、例えば特許文献1のような、POS端末の休止時に上位装置からの受信を可能にしつつCPUのクロック周波数を低くするという技術が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平3−122798
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
POS端末など商品販売データ処理装置のハードウェアの中で最も電力を必要とするのがCPUであり、クロック周波数の高いCPUであるほど必然的に消費電力も大きくなる。そのため、複数台のPOS端末を備えるPOSシステム導入店舗にとっては、POSシステム全体の電力消費は大きな課題となっている。また、POS端末の動作停止などのトラブルもCPUの発熱に因るところが大きいため、CPUの電力制御は不可避な課題となっている。
【0005】
現在市場で流通しているCPUの性能は、既にユーザーが求めるパフォーマンスを大きく上回っていることから、POS端末に旧型のCPUを搭載させることも考えられるが、CPUのクロック周波数はPOS端末の販売時における大きなアピールポイントでもあり、顧客もCPUのクロック周波数をPOS端末の性能と同一視することが多いため、現実的に実施は難しい。
【0006】
そこで、前述したような電力制御の技術が使用されることになるが、POS端末未使用時に表示器の電源をオフにすることくらいでは大きな電力セーブは見込めず、POS端末のCPUの電圧を下げたり、クロック周波数を落としたりすることは、POS端末単体の実施となるため、POSシステム全体の省電力にはつながらず、あまり効果的ではなかった。また、特許文献1に示したような技術も、POS端末の操作者の裁量に委ねられることになり、やはりPOSシステム全体での省電力への寄与は小さい。
【0007】
本発明の目的は、POSシステムなどの商品販売データ処理システム全体での省電力を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、規定時間に達すると、CPUのクロック周波数を、時間帯ごとに予め定められた周波数に設定する手段を備える商品販売データ処理装置である。
【0009】
本発明は、複数の商品販売データ処理装置とPLU情報を格納する上位装置とを備え、前記商品販売データ処理装置は商品販売データ処理の実行に際して前記上位装置に問い合わせて前記PLU情報を取得する商品販売データ処理システムにおいて、前記商品販売データ処理装置は、規定時間に達すると、時間帯ごとの前記PLU情報の取得に要した時間の情報を得る手段と、前記時間の情報に基づいて決定されるCPUのクロック周波数と前記時間帯ごとに予め定められたCPUのクロック周波数とを比較し、クロック周波数の高い方を前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数に設定する手段と、を備えることを特徴とする商品販売データ処理システムである。
【0010】
本発明は、複数の商品販売データ処理装置とPLU情報を格納する上位装置とを備え、前記商品販売データ処理装置は商品販売データ処理の実行に際して前記上位装置に問い合わせて前記PLU情報を取得する商品販売データ処理システムにおいて、前記上位装置は、規定時間に達すると、前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を、時間帯ごとに予め定められた周波数に設定するコマンドを前記商品販売データ処理装置に送信する手段を備え、前記商品販売データ処理装置は、前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を当該コマンドにより規定された周波数に設定する手段を備えることを特徴とする商品販売データ処理システムである。
【0011】
本発明は、複数の商品販売データ処理装置とPLU情報を格納する上位装置とを備え、前記商品販売データ処理装置は商品販売データ処理の実行に際して前記上位装置に問い合わせて前記PLU情報を取得する商品販売データ処理システムにおいて、前記上位装置は、規定時間に達すると、前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を、時間帯ごとに予め定められた周波数に設定することを特徴とする商品販売データ処理システムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、商品販売データ処理装置の省電力が、時間帯や実際の店舗の混雑状況を反映して実行されて従来よりもきめ細かな電力管理が可能となり、商品販売データ処理システム全体で効率的に電力を使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の一形態を図1ないし図14に基づいて説明する。
【0014】
図1は、商品販売データ処理システムの全体構成を概略的に示すシステム構成図である。図1に示すように、本実施の形態の商品販売データ処理システムは、スーパーマーケットなどの小売店舗に設けられる商品販売データ処理システムであるPOSシステム100を主体に構成されている。POSシステム100は、商品販売データ処理装置であってスーパーマーケットのレジカウンタに設置される複数台のPOS端末200と、POS端末200とLAN(Local Area Network)110によって接続された上位装置であるストアコンピュータ300とで構成されている。LAN110は、通信ケーブル111およびHUB112から構成され、一部のPOS端末200は無線親局113を介して通信ケーブル111に接続されている。
【0015】
図2は、POS端末200の外観を示す斜視図である。POS端末200はドロワ201の上に載置されている。POS端末200は、ハウジング202を備え、ハウジング202の上面には、キーボード203、オペレータ面表示器204、客面表示器205、およびレシート発行口206が配置されている。オペレータ面表示器204にはタッチパネル207が積層して設けられている。さらに、POS端末200には、商品コードを光学的に読み取るためのバーコードスキャナ208および繰り返し印字可能なリライトカードCに対するデータの読み取りおよび書き込みを行うカードリーダライタ209が接続されている。オペレータから見てオペレータ面表示器204が正面に、キーボード203はその下方に、レシート発行口206はその左方にそれぞれ配置され、オペレータが操作し易いようにまとめられている。また客面表示器205はオペレータ面表示器204よりも高い位置に設けられ、客に見やすいように配置されている。
【0016】
図3は、POS端末200の電気的接続を示すブロック図である。POS端末200は、各部を集中的に制御するCPU250に、コンピュータプログラムなどの固定的データを予め格納するROM(Read Only Memory)251および各種データを書き換え自在に記憶するRAM(Random Access Memory)252がバスライン253を介してバス接続して構成されるPOS制御部254を保有し、バスライン253を介して接続された通信インターフェイス255から、LAN110を介してストアコンピュータ300との間で相互にオンライン通信または無線通信を実行し得るように構成されている(図1参照)。さらにPOS制御部254には、バスライン253を介して、客面表示器205、オペレータ面表示器204、タッチパネル207、キーボード203、バーコードスキャナ208、カードリーダライタ209、ドロワ201とともに、HDD(Hard Disk Drive)256が接続されている。HDD256にはPOSシステム100が備える後述する電力制御処理を実行するプログラムなどが格納されている。また、CPU250には、CPU250の冷却のために図示しないファンが備えられており、POS制御部254によってその駆動が制御される。
【0017】
図4は、POSシステム100全体の制御を受け持つストアコンピュータ300の電気的接続を示すブロック図である。図4に示すように、ストアコンピュータ300は、CPU350にROM351およびRAM352がバスライン353で接続して構成されるストアコンピュータ制御部354を保有し、バスライン353を介して接続された通信インターフェイス355から、LAN110を介して複数台のPOS端末200と通信を実行し得るように構成されている(図1参照)。また、ストアコンピュータ制御部354には、ディスプレイ356、入力装置357、外部機器とのインターフェイス358、HDD359、CD−ROMドライブ360が、バスライン353を介して接続されている。図3に示したPOS端末200と同様に、HDD359には電力制御プログラムが格納されている。そのため、CD−ROM361に格納した別のプログラムをCD−ROMドライブ360を通じてHDD359に書き込むことで電力制御プログラムのバージョンアップも可能である。
【0018】
次いで、本実施の形態のPOSシステム100が実施する電力制御処理について説明する。なお、以下に説明する電力制御処理の形態として、来客数に基づく電力制御処理を「客数電力制御処理」と、POS端末200のストアコンピュータ300からのPLU情報の取得に要する時間に基づく電力制御処理を「PLU時間電力制御処理」と称する。
【0019】
図5は、客数電力制御処理の際に参照される時間テーブルT1の一例を示す模式図である。「時間帯」はPOSシステム100が導入されている店舗の営業時間(本実施例では10:00〜22:00)を、単位時間を1時間として区切ったもので、各「時間帯」に対応させて、店舗の混雑状態を「店舗状態」として5段階に分けて予め設定し、その「店舗状態」ごとにPOS端末200のCPU250のクロック周波数およびFANの回転スピードを各「電力モード」として設定してある。
【0020】
例えば、「電力モード:Mode2」は「CPUクロック55%、FAN回転スピード80%」という設定になっている。これは、POS端末200のCPU250を通常スペックの55%程度のクロック周波数で作動させて、その結果発熱も減少するので、冷却FANの回転スピードも下げるというものである。
【0021】
なお、「店舗状態」と、それに対応した「電力モード」とが5段階であるのは例示であって、その段階数は増減可能であるし、また、「電力モード」の「詳細」も例示で、その設定内容もPOS端末200の各デバイスの動作保証範囲で変更可能である。
【0022】
図6は、図5に示した時間テーブルT1と同様に、客数電力制御処理の際に参照される客数テーブルT2の一例を示す模式図である。客数テーブルT2は、基本的な構造を図5に示した時間テーブルT1と同じくし、任意のPOS端末200を利用した単位時間あたりの客数を「客数」として、「客数」に基づいて「店舗状態」が設定されている。
【0023】
図7は、PLU時間電力制御処理の際に参照されるPLU時間テーブルT3の一例を示す模式図である。PLU時間テーブルT3も時間テーブルT1と基本的な構造を同じくしている。「PLU時間」は、任意のPOS端末200がストアコンピュータ300に対してPLU情報を問い合わせてから取得するまでの時間の平均値である。そして各「PLU時間」に対応させて「店舗状態」や「電力モード」が設定されている。
【0024】
なお、時間テーブルT1、客数テーブルT2、PLU時間テーブルT3は、ともにストアコンピュータ300のHDD359などに格納され、テーブルの設定内容は容易に書き換えが可能である。
【0025】
図8に、任意のPOS端末200がストアコンピュータ300からPLU情報を取得する際のデータ通信の状態を示したタイムチャートを示す。PLU情報の取得が複数回繰り返された後、締め処理などでデータ処理が終了されると、POS端末200は当該データ処理の内容を記憶したトランザクションデータを作成し、ストアコンピュータ300に送信する。このようにして取得したトランザクションデータ数を客数と捉えることで任意のPOS端末200を利用した客数をカウントすることができる。
【0026】
また、図9のタイムチャートに示すように、POS端末200がPLU情報を取得するとストアコンピュータ300に対して確認通知を送信することにより、任意のPOS端末200のPLU問合せ時刻とPLU受信時刻とを知り得るため、POS端末200がPLU情報を取得するのに要した時間(PLU時間)を取得することができる。
【0027】
図10に、第1の実施形態の客数電力制御処理(以下、第1の客数電力制御処理)について、ストアコンピュータ300での処理の流れのフローチャートを示す。ここでは一例として19:00〜20:00での電力制御について説明する。ストアコンピュータ300のCPU350は、規定時間に達するのを待機している(ステップS101)。規定時間到達の判断としては、タイマーで開店時刻から一定時間おきにセットした時刻をトリガとすることもできるし、直前の「時間帯」の終了時刻をトリガとすることもできる。そして、規定時間(19:00)に達すると(ステップS101のY)、客数電力制御処理を実行する直前の1時間におけるトランザクションデータ数を集計する(ステップS102)、つまり18:00〜19:00での客数を集計する。トランザクションデータは図8のタイムチャートに示すようにして取得したものである。ステップS102において客数が例えば55人の場合、客数テーブルT2を参照すると「客数:50〜」であるので「店舗状態:大混雑」を得る。そして、時間テーブルT1を参照すると「時間帯:19:00〜20:00」では「店舗状態:混雑」を得る。ここで得られた「店舗状態」を比較して(ステップS103)、「店舗状態」がより厳しい方、つまり、より商品販売データ処理量が多くCPU250のパフォーマンスが必要とされる方の「店舗状態:大混雑」を選択し、「店舗状態:大混雑」に対応した「電力モード:Mode5」のコマンドをPOS端末200に対して送信する(ステップS104)。
【0028】
また、図11は、第1の実施形態のPLU時間電力制御処理(以下、第1のPLU時間電力制御処理)における、ストアコンピュータ300での処理内容のフローチャートである。図10に示した第1の客数電力制御と基本的な処理の流れを同じくするが、まず規定時間に達すると(ステップS151)、得られたPLU時間の集計を行い(ステップS152)、電力制御処理を実行する時間帯の直前の時間帯における「PLU時間」を算出する。ステップS152において「PLU時間」が例えば490msであったとすると、PLU時間テーブルT3を参照して「PLU時間:450〜550」であるので「店舗状態:普通」を得る。そして、時間テーブルT1を参照すると「時間帯:19:00〜20:00」では「店舗状態:混雑」である。ここで得られた「店舗状態」を比較して(ステップS153)、「店舗状態」がより厳しい方、つまり、より高いパフォーマンスが必要とされる方の「店舗状態:混雑」を選択し、「店舗状態:混雑」に対応した「電力モード:Mode4」のコマンドをPOS端末200に対して送信して(ステップS154)、処理を終了する。
【0029】
図12は、図10の第1の客数電力制御処理および図11の第1のPLU時間電力制御処理の後に実行されるPOS端末200の処理の流れを示したフローチャートである。POS端末200は、図10または図11でストアコンピュータ300によって選択された「電力モード」のコマンドを受信する(ステップS301)と、その「電力モード」を設定し(ステップS302)、処理を終了する。
【0030】
このステップS302の「電力モード」の設定では、POS端末200の各デバイスの制御プログラムであるBIOSの設定変更が行われ、CPU250のクロック周波数の制御が実行される。つまり、ステップS301で、例えば「電力モード:Mode4」のコマンドをCPU250が受信すると、BIOSの設定変更を行うプログラム(以下、BIOS設定プログラムと称する)が実行される。このBIOS設定プログラムはHDD256に格納されており、POS端末200の起動時にRAM252に移され、「電力モード」コマンドの受信によって実行されて、「電力モード」に対応した「詳細」の内容に従って設定を変更する。
【0031】
ここで、「電力モード:Mode4」の「詳細:CPUクロック85%、FAN回転スピード100%」を設定する場合、クロック周波数の変更としては、図示しないマザーボード上のクロックジェネレータの周波数を調節して、CPU250のクロック周波数の基礎となるベースクロック周波数を変更する。つまり、本実施の形態のPOS端末200のCPU250の動作クロック周波数が2GHz(400MHz×5)であるならば、BIOS設定プログラムの実行によって、ベースクロック周波数を340MHzに設定変更して、CPU250のクロック周波数を340MHz×5(1.7GHz)に制御することで、「CPUクロック85%」とする。
【0032】
なお、時間テーブルT1に示した「時間帯」の単位時間を短く設定することで(例えば30分間)、よりきめ細かな時間帯ごとの混雑状況を設定できることは言うまでもない。また時間帯を短く設定することで、よりリアルタイムに近い客数などの店舗状態を反映することができる。
【0033】
次に、電力制御処理の別の実施形態として、ストアコンピュータ300が複数のPOS端末200に一括して「電力モード」を設定する客数電力制御処理およびPLU時間電力制御処理について説明する(それぞれ以下、第2の客数電力制御処理および第2のPLU時間電力制御処理と称する)。
【0034】
図13は、ストアコンピュータ300の第2の客数電力制御処理の流れを示すフローチャートである。図10のフローチャートに示した第1の客数電力制御と同様に、図5に示す時間テーブルT1と、図6に示す客数テーブルT2とを参照して処理を実行する。ステップS204で、ストアコンピュータ300に接続された各POS端末200の「電力モード」を一括で設定する。
【0035】
また、図14に示すストアコンピュータの第2のPLU時間電力制御処理の流れを示すフローチャートも、図11に示した第1のPLU時間電力制御のフローチャートと同様に、時間テーブルT1とPLU時間テーブルT3を参照して処理を実行する。ステップS254で「電力モード」を一括で各POS端末に設定して処理を終了する。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態のPOSシステム100およびPOS端末200によれば、前もって時間帯ごとの店舗の混雑情報を把握してPOSシステム100に設定することで、時間帯ごとにPOS端末200のCPU250のクロック周波数の上限を決定し、それによって必要な電力量で商品販売データ処理を実行することができる。客数が少ない時間帯などPOS端末200のCPU250のパフォーマンスが低くてもよいときのみCPU250のクロック周波数を低く抑えるため、通常のデータ処理には影響を与えることなく電力制御することができる。
【0037】
さらに、実際の店舗の客数を反映することができるので、例えば店舗の近くで大型のイベントなどがあり、通常とは時間帯ごとの客の入り具合が異なるケースとなっても、ほぼリアルタイムで混雑状況に柔軟に対応することができ、必要とされるCPU250のパフォーマンスを保ちつつ、さらにきめ細かな電力制御が実現できる。また、客数が増えてPLUの取得機会が増えれば、POSシステム100全体のデータ交信が増加してPLU取得時間が遅くなることから、PLU時間を反映することで客数反映と同様の効果を期待することができる。
【0038】
このように、商品販売データ処理装置の省電力が、時間帯や実際の店舗の混雑状況を反映して実行されるため、従来よりもきめ細かな電力管理をすることができ、その結果、商品販売データ処理システム全体で効率的な電力制御が実現できる。
【0039】
なお、第1の電力制御処理ではPOS端末200ごとに電力モードを設定し、第2の電力制御処理ではストアコンピュータ300が各POS端末200に一括で電力モードを設定する形態を示したが、複数のPOS端末200をグループとし、グループごとに電力モードを設定する形態や、POS端末200が単独で客数などを集計し、それを自ら設定する形態も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の一形態のPOSシステムを概略的に示すシステム構成図である。
【図2】POS端末の外観を示す斜視図である。
【図3】POS端末の電気的接続を示すブロック図である。
【図4】ストアコンピュータの電気的接続を示すブロック図である。
【図5】電力制御処理の際に参照される時間テーブルの一例を示す模式図である。
【図6】電力制御処理の際に参照される客数テーブルの一例を示す模式図である。
【図7】電力制御処理の際に参照されるPLU時間テーブルの一例を示す模式図である。
【図8】POS端末とストアコンピュータとのデータ通信の状態を示したタイムチャートである。
【図9】PLU時間を取得する際のPOS端末とストアコンピュータとのデータ通信の状態を示したタイムチャートである。
【図10】ストアコンピュータの第1の客数電力制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】ストアコンピュータの第1のPLU時間電力制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】POS端末の第1の客数電力制御処理およびPLU時間電力制御処理の後に実行されるPOS端末の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】ストアコンピュータの第2の客数電力制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】ストアコンピュータの第2のPLU時間電力制御処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
100:POSシステム,110:LAN, 200:POS端末,250:CPU(POS端末),256:HDD(POS端末),300:ストアコンピュータ,359:HDD(ストアコンピュータ),T1:時間テーブル,T2:客数テーブル,T3:PLU時間テーブル,
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどにおいて使用されるPOS(販売時点管理)端末などの商品販売データ処理装置、および複数台のPOS端末がストアコンピュータなどの上位装置と接続して構成されるPOSシステムなどの商品販売データ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近のPOS端末などの商品販売データ処理装置は、一般のパーソナルコンピュータと同様にほとんどが汎用OSの上にアプリケーションを実装するという形態を採用しているため、電力制御もパーソナルコンピュータと同様の技術が使用されている。POS端末単体としては、POS端末の未使用時にモニタなどの表示器の電源をオフにしたり、CPU(中央演算処理装置)の電圧を低く設定したり、CPUのクロック周波数を落としたりすることが行われている。また、POSシステム全体としては、例えば特許文献1のような、POS端末の休止時に上位装置からの受信を可能にしつつCPUのクロック周波数を低くするという技術が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平3−122798
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
POS端末など商品販売データ処理装置のハードウェアの中で最も電力を必要とするのがCPUであり、クロック周波数の高いCPUであるほど必然的に消費電力も大きくなる。そのため、複数台のPOS端末を備えるPOSシステム導入店舗にとっては、POSシステム全体の電力消費は大きな課題となっている。また、POS端末の動作停止などのトラブルもCPUの発熱に因るところが大きいため、CPUの電力制御は不可避な課題となっている。
【0005】
現在市場で流通しているCPUの性能は、既にユーザーが求めるパフォーマンスを大きく上回っていることから、POS端末に旧型のCPUを搭載させることも考えられるが、CPUのクロック周波数はPOS端末の販売時における大きなアピールポイントでもあり、顧客もCPUのクロック周波数をPOS端末の性能と同一視することが多いため、現実的に実施は難しい。
【0006】
そこで、前述したような電力制御の技術が使用されることになるが、POS端末未使用時に表示器の電源をオフにすることくらいでは大きな電力セーブは見込めず、POS端末のCPUの電圧を下げたり、クロック周波数を落としたりすることは、POS端末単体の実施となるため、POSシステム全体の省電力にはつながらず、あまり効果的ではなかった。また、特許文献1に示したような技術も、POS端末の操作者の裁量に委ねられることになり、やはりPOSシステム全体での省電力への寄与は小さい。
【0007】
本発明の目的は、POSシステムなどの商品販売データ処理システム全体での省電力を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、規定時間に達すると、CPUのクロック周波数を、時間帯ごとに予め定められた周波数に設定する手段を備える商品販売データ処理装置である。
【0009】
本発明は、複数の商品販売データ処理装置とPLU情報を格納する上位装置とを備え、前記商品販売データ処理装置は商品販売データ処理の実行に際して前記上位装置に問い合わせて前記PLU情報を取得する商品販売データ処理システムにおいて、前記商品販売データ処理装置は、規定時間に達すると、時間帯ごとの前記PLU情報の取得に要した時間の情報を得る手段と、前記時間の情報に基づいて決定されるCPUのクロック周波数と前記時間帯ごとに予め定められたCPUのクロック周波数とを比較し、クロック周波数の高い方を前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数に設定する手段と、を備えることを特徴とする商品販売データ処理システムである。
【0010】
本発明は、複数の商品販売データ処理装置とPLU情報を格納する上位装置とを備え、前記商品販売データ処理装置は商品販売データ処理の実行に際して前記上位装置に問い合わせて前記PLU情報を取得する商品販売データ処理システムにおいて、前記上位装置は、規定時間に達すると、前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を、時間帯ごとに予め定められた周波数に設定するコマンドを前記商品販売データ処理装置に送信する手段を備え、前記商品販売データ処理装置は、前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を当該コマンドにより規定された周波数に設定する手段を備えることを特徴とする商品販売データ処理システムである。
【0011】
本発明は、複数の商品販売データ処理装置とPLU情報を格納する上位装置とを備え、前記商品販売データ処理装置は商品販売データ処理の実行に際して前記上位装置に問い合わせて前記PLU情報を取得する商品販売データ処理システムにおいて、前記上位装置は、規定時間に達すると、前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を、時間帯ごとに予め定められた周波数に設定することを特徴とする商品販売データ処理システムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、商品販売データ処理装置の省電力が、時間帯や実際の店舗の混雑状況を反映して実行されて従来よりもきめ細かな電力管理が可能となり、商品販売データ処理システム全体で効率的に電力を使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の一形態を図1ないし図14に基づいて説明する。
【0014】
図1は、商品販売データ処理システムの全体構成を概略的に示すシステム構成図である。図1に示すように、本実施の形態の商品販売データ処理システムは、スーパーマーケットなどの小売店舗に設けられる商品販売データ処理システムであるPOSシステム100を主体に構成されている。POSシステム100は、商品販売データ処理装置であってスーパーマーケットのレジカウンタに設置される複数台のPOS端末200と、POS端末200とLAN(Local Area Network)110によって接続された上位装置であるストアコンピュータ300とで構成されている。LAN110は、通信ケーブル111およびHUB112から構成され、一部のPOS端末200は無線親局113を介して通信ケーブル111に接続されている。
【0015】
図2は、POS端末200の外観を示す斜視図である。POS端末200はドロワ201の上に載置されている。POS端末200は、ハウジング202を備え、ハウジング202の上面には、キーボード203、オペレータ面表示器204、客面表示器205、およびレシート発行口206が配置されている。オペレータ面表示器204にはタッチパネル207が積層して設けられている。さらに、POS端末200には、商品コードを光学的に読み取るためのバーコードスキャナ208および繰り返し印字可能なリライトカードCに対するデータの読み取りおよび書き込みを行うカードリーダライタ209が接続されている。オペレータから見てオペレータ面表示器204が正面に、キーボード203はその下方に、レシート発行口206はその左方にそれぞれ配置され、オペレータが操作し易いようにまとめられている。また客面表示器205はオペレータ面表示器204よりも高い位置に設けられ、客に見やすいように配置されている。
【0016】
図3は、POS端末200の電気的接続を示すブロック図である。POS端末200は、各部を集中的に制御するCPU250に、コンピュータプログラムなどの固定的データを予め格納するROM(Read Only Memory)251および各種データを書き換え自在に記憶するRAM(Random Access Memory)252がバスライン253を介してバス接続して構成されるPOS制御部254を保有し、バスライン253を介して接続された通信インターフェイス255から、LAN110を介してストアコンピュータ300との間で相互にオンライン通信または無線通信を実行し得るように構成されている(図1参照)。さらにPOS制御部254には、バスライン253を介して、客面表示器205、オペレータ面表示器204、タッチパネル207、キーボード203、バーコードスキャナ208、カードリーダライタ209、ドロワ201とともに、HDD(Hard Disk Drive)256が接続されている。HDD256にはPOSシステム100が備える後述する電力制御処理を実行するプログラムなどが格納されている。また、CPU250には、CPU250の冷却のために図示しないファンが備えられており、POS制御部254によってその駆動が制御される。
【0017】
図4は、POSシステム100全体の制御を受け持つストアコンピュータ300の電気的接続を示すブロック図である。図4に示すように、ストアコンピュータ300は、CPU350にROM351およびRAM352がバスライン353で接続して構成されるストアコンピュータ制御部354を保有し、バスライン353を介して接続された通信インターフェイス355から、LAN110を介して複数台のPOS端末200と通信を実行し得るように構成されている(図1参照)。また、ストアコンピュータ制御部354には、ディスプレイ356、入力装置357、外部機器とのインターフェイス358、HDD359、CD−ROMドライブ360が、バスライン353を介して接続されている。図3に示したPOS端末200と同様に、HDD359には電力制御プログラムが格納されている。そのため、CD−ROM361に格納した別のプログラムをCD−ROMドライブ360を通じてHDD359に書き込むことで電力制御プログラムのバージョンアップも可能である。
【0018】
次いで、本実施の形態のPOSシステム100が実施する電力制御処理について説明する。なお、以下に説明する電力制御処理の形態として、来客数に基づく電力制御処理を「客数電力制御処理」と、POS端末200のストアコンピュータ300からのPLU情報の取得に要する時間に基づく電力制御処理を「PLU時間電力制御処理」と称する。
【0019】
図5は、客数電力制御処理の際に参照される時間テーブルT1の一例を示す模式図である。「時間帯」はPOSシステム100が導入されている店舗の営業時間(本実施例では10:00〜22:00)を、単位時間を1時間として区切ったもので、各「時間帯」に対応させて、店舗の混雑状態を「店舗状態」として5段階に分けて予め設定し、その「店舗状態」ごとにPOS端末200のCPU250のクロック周波数およびFANの回転スピードを各「電力モード」として設定してある。
【0020】
例えば、「電力モード:Mode2」は「CPUクロック55%、FAN回転スピード80%」という設定になっている。これは、POS端末200のCPU250を通常スペックの55%程度のクロック周波数で作動させて、その結果発熱も減少するので、冷却FANの回転スピードも下げるというものである。
【0021】
なお、「店舗状態」と、それに対応した「電力モード」とが5段階であるのは例示であって、その段階数は増減可能であるし、また、「電力モード」の「詳細」も例示で、その設定内容もPOS端末200の各デバイスの動作保証範囲で変更可能である。
【0022】
図6は、図5に示した時間テーブルT1と同様に、客数電力制御処理の際に参照される客数テーブルT2の一例を示す模式図である。客数テーブルT2は、基本的な構造を図5に示した時間テーブルT1と同じくし、任意のPOS端末200を利用した単位時間あたりの客数を「客数」として、「客数」に基づいて「店舗状態」が設定されている。
【0023】
図7は、PLU時間電力制御処理の際に参照されるPLU時間テーブルT3の一例を示す模式図である。PLU時間テーブルT3も時間テーブルT1と基本的な構造を同じくしている。「PLU時間」は、任意のPOS端末200がストアコンピュータ300に対してPLU情報を問い合わせてから取得するまでの時間の平均値である。そして各「PLU時間」に対応させて「店舗状態」や「電力モード」が設定されている。
【0024】
なお、時間テーブルT1、客数テーブルT2、PLU時間テーブルT3は、ともにストアコンピュータ300のHDD359などに格納され、テーブルの設定内容は容易に書き換えが可能である。
【0025】
図8に、任意のPOS端末200がストアコンピュータ300からPLU情報を取得する際のデータ通信の状態を示したタイムチャートを示す。PLU情報の取得が複数回繰り返された後、締め処理などでデータ処理が終了されると、POS端末200は当該データ処理の内容を記憶したトランザクションデータを作成し、ストアコンピュータ300に送信する。このようにして取得したトランザクションデータ数を客数と捉えることで任意のPOS端末200を利用した客数をカウントすることができる。
【0026】
また、図9のタイムチャートに示すように、POS端末200がPLU情報を取得するとストアコンピュータ300に対して確認通知を送信することにより、任意のPOS端末200のPLU問合せ時刻とPLU受信時刻とを知り得るため、POS端末200がPLU情報を取得するのに要した時間(PLU時間)を取得することができる。
【0027】
図10に、第1の実施形態の客数電力制御処理(以下、第1の客数電力制御処理)について、ストアコンピュータ300での処理の流れのフローチャートを示す。ここでは一例として19:00〜20:00での電力制御について説明する。ストアコンピュータ300のCPU350は、規定時間に達するのを待機している(ステップS101)。規定時間到達の判断としては、タイマーで開店時刻から一定時間おきにセットした時刻をトリガとすることもできるし、直前の「時間帯」の終了時刻をトリガとすることもできる。そして、規定時間(19:00)に達すると(ステップS101のY)、客数電力制御処理を実行する直前の1時間におけるトランザクションデータ数を集計する(ステップS102)、つまり18:00〜19:00での客数を集計する。トランザクションデータは図8のタイムチャートに示すようにして取得したものである。ステップS102において客数が例えば55人の場合、客数テーブルT2を参照すると「客数:50〜」であるので「店舗状態:大混雑」を得る。そして、時間テーブルT1を参照すると「時間帯:19:00〜20:00」では「店舗状態:混雑」を得る。ここで得られた「店舗状態」を比較して(ステップS103)、「店舗状態」がより厳しい方、つまり、より商品販売データ処理量が多くCPU250のパフォーマンスが必要とされる方の「店舗状態:大混雑」を選択し、「店舗状態:大混雑」に対応した「電力モード:Mode5」のコマンドをPOS端末200に対して送信する(ステップS104)。
【0028】
また、図11は、第1の実施形態のPLU時間電力制御処理(以下、第1のPLU時間電力制御処理)における、ストアコンピュータ300での処理内容のフローチャートである。図10に示した第1の客数電力制御と基本的な処理の流れを同じくするが、まず規定時間に達すると(ステップS151)、得られたPLU時間の集計を行い(ステップS152)、電力制御処理を実行する時間帯の直前の時間帯における「PLU時間」を算出する。ステップS152において「PLU時間」が例えば490msであったとすると、PLU時間テーブルT3を参照して「PLU時間:450〜550」であるので「店舗状態:普通」を得る。そして、時間テーブルT1を参照すると「時間帯:19:00〜20:00」では「店舗状態:混雑」である。ここで得られた「店舗状態」を比較して(ステップS153)、「店舗状態」がより厳しい方、つまり、より高いパフォーマンスが必要とされる方の「店舗状態:混雑」を選択し、「店舗状態:混雑」に対応した「電力モード:Mode4」のコマンドをPOS端末200に対して送信して(ステップS154)、処理を終了する。
【0029】
図12は、図10の第1の客数電力制御処理および図11の第1のPLU時間電力制御処理の後に実行されるPOS端末200の処理の流れを示したフローチャートである。POS端末200は、図10または図11でストアコンピュータ300によって選択された「電力モード」のコマンドを受信する(ステップS301)と、その「電力モード」を設定し(ステップS302)、処理を終了する。
【0030】
このステップS302の「電力モード」の設定では、POS端末200の各デバイスの制御プログラムであるBIOSの設定変更が行われ、CPU250のクロック周波数の制御が実行される。つまり、ステップS301で、例えば「電力モード:Mode4」のコマンドをCPU250が受信すると、BIOSの設定変更を行うプログラム(以下、BIOS設定プログラムと称する)が実行される。このBIOS設定プログラムはHDD256に格納されており、POS端末200の起動時にRAM252に移され、「電力モード」コマンドの受信によって実行されて、「電力モード」に対応した「詳細」の内容に従って設定を変更する。
【0031】
ここで、「電力モード:Mode4」の「詳細:CPUクロック85%、FAN回転スピード100%」を設定する場合、クロック周波数の変更としては、図示しないマザーボード上のクロックジェネレータの周波数を調節して、CPU250のクロック周波数の基礎となるベースクロック周波数を変更する。つまり、本実施の形態のPOS端末200のCPU250の動作クロック周波数が2GHz(400MHz×5)であるならば、BIOS設定プログラムの実行によって、ベースクロック周波数を340MHzに設定変更して、CPU250のクロック周波数を340MHz×5(1.7GHz)に制御することで、「CPUクロック85%」とする。
【0032】
なお、時間テーブルT1に示した「時間帯」の単位時間を短く設定することで(例えば30分間)、よりきめ細かな時間帯ごとの混雑状況を設定できることは言うまでもない。また時間帯を短く設定することで、よりリアルタイムに近い客数などの店舗状態を反映することができる。
【0033】
次に、電力制御処理の別の実施形態として、ストアコンピュータ300が複数のPOS端末200に一括して「電力モード」を設定する客数電力制御処理およびPLU時間電力制御処理について説明する(それぞれ以下、第2の客数電力制御処理および第2のPLU時間電力制御処理と称する)。
【0034】
図13は、ストアコンピュータ300の第2の客数電力制御処理の流れを示すフローチャートである。図10のフローチャートに示した第1の客数電力制御と同様に、図5に示す時間テーブルT1と、図6に示す客数テーブルT2とを参照して処理を実行する。ステップS204で、ストアコンピュータ300に接続された各POS端末200の「電力モード」を一括で設定する。
【0035】
また、図14に示すストアコンピュータの第2のPLU時間電力制御処理の流れを示すフローチャートも、図11に示した第1のPLU時間電力制御のフローチャートと同様に、時間テーブルT1とPLU時間テーブルT3を参照して処理を実行する。ステップS254で「電力モード」を一括で各POS端末に設定して処理を終了する。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態のPOSシステム100およびPOS端末200によれば、前もって時間帯ごとの店舗の混雑情報を把握してPOSシステム100に設定することで、時間帯ごとにPOS端末200のCPU250のクロック周波数の上限を決定し、それによって必要な電力量で商品販売データ処理を実行することができる。客数が少ない時間帯などPOS端末200のCPU250のパフォーマンスが低くてもよいときのみCPU250のクロック周波数を低く抑えるため、通常のデータ処理には影響を与えることなく電力制御することができる。
【0037】
さらに、実際の店舗の客数を反映することができるので、例えば店舗の近くで大型のイベントなどがあり、通常とは時間帯ごとの客の入り具合が異なるケースとなっても、ほぼリアルタイムで混雑状況に柔軟に対応することができ、必要とされるCPU250のパフォーマンスを保ちつつ、さらにきめ細かな電力制御が実現できる。また、客数が増えてPLUの取得機会が増えれば、POSシステム100全体のデータ交信が増加してPLU取得時間が遅くなることから、PLU時間を反映することで客数反映と同様の効果を期待することができる。
【0038】
このように、商品販売データ処理装置の省電力が、時間帯や実際の店舗の混雑状況を反映して実行されるため、従来よりもきめ細かな電力管理をすることができ、その結果、商品販売データ処理システム全体で効率的な電力制御が実現できる。
【0039】
なお、第1の電力制御処理ではPOS端末200ごとに電力モードを設定し、第2の電力制御処理ではストアコンピュータ300が各POS端末200に一括で電力モードを設定する形態を示したが、複数のPOS端末200をグループとし、グループごとに電力モードを設定する形態や、POS端末200が単独で客数などを集計し、それを自ら設定する形態も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の一形態のPOSシステムを概略的に示すシステム構成図である。
【図2】POS端末の外観を示す斜視図である。
【図3】POS端末の電気的接続を示すブロック図である。
【図4】ストアコンピュータの電気的接続を示すブロック図である。
【図5】電力制御処理の際に参照される時間テーブルの一例を示す模式図である。
【図6】電力制御処理の際に参照される客数テーブルの一例を示す模式図である。
【図7】電力制御処理の際に参照されるPLU時間テーブルの一例を示す模式図である。
【図8】POS端末とストアコンピュータとのデータ通信の状態を示したタイムチャートである。
【図9】PLU時間を取得する際のPOS端末とストアコンピュータとのデータ通信の状態を示したタイムチャートである。
【図10】ストアコンピュータの第1の客数電力制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】ストアコンピュータの第1のPLU時間電力制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】POS端末の第1の客数電力制御処理およびPLU時間電力制御処理の後に実行されるPOS端末の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】ストアコンピュータの第2の客数電力制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】ストアコンピュータの第2のPLU時間電力制御処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
100:POSシステム,110:LAN, 200:POS端末,250:CPU(POS端末),256:HDD(POS端末),300:ストアコンピュータ,359:HDD(ストアコンピュータ),T1:時間テーブル,T2:客数テーブル,T3:PLU時間テーブル,
【特許請求の範囲】
【請求項1】
規定時間に達すると、CPUのクロック周波数を、時間帯ごとに予め定められた周波数に設定する手段を備える商品販売データ処理装置。
【請求項2】
規定時間に達すると、前記時間帯ごとの客数を集計する手段と、
前記客数に基づいて決定されるCPUのクロック周波数と前記時間帯ごとに予め定められたCPUのクロック周波数とを比較し、クロック周波数の高い方を前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数に設定する手段と、
を備える請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
複数の商品販売データ処理装置とPLU情報を格納する上位装置とを備え、前記商品販売データ処理装置は商品販売データ処理の実行に際して前記上位装置に問い合わせて前記PLU情報を取得する商品販売データ処理システムにおいて、
前記商品販売データ処理装置は、
規定時間に達すると、時間帯ごとの前記PLU情報の取得に要した時間の情報を得る手段と、
前記時間の情報に基づいて決定されるCPUのクロック周波数と前記時間帯ごとに予め定められたCPUのクロック周波数とを比較し、クロック周波数の高い方を前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数に設定する手段と、
を備えることを特徴とする商品販売データ処理システム。
【請求項4】
複数の商品販売データ処理装置とPLU情報を格納する上位装置とを備え、前記商品販売データ処理装置は商品販売データ処理の実行に際して前記上位装置に問い合わせて前記PLU情報を取得する商品販売データ処理システムにおいて、
前記上位装置は、
規定時間に達すると、前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を、時間帯ごとに予め定められた周波数に設定するコマンドを前記商品販売データ処理装置に送信する手段を備え、
前記商品販売データ処理装置は、
前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を当該コマンドにより規定された周波数に設定する手段を備えることを特徴とする商品販売データ処理システム。
【請求項5】
前記上位装置は、
規定時間に達すると、前記時間帯ごとの客数を算出する手段と、
前記客数に基づいて決定される前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数と前記時間帯ごとに予め定められた前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数とを比較し、クロック周波数の高い方を前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数に設定するコマンドを前記商品販売データ処理装置に送信する手段と、
を備え、
前記商品販売データ処理装置は、
前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を当該コマンドにより規定された周波数に設定する手段を備える請求項4記載の商品販売データ処理システム。
【請求項6】
前記上位装置は、
規定時間に達すると、前記時間帯ごとの前記商品販売データ処理装置が前記PLU情報の取得に要した時間の情報を得る手段と、
前記時間の情報に基づいて決定される前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数と前記時間帯ごとに予め定められた前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数とを比較し、クロック周波数の高い方を前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数に設定するコマンドを前記商品販売データ処理装置に送信する手段と、
を備え、
前記商品販売データ処理装置は、
前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を当該コマンドにより規定された周波数に設定する手段を備える請求項4記載の商品販売データ処理システム。
【請求項7】
複数の商品販売データ処理装置とPLU情報を格納する上位装置とを備え、前記商品販売データ処理装置は商品販売データ処理の実行に際して前記上位装置に問い合わせて前記PLU情報を取得する商品販売データ処理システムにおいて、
前記上位装置は、
規定時間に達すると、前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を、時間帯ごとに予め定められた周波数に設定することを特徴とする商品販売データ処理システム。
【請求項8】
前記上位装置は、
規定時間に達すると、前記時間帯ごとの客数を集計する手段と、
前記客数に基づいて決定される前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数と前記時間帯ごとに予め定められた前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数とを比較し、クロック周波数の高い方を前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数に設定する手段と、
を備える請求項7記載の商品販売データ処理システム。
【請求項9】
前記上位装置は、
規定時間に達すると、前記時間帯ごとの前記商品販売データ処理装置が前記PLU情報の取得に要した時間の情報を得る手段と、
前記時間の情報に基づいて決定される前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数と前記時間帯ごとに予め定められた前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数とを比較し、クロック周波数の高い方を前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数に設定する手段と、
を備える請求項7記載の商品販売データ処理システム。
【請求項1】
規定時間に達すると、CPUのクロック周波数を、時間帯ごとに予め定められた周波数に設定する手段を備える商品販売データ処理装置。
【請求項2】
規定時間に達すると、前記時間帯ごとの客数を集計する手段と、
前記客数に基づいて決定されるCPUのクロック周波数と前記時間帯ごとに予め定められたCPUのクロック周波数とを比較し、クロック周波数の高い方を前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数に設定する手段と、
を備える請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
複数の商品販売データ処理装置とPLU情報を格納する上位装置とを備え、前記商品販売データ処理装置は商品販売データ処理の実行に際して前記上位装置に問い合わせて前記PLU情報を取得する商品販売データ処理システムにおいて、
前記商品販売データ処理装置は、
規定時間に達すると、時間帯ごとの前記PLU情報の取得に要した時間の情報を得る手段と、
前記時間の情報に基づいて決定されるCPUのクロック周波数と前記時間帯ごとに予め定められたCPUのクロック周波数とを比較し、クロック周波数の高い方を前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数に設定する手段と、
を備えることを特徴とする商品販売データ処理システム。
【請求項4】
複数の商品販売データ処理装置とPLU情報を格納する上位装置とを備え、前記商品販売データ処理装置は商品販売データ処理の実行に際して前記上位装置に問い合わせて前記PLU情報を取得する商品販売データ処理システムにおいて、
前記上位装置は、
規定時間に達すると、前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を、時間帯ごとに予め定められた周波数に設定するコマンドを前記商品販売データ処理装置に送信する手段を備え、
前記商品販売データ処理装置は、
前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を当該コマンドにより規定された周波数に設定する手段を備えることを特徴とする商品販売データ処理システム。
【請求項5】
前記上位装置は、
規定時間に達すると、前記時間帯ごとの客数を算出する手段と、
前記客数に基づいて決定される前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数と前記時間帯ごとに予め定められた前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数とを比較し、クロック周波数の高い方を前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数に設定するコマンドを前記商品販売データ処理装置に送信する手段と、
を備え、
前記商品販売データ処理装置は、
前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を当該コマンドにより規定された周波数に設定する手段を備える請求項4記載の商品販売データ処理システム。
【請求項6】
前記上位装置は、
規定時間に達すると、前記時間帯ごとの前記商品販売データ処理装置が前記PLU情報の取得に要した時間の情報を得る手段と、
前記時間の情報に基づいて決定される前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数と前記時間帯ごとに予め定められた前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数とを比較し、クロック周波数の高い方を前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数に設定するコマンドを前記商品販売データ処理装置に送信する手段と、
を備え、
前記商品販売データ処理装置は、
前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を当該コマンドにより規定された周波数に設定する手段を備える請求項4記載の商品販売データ処理システム。
【請求項7】
複数の商品販売データ処理装置とPLU情報を格納する上位装置とを備え、前記商品販売データ処理装置は商品販売データ処理の実行に際して前記上位装置に問い合わせて前記PLU情報を取得する商品販売データ処理システムにおいて、
前記上位装置は、
規定時間に達すると、前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数を、時間帯ごとに予め定められた周波数に設定することを特徴とする商品販売データ処理システム。
【請求項8】
前記上位装置は、
規定時間に達すると、前記時間帯ごとの客数を集計する手段と、
前記客数に基づいて決定される前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数と前記時間帯ごとに予め定められた前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数とを比較し、クロック周波数の高い方を前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数に設定する手段と、
を備える請求項7記載の商品販売データ処理システム。
【請求項9】
前記上位装置は、
規定時間に達すると、前記時間帯ごとの前記商品販売データ処理装置が前記PLU情報の取得に要した時間の情報を得る手段と、
前記時間の情報に基づいて決定される前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数と前記時間帯ごとに予め定められた前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数とを比較し、クロック周波数の高い方を前記商品販売データ処理装置のCPUのクロック周波数に設定する手段と、
を備える請求項7記載の商品販売データ処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−259991(P2006−259991A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74795(P2005−74795)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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